債権回収と新会社法

　平成１８年５月１日から新会社法が施行されました。この法律はこれから起業しようという人だけでなく、すでに起業している人にも大きな影響を及ぼすものです。


　ここでは、新会社法が債権回収にどのような影響をもたらすのか考えてみたいと思います。

　新会社法では、資本金の制限がなく、極端な話資本金１円でも株式会社を作れるようになりました。これまでも特例で資本金１円で作ることは可能でしたが、株式会社なら５年以内に資本金を１０００万円に増加する必要がありました。しかし、新会社法ではそのような制限もありません。


　また、株式会社でも取締役が一人でよいという特徴があります。


　このように新会社法の施行で株式会社が従来より作りやすくなるわけですが、これは従来よりも質の悪い会社ができやすくなることにもつながります。


　従来なら株式会社と言えば、それだけでそれなりに信用があったことでしょう。でも、これからできる株式会社というのは従来よりも要件が緩和された上で作られた会社なのです。


　ですから、これからは株式会社だからといって今までよりも信用できない時代になっていくわけです。

　新会社法の施行で取引しても将来焦げ付くような会社が増えると思います。そのような会社と取引して、代金が回収できなければ、取引するだけ損というものです。


　そのような会社と取引しないためにもこれまで以上に注意深く取引先を選んでいくようにしましょう。


　これまでと同じ選別の仕方では思わぬ被害を被ることにもなりかねません。