第2巻第10号

第2巻第10号

第2巻第10号(1947/12/01)

LOCK 11・12月号

目次

短編  智慧の環:高木卓:p.2

短編  死の協和音:北洋:p.20

紹介  ネオ・イソップ物語:乾信一郎:p.34

短編  灯籠屋敷:今井達夫:p.46

紹介  蝶々殺人事件映画化:p.58

実話  シンシンの二万年:青江耿介:p.60

エッセイ  探偵茶話:p.66

連載  奇蹟のボレロ(6):角田喜久雄:p.72

短編  智慧の環:高木卓

ミステリ界では無名の作者ですが、巻頭の2段組の扱いを考慮すると幸田露伴の甥で、1940年に芥川賞を受賞しながら辞退した 作者と思われます。

本作は主人公が、入学試験の監督を行っていたときに遭遇した事を描いています。

ミステリなのかは微妙ですが、いわゆる落ちのある話に属します。

短編  死の協和音:北洋

本雑誌が初出であり、その後「鮎川哲也編のアンソロジー『戦慄の13楽章』」に採られている。

上記アンソロジーでは、冒頭の「芸術を測る物指は無い、それを強いて測らうとする処に悲劇が生れる。芸術の挽歌は人類の 葬送曲である。」の部分が削られています。そして解説に「北氏が書いたものか、編集者がつけたものかはわからないがーー。」 と注記しています。

本作のテーマは、盲目の目撃者?と凶器の音叉、そして音声練習機を取り巻く事が描かれています。

明確ではないが、1人称の主人公はこの作者のレギュラーの光岡と思われます。

紹介  ネオ・イソップ物語:乾信一郎

ユーモア小説といくつかの翻訳等を行っている作者です。

動物が登場する複数のコント連作集です。ユーモアと逆説と諧謔が混ざった内容といえます。

ミステリ味は希薄ですが、書き慣れた作品です。

短編  灯籠屋敷:今井達夫

当時、活躍していた同名の作者かどうかは不明です。

15年前の話として、ホラーとも幻想とも怪談とも愛欲小説ともいえる不思議な内容の作品です。

そして、最後にこの15年前の話が真実か幻想か分からないという終わりになっています。探偵小説特に謎解き を書く作者では無いようです。

紹介  蝶々殺人事件映画化

ロックで連載された、「蝶々殺人事件」の映画化の紹介がされています。

梗概が書かれていますが、いくら本誌連載とはいえ、ミステリ小説の映画化の内容を最後の結末まで書くのはちょっと 今の感覚では理解できません。

スタッフ・キャスト合わせても、聞いた事のある名前は少数です。

実話  シンシンの二万年:青江耿介

ロックでお馴染みの作者の、お馴染みの内容です。

詳しい事は分かりません。

エッセイ  探偵茶話

「クリステー礼讃」と題するエッセイですが、今では有名な作品の複数の内容を犯人やトリックを書いてしまうのは 今では信じられないです。

「12の刺し傷」という作品は知らないとも書いていますが、内容を見ればすぐに題名が分かります。

連載  奇蹟のボレロ(6):角田喜久雄

連載6回目です。第10章から11章の途中までです。「次号完結」となっています。

むしろ意外な事に実際に、次号完結になります。