い、うで始まるタイトルの映画
   

イーオン フラックス 

天下の美人女優シャーリーズ・セロン様が、生来の美貌+バレエで鍛えた麗しい身体と類い希な柔軟性をフルに駆使しての大活躍。
淡い金髪をキリリとしたブルネットに染め、バッサリとショートストレートに切って臨んだ新しい「顔」は、これまたとても美しい。白い肌・青い瞳と黒髪・黒いボディスーツとのコントラストがスッキリとエキゾチックで、とてもSFチックだ。

正直、管理社会の無気味さとか、それに対するレジスタントが主人公とかいうSF的設定は古臭く見えて、あまりソソられないし、CG等の道具立てもそんなに派手じゃなく、予算もそう高くはなさそう。
でも、ミョ〜に原始的なセキュリティシステムが出るかと思えば、通信手段は物凄く進んでたり、街中の生活はごくごく現代っぽい普通の暮らしなのに、足を手に整形した(説明が難しい…)レジスタント女性が登場したりと、バランスの悪さが逆にリアルっぽく見えて入り易かった。
『マトリックス』的ピカピカのプラスチック感が苦手な私には、こういうアナログ(アナクロ?)っぽさは好感度が高い。
あちこちにとてもこだわりのありそうな画面が散らばっていて、なかなか楽しめた。

物語も、これまた少々懐かし目のクローンがらみだが、このテーマは今だからシャレにならない、のかも知れない。
同じクローンネタで、数倍もしくは数十倍の予算を使ったと思われる『アイランド』と見比べるのも、一興。
悪に染まった独裁政権を美女が阻止する、という娯楽性を押し出しながら、作中で語られる「人生」や「命」に関する主張は明確で直接的だ。
シャーリーズ・セロンという女優のキャリアを思うと、ああなるほどな、と納得させられる。今更、と思わずに、耳を傾けてみよう。

原作のアニメを見ると、ヒロインの衣装はかなり露出度が高いが、セロンはちょっと抑え気味。綺麗なんだから脚くらい出してくれてもいいのに…などとオッサン入ってしまった(笑)が、黒や白の全身タイツ、モードな普段着、寝室でのナゾの衣装と、セロンの美しさは充分に堪能できる。
身体が柔らかいので、「これってアリ!?」な体勢も実写でOK。って『キューティーハニー』みたいだけど…かなり印象が違う(笑)。

データベースのデザインとか、所々あまりに懐かし過ぎて「60年代の映画か?」と思える(ありていに言うとダサい)場面もあり、正直クライマックスも、そんなに盛り上がりはしなかったんだけど。
それでも、正当派の真面目に作ったSF映画であり、メッセージ性もあり、文句無しの美女もあり。
私的には相手の企業の代表のおっさん(マートン・ソーカス)が、けっこう好みで楽しかった。
そしてラストシーン、繰り返し出て来るイーオンの、ぼんやりした記憶の実態が明らかにされる。
真面目に胸がキューンとなってしまいましたわ。

イーグル・アイ 

面白そうだと思ったんだけどなぁ……。

ゴメン、まずアクション映画って、私的にはラブストーリー以上にヒーローがかっこよくないとノレないの。
シャイア・ラブーフ、全然好みじゃありませんでした。
と、冷めた目で観てしまったからなのか。
何やらさかんにドンパチやってくれてるんだけど、全然手に汗握らなかった。
目を引いたのはシチュエーションだけで、展開もアクションもオチも、みんなどっかで見た感満載で、驚きも感動も無く、お金掛かってそうなのが哀しい。
『ダイ・ハード4.0』が楽しめたのは、ひとえにノスタルジーと、未だにセクシーなブルースさんのおかげかも、なんて事まで思ってしまった。

大好きだったんだけどなぁ、スピルバーグ的アクション世界、もう私には楽しめないのかも。

硫黄島からの手紙 

ニノの妻、裕木奈江だったのか!ドコのおばはんかと思った…一頃は日本中の女性の嫉妬を一身に受けていた彼女…時の流れは速い、早過ぎる。

まあ、そんな事ぁどーでもいいんだが。
例によって、イーストウッドにハギスですよ。私的鬼門
しばらく避けて通ってたんだけど、(米側からの日本軍という)好奇心に負けて観てみたら、覚悟があったせいか、そもそも戦争モノだという前提のせいか、そんなに不快な思いはしなかった。
いつものエグい展開があっても、「まあ戦争だからな…」と思えてしまうと言うか、だったが。
終盤バタバタと馴染んだ顔が死んで行く辺りで引き込まれはしたが、正直「戦争ってイヤだよね」としか感想を持ちようがない、こういう映画はたいして好きじゃない。
真面目に作ってるのは分かるし、日本人キャストは皆さん頑張ってて、ちょいと誇らしかったりもするんだが。

米兵が「見張りが面倒臭い」という理由で日本人捕虜を撃ち殺したのはビックリ!しかも二人。
まあ、戦争ですから。何でもアリと思ってて間違い無いと思うんだけど。
もしかしたら米本国ではショッキングなシーンだったのかな。いやショッキングだけども、米兵が必ずしも正義ではない、という所を言いたいにしても、エグいなぁと。

あと犬ね。可愛かったなぁ。真っ白で毛艶も良くてプリプリ太って。あんなデカい犬をあんな良好な状態で飼っていられるって凄い。男手が無くて日章旗も掲げられない家庭で。
そもそも敵兵は撃てても犬は撃てないよなぁ。だって可愛いもん。あの上官はその点で間違っている。
幼少期に野犬に追われるかなんかして怖くて仕方無いのかな。

ついつい重箱の隅を突きたくなるのは、上記のようにテーマの問題がつまらないからなんだが。
あのジジイ「資料を集める際に日本軍兵士もアメリカ軍兵士と変わらない事がわかった」とか言ったらしいじゃん。なにそれ。
だからなんでしょうね、別に太平洋戦争でなくても、日本軍でなくても、何にすげ替えても成り立ちそうな、概念としての"戦争"
南の島の日本兵は飢えてたんでしょ。硫黄島の頃には武器だって不足してたはず。犬に銃弾使ってる場合か(また犬に戻った…)。
あの描き方で「捕虜になれば飯が食える」と唐突に言われて、日本人以外に意味が通じるのか?
「日本軍兵士もアメリカ軍兵士と変わらない」なんて言ってて、次々と自害していく日本兵について、どんな説明ができるのか?
戦況についても、日本軍はひたすらやられっぱなし&自爆。圧倒的に強い米軍に一方的に踏み散らかされたみたいに描かれてるけど、記録では戦死・戦傷合計数では米軍の方が多かったとか(日本軍はほぼ戦死だけど)。大激戦だったのに、「弱い子いぢめてごめんね〜」みたいな。失礼よね。

世界の渡辺謙は、相変わらず。押し出しの強さはアメリカ好みかもしれん。
ニノも良かったけど、白人圏ではあの見た目は"少年"なんじゃ…子持ちの役とか大丈夫だったんだろうか(笑)。ちょっとチャラいのが気になったけど、演出の問題だわね。
かっこいい伊原剛志が"バロン西"をやるというので、ちょっと楽しみにしてたんだけど、オリンピックに出たんだよーと会話で自慢するだけだった。いやかっこよかったけど。
加瀬亮も良かった。見た目一番日本兵っぽかったかも。彼の最期が一番、残念に思えた。
主要日本人役を、ちゃんと日本の俳優に演らせてもらえてたのが、本作の一番いい所だと思う。
中国人のゲイシャとかナメとんのかと思うもん。

おカタイ事を言ってしまうと、映画(漫画でも演劇でもいいや)に夢や希望は必要だ、と思うのよ私。
たとえハッピーエンドでなくっても、パンドラの箱の底には"希望"がほんのり輝いていてほしい。
例えば悲劇を観て泣いても、涙の後には「明日も頑張るぞ!」と思える何かが。
だからね、私、イーストウッド監督は、嫌い。

1941 

これは…笑えないなー。

若きスピルバーグ渾身の?ドタバタコメディ、らしいけど、スラップスティックって言うの?そもそもアメリカ人のギャグセンスって根本的に違うんじゃ、と思う。コレが本国でウケたかどうかは知らんけど。
映画館まで行って『ホットショット』観ちゃった時は途中で泣きそうになったわ…どうにもこうにも笑えなくて。思い出しちゃった。

しかしベルーシにエイクロイド。まさかの世界のミフネ。ナンシー・アレンもチャーミング。あらら、ミッキー・ロークまで!(どこに?)
そして最後まで頑張って観てみると、意外とちゃんと筋が通ってるのが分かるし、それぞれのキャラクターもキチンと機能しているんだが。
ジャップジャップと耳障りだが、アメリカ勢もそれに負けない程バカにされてるし、まあいいか、という気にもなるんだけど。
なにしろ壊すの大好きだよね…汚すのも(アメリカ映画のパイ投げ率は異常)。街や家や店や車や、モノがぶっ壊されるのを楽しめる人にはいいのかもしれない。
私なんて「ああ、片付けるの大変そう…」とか思っちゃって鬱々としてしまうんだけど。
後は第二次大戦時の兵器類とかが好きな人は、きっと楽しいんじゃないかな。私には良く分からないけど、そういった拘りは、半端無く感じた。

そんなワケでちっとも楽しめなかった私ですが、『太陽の帝国』やら『シンドラーのリスト』の方向よりは、嫌悪感も少なかったです、スピルバーグ監督。

イナフ 

ジェニファー・ロペス、ムッチムチやん(笑)

まあ、それはいいとして。
前半のダンナの豹変具合がミョーにリアルと言うか、「酷い話だけどこういう事って現実にあるんだよね」と思わせる展開だったので、そのままリアルな社会派映画で行くのか、と思いきや。
そして実は、「コレってジェニファーに求められてる事!?」と疑問を抱きつつ、見ていたんだが。
前半のミョーにリアルな半ノンフィクションみたいなDV発動〜脱出劇は、それはそれで見応えがあって(売り出してもない家を金で横っ面叩いて買い取るあたり、笑って見てていいのかジェニファー、と思った)真剣に見ていたんだが、逃げてから後の夫のエスカレートぶりが凄すぎて、殆ど怪獣映画になって来た、と思ったら、後半の急展開にはビックリ、ワクワクどころか置いてかれてしまった(笑)。

夫の怪獣っぷりも凄いが、特に銃社会であるアメリカでは、本当に冗談では済まされない部分もある、とは思う。
でもだからこそ、前半でのリアルな問いかけには後半でリアルな解答を見せて欲しかったんだけど。
一番驚いたのは、押しかけた弁護士事務所で頭の良さそうな黒人弁護士が「早く対処しなかった貴女の自業自得(正論なんだが)、親権は奪われ貴女は殺されるよ、もう手遅れだからお金はいらない」ってところ。まあコレがリアルなのかも知れないが…いやいやいや、あくまで「そういう人は多いよ」に留めて欲しいところだ。
この辺りまでマトモな映画かと思って見ていたので、いやいやこの後このおっさん改心して活躍するのか、あるいは色々回って勇敢な弁護士に巡り会うのか、とか、考えてしまったんだが。
まあ、彼女が暴力的反撃に出るための、背中を押す存在が必要だったのでしょうが。
ついでにあの“実の父”の存在も、あまりにご都合主義で萎えたわ。二人のやり取りは悪くなかっただけに、ますます残念。

この、前半の緻密なリアルさをブチ壊す後半のはっちゃけぶり。何か見た覚えがあると思ったらアレだ、『フォーガットン』だ!
もう、いつ未確認飛行物体が飛来してもおかしくないレベル(笑)。
そうかスットコ映画だったかと。
まあ、冒頭からジェニファーさんは、タダのウェイトレスにしてはイイ身体過ぎ(格闘家的な意味で)だったし、あの出会いも胡散臭いことこの上無いモノではあったんだが。

構成のえーかげんさに比べ、ジェニファーのアクションはスマートで感心したんだけど、そうかこの人歌って踊る人だったよね。
彼女の顔、カットによって凄い美人にもかなりなアレにも見えるんだけど、総じてチャーミングで、フェミニンな若奥様姿も格闘家のジャンプスーツも目に楽しい。髪型も、金髪ロングも黒ショートも良く似合ってた。
前半のノリのまま「虐げられて(合法的に)闘う女性」をやってたら、ジェニファーのニーズってこんなん???と疑問に思った事だし、あるいはファンには楽しいアイドル映画としては、これはこれで良いのかもしれない。


全然関係無いんだけど、「ジェニファー・ロペス監修の香水」っていうのが、すごいいい匂いだった。
こういうタレントグッズみたいなモノってバカにしてたんだけど。

犬飼さんちの犬

突然『幼獣マメシバ』の芝二郎君が出て来てビックリしたが、監督同じ人なのね。
つい先日見ておいて良かった、と言うか、軽いボーナス気分

ストーリーは単純で、どちらかと言うと犬好きの正義に偏り過ぎな気はあるが、だからと言ってハッピー以外のエンディングは誰も期待しないだろうし、難しい展開も不要。
要は、最初から犬が好きな人が犬を見たくて観て「やっぱり犬はいいね〜」とホノボノすれば良い映画。

そういう意味で、肝心の犬のサモエドは本当〜に可愛らしく罪の無い完璧な存在感だし、主演の小日向さんもアシスト役の木南ちゃん(この人"鳥飼さん"なの地味に笑えた。そう言えば『勇者ヨシヒコ』では肩に小鳥乗せてたけど関係アリ?)も危な気無い好演で、全く文句は無かった。
まあ私も犬、特にこういう大型モフモフ犬大好きだしな。

奥さんの路上ライヴは意味不明だが、遭遇してしまった旦那が走って逃げるのは大いに共感して笑ってしまった。
あれは逃げるわな(笑)。
社長の親族の店長の適当ぶりとか、犬をめぐる人々のそれぞれの姿勢(「ウチの犬が撫でられないのか?」「甘やかすな!」「犬を擬人化し過ぎ」等々)も、それぞれリアルで説得力があり面白かった。
犬と家族問題だけでなく、お父さんの仕事問題もいいバランスで絡んでた。落とし所も良かったです。
河原の土手を引っ張られて走るシーンは、映画の意図とは別かも知れないがちょっと気持ち良さそうで羨ましかった。

行方不明になった犬が家の前に帰って来るシーンは、多分この抑揚の少ない物語のクライマックスシーンなのだが、ちょっと急に近付き過ぎと言うか、あんなに小さな子犬さえ怖がって固まってた人が"改心"するには弱過ぎた気がする。
あまりえげつない危機感を煽るのはこの作風に合わないし、犬が(結果助かっても)酷い目に合うのは見たくないからいいんだけど、いきなり首元ワシャワシャは馴染み過ぎだと感じた。
やはり「犬=可愛いが当然」が過ぎた結果だと思う。
もうちょっと下地を踏み固めておいてくれたら、いいシーンだったのにな。

犬好きの犬好きによる(多分)犬好きのための映画、なのだからまあ言ってもせんないコトではあるのだが。
なぜ家族は犬を飼ったのか???
普通に考えたら酷いよね。
単身赴任というだけでも「なんで俺働いてんの?」ってなりがちなのに、慣れない環境で頑張ってたのに、お父さん。
断りも無しに、それも言ったら反対(どころか怖がる)と分かり切ってて勝手に飼うとかなにそれ。
これ、例えばブッサイクな雑種犬とかで、「捨てられてて引き取り手が探せなかった」とかならまだ説得力があったけど、そうなると"サモエドスマイル"が出せないし、ね。
結果オーライでお父さんは成長できてより幸せになったという良い話なんだけど、この「犬好きにあらずんば人にあらず」みたいな思考は、やはり抵抗を覚えてしまう。
猫でいいじゃん、って、それじゃドラマにならないのは重々承知しておりますが。

犬神家の一族(2006)

多分オリジナルを観た上でこちらを観た人の大部分は言うと思うけど、なぜ市川監督はコレを撮ったのだろう???

前作のオドロオドロしさが全く感じられない。
それに伴い、あの独特の耽美的な空気感もスッポリ失われた。横溝世界において二つは表裏だから当然だが。
カメラの精度が良くなり過ぎたのにも一因はある、とは思うのだが、それにしては撮影技術の進歩が全く伺えないのも謎だ。

まあ遠回しに色々言っても、まずはキャストですわな。
"絶世の美女"珠代さんが、松嶋菜々子じゃあねぇ…(タメイキ)。
大変人気のある女優さんだが、私は美人だと思った事が一度もない。演技もいつも硬くてつまらない。
演技の硬さではいい勝負だが、島田陽子はまごうかたなき美女であった。そして清楚で奥ゆかしい、珠代のキャラクターに相応しい清純さが見えた。
富司純子、松坂慶子、萬田久子と美女を並べ、珠代の引き立て役の小夜子にまで奥菜恵のような美女を持って来た世界観で(旅館の女中でさえ深田恭子だよ!)ないわー。菜々子の絶世は無いわー。
ここに乗れないともう、この物語全体がコントになってしまう。

富司純子さんは美しいが、松子役としては迫力が足りなかった。
竹子の松坂慶子は良かったな。あと弁護士の中村敦夫。

ストーリーその他については、そのうちオリジナル版でじっくり書こうと思います。

犬とあなたの物語 いぬのえいが 

映画は、犬にまつわる6話のオムニバス。と言えば聞こえは良いが、殆どのエピソードがコントに毛が生えたみたいなモンで、犬が可愛くなかったら怒り出すレベルだった。
途中ちょっと笑えない、不快な描写もあった。
けど犬は、犬たちは、とにかくカワイイ!それでいい、目的は充分に果たされている。

犬の誘拐事件を扱った『DOG NAP』、このネタで笑わせようというのがすでに不愉快。愛犬攫われたら必死になるでしょそりゃあ。
ラストも全然意味不明で、ナニが幸せなんだか????となってしまった。
コワモテの刑事が超絶犬好きとか、そういうのは大好きなんだけどな。

そして大森南朋主演の『犬の名前』。
犬と一緒に外出して家が分からなくなったら、犬が連れ帰ってくれそうな…意外とアホ犬だったか(笑)。
若年性アルツハイマーと言えば『私の頭の中の消しゴム』やら『明日の記憶』やら思い出すが、
真っ白になった大森さんの顔は、他の追随を許さない程素晴らしかった。
動物と子供には勝てない、と言われるが、今回ばかりは犬と充分張り合ってる。
こんな軽い企画に使うのはもったいない程、この人本当に凄いわ。
妻役の松嶋菜々子のキンキン声が不快だったが、見て損は無かった。
犬は無論、柴犬もレトリバーも物凄くカワイイ。

ラスト一話以外観なくても全然OKだけど、まあ全編渡って犬は可愛いので、(犬の扱いに多少不快な部分はあるが)そう割り切って観れば犬好きなら楽しめる、多分。

イルカと少年

良い話なんですけどね…。
と、言うか、良い話過ぎて先は読めてしまうし、良い意味でのサプライズがほぼ何も無くて、なんか退屈してしまった。
でも、大っぴらにそれを言うと、なんだか心が汚れた人みたいな気分になる、そんな映画。
しかも実話だと言うから恐れ入る。

少年もイルカも可愛いし、モーガン・フリーマンはシレッと登場するし、他のキャストも皆さん好演。
実話モノにありがちな消化不良感の全く無い、ツッコミどころが見出せないスキの無さもすごい。
主軸となるのが負傷したイルカを再生させる物語なので、どうしても舞台がプールばかりになり、主要キャストが少年少女と爺さんと、絵的にちょっと地味なのだが、まあ良心的な映画なので仕方無いか、と思って観てしまう。
でもせっかくのイルカなのに、少年も可愛い顔の子を使ってるのに、なんだか本当に地味普通なのよ。
まるで「良い話なんだし実話なんだから工夫しなくても感動してよ」って言ってるような(笑)。

オリンピックに出場する資金を作りたくて入隊して負傷した従兄弟のお兄さんは切なかったな。
あれは実話なのか分からないけど、うまく繋げたなとは思う。
少年が引き籠りがちというのも、イルカが問題を抱えた子供に寄って行く、という話を聞いた事があるのでナルホドと。
あまりやりすぎるとシー・○ェパードの広報活動みたいになっちゃって不快感に繋がるけど、そういう臭いもしない無難な塩梅のイルカ推し。
とにかくバランスが良く良識的で、悪い人も出て来ないし、不快要素が本当に少ない。
片足を失ったお兄さんが、ちょっと荒れる程度だもの。
もちろん、この映画はそれでいい。

小学校の体育館に生徒集めて上映会するのに最適な映画。

イルカと少年2

正直『2』が出来た事に驚いた。
いえね、前作の出来が悪かったワケでは決してないんだけど、まさか彼らの続きが見られるとは。
主人公の少年"ソーヤー"君が大きくなって、おそらくイルカのおかげもあって社会性を取得し、見違えるように生き生きとしてるのが嬉しい。ママとのギスギス感も乗り越えたようだ。
そして映画自体も、前作の「教材臭さ」と言うか、体育館で観せられるみたいな印象が和らいで、普通にエンタメ映画として見易くなってる事も嬉しい驚きだ。

やはり主役、と言うか視点になる少年の年齢が大人に近付いたせいもあるだろうか?
今回はホンノリ恋心も絡んで、それが嫌味無く爽やかでとても良い。
少年も少女も可愛らしくて、恋はしててもイルカ第一で盲目にならないところが好印象。
モーガン・フリーマン、クリス・クリストファーソン、ハリー・コニック・Jrの大人チームもそれぞれ持ち味を生かしてイイ感じ。ママも片腕のサーファーお姉さん(本人出演の実在人物らしい!本当に美人)もソーヤー君に憧れる同級生も美人揃い。

しかし尾鰭を失った"ウィンター"と、新参者のチビイルカ"ホープ"を引き合わせるのに、あんな不器用な方法しか無いの!?と、実話と聞いているだけにハラハライラッとした。
間にネット張って慣れさせるとかさ…下手したら大惨事じゃん?
それはそれとして、イルカ可愛いな〜本当に芸達者で。
特に保護されたイルカを海に放すシーンは感動したわ、迎えが来ちゃったりして!

こんなん見たら「イルカちゃんを食べないで!」って騒ぐ気持ちもちょっと分かる、ずるい。
でもペリカンのルーファスも大活躍で可愛かったし、ウミガメが!めっっっちゃ!カワイイ!!!!
なんでしょうかあの可愛さは?
結局ルーファスのこだわりは何だったのか判明しなくて、カメは海に帰ってしまったんだけど、やっぱり私と同じ「可愛い!目が離せないっ!」って気持ちだったのかな?

イレイザー

シュワルツェネッガー主演の中でもアクション映画としてはかなり本気度が高い、と思う。
でもアクションが本気になればなる程、ドラマ的には嘘臭くなるのが悲しいところ。
それに全体に流れるハードボイルドなムードが、ちょっと"シュワちゃん"にはミスマッチな印象で、「え〜?」と違和感を覚える箇所が多かった。
イメージ的にも本格派を狙いたかった頃なんだろうか?ちょっとなぁ。

ヴァネッサ・ウィリアムズは美人だが、いや美人過ぎるのか?硬質な人形のようで、あまり人間味を感じない。
やたら正義感が強く勇敢なリーという女性にも、同様に人間味を感じられず、守られるべきヒロインに魅力が無いのはこの手の映画では実に残念だ。
脇役陣は魅力的。
登場と同時に「コイツ悪いな」とすぐ分かるジェームズ・カーンは憎たらしく頭良さ気で魅力的だし、やたら暑苦しいロバート・パストレッリのチンピラもいいキャラだった。ジェームズ・コバーンの上司も、出番は多くないが画面がグッと引き締まる、素敵な存在感。

パラシュートのシーンとか、トレーラーを落とすところとか、アクションは本当に頑張ってはいるんだが。ワニも良かったし。
シュワちゃんは大好きだけど、正直あまり敏捷そうには見えないし、ついでにそんなに頭脳明晰にも見えない。
やっぱりこの役は、違うと思うの。
人を殺す数が多すぎるのも、『コマンドー』のように笑えるワケでもなく、特にラストのオチの付け方にはドン引いてしまった。
色々と頑張ってはいるんだが、途中眠くなってしまったのは、やはり人物に思い入れができなかったせいだと思う。
せっかく証人保護プログラムを扱ったのに、なんか台無しと言おうか…そっち消しましたか!?みたいな。
当時のシュワちゃん主演映画は殆どロードショーで観てるはずなんだが、多分1番印象に残らなかったのがこの映画だと思う。

11ミリオン・ジョブ 

ドウェイン・ジョンソンの名に騙されて観てしまった…。

いつもはセクシーでチャーミングな彼も、こんな使われ方(普通の刑事)ではタダのデクノボーだわ。
しかも出番少ないし。
と、なると主役は警備員のリアム・ヘムズワースという若造なのだが。
コイツがまたうーん。だった。
近頃のハリウッド俳優って、なぜこう揃いも揃ってアホっぽいのか???昔から?

最後に来て、どうやら実話の映画化だったと知る。
こういう犯罪物の実話映画って多いけど、人気あるのか?
だいたいつまらない上に、この映画は特に退屈だった。
主人公達の悲惨な状況とか、どうしようもない頭の悪さとか延々と見せられてただただウンザリ。
素敵な両親と可愛い彼女がいるのにズルズルと犯罪に手を染めるクリス、徹頭徹尾小うるさい小物感を発散し続けるエディ、いきなり友人を撃ち殺す(と思ったら仕留め損なってる)奴とかもう…。

我慢してラストまで観たが、エンディングで本人と思われるオッさんのヘラヘラしたインタビュー映像が流れ、ああ本当に時間を無駄にしたと思った。
盗んだ大金が見つかってないのに出所しちゃって映画でも大儲けでヒーロー気取り。やだやだ。
犬と最初に殺される警備員が良かった(面白そうだったのはそこまで)ので、ついつい観てしまった。

実際にリアルタイムで事件を見てた人は、内情を知りたいと思ったりもするだろうから、一定の需要はあるのでしょうか。
こういう出自に恵まれず頭も悪い連中が得するストーリー、好きな層がいるんだろうね…。

インクレディブル・ハルク

ハルクについての予備知識は「緑色の巨人に変身」くらいしか無くて鑑賞。
冒頭、何がなんだか分からず、人物関係が見えるまでちょっとうろうろしてしまったが、ストーリー自体は単純明快だった。

ヒロインのリブ・タイラーは、美人で適度にガタイが良くて、とても良い。
意志の強い、勇敢な感じが無理無く出てて。
ヒーロー物に違和感、と思ったノートンも、こういうキャラクターならピッタリだ。ただ主役としては華のある方ではないので、前半ちょっと退屈した(予備知識が無かったせいもあるけど)。
ティム・ロスの最初からアブナイ感じも、ウィリアム・ハートの乱暴な将軍も、適材適所。

変身が自力で制御できず、変身後は理性が飛んでしまう、という設定が面白いし、うまく生かされていたと思う。元が知性的な人物であるから、尚更に。これヒーローって言えるのか?とは思うが。
変身しそうになるのを慌ててこらえたり、血圧測ったり、変身時のためにアレコレ準備したりという小ネタはユーモラスで面白かった。恋人との関係もまあ、悲恋ですわな。ちょっと笑ってしまうんだがご免なさい。
彼女の勇敢さには脱帽。愛の力ですか、実験中ハルクに乗っかって説得するシーンは、アメコミらしい絵になっててとても良かった。

…ハルクのビジュアルが、醜いよね。
女性が好まないタイプのマッチョ(しかもバカ)(おまけに)が二人、延々殴り合うクライマックスは、でもそれなりに面白かった、物がいっぱい壊れて。
エドワート・ノートンとティム・ロスという、優男二人が変身元であるところも面白い。
そう言えば昔TVシリーズでは、変身後をボディビルダーが演じていたのを思い出したが、本作の見苦しいCGキャラクターより、そっちの方が楽しい気がするな。少なくとも私は。
“ハルク”バージョンでは演技力もそんなに問われないんだし、キッチリ鍛えた本物のビルダーに特殊メイクを施して拡大して、動きはワイヤーでもCGでも山盛り使って。
CGって本当に、諸刃の刃と言うか、安易に使って欲しくないんだけど、私は。
筋肉にはしなやかさが欲しいです。あと重量感ね。
(でも使うからこそ進歩もあるんだよね…うん)

あまり期待してなかったが、意外な豪華キャストが有効に生かされ、王道な造りと豪勢なCGとも相まって、かなり楽しめた。

インセプション

長かった〜

SF好きな人には面白いのだろうか?
私はどうも、バーチャル的なモノへの関心が薄いのかな。本当につまらなかった。
いえ、絵的にはあちこち、面白い部分もあったんだけど。そして多分CGは素晴らしいんだろうけど。

容姿も中身も魅力の無い主人公(出川に似て来てないか?)。他に方法は無いのかと言いたくなる、回りくどい依頼。"ターゲット"のお坊ちゃんも魅力ナシ。
世界のワタナベも、目力だけは印象的なものの、たいした活躍もせずただ出てる印象。
救いと言えば女性陣が二人とも可愛い&綺麗だったのと、アーサー君がチャーミングだった、くらいかな。それが無かったらリタイアしてました。
あ、トム・ベレンジャーが相変わらず素敵だった。いくつだよあの人?
アーサー役の彼は、『ターミネーター2』のT100を思い出した。なんかそういった、機械とか妖怪とか、人以外の役が似合いそう。『真夏の夜の夢』のパックとかさ。

夢にまつわる駄話とかは、けっこう好きなんだけどなぁ。
のっけから「殺すと目覚める」とかって物騒な設定、と思って(すでにちょっと不快感)たら「睡眠薬はきついと死んだら虚無に落ちる」とかって新設定追加。
夢の中は数倍速とかローカルルールが多くて、すっかり面倒臭くなってしまった。
夢の造形も、最初の頃の街が壊れる様子とか、街並みがせり上がって来るところとか、面白かったんだけど、後に行くに従ってホテルだの雪山だの、普通なロケーションになってしまって残念。
どうせならもっともっと壊したり歪めたり、夢っぽくやってほしかった。
二階層目にお留守番のアーサー君が、無重力状態で泳ぐようにして眠りこけてる仲間をロープで束ねてるところとかは面白かったけど。

『ダークナイト』のノーラン監督と聞いて胸ときめかせて見たけれど、私的には遠く及ばない出来だった。
やはり、かの映画には、なにか憑いていたんだな、きっと。

インターセクション

何の予備知識も無しに見始めて、冒頭の砂漠のクラッシュシーンでグーッと引き込まれ、次から次へと明かされる諸事情に見入ってしまった。
私としては、かなりの拾い物
あとからリュック・ベッソンが絡んでいるうと知って驚いた。
全くベッソン臭がしない(笑)もういい加減飽きたかなと思っていたのに。

とにかく登場人物中、善良なのは赤ん坊一人というね!
特にあの囚人のオッサン、分かるんだけど、凶悪冷血の上あまりにも見た目が暑苦しくて、そこは映画でしょ、もうちょっと手加減してよ…なんて思ってしまった。「彼女は汚いモノが嫌いだからアイツに触らせない」とか真顔で言われてたし(笑)。

私個人的には、悪女嫁の方に生き残ってほしかったんだけど、それだと流石にマズイのかなぁ。
途中女二人で被害者意識で意気投合みたいなシーンもあった事だし、そこをもう少し引っ張ってほしかった。
さりげなく庇うも良し、手酷く裏切るも良し。
ラストシーンも男性には心地よいのかもしれないが、生き残った男二人(=殺人者)が目と目を合わせて頷きあって…ってね。
あと"修理屋"さんが最初から赤ん坊ガラミなのは分かっていたけど、恋人をボコッた奴に復習し連れ子を取り戻しに来た、というのもなーんだ(普通)と思ったわ。
いっぱい人が死ぬんだけど、それが皆クセの強い人々で、倒れ込む時に悲しい音楽が掛かったりすると「は?」と驚いてしまう程の鬼畜揃い。
愛人件スパイの若造はちょっと可哀想だったかな。銃持ってるの教えといてやれや。

ところであの終盤の黒ヴェールの美女は何だったの?
私が何か見逃したのか、それともあの赤子父が物凄く悪くて恨みを買うのは当然だから特に説明は不要とされたのか…???
昔からあるあるだけど、結局女は手に掛けない、というのもなんだかね、不完全燃焼。

共感も感動も教訓も何もないけど、観ている間は前のめりで観られた、退屈しない映画。

インタビュー ウィズ バンパイヤ

少女マンガ不朽の名作に良く似た設定のバンパイヤ物があって(そう、アレですよアレ)結構楽しみにして観た。
そうかなーと思ったけど、やっぱりで、なんか日本のアイドル映画みたい。
主演の二人のどちらかでも好みだったら、それなり楽しめたんでしょうけど、そうでもないしなあ。
ブラット・ピットは役によってはいいけど、これはペケ。トム・クルーズに至っては、原作者が猛反対したキャスティングだったそうで、原作者、くじけず反対して欲しかったよ。

アントニオ・バンデラスは、この映画で初めて見た。
学芸会に独り本物が紛れ込んだみたいな印象。

「エドガーの苦悩」って、わりと普遍的に好まれるみたいだけど、私はイマイチ乗れないのよ。ウザいわ。
バンパイヤって、それだけで魅力的な存在なのだけど、そう言えば「これだ!」って思える映画、思い浮かばない。
『フライトナイト』は楽しかったかな。

追記:『ヴァンヘルシング』も楽しめました。

イントゥ・ザ・ブルー

バスクリンクールでも溶かしたかと思う青い海。ウジャウジャ泳ぎドカドカぶつかって来る勢いの色とりどりの魚たち。出会い頭にブライスの言う「完璧なボディ!」の言葉そのままのジェシカ・アルバの水色のマイクロビキニ姿の素晴らしさ。
これで2時間弱の上映時間、十分持ちます、ええ。
しかし本当〜に、アルバちゃんは可愛い。多分21世紀最強。

カリブ海と言えば古くは海賊のメッカ、現代ではセレブ御用達のイメージが強い、なにしろ「海の色が違う」と噂を聞くが極東の貧乏人には手も足も出ない高級リゾート地のイメージ。
その海で貧乏生活をする主人公ジャレッドと、真面目な恋人サム(アルバ)。
冒頭から日焼けした筋肉質の完璧ボディな男女の姿が堪能できる。
特に前半の潜水シーンは水着一枚のスキンダイビングで、撮影はさぞや過酷だったろう…等と老婆心を抱きつつも、絵面の美しさに心奪われる。
砂の中から泳ぎ去るヒラメとか、黄色いラインの小鯛の群れとか、ダイバー心にキュンキュン来ます。
主人公のポール・ウォーカーは地味だがちょうど良い加減のマッチョぶりで、こちらも目に楽しかった。

チャラい親友役のスコット・カーンはTVドラマで馴染みの顔で、つい愛嬌に騙されてしまうのだが、どうなのよこの男。
連れの女がロクでもないのは仕方ないとしても、あまりにも困ったちゃんが過ぎて、なんでこんな奴と親友なの???と首を捻ってしまった。
最後は娯楽作らしく終わりたかったのは分かるけど、女は死んで(自業自得ではあるが)、コイツは金塊Getしてめでたしめでたしでは、ちょっとこちらはスッキリしないなと。

ストーリーは正直、あってもなくても、と言うかむしろ無い方が良かったレベル(笑)。
中盤までは楽しく見ていたが、水中シーン以外は退屈、と思っていたら、終盤シリアス展開になってからはかなり視聴意欲を削がれた。
あぶく銭巡ってオッサン同士が戦うのが、ダラダラと長く感じてしまう。
水中では暗かったりマスクのせいで誰が誰だか分からないとか(サメ以外のお魚が鳴りを潜めてしまったのは、多分撮影はプールだったのかな、とか)、格闘シーンにアップ多用で状況が掴みにくくてイライラしたり。
ヒーロー役の地味さもあって、そもそもトレジャーハンターってあまり思い入れができないタチだし。
もういいからアルバちゃんのビキニ姿を出せ!と、キャバクラ通いのオッサンのような事を念じてやり過ごした。

ストーリーに整合性を付けるのも大切だが、企画の"売り"が何かを正しく把握する事は最重要で、この映画の場合は間違いなく「青い海とアルバのビキニ」なのだから、そこは死守してほしかった。

インドシナ 

何の予備知識も無く、ボ〜ッと見始めた。
はぁ〜ドヌーヴきれいわ〜インドシナの景色美しわ〜将校もハンサム〜アラアラ鼻血!〜まあ美男美女が出会えば恋に堕ちるわな〜………
なんて楽しく観ていたら、ドンドン凄い事になっていってビックリ!
ど、ドラマティック………!!!
好きだ、こういう映画。

それにしても、齢50になりなんとするドヌーヴ様の美しさたるや。
前々から美人だとは思っていたが、人間ここまで美しくいられるものなんでしょうか。
色取り取りの豪華衣装の数々も素晴らしい。特にブルーは本当にこの人に似合うと思う。そして透明感ある表情、気品溢れる仕草。
このエリアーヌという女性、必ずしも性格が良いとは言えない部分もあるのだが、驕慢な態度や辛辣な言葉もこの美女を引き立てる装飾品になってしまう、そんな印象だった。
しかしフランス女優というのは、このドヌーヴといい、ファニー・アルダンといい、恐ろしい。熟れても熟れても腐らない、萎れない。

序盤に恋人になるジャン・バチストは、二枚目だがイマイチ心情が分かりにくくて、迷ってるうちに流されてるみたいで正直魅力薄。ハンサムだけどね。
むしろエリアーヌにフラれまくりの警察署長のギイの方が(見た目は暑苦しい油っぽい中年だが)男としては魅力的。あまりに報われない彼に、終盤はちょっと肩入れしてしまった。
彼のような存在はあの高い鼻の一息で吹き散らしてしまうクセに、ハンサムな(だけの)若造の将校にはメロメロ、って辺りが、美人で仕事もできてお金持ちの彼女の残念ポイントだな。
もう一人面白いのが、蓮っ葉なイヴェット。
何かとチヤホヤされるエリアーヌに、唯一(痴話喧嘩は除外)面と向かって否定的な事を言う女性。
嫉妬混じりではあるが、彼女の指摘は間違ってはおらず、しかし再会すれば嬉しそうに(嫌味を言いつつも)すり寄って来るし、おごりの酒を飲まなければ寂しそうだし、身の振り方までエリアーヌに御意見伺い、イソイソと従う。面白いなぁ。
女同士の力関係って、こういうのありそう。ちょっといじらしかったな。

養女カミーユ役のリン・ダン・ファン。ザ・東洋人な顔(ちょいキムヨナ似?)が可愛らしく、後半のドラマティック展開にも負けない存在感がとても良かった。
考えてみればあの娘、王族に生まれてフランス人に育てられ、新婚初夜に母の恋人を追って逃避行。愛しい男に出会えた途端に殺人を犯し、一緒に逃げた男の子供を産んだと思ったら囚われて息子とも引き裂かれ………すごい人生。
物語上のヒロインはむしろカミーユで、ドヌーブはむしろ語り部の役割なのだが、なにせ圧倒的存在感。
まあ洋画だし白人視点が前提なワケだが。

インドシナ=ベトナムには、21世紀の初めに行った。パンやケーキが美味しく、優雅にフランス語を操る老人がいた。
植民地政策というのは、全面的に"悪"だと、現代を生きる私は思うのだけれど、当時の白人達はどの程度の意識だったのだろうか。
ジャン・バチストもエリアーヌも、登場シーンで現地人に酷い仕打ちをして見せる。残虐な刑罰にカミーユはキレるが、この娘は心はフランス仕込みだったりするのも皮肉と言うか、革命や革新というモノの真理を突いてるようで面白くも哀しい。
アジア人である私にとって、悪でしかない植民地ではあるが、白人目線で見せられるその優雅さには目を奪われる。それは不当にむしり取った豊かさと権力、悪人の天国と知ってはいても、美しいものには心惹かれてしまう。
パーティ会場でタンゴを踊る、金髪に黒いドレスの義母と黒髪に真っ白なドレスの義娘の姿は、悪政の上に咲く徒花。うっとりする程エレガントでデカダンな美しさだ。
小さなシーンだが、このドラマティックな歴史絵巻の中でも、白眉であった。

インビクタス/負けざる者たち

ネルソン・マンデラ氏の一面を見るには良い映画かもしれないし、特に破綻も無く、なるようになって行く運びはまあ、実話と銘打つには妥当かな、とは思うんだが。
…なんでこの切り口なのか…???

つまりラグビーなんだけど。
もちろん、私がスポーツ全般に興味が薄いのが主原因だけど、なぜこの偉人を描くのに、波乱の人生おっぽらかして球転がしなんだろう?
しかも試合シーンが、わりとつまんない。
マンデラ役のモーガン・フリーマンは流石の風格だし、ラグビーチームのキャプテンを演じるマット・デイモンも相変わらずの好演。
って言うか、また良く鍛えたねぇ。『ボーン〜』の時よりさらに一回り、とてもラガーらしい身体。もはや『リプリー』の水着姿は幻か…(笑)。
でも、こんな顔だったっけ?んん?

特に感動も無く、ハラハラ感も無く、試合は絶対勝つと思ってたし、白人と黒人は歩み寄るしか落としどころは無いし。
特に白人公安官と黒人新高官のくだりは、もうちょっと丁寧に描いてくれたら面白そうだったのに、本当に何の捻りも驚きも無く微笑み合って肩叩き合ってしまってて、色々と予定調和的な印象。
そうだなぁ、マンデラさんのいた独房を訪ねて両手を広げるデイモン君が、唯一心に残ったかな。

イーストウッド監督、いつものエグさ(いや苦手なんだけどね)を押さえたら、本当に普通。

ヴァイラス

機械の身体を手に入れるんだ!!!(笑)

なかなか魅力的なキャスティング。
ジェイミー・リー・カーティスは大好きな女優さんで、"リプリー"をプロにしたみたいなこういう役はピッタリだ。
若かりしウィリアム・ボールドウィンは色男だし、ドナルド・サザーランドのゲスっぷりには大ウケした。ロシア娘も美しかった。
…と、まあ、キャストだけは良かったのだが。

"海のエイリアン"ってトコかな、と思ったけど、相手がちょっと取り止めもない
捕まると機械にされちゃうんだよ!って、確かに嫌なんだけど…うん、ピンと来ないのよ。
海洋モノ大好きなんだけど、見てるうちに船だか宇宙船だか分からなくなって来るし。
でも船長が変身してご満悦だったのは笑ったな。さすがだ!
ロシア人乗組員の生き残りナディアを演じるジョアンナ・パクラ、とても美人で大活躍!後半カーティスさんを食ってた、と言うか美味しい展開。容姿に華があるから見応えがあった。
しかし女性二人の有能っぷりときたら。男どもは概ね、何の役にも立ってないという(笑)。
当時のウィリアム・ボールドウィンの甘くてユルいルックスは、このポジションにシックリとハマる。
最後はまあ、ちょっと活躍したし。
ハッピーエンド好きではあるが、彼はあそこで死んじゃっても良かったかな、ストーリー的に。

"機械化"設定を受け入れてハラハラドキドキできるか否かが、この映画を楽しむための分かれ道だと思う。
悪くはなかったです。

ヴァン・ヘルシング


私こういう、お耽美系の異形の物って大好き。
ドラキュラ伯爵と花嫁達が、かなり好みにド真ん中。
お色気系美女の三人の花嫁が、キレイなままで翼だけ生やして飛び回るのも、余裕が無くなると本性を表してコワイ姿になったり戻ったり、くるくる変わるのも、すごい好み。
ドラキュラも、今まで映画でイマイチ好みのを見かけなかったので、今回はかなり、得点高し。
ドラキュラ伯って享年42歳、ってコトは、けっこうオヤジになってから不死身になった訳で、これ位の老け具合がよろしいかと。あまり見かけない顔だと思ったら、『ムーランルージュ』にも『MI:2』にも出てたんだって。そうだっけ?むしろ舞台で活躍してると聞いて、ナルホドー、と納得。
キザでセクシーなんだけど、ちょっと所帯臭い(笑)。そのへんの匙加減がいいのよ。

物語りはまあ、妖怪退治モノなんだけど、かなりキリスト教色が強い。
ヴァチカンの地下に秘密組織(爆笑)。
そして主役のヴァン・ヘルシングは、殆ど007。変な秘密兵器携帯させられてさ。
宣伝で「ジキルとハイド、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインが大集結」みたいな事を言ってて、節操の無いバカ映画と思って観たら、確かにそうでした(笑)が、思ったよりずっとリキ入ってて、多分お金もかかってる。くだらなくても、えーかげんじゃないから好き。
まず冒頭のジキルとハイドとの対決が、視覚的にすごく面白かった。薔薇のステンドグラス粉々だし(笑)。
お決まりではあるけど、狼男の苦悩とか、フランケンの怪人の愛らしさ、健気さも、良かった。
ちょっと可哀想なラストも、この設定ではいたしかたない。私は納得して観たよ。
これでもかと繰り返される(本当、節操がないのよ)変身シーンも、やり過ぎ多発の格闘シーンも、終わり頃の円谷映画的展開も、私はすごーく、楽しめました。大好きな飛翔シーンもいっぱい。

怪物大集合が予想以上に良かったのに対し、残念だったのは主役二人。
ヴァン・ヘルシング役のヒュー・ジャックマン。売れっ子だよねぇ。
正直、食い足りなさを感じます。ヒーローとしては貧相だし、顔も悪くはないけど印象薄いし。表情少ないしさ。特にこういう勧善懲悪モノでは、もっとハッキリした役者の方が楽しいのにな。
唯一『ニューヨークの恋人』はハマリ役で良かったけど、うーん、やっぱイマイチ。
そして、せっかくの楽しい映画を台無しにしたのが、ヒロイン、アナ。
まがりなりにも由緒ある血筋のお姫さまでしょ。なにあの品の無さは?
勇敢な女戦士でもあり、アクションシーンで大活躍なのに、どう見ても実用的でないボンデージ系の衣装(実用性はあっても『キル・ビル』の黄色いジャージもいただけないが)で、しかもドタドタした動き、運動神経ニブすぎっ!
化粧も厚くて下品なモード系。ケバイのはドラキュラの花嫁三人で充分(しかもこっちの方がずっと美形)だし、せっかくの赤いドレスのシーンも印象が全然変わらず(同じ厚化粧)つまんなーい。
いくらCGやワイヤーの技術が進んでも、やっぱりアクションやらせる役者は選んで欲しいな。

アナの兄ちゃんヴェルカン役のウィル・ケンプ、2枚目で嬉しい。出番少なくて残念。
顔もいいけど、やたらキレイな体つきだと思ったら、本業はダンサーだったのね。納得。
…それにしても、『狼男アメリカン』や『キャット・ピープル』の変身シーンに驚いてた頃は、遠く昔になりにけり、ですわね。

ウィッチ・マウンテン/地図から消された山

心優しき大男と子供達、という構図が大好きなのですが。
おまけに"大男"はセクシーなザ・ロック様ことドウェイン・ジョンソンだし、子供達は姉も弟も稀に見る美男美女。
(お姉ちゃんは『チャーリーとチョコレート工場』のヴァイオレット!)
女性学者さんはイマイチだったけど、3人いれば絵的には充分楽しい。

ストーリーとしては、ほぼ『E.T』だよね………。
私、実はUFOとか宇宙人関係の話って殆どデマだと思っているので、冒頭のカルトな映像からちょっと引いてしまったんだけど。
もっとも、この広い宇宙には必ずや、我々以外の知的生命体が存在する、とは思う。
だからまあフィクションとしては、『E.T』も楽しく観たし、この映画も中身は全然カルト臭は無く観やすかった。
むしろ毒にも薬にもならないエンタメ系の、いわばお子様ムービーで、正直そんなに盛り上がりもしなかったし、なにしろ姉弟が超絶無敵能力者なのでハラハラもせず。
まあ人間レベルでは無敵のザ・ロック様も大活躍でアクションシーンも楽しかったワケですが、姉弟の能力設定が凄過ぎて彼の存在意義が不明…いえ、意義は私を楽しませるためなんだが(笑)。

タクシーにいきなり姉弟が座ってるとか、弟君が車にドッカンとか、面白いシーンもあったんだけど。
超能力モノって何でもありになっちゃうとつまらない。何か制約を付けないと。
政府の陰謀的な展開も、避けては通れないのかもしれないけど凡庸で、先行きに興味が持てなかった。
小難しい事は考えず、「わ〜宇宙人すごい!ロック様強い!」と、手放しで楽しめば良いのでしょうが。
でも最初に書いたように、ロック様と美形姉弟のアレコレは楽しかったよ。
ずっと無表情で「ジャック・ブルーノ」とフルネームで呼んでいた姉弟が、途中から「ジャック」と呼ぶようになるとか、犬を巡るやり取りから姉がジャックに犬を託すところとか。
ちょっと感動シーンもソツ無く入ってる。

例えば私に小学生の子供がいたら、夏休みの映画は和製アニメなんかよりコレを選びたい。
ロック様が出てるからだけじゃないよ(笑)。

ヴィレッジ 

ナイト・シャマラン監督。
シックス・センス』で感動し、『アンブレイカブル』で「こういうコトもあるさ…」と自分に言い聞かせるも『サイン』で本格的に落胆し、それでも諦め切れずに観た本作。
悪くない、と言うのが当時の感想だった。
いや、良くもないんだけど(笑)、あちこち穴だらけと言うか脇が甘い感じにモヤモヤするんだけど、何と言うか、独特の(良い意味での)甘さとか香り高さみたいなモノを感じて、オドロオドロしい内容にもかかわらず後味は悪くなかった。
続く『レディ・イン・ザ・ウォーター』で、いよいよ「ごめん、さよなら」と思ってしまったワケですが、それはまた別の話。

久しぶりに見直してみて、やはり全体の印象は変わらない。
甘いのよ、良くも悪くも。
ドラマと言うよりはお伽噺=寓話。と、思えば、腹も立たない。
でもやっぱりね、これでいいんかい!?と、いうのが残る、モヤモヤモヤ。
だってやっぱりさ、いくら何でも、盲目の少女に「おまえは強い」とか言って危険な森〜さらに危険な(と言う事になっている)森の外へ一人で行かせる"年長者"とかってどうなの?
ヒロインの健気さは胸を打たなくも無いけれど、そこに至る強引さ(と言うよりいい加減さ)に辟易する。なんで彼女を強いと言うのかも説明ナシ。
恋しい婚約者の命が掛かっていれば、そりゃあ冒険もしましょうよ。でも行かせる"年長者"は、クズ。
だから、ラストシーンは心を打たないし、むしろ脱力してしまった。

閉ざされた森や村の景色、家の中の様子等はとても絵が美しく、赤や黄色の使い方も心に残る。
盲目のヒロイン(ユマ・サーマンかと思った)は愛らしく健気で、思わず応援したくなるけれど。
"年長者"達の意気地の無さが気持ち悪過ぎて相殺してしまってる。だって全然反省してないじゃん。
知的障害者のエイドリアン・ブロディは好演だったが、これまた扱いが雑過ぎて、何とも居心地が悪い……モヤモヤモヤ。

と、モヤモヤはいや増すのであった。ふう。

ヴィレッジ (byココアちゃん)

これもアメリカ人らしいね。
傷つくのが怖いから閉ざす、てとこが。
そんなに傷つきやすいのかい!だったら銃なんか持ちたがるなよ!って
突っ込みたくなります。
確かシガニー・ウィーバーさん出てたよね。
あんたにゃ誰もかなわないでしょ!ってここでも突っ込み。
途中でネタばれしました。
浅いわね。

ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館 

あの可愛かったハリー・ポッターも、すっかりオッサンいや大人(笑)。
それにしても子持ちの男やもめの役とは、ビックリだったんだけど、なるほどストーリー上必要な設定だったのね。
ちょっと若いパパ(多分ダニエル君は22~3歳…10代で生まれた子?)過ぎて違和感。この話じゃなきゃいけなかったのかな?

絵がとても綺麗で、冒頭の屋根裏の子供部屋シーンから引き込まれた。
ゴシックホラーと言うのかしら、衣装、背景を含め、雰囲気はとても良かった。
時代設定のせいもあって、呼びたくない子供が来ちゃうとか、自動車に乗ってる人が村で一人とか、そいういう所もうまく使ってると思う。
冒頭含め、たくさん出て来る少女達もとても美しい。
まさしくゴシックロリータ。
…でも面白かったかと言うと、うーん。そうでもない。

そもそもホラーというのは理不尽なモノだし、母親という存在も決して公正なモノではないんだけれど、あまりにも酷い、この幽霊。
元々八つ当たり的な性格設定だから、説得力が無いワケではないんだが。
ラストは特に、今までの事はなんだったの…と、脱力してしまった。
どろんこになって頑張ったのにねぇ。
しかし不満ながらもある種の余韻の残るラストシーンは、イギリスらしいと言えばそうなのかな。

愛妻に先立たれ、仕事はクビ寸前。幼い息子もあまりかまってやる余裕がない。
考えればこのアーサー君、けっこう悲惨な状況にいるワケで、終始辛気臭い顔してる所を見ると鬱病かも。その辺りがもっと強く出ていれば、結末の印象も違っていたのかも。
もうキレる寸前ですボク…みたいな所でやってくれてれば、念願の妻との再会で救われてしまう気持ちにも乗れた、かも。
雰囲気も絵も良かっただけに、その辺りが淡々とし過ぎていたのが残念。
あとアレだ、イヤな話ではあるが、あまり怖いシーンは無かったな。
でも嫌いじゃないです。

ウェス・クレイヴン'sカースド

ん〜〜〜ソコソコ楽しめたんだけど。
恐怖あり、グロあり、笑いあり、微エロありで盛り沢山だし、日常生活に紛れたウルフマン達、という設定は、とても私好み。
…けど、なぁ。
クリスティーナ・リッチは、顔面があまりにもアダムスファミリーで(笑)。
モンスター』の役なんかはイビツな感じがドンピシャで、凄く良かったんだけど。
いわゆる"普通の女の子"しかも"被害者"には、ちょっと向かない個性だと思うの。
そもそも私は勝手に「ホラーには端正な美女!」と決めているんだし、ましてや異形のモノへ変身、と来れば、ここは飛び切りの美女でなくては
『キャット・ピープル』のナスターシャ・キンスキーとかさ。『キャット・ウーマン』のミシェル・ファイファーとかね。ってあら、猫ばっかりだけど。

それに加えて"狼男"も要素が地味でつまらなかった。
一応やたらにモテモテなのは謎の狼パワーなのだと説明は成されているが、ソコは映画なんだから映像で納得させて欲しいわ。そういう魔力みたいなモノが全然感じられないお兄ちゃんだった、残念。
やはり妖怪化け物の類が人間形の時は、魅力的な容姿であって欲しいのよ。ヒロインと一応、恋に堕ちるワケだし。

それ以外は、こういう軽い感じで日常に潜むホラー、みたいなの、割と好みなんだけど。
ヒロインと弟、というのも良かった。
現代の都会を舞台に、昔ながらの人狼伝説の決まり事を忠実に守って、怖いと言うより楽しいやら可笑しいやらの微妙な世界観。アイディアもいっぱい詰め込まれてて、飽きる事無く観られた。
…でもキメるところがキマらなかった印象は、拭えないかな。
女狼を引っ張り出すのに「彼女はヒップはガリガリ、フトモモはブヨブヨ」だったっけ?あれは笑ったわ。

ウェディング・プランナー

えーと、まあ、所詮はラブコメ………
と、自分をなだめてはみたものの。

王道と言うよりはお手軽カタログのような、ラブコメの"手口"のオンパレードの安っぽさに辟易
ラブもコメディも全然無い、形骸化した「ラブコメパターン」でしかない。
誰と誰が"くっつく"か、最初から分かり切ってるキャスティング。
いい感じになると豪雨だの、馬が暴走して助けられてフィアンセそっちのけで「おまえが見てろ」だの、結婚式直前に婚約者が長期出張で「二人に任せた」だの。
周囲の間抜け共が寄ってたかって二人を取り持ってるだけの話が長々と続き(ロマンチストはコレを運命と言うのだろうか…)飽き飽きして中盤居眠りしてしまった。

ジェニファー・ロペスは綺麗だし相変わらずお尻がお見事で見惚れた。
真っ赤は予想通りだが、ペールブルーやラヴェンダーが意外に良く似合い、衣装の数々も目に楽しい。
ロペス以外にも数々の結婚式会場や花嫁衣装、ゲストドレスが目に楽しかった。
マシュー・マコノヒーは…この人の魅力が、どうにも分からないんだよね。
割と知的な役柄が多いけど、私の目には知性のカケラも感じられず、ニヤニヤ笑いの優男にしか見えない。
役柄的にも(これはヒロインのロペスも同様だが)どこが魅力なのか分からなかった。
しいて言えば医者である事くらいか。なんかあまりロマンティックじゃない(笑)。
正直当て馬のマッシモ君の方がずっとチャーミングで好感が持てた。

どうせそうだと思って見てたので結末に驚きも何も無いが、取って付けたような主人公達への擁護っぷりには呆れてしまった。
結婚式を当日キャンセルして皆が納得とか、無理矢理過ぎ。そこまで主役をいい子にしないと気が済まないのかと。
"ウェディング・プランナー"であるメアリーが自らの結婚式を市役所で地味に挙げようとしたのはちょっと面白かったし、式を取り止めて去った彼女を追ってマッシモと(ヴェール付きのメット被った)スティーブがタンデムして冷やかされるシーンだけ、ちょっと笑った。

色付きチョコレートを捨てるのからもう、「コイツ嫌い…」と思ってたら、ラストにぶり返してて、もうやめて本当に嫌い。

ウェルカム!ヘヴン 

わはははー、ヤラレタ!
基本的にはネタバレありでやってるんだけど、これはやめておこう。

スペインの映画だと思うんだけど、わりと面白いのがあるよね、スペイン映画。
この『ウェルカム!ヘヴン』も、意外なオチはともかく(いや、悪くはないんだけど)、世界観が面白い。
物語は天国と地獄の女エージェントが一人のボクサーの魂を巡って張り合う、という設定で、天国、地獄、現世と3つの世界が舞台になる。
現世は現代の都市マドリッド。当然人々はスペイン語で話す。
これが天国になると、なぜか画面はモノクロに変わり、50年代?的クラシックなムードに、交わす会話はフランス語。
そして地獄はカラー画面で、英語。ヒロインのカルメンは、業火に焼かれるでも針の山登りでもなくて、「ウェイトレス」をやらされている(笑)。
ついでに天国では「闘牛とボクシングは禁止」だそうで、さすがはスペイン。

地獄のエージェント、カルメン役はペネロペ・クルス。
CMとか、トム(クルーズ)のお供で来日、なんて時は、痩せて貧相な女、って印象なんだけど、役になるといつも、とても魅力的。今回の下品で乱暴な地獄の使者も、ハマッてました。
本人が「この役のために生まれた」みたいな事を言ったとか、ノリノリだったのね。
小柄な彼女が中指立ててスゴんでも、なんか可愛いし、ジーンズにタンクトップ姿も美しい。
天国のエージェント、ロラの方は、ビクオリア・アブリル。有名らしいんだけど、私は初見。そんな美人でもなく、むしろその辺のおばさんぽさが、この役にはいいのかな。(それにしても、天使がベッドであんなに大騒ぎするとは、さすがラテン系の作るモンは違うわ。)
天国のボスは、ファニー・アルダン。すごい色っぽいおばさんで、圧倒される。地獄のボスとなにやらイミシンだったりして、このへんの感じも面白い。
スペインあたりって、信心深い人が多いってイメージなんだけど、いいのかなあ。

物語は意外な展開で幕なんだけど、後から思い出すと、あちこちにいっぱい伏線が張ってあって、ナルホドと思わされる。アメリカ映画に慣れた目には、いささか地味な感は否めないけれど、丁寧に作ってあって好感度高し。良く分からないイミシンな会話もいっぱいで、奥行きを感じさせて楽しめる。欲を言えば、カルメンとロラの慣れ合って行くあたり、もう少しあると良かったかな。
カルメンの秘密も、わりとペロッと喋っちゃう感じだったし。
ラストも、まるで実話の映画化みたいな「人物達のその後報告」があって、楽しいんだけど、報告内容は、わりとけだるい。
大仰なようでさり気ない、激しいけど控え目、それがスペイン流、ってとこかしら。

ところで、黒い瞳に黒髪のペネロペ・クルス。
彼女を見ていると、黒髪はモチロンの事、黒い瞳って貴重な財産だな、って思う。
ま、形と大きさによるのかな、あと、輝きと。

ウェルカム!ヘヴン (byコーキ)

天国のエージェントと地獄のエージェントがもうすぐ死ぬ運命のボクサーを救うか奈落に落とすかって話だす。
しっかし前半はテンポが悪くてみながら2回寝ちゃいました。 改めて早い時間に見てみたらこれがぁ、感動のラブストーリーなんよ、ライバルがあんなこんなで人の魂を救うう、、ほにゃららで、、、。

言語がスペイン語だからハリウッド映画じゃないと思うけど、後半は一気に天国に持っていかれましたぁ。

ウォーター・ホース

なんでしょうかこの格調高いネッシー映画(笑)。

舞台は第二次大戦時。
美しい湖のほとりに暮らすアンガス少年は、ある日不思議な卵を拾う。
その卵から首長竜が孵って、育ってしまってさあ大変、という話なんだが、まず画面が恐ろしく美しい
湖の景色や水中風景(泳ぐネッシー含む)はもちろん、お屋敷の家具調度、室内のライティングなんかも素晴らしくて、何やら芸術映画を観ている気分になる。
なんですか、ミニシアター単館とかでバカ高い小型のパンフレットを売ってたような、ああいう映画。
アンガス君も前髪がヘンテコなのも含め、微妙な容姿がとてもヨーロッパ映画的。
大熱演で良かったのだが、ボーイソプラノで延々と叫ばれると、女の悲鳴と同じでだんだんうるさくなって来る。ごめん、熱演だったのに。

この映画におけるネッシーは、未確認生物とか古代生物ではなくて、伝説の妖獣、という扱い。
常に世界で一頭しかしないという"ウォーター・ホース"というのは、元々ある伝説なのでしょうか。
設定にちょっと無理がある気はするけど、だから少年が卵から育てて親代わりになれた、とも言えるか。
ラストのオマケ的アレは、ちょっとスパン短すぎ?と思ったんだけど。まだクルーソーに頑張ってて欲しかったし、アンガス老人との再会のチャンスを残しておいて欲しかったんだけどな。
アンガスと言えば、あの語り部が誰かは容易に予想が付く上に何の工夫も無く種明かしがされて、もうひとひねりあっても良かったと思うんだけど、どうでしょう。

お母さんとお姉さんの顔が異様に似ていたんだけど、本当の母娘みたいに。
途中参加で"共犯者"になるルイスが、バンデラスを端正にしたような色男で嬉しかったんだが、ちょっと無責任な大人だったような…でも、父を失った事を受け容れられない少年には、あの程度のユルい大人が必要だったんだとも思う。なかなかに魅力的でした。
招かれざる客である軍の人達も面白い。ブルドッグと飼い主も良かったし、大尉もイヤな役回りかと思ったら最後は一緒になって「イエー!」ってなってて笑ってしまった。
大砲を自慢したい大尉と、それに傷付くクルーソー、半狂乱のアンガス、という構図は、リアルな反戦描写より分かり易く反戦いや嫌戦であった。

"クルーソー"ことネッシーは、不細工なんだが表情が可愛くて、動きも驚く程自然。陸上では頚の長いオットセイと言った様相だし、水中では本当にしなやかで美しく、三次元な動きが楽しかった。
ストーリーも決して悪くはないんだが、何故こんなおポンチ企画にこんな美しい絵が…と、何度も首を傾げてしまった、ご免なさい。

"ネッシー"に限らず、いわゆるUMA(未確認生物)モノって、どうも甘く見てしまうと言うか、あまりリアリティを感じない(それが非科学的態度だという事は分かってはいるんだが…)んだよね。
でも、本当に目撃した人達が、ふっつりと現れなくなったネッシーの写真を捏造した、という件はありうるかも、とは思う。
私としては、幻の首長竜は幻獣よりも太古の生き残りの方にロマンを感じるんだが、どちらにせよ、いないよりいるかもしれない方が楽しいし夢が持てる、と思う。
普通に面白いんだが、そういう意味でも、とても良い映画だったと思う。

ウォーターボーイズ

若いっていいなあ。
この一言に尽きる、楽しくておかしくて、あまりシンミリさせられないところがとっても気持ちイイ。

実在する男子高校生のシンクロナイズドスイミングのチームの話を元に作った、という話だが、おそらく実話にはほど遠いんじゃないかな。
そう思わされるくらい、この映画ははじけてて、割り切れ無さの微塵も残らない、出来上がった娯楽作品だ。

男子のシンクロ、と聞いただけで、私はけっこうツボ。
だから、いくぶん警戒しつつも、滅多に観ない邦画を迷わず観た。
内容も面白かったし、なんと言ってもシンクロ場面が見ごたえタップリで、本当に楽しめる。
シンクロチームのキャスト全員で1ヶ月だか一月半だったか、シンクロ合宿やっての撮影だったんだって。
実際シンクロチームに入って発表会にも出ていたウチの母(この存在がすでにスゴイ)も、大喜びだった。
私も趣味の水泳の練習中に、隣でシンクロチーム(女子、残念ながら)が練習している事もあったりして、ええかげんでお茶をにごして「男がシンクロなんてねー」、みたいな態度なら許すまじ!と思っていたが、期待以上のウツクシサ。良かった〜。
気持ちの良い笑いは、確かな技術に裏打ちされてこそ、なのよ。

と、いう訳で、笑った。
笑いあり、挫折あり、純愛あり、ホモまであり(これも純愛だ)の青春映画、邦画にありがちな湿りっ気が少なくて、私好みだ。
若い子らしい自意識で、好きな女の子には打ち込んでるシンクロでも知られたくないという主人公と、迷わず応援しちゃう女の子との、意識のギャップみたいな所も、なんかリアルで楽しい。
チームの男子高校生達も、服を着てればそれなりでも、水泳パンツ一枚になると、まるで子供っぽい。ガンバレ子供達!って気分にさせられる。
主演の妻夫木クンも、顔は濃い目だけど純情そうでサワヤカだ。

最後までグチもこぼさず、説教も垂れず、踊り抜いてくれた、感謝。

ウォーターワールド 

公開当時、あまり良い印象が無かったんだけど、見返してみたら案外面白かった。
CGばかり頑張ってない、ツクリモノの手触り感と生身のアクションが心地良い。
青い青い海ばかりの世界というのも私好みだし、この中途半端に文明の壊れた世界観というのは、もはや定番だけど使い勝手が良いのでしょう、(都合良く)盛り上がるよね。
そうそう、ユニバーサル・スタジオのアトラクションは最高にカッコ良かったっけ。

凶悪だけどマヌケなデニス・ホッパーがカッコ可愛いくて良かった。
ジーン・トリプルホーン、『氷の微笑』でも独特の雰囲気が素敵だと思ったけど、こういうワイルドな服装だと、余計に知的な個性が引き立つと言うか。ヒロインとしては地味な印象かもだけど、私は好き、この人。
子役は…うーん。この子が悪いワケじゃないと思うんだけど、あまり魅力が無かったな。前半はやたら生意気、後半は平凡。子供は可愛い事が前提に作られてるんでしょうが。

ケヴィン・コスナーがさ………そうそう、この頃から彼に興味を失ったんだわ。
こういったワイルドな役柄が、決定的に似合わないと思うのよこの人。なのに、やりたがる。
アンタッチャブル』の彼は素敵だった。『ダンス・ウィズ・ウルブス』も、なかなかハマッてた。でも『パーフェクト・ワールド』や『ボディガード』は、なんともはがゆい思いをしたな。
ハンサムなんだけどねぇ。その端正さが仇になると言うか、謎めいたアウトサイダーとしての色気が無い(泣)。まあ演技力の問題もあるかも知れんが。
それ以前に本作では頭髪問題が……水に濡れる場面が多いので、なおさら目立つ。ハゲてかっこいいショーン・コネリーなんてのもいるんだけど、そういうタイプじゃないんだよ…。

ストーリーの大筋は定番の冒険活劇。海だらけで"土"や"真水"が貴重品、という世界観と、ヒーローがミュータント"半魚人"だという一ひねりがあり、更に"宝の地図"を(文字通り)背負った少女が登場。
ぶっちゃけ、半漁人も宝の地図も扱いが中途半端、と言うか、しつこさが足りない。
あの程度の水かきやエラでは役に立つように見えないし(ソコを生かす手もあるのにそれもしない)他にもミュータントが登場するかと思いきやそれも無し。海だらけの世界で有利な個性として設定されたのだろうが、ご都合主義に見え、ハラハラ成分が減って裏目に出た気もする。
(でも水中でのコスナーは、ずっと息の気泡が出てなくて、ちょっと感動。ひょっとしてCG?といぶかっていたら、鼻提灯みたいに鼻の穴に泡がへばり付いてる箇所を発見した。)
一方子供は不思議な力でもあるかと思ったら幼少期の記憶が残ってただけだし地図の謎は逆さにすると読めたとか(笑)あれ漢字っぽいけどあの子モンゴリアンでもないしな。
そんな二人が惹かれ合い友情を育む、という展開も、本来感動的であるはずが、「いつの間に?」という印象。あの、子供が懐いて来る時の胸のトキメキとかさ、素敵な大人に憧れる眩しさとか、感じないとホラ。
クールでニヒルだった"マリナー"が、後半突然善意の人丸出しになってしまって、子供救出に命を掛けた上「友達」発言。正直シラケましたわ。

まあそんなこんな、食い足りない部分は多々あるんだが。
元々私は海大好き、お船も大好きなもので、この舞台設定はたいへん心地良かった。
前半の、胡散臭い街の様子とか、終始小汚いセットや衣装、海の上でも悪役はやっぱり暴走族(笑)とか、とても楽しめた。
丹精したレモン?だかを盗られた相手とのやり取りの冒頭部分とか、本当に面白かったのにな。
ドサクサ的に船に乗せてからの、ヒロインとの攻防も楽しかった。
前半の疾走感とウラハラ、まとめに入った感の強い後半の凡庸さが何とも残念だ。
しかしマリナー君の性欲関係はどうなっているのか…どうなんでしょ、アレで良かったのかあの二人。
何となくアナログ的な臭いを残したアクションも私好み。檻の鍵が開かなくて沈むとか、ヒロインが撃ったモリに縄が付いててマストに絡まっちゃうとか、バンジージャンプで子供救出とか、ちょっと笑えて面白い。『マッドマックス』程生々しく残酷じゃないとこもイイ。

そんなこんな、世界観と道具立てとアクションシーンは面白いけど、ドラマ部分がイマイチで、とっても惜しい、でも嫌いじゃない映画。
あ、だからアトラクションが(映画より)楽しいのか!

追記先日観た『天使のくれた時間 』で、まさに「子供が懐いて来る時」が描かれていた。設定の違いはあれど、出来も雲泥の差。

ウォールフラワー  

ハリポタ』シリーズ終了の後、エマ・ワトソンが最初に出演した映画、という事でよろしいか?
厚化粧で胸元露わなビスチェやら高速で箱乗り、果ては『ローキー・ホラー』出演と、「大人になったでしょ」アピールに頑張っているようだが、いかんせん
ハーマイオニーは適役だったと思うのよ、頭の固い優等生で、出自と育ちが悪いのをバネに、結果良家のボンボン(=ロンね、雲の上のハリーでない辺りがまたね…)をゲット、という。
ハリポタも2話くらいまでは本当に美少女だったけど、思う程美人に成長しなかったのは子役出身の痛いところ。
この"サム"という娘は奔放でキュート、大胆で繊細。固い印象の強いエマさんではちょっと残念、加えて見惚れる程綺麗に見えるシーンも無く色気も無く、見てて全く楽しくなかった
未見だが『美女と野獣』もミスキャストだと思っている。そのうち観ますが。

逆に男性陣はなかなか良かった。
主人公チャーリー君はモッサリした容姿でサエないが、そういう役柄だし不快感は全く無い。
むしろ表情の端々が魅力的でスンナリと感情移入できた。
邪魔にならない大人し目の容姿と、なにより演技力がモノを言ったのだと思う…あ、『三銃士』のダルタニアン。なるほどね。
役柄は不安定だけど安心して見ていられるチャーリーに対して、とにかく目が離せなくなったのは"パトリック"のエズラ・ミラー。
心優しいゲイ青年役に全く無理が無くて、ちょっと東洋系を思わせる美形。今後が楽しみだ。

幼少期のトラウマを抱え(この辺の描写がイマイチ解り辛かった)、中学では馴染めなかったチャーリー君が、高校に進学してやっと"仲間"に巡り合う。
正直見てるこちらも「なんで優しくしてくれるの?」「え、受け入れられた?」と、ハラハラオドオドしながら見たけれど、どうやらこのグループも学園の"王道"ではないらしく、いわゆる変わり種、ハズレ者集団という位置付けらしい。
なるほどメンバーは皆、一癖ある連中ばかり。ファッションも「それどうなの?」だし。
でもいいじゃないの仲良しがいれば。

物語はそういう、ちょっとハミ出した生徒達の青春群像になっている。
最初、主人公のヘビーなトラウマ物語かと思ったら意外に普通に青春ドラマしていた。
好きな女の子に彼がいるから言い寄って来た娘と付き合うが態度でバレバレ、"彼女"を傷付けマドンナを怒らせ仲間達に引かれる主人公とか、陽気な変わり者の位置をキープしてたのにゲイが発覚して強烈ないじめ(暴力)に襲われるパトリックの、失恋でハイになり続ける痛々しさとか、音楽に思いを乗せてやり取りしたりとか。
国語の先生と「見所ある生徒」チャーリーとのやり取りも、とても良かった。

私としてはヒロインが残念だったけれど、"青春"ってこういう、とりとめもなくモヤモヤフワフワする物だったよなぁ、と、その空気だけでも観る価値はあったと思う。
ラストシーンまで曖昧で「つづく」感があったのも、むしろ好印象だった。

ウォンテッド 

「今時アメリカで金出して映画観るのなんてオタクだけ」という友人の言葉を思い出した。
けっこうな豪華キャストで、凝り凝りのCG満載で、役者陣はカラダ張っているのに、この安っぽさ。安い日本のアニメみたいな話なんでした。
僕がサエないのも、今の彼女をあんまり好きじゃないのも、仕事が出来ないのも、みんな自分が何者か知らないせい。ある日誰か(とびきりの美女ならサイコー!)がやって来て、「貴方は選ばれた人」と告げられて、そこから僕のヤル気スイッチもMaxOn!
みたいな夢(うわごと)を叶えてくれる、最後にちょっと苦い味付けもオマケして頭良さそうに見せて、まあそれもよろしいかと。

全然つならなくはないんだけど、モーガン・フリーマンにテレンス・スタンプを使ってこの内容かい、というね。まあ二人とも素敵でしたが。
モーガン・フリーマンって凄いよね。朴訥な善人もこすっからい悪人も、同じ芝居でちゃんとサマになってしまう。
それにしても彼の役回りとして、こんなにハッキリした悪役は珍しいので、途中までまんまと騙されましたわ。
アンジョリさんは、相変わらずマンガっぽくて、弾道も曲がるこういう映画にはピッタリかも。
曲がりすぎて自分に当たっちゃうとか、ギャグなんだろうかと本気で困ってしまったんだけど、アレは本当に笑い所なのか、真面目にドジなのか、はたまた狙った上での覚悟の自殺なのか……どうにも良く分からない。

前半は面白かったんだけどなぁ。
いきなりアンジーが現れてからのカーチェイスシーンとか、ああいう場面でのアンジョリのハマり具合は最高だと思うの。かの駄作『Mr.&Mrs.スミス』の女王様ロープシーンとかさ。
あと恋人の浮気現場で当て付けにイチャつくところとかね。すごい威力だわそりゃ。
他の殺し屋達は、うーん。あまり有能そうに見える人がいなくて(笑)大丈夫なのかこの組織、と思わないでもなかったが、やっぱりヘボでした、って話だったかも。
冒頭の狙撃シーンは見応えがあった。
個人的好みとしては、弾丸をCGで見せたりするのは好きじゃないし、この映画では多用し過ぎてて面倒臭くなっちゃったけど、最初のところは効果的で良かったと思う。

話、こねくり過ぎだよね。「ないない」ってたぐいの、取りあえず驚かそうという方向のドンデン返し、やり過ぎだと思う。
あの治療用のお風呂はいいな、って言うか、ああいう万能薬出してしまうとドンドン話は薄くなるんだが。一殺し屋組織が独占してないで、もっと有効利用した方が世の中のため…いや、特許取ったら殺し屋なんかよりずっと儲かりそう。
風呂上がりのアンジーの後ろ姿は素晴らしかった。
あとお風呂番の人がやられる所は分かりにくかった。そしてネズミ達は気の毒だったなぁ。

あとはアレだな、吹き替え版の主人公の声のDAIGOが、物凄くアホッぽくてピッタリだった(笑)。

牛泥棒

え、ええぇえ…………???
まさかまさか、遂行されてしまうとは、ギリギリまで思わなんだ。
凄い世界だなぁ。

開拓時代の西部なんて、荒っぽいに決まってる。
色んな西部劇で、私刑のシーンも散々見た。
でもこんな、怪し過ぎる罪状で、何もそんなに慌てて吊るさなくても。
と、もう、そればかり考えてしまって、ラストの手紙の文章なんて耳に入って来やしない(そこが肝心だったようなのは何と無く理解したのだが)。
や〜もう野蛮、あと、男ってバカ!(笑)

そう言えば急先鋒のバカが一人女性だったのも面白いね。
あのおばさんは何者なんだろう、「ママが来なきゃ始まらない!」みたいな扱いで、相当な暴れん坊であろう事は察しが付くのだが。
私刑執行を待つ夜明けまでの間に、響き渡る彼女の笑い声が耳障りで、とても印象的だった。
なぜこの時代に、そしてこの映画が作られた1943年に、こんな女性をメンバーに入れたのかは謎なんだが、こういう場面で紅一点が人一倍過激に張り切ってしまうのは「あるある」だとは思う。そういう意味でリアルな存在感だった。

しかし、そう。
全編モノクロ映像で、太平洋戦争の時代の作品で、しかも当時としても、いわば「時代劇」。
それなのに古い作品に付き物の退屈さもスローモーさも全く感じなかった。
ただもう「ええぇ〜……」と、思い続けていたせいもあるんだけど。
とんでもない時代と思いつつも、どこかで今と繋がっている、普遍的なものを感じるせいだと思う。
あの場にいて、私は7人の中に入れるか?
そして8人目になり損ねた結果、自分の誤った選択に、どう折り合いを着けて行くのだろうか。

映画は、冤罪による私刑の処罰については触れぬまま終わる。
逸った人も流された人も、当然悔恨の情を面に浮かべてはいる。
畳み掛けるように読み上げられる、彼らの"殺した"男による美しい手紙。
せめてもの救いは、先陣切って"勇気"を示すべく私刑を推し進めた軍人の父を、最後に批判した気弱な息子の言葉か。
彼はそれでも7人の中の一人だし、処刑に手も下さず、あの場でできる事をやる勇気は元からあったのだけど。

なんだか80年越しに、物凄い物を見てしまった。
名画と言われる本作を今まで観る機会が無く、今この時代の私が観る運びになったのも、多分何かの思し召しだろう。
これだから映画はやめられない。

宇宙兄弟 

原作未読、アニメも未見。
設定を聞いて面白そう!と思ったんだけど。
期待外れ…と、言うか、普通

もっと兄弟で切磋琢磨とか、奮闘努力とか、そういう話を期待してしまって、蓋を開けたら頑張ってるのが見えるのは兄ちゃんの方だけだし、その頑張り方も何と言うかこう、地道な勉強とかトレーニングとかじゃなくて、結局人柄、みたいな話。
人柄でもいいんだけどさ…それならその人格形成過程を見せてくれる、とかね。
ご免、どこまでも理屈っぽくて。

小栗旬ってさ、素敵な役だと素敵に見えるんだけど、素敵演出してないと別に素敵じゃないの。
岡田将生はもう、あの顔はどうしようもない(笑)どうやっても素敵が邪魔なんだけどさ。
候補生紅一点の麻生久美子さんは、とても良かった。程良い美貌、的確な色気。
あと、チョイ役だけど堀内敬子さん、最高!この人本当に面白いわ。
でもさ、今時宇宙飛行士が月へ着陸とか…そもそも、兄弟の宇宙を目指す動機が「子供の頃にUFOを見た」から一歩も進まないのもつまらない。
宇宙や宇宙開発に対する拘りが通り一遍(一昔前の)で、採用テストも全然(宇宙方向に)具体的でなく、くだらないトラップで候補生を試すとか、ちっともスケールが広がらない。だから、弟が月で死にかけていても緊迫感も無く、兄が白状するのか?という場面も「失格は無い無い」と流して見てしまった。
どうせ宇宙を扱うなら、もうちょっとロマンを語ってもいいんじゃないの?

重要な役割を担う、子役達がとても良かった。
ハリウッド映画ではしばしば、成人後の俳優にソックリな子役を使ってて感心するけど(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』とか)日本の子役レベルの向上ぶりは目覚ましいね。

WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜

ん〜…矢口監督『ウォーターボーイズ』は大好きだし、職業モノ?好きなんで、ちょっと楽しみにしてたんだけど。
退屈しちゃった。無理矢理感も鼻についた。

主演の染谷将太が好みじゃないのと、相手役の長澤まさみが嫌いなのは大きいかも。
二人の恋の行方とか本当にどうでも良くてな。
伊藤英明は暑苦しさが板に付いて来て、良い存在感だったけど。
若い頃は可愛くて好きだったけど、こういう方向に行くとは思わなんだ…まあ、昔から暑苦しさはあったけど(笑)。

林業、つまり樵夫(きこり)さん達に目を付けた辺り、グッジョブだと思うのよね。
お仕事風景や、その周辺の生活描写は楽しく興味深く見た。
撮影大変だっただろうな…と、感心する場面もあった。
"都会の若者"の描き方がわざとらし過ぎたきらいはあるが(それも「スローライフ研究会」なのに!)、あそこで怒る主人公はとても良かった。タイミング的にも、怒り方も、スンナリ気持ちに乗れた。
緑滴る風景も素敵で、劇場で見たら森林浴気分になれそうだな、と、家の小さい液晶画面が残念に思えた。
と、良い点は多々あったのだが。

クライマックスがあの祭りかぁ…いえ、その前から、場面繋ぎがブツブツ途切れる感じとか、狙い過ぎな妙な間の取り方とか、気持ち良く乗れなくてゲンナリしていたもので。
ああいう事しないと盛り上がらないという事か。
染谷君の貧相な身体が悲しかった。

光石研さんが、思いの外オトコマエ。

海街diary

原作未読ながら、吉田秋生という事で、ちょっと楽しみにして観てみた。
…うーん。つまんない。
って言うかそもそも、私がとても苦手なタイプの邦画だわ、こういうの。

多分、原作では『鎌倉』というブランド銘柄の舞台と、美人四姉妹の個性がぶつかり合うやり取りとかが、作者の力量(画力含む)でそれなりに楽しめる物になっていたのかな、とは思うのだけど(でもこの映画を観て、原作読んでみようかな?とは露ほども思わないわ)。

広瀬すずの美少女っぷりはナカナカだったが、せっかくのサッカー設定も活躍の場が無くて生かされず、三女の夏帆は存在感が無くて「取り敢えず姉妹と言えば四人でしょ」みたいだし、次女の長澤まさみはハスッパな役が恥ずかしくて背中が痒い
上品にまとめたいがためか、長女の綾瀬はるかもお得意の天然ボケを発揮せず、そうなると地味なおばさんでしかない。
大竹しのぶ、堤真一、風吹ジュン、リリー・フランキー、加瀬亮と、いつもは面白い人達がいっぱい出ているのに、ほぼ何の印象も残らなかったのはある意味凄い(寝てたのかも私…)。

マトモに考えると色々と問題ある状況なのに、作中人物はあくまで淡々とし続けて、感情や本音がぶつかり合うようなシーンは無い。
それが演出なのか、四姉妹を演じる女優さん達が大根なのか、判別が付かぬほどに。
私は背景の美しさだけでは映画を楽しめない。
湘南、鎌倉という土地や、そこに建つ古い家といった、人々の憧れ心をそそる道具立は、確かに美しかったと思う。
海、桜、緑、花火、江ノ電と、絵になる素材がいっぱいで、それなりに美しく見せてはくれるので、それだけで楽しめる人にはラッキーだと思う。
終了した時にホッとした程退屈だった。

ウルフ

ミシェル・ファイファーは美しいし、どこか獣臭いんだけど、オオカミじゃないやね。
やはり『キャット・ウーマン』でしょう、この人は(ファイファーのキャットウーマン好き過ぎ、私)。
そしてニコルソン…ご免、大好きなんだけど、うーん。変身モノで変身するのは、美形がいいなぁ、私は(笑)。
確かに狼男っぽい顔立ちではあるんだが、日常から変身後みたいな顔されてもね…ふう。
こういった変身妖怪キャラは皆そうだが、特に狼男というのは、普段端正な紳士が激変するのが見どころだと思うんだよね。
その点ジェームズ・スペイダーはいいね、うん。
ウザさと小物感と、変身後のギャップは見応えがあった。なんか同情しないで見られるキャラ付けだったし。
クリストファー・プラマーも、こういう世界観にピッタリで素敵。

ストーリーは案外地味で、特にスタートが遅いと言うか、途中で「あれ私何見てたんだっけ?」と思ってしまう程。
女房寝取られて仕事横取りされて、からの仕事上の反撃(具体的に意味分からなかった)、トイレでの"縄張り作業"。
"獣"に噛まれてから、徐々に異変に気付いていく、という段階を踏んでるのは分かるんだけど、このエピソード的確?と、ちょっと戸惑ってしまった。
その"兆候"も、馬が怖がって暴れるとか、なんか地味でな。
そしてこのニコルソン演じる主人公のウィル、全然好きになれない。
妻に浮気されたのは悔しいし許せないでしょうが、あまりにも切り捨てがスッパリ過ぎる。しかもそれ以前、かなり妻に寂しい思いをさせていたようなのに。
(余談ではありますが、動物の世界で雄の不倫は手当たり次第だが、雌の不倫はパートナーに不満や不備があり、それ以上の雄との機会があった場合のみ、という説がある。よって男の浮気は男のせい、女の浮気は男のせい。)
しかもその間速攻でゴージャスなローラ(ファイファー)にロック・オンしちゃって。ヤダヤダ。愛のカケラも無いね。

ニコルソンは大好きな俳優だが、恋愛モノにはちとキツい。(それを翻した『恋愛小説家』は、まごうかたなき傑作だが)
男は狼なのよ、ってくらいで、狼男がセクシャルな象徴である事は分かっていても、ニコルソンとファイファーの濡れ場は御免こうむりたかった…濃過ぎる。
その濡れ場あたりから、やっと狼男物語らしくなって来たかな、と思えば、今度は刑事がやって来て一緒に朝を迎えたローラとの攻防戦、再び「あれ、何を見てたんだっけ?」。
この時もウィルはヌケヌケと「彼女は婚約者」とか言って紹介しちゃってな。奥さんと離婚も成立してないのに。ヤダヤダこのオヤジ、本当に。

そしてクライマックスは、もはや怪獣映画?な狼男の一騎打ち。
正直どっちも同情の余地の無いヤな男だし、この勝負の行方に興味が湧かない(笑)なんなら相打ちで良かったのに。
格闘シーンもなんだか安っぽくて、これ本当に名優ニコルソン主演の映画なの?と思ってしまった。

でも、恋人がバケモノと知り、目の前で血生臭い戦いを繰り広げ、必死で助っ人はしたものの、勝負が着いた後は怯えて後ずさるローラは良かった。
その直後に思い直して手を差し伸べるところも、その手を振りほどいて森へと走るウィルも。
そして朝、私が「何を見てたんだっけ?」と思ったローラと刑事の攻防戦が、実はとっても役に立っていたと分かってちょっと嬉しかった。
ラストシーンは印象的。
つまりウルフマンって性病みたいなモンなのね、多分血液感染?
怪獣対決には勝利しても、森へ駆け込んで人間としては詰んだウィルとは対照的に、おそらくローラはうまくやって行くんだろうな。
ファイファーのしなやかな背中と宝石のような瞳には、それだけの説得力があった。

公開当時、何となく面白くないな、と、あまり印象に残らない映画だったが、改めて観てみて、なんだかバランスの悪い映画だな、と思った。
リアリティとファンタジーの重量感のバランス、かな?

個人的には戦いの一夜が明けてからの風呂敷の畳み方は好みだったな。

運命のボタン 

こ、これは………!
危うく『フォーガットン』再び、と思ったけれど、笑えない分それ以下かも。
どうも宇宙人ネタは苦手だわ。それだけが理由じゃないとは思うけど。

「このボタンを押すと貴方の知らない誰かが死に、貴方は100万ドルを手に入れる」
という設定は、物凄くキャッチーだ。
私なら…と、誰もが想像するだろうし、しかしきっと陥穽が待っているだろうとも思い、いや期待する。
そういう意味で、その結末には日常と地続きのリアリティを期待してしまい、裏切られる。やはり『フォーガットン』と同系列のダメ映画だ。
主演のキャメロン・ディアスが大熱演な所も似ている。こんな脚本によくぞここまで
そしてキャメロンの、顔が怖い

一番まずかったのは、序盤でボタンを押す選択をした後繰り広げられた諸々の事柄が、結局(少なくとも今世では)無駄、無意味だったという結末。
「君達には感動した、でもボタン押しちゃったもんね〜残念!」ってなんだよ!?っていう。
図書館からの"水"のシーンは、とても美しかったが、うう〜〜何が言いたいのか分からない。って言うかあまり分かりたい気分にならないよ、アレは。
後で夫婦が地道に水を拭き掃除してる所はちょっと微笑ましかったけど(笑)、そしてイメージ映像的に撮りたかったのは分かるし、結局一番印象に残っているんだけど、でも"ボタン"との繋がりは?って考えるとね、やり過ぎかなと。

ノーマの足の件とか、考えると本当に痛ましいしお金が欲しい事情は切ないんだけれど。
ボタンを押す前の話し合いの時点で、あのダンナが義足の事を打ち明けていたら…せめて臭わせる程度でもして誘導していたら、と、思うと悲しくなる。
結局彼らは、けっこう幸せだったのに、棒に振らざるを得なかったのだ、という皮肉、と言うか意地悪。
青い鳥は身近にいたのだ…という教訓にしても、失って気付く失い方が酷すぎる。

ダンナ役のジェームズ・マースデン、最初に見たのが多分『スーパーマン リターンズ』で、最初は貧相な俳優だと思ったけど、好演だった。それ以前の『X-men』でもチャーミングだったし、ナカナカの活躍ぶりだよね。
今回の彼も良かったけど、話の内容がどうにも…キャメロンも熱演だったし、謎のセールスマンも良かったし、妖しい男子生徒とかも良かったんだけどな。
ボタンにまつわる設定が、おそらく大半の人にとって身に詰まされるモノであるだけに、後半の現実からの乖離ぶりが残念でならない。
やはり『フォーガットン』系、と位置付けてしまおう。


「え、お」へ