な行 なにぬねので始まるタイトルの映画

ナイト&デイ

トム・クルーズにキャメロン・ディアス。
やっぱりスターなんですねぇ、二人が並ぶと、何とも華やか。
二人とも、ラブコメの主役にはトウが立ち過ぎているけれど、それなりに形になってしまうのも凄い。

内容は一応スパイ活劇だし、実際アクションにはかなりお金が掛かっていそう。トムは特に"本職"だから(笑)各場面は堂々たる貫禄でキメている。
問題の"ブツ"が電池というのも面白いし、開発者が高校出たてのサヴァン青年てのも私好み。
…けど、話はね、ぶっちゃけ、くだらない
根幹はラブコメだから、大目に見て楽しめればそれでいいし、途中まではけっこう楽しみもしたんだけれど、くだらなさが許容範囲を超えてしまって、後半はちょっとウンザリした。
人がいっぱい目の前で死んでるし、自分も散々狙われたというのに、ジューンという"一般女性"の行動がカッ飛び過ぎてて付いて行けない。

ハッピーエンドにしたいのは分かるので、多少の強引さはむしろ歓迎したいところなんだが、豪華なロケやアクションの割に、演出の詰めが甘いと言うか、でもったいないな、とも思った。
例えば背後からの拘束を抜ける技も、回収するのが早過ぎて、もっと間を開けてくれたら面白くなったのになとか。
いくらコメディとはいえ、トムが無双過ぎて終始緊迫感が全く無いのも飽きる要因。
繰り返すが人が大量に死んでる(殺してる)のに、あまりにお気楽なやり取りは不謹慎にすら感じる。

「前向きで爽やかなタフガイ」を演じ続けて来たトムと、「明るくキュートな女の子」を散々演って来たキャメロンの、セルフパロディと言った感もあり、そういう意味では歳を重ねてなお一線にいて幅広い演技を見せている二人の、余裕のようなモノも感じられなくはない。
映画自体は残念ながら、あまり好みとは言えない出来だったが、トムの笑顔は本当に爽やかだし、キャメロンの笑顔は最高にキュートではあった。

ナイト・オン・ザ・プラネット

オムニバスって、わりと好きで、自分でも描いたりする。嫌いな人もけっこういるみたいね。
この映画は、5つの都市でそれぞれに夜のタクシーに乗る客と、運転手とのやり取りを見せる。
こうしてまとめると、地味な設定だなあ。実際、派手なアクションとか、ないけど。
しかし各話それぞれ、随所に印象的な名セリフが散らばっていて、思い出すとニヤニヤしてしまったり、うっかり目頭熱くなっちゃったり。
なんかオシャレだなーと思ったら、ジム・ジャームッシュだったのね。

第1話、 L.A。あらら、あの可愛らしい&クールな女性ドライバーは、ウィノナ・ライダーだったのね!?ちょっと見直した。19歳であれはいいけど、30歳であれはカンベン、ってとこでしょうか。

第2話、N.Y。私はこの話がイチオシ。「私は道化だ、金は必要だが重要じゃない」って、いいでしょ?

第3話、パリ。これも良かったなあ、盲目の女性客の辛辣さ。
いつでも毅然としていたいけど、それには態度に見合うだけの実力がいるんだね、っていう話?

第4話、ローマ。これ、けっこう批判も聞いた。やはり不謹慎だからだしょうか。確かに「笑ってていいのか?」的スリル感はアリ。不信心なせいか、私的には、それもまた楽し、の範疇だけど。
そして、ええっ!ロベルト・ベリーニだったんだ、そう言えばあの、カンにさわるヤバーイ感じ…(笑)。

第5話、ヘルシンキ。残念ながら、これが一番印象が薄かった。
キレイにまとまったな、という印象があったので、そう悪くなかったとは思うんだけど。

辛辣だったり、しょーもないヨッパライだったり、生活きびしかったり、色々あっても、なべて世は事も無し。なんて、しっとりいい気持ちになって終われる秀作でした。

ナイトミュージアム 

好きなんだよねぇ、こういうシチュエーション(笑)。
そもそも私は、博物館が大好き。
出来はともかく、こういうのって見てしまう、恐竜の骨が動き出すとか、偉人像が喋り出すとか。
かの『トイ・ストーリー』も、最初はオモチャが喋るのに惹かれたんだった。

とはいえ、出来も全然悪くないと思う。
アメリカ映画ではもうお決まりの感もある情け無いパパと別居中の息子。かの国はマッチョ社会だから、息子に対するお父さんの大変さは日本以上じゃないかな。
主演のベン・スティラーは平凡な容姿・達者な演技で、リアリティとファンタジーの間を無理無く行き来する。顔や身体の動きにキレがあって、こういったマンガっぽい設定に向いてる、と言うか。
CG丸出しの動物達も悪くないし、特に犬コロみたいなT-REXはちょっとワクワクした。猿はウザ可愛いし、モアイ像の使い方も楽しい。
シャイな"偉人"ルーズベルトを演じるロビン・ウィリアムズは、もはや鉄板。またか、と思いつつも引き込まれ、恋の成就を願ってしまう。
ミニチュアのオクタヴィアヌスとカウボーイも、とても良かった。特にカウボーイの演技は泣かせる。

爺さん3人組もとても良かった。って言うか、贅沢
そう言えば展示物が動き出す理由付けがけっこうえーかげんなんだけど(笑)まあ不思議は不思議で良しとしましょう。
通常、ファンタジーというのは「行って来て戻る」ものだと思うんだけど、今回はこの状況を維持する事で皆が幸せになれるという、お気楽極楽設定で、そこもまた楽しかった。
だってホラ、私は知らないけど、この展示物達が夜な夜な動き出して泣いたり笑ったり愛し合ったりしてるんだよ…って、ツボ。うん、ツボ押された。

実在の博物館が舞台というのも素敵。NYの自然史博物館、行ってみたいなぁ。
あとどうせなら、東京国立博物館バージョンの映画、誰か撮ってくれないかな?知ってる博物館だったら、輪を掛けて楽しそう♪
私個人的には、京都の三十三間堂でも可。一斉に*動き出す千手観音の群れ!キャー

 

*と、思ったら『GANTZ』でやってた。全然おもろないわ(笑)。動かせばいいってモンじゃないのね。

ナイトメア・ビフォア・クリスマス 

ティム・バートン監督渾身の、ストップアニメーションミュージカルの秀作。
ダークでちょっと悪趣味なムードは実写バートン映画のまま、ストーリーは単純だし上映時間も短い(そりゃ作り手の事情…笑)けど、画面の完成度は素晴らしく、見応えは充分。
クセのあるキャラクター達も新鮮でチャーミング。
まず、この画面の完成度の高さとセンスの一貫性、気の遠くなるような手間暇に、力一杯拍手を送りたい

ストーリーは正直、あまり好みとは言えなかった。
キャラの動きや台詞の面白さで楽しく観てしまったんだけれど、なーんだ結局「身の程を知れ」的な結末か、と思ったり、それ以前にサンタクロースになりたがったクセに子供の怖がるプレゼントをバラまく、というのが笑えるけどくだらな過ぎだし。
でも、やはりそれを補って余りある、美術全般の素晴らしさ、キャラクターの魅力、音楽の力。
ジャックの歌声は最高にセクシーだったなぁ、ガイコツのクセして(笑)。
そして何より、この作品を作り上げた心意気に、やっぱり敬意を表さずにはいられない。
まだ観てない、という人に会ったら、誰が相手でもオススメしてしまうと思う。

骸骨ジャックもキュートなサリーも魅力的だけど、個人的には辛気くさい顔して妙に可愛い子鬼達と、ジャックの愛犬ゼロがお気に入り。
バートン監督って本当に犬が好きだよね。

眺めのいい部屋

ひたすら美しい映画である。
景色も、家具調度も、衣装も、登場人物達の姿も、その心根も。ああ、それから音楽も。

平たく要約すれば、男女の三角関係の果てに、頂点の女性が一方を選ぶ話、なんだけれど、そして選ばれる男は旅先で知り合った怪しい外国人で、捨てられる男の方が万事都合のよろしい許嫁(だったと思ったけど…)、という、けっこう怒濤の展開なんだけど。
主人公の身分がイギリス貴族のせいか、イギリス映画がそうなのか(概して激しい表現は好まれないかも)、ありがちな修羅場とか、ドロドロ感がまるで無し。
全て終わって、「あ、やっぱこっち(の男)にしたんかい」って、こちらも淡々と納得してしまう。

多くの欧米人にとって、イタリア、特に南でのバカンスはパラダイスらしい。そしてイタリア男は楽しくてセクシー、アバンチュールの相手としては理想的、と言うのも常識みたい。
このまま帰りたくなーい、ずーっとこうしていたい…という、旅先での妄想を、この映画は実現して見せたのかも知れない。極東在住の我々にはピンと来ない所もあるかも。

分かり易いのは、取りあえずイタリア男役のジュリアン・サンズが美しいという事か。風光明美な自然に溶け込んで、サワヤカだ。
先にも触れたように、画面はどことなくホンワリと霧がかかって、ラテンにありがちな「情熱の太陽」的濃さは感じられない、つまり、「こわくない」。全ては白日夢のように、優しくやわらかだ。
対するイギリスの許嫁は、例の(ってなに?)ダニエル・デイ・ルイス。
上流階級の子息だから、 キチンとした身なりと立ち居振る舞いだけど、メガネなんか掛けて、どことな〜くわざとらしい。D・ルイスの演技上の演出なのか、単なる演技過剰なのか、不明。いつもの放送禁止ギリギリのエッチな目つきも、眼鏡の奥に鳴りを潜めていて、ふられ役にふさわしい。

正直言って、色んな障害を乗り越えて恋に走るには決め手が無い気がするんだが、「どっち?」と問われれば、やっぱり「こっちかな?」という程度の説得力はあるかなあ。
ハリウッド的明解さは無いものの、嘘っぽくはなく、美しい、良い映画ではありました。

ナショナル・セキュリティ

どうしてこう、黒人は下ネタ好きなんでしょうかね…。
エディ・マーフィ、クリス・タッカー、そしてこの、マーティン・ローレンスとやらも。

コメディ映画なんでしょうが、冒頭から人の良さそうな警官が無残に射殺され、相棒ハンクはなす術も無く落ち込むばかり…と、暗〜い気分にさせられて、その後のアールと車のゴタゴタにも続く裁判の口八丁にも全く笑えないどころか同情を通り越して怒りがこみ上げる始末(笑)。
いくらなんでも(コメディとはいえ)こんな適当な裁判、無いでしょ?医師の診断は?動画の分析は?それ以前に警棒で蜂を殺そうとするのがもうバカげてるし。
"起"部分でもうすっかり、うんざりしてしまった。

笑えたシーンも無くもない。
トラックの後部ドアが開いてバタンバタンするところはドリフのコント風で面白かった。
黒人のおばさんの車に乗ろうとして叱られるくだりも面白く、「いい人だ」で終わって微笑ましかった。
巨大な黒人の警部補が、裏切り者?から誤解が解ける一瞬のアールの言い訳の掌返しも笑えた。
それくらいかな…。
アクションシーンもだいたいがモッタリした印象でイマイチだったが、最後の断崖絶壁のシーンはちょっとハラハラしたし、クレーンに吊られたアールとハンクが心通わせるのは少し気持ちに乗れた。

黒人差別の実情を直接目にしていない私にとって(警官の黒人暴行の動画くらいは見てるけど)、アールの言動は「黒人(被差別民)なら白人(差別民)に何言ってもいいの?嘘も通るの?」という思いが強く、楽しい気分で笑い飛ばすのは無理だった。

差別問題と下ネタは…関係あるのか、無いのか?分からないけど嫌い

ナショナル トレジャー 

ニコラス・ケイジ版『インディー・ジョーンズ』企画(と、言うだけで私的には爆笑)。趣向は最高だし造りも良心的なんだが、いかんせん少々退屈してしまいました。

いわゆるトレジャー・ハンターの大冒険活劇なんだけど、小道具がアメリカ建国宣言書だったり、謎解きが建国の功労者の知識に関わったり(あの顔で学者である、ケイジ)と、残念ながらアメリカ人でないとイマイチ、ピンと来ない設定なんじゃないかな。
途中ちょっと、睡魔に襲われてしまった。

それと、この手の冒険活劇には付き物の「巻き込まれ美女」が、これまた今ひとつ。学者(=オタク)って設定なんで一応分からなくはないんだが、トコトン付き合うかぁ?と、ちょっと冷めた目で見てしまった。
…これが若かりしハリソン・フォードだったら何の疑問も抱かなかったかも知れないんだけど、ケイジ、好きだけど、ごめん(笑)。
ヒロイン役のダイアン・クルーガーは、『トロイ』でヘレンを演じた美人女優だが、あれれ?意外と地味、普通のおネーちゃんだった。いや美人だけどね。
ショーン・ビーンの悪役が良かった。ヒーローより全然オトコマエやんか(笑)。
一応殺人もいとわず、という所は見せるものの、結局誰も殺さずライバルにハメられてしまう可哀想な人。ああ、平和だ。

冒険活劇なのに残虐シーンが少ない、というのは心意気は買いたいが、どうしても盛り上げるのは難しいかも。
それに、せっかくの地下エレベーターでの活劇も、繋がりが悪くて何がどうなってるか分からない…と、思ったら、DVDの特典映像観たら大幅カットしてあった。もったいないような、そんなに長くても仕方無いような。
全体に楽しいトーンでいいんだけど、謎解きそのものが退屈なのとキャラクターがちょっとありきたりな印象で、せっかくのニコラス・ケイジもちょっと普通っぽかったのが残念。
でも、脳天気なラストシーンに集約される明るく健全なムードは、これはこれでいいモンではあった。

ナチョ・リブレ

いや〜。あの体型は反則だよ(笑)。
何やっても笑える。
もっと泣かせに来るのかと思ったら、どこまでも明るく楽しい軽やかな物語でした。
でも大丈夫、出演者が"極濃"だから。
アミーゴ風味てんこ盛り!かなり好き。

キング・コング』で私を激怒させ、『スクール・オブ・ロック』で熱狂させた、ジャック・ブラック。
どう考えてもブサイクで断然全く好みじゃない、けど、面白い!
全身で役に入ってる感が見ててキモチイイ。

人によっては、この泣かせの無さ加減とか、ラブロマンス要素の薄さとか、笑いどころの微妙さとかをもって「盛り上がらない」と感じるんだろうな、とは思う。でも、私はこの辺りのさじ加減、好き。
ああ好きだ!と思ったのは、最後の決戦シーンで、試合でナチョがボコボコにされてる最中に麗しのシスターと子供達が応援に駆けつけるところ。
キャーやられちゃってるわ、とか全然無いの(笑)!シスターってばニッコニコ。ナチョのマスクを被ってチョコマカする子供達がやたら可愛い。なんですかアナタ達は(笑)。

可愛いと言えば、修道院の子供達、コギタナくて見事に美少年とか一人もいない(笑)。そこがまた、みんなカワイイ!いや本当に皆生き生きしてて可愛い。ナチョとデブ少年のやり取りには、胸がキュンとなってしまった。
そしてシスターが美しい。掃きだめに鶴にも程がある、美人!一人でこの映画の美的要素をカバーし切っていると言っても過言ではない。
それから、メキシコの景色が何気に美しく楽しくて心惹かれた。

レスラー』とは対局の、でも別方向に何だかリアリティを感じてしまう、プロレス世界。
楽しかったです。

NANA 

久々に話題の少女マンガという事で、事前に原作に目を通していて、キャラクターのイメージも出来上がっていたから、厳しいかな、と思って観たんだけど。
登場人物と出演者のマッチングは、相当に高得点。
原作の大きな魅力である、ファッションや小物、家具調度等も、かなり忠実に再現されている。
ストーリーも、やや急ぎすぎではあるが頑張ってイメージを伝えていて、映画として単独で観てもいい感じの青春映画になっている、ご立派。

主役の二人、ナナと奈々(ハチ)が、とっても良い。
ナナ役の中島美嘉は、本当に原画ソックリなスレンダーな体型で、クールビューティー。歌はモチロン言う事ナシにかっこいいし、いくぶん棒読み気味のセリフも、クールなナナだから及第点(ちょっと喋りにくいセリフが多くて脚本がマズかったような)。
化粧が暗黒舞踏しちゃってるけど、いいのかな、パンクだし。
そしてハチ役の宮崎あおい。すごいです、この子。すっかりファンになっちゃった。
演技は抜群だし、可愛らしい笑顔を見ると、原作ではあまり好きでなかった「ハチ」という女の子を、「ああ、こういう事だったんだ」と納得して受け入れてしまった。さりげにスタイルが良くて、可愛い服が本当に似合う。

主役の二人以外でも、秀逸だったのが、ハチの恋人・章司と、章司を略奪する幸子。
ちょっと線の細い青臭い章司も良かったが(「喋るとちょっとバカみたい」というハチのセリフがピッタリ・笑)幸子はもう、ビンゴ!原作のイメージにもド真ん中だし、いかにも泣きながら男横取りしそうな女、横から口出されるとビシッと突っぱねそうな女、本当に「幸子だ〜〜〜!」。
この二人の存在感に、ストーリーの説得力が半分かかっていると言っても過言ではないから、これは素晴らしい僥倖だ。
…しかしあんな女優、よく見付けたな。まさに暗黒大魔王の思し召しかも。

ひとつ、どうしても納得いかないのが、ヒロインでありカリスマでもあるナナの恋人役・レンを腹の出た男優が演じている事。
少女マンガの世界において、ヒロインの思い人、と言えば、完全無欠の美形王子様と決まっている。しかも役柄は、売り出し中のロックアーティスト。おまけに出番の殆どは腹出しスタイルもしくはヌードだというのに、顔がキモチワルイのは好みもあるから引くとしても、あの体型は、イカンでしょ。
原作の画面から抜け出したかのような中島美嘉さんに謝れ!原作通りの可愛い服を見事に着こなすあおいちゃんに謝れ!ついでに、亡きカリスマ親父にも、謝れ!!キー。

と、いう、殆ど致命的とも言える欠陥はあるものの、レンの出番が少ないのも幸いして、『NANA』は気持ちの良い青春群像に仕上がっている。
レンを見送る雪の中のナナ。駅の階段でコケる幸子。二人で暮らす事になる部屋での再会。バラの花のお風呂は、もう少し盛大にバラを使って欲しかったけど、感じは出てた。
原作にさほど思い入れが無いのが、幸いしたのかも知れない。

ナバロンの嵐

すいません、初見だというのにTVの洋画劇場で観てしまいました。

名作と言えど、1961年封切りとなると、やはりどうしても、古い。と思って見ていたら、あらら?ハリソン・フォードがいる???
…78年公開の続編でした。
古典の名作は『ナバロンの要塞』ね。すいません。

と、なるとますます、この古臭さはどうしたワケか。『スター・ウォーズ』の後だなんて???
一番感じたのは音楽の入り方。あの大仰さはどう見ても60年代風なんだけど。なんだかのどかな編集のテンポとかも、あるいは旧作のイメージを大切にしたのかな。
女性の描き方なんかも、化粧の感じも、本当に60年代っぽいというか古臭いし。
「ドイツ軍だから時間に正確だ」という台詞が何気に受けた(笑)けど、そういうのも含めて、色々と類型的。
もしかしたら、前作を見てると面白いのかもしれないが…なかなかの豪華キャスティングなんだけど、悪役も地味、主役も普通。ダムを壊すという派手なシーンも(当時としては渾身のミニチュアでしょうけど)そんなに印象深くはなかったな。

ラストはちょっとかっこよかった。
アクション映画で、困難な状況で冗談を交わし合うタフガイ達、というのは定型だが、この映画はその辺りがとても粋で素敵。
作戦成功を喜び報酬を予想するスピーチから、八方塞がりの現状を説明する流れが何とも言えず勇敢で爽快。

そしてハン・ソロ直後のハリソン・フォードの、若くてハンサムな事!

南極料理人

わりと良い評判を聞いてたし、設定も面白そうなんで見てみたんだけど、ん〜。
不快感は無いけど、特に時間を割く事も無かったな、という印象。

面白いキャスト揃えて、面白い舞台設定で、面白い切り口なんだけどなぁ。
あのような環境下では、食事はとても大きな意味を持つだろうというのは良く分かるのだけれど、それは映画を見るまでも無い事で、見て驚くとか気付かされるような事も無く。
執着するのは分かるけど、執着の仕方もイマイチ共感できなくて…強引なエビフライとか、ラーメンで鬱とか、うーん。「あー、分かる、分かる!」って気持ちになれなくて、残念。
淡々とした中で笑いを誘うタイプの映画だと思うんだけど、殆どクスリとも来なかった。

料理人の家族の態度(と、その種明かし)とか、電話交換手との顛末とかも、何と言うか、あざとくて。良くない意味でね。
脱力系と言うんだろうか?盛り上がらないにも程がある。退屈してたのにラストは「え、もう終わり?」と驚いてしまった。
キャストはほぼ全員好演なのに。

あ、ローストビーフは、めっちゃ美味しそうだった!

南極物語(米版)

マヤ。
マヤ〜〜〜!!!(号泣)

いや〜、実に、実にアメリカらしい、能天気なリメイク版。
冒頭から可愛さ賢さ全開の犬軍団を見ながら、この中で二頭しか生き残らないのだ、と構えて見続けた私の緊張感をどうしてくれる…いえ、それでもオリジナル版のように、ネチネチと一頭づつ死に様を描写されるのを延々見続けるより、ずっとずっとマシだったし良かったんだけど。
だったら最初からそう言ってくれたら、もっと安心して心ゆくまで犬達の大冒険を堪能できたのにー。

こういう世界ではさ、女、特に恋愛要員の女は、ただただ邪魔
そもそもあの女が悪くない??
まあでも、犬を南極に置き去りにする過程については、不都合な状況が幾重にも重なって、「エ〜酷くないそれ!?」という印象を最低限に抑えていて流石と言うか、やはり日本人はもっと言い訳をしなくちゃダメだと思ったわ。
結果、不幸も最小限で抑えられたので、なんかハッピーエンドな気分になっちゃったし。
世の中には映画観て涙振り絞りたい人もいるので、そういう人から見たら腹立たしかったでしょうが。
ただまあ、インパクトと言うかショックの度合いは弱いわな。
それと、『南極物語』と銘打ってしまったもので、「実際はこんな甘いモンじゃなかったんだよおぉ!」という、真面目な人々もいると思う。私も実は、少しそれはある。
でもその気持ち以上に、犬が助かって良かったー、あの子もこの子も無事で嬉しいと思ってしまうのですよ。

犬がもうね、犬が健気でさ!
嫌味ギリギリのところで擬人化を留めてる手際も、流石はディズニーとしか言いようがない。
出演犬達もそれぞれが愛らしく個性的で、可愛くて、体当たりの名演技で、可愛くて。
もう内容の薄さとかどーでも良くなるし。
って、こんなに犬の死ぬとこ見たくないなら南極物語観なきゃいいじゃん、って思うでしょ?
でも犬が見たいんだもん。

ニキータ

リュック・ベッソン、好きだったなぁ…この頃は
この『ニキータ』は公開当時、とても印象に残った映画だったが、アメリカ産のリメイク版を見たりもして、また最近見返して、ますます面白く感じた。
リメイクの方は、悪いが足元にも及ばない。

まずヒロイン・ニキータのアンヌ・バリローが素晴らしい!
つくづくこのおっさん(監督ね)は、やせっぽち乱暴若い娘が大好きなのね。
昔観た時はそんなに思わなかったけど、今回観たら凄い美人で驚いた。
特にマスカラバチバチの後半が良い。
ああいうシャープでクッキリした顔立ちって、マスカラ映えするのかな。
衣装等狙ってるところもあり、軽くヘプバーンを思い出したが、むしろこちらの方が美人かも。

フランスの法律は知らないが、十代でラリってて死刑ってアリなんだろうか???
最初の強盗から銃撃戦は妙に生々しく印象深い。
公開当時、派手だが軽いアメリカ映画を見慣れた目には新鮮だった。
泣いたり怒ったり怯えたりしながら仕事に集中していくアンヌの顔が素晴らしい。
レストランの「卒業試験」でのはしゃぎっぷりの痛々しさ、一人逃げ帰るボロボロな姿も、何か一枚皮を剥いだようなリアリティが胸に迫った。
恋人との旅行で幸せ一杯の中、残酷な指令。泣きながら職務を遂行する姿も目に焼きついた。
そう言えば、この映画のキャッチコピーは「泣き虫の殺し屋」だったっけ。

ジャンヌ・モローも美しかった。もはや妖怪の域
この役は米版でもアン・バンクロフトがとても素敵だったけど、比べてしまうとやはり本家に軍配を上げてしまうかな。
年配のフランス女のかっこよさは異常。
あとジャン・レノね(笑)。
悪趣味と言うか…強烈だったな。レノの無表情が効果的だった。

昔観た時は彼氏役が受け付けられず、「訓練中禁欲続きだったからがっついて適当なのに飛び着いちゃった!?」と思ったものだが、今見るとナカナカいい男ではある。
(外見はやはりアレだが…男性のルックスの好みに関しては仏映画は信じられない事が多い)
そして初対面から、ちゃんと双方恋に落ちてるのが見えてキュンと来る。

でも一番はやはり、「ボブ」だったんだよね、きっと。
彼との微妙な距離感が、実にいじらしく切なくて、そして妙にセクシーで、ザワザワするんですよ。
演じるチェッキー・カリョも、渋くてセクシーでとても良い。
おそらくロクな育ちをしてないニキータが、最初に出会ったマトモな大人の男性だったのだろう。
"一度死んだ"彼女にとっては、ある意味世界の全てにもなる。教師、恋人、父親、時に突き放す憎しみの対象にもなる。
振り回され泣いて怒って、しかしシッカリ誘惑もして見せる、こういうシタタカさもフランス女らしくて頼もしい。
結局彼の方も"ニキータ"にメロメロだった、というオチも、まあ仕方ないか、というね。
オヤジは痩せたロリータに弱いのさと、監督の心の叫びが聞こえるようだ…(笑)。

ラストのちょっとモヤッとした終わり方も、余韻があって味わい深かった。

2012 

なるほど・ザ・ハリウッドな、一大スペクタクル映画。
終了。

と、まあ、バカバカしくてそれで終わりにしたいくらいなんだけど、興行収入は凄かったそうで。
確かにCGは凄い、かもしれない(どっかで見たよううなのばっかでも)。
でも正直、一番凄かったのは前半の大都市崩壊のシーンで、ラストに近付くにつれテンションは下がり気味。慣れちゃったせいもあるし、主要人物を応援する気になれなかったのも大きいけど、やはりこれではタダのアニメだから、だと思う。実際に見知った具体的な場所が舞台であれば、画面の薄さも気にならないが、不特定多数の山の中とか、見た事も無い"箱船"やらとなると、見る側のリアリティの拠り所が無くなって、画面と自分の距離がグッと開いてしまう。
そういう意味では、『ゴジラ』じゃないけれど、知ってる街をぶっ壊してくれたら楽しいだろうな、とは思った。

でも、まあCGはいいよ、凄いには違いないんだし。問題は、ストーリー。
中心になる『家族』を、応援する気になれない。お金でチケットを買えないどころか滅亡を知らせてももらえない庶民代表、という意味では、思い入れ出来るようになってるはずなんだが。
ウダツの上がらない小説家に、別れたた妻子と新しい恋人。ジョン・キューザックでは絵的に楽しくない上に、この『小説家』、人としても魅力ナシ
それだけでも引いてしまうのに、終盤の身勝手な行動には、本当にウンザリした。生き延びるために必死になるのは分かる、分かるけど、母親だからと泣き落としたら通ってしまうとか、これまで散々人々が死んでいくのを見せつけられた後では「君だけが母親か?」「じゃあ子供だけ乗せてもらえば?」とツッコミたくなる。そしてその結果、多くの人に多大な迷惑を掛けるに至っては、本当にもう、死んで詫びろ!みたいな。
私の気持ちがこうなのに、画面ではナゼか迷惑を被った箱船の人々がこのバカ族を応援し出す始末で、もう開いた口が塞がらない幼稚さだ。
何より許せなかったのは、あんなに頑張った新恋人が死んだ直後に、別れた夫婦が何事も無かったようにヨリを戻してめでたしめでたし、というあの態度。なんだあの女は

と、どこまで行っても悪口ばかりになりそうなので、あのバカ族から離れて。
ロシア勢はなぜか、なかなか魅力的。
悪い奴なんだろうけど、存在感のある富豪の親父、殆ど唯一人間らしい。愛人も可愛くていい子で殺さなくてもよかったのでは?と残念。愛人の愛人は勇敢で美形だったのに残念…。
ここまで人を殺したら、そして最後に来て自己中から人々に迷惑をかけたのだから、最低でも主人公か妻か、どちらか死なないと。
何が何でも自分達家族さえ助かれば、という下品さがイヤ。って言うかアメリカ一人勝ち万歳!だからね、本当にウンザリ。
箱船があんな事で機能しなくなるのはビックリだが、そこはそれ、かの大国の製造では無理もない(爆笑)。

娯楽作品だから思想性は問わない、というのは違う。不快なものは楽しめない。それ以上に、娯楽作品こそが人の心の隙に浸透するのだし。
これってアメリカ人以外の人に対する嫌がらせで作られたんだろうか。確信犯だとしたら、それはそれで立派かも。

22年目の告白 -私が殺人犯です-

まーた藤原竜也がクズ役(笑)と、思ったら逆手に取った新機軸。
とは言ってもクズから復讐鬼だからなぁ。
あまりにもいつものクズ演技が光り過ぎてて、まんまと引っかかった上に本気で憎たらしく思ってしまったわ。
でも今回は私の苦手な過剰演技も控え目で良かった。

あー、韓国映画のリメイクね。
もう語る気を無くしている私(笑)。

まあこういう愛憎入り乱れてテンパる役はお手の物とばかりの藤原竜也に、もしかして棒読みなの疑惑を見た目と存在感のかっこよさで払拭して来る仲村トオル。なんだかウロウロしている伊藤英明、と。

でもなんでトオル(仙堂)は、妹だけ埋めたんだろう???
目撃者を用意できなかったから?
ラストもちょっと、分かりにくかったかな。
パッと終わらせたい気持ちは分かるんだけどね。

20世紀少年1.2.3

えーと…これは、面白いのか???
(その程度の感想なので、3本まとめて。)

いえ、映画は一通り見たので面白くない、それは分かってるんだけど。
原作未読。
映画版も、『1』を見て「ま、いっか」と思ってしまって、『2』『3』はTVで連続放映したのでやっとまとめて見たんで、カットが多かったのかもしれないけど。
展開が早過ぎて、と言うより話がポンポン飛んでる印象で、結局何だか良く分からなかった。
"ともだち"の正体は気になったけど、選択肢は狭い上に最後のミスリードとか絶対あり得ないと分かり切ってるし、それもアッという間に却下されるし(笑)。
映画を見た限りでは、原作も期待できないんだけど、違うのかな???

いつもお面を被ってる少年とか、未来都市に取り残された「昭和地区」とか、雰囲気は不気味で面白かったんだけど。
例のカルト教団のショックも醒めやらぬ時期に、コレをやったのは卓見ではあったかもしれない(えげつないとも言う)。
でも世界は征服しないと思うぞ、あのセンスでは……(笑)。
それと、残念に思ったのは、ケンジ君はロック野郎に見えないし、歌も全然たいした歌に聞こえない。
唐沢さんは良い役者だと思うけど、むしろ芝居は多少甘くても、ちゃんとしたロック歌手にでも演ってもらった方が良かったんじゃなかろうか。そういう事って大切だと思うの。
"運命の子"の扱いも未消化で意味が分からなかったし、あの怖い顔の女の子は芝居も固くてウザかった。
あの過去へ飛ぶ?装置のシステムも良く分からないので、何となくいい話っぽくなっちゃうラストシーンも、どう解釈して良いのか分からない。
超豪華キャストの殆どが、本気出せず仕舞い、だったような。
どーにもこーにも詰めの甘い、ボソッとした手応えの長編だったな。

取りあえずロン毛ワイルド系のトヨエツはかっこいいと(笑)。
ステンドグラスを破って登場とか、どっかで見たけど、まあかっこいいからいいさ。
もうね、この人の手脚の長さ加減とか、肩の張り具合とかね、絶品だと思うワケですよ、映画とあんまり関係無いけど。
って、こんなシメでええんかい。

日本沈没(2006年版)

日本は沈没しなかったけど、映画は沈没しちゃってました(コレ100回くらい言われてるよね)

1973年版映画は未見。原作は昔読んで、面白かった。映画には難しいだろうなという印象の原作だったので、それなりに映画用アレンジがされてると知っても抵抗は無かった。
でも、この映画は最初から、原作の良さを全く生かす気が無いのは明らかで、まあそれならそれでもいいんだけど、面白ければ
確かに最後まで観たはずなのに、草○君が生き残ったのか死んだのかすら記憶に無かった。けど、正直まあどっちでもいいと思うくらいに、ヒーローにもヒロインにも思い入れできない
やたら恋愛にシフトするのがそもそもイヤなんだけど、それにしてもこの恋愛は唐突(安易)に過ぎる。どこでどう愛し合い出したんだか、ポカ〜ンとなっちゃって。なに急にサカッてんのみたいな(笑)。

パニック映画(という位置付け自体がこの映画には虚しいが)の醍醐味というのは、様々な人生模様が一時にひっくり返される、その怖さや悲しさにあると思うんだが。
なんかもう、世界狭っ!っていうか。
ガキ二人の恋愛周辺のみでグダグダしてるばかりで、その肝腎の男女にも思い入れができないからもうね。
特撮監督らしく、大仏が沈んだりというCGは張り切っていたようなので、見慣れた景色がブッ壊されるのがタマラナイ、とかいう人にはいいのかな。私にとっては、それを背景に展開するドラマに魅力が無くては、タダのアニメだから、CGなんて。

原作を踏みにじるという点では、かの『デビルマン』にも匹敵する、けどデビルマン程笑えないのがますます残念。
こんなクソ映画でも自分のペースを崩さない及川さんに惚れ直しましたよ、ハイ。

日本の黒い夏 冤罪 4/15

なんか音楽おかしくない?
まずそれが、気になって気になって。

実際に起こった、私もリアルタイムで報道を見ていた、オウム真理教の松本サリンばら撒き事件。
どこまでが事実に元付いているのか分からないが、表側はほぼ忠実な気がする。
そしてその事実が恐ろしく、理不尽で、胸が痛い。
ここでは松本事件に絞っているが、ここで速やかに捜査が進んでいれば、後の悲惨な地下鉄事件は防げたかもしれないと思うと、尚更に辛い。

しかし映画は、当事者である被害者、警察、報道陣の他に、高校生の放送部みたいなのが出張って来るのだが。
この子達必要?
若い目線が必要と思ったのか、単に若手を出す事で場を華やがせようとしたのか。
とっても好意的に見ても、若い世代に興味を持ってほしくて、若者を投入したのかな、程度。
結果はむしろ、若者パートになると流れが止まってしまい、拙い演技も相まって視聴意欲が下がるばかり。
おそらく視聴者を代弁させたかったのであろう、若者達のマスコミや警察への批判の言葉も、ただ青臭く誰でも思い付く無責任な非難にしか思えなかった。
平たく言えば時間の無駄。
そんな事より、ガッツリ事件に関わった大人達の、進退掛けたガチ勝負が見たかったわ。

それはそれとして、本当に酷い事件だったよねぇ。
犯人と決め付けられた男性は、同じ事件で妻が被害に遭っている。
その事実だけでも耐え難いというのに、一方的な冤罪。
"毒"というのは難しいとは聞くし、当時サリンなんてモノを誰も(オウム信者以外)意識していなかったのだから、ある程度疑われるのは仕方ない部分もあったのかもしれないが。
原因となった毒物が青酸カリではなくサリンであったと判明した時点で、「サリンがどのような物質か」をろくに調べもせず、青酸カリでの疑惑ルートをそのまま流用しようとする、これは手抜き以外の何物でもない。
当時ニュースで見ていても、犯人と決め付けるような論調に違和感を持ったものだったが。
それ以前の弁護士一家殺害事件にしても、あの選挙で変な踊りをやっていた人々と結び付けて考えるという発想は無かった。
叫んでいる人は、今思えば確かにいたのだけれど。

正直、私が事件に巻き込まれ、犯人と決め付けられて逮捕されてしまったら。
なす術も無く簡単にやってもしない自白をさせられてしまうと思う。
それくらい、相手はプロでこちらは素人なのだから。
冤罪を被った神部さんという人は、極めて知的な男性として描かれており、おそらくそれは本当だったのだろう。
あの場で踏み留まる精神力は相当な物であり、冤罪が判明した後も穏やかであった。
警察やマスコミの不備を語らざるを得ない問題で、深く突っ込むのは難しかったのかもしれないが。
実際に関わった大人達の心情や事情、人となりも含めたやり取りを、もっと掘り下げて見せてほしかった。
興味深い題材で、二時間に及ぶ長時間を、微妙に逃げ廻った印象が残念な映画だった。

どうでもいいけど中井貴一って、こんなに主演映画が多いのね。
あまり邦画を見て来なかったので、今更ながらに知って驚いてる。
嫌いじゃない、嫌いじゃないけど、華が無いよねー。
演技も上手いし、多分その辺で出会ったら凄く素敵な人だと思うんだけど、主演俳優としては楽しくない。
まあ私を楽しませる目的の映画ではないんだろうけどな(笑)。

ニューヨークの恋人 

ははは、ある意味バカ映画かも、これって。
楽しめたけどね。

ちょっと痩せたのかな?スッキリ大人っぽくなったメグ・ライアン。
役どころも、コマーシャル制作会社のやり手女史、と大人っぽい。
でもやっぱり、心の中は夢見る少女なんであった。
そういうのが、ちっともイヤ味にならなくて、むしろリアリティを持って感じられる、ちゃんと知的なイメージも保っていられる(バカに見えない)、つくづくおトクなキャラクターだな、と思う。

物語りは、ファンタジー?時空モノかな、19世紀の公爵様が現代のニューヨークに現われて、キャリアウーマンと恋に堕ちる。
すっとんきょうな設定らしく笑えるし、それぞれのキャラクターに説得力があって(設定がアホな分、これは重要)、明るく楽しい気持ちになれる。それからちょっぴり、テレくさいのだ。
昔の人で、貴族様で、発明好き(なんとエレベーターの発明者!)のレオポルド公爵は、生真面目でまっすぐで、当然の事ながらお行儀が良く、エレガント。
今時の人々が忘れている美徳をいっぱい持って現代のNYへ飛んで来るが、彼なりに悩みもあり、家の存続のために金持ちの娘と結婚しなくてはならない、そんな身分や形式ばった生活にウンザリしている。
一方NYで働く独身女性のケイトは、つい最近も失恋したばかり、いささか男性不信気味。
二人は出会い、お互いの不足、すなわちレオはナチュラルで気取らず、自由なケイトの活き活きと頑張る姿に、ケイトは誠実で真正面から自分をとらえてくれるレオの堅苦しいまでの率直さに、惹かれていく。
レオを現代に連れて来たスチュアート(ケイトの男性不信の元凶でもある)の終盤のセリフは泣かせる。
「僕は恋人としては最低だった、でもちゃんと存在意義があったんだ、君と彼を結び付けるために、君と恋愛する必要があった」。
なんだか説得力があるじゃないか。
そこまで運命を信じられる、そういうのが恋と呼ぶにふさわしいのかも。

バラにレースにお目々キラキラの少女マンガで育った私には、「王子さま」は恥ずかしくも懐かしいアイテムだ。いくつになっても、何度あきらめても、やっぱり心のどこかに居座っていて、ひょっこり顔を出す。
レオのエレガントな物言いを見て、ポカ〜ンと口を開けてしまう(このメグは本当にカワイイ)ケイト、でもまっ先に出たのは「コマーシャルに出て!」。
咄嗟に仕事に持ってっちゃうあたり、ものすごーく共感してしまう、あるある、って。
そして、ひったくりに会ったケイトを、レオは白馬でさらって(ギャー)くれるのだ! ああ、恥ずかしいっ。

レオ役のヒュー・ジャックマン、上品でハンサムで、古めかしくて、ナカナカの王子様っぷりでした。
『ソードフィッシュ』『X−メン』『恋する遺伝子』、みんな観てるのに、殆ど反応しなかったんだけど、私。今回が一番ハマリ役だったと思う、どうかなあ?
それに、ろくでなしの元恋人役のリーブ・シュレイダー、私はこれが初見だけど、なかなか実力派と見た。
セクハラ上司も必要な役回りながら、あんまり酷い事にならなくて良かった。
ラストは安直?って感もなきにしもあらず、なんだけど、元々設定がこんななので、良しとしましょう。

そう言えば、コマーシャルという物に対して、アメリカ人って我々が思うよりずっと厳しいみたい。
『フェーム』って楽しいTVシリーズがあったけど、芸能学校の生徒達はCM出演してる芸人に対して、物凄く批判的だった、悪魔に魂売った、みたいな。最後は芸人が反省して終わり。
日本のCMで大金稼いでるハリウッドスターも、本国じゃオクビにも出さないらしいし。
そういう事情も考慮すると、あのラストはまあ、そうなのかもね。

ニューヨーク東8番街の奇跡 4/15

この邦題もいいんだが、原題は『batteries not included』(バッテリーは入ってません)。
なかなかオシャレで微笑ましい。
公開が1987年だから、多分CG技術もほんの駆け出しで、もしかしたらエイリアン?が機械型なのは苦肉の策だったかもしれない。
いや、単純にメカマニアでメカにしか愛情を注げない人達が作ったのかも知れないが(登場人物達の造形を見るに、それは無い)。

そして私はと言うと、ほぼロボット萌えの身。
"ロボット"とは根本的に違う概念なのは承知の上で、それでも愛おしさは同様に感じる。
造形も凄く可愛いし動きも愛らしい。
なに、そこ伸びるんだ!?みたいな楽しさも。
小さくても、飛ぶのが素敵。優しく親切だが毅然と縄張りを守る辺りもいじらしくてね。
まあ正直、"出産"に関しては「はぁ!?」で、感動に乗り遅れたけどな。

取り壊し寸前で地上げに合ってるビルに住む、"勝ち組"とは呼べない人たち。
この一人一人がとても善良でチャーミング。
中でもジェシカ・タンディのお婆ちゃん、綺麗で可愛らしく、凛々しく、流石は往年の大女優だ。(『ドライビング・ミス・デイジー』も大好き。)
そのフェイ婆さんが色々と曖昧になってしまって、夫のフランクが追い詰められてる所から物語は始まる。
公開当時観た時は、ただ「そうなんだー」としか思わず印象にも残っていなかったが、身近に老人を見ている今となっては、そのズレッぷりや周囲の悲しみが胸に迫る。
中心となる老夫婦、ジェシカと夫役のヒューム・クローニンは、実際にご夫婦だったとか。
何と言うか、あの馴染んだ感じは素だったのか…愛妻が壊れてる芝居をどんな思いで演じたのかしら。
気は優しくて力持ちの元ボクサーもイイ味出してるし、売れない画家青年には思い入れしてしまう。妊婦もまあ…大変だね。
皆それぞれ悲しい事情を抱え、決して裕福ではなく、それでも優しく愛情深い。
住民の皆を大好きになってしまうから、終盤の展開はメチャクチャにハラハラするし、タイトルに「奇跡」が入る分だけ、このまま悲劇で終わるはずはない、と思いつつも、彼らの災難に心から泣けて来る。
そしてもちろん、"奇跡"を喜ぶ気持ちはひとしおだ。

冒頭の古き良きアメリカという風情のモノクロ写真の数々、ディキシーランド調の懐かしげな音楽、その頃美しかったであろうジェシカ・タンディ。
綺麗事と言われようとも、懐かしく暖かく、優しい善良な人々が幸福に生きるのを見るのは嬉しい。
若い頃に見た時より、年老いた自分がずっとずっとこの映画を好きになっている事に、少し驚き、大いに納得した。

可愛いチンピラ役のマイケル・カーマインも笑わせ&泣かせてくれたが、麻薬とエイズでこの2年後に亡くなったそうな。
享年30歳。
なんという惜しい事を…!

NEXT

えーと、2分先が見えるという設定は面白いかなと思ったし、ソコソコ楽しめたんだけれど。
ニコラス・ケイジ&ジュリアン・ムーアというビッグネームが並ぶ期待感にはちと不足な内容。平たく言ってB級気味かな。
それと、単純に絵的に、ニコケイの分身の術は濃すぎて(笑)そう考えるとキアヌって爽やかだよねぇ。

蓋を開けてみれば、ジュリアン・ムーアはそんなに出番も多くなく期待外れ。カッコよかったけどね。
ヒロインのジェシカ・ビール(=リズ)はとっても若くて美人で「どーなの?ケイジだよ?」と思ったけど(笑)。
ぶっちゃけケイジがあの激濃な顔でキザにバラの花とか出して来ても後ずさる(笑)。いや好きなんだけどね。

良く考えたらこの設定、特に恋愛問題に関しては完全に"後出しジャンケン"、つまり反則
居留地で教師をするような生真面目な女性に対しては赤子の手をひねるようなモンだよね…リズさんお気の毒…。
あ、違う。戦う相手にとってはますます後出しジャンケンの卑怯者じゃん!

序盤のカジノのシーンが一番ハラハラしたし楽しめた。
どうせ2分先とかセコい能力なんだから、核がどうのと話を大きくしなくてもいいのに。
でもケイジ主演だからなぁ。高い出演料かけるからには大ごとにしないと仕方ないのかな。
しかし根本的に、この特殊能力を隠しつつ生計を立てるのに、マジシャンってどうなのよと。
もっと有意義でバレない稼ぎ方って無いんでしょうか。競馬…は、2分じゃ少なすぎ?

ラストもなんだかもう、グダグダでしたね…いえ、面白くなくはなかったんだけどね。

猫侍 

TVシリーズが好きで、友人に誘われてまさかのロードショー鑑賞。
いや、この手のTV局主導の邦画を劇場で観るとは思わなかったので。

TVドラマ版とは全く別のシチュエーションながら、北村演じる主人公(は猫か?)のキャラクターは同じ人物、という、軽いパラレルワールド。
でも、この世界でも班目久太郎は浪人だし、家族を故郷に残してる。そして白猫の玉之丞は、もちろんここでも激カワ美人ちゃん♪だ。

「犬派/猫派」なんて言うけれど、いつもアホかと思う。
犬も猫も可愛いに決まってんじゃん。人類の歴史と同じくらい長いこと、ヒトに寄り添って生きて来た「二大カワイ子ちゃん」だよ?
「犬は媚びるからイヤ」「猫は何考えてるか分からなくて嫌い」って、ソコが魅力なんでしょうに。
と、思っている私にとって、我が意を得たり!な内容だった。
玉之丞はモチロン安定の可愛さだが、映画版限定出演の犬(秋田県?)がまたまた、むっちゃくちゃカワイイ!!!
内容が悪いワケじゃないが、ストーリーそっちのけで顔がほころびっぱなし(笑)。

でも"人間"もいいのよ。
TV版から思っていたけど、あの北村さんの黒い着物の懐からちょこんと白猫が顔を出す、あの姿。素晴らしい!
甘い二枚目と言うより、ちょっとクセの強いコワモテの彼だからこそ、もうあの絵ヅラだけで、この企画は勝ったも同然!だと思うんだ、うん。

寺脇さんが思いの外良かった。
相棒ファンが亀亀うるさいので、あまり良い印象を持ってなかったんだけど(当方二代目贔屓)。
私個人的には、"イイ奴"よりこういうちょっと屈折した(でもけっこういい奴)役の方が似合うと思うんだけどな。

北村vs.寺脇の殺陣も綺麗で見応えあった。そしてその間中、班目の懐でじーっとしている玉ちゃん!!!
マジッすか!?
あのこ本当に猫なんだろうか?普通怯えて暴れるとか人間の胸蹴飛ばして逃げ出すとか、猫ってそういう生き物だと思っていた…平然とくつろいで、時折北村さんの顔を見上げたりして。

ダメです。
メロメロ過ぎて映画の感想にならないや。

ねこタクシー

いやぁまあね。
猫が登場する時点でもう、すでに卑怯なワケなんだが。
でも、この映画の良いところは、猫があまり能動的に活躍しない、というところ。
猫は猫らしく、ゴロゴロしたり食べたり、絶妙のタイミングで鳴いたり、眠ったりしている。
わざとらしくない扱いが、心地良い。

そしてその「普通にしてる猫」を盛り立てる、人間=役者達が、またとてもいい。
主演(は本当は御子神さんだが)のカンニング竹山が、とても良い。
この人の演技は『嫌われ松子の一生』で初めて見てとても印象的だった。TVドラマの若き徳川家康も良かった。
だから安心してこの映画に臨んだが、期待以上の役者っぷり。丸い背中が愛おしい。
室井滋は通常営業で文句無いし、タクシー仲間の甲本雅裕もすごくいい、こういう人いそう。
そして美人さんの鶴田真由が!竹山の!!奥さん!!!(笑)
最初は笑ったが、観ているうちに、だんだん似合いの夫婦に見えて来るから素敵。
シッカリ者で賢いが、それなりに弱味も迷いもある、人間らしい妻。本人よりも夫の資質を知っている。いや信じている。
鶴田さん、お顔も綺麗だけど、声もいいな、と今回思った。落ち着いてて、しかも聞き取りやすい。
無愛想な芦名星も良かった。でも猫に対してはいちいち「ちゃん」を付けるあたり、可愛いなぁ。
この仁美という子は間瀬垣の合わせ鏡のような存在。だから終盤、タクシー会社を追われた彼女の後日談にはとても救われた思いだった。
内藤剛志、私はこういう、仕事に真面目過ぎる人って好きだ。
でも猫に触るとトロトロに溶けてしまう辺りの芝居も最高。カワイイは正義!ってね。
しかし大の男が母親に、牛が売られた時泣いた話をバラされるとか、立つ瀬が無いわ(笑)。
あの最後、結局トランクを確認しなかったのが、ちょうど良い匙加減の人情ぶりで、良かったな。

"御子神さん"というネーミングセンスがまず、いい。
それだけで何となく、猫を尊重した空気が伝わるような。
いい面構えで堂々たる主役ぶりだったが、オスの三毛猫ですって!
三毛にしてはデカいと言うかゴツイと思ったら、なるほどね。
うーんカワイイ、触り心地良さそう!そんな高齢に見えないところが、惜しいと言えばそうなんだが。
そもそもあの最期は必要だったんだろうか、首を傾げたものの、最後まで観るとラストシーンのためにはやはり必要不可欠だったし、キチンと事前にそのための用意も積み重ねられているのが分かる。
ただ私はね、イヤなのよ。
ハッピーエンドが好きなんだもん
いえね、バッドエンドではないのは、分かるんだけど。

過剰な人情味を押し付けるでもなく、盛り上げるための派手な装置をねじ込むでもなく、テンションは終始低空飛行。説教臭い台詞も無い。かと言って、わざとらしい「外し」の演出も見当たらない。
邦画でこういうのって珍しい気がする。けっこう度胸がいると思う。
…まあ、猫ちゃんという無敵の身方がいるから出来た荒技なのでしょうが。
しかし全体に丁寧で、ちゃんと造ってある様子が好印象。
あ、謎のハワイアンは何だったんだろう…癒されたからまあいいか(笑)。

問題のラストはちょっと、意外な展開。
…でも、良く考えたら腑に落ちた。
あそこもストンと終わるのが良かったな。
頑張れ。

猫の恩返し

これ、実写だったら激萌えなんだけどな……………。

他愛のない、殆ど驚きも感動も何も無いメルヘン仕様で、内容が薄い不快感も薄い
猫があんまり可愛く見えなくて、本当にタダのアニメだったのが残念でならない。
レミーのおいしいレストラン』のネズミくらい質感や動きを追求してくれたら、ストーリーが平板でも(猫萌えひとつで)楽しく見られたと思うんだけど。

いつも気になるタレント使用の声優陣、今回はかなり良かった。
袴田吉彦も山田孝之も全く違和感なくアニメのイケメンキャラになり切ってたが、なんと言っても猫王が丹波哲郎先生だったのはビックリ!
この人面白い爺さんだったけど、正直大根だと思っていたので、なんだか色々すみませんでした。風格があってとても良かった。
ヒロイン役の池脇千鶴だけが鼻に付いたな。
芝居は上手な部類の女優さんだと思うんだけど、アニメって普段うまいから良いというんでもないみたいね。
大女優・田中裕子とかもダメだった。
逆に黒木瞳なんか普段上手いと思った事ないのに吹き替えは素晴らしかったし。

猫はお粗末だったが(あくまで私基準)背景は相変わらず綺麗。
特に"猫の国"は、抑えたパステルトーンで統一されて、ダンスシーンのバロンの青いマントが良く映えた。ちょっと往年のディズニーアニメを彷彿。

でもお約束とはいえ、マスク一つで誰だか分かるでしょ!って(笑)。
ゾロ』なんかでも思うけど、特に猫は毛並みの個体差もあるし、仮面取って驚くとは思わなかったわ、ハルちゃん鈍過ぎ。
キャラクターとしては、ムタが一番生き生きしてたかな。
白猫ユキちゃんも「あの時の!」って、観客は皆気付いてたと思う。
そしてユキちゃんは、どうやら猫界の"絶世の美女"のようなんだが、ハルの台詞以外にそういう描写も無く実感が持てなくてて残念だった。

ネスト

"ネスト"ってなんじゃ?
と思ったら、「鳥や昆虫の巣」「隠れ家、住まい」「入れ子」ほほう。
とはいえ原題は全然関係無い『The New Daughter』なワケだが。

ケヴィン・コスナーってこんな仕事もするんだ。ちょっと意外。
途中まではサスペンスフルで面白かったんだけどなぁ。
なんで出しちゃうかなあ〜ああいうの。
ぶっちゃけアレだったら、ショッカーの怪人の方がずっとセンスあるわ、そんなデザイン。動きも。
かねがね私は、昨今のやたら小綺麗なCGに文句を付けているんだが、このクリーチャー…キグルミは…いえ、いいのよ基本、キグルミで。デザインが良ければ
せっかくジワジワ積み上げた心霊ホラー的ムードを、ゾンビ映画で終わらせちゃった…残念。
子供達二人は熱演だったし、家や"塚"の雰囲気も良かったのに。

終わってしまうと、最初の頃の「ピアノから猟銃」とか、たいして機能してなくてガッカリした。
でもニブい父親に比べ、早々に「何か」を感じ取る7歳の息子の表現は面白くて見入ってしまった。
蟻に対する異様な興味。母親に棄てられ傷付いて、何かと言えば「僕が悪いの?」とオドオドしてしまう所とか。最初から"塚"を怖がったり、女王蟻の生死を気遣ったり、良いナビゲーターでした。
思春期の娘の方は、傷付いた心を恥じるみたいに突っ張ったり急に素直になったり。
最初からワケの分からない生き物だったから、父が異変に気付くのが遅れた、とも言えるかも。
お父さんって何も分かってないよね…思ってくれてるのは、良く分かるんだけどさ。そんな感じがリアルで泣ける。
コスナーは私の中で「ひょっとして大根?」疑惑が根強いワケだが(笑)、前半のお父さんっぷりはなかなか良かった。でも最終対決の、多分絶望と覚悟の表情は…うん???
端正な顔は無表情に見えがちなものだけど、それにしてもまあ。

ところであいつらさ、新しい女王蟻は少女限定なのね。
年増のシッターさんが惨殺されるのは仕方無いとして、妙齢の美女である先生も対象外とか生意気(笑)。
娘がネオ女王蟻にされちゃう事を考えると、まあクリーチャーは醜ければ醜い程効果的なんだけど。
それにしても、残念過ぎる絵ヅラだった。
これ、奴らが本気で怖いとか気持ち悪いとか思わせてくれたら、けっこういい映画になってたんじゃなかろうか。
設定や中盤までのエピソードは小技が利いてて好みだし、父親と子供達の関係も丁寧で面白かっただけに、惜しいなあ、残念だな。

ネバーエンディングストーリー

以前原作を読んでいたせいもあって、楽しみにしていた映画だった。
原作は、ドイツ人エンデ作の童話。ドイツだけあって(?)説教臭いところが無くもないが、スケールの大きな冒険物語で、楽しく読ませていただいたのだった。

さて、映画は映画、とは思うものの、やはり原作イメージと比べてしまうのが人情で、その点少々食い足りない印象は否めない。
主人公は「チーズのような顔色の小太りの少年」で、学校でいじめられて.いるのが重要ポイントなんだけど、映画では美少年。
読み手の想像にビジュアルが委ねられる小説と違って、どうしても映像映えする方向に行ってしまうのは仕方がないんでしょう。『風と共に去りぬ』も『ハリーポッター』も、その点はご同様。
ファンタジーワールドのヒーローであるアトレイユ少年も、「オリーブ色の肌」ってどんなん!?と楽しみにしていたら、単なる色黒気味の、これまた美少年であった。確かにイメージではファンタジックでも、実際絵になるとブキミかも知れないけど、肝臓悪そうで。
それに、人物と同じくらい重要な、白い龍。友人が「空飛ぶダックスフント」と呼んでいた。西欧系のドラゴンではなく、どうやら中国式の胴長龍を狙ったらしいが、質感がぬいぐるみっぽくて、どうも龍って気がしない。

要するに、「可愛すぎる」んだよね、私的には。
それ以外には悪くないし、結構面白かったんだけど。
岩男とか、巨大亀、なんていう、可愛らしさを要求されないキャラクター(龍もそうだと思うけど…)は、良かったし。アトレイユの馬が沼に沈むシーンでは、泣いちゃったしね。
しかし、可愛い系で頑張った甲斐あって、ファンシー好き少女達の圧倒的支持を得たようだから、映画としては成功なのでしょう。
ファンタジー物のお客の中心は、多分その層だしね、造り手としても、ひねた大人より、素直な少女達に観て欲しいでしょうし。
出来が悪い訳ではないので、良しとしましょう。

アトレイユ役のノア・ハザウェイは、インディアン系の超美少年。と、言うよりも、大人の美人のような顔をしていた。
おかげで楽しかったです、って、言ってる事バラバラだよな〜。

ネバー・サレンダー 肉弾凶器

公式にどうかはともかく、この映画の私的主役は間違いなく、ロバート・パトリック=T1000
かなり恰幅も良くなって老けてはいるが、ハンサムな面影はシッカリと残っていて胸熱。
この人もっと売れると思ったんだけどなぁ。役に恵まれなかったのかしら。
今回も『ターミネーター2』ネタまで放り込んで来て、むしろちょい悲しかった。

極悪非道の悪党役なんだが、イマイチ何をしたいんだか分からん。
まあドンパチやるためのキャラクター(それ全員だけど)だからねぇ。
と、言うような映画ね。

ムキムキマッチョのヒーロー君も悪くはなかったし、前半相棒役だった警備員の小デブ君も良かったので、もっと活躍して欲しかったんだけど、そういう事じゃなかったみたい。
冒頭の強盗シーンは引き込まれたんだが。
理不尽に仲間を殺したり、ショッキングなシーンは色々あったし、カーチェイスも頑張ってはいたと思うんだけど、いかんせん誰にもあまり思い入れができない。

妻役のブロンドも可愛かったけど、悪役のブルネットの方が美人なのも、なんだかまあ、ではありました。

しかしこれ、第三弾まで出てる???
しかも主役その他全とっかえで。
“surrender”って降伏、降参って意味だそうなので、「降参しないぞ!」をコンセプトにアクション映画いくらでも作れるかもね。

ネバーランド 

すごい、ジョニー・デップったら、また違う顔してる。
ピーター・パンの物語のできるまでの話、という事もあって、けっこう楽しみにして観ました。
ちょっと、地味、かな。
悪くはないけど、普通。

あちこちにピーターパン好きにはクスリ、ニヤリと笑える材料があり、劇中劇の形でピーターパンが登場。
「ピーターパン」を好きかどうか、でも、かなり評価が分かれそうだな。
ちなみに私はかなり好き。
だから、それなりに楽しい空間ではあった。

「信じれば叶う」というのは、安手の邦画とかの大好きな手垢まみれのフレーズで、だいたい説得力無いんだけど、主人公バリ氏の言葉はちょっと、意味合いが違う。
と言うか愛する女性に死をもって否定されちゃうんだからね。
あれは祈りの言葉。切ないです。

緑の公園や山荘の風景は素晴らしいのに、せっかくのクライマックスの「ネバーランド」が、なんかケバくてイマイチな印象、残念だった。
中盤の海賊船なんかはとーっても楽しかった。
貧乏で病気の母親役のケイト・ウィンスレットが、ビシッと厚化粧でプリプリ太ってるのがなんですが(笑)、演技は品があってよろしいかと。
子供達もそれぞれに個性的で可愛らしく、不仲の妻も子供達のお祖母ちゃんも人らしい深みを持って描かれる。犬も愛らしい。
波瀾万丈のエンタメを期待すると肩すかしだが、心穏やかに鑑賞するには良い映画。

ノイズ 

地球外に知的生物は存在するかというなら、「いる」と思うけど、それを証明できるかというと問題は別で、できないに賭けると思う(少なくとも私の生存中は)。
と、いう辺りが私のスタンス。
だからぶっちゃけ、この手の素材はしらけてしまうんですが。

『ローズマリーの赤ちゃん』の宇宙バージョンなんでしょうけれど、何と言うか全体にとてもオソマツな出来だと思う。
シャーリーズ・セロン、ジョニー・デップの二大スターを掲げながら、この安っぽさは凄いものがある。
サスペンス要素が本当にどうでも良くて飽きる上に、無駄な演出(セロンの唇ドアップとか、360度回転カメラとか)がうるさいし、不安をあおりたいのか全体に画面が暗くて見辛いし、疲れた。
早いうちに方向性が予測できてしまうのに、ダラダラとなるようになって行くのをただ見せられるのは苦痛。

珍しくショートカットのセロンさんはチャーミングだが、頭小さ過ぎ、首長過ぎ、肩幅立派、で、『スター・ウォーズ』に出て来る宇宙人みたいだった。
そして相変わらず私は、デップの顔が覚えられない(笑)そして素顔のデップはやっぱり気持ち悪い。
とは言え、この美男美女が画面をどうにか引き締めてくれていなかったら、本当に途中リタイアしていたわ。
それにしてもあのセロンの妹は気の毒だったな、色んな意味で…トホホ。

クライマックスの水浸し〜感電シーンだけは、綺麗で良かった。
でも奥さん、あの場合自分が生き残ろうなんて思っちゃダメでしょ。
エクソシスト』観てないの?(笑)
その点でも結末に全く驚きが無かったので、やっぱり出来の悪い映画だったんだなぁとしみじみ思う。

ノー・グッド・シングス 2/1

うわぁ…こりゃ本当にノー・グッドだったわ(笑)。

安定のサミュエル・L・ジャクソンに勢いあるミラ・ジョヴォヴィッチを揃えて、名優ステラン・スカルスガルドまで動員してのこの体たらく。
何がどうしてこんな事に…???

一応クライム物と言うのか、サミュエルは刑事だから違うか?ミラちゃんのセクシーサスペンス(と、呼ばれる映画にはロクなのが無い)かな。
もう全員がおバカちゃん過ぎてさ。
ミラの立ち位置も良く分からないと言うか、ミステリアス狙ってるんでしょうけど支離滅裂。
妙に脂っこい老夫婦とか、面白くなるかなーと思ったけど肩透かしだったし。
サミュエルも刑事でプロとはいえ、終始冷静で面白味に欠ける。
せっかくの(あー、またか、とは思ったけど)糖尿病設定も、たいして生かされたとは言えないし。

ミラは扇情的で美しかったんだけど。
それだけを見るにはちょっと、演出的に彼女の役に魅力が無さすぎる。
なんで人質見張ってる時にシャワー浴び出すかな。そても擦りガラス一枚隔てて(笑)。
チェロを教わりたがるのも、あの絵が撮りたかったのは分かるけど、無理矢理過ぎて笑ってしまった。
ラストも地味〜に大荷物で去って行く後ろ姿。
確かに細くてスタイルいいな〜とは思うけど、盛り上がらないな〜と。

もっと違う見せ方があったんじゃないかなと、ミラが綺麗なだけに残念感ばかりが残る映画だった。

ノース・ウォリアーズ 魔境の戦い

えーと、面白かったし時代的にも好きだし主人公が美形で楽しかったんだけど。
なんだろう、このスケール感の無さ…???
TVドラマみたい。

ひとつには、中世に付き物のエログロ感と言うか暗闇部分が全然無いせいかと。
設定が、荒野に流れ着いてほぼ丸腰で、そこから殆ど移動しないんだけど、でも一応王宮のシーンとかもあったんだけど、妙にサッパリした美術で勿体無い。

ヒーローはビジュアルは素晴らしいんだが、あまり活躍しないかな。
逆に"囚われの姫"が、強いのなんの(笑)。いやむしろ爽快で、好きになったよ姫。しかも名前がインゲン。隠元豆!?
彼女が名を呼ばれるたびに鞘入りの豆が脳裏を過って気が散った(笑)。
でも大活躍、姫いなかったらどうなってたのあの集団、っていう。

ラストは正直意味不明と言うか、ひ、姫!?
憎たらしい傭兵は始末したんだし、姫って王の娘だったじゃん。「殺せ」は嘘だと主張してたし。
イケメンバイキングと知り合ったからには、政略結婚から逃れたいという事なんでしょうか?に、してもまあ。
それでもあのダイブ〜嘆き〜歓喜〜ダイブ!は、やっぱりそれなりの爽快感はあり、続く三人の強制連行ダイブも楽しかった。「いや俺は戦う!」がしっ!ダダダダッドッボーン!

姫は勇敢で強い上に予知能力まで備わってる。本当に無敵だわこの人。
でもこの映画のミョーに乾燥した開けっぴろげな絵柄には、魔法とか呪術といった神秘性が似合わない
あ、SFだったの?みたいな。
この独特の雰囲気は何だろう、と思ったら、スイスドイツ南アフリカの共作とな。見慣れない、というのもあるのかな。
もうちょっとで、かなり好きな感じになりそうな、惜しい映画だった。

ノッティングヒルの恋人

もう、大好き!
ありきたりの、と言うか、今時恥ずかしいようなベタベタな夢物語のラブストーリーなんだけど、どうしてだろう、全然イヤな思いをしない、本当に幸せな気分になれる。

大好きヒュー・グラントがイギリスの一般人で、そうでもないジュリア・ロバーツがハリウッドの大女優。
最初、ヒューがハンサム過ぎてジュリアの女優感が薄いのでは、と思ったんだけど、ほぼ出会い頭にキスしちゃう展開を思うと、これくらい秀でて美男でないと筋が通らないなと(笑)。
そういう意味で、バカらしい程甘々なプロットにもリアリティが出ると言うか、そりゃこのレベルなら仕方無いという。
でも終盤の記者会見は、アナにはもう少しドレスアップして出て来て欲しかったな。全然普段着で、普通の人なんだもん。
その後二人揃って盛装でのレッドカーペット?だかのシーンは、タキシードでキメたウィリアムの仕草がタドタドしくて可愛かったけれど。

大筋は本当に、ヒネリの無いラブストーリー(&逆シンデレラストーリー)なんだけど、それだけで終わらないのは脇役の存在だと思う。当方脇役好きなもので。
マトモな人が一人もいない。奇人変人大会みたい(笑)。それ見るだけでも楽しいし、なんだか安心する、大女優を迎えても通常営業の、あの集まり。
不幸自慢大会みたいなのも、湿っぽくならず面白かった。みんな大人だなぁ、変人だけど。サラリと身障者問題を引っ張って来る手口も、イギリス的でいい。あ、英・米共同制作ね、ナルホド。
アナの彼氏のハリウッドスターも、無駄にマッチョでバカっぽくて面白かった。
そう、ジュリアの品の無さが好きになれないんだけど、"ハリウッド"というバカバカしくも下品な世界を背負って登場するには、ふさわしいキャスティングなのかもしれない。
ホテルの受付のおじさんとか、映画の子役とかも、いちいちパンチが効いてて目が離せない。
舞台となるノッティングヒルという町も、なぜここが選ばれたかは知らないが、落ち着いた良い雰囲気で行ってみたくなる。
結ばれた二人が、それでもスターと本屋を続けるという結末も好き。ハリウッドを滑稽な薄っぺらい世界として描きながらも、安易にそこを捨てさせないのは嬉しかった。
そして休日には、静かな公園の日だまりのベンチで愛する人と過ごす………至福

ヒューは本当に、押しの弱い、でもどこか余裕のある男が良く似合う。作中「ハンサムだった顔もシワだらけ」なんて笑われるけど、シワが増えても充分甘いマスクで笑顔にとろけそう。「私はタダの女の子」というアナの言葉にはオイオイと思いつつも、胸の奥がモゾモゾっと甘く痛む。甘々の展開に、甘々のセリフの応酬に、甘々のエルヴィス・コステロ。
繰り返す、大好き。

のら猫の日記

スカーレット・ヨハンソン、変わらない!
いや厳密には、胸だけが盛大に膨らんだ、という印象。
幼い頃から美人さんで、独特のアンニュイ感があったのね。サスガです。
それにしても、本当に可哀想な女の子の話だった。ソコを微妙に避けてる作りだけど、どう考えてもあの状況は児童虐待

まぎれもなく児童虐待なんだけど、全体のユルいムードと上品な演出とで、何だか良い話みたいな錯覚に陥らなくもない(笑)。
でも里親から奪取して妹マニーを連れ回す姉のローが、まだ16歳だからねぇ。
じゃあ、いい大人のエレインが悪いかと言えば、恐ろしく変わり者ではあるけど被害者だからな。
1番災難で報われなかったのは別荘の持ち主のおじさんだけど、本当にどうでもいい扱いだった。
ローの"彼氏"も本当に好きだったようなのに、全く顧みられる事もなく…と、思ったら、終盤ちゃっかり着てるのね、あのブラウス。ちょっと微笑ましい。
年齢はマチマチながら、この甘ったるい閉塞感は女子校感覚。私はずっと共学だったから、想像でしかないけど。そうか監督も女性ね。

ローがなぜ、年端もいかない妹を略奪したか、自分を愛してくれる少年を突き放すか(可愛らしいプレゼントに激怒するし)、そしてエレインに助けを求める代わりに誘拐監禁し脅しつけたか。
それを説明する場面は無いが、観ているとドンドン脳裏に広がって来る。ヒリヒリする。
ローの愚かさや身勝手が幼いマニーにいらぬ苦労を強いているように見えるが、実はマニーはローよりずっと恵まれているのかも、とも思えて来る。だってマニーにはローが、ずっといるもの。
可愛らしい容姿を薄汚く装う部分も含めて、この姉妹はまさしく逆毛を立てた野良猫みたい。
そして、普通の大人では絶対に波長が合わなかったであろう二人が出会ってしまったのが、冒頭の接客シーンでトンデモな融通の利かなさを見せ付けた、ミス・エレイン。
正直私のハートはあの登場の接客シーンでがっちりロックされてしまった。このおばちゃん!ええぞ!
大人に傷付けられて育った少女達は、"マトモ"な大人では心を開かない。そして"マトモ"じゃない自分と世間の齟齬にあがいていたであろう(気にしてなかったりして・笑)おばさんだからこそ、少女達の心にズカズカと立ち入るし、ついには共犯者になる程に思い入れもするのだろう。見事な「割れ鍋に綴じ蓋」関係。
この辺りの巧みさが、残酷な状況に嫌悪感を抱かせないポイントかもしれない。

女性3人は、とても好演。
あの年齢で大人のような諦観の表情を見せるヨハンソン、もうああいう人にしか見えないメアリー・ケイ・プレイスに、ウザいヤンキー娘から慈愛に満ちた母の顔まで変化を見せるアレクサ・パラディノ。
美しい自然や素敵なお屋敷等、絵的にも楽しめて、小ネタに笑いつつ何とかラストはハッピーエンドに漕ぎ着けて、ああやれやれと安堵した。