ではじまるタイトルの映画

マーヴェリック

カードゲームを扱った映画は退屈してしまう事が多い(私が興味無いから)。
ましてや「〇〇大会」みたいなのはだいたいつまらないんだけど(私が興味無いから)、これはそういう映画じゃなかった。
適度に笑いと恋とアクションと、どんでん返しが二転三転。
私は特にインディアンとの件りがお気に入り。
あの酋長さん(グラハム・グリーン)?素敵だなぁ。
見た顔と思ったら『ダンス・ウィズ・ウルブズ』にも出てた人だ。
何とも言えぬ風格と品があって、素敵。

いつも硬い雰囲気のジョディ・フォスターが、めちゃくちゃ可愛い
元々美人だけど、西部劇衣装がものすごく似合ってて本当にチャーミングだった。
容姿のせいか、そういうオファーを好むのか、頑固一徹正義の女傑みたいな役が多いんだけど。
今回のフジコちゃんっぷりがとてもイイ!
むしろクールな美貌だからこそ、嫌味無く納得できる人物造形になってる気がした。
こういう軽くて無責任な役、彼女自身も楽しそうに見える。

一方のメル・ギブソンのルパン3世は、残念ながら正直そんなに似合ってはいないかな?
あまり軽やかに見えないと言うか、真面目で誠実そうなのが災いして、致命的に嘘が似合わない(笑)
でもハンサムだし、美男美女のイチャつきつつの騙し合いは見てて楽しかった。
ジェームズ・コバーンの存在感も抜群で、こういう人が出し抜かれるのは見てて楽しい。
パパ役の俳優さんが、原作のTVドラマ(50年代から!)で息子役だったというのも微笑ましい。

ストーリーは二転三転、結果はとんだ茶番で、人騒がせな奴らめ…という内容なんだけど、腹も立たない。
人死も最低限で頑張ってたし、後味が悪くないのが嬉しいね。
最後のスペードのAは…結局何だったの?タダのラッキーなの???
と、分からない事や突っ込み出したらキリが無さそうな雰囲気はあるけれど、楽しかったから良しとしよう。
儲けをトンビに油揚げ、というのはこの手の軽めのクライムストーリーの定番だが、残念に感じてしまう事も多い。
今回は全然、全く残念でも悔しくもないのはやはり、トンビ役がキュートで関係性が優しいせいか。
どうせアブク銭、父も息子も、なんだか楽しそうだったしね。

私の中では、ジョディが一番可愛い映画で決定。

マーキュリー・ライジング

レインマン』から10年ですか。
"自閉症"というモノも、大分認知を得られたようで、その辺りは安心して見られた。
子役の演技も見事。そして少年が可愛い。

冒頭の人質事件から引き込まれ、暗号"マーキュリー"を自閉症の少年が解読してしまうというシチュエーションにワクワクし…。
面白い設定だし、ブルースは相変わらず孤軍奮闘が良く似合って素敵だし、意外やアレック・ボールドウィンの悪役もねちっこくキマッてて、もう色々頑張ってはいるのだが。
「暗号読まれた?殺しちゃえ!」っていう発想がね。ビックリなのはいいし、ヤバい人は世の中にはいると思うんだけど。クドローさんの事情が見えない。
そういう意味では暗号制作者の「良くある話なのか、ウチの上司が異常者なのか分からない」という台詞は秀逸で、ソコもっと追求してくれたら良かったのに…と、歯痒い思いをした。
同じ事が中盤参加するステイシーにも言えて、いくら何でも親切過ぎる。彼女の背景が見えないので、アートに押されてとはいえ次々協力していく様が"ご都合主義"にしか見えないのよ。いくらイイ人でも、イキナリ参加し過ぎ。
例えばベタだけど、彼女が自閉症に何らかの思いがあったり(身近にいるとか)とか、アートに一目惚れしたとか(つまんなそうだけど笑)いっそ借金苦で自殺寸前だとか。彼女の側にも理由が欲しい。

それでも、ラストまで見ないと説明が無いのも分からないので、途中はけっこう楽しく観た。
イキナリ両親が撃たれる所とか、イキナリ暗号制作者が撃たれる所とか、盛り上がった。
そうそう、両親のサイモンへの接し方が、なんか切なくてキュンとしたわ。
暗号制作コンビも、妙に愛嬌があって可愛かった。
…しかし、「解読されちゃった?じゃあ制作者も殺しちゃえ!」って、やっぱりスゴ過ぎやしませんか…?国家レベルで優秀な技術者だろうに。
しかも二人が相次いで狙撃されたら、仕事ガラミが疑われて当然でしょうに。
その辺りも、クドローの"追い詰められ感"が弱くて残念だったし、アートの方も当然のように子供連れ回してたけど、他に方法が無いといった切迫感と言うか説得力は無かったな。
実際、結局は同僚ジョーダンの説得で上司は動いたワケだし、まあアートは先の人質事件で疑心暗鬼になっていたんでしょうが。

そんなこんな色々の疑問を残したままのクライマックス、どう片付けるかと思ったらガラスがガンガン割れて(笑)なんか誤魔化されたような…うーん。殺し屋の顔は怖かったけど。
サイモン君の銃のくだりは、それはそれで良かったんだけど…そうなると、ラストシーンは蛇足、かな。
いや実は前半で父親とのハグを見せられているので、分かっちゃいたけど涙ぐんでしまったんだが。
好みとしては、むしろラストは無しにして、銃のシーンでキッチリ感動させて欲しかったんだけど。
なんかいちいちそんな感じで歯痒いんだけど、観てる間はそれなりに楽しくて、特別なモノは特に無いけど特に悪くはない、というところでしょうか。

マーシャル博士の恐竜ランド

いや〜くだらないっ!!!
うん、ラズベリー賞受賞も頷ける、分かるけれども。
私は好きだ、この映画。
(ちなみに『ショーガール』も大好き。ラズベリー賞とは気が合う?のかも。『キャットウーマン』とかは普通に駄作だったけど)

まあ主演がウィル・フェレルという時点でお察しではあるのだが、ソレすら知らずに見始めたので、最初は「子供向けのゆるいSF冒険映画かな」と期待した。『ミクロキッズ』とか『センターオブジアース』みたいなね、そういうの好きなので。
…でも冒頭でそういった期待は打ち砕かれた(笑)。
TVショーでの消火器からもう大笑い。
って言うかウィルの顔が出た途端にダメだこりゃと思ったけど(良い意味で)。

それでも、危惧した程には下品なギャグも少なくて(ギリギリの良い具合で留まってる)終始気持ち良く笑えたし、しつこい下ネタにウンザリして飽きる事も無かった。あ、恐竜のオシッコの件はちょっとハラハラしてな。
なにより随所の絵が綺麗で(主演の顔がアレにもかかわらず)、目にとても楽しかった。
こんなくだらない話なのに恐竜や異次元世界のロケーションが秀逸で、笑いながらワクワクした。
最初の頃に滝からボートが落ちるというよくあるシーンでも、凄く綺麗に人が散らばるのが見えて、そういう良いセンスの画面があちこちに見られる。
3つの月が浮かぶ空にオレンジ色の砂丘とか、ジャングルや洞窟の景色も綺麗。いきなりのプールでリゾートの風景も楽しかった。

男性陣は皆小汚いが(ウィルに小デブに猿にトカゲだから笑)紅一点のヒロインはなかなかチャーミング。
終始タンクトップにショートパンツのスタイルも健康的で、派手な美人ではないけど笑顔が可愛くて、すぐ好きになった。
悲鳴要員でも足手まといでもなく、かと言って取って付けたような大活躍をするでもなく、良い位置に収まっていたと思う。
恐竜もリアルな上にキャラも立ってて物凄く可愛い
そうよ恐竜の生態なんて毎年のように情報が上塗りされている訳で、要するに全然分かってないって事(笑)悪口に怒って便秘解消に感謝してもいいじゃない。
トカゲ人間は…キグルミでいいのでは。だってキグルミ設定だし。お目々がつぶらで、好きよ、あのデザイン。

前編通して清々しい程にくだらないのだが、一見適当に見える脚本は意外と緻密で、ドンデン返しもあるし、シッカリ伏線回収とかしてくれてて、しかも「そこか!」という笑いにちゃんと繋げている。
「ワンピースを着た男は信用ならない」とか、猿人の"チャカ"の「(猿人の)女は不細工でも性格の良さでカバー」とか、うわ〜ちゃんと拾ってるよ!と感動した。
ジャングルで蚊に刺されるシーンとか、巨大な蟹が棚ボタで一瞬にして茹で上がって解体されたりとか、翼竜の卵を避けて踊りながら進むところとか、一通り笑った。

シュール(で適当)な設定にとまどいはしたが、登場人物達がそれぞれダメな部分と愛すべき部分が良い塩梅で、なんだかんだお互いを思い合って行く様が心地よい。
笑いで台無しになりそうなところをくぐり抜け、納得のハッピーエンドと、最後にTVショーでのリベンジまでキッチリ見せてくれて大満足。
しいて言えば相棒"ウィル"の最後の決断が、こちら側に未練が無さそうに見えなかったのでちょっと唐突に感じたのだが、その分彼にはこの先の酒池肉林が約束されているようなので、まあいいか。

あの『コーラスライン』の曲が大活躍で、ミュージカルを観てないのが残念でならなかった。

マーシャル・ロー

9.11以前の作だというのがまずビックリ。(むしろ後だったらこんなの撮れないか)
起こるべくして、と言っては語弊があるが、来そうな土台は出来上がっていた、という事なんでしょうか。
ちょっとスタートがタルくてなかなか入り込めなかったのが残念(初回は寝てしまった)だけど、落ち着いて観ると真面目でリアルな描写、主要豪華キャストの熱演、アメリカ万歳過ぎないシビアな目線と、かなり良くできた内容で、中盤以降は凄く引き込まれた。

'98年公開。
デンゼル・ワシントンもブルース・ウィリスも若くて精悍、これだけでもう嬉しい。
曲者のCIA工作員のアネット・ベニングも、クソ生意気で嘘つきで食えない女、けれど誇り高く正義感溢れる(その正義に多少難ありであっても)女性を好演。
この人地味だけど、いっつもいい感じに場を盛り上げる、上手い女優さんだと思う。美人過ぎないところもいいのかな。
でも一番印象的だったのは、アラブ系のハダッド捜査官を演ずるトニー・シャルーブ。
戒厳令下でアラブ系というだけの理由で息子を拘束され、「10年もこの国に尽くしたのに!」とキレてバッジを相棒に投げつけるシーンは胸に迫った。
長身のデンゼルの隣で生真面目に通訳する姿が、なんか可愛かった。

アメリカは元々そういう国だけど、移民が進めばどこの国でも起こりうる、こういうケース。
国籍を変え、長いこと国民として生活し税金を払って来ても、事が起これば出身国で嫌疑をかけられる。
しかしそれは一概に悪法とは言えず、そういう中に実際テロリストが潜んでいる事実も存在する。

マーシャル・ローって戒厳令の事なのね。
ニュース映像で登場したクリントンがそっくり!と思ったら本人だったらしい(笑)。
現役時代だよね?モニカさん登場前だったのかな。

マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと 4/15

セバスチャン役のエリック・デインが素敵。もっと映画に出てほしいな。
犬の話かと思ったら、犬は出て来るものの平凡な夫婦の家族物語だった。

オーウェン・ウィルソンとジェニファー・アニストンの夫妻はアメリカ人らしい人懐こい容貌で可愛らしいが。
犬を甘やかし、ポコポコ子供を量産して、あまり人間的成長も無く、ただアホなままの犬を見送るだけ。
可愛がっているのは分かるし、言うほど犬はバカじゃない(本当のバカ犬だったら世間に迷惑掛けまくりで地域にいられなくなる)けど、一体何か考えて行動しているの?という空虚な2人に魅力は無い。
犬が先に老いて別れが来るのは悲しいが普通の事で、そこで夫が「おまえは世界一」とか言っても、何が?と思ってしまう程、この家族が短慮で薄っぺらく感じた。
要は「おバカ」なのは犬じゃなく飼い主だって事か。

途中、海で勝手にリードを外して犬を泳ぐに任せて、見ていた他の人も真似して放す、というシーンがあった。
いい音楽が流れてすごくいい場面のように撮っているけど、どうなのよコレ。
しつけも出来てない大型犬を、そういうルールの無い公共の場で野放しにする。
そういう人が、私は嫌いだ

そりゃあね、可愛い子犬が出て来れば目を奪われるし、その犬が死ぬ時は悲しくなって泣いたりもしちゃうよ。
本当に、その当たり前のことしか無い映画。
子供達は(見た目が)可愛かったし、アニストンの笑顔もキラキラだった。

犬に弱くて、かの『南極物語』(日本版)でも泣いた私が、泣かずにマーリーを見送ってしまったよ。

マイアミ・バイス

うーん。
お気に入りのコリン・ファレル君なのだが。
正直TVシリーズが放映されていた頃は「アメリカのドラマもなんかつまらなくなったな」と思って冷めた目で見ていた記憶があるので、元々あまり期待せずに観たのだが。
地味だし殆ど心に引っかからない、ジメッした映画でした。

まずバディ物かと思いきやコリンが目立って相棒のジェイミー・フォックスの存在感が薄い(見た目好みじゃないのも大きいかな?)こじゃれた会話なんかもほぼ無くて普通に話の筋を追うばかりな印象。
悪役の印象も薄く、ただ悪い奴というだけで、子分の"イエロ"も重要キャラなのに印象に残らない。
メランコリックな表情が印象的なヒロインのコン・リーも、女優の存在感だけで持ってる感じであまり個性や魅力は無かった。
キャラ立ちって大切なんだな、と思った次第。

せっかくの"マイアミ"という舞台も、何となく脳内でイメージされる眩しさや緩さのような物が感じられず、青空も海もビキニのお姉ちゃんも無い普通の街に見えるし、これまたせっかく高速艇を飛ばして行った異国のバーも普通にダンスフロアのある飲み屋で、踊ってるうちに興奮して寝てしまうというお粗末な顛末にため息が漏れた(もちろん悪い方向で)。
この辺りで「これ最後まで観る価値あるのか?」と疑ぐり出したのだが、杞憂ではなかった。
二人の恋に全然説得力がなく、「迎えに行く」なんて言われても全く本気に見えないので、結末にも何の感慨も無かった。
むしろ自称「ビジネスウーマン」の彼女、どう考えても麻薬組織の幹部なのに可愛いというだけで逃がされてそれが通ってしまうとか(笑)マイアミ警察ってどんな組織よと。

銃撃戦の描き方だけは少し印象的だったかな。
頭吹っ飛ぶとか、金髪のお姉さんがやたら威勢がいいとか、そうか人質対策は即死させればOKか、等々。
まあハードボイルドを狙ったのかもだけど、それにしては"事件"の方向もウヤムヤだし、女は逃すし(この辺は安いロマンス小説風)。人質の件なんか相手が素人臭くて弱い者いじめに見えたし、恋人が瀕死の重傷というのも何故か盛り上がらず。

バイオレンスに渋いリアリティはあるがストーリーとキャラクターに魅力が無いので終始退屈な映画だった。

 マイ・ブラザー 

つ、つらい……………。
戦争は残酷なモノだとは思うけど、これは厳しいわ(泣)。
あれ動画撮られてたよね?嫌がらせで流されたりしなかったんだろうか。
地獄だわ。生きて帰っても人生終わり、とはこの事だわ。
でも彼は帰って来て、特にソレについての問題は無かったところを見ると、皆は知らない?良く分からない。

トビー・マグワイア(兄)とジェイク・ギレンホール(弟)の兄弟が、とても良い。
元々こういう"兄弟確執モノ"って好きなんだけど、定型通りの「出来の良い兄・不良の弟」が、戦争〜兄戦死の知らせ(誤報)を機にひっくり返る様子が面白い。
寂しくなった父親に美人の嫁と可愛い娘達。居場所を得た弟は頼もしいナイスガイに変身し、ボロボロになって戻って来た兄の嫉妬の対象になる。
この幼い娘達もまた姉妹で確執というか応酬があり、爆弾発言もありで深いところに絡んで来るのも面白い。
子役二人も可愛らしく自然で良かったし、父親役はすっかり渋くなったサム・シェパード!素敵。
兄弟の間に挟まれる形のナタリー・ポートマンが、(すっかりオバサンになってるにもかかわらず)相変わらずボンヤリした印象でなぁ。凄い重要で面白い役どころなのに、心の揺れとかどうなのよアナタ、っていう。相変わらず口を四角く開いてるばかりで。
タイトルからして中心は兄弟だとは思うが、彼女はキーマンと言うか蝶番みたいな役回りなのに、残念だ。

同じような状況を扱った『ハート・ロッカー』は正直、あまり乗れなかったと言うか、帰還兵に感情移入できなかったのだけれど、こちらはけっこう、キましたね。
使用前使用後の変化が凄くて、捕虜体験中のエピソードも強烈過ぎて、斜めから見る余裕も無くなってしまう。
しかしああいうの、本当にあるのか?殺されたくなかったらコイツを殺せ−、みたいなの、捕虜に対して…って、もちろん国際法違反だろうけど。
やらせてなんか得あるの?見て楽しむ程精神病んでる?「ここは中東だから」?
まあ戦争だからなんでもアリか。

"死者のみに戦争の終わりは訪れる"
ラストシーンは少しあっけなくて、まだ解決には至ってないよ、と思わせるものだが、この言葉が全てを語っているのだろう。
本当に、なんで戦争なんてモノがこの世にあるんだろう。しかも、いつもいつも。

オリジナルはデンマーク映画『ある愛の風景』だそうで、こちらも観てみたいので、覚え書き。

マイ・ボディガード

デンゼル・ワシントン、老けたねぇ。
色男だったのに。

それはともかく、ヒットメーカーのオスカ−男優デンゼルと天才美少女ダコタ・ファニングちゃんのコラボにしては、あまり良い評判を聞かないな、と思ってはいたが。
なるほどね。
つまらなくはないけど、これはウケないのは分かる気がする。

少なくとも日本では、なんかハードボイルドって浮いてしまうと言うか、だってハ−ドボイルド好きな日本人ってバカっぽい人多いし(偏見?)、無理があると言うか。
デンゼルも、この役合ってるんだかないんだか、あれあれ?どーしちゃったの!?
と、思ったのは私だけではないはず。
前半戦の彼の掘り下げ方が足りなかった、とか、そういうマトモな理由も考えられなくはないが、もっと根本的に「ヤラレター、憎い、全員なぶり殺しだー」というメンタリティが、まあ理解できなくはないけどシックリ来ない、ような。
デンゼルの「いい人イメージ」も強過ぎたのかな。
ちょっとポカンとしちゃいました、ワタクシ。

ダコタちゃんは相変わらず、期待に違わぬ名演技だったけど、後半殆ど出番が無いんでもったいない。
なんと言っても今回は水着姿も大胆御披露(笑)。
いや笑い事でなく、軍隊式のシゴキに食い下がる水着にゴーグル姿の愛らしい事。
ロリコンでなくとも胸がキュンとなっちゃいまっせ。
むき出しになる程、手脚はぎこちなく幼くて、そのくせ大人びた憂い顔は、もう300年位生きてそうな。
二人が仲良くなる過程が簡単すぎたものの、でかくて黒いデンゼルと、白くてちっちゃいダコタちゃんのコンビは絵になるし、とても微笑ましかった。

だから悪くはない、と言いたいんだけど、長い(そして長く感じる)割には説明不足や尻切れトンボなエピソードも目立つし、派手にやってた割にはラストがおとなし過ぎるし。
画面がガチャガチャ動いたり、変な細工が多くて、とても見辛かったのもマイナス。気が散るだけじゃん。
迫力あるシーンも多く、見応えもあるのに、ちょっとまとまりが付かない印象は否めない。
あまり良い出来とは言い難いんじゃないのかなぁ。

それにね。
ダコタちゃん演ずる少女ピタがね、トラウマ背負って帰ってみればパパは自殺して借金だらけ、ママはあんな女でボディガードはいない……可哀想過ぎる(泣)。
 

マグニフィセント・セブン 12/3

原題はそのまま『The Magnificent Seven』直訳すると『素晴らしい7人』てトコか。
これ『荒野の七人』じゃん…と言うか『七人の侍』か。
何やら最近の研究で、「7」という数字は良いチームに最適な数、と判明したとか(笑)そんな事言わずともね、確かに『十三人の刺客』とかはちょっと多いなと思ったわ。
でもなぜかだいたい奇数なのは、何か理由があるんだろうか?
元ネタが判明した途端、ある種の期待は霧散したワケですが。

それでも、冒頭からかっ飛ばす悪の組織の悪辣さは中々ゴージャスだ。
いきなり教会焼いて、抗議した若者を問答無用で射殺!泣き崩れる若妻。
悪役の悪辣さ、ルール無用っぷりが分かり易く、観客は素直に憎める仕掛けになっている。
せっかくのマット・ボマーに何してくれんねん!?
なんという贅沢。って言うか7人の誰かにしてくれたら視聴意欲も上がったものを。

山男のジャックおじさん(ヴィンセント・ドノフリオ)だけは可愛かったのに、早々にやられてしまったし。
しかし私ああいうキャラ好きよね…(笑)。
あと煙草に点火と見せ掛けてダイナマイトの件りは良かった、勝ったと思って情けなんて掛けちゃダメよねー。
そして女、凄腕過ぎ!あの状況で仕留めるとか、ないわー。

今時の忖度やシガラミを、見事に体現しているキャスティングで笑える。
人種一通り揃えて女も入れて戦わせてリーダーを黒人にしておけば文句無いでしょ、みたいな。
まあ、短い時間内に、7人を見分けなくちゃならないので、そういう点では分かり易くていいかな、とは思ったが。
各人種を揃えた割には各々に個性が薄く、先述のおじさんくらいしか印象に残らない。
人種による特徴のような描き分けも(もしかしたら差別問題に引っかかりかねないのか?)希薄で、敢えて各種取り揃えた意味が「時代的にうるさいから」以外に思い浮かばない。(当時の人口比から考えたら異様なラインナップだと思うんだけど…)
そこそこ豪華キャストなのかもしれないが、最近のハリウッドスターにはあまり思い入れが無いせいか、あまりありがたくは感じなかったなー。
って言うかクリス・プラットとイーサン・ホーク似てない?混乱したわ。
時代物は髪型や服装が限られるから、見分けが付きにくい、というのもあるけれど。

デンゼル・ワシントンは素敵なハンサムだけど、どちらかと言うと一本調子で愛嬌が無い。
ラストの仇敵を追い詰めて祈らせるシーンとか、もっと狂気じみて見えたら面白いシーンになったかも、だし、相手を責めるのに夢中で反撃に気付かない迂闊さもスンナリ受け入れられたんだけど。
女に手柄立てさせるためだけの展開に見えてしまって、うすら寒い。
せめてちょっと、怪我の一つでもしたら良かったかもね。
そもそもリーダーが公的な資格持ち(委任執行官)ってところがもう、興醒め。ましてや仇討ち話とは。
何か、正しい人でないといけない、みたいな?

そう言えばメンバー全員が"ならず者"とか"やさぐれ"感が無く、一応参加の理由が口では説明されるんだけど、赤の他人の農民達のために命を捨てる人達としては迫力不足だ。
悪役のピーター・サースガードも、こちらの一員でも違和感無いような様子で、どちらも小ざっぱりしてマトモそう。
さっきも触れたが女の扱いもね。
もはや女にラスボスを仕留めさせるのがお約束みたいになっちゃってて、かえって盛り上がらない。
どうせ『セブン』で行くなら、もう女を7人目に入れちゃえばまだ面白いのに、それはしない
武器も色々出て来るし、それなりにアクションシーンには工夫も見られるとは思うんだが。
各方面への手厚過ぎる配慮が鼻に付いて、無邪気に楽しめなかった自分がちょっと悲しいわ。

マグノリア

うー、なんだかなあ。
小学生の作文を読まされた気分。それも3時間9分!
風と共に去りぬ』の3時間52分はいいのよ。
でもこの映画の、この長さは、カンベン。2回眠りました、ワタクシ。
いつもなら寝たらそれっきりあきらめちゃう私だけど、ミョーに評判の良い映画だったので、頑張って巻き戻して観ましたよ、最後まで。
眠いモンは眠いって、再認識したさ。

トム・クルーズは、私の知る限り(ごめん、そんなにたくさんは観てないの、好きじゃないから)『タップス』以来の大熱演。
この人真面目な、いい俳優さんだと思うのよ。ただ、今ある固定イメージ、「明るくサワヤカなナイス・ガイ」ってのが、どーにもムリがあると思う訳で、そういう意味でもこの役は私好み。と、言う事は、「ハンサムでステキなトム」のファンはガッカリだったかもね。
他にも、メガネの元天才少年が愛を告白するシーンとか、警官とヤク中女が恋に落ちる過程とか、面白いシーンはいっぱいあるの、ラストのカエルだって、絵的にはかーなーり、私好み(カエル嫌いな人には拷問だよね、カエル注意報を事前に出すべきだわ)。
でもさ。
冒頭で思わせぶりに、「ただの偶然とは思えないうんぬん」と、ブチあげて、3時間客を拘束してだよ。
つながってないじゃん。
これがもし、編集前のラッシュフィルムだったら、「面白い映画になりそうね」って言ったかも知れない。
でも最終的に、私の感想は、「で?」。

「そしてよるになったら、そらから○○○がふってきて、ぼくらはみんな、びっくりしました。」
おしまい。

マグノリアの花たち

出産のため命を掛けるって、美談にしちゃイカンと思うのよ。
結果的に予期せずそうなってしまったら、それは母体が生き残れば「よくやった、偉かった」死んでしまったら「頑張った、生きて欲しかった」でもいいと思うんだけど。
確信犯だもんなぁ…正直、申し訳ないが死んでも産みたい気持ちも、それを認めて許す気持ちも、全く理解できない。

私にとってはこのジュリア・ロバーツ演じるシェルビーは、ただもう身勝手で気持ち悪い女。殆ど強迫神経症ではないかと。
あんなにも家族に愛され夫に愛され、子が産めない人生はカラッポだと譲らない。
命は個人の持ち物ではないよ
葬式で「素晴らしい娘、誇らしい」を連呼する母親も、(死因云々抜きにしても)謙譲の美徳を旨とする日本人の感覚では気持ち悪い。
若い新参者のダリル・ハンナの口幅ったい説教も、図々しく感じてドン引きだった。
隣の意地悪婆さんと父親の攻防も酷すぎて笑えない。
田舎の大らかさとか、そういう方に持って行きたいのでしょうが…犯罪スレスレ、と言うかもう引っかかってるでしょ。
美容師と金髪の婆さんは、かろうじてマトモと言うかクールだったかな。

「出産する・しない」で口論する母と娘が(絵的に)とても醜くて、もう少し綺麗に撮ってやれや、と思ったが。
サリー・フィールドは元々美しい人ではないが良い女優さんなのに、この映画ではとても残念な事になっている。娘役のジュリア・ロバーツだって良い時はとても綺麗なのに。
まあ、それだけ言い争いがシリアスだという事の表現なのかもしれないが。
美容院でのおば様達の長々と続く世間話も、正直聞いてて苦痛だった。
個人的には『デス・プルーフ in グラインドハウス』のオープンカーでの女の子達の下ネタ話くらい辛かった。
こういうのは多分全くの好みなんだと思うけど、私は苦手。

最初の糖尿の発作は迫力あったなぁ。
田舎町の風景や生活ぶりは、見ていてとても楽しかった。
結婚式やイースターの様子、葬式等のイベントの装飾や衣装も美しく楽しかった。
特にお婆ちゃん達のファッションが素敵で、流石の豪華ベテラン女優陣、という印象。
あ、アルマジロのケーキはカンベンして、と思ったけど。よくまあ晴れの席で、ああいうエグい物好きよね、アメリカ人。
そして田舎はイヤだな、息苦しくて、とも感じたな。

好きな人はとっても好きなんだろうな、とは分かるんだが、私はダメだった、この映画。
もしかしたら、自分がもっとお婆ちゃんになってから見直したら、また違った感想を持てるのかも。

魔女の宅急便

好きな人は大好きな世界なんだろうなあ。

緑や海が綺麗だな。

ニシンとカボチャのパイ包み焼きって、食べてみたいな。

なんか、おフランスみたいな街並みなんだけど、違うんだろうな。

黒猫は可愛いな。

グーzzz…。

参照:『ルパン三世カリオストロの城

 

追記2012年の川崎ハロウィンに、“ジジ”連れの扮装で乱入しました。頭上の赤いリボンは超絶恥ずかしかったけど、始まってみれば魔女宅同士手を振り合ったり声掛けてもらったり。楽しかった。
ありがとうジブリ。
 

マスク

んー、ぶっちゃけ、たいして面白くないんだけど。
何と言うか、アメリカ式コメディセンスというモノには、時々とっても齟齬を感じると言うか。
CGの発達でアニメのデフォルメをそのまま実写でやってみました、という企画なんだろうが、以後そんなに類似品が出なかった事を思うと、当のアメリカも「そんな面白くないな」と思ったのかなと。
マスクをかぶった主人公が早口で次々色々物真似するのも、全然面白くなかったしな。
あ、翻訳だと面白さが伝わりにくい、という部分はあるとは思いますが。

とはいえ、この薄っぺらい、くだらな〜い企画に、(当時の)ジム・キャリーは最適役!だった事は間違い無い。
何となく重力を感じさせない軽やかな佇まいに、アニメから抜け出たようなクッキリハッキリした顔立ち、スッキリ長い手脚に薄いボディ、その上に乗っかる小さな頭。どっからがCGだか良く分からない激しい顔芸とミョーな身体の動き。
当時もそれなりに印象深かったが、30年後の老けっぷりを目撃した後に見てみると、「こんなに可愛かったんだ!」と驚きと感慨に襲われる。

キャメロン・ディアスも、私はこれが初見だった。
今ではすっかり大女優の貫禄の彼女だけど、ジムに比べると容貌はかなり保っているような…でもまあ、やはり若い、可愛い。
初登場シーンはまさしく、正しくヒロイン登場のお手本のようだ。
突然の雨にドアから飛び込むシルエット。脚線美から屈んだ胸の谷間、かき上げられる金髪から覗く、青い瞳の強い目線!
この頃の彼女は女優と言うよりモデルのようで、取っ替え引っ替えのドレスといい、吹き替えバリバリのダンスシーンで大放出のフトモモといい、とにかく可愛く色っぽく美しく、こちらもまたアメコミ画面から抜け出したようだ。

でもなんたって可愛いのはだよね。
あの子がいなかったら完走できなかったかも、この映画。ってくらい、可愛い、スタンリーの愛犬。
主人思いで活躍もするんだけど、ちょっとおバカなとこもあったりして、もう本当〜に可愛い。
しつこい程執着してたフリスビーが、あんな場面に繋がるとは…うう、可愛い!
その上マスクまで被っちゃう大活躍ぶりで、惜しむらくはマスクを被った時の顔がちーとも可愛くないんだけど、やはりアメリカ人とのセンスの違いを感じるな。
人間は一部を除いて、本人が特殊メイクで緑顔になってるようなんだけど、サスガに犬にメイクしたら動物愛護協会が黙ってなさそう。顔部分は全てCGだったから、面白さは半減。
でも、まあ犬が酷い目にあわなくて良かった。

"マスク"の存在自体は、どっかで聞いたような、昔話なんかによくありそうな設定なんだけど、それをこの時代のCGを駆使して、この俳優に演じさせた、というセンスが、この映画の全てだと思う。

マスク・オブ・ゾロ 

私のアイドルNo.1をひた走る、アントニオ・バンデラス。
その彼が、仮面の英雄を演じるというので、すごく嬉しい企画ではあるんだけど〜。
んー、そこそこ面白くなくはないけど、バンデラス様にしては薄味、かな。

そもそもこの「怪傑ゾロ」って、いにしえの超美男俳優・アラン・ドロンのイメージが強すぎて。
私的にはドロンよりバンちゃんがセクシーだけどぉ、どちらが美男かと言うと(笑)。黒いマスクの下は端正すぎてツマラナイくらいの顔が似合うのです(独断)。

まあ、そこはスピルバーグ(総指揮)、ちゃっかり設定は「後日談」という事にして、往年の英雄ゾロが歳取って後継者を鍛え上げる、ってなオリジナル?ストーリーになってる。
でね、この「老ゾロ」がドロンだったりしたら大喜びだったんだけど、残念ながら名優アンソニー・ホプキンス。全然美男ぢゃない(笑)。いや、いいんだけどね…。
でもって話の筋運びも、単純な勧善懲悪モノだからって、あまりにも心が無いのでビックリしてしまう、育ての父にそんな?とか。
本当は、そういう所押さえると「いい作品」になると思うんだけど、そんなモノにかまってたらノリが悪くなっちゃうよ、と言わんばかりで。

とは言え、バンデラスの新米ゾロは可愛くて可笑しく後半ちょっとかっこいい(笑)し、まあいいか。
キャサリン・ゼタ・ジョーンズも素晴らしく美しい。やっぱりこういう正当派美人にはドレスが良く似合う、と同時に、フェンシングのシーン等もピシリとキマってかっこいい!

続編はバンちゃんもキャサゼタさんもちょっと歳食ってしまってるけど、それでもセクシーぶりは健在、サスガです。

マスター アンド コマンダー

まったくもう、どうしてこんなに、お船が好きなんでしょう。
帆船からUボートまで、船上生活の映画って本当に楽しい(『タイタニック』はダメだな…船上生活っぽくないからかな)。
元々そんな私なので、この『マスター アンド コマンダー』は、最高に楽しめる映画だった。

なにしろ、その殆どが航海中の軍艦(時代はナポレオン戦争)の中。
実際に帆船をひとつ作ってしまったというリキの入れようも、サスガとうなずけるリアリティ溢れる画面。
フランスの軍艦との海戦シーンも見事なら、戦闘の合間(戦闘で壊れた艦を修理したり、敵艦の行路を予想して追跡したり。これがけっこう長い、昔の戦争は時間がかかるのよ)の日常生活も、それから狭い閉鎖空間での過密な人間関係(イジメ問題も!)も、それぞれとてもソレッぽく、興味深い。
艦長の“ラッキー・ジャック”オーブリーと、船医の掛け合い、「非常時にナニ痴話喧嘩してんだよー」みたいな関係も面白い。
二人が船室で、「敵艦に追い付くまで2週間だー」とか言いながらチェロとヴァイオリンでセッションする美しい調べに、大海原がかぶさるシーンも美しい。
女が出て来るのはほんの一瞬だが、その一瞬とちょっとした会話から、オーブリー艦長が女性に対してどんな男なのかが伺えて、微笑ましい。
それから、貴族の子弟の士官候補生と、船底でザコ寝する水夫達の関係、それぞれの生活、「カリスマ艦長」ラッキージャックとのやり取り。厳然として存在した身分制度と、それでもどこかで息を抜くしたたかさ。
敵であるフランス艦側の乗り組み員は、殆ど登場しない。伝説の怪物のように、巨大な帆船が海原にそびえ立っている印象。そこら辺がまた、臨場感があっていい。
 
 ラッキージャック艦長を演じるのは、ラッセル・クロウ。
グラディエーター』ではカリスマ剣闘士らしく、いいカラダだったのが、短期間に随分中年太りしちゃったなあー、と驚いたら、役作りのために太ったんだそう。今回は金髪の長髪で、当時の衣装は白いフリフリブラウスで、この中年体型は、かなりアレ、この人顔は元々ナンだし…って、ナニ言ってんだ、私は。
とにかく見た目は決して楽しくない彼なんだが、オチャメな表情にはやっぱり引き込まれる。困った顔、毅然として戦いに挑む顔、悲しい顔。どれも人間臭く魅力的だ。
艦長の親友で船医の役はポール・ベタニー。こちらも器用な役者、ちょっと神経質なイメージは変わらないが、『ドックヴィル』とは別人のように感じイイ(笑)。
美少年の士官候補生は、確かにこのロケーションでは「掃き溜に鶴」で目のお楽しみだったけど、悪評を取った前宣伝のように「人買いに売られた哀れな子供」ではなく、ちゃんと誇り高く勇敢な兵士として描かれていてヨカッタ。

この映画には、実はもう一つお楽しみがあって、ナント、航海の途中でガラパゴス島に上陸する!
実は私、船も好きだがトカゲも大好き。イグアナとの接近遭遇も、船医と共に大感激だった。
そして、痛ましくも片腕を失った少年士官候補生が、開腹手術直後の船医をサポートする姿も愛おしい。
(それにしてもこの時代の海戦って、手とか脚とか切るよねえ…麻酔も無かったりして…イタタタ)
ガラパゴス島を映画撮影したのは、史上初だとか。思いもかけず楽しいオマケが付いて来た気分。

映画の上映時間は2時間20分と長めだが、どこを切ってもシッカリ中身が詰まってる。終わってから「もっと一緒に旅を続けたいなー」という印象だった。
ピーター・ウィアー監督*、やはりかなり好みのタイプだわ。

*参照:『モスキートコースト』『刑事ジョン.ブック/目撃者

マチルダ

途中まではかなり面白かったんだけど…いえ、全体的に面白かったんだけど。
私としては、最後まで「頭の良い女の子」の域に留まって欲しかった、超能力なんて出さなくても充分完結できたと思う。

まず、鬼の校長先生が最高
砲丸投げ、槍投げ、ハンマー投げ(笑)!ごつい脚にハイソックス!なんじゃあの服装は(笑)。
鬼は鬼のまま追われるとこも良かった。
マチルダの両親も最高。俗物でお金大好き、TV大好き。パパの仕事は犯罪ガラミ、ママの興味はエステに買い物。ダニー・デビート、こういう役は本当にイイよね。ママ役の女優さんもピッタリで、こんな人にしか見えない。
でも最後に「アナタの事全然分からなかった」って言ったところは、ちょっとシンミリしたな。
(ところでこの女優、デビート夫人だったの!?なんと似合いの夫婦…)
優しいハニー先生も、とっても美人。いや本当に美人なんですけどこの人。
子供達も可愛い。主役のマチルダはもちろんだけど、私は眼鏡っ子のヴァイオレットがお気に入り。チョコケーキのデブも良かった。

前半は本当に面白くて、知性のカケラもない父母の元に天才児が誕生してしまった齟齬が、けっこうリアルに描かれる。
ココにリアリティがあるから、と言うか父母の俗物ぶりがリアルだから、後の「おしおき」が生きて来る重要パートなんだけど、ココがうまい分、このまま行ってほしかったなと。
そして続く、鬼の校長先生登場場面。
ココはリアリティを遙かに超えて完全にマンガなんだが、デフォルメとして見ればこういう人はいそうだし、特に子供目線ではありそうで、それにとにかく面白いのでOKである。
だからこそ、ずっと日常的なアイディアで校長と闘い勝って欲しかったんだけどな。

何がまずいって、天才的頭脳の持ち主である少女が、更に超能力に目覚めてしまう、というところ。
幼少時のマチルダが図書館に通うシーンとか、大好きなんだけどな。
超能力というのはいわば飛び道具で、そういうせっかくの積み重ねを反故にしてしまう。
天才ならソコで勝負できるじゃん。超能力があるなら天才頭脳は不要になってしまう。
むしろ取り柄の無い子が突然能力を手に入れて、という方がまだ盛り上がる。でも私はそれなら見ないけど。

校長の人間ハンマー投げとかパパのインチキ商売とか、本当に面白かったので、後半の超能力による解決部分がつくづく残念。
天才超能力少女と美人教師はもういいから、校長先生と両親のスピンオフが見たいわ(笑)。

マッドマックス

超有名なこの人気シリーズ、実はずーっと観た事が無かった。
同じくギブソンの人気シリーズ『リーサル・ウェポン』も長い事観ないで来ちゃったし、特に嫌いではない(むしろかっこいいとは思っていた)のに、不思議と言えば不思議。

いや〜、少年ジャンプの世界だ!(笑)
あの「ヒャッホ〜グェヘヘヘ」みたいな悪役表現って、ココが発祥の地?
暴走族って若さゆえ、みたいなイメージだけど、分別ざかりのオッサンが大挙して、困るわ〜。
なんだか笑ってしまう。
『2』ならまだしもそれだけジビアな世界状況、という理屈が通るんだけど。

お巡りさんもイカレてる。
"マッド"マックスと言っても、他の同僚がマッド過ぎてマックスがマトモに見える。
笑いながら観たとはいえ、愛嬌者の"グース"が焼かれるシーンや、手首の件はキョーレツだった。
妻子が襲われるシーンは、公開当時友人が激怒していたが、最近の映画のえげつなさに慣れてしまってるせいか、それ程の刺激は感じなかった。
ただ暴走族って暇なんだなと(笑)。
お婆ちゃんは良かったな。こういうの見ると(フィクションとは百も承知でも)アメリカ人って勇敢だな、と思う。

若きメル・ギブソンはちょっと垢抜けないが、皮パンのお尻には目が釘付け!
利き腕と片足を負傷したマックスの必死の攻防シーンでも、狙ったようにお尻が印象的で…なんか、すみません。

音楽の入れ方とか、とても昔風でのどかな気分になったが、その分カースタントはガチで凄いの一言で、ストーリーそっちのけで引き込まれた。
私はバイクに何の興味も無いが、好きな人にはたまらんかっただろうな、というのは何となく分かる、フェティッシュな扱いでもあったと思う。

マッドマックス2

シリーズ中、これが一番面白いと思う。
(現在、最新作の『怒りのデス・ロード』未見)
世間で言うところの「マッドマックス風」みたいなのも多分、最初のよりもこちらのイメージが強いのでは。
それにしても、あの『1』からここまで世界観を変えて、なおかつ同じ内容というのは凄い。

"キャプテン・ジャイロ"は愛すべきキャラクターだが、同じく『1』で愛らしかった"ギース"にちょっと似てて(でも燃えちゃったはず…)、同じ役者なら粋な計らい、と思ったけど並べて見たら全然別人だった。
ハチマキのお姉さんもかっこよかったし、リーダーも良かった。
なんかあのコミュニティとマックスの関係って、黒澤的で面白かった。
と、言うものの、私は実はクロサワ映画、面白いと思った事が無いのだが、何故かクロサワ的映画は好きなのが多いのよね。
色々と見直してみたいとは思う。

悪役が…(笑)ハードゲイ過ぎる(笑)。
『1』でもちょっと書いたけど、分別ざかりの年頃のオッサンが尻丸出し(爆笑)。
ボスもなんかあまり強そうじゃなくて笑えるし。
いかにもなナヨナヨした美少年も笑えたけど、ちょっと…可哀想だったな。

ニヒルなヒーロー、お調子者の相棒、サルのような孤児、まあ西部劇のガソリン版だけど。
ギブソンは『1』よりワイルドで素敵。

マッドマックス3サンダードーム

1』と『2』が全然違う世界設定という珍しいシリーズだが、『3』は『2』寄りで、かなりクオリティダウン、でもネタとしては面白いかも、というところか。
まあ普通、シリーズ物の3作目で傑作ってまず無いから、そういう意味では頑張った方なのかなと。

てかティナ・ターナー!(笑)
うん、もう、これだけで許す、って言うかありがとう。私的には。
すごい迫力!
これ多分、歌手としての彼女を全然知らなくても魅せられると思う。それくらいの存在感だった。

内容的には、『2』より更に進んだ世紀末的カオス的世界観だが、子供だけの集落とかごめん、あまり魅力を感じないタチなので。
すっかりお子様向けになっちゃったのかな、というね。
"サンダードーム"は全くのゲーム感覚だし。
史実としてローマのコロセウムとかの存在があるワケだけど(『グラディエーター』は良かった…)TVゲーム的と言うか少年漫画的と言うか。
このシリーズって本当に『少年ジャンプ』っぽいよね…。
頭の悪い大男が可哀想だったわ。
ラストのティナの「男だねぇ(ハート)」みたいなのには笑った。

なんか30年ぶりに新作が出たそうで、まーそのうち観るかな、くらいの熱意ですが。
しかしつい最近、メル・ギブソンが『1』のオーディション時はド新人だったと知ってビックリした。

マネーボール

マネー(お金)にもボール(野球)にも興味の持てない私には向かない映画だった。
冒頭の延々と続く野球シーンには「何を見始めちゃったんだっけ…」とテンションだだ下がり。その気分のままラストを迎えた。
ブラピは魅力的な俳優だが(彼が主演でなければそもそも見ない題材だった)こういう深みを求められる役はどうかな、と思う。
時々けっこう大根なんじゃないかと思うんだよね…見た目最高だからそれでも全然OKなんだけど、役は選んでほしい。
もっと華やかな分かりやすい役をいっぱい演ってほしいものだ。

正直、野球チームが勝とうが負けようが本当にどうでもいいし、それ以上にナントカ理論に固執する主人公にも思い入れが全くできなかった。
米メジャーリーグの仕組みを知らないのも良くなかったのか。
ただ、かなり過酷でドライな業界である事は、伝わって来たように思う。
活躍できる選手を登板させたい現場の監督は当然だし、勝たないなら見捨てるスポンサーも尤もだし。それを説得もできずに気に入った理論を強行する主人公にも共感できない
思い通りの人事にして選手を励ましたらドンドン勝ち出すのだが、という思いが強く残った。
結果は"勝ち"だったのかも知れないが(そこも微妙)カタルシスも無く、高額オファーを蹴って古巣に留まる理由にも説得力は見出せなかった。

眼鏡小デブのオタク属性・ピーター君は、なかなか良かった。
高卒で大学奨学金進学を蹴ってプロ球界に飛び込み、挫折を舐めたビリーとの好対照ぶりも。
そして男前のブラピと並ぶと、同じ属性とはとても思えない(笑)。

地味で退屈な物語だと思ったら、メジャーリーグで実際にあったノンフィクションが原作だとか。
なるほどねー。
実話モノの煮え切らなさが如実に出ているわ。
でも、選手達はとても本物っぽいと思ったら、本人出演も交えていたようで、ファンにはきっとたまらないんだろうな。
私はここの客じゃなかったわ、つくづく。

多分私の中では、ブラピ史上最も退屈な映画。

魔法使いの弟子

と、聞くと、かの『ファンタジア』のミッキーマウスを思い出すワケですが。
全然関係なかった
設定こそ"マーリン"の流れの魔法使い達の話だが、どちらかと言うと英雄系超能力大戦。

映像は文句ナシ。ストーリーもつまらなくはないのだが、"魔法"の魅力はあまり感じなかったな。
ニコレス・ケイジはノリノリの大熱演。悪役のおじさん(『スパイダーマン2』のタコ男だ!)も良かった。
一応主人公の"弟子"は、近頃よくあるオタク系男子で、女性目線では楽しくないが、頭が良く程良くお調子乗りなマッチョ過ぎない性格は好印象。そして良いタイミングで、とても勇敢だ。
ヒロインのベッキーも、美人で可愛く勇敢で、クライマックス前の「聞きたかったら戻って来て」なんてグッと来た。
…しかし終盤の中世風衣装のモニカ・ベルッチの美しさの前に、テリーサ・パーマー(ベッキーね)の存在は霞んでしまうのであった…。

主人公の少年時代、竜の形の指輪が彼の指に絡み付く描写はワクワク感をそそった。
…でもこれも、英雄伝説的なモチーフだよね。
一応魔方陣が出て来たり、壺やマトリューシカに閉じ込められたりと、魔法っぽいディテールも使われているものの、劇中使われる"魔法"と言えばカメハメ波いや光玉飛ばし合うのとちょい顔換えと、鏡の世界を移動?なんじゃそりゃ。ハリポタ的な魔法を期待してしまうと、ガッカリだと思う。
あ、オオカミが出て来て子犬になったりもあったか。あれは楽しかった。
犬と言えば主人公のブッサイクな愛犬、もっと活躍してほしかったなぁ。残念。

観ている間は退屈しなかったし、特に悪印象は無いのだが、特に残るモノも無い。
私としては、もっと馬鹿馬鹿しい魔法を見せてほしかったな、やっぱり。

魔法にかけられて 

ディズニー渾身のセルフパロディ。
童話の世界では通常営業でも、現代社会に来たらアブナイ女になってしまうジゼル姫。
豪華なドレスは異様だし、歌を歌えば動物達がやって来て…って、大都会で招集できるのはネズミにゴキブリだったりするし、心が綺麗過ぎて本気で危ないし…。
愛しの姫を追って来た王子も、こうして見るとアホそうだし。
そんな絵本みたいな綺麗事は通用しないよ、と言わんばかり。

でも最後まで観ると、結局いつものロマンティック・ラブ信仰の変形パターンに過ぎないってのが分かる。
まあ恋がロマンティックなのは全然構わないんだが、「女性が男性の元へ嫁ぐ」という不文律は頑冥なまでに守られるのだな。フェミニズムがどんなに頑張っても、この辺り、アメリカ(西洋?)はとてもキッパリハッキリしているように思う。
ニューヨークの恋人』でも『カラー・オブ・ハート』でも、異世界へ移り住むのは女性ばかり。そこには何の迷いも疑問も無い。
本作も、結局二組のカップルが誕生するが、童話世界のジゼル姫は現代ニューヨークに留まり、NYのバリキャリ女性ナンシーがお伽の国で王子と暮らすという…姫はともかく、ナンシーは今まで培った生活も仕事も友人もアッサリ捨て去って。
…まあ、あの王子がニューヨークでの生活力があるとは思えないけどさ(笑)。

ナンシー役のイディナ・メンゼルって『レリゴー』歌った人だったの!?ビックリ。
美しいよね。
クールなバリキャリ女性が、実はロマンティックな事が大好き、というのがとても微笑ましくて素敵。

"現実世界"でジゼルのお相手になるのが、子持ちのサラリーマンというのも、いかにもアメリカ映画的。
こましゃくれた娘も、それはそれでなかなか可愛かったし、ちゃんと機能していたと思う。
母親を亡くした少女の不足を、あの天然な童話姉ちゃんが救ってくれるというのは、ちょっと納得と言うか良い組み合わせだと思った。
たとえバカみたいでも、ジゼルのドレスは素敵だし、それをまた手作りしちゃうってのも素敵。
ディズニーお得意のミュージカルシーンは少な目だが、公園の老人ミュージカルは最高だった。
大好きなスーザン・サランドンの魔女が、あまり生彩が無くて残念だった。もっとやっちゃって!って感じだったんだけどな。

いささかわざとらしさが鼻に付かなくもないのだが、老舗の伝統とクオリティを守りつつ、新しい味にもトライしてみせるディズニーさんが、私は嫌いではない。

 

追記:ちょっと変化球ではあるが、『キンダガートン・コップ』は男性が女性側に移り住んでいる。

マラソンマン 12/3

爺さんの螺旋階段落ちは、なかなか見応えがあった。
あと兄役の若きロイ・シャイダーはかっこいい。ドジっ子だけど。
それから歳を取っても禿げでもエレガントなローレンス・オリヴィエね。
ほぼ、それだけ。
まあ若いダスティン・ホフマンも可愛いっちゃそうかも。

タイトルだけはずっと前から知っていて、なかなかの傑作なのかと思っていた。
もっとマラソンに掛かる内容だと思ったのに、まあ逃げ足は早くてしぶとかったよ、という程度か。
(毎日走ってなかったら途中で殺されたでしょうね)
冒頭の車の小競り合い〜爆発事故辺り、不快な上にいったい何を見せられているんだ!?とウンザリしたけど、まああれが、事の発端だったワケですね。
そう考えると、二組の兄弟の物語でもあったんだけど、特にそれに意義も無さそうな(笑)。
兄ちゃんが血みどろでわざわざ弟の家に乱入して○んだのは、悪いが笑ってしまった。
弟のアパートの裏手ででも待ち合わせしてたのか?無理過ぎ
しかも弟・トマスが付け狙われる理由にこそなれ、兄ちゃんがソレをやる必然性は?(こういうのをご都合主義と言う。)
健康な歯を削られて命からがら逃げ出してみれば、まんまとナンパ成功と思ってたカノジョが工作員だったトマスはお気の毒で、これまた笑ってしまったが。
だってどう見ても一方的に彼が言い寄って付き合ってたじゃん?せめて伏線、後出しでも彼女が近付こうと仕組んでた種明かしくらいは欲しい。(こういうのもご都合主義、と言うより適当と言う。)
正直、展開は鈍いし、巻き込まれ型の主人公にも特別魅力は無く、事件の真相も説得力は無くて、すっかり飽きてしまった。
先述の階段落ちと、銀行の貸金庫でダイヤを愛でる、無駄にフェティッシュなアングルが印象的だったくらいか。

やはりこの時代の映画は性に合わない、と思うと同時に、もしかしたら公開当時(1976年)の観客はもっと純情で、歯の拷問シーンとか、袖に仕込んだ刃物とか、斬新でショッキングだったのかも、とは思った。

そうそう、兄ちゃんの"親友"役のウィリアム・ディヴェイン、凄い顔だねー。劇濃!
この顔が味方と言われても、信じ難いわねぇ(笑)。

マリアの恋人

なんか名作っぽい気もするんだけど、すごいテキトーな感じもある、取りあえず主演のナスターシャ・キンスキーは良かったよ、ってところかな。良く分からないけど印象的な映画ではありました。

戦場体験のショックで不能に陥ってしまった主人公。ベトナム以後、いたんでしょうね、けっこう(映画は太平洋戦争)。しかもタチの悪い事に、新婚の妻以外の女ならOKという、困った不能なのさ。
どうやら戦場で、愛する婚約者を神格化し過ぎたせいらしい。
女の私には分かるような、分からないような。
当然新妻マリアは穏やかではいられない、こちらの気持ちは良く分かる、ような気がする。
しかし分からないのはそれからで、夫が辛くて逃げ出した留守に、彼女は行きずりの放浪者とコトに及んで、妊娠してしまう。その膨らんだお腹を抱えて夫を迎えに行って、「あなたの子よ」。夫は帰って来て不能も治り、めでたしめでたし、なのだ。
つまり清すぎるものは汚せない、という事なのか?へんなのー。

マリアという名は当然、処女でイエスを産んだとされる聖母の意味だ。
この役をやった時キンスキーは子供を産んだ後だったけれど(そう言えば未婚の母だった)、「神聖にして犯すべからず」のマリア役、ハマッてはいた、ような気がする。
結婚前、新居の風呂場かなんか磨いていて、夫の父親(ロバート・ミッチャムだ!)と何やら怪し気なシーンがある。妖気が立ち上るような気配。できない夫をなんとかしようと誘惑するシーンは言わずもがな。
そういう女のそういう姿そのものが、この映画の主題であって、ストーリーは形式的つじつま合わせなのかも。

行きずりの放浪者は悪目立ちで意味不明だし、各場面でのマリアの心理も分からない、エッチはできるようになったものの、他人の子供を育てる事に何の不満も不安も見せない夫も謎だ。
清らかで美しい女に対する男のファンタジーなのだろうか?だとしたら、キンスキーは充分ファンタジックではあったけれど。
やっぱり女の私には、良く分っかりましぇん。

ミニシアターの小さくて高いパンフには、女性のライターが解説を載せていて、「とにかく放浪者役のキース・キャラダインがかっこいい!」などどトンチンカンな事を書いていたが、彼女も内心当惑していたのかも、と思えば、辻褄が合うのであった。

マルコヴィッチの穴

タイトルからシュールだが、内容は予想以上のシュールさで、期待を裏切らない。
「穴」が異次元に通じるっていうSFネタは見た事あるけど、人の心の中に繋がっているとは。
時々、猫の中に入ってみたいとか、ぼんやり空想した事はあったけどね。
この「穴」は、ジョン・マルコヴィッチという(実在の)俳優の心に通じている。
何がどうして、こういう企画になったのか、なぜマルコヴィッチなのか!?知りたい。

全体を通してユーモラスな悪夢といった印象だ。(やっぱりシュール!)
いささかブラックな結末も含めて、恐い話だけどかなり笑える。
マルコヴィッチも「二つはいらない」存在感だし、相変わらずキュートなキャメロン・ディアスも、こうして見るとどことなく、は虫類っぽく見えなくもない。そう言えば、「ヴァニラスカイ」でも恐かったなあ、彼女。
もう一人の美女、キャスリン・キーナーっていうのね、いいなあ、いかにもワルそうで。恐ろしくも美しい、色っぽい、エキセントリック…いいなあ。シルエットだけでも絶対美女。なのに内容が、あんなん。凄いです。

たとえば実際に、こういったアトラクションがあったら、そして安全が保証されていたら、試してみたいし、ひょっとしたらハマッてしまうかも。
別の人生をつまみ食いしてみたい、という願望って、誰しも持っているんじゃないだろうか、私は、かなり強い。だからマンガなんか描いているのかも。
ましてやそれが有名人なら、なおの事。
でも、そういった、できない事への欲望って、やっぱり恐い物につながっているのかもしれない。
ましてや、「自分の中に入って行く」などという行為は、とってもヤバいものを含んでいるわけで、昨今流行りの「自分探し」なんて、お気軽に手を出してはイカン…ちょっと違う?
なんて、その気になれば哲学できそうな、笑える映画でした。

ところで、見どころである「みーんなマルコヴィッチ」のシーン。
すごいセンスのいいCGだなあーと思っていたら、実際にキャストがマルコヴィッチのお面を被って集合したんだって!スゴイ!
やっぱり特撮(この単語がすでに泣ける)は、こうでなくちゃ、って思える強烈なシーンでありました。

最後に、チャーリー・シンって、けっこういい奴かも!?

マルコヴィッチの穴(by HAPPY*DAYS)

映画のページに『マルコヴィッチの穴』が紹介されていたので思わず書きました。

というのも我が家には5才の娘がいて小さい頃からパパが創作話をしてあげています。
半年前くらいに数々の話の中にネタが詰まったのか「マルコヴィッチの穴」というフレーズをふんだんに使うようになりました。散歩にいっても穴があると「あ!マルコヴィッチの穴だ!」と二人仲良く叫んでいてたまたまレンタル屋に行った時に娘がそのDVDを見つけまして借りて見ました。娘は気に入って5.6回見ています。

そんな訳でますますマルコヴィッチの穴にはまっています。
たわいもない話を長々とすみませんでした。

マレーナ

美しい景色、絶世の美女、そしてムカつくストーリーの、この映画。
なんだってこうも、人間は弱くて卑しい生き物なのか。

島の田舎町に一大センセーションを巻き起こし、思春期の主人公のみならず島中の男どもの目と心を奪う美しき人妻・マレーナ。
本当に文句無しの絶世の美女、モニカ・ベルッチが演じている。
う、美しい…。
いくら美女でも女一人に、あまりにヒステリックな島の男どもの反応、と言いたいところだが、ベルッチのこの美しさを見せつけられ、場所がイタリアである事を考慮すれば、うーん、あるかもね、とも思ってしまう説得力なのであった。
しかし真面目な話、この男どもは本当にサイテーだね。(主人公の少年も含む)
戦争という酷い時代にあったとは言え、身勝手に楽しむだけ楽しんで窮地には見て見ぬふり。
実際にナチス相手の女性達は、各地でああいう目に会わされたらしく、映画でも良く見かけるが、なんざんしょ、あれ。
全てが終わって、終始一貫見ていただけの主人公の少年が、何となく美しい思い出風に締めくくってる所が本当にムカつくわ。
一生の恥だろ、あんなもん。

それにしても美しい映像。
人物も絶世の美女なら、シチリアの景色も絶景だ。
街の暮らし、人々の服装や家具調度、穏やかな音楽、海を渡る風。
美しい形の下に蠢く、身勝手な性欲と自己弁護の物語。

マレフィセント

んー、けっこう、くだらなくない?

アンジョリさんのコスプレ映画&自画自賛ナルシー映画、という以外、殆ど存在意義を見出せない。
トゥームレイダー』が単なるオッパイ映画だったのと同じライン。
…あ、製作総指揮アンジェリーナ・ジョリー。
それでは誰も文句も言えないでしょう。
ちなみに肝心のコスプレは、「美人のバイキンマン」でした…。

なぜ、シンデレラが自力で悪党を斬り殺したり、オオカミの兄弟がブタに家を壊されたり、桃太郎が鬼を許して仲良しになるやら鬼の子が涙の訴えをするやら、したがるのだろう。
ぶっちゃけ居酒屋でシロウトが「なんちゃって〜」と笑い合うバカ話レベルの発想だ。
しかも本作、ミョーにフェミ臭が強くてな…あ、私フェミニストですが、かなりガチガチの。

カラスの人とのやり取りは、けっこう面白かった。
と言うかカラス君が可愛いキャラだったんで楽しめた。
「臭い犬だけはイヤっ!」とかね。
ラストのドラゴン大暴れなんかも楽しく見た。
(急に怪獣映画!?と思ったけど、そもそも『眠れる森の美女』ってそういう映画だったよね)

姫が森で育つって(笑)でないと魔女と親しくなれないから?
魔法使えるのに???
自分で呪いかけといてなにやってんだか、なワケですが、それ以前に随所がご都合的でな。
またオーロラ姫が恐ろしく庶民的な容貌で(可愛いけど)あれで森で地味な服装では、農家の娘にしか見えない。(『隠し砦の三悪人』並みに)
せっかくの3人の妖精の個性もイマイチ似たり寄ったりで楽しくない。
王と魔女の「愛」が元々あんまり心打たないので、後の彼女の怒りもあまり共感できず(羽盗られたら恨むのは分かるが)ドラマチックとは言い難い。

マヌケな王子は面白くて悪くなかった。
キスはちゃんと知り合ってから、とかね。敗者復活もありそうな終わり方も微笑ましい。
近頃のディズニーは旧来の"王子"イメージを払拭しようと必死なのか、またこれか感はありますが。

母の愛こそ真実、みたいなミエミエの主張もアレだし、それを言うなら王妃こそが最大の被害者だよね…。
夫の昔の女に娘を呪われ引き離されたまま、顧みられずに終了。
そう考えていくと、この魔女って女として最低
男が憎いなら男を攻撃すべきなのに、何の罪もない娘を呪い、何も知らない正妻を苦しめて、情が移っちゃったも無いモンだ。
これオーロラちゃんも「貴女を森に閉じ込めたのもお母様と引き離したのも私、なぜなら貴女のお父様が昔私に酷い事をしたから」と言われて納得できるのでしょうか。

すっかり大物になったアンジェリーナ・ジョリーというひとの、薄さや安さが分かり易く浮き彫りになった自己満足映画、だと思う。
バイキンマンとしては最高に美人ではあったけど。

マン・オブ・スティール

あれ"S"ぢゃなかったんかいっっっ!?(爆笑)

ロイス・レインが恐ろしく生意気で(ロイスにしては美人過ぎるけど)『スーパーマン・リターンズ』の彼女よりはずっとロイスらしい、お帰りロイス。なんて思って見てたけど、『魔法にかけられて』の女優さんでしたか。ちょっと気が付かないくらい印象が違う。
と、思ったら、お義母さんがダイアン・レイン!?うわご免、全然気付かなかったよ!10年前の『トスカーナの休日』の時はまだ、全然ダイアン・レインだったのに!ビックリ。
でも、若い頃はちょっと安っぽい女と思ったけど、ナカナカのお母さんっぷりで良かった。優しいだけでなく、将軍に宇宙船のありかを聞かれて「知るもんか」と答えるシーンとか、胆の座った感じがサマになってた。
義母がダイアンなら、義父はケヴィン・コスナー!こちらも懐かしくも、すっかり渋くなって往年のハンサムぷりは無いけれど、なかなか良い親爺っぷり。『ボディガード』辺りからウンザリさせられた、一時期のナルシスト全開な印象は、さすがにもう無い。
そして実父が、ラッセル・クロウ!!いやん。素敵。

でもって主演のクラーク・ケント=スーパーマン君がね…あ、ダメ、私、このスーパーマン。
作品の色には合っているのかもしれない。
でも表情が暗いし、私にはあまりハンサムにも見えなかった身体も小さめで普通っぽすぎる。
私がスーパーマンに求めるのは、モリモリマッチョな身体をピタピタスーツに押し込んだ、一歩間違えば変態みたいな、それを気にも留めずに大活躍する大雑把なヒーロー像なんだと思う。

「僕には勝てないよ、でも僕は敵じゃない」って…言われたら脅威しか感じないわ。
なんか新作見るたび、この"スーパーマン"というツールが嫌いになって行く。
強すぎるからつまらない、というのもあるし、どう見てもダサいあのスーツにどんな理由(故郷の家系の紋章とか)付けをしてもやっぱりダサい。そしてそんなダサくて強すぎる奴が、苦悩したり迷ったりしてるのを見ても、共感も同情も、ましてや感動など、できない。
思い入れをするなら普通に人間であるロイスの方なんだろうけど…こちらがまた、「ピューリッツァ賞受賞」の敏腕記者って。しかもソコソコ美人。性格にも惹かれる点は無し。
むしろ悪役であるはずのゾッド将軍が可哀想になったよ。軍人として真面目にやってる人だもの。

CGはもう、とにかく凄いので文句の付けようもないんだけど、とにかく強さがケタ違いなんであまり臨場感が感じられない。取りあえずピンチは作らないと、と言う事で、毎度のようにクリプトン関係で一時的に能力が失われたりするけれど、それもピンとは来ないワケで。
アクションシーンはずっと派手派手だったけど、そんな理由で退屈してしまったし、それ以前になんだかとっても心躍らないな、と思っていたら、終盤になってやっと、「眼鏡にスーツのクラーク・ケント」登場。
あ、そうそう、私けっこうケント萌えだったんだわ、なんて思ったのもつかの間。
うーん、やっぱりこのスーパーマン、ケント姿もイマイチだった。残念。

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