り、るで始まるタイトルの映画

リーサル・ウェポン

メル・ギブソンはあまりご縁が無くて。
ハンサムだしセクシーだと思うんだけどねぇ。
かの『マッドマックス』シリーズも何となくスルーして来ちゃって、先に『サイン』なんて観ちゃったせいかな(笑)。でも『テキーラ・サンライズ』や『フォーエヴァー・ヤング』なんかは好きだったんだけど、ちょっと路線が違うものね。
そして今回この映画を観て、キメるシーンがちゃんとキマる人だなと再認識した。
…でもなんか、映画の印象は、あまり強くない。

公開から30年近く経ってから観てしまったんで、当時の感覚は良く分からないんだけど、「自殺願望のあるヒーロー」ってのは新鮮だったのかもしれん。
やたら命知らずな無茶をすると思ったら、愛する妻を自分のせいで殺された、それでついつい"死"の方へ引き寄せられてしまう男…うん、確かに今見ても、「あ、そうだったんか!」と、ちょっと驚いた。
ハンサムでナイスガイのギブソンが、突然メソメソ泣き出す姿はある意味見物ではある。
そしてコンビを組むのが、良き家庭人、そろそろ引退も視野に入ってる、初老のベテラン刑事。
エキセントリックな"相棒"に対して、常識人的な立ち位置でツッコミ担当だが、大事な家庭は覗いて見ればけっこう笑えたりする。

"バディもの"のお手本のような対照的な二人のやり取りは楽しいが、お手本なだけに普通、でもある。
「リーサル・ウェポン」とは"最終兵器"の意で、無謀なリッグスを指す言葉だと分かるが、実際観てみると彼はそんなに危険には見えず、思ったより刺激的ではなかった。
うーん、これは公開当時に観てたら違ったのかも。
味付け濃いモノを見すぎてしまった気もする…。

リーサル・ウェポン2/炎の約束

えーと、「約束」ってなんだっけ???

『2』は「あーあ」が多いけど、これはむしろ前作より見易くて面白かったかも。
その分、主人公リッグスの最初のクレイジーぶりが薄れてしまってて残念ではあるが。
そして、やはりハリウッドは恋愛(及び濡れ場)を是非とも入れて来たいんだろうか…妻に先立たれて号泣してた彼が、かわい子ちゃんに遭遇するやグイグイ迫って最初のデートでベッドイン、そのまま一緒に暮らしかねない勢いで、ちょっと引いた。
いやヒロインのリカちゃんは本当に綺麗で可愛かったけど。そして可哀想。
トイレ爆弾のシーンは面白かった。
マータフの娘のCMネタも笑った。
ジョー・ペシのキャラもウザ面白かった。

…でも、印象と言ったらその程度なんだよね。
シリーズものの常として、登場人物が馴れ合って普通になって行くものだけど、早くもその方向が見えてる。前作のリッグスのエキセントリックさは殆ど忘れられて、陽気なお調子者になっちゃってる。
立ち直るのは良い事だし、良き友を得て明るくなるのも分かるんだけど、自分のせいで妻が死に、さらに恋人までも…という厳しい状況の中で、わりと普通に反応してるリッグスに思い入れができない。
もっと壊れちゃってもいいと思うんだけどね。
先のナンパの手口といい、あまりにリカちゃんの扱いが軽い気がして、不満。彼女が可愛らしく清らかであっただけに尚更ね。
恋愛が中心の映画じゃないのは分かるんだけど、こういう事って大切だと思うのよ。
コメディ要素が多いのもいいし、ドカンドカン派手なアクションもいいんだけどさ。

リーサル・ウェポン3

はあぁ〜レネ・ルッソ美しいっす。
映画によっては「この顔怖い…」と思う事もあるんだけど、このなんか「揃い過ぎた」感じの目鼻でもって、あの性格…負傷マニア?傷跡自慢。いいねぇー、好き♪

刑事リッグスはすっかり明るく丸くなって、もはや全然"必殺兵器"じゃなく単なるオッチョコチョイ程度になっちゃってはいるが(笑)むしろ半端に片鱗を残す『』よりは楽しめた。
恋のお相手が前回の普通のかわいこちゃん路線ではなく、言わばリッグスと"似たもの同士"の傷跡自慢女ってトコも受け入れやすかったかも。
死んだ奥さんの事は、前回がクッションになってるし、一応供養も済んだので、もういいか、みたいな。
リッグスとマータフの掛け合いが絶妙で、もはや漫才コンビのよう。お馴染みレオやらマータフの家族やらにローナまで加わってのやり取りは、人気シリーズらしい活力を感じる。

娯楽映画は冒頭が大切、と思うんだが、そういう点でも頑張ってる。
ありきたりと言えばそうなんだけど、次元爆弾止めるのに赤い線か青い線か…って、それもあの状況(一般人の避難が間に合わないとかじゃない…だったら洒落にならなかったけど)で、無理矢理ヤマカンで切断してしまうって(笑)しかも失敗するって(笑)。
まあそういう無茶がこのシリーズの醍醐味と言えばそうなんでしょう。

あ、猫が可愛かった。あと犬も。
息子の友達を撃ち殺してしまうとか、かなり厳しい要素もあるにもかかわらず、ほぼ明るく楽しいムードで進むのは嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど、あまり心には残らないのも本当のところかな。

リーサル・ウェポン4

前回からすっかり明るく楽しい雰囲気にはなっていたが、もはや命のやり取りもコントと化したこのシリーズ。
しかしラストとあって、リッグスの亡くなった妻の事には触れないワケにもいかず、一緒に暮らしてラブラブの彼女が臨月になっても結婚に踏み切れずにいる、という良く分からない状況に。
まあ、元々が"女々しいタフガイ"という役柄だったからな、リッグス君。
相棒のマータフに至っては、例の避妊具CMの娘が孫を産むというのに、すでに結婚を済ませた婿の存在すら知らされてないという。
事後承諾を狙ってとは、どんだけ家族に信頼されてないんだと(笑)。
そしておそらく、映画史上最強の妊婦、ローナ。
前作の一応のハッピーエンドの後日談でもある。
思えば開始当時の11年前はエキセントリックな長髪青年だったリッグスも、すっかり中年ぽく落ち着いた風貌になった。
2』では軽率な情事に悪印象を持ったものだが、もう許してやってもいいよね、奥さん。

悪役が中国人組織とあって、極悪最強の中国人役でジェット・リーが登場。
…ごめん、この人最近まで、「チビの大根(ただしカンフーは最高)」という認識だったが、『ブラック・ダイヤモンド』でちょっと見直してたところなんだけど、今回もなかなか良かった。
悪役の方が強さが引き立つせいか、サマになる気がするな。別に悪党顔ではないんだけど、人間味のある表情をすると野暮ったくみえると言うか。
そんなワケで大活躍で憎たらしくて物凄く強かったんだが、ラストはあまり工夫無くやられてしまってちょっとガッカリ。
どう考えても強いけど、やっつけないワケにはいかないし、あまり主役コンビに卑怯な真似はさせられないし、難しいところではあるけどね…。

そんなワケで、二人のやり取りは相変わらず面白かったし、歯医者のシーンなんかは本当に楽しかった。
あの中華マフィアのおじさんはいいキャラだったのにな…「アンタを好きになりかけてたのに」とのリッグスの台詞は、そのまま私の気持ちだった。
冒頭の火炎放射魔も秀逸。あの場で打ち明け話合戦が始まるというのも、意外にリアリティがあり面白い。その後の展開も面白かった。
移民の問題なんかはちょっと考え込んでしまった(送り返された人々を思うと…)が、ラストのオールハッピーエンド感は悪くない…シリーズ開始の頃を思うと、随分遠くまで来てしまったな、という感は無きにしも非ず、だけれど。
私は公開からずっと後になって、ほぼまとめて観た形になったが、リアルタイムで追い続けていた人はまた違う感慨がありそうな。

リクルート

最初からちょっと、イヤ〜な予感はあったんだけど。
もういいから、アル・パチーノとか。元々あまり好きじゃないけど。

ストーリーは、何度もひっくり返ってでんぐり返って、努力は買うがちょい盛り込みすぎで落ち着きが無い、という事は、趣が無い、という印象。
主演のコリン・ファレルは、そんなに頭良さそうじゃないのが逆に意外性があって良かったが(笑)。おネーちゃんは美人でスタイルいいけど存在感がイマイチで、そんなに大それた事ができるようには見えないんで意外性ナシ。アルおじさんは、これで引っ込む訳ぁ無いよな、と思ったら案の定、しかもやり過ぎ
最後の演説はマジ、早送りにしたろーかと思ったわ(そんな失礼な事はしませんが)。

ジェイムズ(コリン)は何度も「テスト」されて、その都度緊急の決断を強いられるんだけど、咄嗟の判断の理由が分からない。もちろん現場に立たされたら本人はそんな事を解説してる暇は無いんだけど、客としては納得したいと思う。
なんで彼女を信じる方を選ぶのか?美人でスタイルいいから(笑)?たまたま、とか何となく、コインの裏表、ばかりではちょっとねぇ。どうせなら実際にコイン投げて決めるようなキャラクターなら、それはそれで面白いかも知れないが。
全編ジェイムズ目線なんで、翻弄される感覚は味わえるものの、ただ激流に流されるみたいで、もう少し「心の事情」とか見えたらのめり込めたかも。

でもって、いいかげんこのペースも飽きたなー、と思っていると、アルが出て来て演説ブッちゃうでしょ。
最初から、アンタ疑ってなかったのはコリン一人だっての。しかも途中かなりこじつけっぽいし。
いいかげん「味のある脇役」ってのも見せて欲しいわ。最後に大活躍じゃなくて、たいした事してないのに存在感あるよねー、とか、いるだけで映画に深みが出るよねー、とか、そういうの。
大人気ないです。

理想の女

ヘレン・ハントって凄くいい女優さんだけど、そんなに美人ではないな、という認識だったんだけど。
なんかお歳を召して、随分と綺麗になっててビックリした。
それともこれも演技力の賜物なのか…???
スカヨハさんは可愛いしナイスバディだけど、ちょっと顔曲がってない?
少なくともこの映画では、役柄も相まってヘレンハントの一人勝ち

メグは「若く潔癖な純粋な女性」という事なのだろうが、ヨハンソンの顔って童顔なのにケンがあって、つい裏を期待してしまう。
そうでなくても、おそらくは玉の輿であったろう結婚生活で「彼女はパーティに呼ばないで」等好き放題、夫の浮気しかも誤解を知るやプレイボーイと駆け落ちを決意。
アーリンと初対面のシーンもツンケンして上品ぶった嫌な女という印象しか持てなかった。そのくせ最後のパーティではこき下ろしたドレスと同じようなのチャッカリ着てるし。なんかダレダレした身体で気の毒だったしな。
その夫も結果メグ一筋というだけで肯定されているが、あの態度は無いでしょうとイライラした。

ちなみにタイトルの「女」は「ひと」と読ませるらしい。
原題『A GOOD WOMAN』の方がいいけどな。ラストの決め台詞と対になってる。
しっかし「夫の愛人と思った女が妻の生き別れの母親で夫を強請っていた」とかって、ドコの韓流ドラマかと思えばオスカー・ワイルド原作(爆笑)。
三島由紀夫とかね、基本男女の恋愛バカにしてる気がするのは偏見だけではないと思う。

と、半ば薄ら笑いと半ば退屈とで途中休憩を入れつつ差し掛かった、終盤。
いきなりですよ。
こ、この展開は………ヤラレタ!
別れの間際アーリンから、いきなり溢れ出す母の愛。
ハスに構えていた彼女が、もう、本当に身体から思いが溢れて、ひたひたと周囲を染めて行くような。ヘレンハントやっぱり凄い。
対する何も知らないメグの「ママに誓って」。
こんなん泣くわ。良くこらえたアーリン。

で、娘のために崇拝者タピィにも誤解され、身を引いて一人旅立つ彼女…でシンミリと幕、かと思いきや。
タピィ!?
タピィ〜!!!
もーおっさんってしつこいから。人の話聞かないし。大好き。
このタピィおじさんだけは、ずっと好感を持って見ていたんだが(「お金の事だけ考えて僕と結婚して」とか…イイ奴)最後の決め台詞には本当に痺れた。
「実は僕は凄く悪い男なんだ」みたいな。もう惚れてまいますよこれは!しかも金持ち(笑)。
良かった、本当に良かった。

あまりにも鮮やかな逆転ホームランと言うかタッチアンドゴーと言うか、たとえ物語の4/5が凡庸で退屈でも、最後の1部分が素晴らしければイイ映画になってしまうんだと初めて実感した。
もっとも、それが成り立つにはとりあえず最後まで観てもらわなくてはならないワケだが。
当時(1930年イタリア)の上流階級の豪華絢爛な暮らしぶり、重要な小道具となる金の扇子をはじめとする装身具や衣装、建物や家具調度の美しさと、裏腹に薄汚いスキャンダル好きのオバ様達、浮気で傲慢な男達のやり取りが、本筋とは別に見応えがあった事が重要だろうか。
初見の興奮から覚めて思い返せば、それでもメグと夫は好きになれないし、真相を知らされないままの幸福で、本当にいいのだろうか?とは思うのだけれど。
まあアーリンとタピィが幸せならいいや。

理想の彼氏

バツイチ子供二人40歳の女と25歳フリーター男のラブストーリーと聞くと「ないない〜」と思うけれど、女が問答無用のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。
無理も通るってモンです。

ストーリーは本当にどうでもいいと言うか、ほぼ盛り上がらないんだが、ちょろちょろ出て来るクズ男の描写はけっこう笑えた。
過激なフェミ集団とか、若者の芝居集団の描写も面白かった。
いかにもな亭主の「伝わらない」感も、うまく出来てたと思う。子供達も出しゃばらず、影薄くもならず、いい具合に可愛かった。
そして何より、キャサゼタさんが終始可愛い!
序盤の護身講習で腹から出てる声も素敵。

男は…………うーん。
「こういう人が、案外イイのよ」という理屈は良ーく分かる、分かるんだけどね。
それにしても、この男。
グリーンカード目当てで結婚して逃げたフランス娘を「国外退去させられるから」離婚できないとか、ちょっと極端過ぎてやばくない?
大手企業を蹴るのはまあいいけど、世界中を(多分ボランティアで)回った挙句、一人身で子供養子にしちゃうとか。もはや病的。
ご免私、ここまでやられると逆に信用できない

でもまあ、軽いラブコメと思えばそれくらいのキャラ設定でもいいんだけど。
一番問題なのはやはりストーリー展開、特に終盤の、二人が別れて巡り会うまでの部分ね。
BGMに乗せてタラタラと、それぞれの面白くも無い生活をザザッと絵で見せて(ずっと細かく描写されても困るんだけど)、なんの工夫も無しにレストランでバッタリ、と。
で、「あら久しぶり」って何となく近況報告して、互いの家族と一緒の席で和気藹々、エンドマーク。
まあ現実は、そんなモンかもしれないけれど。
盛り上がらね〜〜〜〜っっっ!!!!

リディック

なんか設定とか分かりにくいなと思って観ていたら、『ピッチブラック』という映画の続編だそうな。忘れそうなのでメモしておこう。
世界観もデザイン(人物、背景)も悪くないと思うんだけど……"リディック"役のヴィン・ディーゼルがな。口元がだらしなくて、好みじゃないなぁ。残念。
カラダは素晴らしいんですけどね。でも筋肉量の割には、動くとあまり敏捷でもダイナミックでもない。顔付き同様、どうも愚鈍な印象なんだよな。
公開当時のポスターは、今もウッスラ記憶に残ってる程印象的でかっこよかったんだけど。

キーラ役のアレクサ・ダヴァロスはソコソコだが、悪女王妃のタンディ・ニュートンと謎の婆さんジュディ・デンチが素敵。
男性陣はイマイチ、印象が薄かったな。

アクションは派手だけど、早過ぎるのかアップが多いせいか、時々何がどうなってるか分からなくて置いてきぼりにされた。
一応、リディックは「怖く見えるけど情に厚い」設定らしいんだけど、先に挙げたように表情が愚鈍なので、まず凶悪に見えないし、感情が高ぶる場面もボンヤリして見えちゃう。キーラを大切に思ってるのは分かったけど、そんなワケで意外性と言うかギャップは感じなかった。
敵役のシーザーみたいなのが「シュンッ」とかいって残像残しながら動くのも、気持ちは分かるけどマンガ(アメリカのギャグアニメ)っぽ過ぎて手に汗握る気になれない。
独特の"目"も、前作を見てないせいもあるが、説明不足でせっかくの設定が生かし切れてないし。
迫り来る太陽からキーラを救ったリディックが湯気立ててるのが良かった(笑)。

リトル・ミス・サンシャイン

想像を絶するダメダメ家族(笑)。
映画だから面白いけど、できれば実際にお付き合いはしたくない、濃いメンバー構成。
まず「この子がミスコン狙う!?」という所からもうダメなんだが(それ以前に「ガキのミスコンてどーよ?」というのもダメな要因だが)、トゲトゲ言い争いながらも無理して娘をコンテストに連れてくし、途中の数々の試練にもとにかく突き進むし、家族の絆は強い。
始めは呆れて見ていたけど、だんだん皆のしぶとさに感心するようになって来る。
車を押してスタートを繰り返す辺りの絵はアメリカ映画らしく楽しくて引き込まれた。
ポルノ雑誌の件も秀逸。エロは世界を救うかも。

爺さんが弱気になるオリーブを励ますとこは良かったな。
「ワシがオマエに惚れてるのは頭や性格のせいじゃない、美しいからだ」そして「中も外もな」。
これ以上の賛辞、これ以上の慰めが、あるだろうか?
ジジイ、意外にオトコマエである。

しかし、あんなエロジジイにダンスの振り付け任せたら、ああなる事は火を見るよりも明らかなのに(笑)
その辺り家族の誰も予想もしなかったと思うと、この一家のダメな理由が浮き彫りになって来るんだが…まあ、そのおバカっぷりが愛おしくなって来るんですけどね。

遺体強奪の件は本当に笑ってしまった。ちょっとエグいし不謹慎なんだけど(笑)
彼の国の法律は知らないが(日本の法律も知らないけど)なんとも融通の利かない事よな。
あの看護師だかなんだかの太ったオバサンが本気で憎たらしかった、彼女は職務を全うしてるだけなんだけど。
そしてそういう「しょーもない決まりごと」を破るのって、何だかワクワクしてしまうところ、あるよね。
それに、あの爺さんには似合いの末期と言うか、もうどこまでも迷惑でアウトローなところが、もはや天晴れである。

実は一番印象に残ったのは、長男君の色盲の件。
そもそもパイロットと喋らない事とが何の関係があるの!?と、いう話なんだが、あの年頃、そういうくだらな〜い賭けと言うかゲン担ぎと言うか、したような気がする、私も。ただ彼ほどには根性が無くて続かなかったし忘れたけど。
そして、大人になるにつれ、そんな取引ができる相手じゃなかったんだ、と思い知るワケですが。
私にも夢があったから、彼の絶望には本当に胸が痛む。
そして、それをフォローするのが長年暮らした家族ではなく、ホモで自殺未遂経験者の叔父さん、というところがまた、切ないと言うか納得と言うか。

グレッグ・キニア(『恋愛小説家』に『ふたりにクギづけ』この振り幅は凄い…)くらいしか見知った顔が無かったんだが、出演陣は皆好演。
と、言うか皆、本人にしか見えないところまでキャラが立ってる。
検索してみたら、爺ちゃんは『ロケッティア』のアレか、とか、長男は『ナイト&デイ』の彼か、とか、何より驚いたのがオリーブちゃんが『幸せの1ページ』さらに『私の中のあなた』の、あの子だったとは!泣いたよ私!!!
えっ、ちょっと凄くない?天才子役!?いや本編でもとてもいいんだけど、あの子。
と、いうように、けっこう豪華キャストと言うか、結果豪華になっちゃったよ、と言うか。
あ、ホモの叔父さんも『ゲット スマート』だったね。
素晴らしいキャストです、マジで。

「負け犬」とか「勝ち組」とか、イヤな言葉だよねぇ。
と、思うのは、自分が負けの方に分類されるからかも知れんが。
目を逸らして他の価値観に逃げる私より、真正面から挑むパパの方が勇敢ではあるな。
もっともパパは、また別の物から逃げているのではあるが。
んー、自分と向き合うとか、現実を見つめるとか、ありのままを愛するとか。書いてて背中が痒くなるような、そういう諸々から。
「本当の負け犬とは負けるのを恐れて勝負しない奴だ」と、エロ爺ちゃんも言ってる。
でもパパ、これで何か変わったんだろうか…家族の絆は実感しても、明日からはまたいつもの調子に戻りそうだけどな。
そういう懲りない感じもまた、愛おしくなってしまうんですが。

リトル・ミス・サンシャイン/byココアちゃん

「負け犬」一家のお話だけど、なんだかんだ言って全員皆やさしくてそれぞれ愛情にあふれていて
いいですね。パパもママも、おじいちゃんも、全員がみなきめ細かな演出で、いつのまにか好きになってる。
とりわけ真ん中にいるオリーブ!
最初から、失恋で自殺しかけたおじさんとの会話。
「おじさんには好きな人がいたんだけど彼には別に愛する人がいて…」
「男の人を好きになったの?…バカみたい!!」
ここで一気に引き込まれましたよ。
そうだね、おじさんバカみたいだね、と言うしかない。
その時の両親の慌てぶりもおかしいし。
パイロットになるために無言の願掛けをしてるお兄ちゃんもいい味を出してる。
ただ口をきかないだけで心底ネジくれてるわけじゃない、むしろ思春期で純粋なだけで。
実はこの少年がいつしゃべるか?と期待してたのよ。
絶対とっておきの場面で一言発するはずだ、と。
泣けるシーンでかな?と思ってたら絶望の局面でした。
「クソッタレーーー!!!みんな大嫌いだーー!!!」慟哭。イヨッ!そうこなくっちゃ!
普段偉そうなコト言ってるパパ、こんな一大事に結局かける言葉が見つからなくて、
オリーブに「…おまえ行ってこい」と転嫁するのはないでしょ!
で、彼女はただ寄り添うだけ。なんとかお兄ちゃんを立ち上がらせるのに成功。見事ね。
でもやっぱり一番素晴らしかったのはあのダンスシーンね。
おじいちゃん仕込みの下品なダンスを踊りまくるオリーブ、愛する娘を守るために
自ら踊りだすパパ、お兄ちゃん、ホモおじさん。
だめ夫に愛想をつかし夫婦の危機を迎えていたママの一瞬の決意の表情もいい。
「私の愛しい家族!みんな愛してる!」それは言葉に出さずとも。
勝ちとか負けとかどうでもいい、人生には意味がある!…のダンス。
ドン引きの観客席でイエーイ!最高!!って一人喜ぶおっさんもよかった。
ミスカリフォルニア(なぜか?アジア系)とか受付のおじさんとか、何気なく「イイヒト」が散りばめられているのも
リアルでいい感じね。「やな奴」との配置のバランスがきめ細かで。
これ、アカデミー脚本賞獲ったとのこと。さすがに無駄なセリフは一つもなかった。
そこも見事、です。

ちなみに、同じスタッフで作った「サンシャインクリーニング」は期待したけどイマイチ、でした。
(続編ではありません)

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<管理人からお返事>
おお〜サスガ、読みが深いと言うか、良く読み込んで(観込んで?)らっしゃる!
ああそうか、長男君の窮地に付き添ったのはオリーブちゃんでしたね。
ざっと見直して、なぜこのシーンが印象に残ってなかったのか不思議でしたが。
そうそう、あのミスカリフォルニア?良かったわ。いいシーンでしたね。

 

リバティ・バランスを射った男

あのチンピラがリー・ヴァン・クリーフだった事にビックリ!

ジョン・ウェインは、子供の頃は「別にハンサムでもないしなー」とボンヤリ見ていたのだが、大人になって見ると、なかなか素敵なのね。
何と言うか、お父さんっぽい(笑)。
手放しで甘えられそう。
頼りになりそう、という事なのかな。
色々とジェンダーに厳しい世の中になって来て、こういった「男らしい」男性が否定されていくのはちと寂しくはある。

一方のジェームズ・スチュワート。
こちらは絵に描いたようなクラシカルなハンサム顔なのだが、どうも(よくやる役柄を含め)好きになれない。
何と言うか神経質そうで、器の大きさを感じないのよ。
声もケンケン尖った印象で、あの声でガミガミ言われると(ドラマ内とは言え)イライラして来ちゃう。

その、素敵なダディのジョン・ウェイン(トム)が、好きな女の子を頭でっかちの若造ジェームズ・スチュワート(ランス)に掻っ攫われ、手柄を独り占めされて(させて、が正しいが)1人寂しく死んでいった、というお話。
まんまと美女を妻にして都会で大出世したランスはマスコミに懺悔するが、英雄のイメージダウンは受け入れられず、トムの名誉は回復されぬまま葬り去られる…。
うーん。
なんだかなぁ、なストーリーなんだけど、観てるとなんだか納得させられてしまう。
弱っちくて現場の役には立たないけれど、ランスは1人、巨悪リバティ・バランスに立ち向かった。
以前、スーパーマンがどんな大活躍をしても一般人の小さな勇気に感動してしまう、と書いたが、そういうモノなんだなと思う。

新聞屋さん、てっきり死んだと思ったらピンピンしてて、良かった!
あれくらいのバランスの人が好きだわ。
そう言えば回想シーンに入る前の冒頭シーンで出てきたっけ。
そこでヴァン・クリーフですよ
あれ、キレまくってるリバティ・バランスを「もう死んでる」と止めるんだけど、まだ生きてるの知ってたのでは?
そう言えば、酒場でも何となく事を納めてたし、"ボス"であるリバティのストッパー役だったのかもしれない。
なんて事を思ったり、なんだか深く考えると色々と面白くて、古い名画ってこういう"あそび"部分が多くて楽しい。

カクタス・ローズって花が出て来るけど、シャコバサボテンの事なんだ。
草木も生えない荒野の街に咲く、数少ない花。
本当のバラを見た事のない、荒野の美女。
この女優さん(ヴェラ・マイルズ)が本当に綺麗でノーブルで、とても田舎娘には見えなかった(笑)。

リプリー

世紀の二枚目と言われたアラン・ドロン主演の『太陽がいっぱい』のリメイク、と聞いて、大丈夫?マット・ディモン君、なんて思ってしまった。
ディモン君は私の大のお気に入りだけど、それだけに、正当派美男子とはちょっとズレる彼が心配になったんであった。

ストーリーは昔とほぼ変わり無く、有能で野心家だが後ろ楯を持たない青年が犯罪に手を染める物語。
でも、美貌のドロンは野心を演じた(ような印象、子供だったからなあ、私)のに対し、ディモンのリプリーは憧れや嫉妬に比重が置かれ、かなり趣きの違った映画になっている。

ディモン君のリプリーは、頭はいいがちょっと野暮ったい風情で登場。シャイな笑顔と不敵な目。おダサいメガネ君から、パリッと自信満々の魅力的なエリート青年へ。
二枚目過ぎない彼だからこそ、コロコロ変わる印象にもすんなりフィットして、しかもどれもウソ臭くてよろしい。
リメイクものにありがちな、「ちょっとそれは、今時…」という部分も無くはないけど、時代設定が古いままなのでそんなに違和感も無い。
それにしても、イタリアの警察ってアテにならないってのが定評なんでしょうかね?
ヘヴン』『ミニミニ大作戦』そしてこの『リプリー』と、本当にボロクソだわ。なんか分かる気もするが。

相手役?リプリーが憧れる放蕩息子を演じるのはジュード・ロウ。
こちらは過剰な程のハンサム顔。
なんの努力もせず、人生にちっとも真面目に取り組まない、恵まれて愛される、いいかげんで薄情な男。
ポッカリ開いた美しい瞳が、イタリアの青空に似合い過ぎる。
おダサいデイモン君と、ハンサムのマンガみたいなロウ君のコラボレーションが楽しくてたまらない。

ちょっと残念だったのが女優陣で、グィネス・パルトロウ、ケイト・ブランシェットと今を時めく実力派を揃えながら、両者の印象が近過ぎて相殺してしまった感がアリ。
50年代ファッションはとっても楽しめるし、二人ともキレイなだけに、もう一歩…と、欲が出てしまうのかも。
ところで私、パルトロウがリプリーを疑うシーンは、ちょっとビックリしちゃった。
お利口そうな彼女が、(しかもアーティストだし)ハンサムのマンガのバカ男ロウを、「本気で愛していたんだ!」という驚き。
それは私の甘さなんだけど、知的で自立した一人前の女が、スネかじりの放蕩息子を「魂で」愛する理由が分からない。もとより愛に理由なんて無いのだろうけれど。
だから、リプリーに泣きながら「あなたが殺したのよ」と迫るパルトロウは迫力満点、であると同時に、今まで余裕があって親切だったのが、追い詰められてリプリーを見下していた傲慢さが見えてしまうあたり、深いなあ、と感じ入った。
対するブランシェットは、どこまでも萱の外、お気楽で幸せなだけのお嬢様。その存在が眩しくて、ますますリプリ−を追い詰めてしまう、という役所なんだけど、もう少し頭悪そうな女優の方が良かった気がする。

そんなこんな、いささか地味になってしまった感はあるが、ディモンの「持てない者の悲哀」は切なくて、ドラマティックだ。観終わると、むしろ美男子でない男の話だ、と思ってしまう。
オペラにヨットに海辺の別荘と、当時の上流階級の生活ぶりも、ベネツィアの風景も美しく、楽しめる。
…で、結局君は誰が好きだったの?とリプリ−君に聞いてみたい気もしたが。
自分が誰を愛してるかも分からない程、彼の孤独は深かったんだろうな。

リベンジ・トラップ/美しすぎる罠 4/15

うわぁ〜。
ないわぁ〜。
芝居にしても、気持ち悪過ぎるっ!!

犬だけが可哀想だった。
あ、パパもか…。

タイトルに『リベンジ』って入っちゃってるのがどうかと思うんだけど、原題は違うのね。
邦題のセンス悪過ぎ。「美しすぎる」って何やねん。
原題は『Return to Sender』
まあ百万歩譲っても、自分をレイプした犯人と仲良くなるってあり得ないと思って見てはいたけど、それでも身体的に近付いたり見つめ合ったり言葉を交わすだけでも見てて虫酸が走った。
ヒロインのミランダは結果相当なサイコパスなんだけど、ちょっと神経質かな、とか潔癖症?程度の描写があるだけで、話がドンドン進んでしまうので戸惑った。

ミランダ役のロザムンド・パイクは気品ある美人。
強姦魔ウィリアムのシャイロー・フェルナンデスは、別にキモメンでも何でもないけど物凄く気持ち悪かった。多分演技が上手いんだろうけど本当にキモかった…。

結果は正直「ざまあ!」の一言なんだけど、せっかくのリベンジ部分を抑え過ぎた撮り方で、最後も本当に呆気なく食い足りない。
散々胸糞悪い「強姦魔と仲良し芝居」を見せられた後なので、もっとスッキリさせて欲しかった。
レイプ犯なんて皆殺しにすべきだと本気で思ってるから。

理由(1995)

ごめん、本当にご免。ちょっと笑ってしまいました(爆)。

ショーン・コネリーは素敵だけど、さすがに今回はあまり生彩が無かったような…。
(って言うか実はあまり仕事選ばないよね、コネリーさん…)
狙いなんでしょうが、最初からこの白人夫婦、ちょっとやな感じが漂ってて。
でもケイト・キャプショーが、普通に美人さんになっててちょっと驚いた。
その美人っぷりがまたね、恵まれた偉そうな白人然としてて。

そういう意味では"好青年"として登場するボビー君も、最初からやな感じ。
まあ、怒って当然な状況で登場だから、頭の良い彼のこと、うまい具合に自然に見える程度の怒り方にしたのでしょうが。
良いところ?を強いて挙げるとすれば、執拗にボビーを責める警官が黒人なところかな。
簡単に白人対黒人にしてない辺り。
あとはエド・ハリスはハマッていたな。すごい気持ち悪くて良かった。
本当に、それくらい。いいところ。

どうにも褒める気にならないのは後味の悪さのせいかと思ったが、良く考えたらけっこういい加減だよね。
ボビー君の"理由"、その気になれば記録が出ないモンだろうか。
留置所内での大怪我だもの。いくら何でも病院の世話にはなったでしょうし。警官の暴力とかなら揉み消されたかもしれないが。
たった一晩の拘置なら、酷い状態で出所したハズだしさ。
単にあの警官を悪者と思い込んでたから(顔怖いもんなぁ…)皆が見逃してしまったのか。
前途ある黒人の青年に味方する自分は差別心の無い善人だと酔っていたから調べもしなかったのか。
ドンデン返しもいいが、雑な造りだとイラッとするわ。

何も知らなかったであろうお母さんが、本当に可哀想だった。

リリー

珠玉の名作、という言葉があって、わりと簡単に宣伝文句に使われてしまっているけれど、この映画こそまさしくそれだと思う。
スケールが大きい物語でもなく、驚かされる急展開もナシ。1953年の作だから、みんなが大好きな(ごめん…)CGなんてむろん無い。ミュージカルに分類される事が多いけど、歌は1曲、ダンスが2曲、と至って地味だ。でもね。
だからこそ、そっと掌に乗せて、感触を楽しみたいような、そんな大切さが、この映画にはある。

主人公リリーを演じるのは、レスリー・キャロン。
美人と言うと違うかも、でも明るい可愛らしい顔で、元バレリーナだけあってダンスは素晴らしい、実際わりと庶民的な印象の彼女がひとたび踊り出すと、物凄くエレガントなのだ。
ミュージカル映画全盛期に、MGMの看板女優だった彼女の、中では小品だが、傑作だ。

物語は、孤独な少女リリーがサーカス団に拾われ、ハンサムで優しいマジシャンに恋をするが玉砕、今まで身近で支えてくれた人形使いの存在に気付く。
と、こう書いてしまうとありきたりに見えるでしょ?甘い。
いや、むしろプロットの普通さが普遍的な感動に繋がるのかも。
リリーは可哀想な生い立ちだけれど、ひねくれもせず心の素直な少女で(多分妄想癖が彼女の性格を歪みから守ったのだろう)、人形劇の人形に恋の悩みを相談までするとっぱずれぶり。
で、その人形達に命を吹き込んでいるのが、メル・ファーラー演じる「怒り屋さん」の人形使い。
脚の怪我で挫折して、こちらはかなり屈折しており、正面切って優しくできないものだから、リリーに怒ってばかりいて、人形の口を借りてしかまともに話せない、小学生のような純情さ。
メル・ファーラーはこの役でオードリー・ヘプバーンのハートを射止めた、というだけあって、ヒョロリと細長い体型に黒の衣装がとてもステキ。最大の見せ場であるリリーとのダンスシーンも美しい。
もう一つのダンスシーンも秀逸で、リリーが妄想の中で、片思いのマジシャンにセクシーに迫る、恋敵の美人とのダンス対決。赤いウェイトレス風の衣装は、とてもキュートで印象的だった。
失恋したリリーは妄想の中で本当の愛に気付き、自ら妄想を否定するセリフで幕が降りる。

映画紹介等で(たまに)見かけると、「子供向けだがいい映画」なんて書いてあったりする。
名画座の客席で、私はボロボロに泣いて、殆どしゃくり上げてしまったのに。
幕が降り、明りがつくと、周囲の女性客は、殆ど私と同じ状態だったのに。
一度でも少女だった記憶のある人なら、きっと引き込まれ、本気で感動するはず。
映画評は男が書いたのかな。

リンジー・ローハンの 妊娠宣言!?〜ハリウッド式OLウォーズ〜

まず、リンジー・ローハンって何者だっけ???
と、いう疑問が浮かんだくらい、ヒロインの彼女の扱いは特別。
言うなれば、ゴリ押しタレント主演のアイドル映画みたいなノリで、「なぜ!?」と思う。
ああ、歌手。お騒がせ。『フォーチュン・クッキー』は面白かったけど、ジェイミー・リー・カーティスの印象しかないわ。
あとあの母にしては妙にチンチクリンな娘だったという記憶。

それもそれだが、この世界の人々の"妊婦至上主義"みたいなのはどうなんだ?
独身の娘が妊娠したからって親戚一同集合してサプライズパーティとか、一夜の相手の子を産むと聞いて「シングルマザーは立派だ」とか、頭のネジが緩んでるとしか思えないのだが。
これがバリバリキャリアウーマンで経済的に余裕バッチリとかならまだしも、たかだか編集部の秘書で妹の学費に汲々としている身。
妊婦はヘマしても解雇できないとかも正気なんだろうか

日本でも少子化対策だの何だのと姦しいことしきりだが、産めばいいってモンじゃないでしょ。
いずれにせよ、すぐバレる嘘を平気でつく女も嫌いだし、それ以上に"妊娠"という、人の命に関わる問題を駆け引きに使う女は大嫌い。
映画の雰囲気からこのクソ女が相応の報いを受けるのは期待していなかったが、むしろご褒美満載の一方的ハッピーエンドで恐れ入った。

JUNO』もちょっとどうなのよ、と思っていたけど、これに比べりゃ全然マトモ
スキャンダル云々は全く知らないし興味も無いが、この主演女優?がちょっと嫌いになる程低脳で理不尽な内容だった。
ぶっちゃけ可愛くも美しくもなくて、もしかしたら歌は素晴らしいのかもしれないけど知らないので。
まあ、一種のアイドル映画と考えれば仕方ないかな、とも思うけれど(そんな扱いを受ける程の魅力をこの娘に感じなかった)。
溺愛される犬のくだりと、わずかに妹が正気だったのだけが救いのクソ映画。

ルームメイト

少なくともビデオ発売直後に観てるんだけど、当時からブリジット・フォンダの髪型がヘン(いや似合ってはいるんだけど)で、どうしちゃったんだろうと思ったのが第一印象。
中盤、このためだったのか、と納得させられるシーンがあって、なるほどと膝を打った。
ブリジットと、本来全然似てない印象のジェニファー・ジェイソン・リーが、なにしろソックリにならなくちゃいけなかったんだもの、そりゃあインパクトの強い小道具は必要だわ。

よくある「アブナイ侵入者」系の典型のようなプロットで、やっぱり最後はブチ殺して終了、といういつもの展開なんだけど、意外に楽しめる、特に前半。
女同士の関係として、割と世間でもありそうな、でも気持ち悪いエピソードが重なって、だんだんエスカレートして行く過程が面白い。
ほぼ心が決まった時点で現れたへディをルームメイトに選んでしまう"分岐点"の瞬間も良かった。
へディの、最初からちょっと…な部分を見せつつも、アリーの状況ではつい手を伸ばしてしまいそうな、説得力のある出会い。そしてそれに続く、元々素養のあるへディを著しく刺激する、アリーの態度。

ぶっちゃけ、「ここに住んで」と言われてすぐ「出てけ」と言い渡され、ましてやそれが男が理由と来ては、へディじゃなくてもキレようというもの。しかも不倫、最低。
私も入居半年でアパート建て壊すから出てけと言われて本気でキレたし、その後の引っ越しは本当に苦痛だったもん。"住む"といのは生活(=人生)そのもの、住居はタダの箱ではないのよ。
そういう意味ではヒロインであり被害者側であるアリーに、あまり同情の余地は無い。中盤までは自業自得、むしろドンドンやっちゃって!な気分で観た。
でもまあへディも、犬の辺りからすでに、コイツはダメだ…と思ったけれど。犬を道具にしたり、ましてや害したりする奴は、許されるはずがない。可愛かったのに。

使い古されたパターンでも、一ひねりのアイディアと丁寧なディテールの積み重ねで、いくらでも面白いモノは作れる、という好例ではあるが、終盤はやはり消化試合の様相で視聴のテンションが落ちてしまったのも事実。
アリーの恋人なんか殺されても何の感慨も無いし、平凡な女の子が正当防衛とはいえ平然と殺人を犯すのも受け容れにくい。
同じタイプの『エスター』も同様だったが、たまには"侵入者"の勝利で終わってくれてもいいんじゃないかと天の邪鬼な気分になるけれど、少なくともアメリカ映画では期待できそうにないな。

ルームメイト2

刑事、無能すぎ!(爆笑)

これ、かの『ルームメイト』の正統続編なの???
あまりのクオリティの落差に呆然。二代目名乗って良いレベルじゃないんですけど……(汗)。
ヒロインのクリステン・ミラー始め、キャストは全員ショボい上に、キャラクターが全員ロクデナシ過ぎて、誰にも肩入れできない。
そもそもヒロインはバリキャリ設定にもかかわらず、海辺でリゾートみたいな露出度の服で出社しちゃうし、お顔も頭悪そうで(笑)やってる事もおバカ過ぎ。
初代ルームメイトは性悪で仕事上もライバルと言うより足引っ張り合いだし、イケメンでもない恋人はたった一晩でルームメイトと浮気するし、これではせっかくのサイコな二代目ルームメイトが薄まってしまうというもの。いや、そうでなくても薄いんだけど。
冒頭近くの妙にクドいベッドシーンにしても、「これから三流エログロ映画が始まるよ」という宣言に見える。そういう映画なんだから正しいんだが、『ルームメイト』の続編としてはちょっとね…。

ラストもちょっと分かり辛く、ホラーにお決まりの怖さを残して終わりたかったんでしょうが、うまくハマッてなくてな。
って言うかあのカップルが今後幸せに暮らして欲しいとも思わないしな…。
キッチリしたテンプレ(危ない侵入者〜周囲が犠牲に〜ヒロインが撃退)は確立されてても、細部がダメだと全然ダメ、というお手本のような映画でした。

ルパン三世カリオストロの城

最初に謝ってしまおう。
実は私、宮崎巨匠はあまり好きじゃない。
それを前提に、話を進めます。
とは言え、『カリオストロの城』は、中では一番楽しめた映画だ。出来だって、未だにとても良いと思っている。
ワクワクドキドキの冒険活劇で、明るく楽しいコメディで、百戦錬磨の大人達とスレてない美少女とのマヌケなやり取りも魅力的。絵も、後のようなち密さは無いものの、丁寧で綺麗だし、なにしろ健康的でよろしい。
でもね。
公開当時、つまりまだ巨匠が世界の宮崎では無かった頃、そして私も、映画を見始めて日が浅かった頃だったけど、「エエ〜!?」って思った事が、一つだけ。
ルパンじゃないの、この映画。
戦い済んで日が暮れて、結局儲け話は水の泡、追っ手も来るので逃げ出すルパンの後ろ姿を見ながら、銭形が言うセリフ。
「奴はたいへんな物を盗んで行きました、あなたの心です」
っかーっ!!
銭型のとっつぁんが、そんなシャレた事言うかっての!
と、ここで振り返ってみれば、美少女クラリスが「私を連れてって、泥棒の修行をします」と健気にすがった時。
抱き締めようとする両手を必死で押さえて、サワヤカ〜に断るルパン。
オイオイー。
そんな常識的な奴だっけ、ルパン三世って?
クラリスの可愛らしさに目くらましを食らわされて、危うく見過ごすところであった。
バカ言ってんじゃないよ。
ルパンの行動も、銭形のくさいセリフも、おそらく大半のお客と、そして何より作者の気持ちを代弁したものだろう。
だから受けるし、作品としての出来も良い、のは分かる。
でもね。
こういう並列的な甘ったるさが、イヤなのよ、とは、後に宮崎作品を何作か観てから気付いた事。
当時はただ、「私はルパンを観に来たのになー」と思っただけ。
ちなみに、私が一番好きなシーンは、五ェ門が「(クラリスが)可憐だ」と頬を染める所です。

ルパン三世 princess of the breeze 〜隠された空中都市〜

あ、TV用?
まあいいやね。
カリオストロ』に良く似た、と言ったら意地悪な表現になるけど、そこまでセンチメンタルじゃない分印象は薄いが気楽に楽しめる、悪くない出来だと思う。(カリオストロは好きよ)

赤ん坊が全然可愛くない辺りがね(笑)リアルで笑った。
その可愛くないのに振り回され下僕と化すトリオが可笑しいし可愛い。
苦虫を噛み潰したみたいな顔で懐からオモチャやお菓子を取り出す五ェ門(ルパンからいちいち「日本へ行って調達したのか」と突っ込みが入る)に萌え
赤子を背負うというおよそサエないスタイルで銃をぶっ放す次元も超絶カッコイイ。

お下げの少女の出自は始まってすぐに察しが付いてしまうし、レジスタンスの頭夫婦が自爆するのは進行上早過ぎて裏を読みたくなってしまうし、ミステリアスな美形悪役キャラは蓋を開ければタダのスネ夫君だし、目玉商品のフジコちゃんは毒気を抜かれて全然活躍もしないし、銭形とっつぁんはいつもに増して走り回っているばかり。
と、色々と「なーんだ」感の強いストーリー展開ではあったけれど。
ちょっと萌えアニメ寄りの作画とか、生き別れの双子の姉妹が髪型が違うせいかそんなにソックリに見えないという(キャラデザインの問題と、そもそも双子も不二子も頭領嫁もたいして描き分けてないという問題も)不首尾も残念ではあるのだが。
冒頭のイタリアでの人気者パフォーマンスとか、レジスタンスの中で馴染んでる次元とか、全体の楽しい雰囲気が心地よい。
ストーリーも捻りは無いが、王家の生き残り、勇敢で愛国心溢れるレジスタンス、エコでスマートな飛行術(ちょっとガッチャマン笑)、鍵を握る宝石と、華やかで楽しい要素がいっぱい。

ドラマ的な濃さは無いが、期待し過ぎなければ十分楽しめると思う。
そして思う、やはり『ルパン』はヨーロッパ、イタリアフランスそして東欧とか、そういうのが似合うよね。元々初代はフランス人だし。
実写版はそこがそもそも大間違いだった。
胡散臭い謎の中年中国人ならともかく、イケメンアジアンスターなんていらないって。

原作者のモンキー・パンチ先生は亡くなってしまわれましたが、これからもルパン一座は活躍して行く事でしょう。

ルパン三世 ルパンVS複製人間(クローン)

ルパン三世は大好きだが、中でも多分、一番好きな長編がコレ。
1978年公開だから、絵は今見ればサッパリしちゃってるし、なにしろクローン自体が耳慣れない時代だったし、劇場版アニメだってそんなに多くなかった頃で、色んな脳内補正は入ってるとは思うけど。
でも、ハッキリ言って、面白い。今観ても、新鮮。

何と言うか、映画化に当たって、『ルパン三世』という企画をトコトン盛った、という気概と言うかを感じる。
いい歳した才能も実力もある大人達が寄り集まって、全力で遊んだ感じと言うか。
あちこちトンガッたりザラついてて、色々欲張ってチャレンジしてるけど、キャラクターは負けないだけの個性が確立されてる。無理無く生き生き動き回ってるし、なにより皆、愛おしい。

車が滝に飛び込んだ後に立つ虹。キリコやエッシャーが入り乱れるマモーの館。砂漠の夕日にハレーション。素肌に皮スーツでバイクに跨がるフジコちゃん…。
絵はサッパリ、と表現したが、マンガの印象を色濃く残しつつ、各所で鮮烈なイメージを描いて見せる。

ハードボイルドだよね。
ルパンを引き留める次元との会話とか、落ち込んで修行に出る五右衛門に、最後の斬鉄剣のカケラとか、もう、もう。
次元の「モンローとボギーは好きだけど…」の台詞とかね。
激烈カーチェイスの後で笑いが止まらなくなっちゃうとか。
今更言いたくないけどホント、君達かっこいいよ!
最後にルパンから逃げ場を横取りしておいて、「早く逃げた方がいいわよ〜」と上空から叫ぶフジコちゃんも大好き。コイツなら踏んでも蹴っても何とかすると信じてるんだよな(胸熱)。

公開当時、マモーの巨大な脳味噌はかなりショッキングだった。
生きるって何だろう、と、そこまで思ってしまった、若かった私。
ルパンの脳内をスキャンして行くと真っ白、というのも鮮烈だった。それを「神」になぞらえるのは、いささか無茶振りな気はするが、入り口はカオスだが実は邪念が無い、というのは実にルパンらしく、やはり愛さずにいられない。好き。

ド・シリアスなマモーの行く末を見送った後は、ルパン通常営業のドタバタエンディング。
トゥルーライズ』も真っ青のこれ死ぬだろ?って展開だけど、不死身のルパンと粘着銭形なら安心して笑って見ていられる。
と言うか、もうエンディングはタカラヅカのカンカンレビューみたいなモンでしょう(笑)。
そして爆撃シーンに被さって来る、三波春男先生の突き抜けた歌声で『ルパン音頭』。
ああもう、本当に何もかもが愛おしい。

言っても詮無い事ではあるが、やはり私にとっての『ルパン3世』はコレであって、どう考えても『カリオストロの城』は邪道なんだよね。単純に面白さも段違い。
とは言え、本作の翌年に『カリオストロ』が公開されたと知ると、改めてルパンという企画の凄さを思い知らされるのだけれど。

るろうに剣心

吉川晃司に江口洋介とな。
なんという兄貴祭り!

原作、殆ど未読。
アニメやラノベ原作の映画を観るに当たっては、特殊な技術と言うか作法のようなモノが必要なようで、その心構えをせずに観てしまうと悲しい結果になる…と、いうのが、だんだん分かって来た今日この頃。
公開から間を置かずに観た時は、正直ウンザリした「ソレっぽさ」も、覚悟して見直してみればさして気に障る事もなく、二度目はなかなか楽しく拝見できた。

まず私的お目当ての"兄貴"二人が、文句ナシにかっこいい。もうそれでいいや、今回は(笑)。
主演の佐藤健も、某刑事ドラマの爬虫類っぷりが嘘のように役にハマって可愛かった。
例え「ござる」のタイミングがヘンでも、ソコはそれ、上記の作法でスルー。
女性二人も、"ツンデレ"と"お色気担当"がいかにもなテンプレでゲンナリするが、ソコもほら、お作法で。武井咲ちゃんの帯の結びなんかに注目してると、なかなか楽しい。
しかし蒼井優ちゃんの方は、全然色っぽくないなぁ…本来は武井ちゃんの役のタイプだと思うんだけど。『フラガール』の可憐さが忘れられないわ。
この人は下手ではないんだけど、叫ぶ芝居とかは苦手なのかも。メイクも全然似合ってなくて、ちょっと可哀想だった。

この辺りの時代の和洋折衷の時代背景、すごく好き。
だから、主要人物がコスプレ祭りでも、脇を見てるだけでも楽しかった。
ストーリーは…正直、原作の予備知識も殆ど無いせいか、なんか闘ってるな〜、という事だけは分かった。
ちょっとワクワクとか、ハラハラとか、感動とか、そこまでは行き着けなかったな。
基本的に私は、この"剣心"のような人があまり好きじゃない、というのもある。
人斬りは闘って戦い抜いて、地獄に落ちちゃえよ。

るろうに剣心/by京都の金

ところで『るろうに剣心』って、アニメで見てたら気にならなかったけど、実写になったら、逆刃刀って、全然「殺さず」じゃねぇよ、あんな鉄の固まりでガンガン叩いたら、完全に相手死ぬよ?と、ワタシとワタシの周りがみんな思ったと言う話が(笑)

>

<管理人からお返事>
ですよねぇ。
達人の木刀は真剣と同じ殺傷力だって言うものね。ましてや鉄ではね。
とは言え、アニメ(漫画)原作の実写化の中では、かなり頑張ってる方だとは思うんだけどね。

 

るろうに剣心2京都大火編/3伝説の最期編

分けて書こうかと思ったけど、まあ、そこまでは。
まず全体を通じての残虐さと言うか殺伐ぶりに、ちょっと辟易してしまった。
"売り"であろうアクションシーンも、頑張ってはいるが早過ぎるのとワイヤー見え見えな動きが好みじゃなくて残念。佐藤健はどう見ても達人には見えないし…ソコがいいんでしょうが。

前作の感想を撤回したいのは、蒼井優ちゃんはメイクさんが慣れたのか、私の目が慣れたのか、なかなか魅力的に映った。武井さんの方は相変わらず顔可愛いね、止まりだったが。
藤原竜也はちょっと苦手(芝居が舞台過ぎて)だけど、『キングダム・オブ・ヘブン』のエドワード・ノートンばりの活躍で、顔の表情が殆ど見えないのにあの迫力はサスガ。って言うか私、芝居よりこの人の顔が苦手なのかも(笑)。
でもって、剣心の「ござる」に的確なツッコミをありがとう、溜飲が下がりましたわ(笑)。

静かにイカレた神木君も良かったし、左之助の青木崇高も全体通してとても好演だった。そしてやっぱり、この役の江口っちゃんはめっちゃかっこいいっ!!!!
に、引き替え、「先生」役のフクヤマさんは…うーん。容姿はオトコマエなんだけどねぇ、この人。


「れ、ろ」へ