さ行 さで始まるタイトルの映画

最高の人生の見つけ方

ジャック・ニコルソンにモーガン・フリーマン。
こんな名優二人を主演に据えて、面白くない映画作っちゃったら誰がどうやって責任取るんだという(笑)。
いえ心配は、全然無用ですが。

奇をてらった事は何も無い。誰でもちょっと思い付きそうな、でも突き詰めてはみないような、そんなプロットを丁寧に愉快に真面目に追っている。
死を覚悟した二人の老人が、死ぬまでにしたい事を集めた「棺桶リスト」なるモノを作り、どんどん実現して行くにあたり、リストの内容からだいたい先行きが見えてしまうし(「世界一の美女」とか)、片方のエドワード(ニコルソン)が大金持ちであるから実現できる事が殆どで、連れのカーター(フリーマン)はタダのツイてる奴、という気がしないでもない。「ああ所詮お金よね」という感想が浮かばぬでもないが。
まあ実際、人生の殆どの幸福にはお金が必要だし、この映画では残りのわずかなモノについてもちゃんと最後に提示してくれるんだが。その内容も全然意外性は無く、いわばマットウで正攻法。
それでも、手垢の付いた印象も無ければ退屈もしないのは、やはり二人の名優の力量によるところ大、そして軽妙洒脱な台詞のやり取りが見事な脚本の力、だと思う。

孤独な金持ち老人と、家族には恵まれても能力を生かせなかったと悔やむ老人。死病に冒されたタイミングで、互いの不足と充足がパズルのようにカチリとはまる、病院での出会いのシーンからユーモラスで引き込まれる。
その後の世界に飛び出す爺さん二人のエピソードの数々は、思ったより短く軽口で物足りない気もしたが、笑えるし観光気分にも浸れる。ワガママで刹那的なエドワードと、自分の殻がなかなか脱げないカーター。終いには「女みたいに面倒…」なんて台詞も飛び出す。
「棺桶リスト」をこなす旅は意外に早めに中断を余儀無くされて、完遂はならず。しかし一番肝腎なところは押さえた、と思っていいんだろう。
感動的な葬儀でのスピーチの後も、しばらく生き延びたと記されるエドワードのしぶとさも嬉しい。

駄々っ子のようなエドワードを淡々とフォローする秘書のトマスがとてもいい。
ちょっと意外だったラストシーンは美しく清々しく、"死"はただ悲劇だけではないと思わされた。
二大演技派スターが、重くなり過ぎず軽やかに演じた感がとても好きだ。

最高の花婿   

なんか大人になってから、妙にフランス映画、特に軽めのコメディが好きなんだけど。
これもなかなか面白かったです。

しかしご両親は本当に気の毒と言うか、お疲れ様、と言いたい。
美人の娘が4人もいて、婿が全員異邦人。
コメディ仕立てではあるが笑い事ではなく、移民が押し寄せるヨーロッパの深刻な問題になっているのだろうと想像に難く無い。
登場人物全員、特に両親は"善良な小市民"だから、決して宗教や人種で差別などしない。するべきでないと思っている。
しかし、無意識にあるいは思い余ってポロリポロリとこぼれ落ちる感情が、とてもリアル。
婿同士の小競り合いも、さもありなん。
フランス映画らしく、大悪人や知性の無い人が一人も出て来ない分、それぞれの言い分に嘘が無くて見入ってしまう。

それにしても四人姉妹が揃って美人!
そしてその美女達の夫が…文化人種の壁を超えて選んだ男達が、揃いも揃ってちっともイケメンじゃない(爆)。
本当にいつも思うんだが、フランス映画の女性は美しく素敵なのに、男はどうしてこうモッサリしたのばかりなのか?
正直これではちっとも楽しくないんですけど。
かろうじて素敵だったのはパパと、四女の黒人婿のパパ。ジジ専じゃありませんよ。
パパは田舎臭いが行い正しい紳士だし、婿パパの民族衣装の正装姿は本当にかっこよかった。
二人が呑んだくれて店を出る時には衣装を交換してた時は大笑いしてしまった。ドコで着替えた!?
しかも次の拘置所のシーンでは、またちゃんと元に戻ってる(笑)。
この二人がギスギスしたところから意気投合し互いを認め合う過程は愉快で思い入れを持って見る事ができた。
お母さん同士の、思うところはあれど極力平和に、という態度も、年配の上流女性らしくとても素敵。
育った文化がまちまちの4人の婿たちの子供のようなやり取りも面白かった。
結局本当に仲良くなれるかは疑問ですが。

結果全てを受け入れて、何とか仲良くやって行こうや、というところで映画は終わるが、宗教観や民族意識の違う同士が家族になるハードルは高い。
離婚率が高いと言われるフランス、中でも娘たちが住むパリでは特に高いとか。
どうなりますやら、というのが率直な感想だ。
そしてこれは決して対岸の火事ではなく、美しい島国である我が国にも、まさに押し寄せている危機でもあると思う。

最後の忠臣蔵 4/15

忠臣蔵は好きではない
全くもって共感もできなければ、美しさも覚えない。
曽根崎心中も。
それでも、タイトルに「忠臣蔵」の文字が入ったこの映画を観てみる気になったのは、「最後の」と言うからにはいつもの忠臣蔵ではなかろう、との予想の元にだった。

終盤までは、結構面白かったのよねぇ。
役所広司と佐藤浩市は鉄板、安心して見られるし、いつもかっこいい。
忠臣蔵の件りは最初にチラとなぞるだけで(福本清三さんも嬉しい)、その残党の物語、と思って見ていた。
覚悟を持って死ぬ人々を謳歌する『忠臣蔵』を、別角度から見せてくれるのかも、と、淡い期待を抱きもした。

そして何より、物語の中核たる"姫"こと可音(かね)を演じる桜庭ななみが、とてもいい。
ちょっとなんですかこの可愛い顔は?
可愛らしく美しいだけでなく、凛として上品、武家の息女に相応しい強い目と、若い娘らしい甘やかな頬のライン。
演技も、主に役所広司という大御所相手に堂々渡り合っていて、頼もしい限り。
公開は2010年。今まで全然知らない人だったので、12年間何してた!?
と、思ったが、そこそこお仕事はしている模様。
何故こんな良い女優さんが台頭して来ないのだろう…???

で、その可音は役所演じる孫左衛門が、討ち入りの際に大石内蔵助に託された赤ん坊。
要は大石の御落胤、という事で、孫左衛門は男手一つで懸命に育て、武士の心を説き、可音は健やかに美しく成長。
二人は主従であり父娘であり、心の内では恋人でもあった。
美しい年頃の娘に成長した可音からその心をぶつけられ、孫左衛門の胸をよぎるのは『曽根崎心中』の謡。
口にこそ出さないが、姫と思いを遂げ逃避行の果てに…と、その思いを抑え付けて。
姫を見初めた裕福な若旦那との縁談を勧めると、最初は怒って抗ったが、やがて賢明な彼女は嫁ぐ決意を固める。
その言い分がまた美しい。「孫左衛門の言う幸福とやらを味わってみたくなった」と(味わえるかは不明だけど)。
白無垢に身を包んだ可音を前に花嫁の父気分で、幼い可音を回想する孫左衛門。
シッカリしていても可音はたったの16歳、孫左衛門にとっては泣きべそをかく少女はきっと、つい最近の事のようだろう。
この辺りはちょっと、うるっと来てしまったんだけど。
(私はここで終ってれば良い映画だったと思っている。制作サイドの思惑とは全く違うのは承知で)

ここからが無駄に(私にとっては)長く、無駄にクドい
花嫁行列に、次々と合流して伴をと願い出る、赤穂の浪士達。
悪いがあまりのしつこさに笑ってしまった。
ああしまった、これはやはり、忠臣蔵だったのだ、と気付き、うるっと来た自分を嘲笑う。
可音は賢くキッチリ育てられたとは言え、大石の娘として堂々と"臣下"を労って見せるのも、ちょっと失笑した。
そして最悪なラスト。
え、これ、可音が後で知ったらどう思う!?貴方それ考えた???
完全に、自分一人の自己満足だよね。仇討ち組の覚悟はまだ、藩の面目やら再興への希望やら、曲がりなりにも意義はあったが。
なにやってんのアンタ。
色々我慢し過ぎて心が病んでしまったのかも。と、いうくらいしか、理解の仕様が無い。
薄々察知しながらフラれて引いてしまう元島原太夫も大概だし、おかしなタイミングで乱入しては褒め称える佐藤浩市(吉右衛門)も間抜けにしか見えない。
長々と何を見せられていたのか、って、忠臣蔵でしょ。

ああやっぱり忠臣蔵とは、絶望的に相性が合わないんだわ、私。

サイコハウス

名作『ゆりかごを揺らす手』と、比べてはいけないと思うのですが。
さらに名作『エスター』をも思い出してしまうから、なんだか気の毒になってしまう。
序盤は少々退屈で、安っぽい演出が目立ったが、中盤以降(アビーちゃんがサイコ全開にするにつけ)なかなか引き込まれて面白かったんだけど。
なんだろう、サスペンスとしてもホラーとしても、心理ドラマとしても、どうにも物足りなさが残る。

殆ど始まると同時に、例の「ヤバい他人が家庭に入り込んで暴れて最後は始末する」パターンだと分かってしまうので、そのラインに沿って各細部をどう見せてくれるか、誰をどう殺すか、仕留めるのは誰か、というような事が興味の対象にならざるを得ないのだが。
悪くはないし、特に被害者に関してはほぼ不満も無くやられるべき人がサックリやられて行くのだが、順当なだけにやや薄味
「え、彼女はちょっと…」というのが、行き過ぎず適度にあると、怖さも憎さも増すというものなんだけど。

若く美しいベビーシッター、"サイコ"のアビーを演じるマリアナ・クラヴェーノは…お顔がゴリラで時々残念。
スタイルがいいし顔のバランスも悪く無いので、だいたいは「美人」と納得して見ていられるのだが、時々「うん?美人…だよね???」と、不安になる。
特に笑顔がゴリ倍増しで本当に残念。
やっぱりこの手の娯楽作、ヒロイン(は、ママではなく彼女だと思う)が魅力的でないと視聴意欲も半減。

だからというワケでは決して無いと思うけど、そんな若いピチピチ美人に露骨に迫られても微動だにしない鋼鉄の貞操のパパといい、最後の最後に縛られるだけで殆ど危険に晒される事無く終わる子供達といい、両足首骨折という中途半端な結果にはなったものの、殺すまでの意図は持たれなかったであろうママといい、どうにも何だか薄味で残念。
おまけに、冒頭のショッキングな"救出"シーンから、アビー(本名はリンダだっけ?)がサイコに至る生い立ちが説明されるに至り、「なんか可哀想じゃんこの子」ってなって来ちゃうし。
離婚歴アリの友人がアビーの母親に会いに行ってまで過去を探ったり、ちょっと面白くなりそうだったのに、結局危ないところに駆け付けるだけの役回りで残念だったし。
最終対決も、うーん…ママ勝てないでしょアレは(笑)。

パターン通りのプロットだけに、もうちょっと工夫と盛り上げが欲しかった…。

サイレントヒル

いやぁ〜つまらなかった!

と、あまりのストーリーのいい加減さに不思議に思っていたら、元はゲームと知って納得。
あの適当な話に、やたら凝った映像イメージはどうした事かと思ったら、そういう事ね。
色々とキモチワルイものが出て来たわ。

えらい美少女と思ったら、『ローズ・イン・タイドランド』のジョデル・フェルランドちゃん。
母親役のラダ・ミッチェルも、警官のローリー・ホールデンも美人だが、だからなんだと言うレベルでつまらない。そしてゲームと聞くと、ああ女警官のキャラとかゲーム的、とまた納得した。
なにしろ登場人物の行動が、いちいち無理矢理っぽくてな。
怖がらせるための設定・展開でしかなくて、結果人物に思い入れできないから、全然怖がれない。
少女は運命的に翻弄される役どころだから良しとしても、母親は色々乱暴で軽率過ぎるし父親は役立たず過ぎ。女性警官も何しに出て来たんだか………orz

おそらくゲーム上で世界観はかなり確立されているのでしょう、不気味ながらも美的な環境、そして怪物。残虐シーンもあるにはあるが、ストーリーにリアリティが無いせいか、あまり嫌悪感は感じなかった。でもゴキブリだけは、カンベン…(泣)
魔女裁判とか、かなり私好みの題材なんだけどなぁ。
コレに限らず、ゲームを全くしない人間なもので、制作陣にしてみれば「猫に小判」状態なのかも、多分半分も理解できてない気がする。

美少女フェルランドちゃん、二役?三役なのかな?素晴らしい。
どうか彼女に、もっとマシな出演作を!

ザ・インターネット 

2000年問題以前のコンピューター観と言うか、今観るとそうでもないが、当時は「怖〜い!」って驚きがあったんだろうか。
結局人類は怖さよりも便利さを重視して現在に至るワケで、現代社会で大きな組織がソノ気になって取り組めば、人一人の存在を抹殺するくらいお手の物、ではなかろうか。
しかし、元も子もないが、あれだけ乱暴な人達なんだから、あんな手の込んだ事をして彼女を別人に仕立てなくても、物理的に抹殺する方がお手軽なんだけど。なぜ(他の人はサクサク殺すのに)彼女「だけ」にあんな真似を、という理由が不明瞭。捕まえて拷問でもしたらヨロシ。
つまりストーリーの根幹が私にとって「???」で、どうも「コンピューターってこんな事もできるんだよ!ホラホラ!」というだけのアトラクションムービーにしか見えなかった。

とは言え、ヒロインのアンジェラという女性の人となりはなかなか面白い。
引き籠もりのコンピューター技師、腕は良いけど人嫌い?でもオタクにありがちな、あり得ない理想の王子様を夢見ていたりもする。
そして認知症の母が施設にいて、その母のボケっぷりが妙に美しくてどうなんでしょ、というのもあるが、まあ切ない状況でもあり、弱味を抱えているでもあり。
サンドラ・ブロックはいつでも元気いっぱいで観ていて心地良いんだが、反面サッパリし過ぎて食い足りない。美人なんだけどねぇ。
コンピューター技師仲間も、精神分析医も、いい感じの人達だったのに、本当に気の毒だ。
あ、冒頭の議員の自殺シーンは、なかなか印象的で良かった。
中盤まで翻弄される一方だったヒロインが、終盤開き直って攻撃に転じる、というのは常套ではあるが、サンドラさんには無理なく似合ってると思う。むしろ前半のブリッ子ぶりが笑えるかも(笑)。

ネット創生期の感覚を色濃く残すという意味では、懐かしく観る向きもありましょうが、中心の犯罪部分がオソマツで、とても残念。

ザ・ウォーカー

デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニスという花(華)も実もあるキャストを揃えて、何とも地味な…と、思って見ていたら、中盤いきなり引き込まれた。
まあ、地味は地味なんだが。

最初『マッドマックス』的な世界観、と思ってそういうのを予想したせいかもしれない。
画面は終始セピアがかって、ちょっと『300』を思い出す。荒涼とした大地が延々と続く中を歩く"ウォーカー"に、その色はとても似合う。長身でガタイが良く黒いD.ワシントンが、絵になる。
そう言えばD.ワシントン、一時期老けてふやけた印象だったけど、それなりに枯れてまたイイ感じになってた。
このセピア画面、最初ちょっと違和感があったが、話に引き込まれるうちに気にならなくなって、終盤また急に気づかされて「あ、そうだっけ」と思った。伝説へと繋がって行くだろうエピソードに、この色合いはまた似合う。

しかし聖書についての両者の見解は、私としてはどちらも正解で、そこも興味深かった。
どんなに素晴らしい心理が記されていたとしても、あの本の名の元に滂沱の血が流されて来た事もまた事実。
俺のために祈れ」と繰り返すカーネギー(オールドマン)が、とても印象的だった。
それでも、荒廃した世界観の中、時折引用されるその本の中の言葉は、それなりに感動的ではある。

でもミラ・クニスってクルスじゃなかったっけ???
Mila Kunis…どー見ても"クニス"だわな。以前は誤植?耳慣れないからか?こういうの時々あるよね、ユマ→ウマ・サーマンとか、アーノルド・シュワルツェネッガーなんかシュバルツェンネガーとか表記されてた…まあカタカナに当てはめるのが無理なんですが。
ブラック・スワン』の彼女も素晴らしかったが、今回も良い。
目力っぷりも良いし、顔全体の緊張感が凄くいい。
"ソラーラ"って名前も、なんかイイ。ちょっと現実を逸脱したムードが良く似合うのね。
アクションシーンもサマになる。
ラスト前の大立ち回りは目が覚める思いだった。
デンゼル&ゲイリーのベテラン名優コンビにも引けを取らない風格!
あのスキンヘッドの大男は、どうした?と思ったら彼女に気があったのね。あら可愛い(笑)。

ジェニファー・ビールスは分からなかった!
って言うかもはや黒人に見えない…まあ、今でもお美しいですが。

THE有頂天ホテル 

オダギリジョーと唐沢寿明の、特に頭にビックリ(笑)

凄い豪華キャストなんだけど。
三谷幸喜、『古畑』や『王様のレストラン』は大好きだったんだけど、どうも映画は楽しめない。
短い時間内に始まって完結するのが基本の映画では、この人の無理矢理さとか強引さがとても鼻に付くんだよね。
連続ドラマだと1時間ごとに間が空くし、途中何話か見逃したりして薄まったり、『古畑』なんかはむしろその強引さが正和様にピッタリで楽しかったんだけど。
苦手な三池映画の中でも、特にこれはダレた雰囲気で、有頂天なのは出演者だけ、みたい。
なにしろちっとも笑えない

ホテルって、そりゃあ色々な人が集まって、色んなドラマが詰まってそうだよね。それも大晦日なんて。
登場人物が多い映画は嫌いじゃない(『ラブ・アクチュアリー』とか大好き)けど、それはあくまでうまく回っている場合。
ここに出て来る人達は、何か皆同じような性格に見える。見栄っ張りで流されやすく、せせこましい。
アヒルが行方不明になったり、売春婦がウロウロしたり、政治家や芸能人をチラホラ見掛けたり。
普通に撮った方が、ずっと面白くなりそうなのに、一々反応が面倒臭い

特にウザかったのは松たか子の客室係が愛人のフリするくだりと、SMAP香取の存在かな。
前者はそれこそ無理矢理過ぎてウンザリだったし、後者は何の意味があって出て来たのか全く分からない。ギターのプレゼントも、それ背負って部屋掃除も、無理すぎる。
ずっと同じテンションでダラダラとニギヤカで、かえって眠くなってしまう。

役所広司も佐藤浩市も相変わらずかっこいいし、金髪ウィッグの篠原涼子は抜群にキュート。西田敏行に伊東四朗、津川雅彦まで揃え、堀内啓子、YOU、原田美枝子、ついでに大島美幸までと個性派女優も連ねて、このつまらなさはある意味凄いかも。

サウンド・オブ・サンダー

うん。
駄作ってあるんだねぇ、と、しみじみ。

肉食中型恐竜の群れが迫って来るのに身体が動かなくて現実逃避を企てる黒人のシーンは良かった。
恐竜の動きもニョロニョロしてて気持ち悪かったし、あのサイズって襲われたら痛そうで凄い怖いのよ。『ジュラシック・パーク』もそうだったけど、いっそT-rexなら一思いに殺ってくれそうでまだ気が楽と言うか…。
あそこがハイライトだったな。

後はもう、ありきたりな展開、安っちいCG、どーでもいい世界の終わりと、全く気分が盛り上がらず。
元々私、タイムトラベル物が好きじゃないんだけど、それでも『ターミネーター』は大好きだし、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は傑作だと思うのよ。変わり所で言えば『バタフライ・エフェクト』とかさ。
本作はまさに、バタフライ一匹が破滅に繋がるワケだけど、今更「そんな事かあぁ!」とかって感動も無いよね。
そもそも蝶と言わず、例えば肉眼で見えないダニとかウィルスだって、先の時代にどう影響を及ぼすか分からないワケだし、「○秒後に死ぬ事が分かっています」とかってこんな企画が通るハズがない。
と、ここまで書いて、でも煙草は禁止にならないし原発は稼働し続けているよな、と妙な方向に思考が向かってしまった。パチンコだって野放しだし。
確かに人類は、それ程賢明ではないのかもしれないが。

冒険活劇って実は、ラブロマンス以上に主演男優の魅力(セックスアピールと言ってしまっても良い)が重要な気がする。
エドワード・バーンズ、ピクリとも来ないんですけど。
なんだろう近頃のハリウッド映画俳優は。ベン・アフレックだのイーサン・ホークだの、別に不細工ではないんだけど。目に知性のカケラも無い。"handsome"が"有能"、"smart"が"聡明"と訳されるように、知性と色気は双子の兄弟だからさ。

サウンド・オブ・ミュージック 

この映画、そんなにいいかぁ!?
ミュージカル映画、あんまり好きじゃない、と私が言い出した原因って、このあたりだって気がする。
曲はどれも、すごくいい。
私は『もうすぐ17歳』が好き!『ドレミの歌』や『エーデルワイス』はもとより、『私のお気に入り』も大好き!
スイスの自然も確かに素晴らしい、って言っても印象的なのはオープニングシーンだけなんだけど。
なんで楽しめないんだろう。考え込んでしまいましたわ。

1:ヒロインのマリア役のジュリー・アンドリュースが好きじゃない。
2:ジュリー・アンドリュース演じるヒロインのマリアが好きじゃない。
3:ストーリーがつまらない。
4:子供がいっぱい出て来ても私は別に楽しくない。
だめだこりゃ。

まず、1と2はかなりどちらがどうとも言えないんだけど、映画女優はもっと美人がいいなあ。
明るく親しみ易い、というよりは、ガサツで無神経に感じてしまうのは私だけ(多分そうだ)?
修道院を出てトラップ家へ向かう道すがら、ギターケースをブン回して歌い踊るマリアの姿は、「ミュージカルだから」では済まされない、と、私は引きまくったさ。
歌がうまいと言われれば、あ、そうね、って思うけど、特別好きな声でもないし。
そしてマリアというキャラクター、実は(昔の)少女マンガや青春ドラマにものすご〜く多いヒロインのタイプなんだけど、「私って素直で明るいの〜♪」と言いながら他人の心にズカズカ踏み込んで、ちょっと本当の事を言われるとメソメソ逃げ出して(明るさはどうした!?)、そして男が追って来てくれて全てメデタシ、っていうの。思い入れ、できないのよ、私、このタイプ。

さらに3については、実話と聞いて納得しないでもないけど、だからって後半の取って付けた感が許される訳じゃない、実話の映画でも、いいものはちゃんとあるんだから、これって明らかに構成の問題
4は、もう仕方ないね、好みだから。でも、子供を扱っても好きな映画は私にもあるし、やっぱり子供に対する扱い方が、いただけないんだと思う。

と、あれこれネットで調べつつ、こきおろしているうちに、このロバート・ワイズって監督、『ウエスト・サイド物語』も撮ってるんだと知った。
おお!私の嫌いな2大ミュ−ジカル映画、同じ監督だったのねん。
あれ(『ウエストサイド』)に比べれば、こちらは少なくともサウンドトラックが好きなだけマシか。
つくづく相性が悪いのね。

ザ・ガンマン

ショーン・ペンは渋くて素敵なんだけど…うーん。
あとタイトル、これなんだ。原題も。

退屈する程ではなかったけど、面白くもなかったなぁ。
人殺し過ぎでハッピーエンドに爽快感が無い
いかにも怪し気過ぎるコックスが登場時から「え、これ放置しちゃう?」だったので、正体バレでも何の驚きも無かったし、アニーさんはたまたま恋仲になった男がこんなんでとんだ災難だったとは思うけど、彼女に特に魅力も無く(女優さんは美人)"主人公の思い人"という記号でしかない。
唯一ちょっと魅力的だったスタンリー殺すなや!
「やっと人生楽しくなって来たのに」って言ってたのに。
女殺したら良かったのに。
そしてラスト、おっさん二人で「あーあ〜」って終わるの。いいじゃん?

フェリックスのうろたえ方もわざとらしくてご都合的に感じた。なんで乾杯やねん?
ところで私、"フェリックス"って言うと、あの猫ちゃんの漫画を思い出してしまうのよ。
なんかカワイイのが脳内を駆け回って、集中できなかった(笑)。

しかしショーン・ペン、押しも押されぬ演技派なのに。
なぜこんな凡庸な、楽しくもない娯楽作?に出演してしまったんでしょうか???
すごいカラダ作ってて、うん、カッコよかったんだけど。
発展途上国への搾取問題とか、色々問題提起したかったのかもしれないが、中途半端で「だからなに?」状態だし。
せっかく味のある名優(レイ・ウィンストン、ハビエル・バルデムも)集めても、見せ所らしい演技も無くて、ストーリーがこれではね…。

ザ・キーパー[監禁]

マザコン老人の警官がストリッパーを監禁するという(笑)企画ほど中身は笑えなかったけど、ソコソコ気持ち悪かった。

どうしても『コレクター』を思い起こしてしまうのが(勝ち目的な意味で)残念なところだが、フラットに見ればそれなりに面白く、分かり易く説得力もある。
名優デニス・ホッパーはいかにも気持ち悪く、しかし「優秀な警官」としての外向きの貌にも実在感があって、なかなかに怖い。

そしてもっと気持ち悪いのが、マスコミ関係の女性。
あのおばはんは本当に壊れっぷりがヤバくて怖かった。簡単に退場してしまったのは残念だったが、イヤだったなぁ、あれ。
被害者のストリッパーは、育ちの悪そうなケバい感じがピッタリ。でも意志の強さを感じさせる強い表情が良かった。…相当メンタル強いよね。
途中デニスおっさんが(彼の好みであろう)服をプレゼントするが、その似合わない事(笑)。

マザコンを持って来る辺りはありそうな話で怖いし、「ポイント制度」は、なかなかのアイディアだったと思う。すごくウザいわ。実際“ポイント制度”ってのは、相手(客)を拘束するのが目的だものね。
『コレクター』と違う結末も、このおっさんでは同調する人はいないと思われるので、正解だったと思う。
ただ解決のとっかかりが全くの偶然だったのは、ちょっと物足りなかったかな。

魁!!クロマティ高校

原作未読、アニメも知らず、名前だけは聞いた事がある程度。
タイトルやポスターから何となく「ああ、またヤンキーの闘争とかか」と、全く期待しないで観始めたのだが、良い意味で裏切られた。
冒頭のモノクロ写真とナレーションで「うん?」となり、山本君が入試に落ちた辺りで「コレはイケる!」と確信。

地球防衛軍にエクソシスト(かなり忠実に再現)に少林寺(身体能力的に再現は無理)って、いったい作者は何歳なんだ?
フレディも嬉しい、しかも渡辺裕之!目を疑ったわ。
おまけにラスボスが『宇宙猿人ゴリ』って…テーマ曲フルって…部下は"ラー"って…あの円盤………!
いやいやいや、嫌いじゃない、むしろ好き

これは原作が面白いのかとネットでチラ見(合法)してみた。
面白いし、なにより映画のキャラ再現度がナカナカのもの。
フレディは日本人としてはこれ以上望めない出来だし、主演神山役の須賀貴匡君はスッキリとした美形だし、知らなくてもプロレスラーと分かる竹之内、本当に存在感が薄くて誰が演じてるか分からなかった前田君(山本浩司)、突然の遠藤憲一、これまた美形の北斗はちゃんとサラサラロングヘアで出て来てくれて嬉しい。
メカ沢君も可愛くて良くできていた。
板尾?と思ったら構成もやってるのね。多彩。
あ、阿藤快さんも良かった、なんだかいい人だ。松崎しげるもね。

ありがちな下品な下ネタや鬱陶しい女子がシャシャる場面も無く、ひたすらにバカ男達がバカを真面目そうにやっているのに好感が持てる。
そのくせ仲間が集まり、バラバラになって、一人また一人と戻って来るとか、王道のルールをちゃんと抑えていて油断すると感動しそうで危ない危ない(笑)。
ラストの三段オチまでキッチリ笑わせてもらいました。

さくや 妖怪伝

うーん、やっぱ、語りにくいんだよね、知り合いの作品って。
なんと、この映画、監督(原口智生)脚本(光益公映)出演(忍者の猿鬼役の逆木圭一郎)と、三人も友人が関わってる、おかげ様で京都まで撮影見学にも行っちゃってるしね。

全体的に、楽しい映画に仕上がってると思うの。
凶悪なカッパ(この顔はかーなーりショッキング!)に始まり、化け猫やら土蜘蛛やら、恐ろしくもどこか郷愁を感じさせる妖怪達。
天変地異に始まり、咲夜(さくや)と太郎との交流と葛藤を交えながらの妖怪退治の旅を経て、街をブチ壊して大暴れの松坂慶子様を退治して、大団円になだれ込む構成は、スケールの大きな世界観を感じさせて頼もしい。 
途中折り込まれる、忍者の凸凹コンビの漫才みたいなやり取りや、「害の無い妖怪達」へのあったかい視線、太郎が雷に打たれるシーン(私、こういうベタなギャグが大好きだったりする)等、このユル〜イ感じもなかなか心地良かった。

主人公の美少女剣士、咲夜は、どこまでも強く正しく凛々しく、迷う事を知らない。
一方弟として育てられたカッパの子、太郎は、その生い立ちからしたら当然だけれど、惑いの真只中。
個人的好みとしては、迷わない主人公って、イマイチだなあ。かと言って苦悩ばかりしているエドガーやアムロもウザくて付き合い切れないし、そこらへんのサジ加減が評価の分かれ道かも。
ネットの映画評で、 口の悪いのが「カッパの太郎奮戦記」と言っていたけど、ある意味それは正しくて、太郎の成長物語として見ると、感動的だったりするのよ。
でもやっぱり、カッパが主役ってのも、いかがなものか…ってのは、分るんだけど。

で、ドラマとしてではなくて、ホラーもしくはファンタジーとしては、けっこうイカシている。
後半の土蜘蛛の配下の鎧姿のゾンビ(怨霊武者というらしい)とか、妖刀村正の扱いとかは、かなり私好みで、ドキドキさせられた。咲夜役の安藤希も、飛んだり跳ねたり転がったりの大活躍、撮影現場で実物を見ているだけに、あの小さい子が(ホントーに小柄で華奢なのよ!)頑張ったなあ、と、感慨ひとしお。
松坂慶子さんも、これも好みだけど、ヘタに顔いじったりしなくて、私は良かったと思うなあ。キレイなものがコワイのって、好き。

最後に、咲夜の父親役で冒頭登場する藤岡弘様の胸板の圧さには、本当に呆れ返ってしまいました。

さくや 妖怪伝(byコーキ)

妖怪映画のようで実は等身大ヒーロー物だって事は藤岡弘が妖怪討伐士の先代として物語の最初に登場した時点でかんじました。
さすがに原口監督だけあって利根川の大河童が迫力ありましたね。
大映の妖怪映画とかだと多少可愛く怖さも無い河童が普通に出てきますからね。
ストーリーはエンターテイメントしてて面白かったです。
あんな掛け合い漫才のような忍者なんて居る訳がなさそうなんですが、この映画のノリには妙に合ってました。
実際この映画を見て知り合いのひいき目でなく楽しめました。

それから、、、。
先代妖怪討伐士→娘の討伐士
利根川の大河童→息子の可愛い河童
とイメージが変わって良い感じでした。

松坂慶子も巨大化したら妖怪っぽく怖い感じだったらなぁ。
あの顔がそのまま巨大化するなら東京電話のCMに良さそうですね。
ってな感じで見終わった時は感動していたのは事実だよん。

ザ・グリード

ヒロインが美人でスタイルいいな〜と思ったら『X-MEN』のジーンでしたか。そりゃ綺麗だわ。
真っ赤なドレス姿も良かったが白シャツも素敵。これだから美人はもう。
もっとフジコちゃん的活躍をしてくれるかと思ったのにおとなし目で残念。
ヒーローもナカナカ色男で、そんなに活躍しないけどまあ、良かった。

豪華客船の中の様子(いきなりの和太鼓演奏!)とか、パーティー会場にに大量の水が流れ込むシーン等、見どころはあったし、悪役サイドが本当に皆憎たらしくて良かった。
悪くない方も殺さないと盛り上がらないんでしょうけど…まあ、うん。
ストーリーはあって無いようなモンだし、出て来てしまえば怪物もそんなに、なんだけど、気楽に楽しむには良いレベルかなと。
しかし最初「ワーム」と言っていたのに、タコだったよね…途中から断りも無しにタコの実話語られてたし。
西洋圏ではタコは「悪魔」と言われるそうだから、「タコの八っつぁん」で親しんでる日本人には理解できない不快感や不気味さがあるのかもしれない。

しかし、よくあるB級パニックもの、と思ったけど、20世紀の作だったのはちょっとビックリ。
諸々良く作ってありました、怪物そんなに出ないけど。
これが『トレマーズ』以前だったら「すごいっ!」ってなったかもしれないんだけど、10年近く後だからなぁ。

テロリストの親分の最期は印象的。
イヤだね〜あんな状況!からの、まだ攻撃するか?の、あ〜あ、やっちまった…という。
「恩知らず〜!」と言って去るパントゥッチもいいキャラだし。
ラストは妙にサワヤカで、いい気なモンだと思ったけど、お約束のオチもあって、後味も悪くなかった。

サクリファイス

それまでの私にとって、映画は主に「ストーリーを楽しむもの」であり、「かっこいい男や美しい女を鑑賞するツール」だった。
友人に連れられて、すでにタルコフスキーの遺作となっていた『サクリファイス』を劇場で観て、初めて「映像美」という言葉が実感を伴って感じられた。
それ以前、例えばヴィスコンティとか、「綺麗な物を撮っている」のは分かっても、映像自体に感銘を受けたとは言えなかった、と思う。
一つには、いわゆるストーリーが難解で要約しにくい、という事情もあって、なおの事映像に心が動いたのかもしれない。
もちろん、ストーリーも、テーマ性も、優れたものに間違い無いのだけれど。
正直に打ち明けてしまえば、私自身どこまで把握できているのか、皆目分からない、それくらいの不親切さが、この映画にはある。

で、映像。
黒が、素晴らしく美しい。
枯れた野原も、ぽつんと建つ家も、室内風景も、柔らかな湿り気をおびて心地よく懐かしい。
そして炎。こんな美しいものが、この世にあるかと思う。
すっかり炎に興奮した私は、ストーリーマンガを1本描き上げ、後にその事をまたエッセイマンガで描いた。
こんなにダイレクトに刺激された映画は珍しい、それも脳味噌の表層でなく、奥の方、は虫類のあたりに来ちゃった感じなんである。

映像に感嘆しながらも、絶え間無く襲って来る眠気には閉口した。眠い。
映画館は、結構大入りだったように記憶しているが、途中で席を立つ人の姿がかなり目についた。
後に友人(連れて来てくれた人とは別の)が「スリリングな眠さ」と表現した、あの奇妙な感覚。
私は普段あきらめの良いタチで、眠くなった映画は寝てしまう。始まって10分経ってつまらなかったら(通常、眠い映画はつまらない)、もうその映画は最後までつまらないだろうと思う。
でも、『サクリファイス』は、必死で耐えた。眠ったら大損だ、と、分かったから。
そして最後まで観終わって、その思いに間違いはなかったと大満足だった。
こんなに影響力のある、それも深い所に食い込んでくる体験は、めったに無い。
今思うと、あの眠さは、私の貧弱な脳味噌が容量オーバーでエンスト状態だったのかも、と思う。

容量不足で気絶寸前だったくらいだから、内容について語るのは身の程知らずと言うべきだろう。
よく「観客一人一人にそれぞれの解釈があります」なんて言うけれど、だけど、タルコフスキーの意図は一つ。それもかなりまっすぐに、寄り道も無く、おそらくはテーマを語り切っているに違い無い。

ザスーラ

う〜〜つまらんかった。
子供向けなんだと自分に言い聞かせて頑張ったものの、我慢し切れず中盤から早送りで見てしまった。
ジュマンジ』がソコソコだっただけに、うっかり時間をムダにした。

話の構造とか、細部描写とかはまあ、置いといて。
致命的なのは、子供が可愛くないコト。
兄弟とも、容姿だけでなく役柄的にも、ちーとも魅力が無いんだもん。
アメリカ的平均的少年達、なのかもしれないけど、こちらとしては、そういう親しみすら感じないワケで、冒頭から延々繰り返される兄弟喧嘩にウンザリさせられるばかり。
そういう意味では、弟二人をウザがって邪険に扱うお姉ちゃんに一番思い入れできた。宇宙飛行士の正体を知った時のリアクションも笑えたし、なかなか綺麗だし。
その取って付けたような"宇宙飛行士の正体"が、一応ひとひねりのつもりなんだろうけど、それにしても見せ方が下手。心理描写も伏線もナシ。モチロン論理的解説も、ナシ。

ひたすらニギヤカにモノがぶっ壊されるので、ある種の人達はスカッとしたりするんだろうか。
子供に見せるにしても(子供なら退屈はしないかもしれないけど)もう少し良質の物にした方がいいんじゃないかな。

ザ・スピリット

懲りに凝ったアメコミ調の画面で、モノクロに真っ赤なネクタイとか、光の筋を多用したりと見ていて楽しかったのだが、一本調子でストーリーも平板なので中盤で飽きてしまった。
画面作りは『300』を思い出したが、片や大熱狂、こちらはうーん…イマイチだったな。
…ああ、むしろ『シン・シティ』ですか。なるほど。

タイプの違う美女が入れ替わり立ち替わりで、これは楽しかった。
何と言っても私はエヴァ・メンデス様が大好きなのだが、こういった悪女風味は本当に似合う。
子役の少女も良く似た面差しで、末恐ろしいと言うか目力強めの綺麗な子。
回想シーンからのモーフィングも全く自然(で、どちらも美しい)。
悪役側のスカヨハ…え?スカヨハだったの???
とても綺麗でコスプレも楽しかったけど、うわ〜メガネで印象変わるわぁ。気付かなかった!字幕で観たのに!
他にも主人公につきまとう死神みたいな"ローレライ"も、署長の娘のエレンも新米警官もみんな美人。
でも一番美しかったのはイカレたサロメみたいな"ブラスター・オブ・パリ"のパズ・ヴェガ。
カルメンやってるのねこの人、観てみたいな。

と、どこを切っても美女が出て来る楽しい映画なのだが、いかんせんストーリーが退屈。
そして、男性陣がちょいと残念だった。
せっかくの美貌をダサいマスクで隠しっ放しのガブリエル・マクト。もったいなさ過ぎ。
お顔がキラキラで目眩されていたが、この人以外と顔以外はモッサリしてるんだなと気付かずとも良いところに気付かされてしまった。最初の頃にお顔をシッカリ出してくれたら良かったのに。
クローン達はイイ味出してた。ちょっと可愛かったし時々可哀想。
で、悪役サミュエル.L.ジャクソンなんですが…クドいわぁ。
役によってはこの人大好きなんだけど、今回は頑張り過ぎで胃もたれしてしまった。
顔が濃い、設定が濃い、芝居が濃い。ちょっと疲れた(笑)。

全体のストーリー自体がありきたりで面白くないのと、主人公のヒーロー"スピリット"が衣装、マスクも含めかっこよくないのはもちろん、内容的にも"モテ男"を強調する余りか、誠意の無い尻軽(という言葉は男性には使わないが他にどう言えというのか)にしか見えず、どうにも感情移入できないのだが。
「死ぬ前は人生の走馬灯が見えるはずなのに女しか見えない」とかは笑ったけど。
今さっきサンドと濃厚キスしてたのに立ち去られた途端「愛してるのはエレンだけ」とか、どうなのソレ!?
あ、「その猫の件だけでお前を倒す理由に充分だ」みたいなのは良かった。ちょっと思い入れできた。その後のしつこく「マフィンの分だ!」とかやってるし(笑)いいぞいいいぞ。
そう言えばずっと可愛い猫ちゃんがついて回ってたけど、あれも目に楽しかった。

目に楽しいと言えばスカヨハのなんちゃって着物姿も可愛かった。
まあ一番の見どころはエヴァ様のお見事ヒップだけどな。

ザ・ターゲット

チャーリー・シーンにリンダ・ハミルトン、ドナルド・サザーランドまで!
と、懐かしのラインナップに惹かれて観てみたが。
うーん。
似たようなソコソコの映画を、よくもまあ延々と作り続けるものよ、という印象。
そしてそういうパターン活劇の主役を張るには、チャーリー・シーンは華も色気も足りないし、ドナルド・サザーランドは最初からどう見ても怪し過ぎる。
リンダ・ハミルトンは元々美人ではないが、使い様で凄く魅力的な女優だったのに(ターミネーターシリーズの彼女はまさしくヒーローだ)全然活躍しない。記者とか似合いそうなのに。

最初の虐殺シーンは緊迫感があり、殺し屋の冷徹さもヒシヒシと伝わって来る良いシーンだった。
逃げる老人も流石は学者という事か、用意のコーヒーカップを咄嗟に隠して逃走するあたり、引き込まれたしワクワクした。
が、まあ、その辺までだったな。
"殺し屋"スティーヴン・ラングは怖いし強そうだし冷血そうで、とても良かったのだが。
いくら凄腕でも、彼一人に大陰謀を任せきりなのはいかがなものか。
そしていくら冷徹とはいえ、街中でも人混みでもガンガン発砲、無関係の一般人も皆殺しの勢いで、途中からコイツ本当はバカなんじゃなかろうかと(笑)引いて見てしまったわ。
ビジュアルも演技もかっこよかったのに、周囲のサポートが(劇中も制作面でも)得られず気の毒だった。

大統領の能天気な感じは良かったと思う。
サザーランドも貫禄があっていいのだが、やはり前半はいい人に見せる努力のひとつもして欲しかった…。

ところで監督のジョルジ・パン・コスマトス、なんと『カサンドラ・クロス』を撮った人!
…冒頭の生々しい殺戮シーンは頷けるが、その後の息切れぶりは…残念。

殺人魚獣 ヘビッシュ

(笑)
安っちい動物パニック物は数あれど、これはかなり上位に行けそう、無論、安っちさで。

しかい、つまらなくはない(基本このテが好き)。
バカな若造はどーしようもなくウザくて強引でイヤな奴。
いじめられっ子タイプの主人公はナカナカのイケメンだが情けない。
その母の海岸警備員は本当にオバサン(オバサンでも色っぽいとか可愛いとかじゃなく、ガチでオバサン)その離婚しそうな夫も本当に情けない、が、二人とも大活躍!
耳の遠い婆さんも銃をぶっ放して大奮闘。
こういう、あまり戦闘的に役に立たなそうな人が思わぬ活躍をするのって、よくあるんだけど見てて楽しい。
特に小柄なお婆さんと銃の組み合わせは、本当にあちこちで見た気がするけど毎回ウケてる気がする、私。
で、なかなか楽しかったんだけど。

なんせ"怪物"が、酷くてな…(笑)。
ヘビってより巨大化凶暴化した雷魚らしいんだけど。
まあ蛇だと『アナコンダ』シリーズにはまず勝てないからねぇ。
(勝つとか思ってなさそうだけど)
と、思ったら監督、『アナコンダ3』と『アナコンダ4』を撮った人だって(爆笑)!なるほど、なるほど。

………え?邦題『へビッシュ』の「ッシュ」って…フィッシュのッシュ!?
うわぁ〜…………。
いえ、嫌いじゃないわ、このノリ。
雷魚の形状もかーなーり気持ち悪いんだけど、いかんせん質感や動きにリアリティが無さ過ぎて、それに登場シーンも少なくて、どうにも残念な事になっている。

多分予算も少なかったと思うんだけど、予算内で済ませるには間が持たなかったと見えて、意味不明のオカルト要素まで挟み込んでみました、みたいなのがまた哀れを誘うと言うか。
ツッコミどころ満載の上に、意外と筋は通ってるので、友達と酒飲みながら見ると楽しいと思う。
あまりお金は払いたくないが。

殺人魚フライングキラー

こういった"動物パニックもの"の映画、ちょっとバカにしてたフシもあるんだけど、近頃意外と好きなんだなと気付いた。
で、この映画。ある種古典の名作?と、思ったら、意外と新しくて81年公開だった。
あらまあ、ジェームズ・キャメロン監督の処女作ですって!

ダイビングでボートに乗ってると、トビウオに遭遇する。
ビックリする程長距離を飛ぶのよ、奴ら。だから、この映画の魚"フライングキラー"は、あながち非科学的とも言えない、かも(笑)。
ただ、可動範囲が広いという事が、面白さに繋がるかは微妙なところ。
私の大好きな『トレマーズ』も、ほぼ地中限定で瞬間的にガーッと飛び出すのが良かったし、このジャンルでは間違い無くナンバーワン知名度の『ジョーズ』も基本は海の中。
ピョンピョン飛ぶ姿に重みが無いのと、首筋に食らい付いても人形っぽい動きなのが、ちょっと残念。
まあ、この時代だから仕方無いし、では現代のCGで超リアルな魚がビチビチ食い付いて来るのを見たいかと言えば、そうでもないんだが。

ストーリーは、ヒロインのおばちゃんの一人勝ち、といった様相。
別居してても夫は未練タラタラだし、息子は良い子で、仕事に出ればイケメンに口説かれる。ちゃっかり一夜を共にしたイケメン科学者と決戦に出かけて、最後は一人生還して夫と息子の熱烈歓迎を受ける…。
ちょっと変わった顔の女優さんで、おばちゃんなのに可愛い。
そして、ビキニにスキューバ装備でガンガン潜ってしまう大胆さ。私も自分がやるまでそういうモンだと思っていたが、タダのレジャーダイブのみならず、沈没船に爆弾仕掛けに行くとかでもビキニ一枚だから勇敢すぎる
あれ傷だらけになるよね。しかも殺人魚がウヨウヨいると知ってて。ウェットスーツ着なさいって。あ、動きが鈍くなるのかな…いやいや、おばちゃんだけどサービスなんでしょうね…。

最後はあっけなく、あれだけ大量にいた魚が巣を吹き飛ばしたくらいで全滅するのか?という疑問が残るが、その辺りはあまりこだわらなくていいのかな。
魚の動きはアレだったけど、かなり楽しめたよ、キャメロンさん。船が沈む映画とか青い人の映画より好きよ、私は。

ザ・ディープ(1977)

ジャクリーン・ビセットにニック・ノルティって渋い新婚さんだねぇ!
って言うか戦闘能力高そう(笑)。

チャーリーズエンジェルくらいしか知らないけど、綺麗な女優さんだと思っていて、懐かしさに観てみたら…、冒頭のダイビングシーンがノーブラに白Tシャツという乱暴な装丁でビックリ!
二人でボート出して適当に潜っちゃうのも大胆(白人圏は多そうだが)だけどあんな軽装でけっこう深いとこまで行ってそうなのも凄い。
いえサービスカットなのは分かりますが。でも動きにくそうだし怪我も多そうよねぇ(笑)女優さんて大変

ストーリーは普通に犯罪絡みのサスペンスなんだけど、間が悪いのか割と退屈な印象だった。
要所要所でジャクリーンが濡れたTシャツやら暴漢に襲われるやら危機回避のため悪党達の前でストリップするやらで盛り上げる仕様にはなっているけど、そういう方向でいいのか…???という。
ノルティはあんなに強そうなのにあまり頼りにならないし、悪党は普通に悪そうだけど脇が甘いと言うかあんまり怖くないし、何だかんだジャクリーン様のお色気で掻き乱され蹴散らかされてしまうし。
結果まさかの、まんまと宝を手に入れてのハッピーエンドで、まあ海のロマンと言えばそうなんだけど(笑)。

多分最盛期であろうジャクリーンは本当に美しいんだけど、もう少し綺麗に使って欲しかったし、せっかく舞台がバミューダなのに肝心の海のシーンは案外少ないしあまり美しくないの。
なかなか残念な仕上がりだったけど、往年の美人女優を懐かしむには良かった。

ザ・ドア 交差する世界

ドイツ映画ですか。
あまり見た事がなく新鮮だったし、面白い映画だった。
キャストも皆見慣れない顔のせいか役柄としての思い入れがし易かった。
主人公のおっさんはヴィゴ・モーテンセン似の哀愁漂うイケメンだし、妻はちょっと癖のある美人、娘役の女の子は激烈な美少女

タイムリープ物と言えば『バタフライ・エフェクト』が傑作だし、別方向だと『バック・トゥー・ザ・フューチャー』という名作があり、引っ張り過ぎてワヤクチャだよ、という見本に『ターミネーター』シリーズがあったり(笑)。
でも本作は、単純なタイムスリップ(リープとスリップは別物らしいがどっちだか分からない…)とはどうやら違う。
なにしろ"5年前の世界の自分"を殺しちゃっても本人に影響無し、どころか「そうやって皆成り代わってこちらで生き延びてる」というショッキング設定!
独特の世界観に冒頭は戸惑ったが、ローカルルールにうるさいタイプの映画ではなく、最初の設定が決まった後は一気にラストまで雪崩れ込んで見応えがあった。

単純明快明朗会計がお家芸のアメリカ映画に慣れてしまうと、こういったやり口は不思議に感じたりもするが、そもそもSFやファンタジーに整合性やら必要なんだろうか、とも思う。
意地悪な言い方をしてしまえば、心のままに行き当たりばったりに話を進めて煮詰まったところでパッキリ終了、と言えなくも無い、のだが。
あのアロハ爺さんの出しゃばり様は行き過ぎだし、警官まで一味だったんかいっ!でビックリだし、狭い町内会に難民押しかけ過ぎだし(笑)。
成り替わるのだから行方不明者は出ないけれど、そんなに大量に始末してたら遺体も出るでしょうしね。
そもそも"ドア"の理由も明かされず、ましてや来た道を戻れるかどうかも(主人公は信じ込んでいたが)分からぬまま終わってしまった。
言い出したらキリが無いけど、そんな事にこだわったり説明している暇に、人物たちの気持ちを追う方がずっと面白い。
そしてそういう意味で、この映画はとても面白かった。

ラストシーンのどうにもならない二人が並んで座る場所は、かつて愛娘が死んだ現場前。
なんだかんだ大騒ぎだったけど、子供を亡くすという事は、これくらいの衝撃と不幸なんだろうな、等と考えてしまった。

サハラ 死の砂漠を脱出せよ

名女優にして美女のペネロペ・クルスがヒロインでも、駄作は駄作
って言うかペネロペ、なぜ出演してしまったんだ???

マシューなんたらの魅力が分からないのも大きいのかな。
ペネロペが医者なのも、最初のとっかかりだけで後は殆ど意味をなさず、ひたすらタフなお姉ちゃんだった。
二人が恋に落ちるのも、いつの間に?だったし。
あ、命救われてインプリントされたか…。
けっこう大掛かりな冒険活劇の体を取ってはいるものの、ワクワクもドキドキもキュンキュンも感じず、騒がしいにもかかわらず途中眠くなってしまった。
せっかくの愛嬌ある相棒も軽いジョークを交わす程度で殆ど活躍させてもらえず、最後はフェードアウトだし。

妙にロックなBGMも浮きまくり。
砂漠のロケは大変だったと思うけど、砂漠自体もたいして機能してなくて(暑い、喉乾く、夜寒い、とか、方向分からないとか、そういうのね)邦題の「死の砂漠」も「脱出せよ」も看板に偽りアリ。
出だしと別物のような南海リゾートで、一点の曇りも無くイチャつく二人の明るさが嘘臭くて鼻白んでしまった。
ペネロペの黒のビキニ姿はお見事だったし、あの顔は砂漠に似合う、というくらいかな。

ザ・ビーチ

レオがまだ、かろうじて美形枠に留まってると言うか、そんなに四角くないと言うか(笑)。
…まあ、今のレオ君も嫌いじゃないんだけどね。

「楽園モノ」のお手本パターン。
紺碧の海に浮かぶ孤島、緑したたる森、都会の喧騒を逃れた"自由な"人々のコミュニティー、可愛らしい恋人と妖艶な美女。
こういうの見るたびに、自由で平和で平等でエコな社会なんて絵空事、と思い、ましてやフリーセックスはイカン、と思いを新たにするのだが(笑)。
心惹かれるのは事実。
高すぎる理想だから実現が難しい、という論理もあるが。
人間はしょせん、マウントし合う生き物なのかな。

島の景色の美しさが、何と言っても素晴らしく、特に前半はリゾート気分で楽しく過ごせる。
そのまま終わらないのは分かっているのだが。
後に悲惨な事になる人達も、楽し気に海へ行く姿が描かれる。
海や緑や湖が美しければ美しい程、フランス娘が可愛ければ可愛いほどに、不吉な予感は増長していく。

ティルダ・スウィントンが綺麗で迫力満点、本当にこういう役が良く似合う。
私は男ではないが、誘惑されたら抗えないのは容易に想像できる。
方や、無理な理想を掲げつつ己が欲望に暴走する、そんな風情も良く似合う、"ヤバい"女でもある。
多くの人を振り回し、最後は自分が相当に困った事になってしまうのだが、最後まで突っ張り通す愚かさも良く似合うし、カッコ悪くてもある種美しいから凄い。
彼女の顛末は…考えたくない、かも。

しかしタイには警察は無いのか!?と、いうような杜撰さだったわな。
最後は何やら、良い思い出みたいになっちゃってるのが何とも後味悪く、なかなかに文学的な色合いだったと思う。

サブウェイ123 激突

トニー・スコット(泣)

すっかり中年太りのデンゼル・ワシントンともはや初老のジョン・トラボルタ。
二人とも最高。
トラはちょっと鶴太郎に見えた(笑)
しかし『サタデーナイト・フィーバー』のイモ兄ちゃんが、こんな名優になろうとは。
対するデンは『グローリー』が初見だったかな。精悍でしなやかな野獣のようだった彼が、見事に平凡なサラリーマン然としたオッサンを演じてて、こちらも感無量。

地下鉄ジャック犯と交渉人。
頭脳派かと思えばヒステリックでどんどん支離滅裂なライダー(トラ)も凄いが、覇気が無いが善良と見えたガーバー(デン)が、まさかの!これはビックリ。
ガーバーはライダーに煽られ追い立てられるように"ヒーロー"にならざるを得ず、ライダーは追い詰められてガーバーに引導を委ねる。
ラストの橋のシーンではライダーが飛ぶんじゃないかと胸が痛んだ。
あートニー好きだったわ私。

トニースコットにしては手堅いと言うか遊びの少ない普通目の演出で、アクションシーンはあるものの基本は電話越しの交渉が続く地味な舞台設定。
でもそれがむしろ、二大スターの演技対決や洒脱な会話を落ち着いて楽しめる要素になってもいる。
兄(リドリー)も男惚れ監督だが弟(トニー)はもっとホモくさい(褒めてます)。

そうかリメイクなのね。
名前だけは聞き覚えのある『サブウェイ・パニック』、今度観てみよう。

ザ・ヘラクレス

なんとも…冒頭からショボさに愕然(ヘラ登場とか)、ヘラクレスが成人した姿にガッカリ、姫とイチャイチャ辺りで「何を見せられているんだ…?」という気分に。
すっかり興味を失ってしまった。
なんとか最後まで観たけれど、呆れる程の凡庸さ。

主演のヘラクレスを演じるケラン・ラッツ君、筋肉はモリモリなんだけど、なんだか間抜けな容姿で私は魅力を感じなかった。
恋人の姫も母親の王妃も美人なんだけど、何だろう安っぽい。
衣装もありきたりで地味だし、CGはショボいし、キャラクターの性格付けも魅力なし。
あ、お父さんの"虐殺王"はちょっと面白かった、ってか父ちゃん強過ぎ(笑)。
お兄ちゃん王子も気の毒っちゃ気の毒だよね。お母さんは弟ばかり依怙贔屓するわ、婚約者は弟にメロメロだわで踏んだり蹴ったり…。

ああ、そうかヘラクレスを応援する理由が無いんだわ、だから盛り上がらない。
あれお母さんが悪いよね、夫の破滅を神に祈るとか。
でもって祈られた女神が自分の夫を派遣しちゃうとかもう、ギリシャ神話は元々かなり性的にイカレてるとこがあるけどね、応援する気になれないわ。

恋愛要素が前に出過ぎてて、伝説の英雄感が薄い前半と、あれ私何を見てたんだっけな中盤、そしてあーやっとちょっとスペクタクルだけどしょぼっ!な終盤と。
特にヒロインの扱いの臭さには参ったわ…。
CGも含め、2014年公開とは信じ難い古臭さ。

実はロック様主演と間違えて観てしまったの。
勝手な思い込みで期待外れにガッカリしてしまった。
ケラン・ラッツ君、ご免なさい。

サマーウォーズ 

うん。
多分こういうの嫌い、と薄々思いつつ、あまりに好評を耳にしたもので見てみて、やっぱりつまらなくて憮然としたものの、それでも好評なので時間を空けてもう一度見直して、どうにもダメだと納得した

ストーリーのコンセプト自体が、暴走するコンピュータ、裏で糸引く大国の軍隊と、60年代SF小説ですか、って話なんだけど、それはまあ、いい。やり方次第でいくらでも楽しめる。
対戦の方法が、PC上でのゲームというのがもう、すでにダメ。しかも花札、コイコイとかルールも知らないし。知ってたら面白かったとは露程も思わんが。世界に通用するゲームでもない。
大家族やら田舎やらを押し出すのも、正直生理的嫌悪感に近いモノを感じてしまった。無理矢理で全然心こもってない。
家族一丸となって、みたいな方向に持って行こうとしてるのは見えるけど、主人公(=余所者)とヒロインと婆さん、あとAI開発者のおじさんか。活躍する(役に立つ)のはその程度、他のゾロゾロいる人達は"掛け金"にされる程度で殆ど活躍しない(のに五月蠅い、そして見分けが大変)。特に「女系家族で男は弱い」と言う割に、オバサン達は頓珍漢な文句を言ったり大声で笑うばかりで全くの役立たず。

まあいいや。
まずヒロインが「バイトで田舎に一緒に来て」と言って連れて来て「彼氏って事にして」「後は別れた事にするから」「お婆ちゃんが倒れたって聞いて安心させたくて」………嫌いだ、この娘。
当然そうなるだろうと思ったけど、最後は主人公が「大好きです」って、え?ドコが?いつの間に???という、パターンなんだから説明もいらないでしょ、みたいな。長々恋愛に割かれても辛かったからいいけどさ。
最初から最後まで血の滾らないオタク男子と、嘘つきで自己中で花札が強いだけの生意気女子。
ワケの分からない権力?人脈?を、都合良く振り回す婆さん。しかも何故かオタク男子をお気に召して孫娘をゴリ推し…。誰も好きになれない

そしてカンジンの、「世界を救う対戦」が、PC上の花札ゲーム。掛け金は家族。
当然スンナリと勝つはずはなく、ピンチになってどうするかと思いきや、突然世界中から人々が己を差し出して来た!!!
な、なんじゃあこりゃあ。
どうしよう、私の頭が悪すぎるのかも。本当にワケが分からないよ。

さよならゲーム 

公開当時、なんだか薄ボンヤリした印象しか無くて、せっかくのスーザン・サランドンなのに…と思った記憶があるんだが。
20数年ぶりに見返してみて、あら私ってば、大人になったのかしら?てな事を思ってしまった。
面白い。と言うか、すごい、素敵な映画でした。

多分若くて潔癖だった私は、サランドン演ずるアニーさんの生き方に抵抗があって、それが気になって仕方無かったんだと思う。バンドで言うところのグルーピーみたいなもの?
そんな枝葉末節に囚われて感動をみすみす逃した若かりし自分を、可愛いねぇとイーコイーコしてやりたい(笑)。
元々野球(と言うよりスポーツ観戦全般)に興味が無いので、そちら方面に期待は無かったものの、見てみればマイナーリーグの雰囲気とかが伝わって来る気がして楽しかった。実態は知らないけどね。
そして、ごく一部の栄光を掴む者もいれば、大多数のそこに行き着けずに終わる者達もいる、という、至極当然の事が当たり前に描かれていて、胸が熱くなった。

サランドンは大好きな女優だし、ケビン・コスナーも当時はとてもハンサムで素敵なんだけど、あの若造のピッチャーがティム・ロビンスだったのにビックリ!あんなアホそうな役〜!
でも終盤、メジャーに移ってのインタビューで、以前"クラッシュ"に教えられて文句タラタラだった言葉を忠実に繰り返す"ヌーク"を見ると、最初に「あの子はバカじゃないわ」と言ったアニーは慧眼だったと思う。真実は多分だいたい、ありきたりで皆が言ってる事の中にあるんだ。
とは言え、アニーは最初からクラッシュに恋しており、この辺りも子供の頃は見逃していた点だったが、今ではあの会話で恋に堕ちる気持ちがとても良く分かる気がする。
「ケネディ暗殺はオズワルドの単独犯だ」ってヤツね。しかしこのセリフは妙に心に残っていたところを見ると、本当は初見当時も薄々分かっていたのかな?
そしてあの時の、サランドンのポカンとした顔が、とっても可愛いのよ。
このような、薄衣の上から肌を撫でられるような秀逸なセリフや絵が各所に散りばめられていて、それがとても心地良い。

雨のテラスでのラストシーンは、しっとりとして本当に大人の恋、という言葉がピッタリ来る。
緊張のあまり機関銃のように自説を語るアニーを、以前のように乱暴でなく慎重に遮るクラッシュ。
口ごもりながら、自分の発言を訂正し、少年のように素朴な言葉で愛を伝えるクラッシュ。
大人らしく素早く察しながら、少女のように感動に言葉を失うアニー。
現実と向き合い、生き方も試行錯誤をせずには済まなかった二人の、大人だからこそたどり着けた純情、という気がして、また胸が熱くなる。
ハッピーエンドの映画は元々大好きだが、この映画のハッピーぶりはとてもバランスが良くて切なくも甘く、スンナリと納得できる。
数少ない、心から祝福できる恋の成就を見せてもらった。

サラマンダー

英米合同制作ね。
なるほど。

マシュー・マコノヒー、クリスチャン・ベール、ジェラルド・バトラーと、なかなかの豪華キャストによる『マッドマックス2怪獣編』。
生意気な少年が、ロンドンの地下鉄工事現場で"サラマンダー"に遭遇する冒頭シーンは、面白くなりそうでワクワクしたんだがなぁ。

その後の、まさかの端折りまくり展開にビックリ!
これ予算少ない?大丈夫!?と心配になったけど、そんな事は無かったようです。
アッという間に世界はサラマンダーに制服されて20年、竜の攻撃を避けて地下にひっそりと生きる人々。
って、ここまで殆ど動画ナシだよ!?
まあ100歩譲って奪われた世界をサラマンダーから奪い返すのが主題だったとするなら、冒頭はもっと違う形にしてほしかった。
ちょっと思わせぶりに魅力的だった、発見少年と母親の関係もプッツリ。
その「最初の遭遇者」も、あまり活かせてなかったし。
別に少年に拘っているワケではなくて、ドラマの運びが繋がってない印象なのよ。

飛翔シーンが大好きなので、そこは楽しみだったのだが。
これまたまあまあ。
何だろう、サラマンダーがキャラ立ってない、と言うのかな。
別に他のファンタジー映画のように喋ったりというのを期待してる訳じゃないけど、デザインにしろ動きにしろ、もう見たよコレという印象で。
主演のマシュー・マコノヒーが好みじゃないというのも大きかったかもしれない。
こちらもあまり、キャラが立ってる気はしなかった。

世界を奪われ追い詰められているという悲壮感も切迫感も薄く、無敵と思われたサラマンダーはいきなりアッサリ片付いてしまって拍子抜けだし、人間サイドのドラマも別に…だし。
『スター・ウォーズ』の芝居は笑った。
まあ人間は、どんな境遇でも娯楽が必要よね。

猿の惑星

ティム・バートンのリメイク版(寝ちゃった)じゃなくて、60年代作の本家本元の『猿の惑星』ね。
公開当時、殆ど社会現象みたいになってた気がする。
今でこそ見慣れてしまったけれど、猿のメイク、本当にビックリした、ちゃんと猿で、しかも表情がある!と、こんなレベルで衝撃を受けた、のどかな時代だったのよね。
でも、後で知ったけど、猿役にもちゃんと有名所の俳優を使っていたりして、そこらへんとても好感が持てるんだよね。

どういう経路だったか、もう大昔で思い出せないんだけど、私は実は、原作小説を先に読んでしまっていたの。(原作が先か、映画が先か、これって永遠のテーマ!?)
この映画に関して言えば、うーん、映画が先が良かったかも。
チョー有名なラストシーンのオチも、まあビックリしなくもなかったけど、原作を読んでいたので「あ、端折ったな」って思っちゃった。セットも少なくて済むし、ね。
ちなみに原作では、なんか頑張って惑星脱出して、地球に帰って来るのよ、そしたら出迎えが猿だった、ってオチなの。
でも後から思うに、映画としては、(手抜きとか省略ではなくて)あれがベストだったかな、と。
なにしろ絵的にスゴイし、小説と違って、猿の惑星を脱出してどうこう、っていう過程は説明が多くなってタルイかも知れないし。うん、あの絵はスゴかった。
自由の女神ってのがイカシてるよね、これが邦画だったら、と、東京タワー?ぷぷぷ。

なにかと「衝撃のラストシーン」が取り沙汰されるこの映画だけど、けっこう丁寧な作りで、途中経過もかなり楽しめたように思う。
猿との確執、猿達の人物(笑)描写、そして猿との心の触れ合い。それに動物に成り下がった人間達とのかかわり方、動物でも美女なら恋しちゃう、ヘストンお前が一番ケダモノじゃー!なんて色々。
わりと淡々としてるんだけど、なにしろ状況がヘンテコだし、面白かった。

猿ってイヤな生き物だよね。って、思いません?
なんか神様が、「人としての理性や誇りを忘れると、こうなっちゃうんだよ」っていう戒めのために創ったみたい、なんて考えるのは不遜なんだけど、ね。
原作者のピエール・ブールという人は、第二時大戦中日本軍の捕虜になったとかで、その体験から?なんて話題にもなった。イエローモンキーとは失礼千万だが、これが書かれた60年代末以降の日本の高度成長と、それに対するアメリカのびびりっぷり(&横槍ぶり)を思い起こすと、なかなか興味深い気もする。

でもさあ。チャールトン・ヘストンって、ある意味サルの一種だよね、こちらから言わせてもらえば。

猿の惑星(byココアちゃん)

中学生のころテレビで見て大好きだったなあ。
冒頭で、チャールトン・ヘストンが裸で泳ぐシーンがあってさ。後姿で飛び込む太ももと太ももの間から 見えたんだな、ソレが。
しかし別にうれしくもなんともなかったな。
「あ、修正してないんだ、女の裸にはうるさいくせに」
とは思ったな。
アクションひとすじのヘストンも今や全米ライフル協会の 会長になんかなって、すじがね入りの「アメリカばか」に なっちまった。映画のまんまだな。
ちなみにオスカーも撮った『ボーリング・なんやら・コロンバイン』というドキュメント映画でもヘストンはバカ代表として 出演している、とのこと。(ビデオで見たい)
あ、でも映画自体はおもしろかったよね。
ちなみに原題は
『THE PLANET OF APES』という。
モンキーじゃなくてエイプっていうんだってさ、猿のこと。
当時は経済発展する日本を揶揄した、と噂された。
おらたちはエテ公だった・・・それを聞いて「なるほど」と
感心したのは私。ウキー。

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管理人のお返事:『ボーリング・フォー・コロンバイン』面白かったですよ。オススメ。
ヘストンは激バカでした(笑)見応えあったよ。

私も気になって、ちょっと調べた事あります。
“モンキー”は動物的な、いわゆる下等な猿、“エイプ”は類人猿を指すようです。
だから我々は高等な猿と認められたワケね。ウキ−。

 

猿の惑星: 創世記(ジェネシス)

猿怖い(泣)。
パニック映画は数あれど、あんな醜い物に襲われるのは、本当にイヤだわ。殺傷能力も中途半端なクセに妙に身が軽いとこも、苦しんで殺されそうでイヤ。
って言うかそもそも、猿が嫌い

チンパンジーとヒトとは遺伝子レベルでは殆ど違いが無い、という。
ジェームズ・フランコとフリーダ・ピントの美男美女カップルは、「ちょっとの違いが大違いとはこの事」というのを思う存分見せ付けてくれるが(笑)。
『猿の惑星』の名を冠している限り、勝ち目は猿側にあるのは明らかなワケだが、そこに至る人間の傲慢さ、という辺りに説得力を持たせて描かれている。
猿のリーダーとなる"シーザー"と、育ての親であるウィル(フランコ)との間に流れる確たる愛情も、むしろシーザーを駆り立てる要因になってしまっているのが切ない。
猿は嫌いな私でも、ウィルと引き離されて絶望して行くシーザーを思うと胸が痛んでたまらなかった。

バートン版があまりにも平板でつまらなかったので、もう古典の名作をもてあそんでくれるな、という気持ちも大きかった上に、オリジナル版からして精神性はそう重くない。
あまりソッチ方向に期待していなかったが、この映画はそういった心理面がけっこうキメ細かくて、見入ってしまった。
ウィルの父親を救おうとして"凶暴"の烙印を押されるシーザー。タダの猿でないと知りながらシーザーを猿の檻に入れる事を阻止できないウィル。傷付き、芽生える不信感…。
猿相手に威張り散らす監視員。「人間は頭の良い我々が嫌い」と手話で語るオランウータン。やられた事を返したつもりで放水したら感電死してしまって呆然。繰り返される動物実験で諦め切っていた猿が、橋で晴らした恨み。なんだか突然、物凄いオトコマエな活躍を見せるゴリラの最期…。
いやマジ、泣けましたわ。猿嫌いなのに。

全く個人的感想だが、舞台となるサンフランシスコ&ゴールデンゲートブリッジには、昔行った事があるので、ちょっと嬉しい。
あの美しい海辺の街が、エテ公の大群に蹂躙されるとは…橋だって猿なら三次元侵攻できちゃうもんな。怖い怖い。
残念だったのは、毎度同じ事を言って申し訳ないが、猿が全てCGだった事。これ部分的にでもホンモノ使ったらいいのに。そういう方向で映画の進歩を目指せないものか?
あと、なぜ猿どもはガラスを割るのか?いくら毛むくじゃらでも、リスク高いでしょ。派手ではあるけど、あそこはやり過ぎで笑ってしまった。

大人のチンパンジーの握力は300kgですって。ヒトって本当に、ひ弱な生き物だね。
そう考えると、ほんのちょっとのキッカケで、猿に主導権を乗っ取られないとも限らない…事は無い、とは思うけれど。
あの監視員や研究所の所長のように、ナメてかかっていると報いを受けるかもよ、という程度には思える、いえ思いたい気にさせられる、意外に楽しくも考えさせられる感動的な映画でした。

ザ・ワイルド 

タイトルがあまりにベタなので、全然マークしてなかったんだけど、TV放映でたまたま観たら、けっこう面白かった(あくまでTV鑑賞では)。
なにしろクマちゃんが、すごい!エライ!大活躍。
アンソニー・ホプキンス爺さん、またまた大活躍。絶対最初の10分で死んでるって。
そして甘〜いマスクのアレック・ボールドウィンが、全くもってホプ爺の引き立て役に回されてて、哀れ。
なんでしょう、この世代の男優(アル・パチーノとか…)って、若手に譲らないっつーか、いいとこ持ってく役ばかりやってるような。
もう少し枯れてくれた方が、映画は絶対面白くなるのにな。
もっとオトナになってください。

元気で凶暴なヒグマを相手にしたら、あんなに長々と追いかけっ子なんてできやしない。あの気温でずぶ濡れになって、じじいが肺炎にならないのも奇跡。
とかなんとか、ツッコミどころは数々あれど、それなりにハラハラしたし、自然に対してまさしく「ワイルド」に立ち向かう姿は見応えがあった。
でも、繰り返すがホプキンスの富豪があまりにも完璧過ぎて、映画を薄っぺらくしてしまっている。せっかく理屈っぽくて頭でっかちな性格設定にしておきながら、どんどん行動力も体力も度胸もあるスーパーマンになってしまう。対するボールドウィンは、若くてどう見ても敏捷なのに、導かれ助けられる一方で、全然いいとこ無し。
おまけに、最後に来て意外な展開?いらん事情を付け足して、あれだけ生きる事に執着したホプ爺が、殺されそうになっても全くうろたえないし、アレック自爆だし。哀れ…。半端な泣かせまで入って、もう本当に、哀れ。
ああいう展開にするのならますます、どこかでホプ爺をアレックが決定的に救うシーンが欲しかった。

そんなこんな、クマちゃんの奮闘虚しく、B級臭プンプンのお安い印象の映画になってしまった。
撮影は大変だっただろうに、残念。

三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

最初に。
実は私は、原作であるデュマの『三銃士』が嫌いだ。
基本冒険活劇は好きだし、フェンシングも好き。王侯貴族に騎士に悪女とか、大好物!なんだけど。
子供の頃に読んでしまったのがまずかったのか、あの銃士達の傍若無人さと言うか、ナメた態度がどうにも、好きになれないんだよね。
階級制度というのが良く分からないせいか、彼らの小間使いとか宿の亭主とか、要するに身分の低い人達への態度があまりに傲慢で。アレじゃヤクザより悪いわ。
昔の映画でも、フェイ・ダナウェイのミレディは素ん晴らしく美しかったにもかかわらず、楽しみ切れなかったのは、主役達に思い入れができなかったから。
残念ながら今回の映画も、その点が払拭される事は無かった。

それでもこの映画を見たのは、予告編の映像が素晴らしかったから。加えてミラ・ジョボビッチ&オーランド・ブルームの、美々しく飾り立てた美形悪役コンビ
本編も期待に違わず、なにしろ衣装が素晴らしい。そしてミラジョボさんが美人
正直『フィフス・エレメント』や『ジャンヌ・ダルク』の頃は、そんなでもないと思ってたんだけど、あの手の顔立ちとしては若過ぎたんだな。「カッパ星人」とか「やせぎすロリータ」とか言ってご免、ミラジョボ。本当に美しくなった、そしてドレスが似合う!その上似合うドレスを着てる!!
このミレディも、うさんくさい片耳ピアスのバッキンガム公役のオーリーも、衣装がとにかく豪華でセンスが良い。玉虫色と言うか、微妙な渋いのに華やかな色合いで、悪役っぽいし。
対する王宮の"善人"達の、パステルトーン中心の衣装も、これはまた華やかで楽しかった。

ストーリーは近頃よくある、あからさまに続編狙いで全然完結してない中途半端なモノだったし、先に書いた通り四銃士は好きになれない。せっかくの黒オーリーも、活躍具合が中途半端で残念だった。だってクライマックスに欠席なんだもん〜。他の悪役(リシュリュー枢機卿の腹黒さ、ロシュフォール隊長の凶悪さ…)も意外と薄味だったのが残念。三銃士3人は、まあイメージ的にはソコソコだったかな。
それでも、豪華絢爛な衣装&室内装飾、CG丸分かりとは言え楽しい飛行船の群れ、屋根の上での格闘場面と、見所満載で退屈しない。
四銃士が好きじゃなくても、若いダルタニアンと侍女(これまた美人!)の恋も甘酸っぱかったし、それ以上に幼い王と王妃の関係が可愛らしくてキュンとなった。
王妃は若くて純情だけれど、キチンと貴族らしくて、リシュリューの所へ乗り込んで行くシーンは胸が熱くなった。本当に首飾りが戻って来て欲しいと思ったわ。
バッキンガム公の活躍は物足りなかったけど、ミレディーは大活躍だったし。ドレス姿が素敵だけど、そう言えばこの扮装では自慢の脚線美が拝めないな…と、思い出したタイミングでサラリとスカートを脱いでくれたのも拍手モノだった(笑)。
あの長〜い筋肉質の脚で跳び蹴りスローモーションとかね、さんざ見た気はするけど、やっぱり見栄えの良い事!
あ、『バイオハザード』の監督。ストーリーの物足りなさも含めて、ナルホド納得。


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