で始まるタイトルの映画

ファースター 怒りの銃弾   

ザ・ロック様ことドゥエイン・ジョンソン。
この人本当に、俳優以外の何かだったというのが信じられない。
しかしTシャツ姿はマッチョ過ぎて笑ってしまうんだが。
できればスーツ多目でお願いしたいところ(大好き)。

何か不思議な印象の復讐劇。
意外と凝ったプロットで最後まで楽しめた。
泣きそうな顔で殺しまくるマッチョ、純粋に趣味で楽しそうに殺すイケメンとその美人彼女、ヤク中で誰よりも怪しさ満載の刑事と、キャラクターも魅力的。
カメラのおっさん怖かったな。
暑苦しい牧師も面白かった。
善人も悪役も個性があって良かった。

まあ、ロック様が不死身でも全く違和感が無いのだが、最初の無茶振りな命拾いがそのままラストの伏線になってるあたりは好みだ。
あまりにもうま過ぎてご都合的ではあるが、そこはロック様なのでOK。
イケメン殺し屋のラストもビックリだが、この人ちっとも憎くないのでこれもOKかな。

人がいっぱい死ぬ割には悲壮感は無いが軽い印象でもない。
ロック様は渋くて不死身で大活躍だけど、意外に肉弾戦の見せ場が無かったのだけが残念な気がした。

 

ファイナル・デスティネーション 

すごい悪趣味。
全然予備知識ナシで何となく見始めて、理由も分からず最初から「悪趣味」と感じさせる演出に驚いた。
こういった映画があるとは聞いていたけど、聞いた段階での私の見解としては「くだらなそう…見なくていいや」だったっけ。
実際見てみて、ご免なさい。くだらなさは予想通りだったけど、けっこう暇つぶしになっちゃいました。

予知能力?に理由付けがあるでもなく、それで主人公がどうなるとかもなく、ただただ殺し方を見せるだけの映画。
もう何も考えずにワーとかキャーとか言ってりゃいいじゃん、と分かっていても、そこまで"死"を娯楽にする事が、どうしても抵抗があってね。なんかバチ当たりそうで怖いのよ。
それでも最後まで、さしたる不快感も無く見られたのは、とにかく無理矢理のアイディアの重ねっぷりに感心したのと、皆がどーでも良すぎる人間味の無いキャラクターで、ゲームのコマと思い易かったから。
そんなこんな、この手のモノとしては完成度が高いんじゃないかしら。

まあ、悪趣味という事で。

ファイヤー・ウィズ・ファイヤー

えーと、ブルース・ウィリスが活躍しない(笑)。
本当に、撮影中に脚でも折ってたんか、って言うくらい。

それはそれとして、全く予備知識ナシに観たら、けっこう引き込まれてしまった。
冒頭の強盗シーンが、なんだかとっても「うっ!」っていうのがあって…あ、これ褒め言葉なんだけど、通じてるかな?
敵方の残虐さ、無慈悲さがダイレクトに伝わって来て、「デキる!」と思ったのよ。
続いて恋人と襲撃されるシーンもなかなか良くて、あの脚撃って倒れ込んだところに胸、そしてスナイパーが救出する間は彼女に呼びかけてる、って辺りね。
その後、前半のワクワク感は軽く空振りに終わったけど、まあ手堅く進めてくれて飽きずに観る事はできた。
ちょっとね、主人公がスーパーアサシンになるのが急展開過ぎたと言うか。

消防士って、アメリカではとても人気が高そう、と映画を見てて良く思う。
確かに勇気と体力が無くては務まらない仕事だし、彼の国は勇気と体力が大好きだ(笑)。
バックドラフト』も『コラテラル・ダメージ』も、消防士が主役で、タフに活躍していたっけ。
…でもちょっと、展開に付いて行きにくかったのは、主演のまあまあイケメン君(ジョシュ・デュアメル…うそ、『ドリアン・グレイ』を演ってるんだ!あの顔で笑)はシュワちゃんのようなインパクト(=説得力)が無かったせいかな。
この人悪くはないんだけど、別に良くもない。見惚れるようなシーンが一箇所くらいあると良かったんだけど。

個人的心情としては「復讐上等」だと思っている。
ましてや過去ではなく、自分と愛する人たちを確実に殺すと分かっている相手なら、私だって先に殺そうと思うだろう。できないだろうけど、実力的に
そう、実力がね、このジェレミー君、最初は銃の扱いもあまり慣れてなさそうな感じだったのに、急に手際が良くなり過ぎなんだね。
まあ途中、撃つのをためらって反撃受けたりしてはいるんだが。
せっかく消防士で、しかもその職業を愛していた彼だから、もっと"火"を武器にするとかね。『バックドラフト』程度のウンチクはあっても良かった。
だからラストも、もうちょっとちゃんと見せてくれた方が良かったと思う。

…しかしあそこ、やっとブルース来るかと思ったよね私。まだ期待してたよね…。
来たのは彼女さんでした。見事仕留めましたとさ。
うんまあ、それもいいんだけど。
ブルースも、隣の金髪美女も、下手に出さない方が良かったんじゃないかって存在感だけがあって仕事しないというね。
暴力シーンのセンスとかはとても良いと思うんだけど。
デヴィッド・バレット監督…知らない。TVが多いらしい。ふーん。

で、検索してたらヘイガンが"ほほえみデブ"だったと知って驚愕、狂喜乱舞!
ほほえんでないしデブでもない!!!!

ファイヤーウォール

ハリソン・フォード、大好きだし、今でもかっこいいんだが。
歳取ったよね……。

若い美人の妻と幼い子供達。男性としては年齢的に無理ではないし、世間でもある事ではあるんだが。どうも爺さんと孫に見えてしまって、かえってフォードの老いを際立たせてしまった感があり、残念。
奥さんもちょっと化粧濃い系で、あの状況では臨場感がイマイチだった。
あとね、だいたい人質になる子供は糖尿病か心臓病か、アレルギー持ちという(笑)。まあいいけど。
悪役のポール・ベタニーは、今日もヤな感じ(笑)。とても良い。

ストーリーの発想は悪くないと思うんだけど、材料だけで料理が下手と言うか、スケールが広がらず残念な印象。
雨がずっと降ってるとか(ブレードランナー?)一応工夫はあって、高層ビルからの都会の雨景色は素敵だったけど、それも雰囲気以上に役に立ってないし。
まあ、あまりIT関連で緻密になり過ぎても付いて行けなくて面倒臭くなっちゃうので、その辺はあの程度でいいんだけど。
犯人チームでコンピュータ係みたいな人が、最初からイイ人オーラを出していて「専門知識を買われてメンバー入りしたけど、メカばかり見ててリアルな犯罪はピンと来ないタイプのオタクだったのかな」と勝手に膨らませて楽しんでたのに、結局活躍しないまま瞬殺されたのももったいなかった。
T1000が車の前に飛び出した時はワクワクしたが普通の展開だったし。しかし彼がすっかり中年だもん、時の流れは速い。
仲間は殺すのに人質はあの程度とか、最後の移動で当然のごとく犬が同乗していたりと、いちいち詰めが甘くご都合主義。お姉ちゃんが添え物で活躍しないのも残念。
唯一魅力的だった女性秘書の、「車に問題アリ」程度の言い訳でいいから、各エピソードに用意して欲しかった。
フォード父ちゃんをかっこよく見せたいがためか、せっかく呼んだ警察も、思わせぶりに秘書に「早いのでは?」と言わせたにもかかわらず、全て終了してからの到着だし。

そこそこハラハラはさせられたし、同じ家族愛を歌っても『2012』みたいな不快感は無かったけど、見終わったら見事に何も残らない映画。
実際今回二度目の視聴だったのに、思い出したのは息子の息が止まった所だった。
ワンコが無事で良かった。

ファインディング・ニモ

pixar*のCGアニメ、とは言え、なんだかあまり期待できないな、と思いつつ、やっぱり観てみました。
海の中好きだし、クマノミも可愛いし(実物ね)、一応。

まず、なんで期待できないと思ったかと言うと、キャラクターが可愛くないから。
魚って、いえね、海の中で実物見ると、そりゃあキレイでカワイイのよ。
でも、例えばヌイグルミとかになってても、欲しいと思う事はまれ。
ファンシ−向けじゃない、って言うか。
でもって、父と子の愛の物語、というのは漏れ聞いていたから、ちょっとなあ、サカナだよ?なんて思ったりして。

で、観てみて、やっぱり可愛くなかった(けっこう致命的)。
主要キャラが、私的にはほぼ全滅。
その他大勢のカモメ(「エサ?エサ?」って奴ね)とか、水槽の中のヒトデとかは、かなりツボに来たんだけど。
特にニモの、おっさんくさいくせにやたら表情豊かな顔、かわいくねー。

さらに、ストーリーが凡庸。
小さなお子さんにはいいのかも、とは思ったけど、残念ながら私、童心忘れてますから。
キャラクターの魅力(外見だけでなく、性格付けも)も、イマイチ。
口うるさい父親、大ボケで面倒臭いカノジョ、特に性格らしきものの見当たらない(あーあ…)ニモ。
この映画のヒットのおかげでクマノミの売り上げが急上昇、という話を聞いて、「それは違うだろ、バカな客だな」と思ったが、そういう客にウケる映画とも、その程度のメッセ−ジ性だったのだとも言える。でもバカ過ぎだよね。

それから、ここが肝心(私的に)の海のシーン。
綺麗だし、凄いんだけど、気が遠くなるくらいの技術なんだろうけど。
だって本物の方が、ずっとキレイなんだもん。
ヘタに好きだと、ダメなのかも知れないな。
クラゲのシーンは好きだ。あの中に入るのは、ご免こうむりたいけど。

 …と、さんざこきおろしつつ、色々確認したくて公式HPを覗いて見た。
「あっ、このカット、壁紙に欲しいー!」「わあ、こっちのイメージイラストもキレイ!」
すっかりはしゃいでしまいました。
おそるべし、Pixr

*pixarのCGアニメ作品『トイ ストーリーズ1、2』『Mr.インクレディブル』『モンスターズ インク』『レミーのおいしいレストラン』 

 

追記:どうもpixarにしては、イマイチ感のぬぐえない本作だけど、承知で見返せば、やはりそれなりに楽しめる。
最初はウザいと思ったドリーも、だんだん可愛く思えて笑えるようになった。
やろうと思えばお茶の子であろう、魚のメタリックさを排したのは、多分「かわいさ」の追求、のつもりなんだろう。ヌイグルミっぽいもの、この魚たち。その辺りは好みだから仕方無いけど、残念。
いつも吹き替え版の出来の良さにも感心するのだが、今回はそれもイマイチ。ドリーはいいけど。

根本的に、動物を擬人化するのはまあいいとして、全然生態の違う種を人間、それも家父長制度的生活に当てはめるのが強引過ぎて乗れないのかも。
だってクマノミなんて、群れで一番身体のデカい一匹だけがメスで、メスがいなくなるとオスの中で一番デカイ個体がメスになるんだよ?てな事をついつい、考えてしまう私は、いい加減頑なだとは思う(笑)。
あ、そう言えば『バグズ・ライフ』も、あまり好きじゃない、多分上記と同じ理由で。だって働き蟻って皆メスだよ?DNAは女王蟻と同じだよ?
しかし繰り返すが、クラゲのシーンは大好きだ。

ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]

ジェシカ・アルバは可愛いのう
怒った顔とか、戦う時の厳しい顔が、もんのすごくカワイイ。体付きもダイナマイト過ぎない絶妙のバランスで素晴らしいっす。
彼女の下着姿を見て「鍛えてるね」って、いい反応だ(笑)。

ジェシカはチャーミングなんだけどさ。
ストーリーが、結局内輪揉めに終始してしまってるとこが、残念と言うか肩すかしと言うか。壮大なCGに小粒なストーリーで。。
まあ、結果悪役のDr.ドゥームは頑張ってたし(クールな表情が良かった)"岩男"ベンも切なかったし、真面目で慎重なリードとスーの恋模様も意外とリアルで悪くはない。何よりクリス・エヴァンス演じる"ヒューマン・トーチ"ジョニーのお調子っぷりはなかなか、ヒーロー物ではあまり見掛けないおバカぶりが面白かった。
スーとジョニーが姉弟なのもいいね。
話は薄いしスケールは全然広がらないけど、アメコミらしい特殊能力設定や、軽いながらもそれぞれ個性的なキャラ付けは楽しめた。

そして何と言っても、最終決戦のスピード感ワクワク感
正直中盤はちょっと退屈に感じたけど、終盤20分くらいは本当に楽しかった。
特にお調子者のジョニーが無茶をするところ、それからまさかの(でも期待したけど)岩男返り!
シールドを張る時、風に吹かれて丸いおデコが丸出しになるジェシカが本当に可愛い。
って、ジェシカ出てなかったらダメかも、この映画(笑)。

ベンは気のいい、本当にイイ奴だし、幸せになって欲しいんだけど。
お相手が盲目の美女、というのは、なんだかいただけない。
全体に軽くユルく観られたが、そこはちょっと、引っかかってしまった。
あとはまあ、とてもアメコミらしく、後味も悪くない、あまり残るモノも無いけど不快感も薄い、そしてジェシカが可愛い映画。
シリーズ物の一作目としては、こんな感じが妥当なのかも。
取りあえず、次のも観てみたい、とは思った。

ファンボーイズ 

あの女医がレイア姫(キャリー・フィッシャー)だったとは!
なかなかシャレた配役だけど、分かんないよ!(笑)老けちゃって。せめて眼鏡外してよ。
更に、終盤大活躍の濃い顔のおっさんが『スタートレック』の艦長(しかも本人役)だったなんて分からないって!老けちゃって(笑)。でもそれを知ると、あの展開はかなり笑える。

『スター・ウォーズ』は大好きだし、そこそこオタク要素もあると思うんだけど、私。
いくらなんでも、着いて行けましぇんでした…。
そもそもオタク男子に全く魅力を感じないからな。
それでも、ところどころ小ネタが効いてて声を出して笑ったし、ちょっとホロリとさせられたんだけど。

オタクというのは圧倒的に男性が多いし、そういう意味でも男性目線で作られてしまうのは致し方無い事なんだろう。
私が男子だったら、もうちょっと楽しめたかもしれない。
女としてはこう…勘弁して、なワケですよ、こういう男たち。
だいたいいつも思うけど、出て来る"オタク少女"の容姿レベルが高過ぎる。全くリアリティがありません。いっぺん『アグリー・ベティ』レベルでやってみてよ。

オタク男子4人も、まあそれぞれに役割分担はあるものの、あまり個性が光っているとは言えず。
例えばデブでモジャ頭の"ハッチ"は、中でもトリックスター的なキャラクターで、ちょっと前ならジャック・ブラックなんかが演ってたと思うんだけど。面白さよりキモさが勝ってしまって、残念。
こういうヤツこそ、ラスト近くで「コイツ!いいヤツじゃん!!!」というのがあると最高なんだが、そういうのも特に見当たらなかった。
無茶な計画の発端である、余命いくばくもない"ライナス"にしても、かなりハードな旅の間中、全然弱ってる所が見受けられず(そういう方向にしたくなかったのは分かるけれど)他のメンバーも殆ど気を配ってない。取って付けたようなドクターストップ、申し訳みたいな最期のアップ。
それ以前に、"エリック"との確執や心の交流とか、閉ざされてしまった将来への思いとか、色々あったと思うんだけどなぁ。
あまり湿っぽくならない所が、良いところでもあるんだけれど。

こういったタイプの映画では、ある程度のオゲレツ表現は大目に見ようと思うものの、留置所で便器にサンドイッチを敷くあたりは許し難い。
バチ当たりまっせ、マジで。モチロン笑えないし、意味分からん。
反対に、意味も無くスタートレックのファン集会に殴り込み、記念碑をブチ壊す辺りは、意味も無いのに大笑いさせてもらった。「俺の耳が〜!」とか、バカバカしくてな(笑)。
あとはアレだ、私の大好きな怖い顔のおじさん(ダニー・トレホ)が出て来て嬉しかったな。イイ役だったし。

しかし溢れる、スター・ウォーズ愛。
劇中設定では『ep.1』発表前だが、映画公開が2008年と意外に新しいので、新シリーズが全部終わった後で作られたワケね。
そう思うとラストの「○○だったらどうしよう…?」が、ちょっと愛おしい。

そんなワケで、小技は面白かったし大筋は悪くないロードムービーなんだけど、ちょっと長く感じてしまったし、途中退屈してしまったのは残念だ。
スターウォーズおたくvs.スタートレックおたくのバトルシーンだけが、やたらと面白かった。

フィールド・オブ・ドリームス

ロマンティックでファンタジックな、美しい映画。
野球には興味の無い私でも、作り手の野球に対する愛が心地良く伝わって来た。

ベーブ・ルースの名くらいは聞いた事があるけれど、シューレス・ジョーについては知らなかった、知ってたらもっと楽しめたのに、ちょっと残念。
トウモロコシ畑の中から現われるのは、最初は単純な幽霊なのかと思ったが、そうじゃなかった。
今は老人の医者が、そのフィールドに入ると野球青年に戻ってしまう、というミラクル。
死んだ人間が戻って来るのではなく、残した思いが形になる、と言ったらいいのかな。
シューレス・ジョーは、八百長疑惑で大リーグを追われた名選手、だそうだ。
主人公は平凡な農夫。野球を愛し、家族を愛しているが、ある日「声」を聞いてしまう。
「それを作れば、彼はやって来る」。
その「彼」がシューレス・ジョーであり、「それ」はトウモロコシを切り倒して作った野球場。
きっと原作者は、シューレス・ジョーの失脚を悲しみ、どうしても諦めがつかなかったんだろう。
その思いは切なくて、愛おしい。

ケビン・コスナーも、まだこの頃は好きだった。
ハンサムだけど、平凡な農夫っぽくて、でもヘンな事しちゃいそうな感じもあって、役にはまってた。
ストリート・オブ・ファイヤー』の女戦士、エイミー・マディガンも、現実的だけど懐の深い妻を元気に好演、子役の歯が無いのもベリグー。

トウモロコシ畑の景色が、とても美しくて印象的。
身の丈を超えて生い茂るトウモロコシをかき分けて、「彼ら」はやって来る。
ログハウスっぽい主人公の家も、田舎の景色も、のどかで素敵な光景だ。
そして、野球を捨て医者になった老人が、子供を救うために野球場を踏み出すシーン。(このへんのシステムがいまいち分り辛く、事後承諾になってしまったのは残念だが)
悲しいけれど、夢も美しいが現実もまた大切、って事かしら。こういうスタンスは嫌いじゃないな。
そして、どうやってまとめるんだろう、と思いながら観ていたら、別にまとまらないんであった。
ファンタジーを畳んで仕舞う必要はないのかな、と、ミョーに納得。

フィールド・オブ・ドリームス(by Macha)

最近映画を見ていませんが、よく見ていた時期の映画のなかで私はフィールド・オブ・ドリームが好きです。ケビン・コスナーはだんだんおじさんになってしまいましたが当時は素敵に思えた!野球好きの私はストーリーが大好き!子役の女の子のかわいい!今はDVDが主流ですが当時発売されてすぐにLDを買い、その後もたまに見ています。

フィッシャーキング

『未来世紀ブラジル』という、物凄くイカシた(イカレた?)映画を撮ったテリー・ギリアム(多分天才)。それに比べると、こちらはいささか常識的な印象だ。
とは言っても、ヤバイ要素はタップリ含んでいるし、痛烈な皮肉も、せちがらい世の中も、人間の残酷さも、しっかり作中に盛り込まれている。
それでも、最後には「赦し」がある、あったかい気持ちで幕が降りるのを眺められる。

ジェフ・ブリッジス(かっこ良かったなあ、この頃…)演じるジャックは、毒舌でならした人気DJ。
ラジオ番組中の不用意な発言のせいで、殺人事件が起きてしまう。
映画公開当時よりも、インターネットが普及した現代の方が、その恐さは皆が他人事でなく感じられるかも知れない。恐いよ、「発信する」のって。
失脚して無為の時を過ごす中で、その同じ事件で愛妻を殺されたバリー(ロビン・ウィリアムズ、この頃はまだイヤミもなくて、良かった)に出会うが、彼は事件のショックで頭のネジがゆるんでしまい、ホームレス生活。
深く傷付いた二人の恋と再生。
甘過ぎず、けれどファンタジックに、そしてユーモアもたっぷりに、でもやっぱり絶対に恐さも忘れさせずに、物語は進む。ラストシーンでちょっと脱力して、今までずっと緊張状態だった自分に気付かされる。
そして思う、ああ、まあいいか。
星空の下の公園の芝生に全裸で寝ころがる、なんて無茶な真似は、おそらく一生実行するチャンスはなさそうだけど、その心地良さは想像するにかたくない。

二人の男がそれぞれに恋をする、二人の女性がまた、すごくいい。
殆どヒステリーかと思う程怒ってばかりのジャックの恋人。あんな男が相手では怒るのも当然だが、同時に愛もヒシヒシ、伝わって来る。はすっぱで乱暴だけど、優しい、懐の深い女。
バリーが恋する「姫」は、世間的にはサエない、内気で地味なオタク系。恋にはとても不器用だが、自分の世界をきっちり持って大切にしている人。おどおどした彼女を見ると、幸せを願わずにはいられなくなる。
そしてバリーは、たとえネジがゆるんでも、本来の知的で上品な人間性だけは失わない。
人の「芯」みたいな物を見せてくれると、私はすっかり嬉しくなってしまうのよ。

正直、「ええんかいな」という点は多々あれど、人物の魅力と、現実的なんだか幻想的なんだか良く分からない(この点でも『ブラジル』をシッカリ踏襲しているが)世界観に引っ張られて、気持ちはかろうじて付いて行く、そのハラハラ感がまた心地良く、ラストシーンが見えて来て「あ、良かったんだ」と思うと、本当に嬉しい、幸せ。
不思議な幸福感と、素敵な不安感。 『フィッシャーキング』は、楽をしたい人には向かない映画かも知れない。

追記:久々に見直してみたら、やっぱり駅でのワルツシーンとか、凄い。遊びは少なめと言ってもアレですもの。やっぱりイカレてます。

フィフス・エレメント 

なんだかんだ言っても一応泣かせてくれた『レオン』の後、リュック・おフランス・ベッソン監督が何やるかと思ったら、こんなんやらかしてくれちゃったのね。
あのさぁ。下品

近未来SFという事で、「空飛ぶイエローキャブ」と「無敵のタクシー運転手」って中途半端(笑)な設定は結構好みなんだけどな。
何となく古臭いビル群の隙間を縫って空飛ぶ自動車(そうとしか呼びようがない)が行き交う景色は、『ブレードランナー』とはまたひと味違って楽しいものがあった。
オペラのシーンとかはそれなりにゴージャスだったけど、話題になったゴルチェの衣装も案外地味で面白味に欠けたし、ひたすらバカ騒ぎが続くんで単調になっちゃってるし。ギャグ(なんだよね…?)の連打は殆ど寒いし……なんか、最近観ては辟易する韓国映画みたい、笑えない。
何よりも、肝心のSF部分の設定&装置が、お粗末な気がするし。
「至高の存在」ミラジョボはオレンジ頭のカッパ星人(監督が乱暴で痩せっぽちのロリータがお好きなのは、よーく分かったから、もお…)で、いや意外と可愛かったんだけど、やっぱ品が無さ過ぎだし。でも急に笑ったりするとこは、本当可愛かったな。
元々ブルース・ウィリスは好きだし、まあ今回も大活躍ではあったけど、なあ。
「ママに弱い」とかって設定も、あまり功を奏してるとは思えないし。くどくてな…。

CMがとってもカッコ良くて、ちょっと期待し過ぎた部分もあったと思うけど。
でも絵は確かに凄い所がいっぱいあるのよ。ミラちゃんが飛ぶところとかさ。でも内容がアレで、繋ぐ会話やギャグがアレじゃあ、だいなし
あの半分ハゲはゲイリー・オールドマンだったんだ。それだけ取り出せば、けっこう面白い、かも。それにしてもあの悪役、タツノコアニメみたい…タツノコは好きだけど。
やっぱり「フィフス・エレメント」の謎解きが、お粗末と言うか、悪の黒幕も「何だったの?」な終わりだし、せっかくの恋愛エピソードも、とってもアニメ的感動装置のはずなんだがハズしていると言うか食い足りない印象だし。

クリス・タッカーとか、耐えられないんですけど………。
…しかし『ポリスアカデミー』やら『チーム☆アメリカ』で大笑いしちゃう私が、「おげれつだからイヤ」ってのも我ながら理不尽とは思うんだけどさ。

15ミニッツ

序盤、ちょっと長さを感じてしまった…つまらなくはないんだが、集中力が続かなくて、DVD鑑賞中休憩を入れてしまった。
エグゼクティブ・デシジョン』のようにパッパと進めてくれるワケでもなく。(まあデニーロとセガールのタイプの違いを考えれば無理も無いけど…)

悪役二人組が、何とも薄気味悪くて、見た目はチンピラの雑魚なのに手強い手強い。でもあまり気分が盛り上がらないのは、見て楽しい要素が無さ過ぎるせいか…なんか気の滅入るキレ方だよね、二人とも。
エドワード・バーンズが、あまり好みでないというのも大きかったのかも。主役にはちょっと地味で、これまた見て楽しい要素が無かった。
マスコミ批判なのは分かるが行き過ぎな内容がかなり不快。そういう意味では、冒頭からデ・ニーロ演ずる現役刑事がマスコミでスター扱いというのがすでに、不快要素。
刑事と消防士がタッグを組んで…というのは面白そうだったんだけどな。
なんか最後まで、あまりカタルシスも無く、ただデ・ニーロの彼女は応援してしまったな。

フィリップ、きみを愛してる! 

ええっとー。
あなた、ジェダイの騎士でしたよね?

と、折り入って確認したくなってしまった、ユアン・マクレガーの名演技にビックリ。
なんと実話がベースという、ゲイの純愛物語。老けっぷり著しいジム・キャリーが、やたらに可愛いマクレガーを死ぬ程愛しまくる。
中年過ぎてゲイを自覚した詐欺師のスティーヴンは、刑務所で素敵な金髪のフィリップに一目惚れ。彼と一緒にいたいがために、あの手この手で脱獄、詐欺を繰り返す……。

口八丁手八丁、IQ169の天才的頭脳を、どうしても真っ当に使えないスティーヴン。すっかり老けてしまっても、CG並みの百面相は健在で、全くもってハマリ役。あまりのしつこさ、小ずるさに、「そこまでか?」と何度もツッコミたくなるが、この鬱陶しさも持ち味だから。
そして「金髪に青い眼のゲイが運動場に出たら狙われるでしょ」なんて言ってる、心優しい『乙女』のフィリップを、かの勇者オビ=ワンを演じた(よね?)ユアン・マクレガーが、もう信じられない迫真の演技で演じきる。
カワイイんですよ、なにしろ。上目遣いに見つめる目、恋人を追って走る腰つき、拗ねたり怒ったり、そんな姿もいちいち可愛い。スティーヴンが無茶する気持ちも分かる気がする。

スティーヴンには妻子がいる。騙してたワケじゃなく、自分を偽ってた頃に作った家族だ。
離婚はしたし、ゲイである事も、最愛の恋人がいる事も知ってなお、あれこれ心配して手助けをしてくれる、元妻がとてもいい。「あなたはいい人なんだから」なんて、言ってくれるのよ。
刑務所の中でも、それなりにスジを通せば恋する二人が一緒の房で暮らせたりして、アメリカって凄い国だな〜と感心してしまった。

そして、本当に当たり前の事で、言うも恥ずかしいんだけど、愛する気持ちにゲイもストレートも無いんだね。
愛するフィリップのためにひたすら稼ぎ、会えないとなればたまらず脱走し、尽くしまくるスティーヴン。手段は違法でも、その思いは純粋だ。彼の回想の中のフィリップは光り輝いて、さながら愛の女神のよう。最初はオッサン二人のラブシーンに腰が引けて見てたのに、中盤からスティーヴンの気持ちに思いが重なって、胸がキューンとなってしまった。

けど、スティーヴンは頭が切れ過ぎたのか、やり過ぎたと言うか。(実際、思い切り命掛けてます!本当か〜?)通常は詐欺程度ではあり得ない終身刑を食らってしまい、今に至る、らしい。
映画はそれでも、あくまで明るく前向きに、懲りない彼の姿で幕を降ろしているけれど、心配なのはむしろフィリップの方。
一人でやっていけるのか?お嬢さん…。

フィリップ、きみを愛してる!(byココアちゃん)

ばかばかしくておもしろかったね。ユアン・マクレガーが乙女で。
これレンタルで観たので2度目、吹き替えで聞きながら英語の字幕を見たのよ。「ホモ野郎」って「ファゴット」って言うのね、とか「上が好き?下が好き?」って「トップ」と「ボトム」って言うのね・・なんて事を楽しんだのでした。
これも実話なのね。「ボーイズ・ドント・クライ」も実話だけど実話、と聞いて「そうか、すごい」と相乗効果で感動するのもあれば「どっちでもいいや」っていうのもあるし、最悪なのは「実話でなけりゃ企画も通らなかっただろうな」ッて映画。
どのみち映画の出来次第でしょうかね。

フェイク・クライム

相変わらず、と言うかますますボンクラっぽさに磨きが掛かってる、キアヌ・リーブス。
こうなるともはや芸のうち、と言うか、とても有効に使われてる映画だと思った。
でも、この映画で最高なのは、ジェームス・カーンの詐欺師だな。
胡散臭い、でも、愛嬌があって憎めない。獲物を狙う目付きが素晴らしい。

正直ストーリーは、冒頭から全然思い入れができなかった。
いくらMr.ボンクラのキアヌをもってしても、ヘンリーが黙って刑務所に入れられるというのは理解できない。
妻との仲がシックリ来てない、という描写はあるものの、いきなり強盗が始まってしまって、彼の虚無感だか鬱病要素だかが見えないままだから。
そうかキアヌはいつもボーッとしてて鬱病が通常営業みたいな顔してるからと思ったら、かなり病んだ人の役だったのか、という事か。
そして続く強盗を思い付く件は、もう本当に「はぁ???」であった。
まあ強盗は企てなきゃ話が始まらないんだが、ちょい無理矢理過ぎ。

反対に、カーンの名演技を抜きにしたとしても、マックスが刑務所に残りたがる気持ちは何となく分かるし、ヘンリーの計画に乗る気になるのも分かる気がする。
フロリダへの憧れを語る姿は微笑ましく説得力があるし、最後は滅茶苦茶強いし"ジジイ"に過敏反応するし(笑)。
この振り幅を全く違和感無く見せてくれるのは、やはりカーンの名演技の成せる技か。

残念ながら『桜の園』は読んだ事が無いのだが、アレはまずいでしょ。
どう見たってあの芝居は大失敗。台無しだよね。
まあ、どうせヘンリーは高飛びするし、ジュリーも追って行くんでしょうから、知った事ではないのかな。
演技に打ち込んでいたはずの彼女の情熱やら夢やらは、どうなってしまったんでしょ???
ジュリーとヘンリーの馴れ初めも弱かったし、惹かれ合う気持ちも良く分からなかった。
まあ都合上、と言った印象。
普段はそうでもないが、舞台衣装姿のヴェラ・ファーミガはとても綺麗だった。
そして舞台でのキアヌのヒゲが、超絶似合ってなくて笑った。あれだけでもあの芝居、コメディでしょ。

そんなこんな、ヌルい展開ではあったが、カーンの詐欺師を見られただけでも、収穫はあった、という気がする。

フェイシズ(2011)  

題材はね、面白いと思うの。
"顔が認識できない"という症状を、同じ役を役者を換えて見せる、というのも映像的な良いアイディアだと思う、その分話が分かりにくくなるけど。
恋人役の俳優は15人だか使ったって!
実際には、顔が認識できないからと言って、こんな絵面にはなってないとは思うけど。色盲を説明するのが難しいような、そんな感じかな?
でも顔が分からなくても、恋人と抱き合ったら分かるよね…仕草とか感触とか、匂いとか。それ以前に声もあるし…まあ、自分は分からないのだという事で緊張し過ぎてしまう、と、好意的に見てあげてもいいけど。
…ひょっとして、男性の感覚?良く男は目による判断が女より重い、と言うけれど。

殺人ミステリー部分は単純で、犯人が割れても特に感慨も無かったけど、それも良しとしよう。
重要なのはソコじゃないから。
ミラジョボさんの硬質な美しさは、迫り来る魔手に怯えるとか自分の症状に不安を募らせるとかが似合わなくて、ちょいと残念。だって強そうなんだもん。

カウンセラーのおばさんは良かったな。
ちょっと言葉に聞き入ってしまった。
最初は普通に登場して厳しい事を言って、後から種明かしをする所が憎いね。そしてそれがとても絵になる、良い女優を使っていた。

あとラストがな〜。
刑事はいいじゃん、残してあげても。
あの人が単純に魅力的だったせいもあるけど、何よりヒロインが可哀想過ぎて…このね、子供授かったんだから救われたよね、みたいな姿勢がイヤだ(笑)。
50回目のファーストキス』みたいなんで良かったのに、と思ってしまう、私はやっぱりハッピーエンド好き。

フェイス /オフ

うわーん。面白いよお。
年々オランウータン化が進むジョン・トラボルタ。年々前髪前線後退のニコラス・ケイジ。二人とも、(大きな声では言えないが!?)私大好き。
二人がそれぞれ、ワルと善人を両方演じるという、お楽しみ満載映画だ。

整形手術で入れ代わって、妻も気付かない、なんて設定のムリさ加減は、全然OK。すでにSF的だけどね。
そんな事より、二人の入れ代わり立ち代わりの面白さ、それぞれの人間関係、シャープなアクション。
マヌケな善人トラボルタが、ワルになるやヘビのように冷たい目になる。危ないキレまくりケイジは、なさけな〜い正義の味方に。合わせて4通りの「いい人・悪い人」を見るだけでも楽しい。
そして、善人のパパに不満タラタラだった娘が、ワルになったパパにほのかに心酔してしまうあたり、でも結局娘は善を選択するんだけど、そこらへんのやり取りも、とっても面白かった。妻にしても、ワルの夫にちょっと惚れ直した感じだったしな。

現実性の無いおとぎ話なのに、色々考えたりしてしまいました。でも、とにかく娯楽作品として、OK!なんだけどね。

フォーカス 

詐欺師の職業クライムストイーリーかとワクワクしたけど、まあ、ラブコメでしたね。
それも悪くはないんだけど。
スタイリッシュに描かれるスリ集団の手口、味方まで騙しての大博打、己が美貌の使いようを知らない女の子の成長ぶり等々、見ていて楽しかった。
主人公のウィル・スミスとヒロインのマーゴット・ロビーのコンビもオシャレ感があってイイ感じ。

良く出来たプロットで、二転三転を気楽に楽しめるんだが、その分予想が付き易いのがちと残念だった。
なんだろう、伏線が出た瞬間に「あ、コレ使うな」と察しが付いてしまうぎこちなさ。
でもパパの件は、きっと出るとは思ったけど予想外なとこから出て来て騙された、って言うか反則(笑)。
まあその反則ぶりも楽しめたし、正体を明かす前も後も、パパさんの演技がとても良かった。
嘘と本当のキャラが全然変わってなくて地続きなのが好印象、きっと一流の詐欺師ってこんな感じかな、と思った。

個人的好みとしては、全体に軽すぎて、もっとディープな詐欺の大仕事とか、そういうの見たかったんだけどね。
仕事面はサクサクッと済ませて、ニッキーとジェスの関係性に"フォーカス"してたから。
でも、それにしては、せっかくのニッキーのトラウマ?や、ジェスの特異な人となりが、もっと面白く絡めたでしょー、と、薄味でもったいない。
なぜニッキーは急にジェスを突き放したか、ジェスはなぜドアの前に座ってたか…何となく分かりはするものの、胸に迫るまでいかないのよ。
二人がオシャレ過ぎるのかなぁー。

ウィル・スミスもスタイル良くてスマートだけど、マーゴット・ロビーの美しさ、可愛さは大注目!
近頃のハリウッドには珍しい、女性的でゴージャスな本物の美女
赤いドレスで階段に現れる再会シーン、黒のビキニのプールサイド、最初のピンクのドレスも終盤の白レースの上下も可愛かった。
ああ、『ターザン』のジェーン。なるほど。

脇役も皆イイ味出してる。
オタクな詐欺師メンバーも、ターゲットのレーシングチームのオーナーも、その側近の爺さんも、中国人ギャンブラーも、それぞれキャラが立ってて面白い。
強いて言えば、せっかくの美女・マーゴット@ジェスが純情過ぎて?食い足りないと言うか。
結局ウィルスミス無双になってしまってるのが、不二子ちゃんを見て育った(笑)身としては物足りなかった。
二転三転はいいのだが、ラストもあまりカタルシスが無くて「はあ?」で終わってしまったし。
ちょっとあちこち残念な映画だったなー、マーゴットが美しいだけに、惜しい。

フォーガットン 

うっひゃ〜〜〜!
ヘンな映画。
なんとも、スットコドッコイな映画だった。

ストーリー展開は緻密で面白いし、主演女優ジュリアン・ムーアの演技はド・シリアスで迫力だし、お相手役の男優もなかなかセクシーで、二人が心を通わせる課程もキメ細かで見応えがある。不安をあおるサスペンス的演出も丁寧で上手い。なにより「事故死した息子を思って嘆いていると、実は子供は最初から存在しないと皆が言い出す」という設定は、最高に魅力的、冒頭一気に引き込まれる。

なのに、なのに、あの展開。
あのスットコな「真相」「真犯人」。
このバランスの悪さは、どうした事だろう?
ネタバラシはしたくない。
何も知らずに観て、私と一緒に腰砕けな気分を味わって欲しい。
(そういう意味で、オススメ映画ではある。できれば楽しいお友達と複数で鑑賞したい)

人間が「どっぴゅーん!」ってのは絵的に面白かったけどな。

フォーガットン(byココアちゃん)

ははは、確かにあの「ドピューン」では「何だ?!こういう映画でしたか?!」ってびっくりしましたね。私もあの手の心理サスペンスみたいなのって好きだから借りたんだけれど・・・。
前半はその感じでおもしろかったのにね。
私の推測ですが、多分製作側とかが、「それじゃ地味だ!お客入んねえだろ!アクションで盛り上げろ!CGとか使えよ!ドピューン!とか!!派手にしろーーー」なんてやってたんじゃねえか・・・と。
でもジュリアン・ムーアって「ブギーナイツ」の印象しかなかったんだけど「苦しい母親」役はまるね。女優さん達も40才を境に母親役を上手くやらないと仕事こないらしいよ、あまり。
でも私米テレビ番組好きなんで精神科医役のゲーリー・シニーズや異星人役のライナス・ローチとかで楽しんだのでした。

フォーン・ブース

もの書きのハシクレとしましては(笑)、こういうのって燃えるのよ。
なにしろ最初と最後の数分以外、主人公はずーっと電話ボックスに「いなければならない」という設定。
モノが電話なので、残念ながら電話相手のシーンが挟まるという逃げ場はあるものの、限られた条件下でどこまでやれるか、というのは、興味シンシン。
有名所ではヒチコックの『裏窓』とかね。
そしてこの『フォーンブース』は、かなり頑張ってる出来のいい映画だった。

主人公は日本でもよく見かける、鼻持ちならない「ギョーカイ野郎」。
高級スーツに身を包み、携帯電話を片時も放さない。口先三寸で人を手玉に取る、けれど、どー見てもチンピラなので人は本気で相手にしない、というタイプ。
演じるコリン・ファレルは、ちょっと注目してたんだけど、やっぱりなかなかイケてます。
この主人公が、不純な動機で使った ビルの谷間の電話BOXに拘束されて、どこからかライフルで狙われる。巻き添えで人が撃たれ、警察が駆け付けても、電話を切る事ができない。
謎の犯人とのやり取りのサスペンスに、妻や恋人(殆ど片思いなんだけど)を巻き込んでの人間関係と、セラピーマニアの刑事とのやり取り、それぞれがいいタイミングで進行して(こういう企画は間合いが命)、飽きさせない。
なかには「それは通らないでしょー」ってアイデアもあったけど、あのドサクサではそれもアリかな、という勢いがあって、充分楽しめた。
だんだんボロボロになっていく主人公が、実は自信の無い田舎者だと自覚していく過程も説得力があり、端的で分かりやすい人間ドラマにもなっている。
そしてお決まりながら、ちゃんとラストにもうひとひねり、サービス精神も及第点だ。

お金も時間も、あまりかかってなさそうだけど、ち密な脚本と演出、それに役者の演技でもって、とても楽しめる80分(短い!けど物足りなさは無い)でした。
最後に、ネットで見つけたこの映画の感想、人様の言葉だけど、気に入ったので引用させてもらいます。
早い安いうまい」。
あんたもうまいよ。

フォレスト・ガンプ/一期一会 

「人生はチョコレートの箱のようなもの、食べてみるまで中身は分からない」。
この言葉が、良くも悪くもこの映画を象徴している。
私の感想はと言うと、
「チョコレートの箱に入ってるのは全部チョコレートだ」。

トム・ハンクスは嫌いじゃないし、達者だとは思うけど。『ビック』を観てしまうと、こちらは完全に二番煎じな印象だ。
ストーリーも、チョコレートのセリフが象徴するように、意味がありそうで底が浅く、そんなに面白くなかった。
登場人物、特にフォレストが恋するジェニーも(田舎では)美人だというだけで魅力を感じない。性格悪いし。あの人生酷すぎで楽しめないし。
頑張ったのに報われない人生(ジェニー)と、狙いもしないのにタナボタばかりの人生(ガンプ)。どっちもつまらない。
ゲイリー・シニーズの上官は、説得力があったな。あのエピソードは、引き込まれた。それも結局ホラ話的に終わるんだけど。まあいいや。

「知的障害者=純粋な善人」、という無邪気な前提を、まず受け入れなくてはならない。『アイ・アム・サム』なら「障害者でもいい奴はいるさ」程度の認識でOKなんだけどな。
ガンプ自身が、子供の頭の心配をしたりして(するだろうけど…)、お利口で良かったね、みたいな結論になっちゃってるのも、ちょっとね。

わずかに、ジョン・F・ケネディやビートルズとのCG合成画面等の、ホラ吹き加減が楽しめた。
壮大なスケール感のBGMと共に、深く考えずに気持ちを大きくするには最適。
ホラ吹き映画と割り切って、あの時代の空気を楽しむにはいいかも知れない。

復讐捜査線

予備知識無しに見たけど、かなりガチなバイオレンスぶりにビックリ。
メル・ギブソンは結構家族殺された拷問受けたりして来たけど、ここまでサクサク人が殺される映画は予想外だった。
冒頭の娘襲撃は、しばらくは本当に流れ弾かと思ってたし、密告したシングルマザーの始末され様は本当に度肝を抜かれて口開けて見てた。
派手なアクションと言うよりは(派手な爆発もあったけど)瞬殺の鮮やかさが印象的で、実際巻き込まれる時はこんな感じかな、という怖さがあった。

個人的に父を亡くしてから「父と娘」の話に滅法弱くて、チョコレートのCMで泣いてしまったりする程なので、そういう意味でも感情移入半端無かった。
クレイブン父ちゃんの回想の中の愛娘エマが(とっくに成人してたにもかかわらず)いつも幼い姿で海ではしゃいでるというのも涙を誘う。
きっと父親にとっての娘とは、永遠に7歳の穢れ無き幼な子なんだろうな…。
親として子を失うというのは、間違いなく人生で最も不幸な体験の一つであろう事は想像がつくが、中でも父親が娘を失う父というのは、なぜだろう、哀れもひとしお。
メル・ギブソンの憂いを帯びた青い瞳は、そんな悲しい父親を演ずるにピッタリだった。

もちろん哀愁だけのギブソンではないので、後半戦の冷酷なまでに敵を追い詰めいたぶる姿もまた様になる。
時折差し込まれる妄想?幻覚のようなシーンと、覚醒し切ってシビアに敵を仕留める現実的なシーンとが交錯して、見る側はソワソワと危うい気分を共有する。
あの状況で正気保つのは大変だよね…と、妙に納得もしてしまう。

娘役、子役も大人になってからも可愛らしくて、大切な人を失った悲しみに拍車を掛ける。
ラストシーンは切なくも美しく、ここで登場するのはちゃんと大人になったエマだった事も注目に値すると思う。
父と娘はこの先も、ずっと一緒に生きて行くんだろうね。

不機嫌なママにメルシィ! 4/15

ギヨーム・ガリエンヌって知らなかったけど、コメディ・フランセーズですか。
原作・脚本・監督・主演男優・主演女優
しかも自叙伝とか。なんと多才な。
正直"ママン"が男性なのはすぐ分かったけど、"ギヨーム"と同じ役者とは最後まで気付かなんだ。それもどうかと思うが(笑)。

ここ数年、フランス映画の面白さに目覚めた気がしていたのだが、やはりこのテの物には置いて行かれてしまう。
まあ自叙伝=実話と聞いて、消化不良な部分があっても仕方ないのかなとは思ったけれど。
結局ママの気持ちが良く分からないまま、ストンと終わってしまったが、そもそもあの"美女"は彼を愛しているのか???

メルシィとタイトルに入っていながら、開始直後に舞台はスペインに飛ぶ。
フラメンコのくだりはとても楽しく観た。
が、絵的にも動向的にも楽しさのピークはここで、その後イギリスの寄宿学校、ドイツのスパと場所は変われど笑えないコメディが延々と続き、元々フランス語を聴くと眠くなる体質なので視聴を続けるのに一苦労、かなり巻き戻した。
特に笑いのポイントが全く私好みでなかったようで、腸内洗浄とかもうなんなん、という感じ。
終盤バタバタと登場した"美女"に恋をして「自分はストレートだ」と気付く、という話だが、あまりに彼女とのエピソードが薄く、寄宿学校の彼への恋心としか言えない描写との落差がありすぎる。
これで「僕の恋愛対象は女性でした」と言われても、納得はできない。

部分的には心地よい美しいシーンがたくさんあった。
スペインのお祭りもそうだし、プールの描写、乗馬で両手を離すシーン。
ママンもキュートで素敵だが(この辺りの芝居には脱帽)お祖母ちゃんが美しくエレガントで最高だった。
でも眠いんだよ…。

余談ですが、私自身3歳くらいまで男の子のように育てられた。
大人になっても自分のジェンダーに不安を覚える事があります。
それにしては、この映画は全くの他人事だったな。
レズになろうと思った事は無いけどね。

ふたりにクギづけ 

ええ?いいの!?そんなん。
と、いうのが正直な第一印象。
結合性双生児、というモチーフを使って、しかもコメディ。(しかもこのタイトル……)
でも、観てみればきっと、なんとなく、納得するんじゃないかな。
ファレリー兄弟と言えば、『メリーに首ったけ』でも『愛しのローズマリー』でも、ただモンじゃない方向性が垣間見られた。
こう言っては何だが、こういう映画に天下のメリル・ストリープやシェールが出演、それも自分役で!という事実が、彼女らの賛同の意志の表明に他ならない、と思うしね。
ストリープも笑えるが、シェールに至っては実名で「落ち目で焦ってるヤな女優」を演じてくれている。(すごく楽しそうだ…)単なる「お仕事」で、ここまでやらないでしょう。

兄・ウォルト(グレッグ・キニア)と弟・ボブ(マット・デイモン)は、とにかくくっ付いている。
双子と言っても全然似てなくて(見た目はモチロン)ウォルトは陽気でボブは内気。
くっ付いているので、兄がスターになりたいと言えば弟もハリウッドまで付き合わざるを得ない。
正直笑うのは、最初はおっかなびっくりだったが、だんだん気が大きく、というか大らかになって来て、楽しく笑い、気持ち良く泣けた。
グレッグ・キニアとマット・デイモンの元気な演技、良くぞ思い付いた楽しいアイディアの洪水、確かな人物描写。
説得力があるので、ブラックにも走らず、偽善的な臭いもせず、むしろ自然な気持ちに導いてくれる。
離れてしまった二人が最終的に選ぶ結末は、(人生についての好みはともかくとして)限りなくハートウォーミングなハッピーエンドだ。

元々大好きなマット・デイモン(出てなかったら観なかったかも…)だが、今回の役も素晴らしい。
ボーン・アイデンティティ』の精悍さは何処に。『リプリー』のダークさも微塵も無い。
陽気で前向きな兄に文字通り引きずり回されて、青い顔でグッタリしているボブの様子には、本当に爆笑。そして愛さずにいられない。
兄グレッグ・キニアの方は、「誰?」と思ったが『恋愛小説家』のゲイの画家だった。あーあーあー、なるほど。
達者な人。あり得ない程明るくて強引な行動派のウォルトの、ナイーヴな面をチラチラと見せられると、泣き所だ。
もちろん、現実は厳しいし、酷い奴らだっていっぱいいる。
辛い事、苦しい事はいっぱいあって、避けては通れないけれど、それもちゃんと受け止めて付き合うだけの作り手の覚悟が見えて、肩入れしたくなってしまう。

いいじゃない、この場は笑っても。
ちゃんと見て、考えて、笑って、泣こう。

 

プテラノドン  

同じ『午後のロードショー』で『ダイナソーin L.A』という物凄い映画を観た後だったんで、全く期待はしなかったものの、「翼竜♪」という気分で観てみた。その期待の無さが幸いしたのか、意外にも凄く楽しめてしまった。
予算は…、所々、というか全体に、少なかったんだな〜、と感じたし、キャストも知った顔がいなくて地味ではある。パニック映画の場合、知らない顔の方が臨場感がある、という場合もあるが。
ロケ地も異国の未開地と言うよりは、大きめの自然公園と言った印象で(笑)ちょっと残念B級感。
でも、主演の博士と女子大学院生は地味ながらナカナカ趣きのある美男美女で、学者バカでちょい自己中な年上の男と、聡明で勇敢な若い女、という構図が魅力的。
他のキャラクターは、お決まりのお色気担当(かなり性格悪い)に、男共はほぼ全員がオタク(笑)。あんなに殺さなくても、とは正直、思ったけれど。
突然襲って来た怪物と大立ち回りの末、九死に一生を得て助けを求めてみれば、相手のオタク男の目線はブラジャー一枚の胸に釘付け…とか、妙にリアルで笑えたし、そういう奴だからその直後、飛来した怪物にただ立ち尽くして(見とれて?)アッサリ攫われてしまうのも納得(笑)。
女って現実的、と言うか、雌は生存本能に優れ、雄は生殖本能が優先される、と。自然の摂理に忠実な内容だわ(そうか?)

"飛翔"が生理的に大好きなんだが、そういう意味でも楽しめた。
もはやCGは、私的にはこれで充分なので、後はセンスの問題なんだが、ちょっとぎこちない点も含めて、誰も見た事の無い古代生物の動きや質感にはある種のリアリティがあって、上出来と言っていいと思う。
惜しむらくは"リーダー"と目される個体が、デカいだけで他に特徴が無く、単体だとどれだか分からない、飛び回ってても分かりにくい。
シルバーバックとか、白鯨みたいな個性を持たせて、もう少し賢い(他の奴らと違う)所も見せてもらえるとベターだった。
あと、せっかくの特殊部隊が、ただただ火薬の消費に努めるばかりだったのは物足りなかったな。
途中、博士にプテラノドンの弱点を聞いて「夜は眠ってる、急所は尾と翼」なんて事を言わせてるのに、それがあまり生かされない展開も残念。

私の大好きな『コマンドー』の監督なのね。
うん、良い意味での適当さとか、人殺し過ぎるところとか、面影はあるわ。

舟を編む

ネットの映画評なんてアテにならないな。物凄く高評価じゃん。
しかも、何やら賞も取ってるって?

酷い!って所は特に無いけど、退屈だった。そして、全くもって予想通りになるようになって行くだけ。
真面目に何かに打ち込む人の姿は感動的なはずなんだけど、そうでもなかった。と、言うか、殊更に淡々とした表現が、私は鼻についてしまって。
まず、これ、"辞書"が"雑誌"でも"映画"とかでも、殆ど内容変更ナシに置き換えられないか?最後の「すぐ再考を」みたいな事言う、あそこだけ辞書ならではだけど、そこで驚くでもなし。
どうせ退屈なら、もっと突っ込んだマニアックな辞書制作現場を見たかった(そしたら私は退屈しない)。
そうかと言って、主人公の恋愛問題がどうというでもなく、教授は亡くなるけど、年寄りだし予想通り。

オダギリジョーも松田龍平も悪くなないけど特に良くもない。大好きな小林薫さんも普通。宮崎あおいちゃんは、『NANA』では「天才少女発見!」と一人盛り上がったものだったが、今となっては本当に普通。あの役の存在意義も分からないし。
けど加藤剛と八千草薫の夫婦って、恐ろしい美形カップルだよね……。

猫のトラさんが可愛かった。

フライ,ダディ,フライ 

邦画はあまり…なんだけど、岡田准一、堤真一主演の上、TVで観て面白かった『GO』と同じ金城一紀の原作・脚本と聞いて、結構期待して観た。
期待を裏切らず、明るく元気で爽快な青春映画でした。

そもそも、堤さんが「運動不足の平凡な中年サラリーマン」てのはムリがあると思うんだけど(背は高いし、どう見てもゼイ肉付いてないし…動きはかなり頑張って演技してたけど)、ね。
これがハリウッドだったら撮影開始前に10kg位太って最後にちゃんと戻す、とか、やっちゃうんだろうけど。
岡田君の方は格闘技の達人の役だけど、本人がすごくやりたがったとかで、シッカリ鍛えたキレイな二の腕してました。ああ楽しい(笑)。
TVのバラエティだと地味な印象だけど、好きなのよこの人、TVドラマで前からいいなと思ってたけど、銀幕を飾るにふさわしい、美しい顔。

物語は、中年サラリーマンの鈴木さんが、達人スンシンとその仲間の高校生達の助力を得て一夏を鍛えまくる、というもの。
鈴木さんが挑戦する相手がボクシングの高校生チャンピオンとは大きく出過ぎで、たいした戦略も無いまま終わってしまうのは不満だけれど(そしてこういう所のツメの甘いのってダメだと思うんだけど)、死に物狂いで鍛えまくる鈴木さんの姿はユーモラスにして感動的だし、カリスマ師匠・スンシンはとにかく格好良く描かれていて、高校生達の若々しさも、真夏の景色同様目に眩しい。
バスを追って走る鈴木さんと乗客達とのくだりは、ベタだけれどまっすぐで泣けた。
(本当は、あのバスの乗客達のような本物の「おじさん」に鈴木さんを演じていただきたかったが。)
そして、パーフェクトに見えたスンシンも泣き所を見せて、鈴木さんとの絆は深まって行く。
このあたり岡田ファンにはたまらないだろうな。
ずっとスカシていたスンシンが、最後は満面の笑みを見せて鈴木さんに駆け寄る。
ああ、中年だけど、青春

やっぱ人間、走らないとダメだよね。

プライド 

好きな漫画家は数あれど、「最もリスペクトする少女漫画家は」と問われれば、"一条ゆかり"だったりする。
ドラマティックでゴージャスで、ドロドロで、どこかドライな一条ワールド。
邦画であの雰囲気を再現するのは無理、と割り切って見れば、なかなか見応えのある面白い映画だった。

主演の二人、これは『オペラ座の怪人』でも思ったけど、歌がうまいと芝居はダメ、芝居が良いと歌はイマイチ、の組み合わせ。なかなか両方は難しいんでしょうが。
でも、『オペラ座』では腹が立ったのに、今回は残念ではあるが、なんだか微笑ましい。なんだろうこの差は…事前の期待値の問題かも(笑)。
5オクターブの歌姫ステファニー(史緒)は演技が完全に素人で、しばしば表情の読めない人になっちゃってるし、満島ひかり(萌)は演技は迫力だが歌はアイドル崩れレベルで、とてもオペラを志してるとは思えない。
カンジンのオペラ歌唱シーンは吹き替えで、根本的に違うのでしょうね、それは仕方無い。でも、体格も姿勢も良いステファニーは、いかにも声が出そうに見えて、吹き替えもそんなに違和感が無い。ピンクのドレスも素敵で、ステージ上で崩れ落ちるシーンは効果的だった。
でも満島さんの方は……一見してオペラは無理、ムリムリ。コンクールの、特に決勝戦なんかギャグシーンにしか見えなかった。
でも芝居は凄いんだよねぇ。あの媚び方とかオドオド具合、開き直って豹変するところ。いかにも育ちが悪そうで不安定で、でもちょっとかわいそうで切なくて。ピッタリ。

で、及川ミッチーですよ♪
眼鏡にスーツにバラの花束ですよ。原作者たってのご指名で「前髪のホツレ方にも注文を付けた」そうで、けっこうなホツレ具合でございました、一条先生グッジョブ
高島礼子さんも素晴らしく美しかった。渡辺大ちゃんの女装も、思いの外そんなにアレでもなかった(笑)。由紀さおりさんには一声歌って欲しかったけど、雰囲気がとても合ってたな。

音楽は、最初のコンクールからどんどんオペラと離れてしまって、結局最後まで戻らなかったのが残念。
そして映画オリジナルと思われる2曲が、大切なシーンに歌われるのに全然名曲じゃないのが本当に残念だ。
クラブで萌が歌うシーンなんか、素直に沖縄民謡を入れるのは無理だったんでしょうか。苦し紛れ(監督が白状してた)のヘンな合成画面が悲しかったよ。
クライマックスのライヴシーンも、ちっとも似合わない衣装と相まって、なんだか全然イケてなかったし。
逆に良かったのが、二人で歌う『A Song for You』。元々名曲な上に、ステファニーの美声がメインで満島がサブなのが功を奏したのか。
ついでにこのシーン、歌い出す前に史緒が萌をピアノ横に誘うんだけど、そのステファニーの大様な仕草と微笑みがとてもいい。ちょっと好きになっちゃった。元々こういう大味の女の子、好きなのよ(笑)。

公開当時、原作が未完だったせいもあってか、イマイチ盛り上がらないまま終わってしまったのは残念だったし、取りあえず最後はオペラに立ち返って欲しかったのだけれど。
女の戦いにありがちなイヤらしさは満載なのに、大映ドラマ的要素は軽く、意外にも品の良い印象。そしてストーリー展開が面白い、キャラクターがハッキリしてて(色んな方向に)魅力的、画面がゴージャス。
つっこみどころは多いものの、充分楽しませていただきました。
なんか憎めない映画。

フライト・ゲーム 

えーと、ちょっと緊張感が途切れる時が無くて、疲れてしまった。
でも、面白かったです。
冒頭の搭乗シーンからの、どこか神経症的なカメラワークが、作品全体の印象を予告しているようで秀逸。

ほぼ最後まで飛行機内で解決したのも良かった(『フライトプラン』という駄作があってだね…)し、外部と連絡は取れるものの不完全で、最後にやっと"当局の担当者"の顔が見える(『ダイハード』という傑作もありますが…そう言えば「空のダイハード」なんて言われてたような)あたりも良いセンス。

謎解きに関しては、とても良く練ってあって、むしろ練り過ぎと言うか無理矢理感はあるのだが、それは幕が降りてから思う事で、全体を覆う緊張感と早い展開、特にラストの畳み方の素早さに、良い後味のまま観終える事ができる。
だってさぁ、これどこかでビルが下手打ったら台無しなんだよね?
犯人たち、アル中捜査官の有能さを信じ過ぎ(笑)。

真犯人も、分かってしまえば「あ、そう」だし、多分複数犯とは思ったが、二段構えで明かされるところ、ひ弱なオタク青年と思いきや…なところ、そして脱いだらムッキムキやん!というところに驚いた。面白かった。

良く考えたらトイレの穴から機長を撃ったのとか、どうだったの?という点もあるにはあるが。
あと、副操縦士とナンシーさんが最初から「できてる」設定見せられてたので、もうちょっと膨らませてくれるかと期待したんだが、どこまでもリーアム・ニーソンの独壇場で、まあそれはそれでいいのだが。
あの客室乗務員の制服も、妙にセクシーで違和感、ナンシーさんの容貌もちょっと人工的と言うか、表情に乏しくて、残念。
ジュリアン・ムーアがいつまでも美しいから、まあいいか。

リーアムは『アンノウン』という、やっぱり神経質な映画を先に観てて、その印象をちょっと引きずっていたせいもあり、色々疑ってしまったが、逆にそれで楽しめた。
こういう凝ってはいても真正面からのアクション映画は後味が良くていいね。

フライトプラン

まずはアラブ人に謝ろうか。
話はそれからだ。

…謝罪を待つワケにもいかないので進めますが(笑)
設定は面白そうだったんだけどなぁ。
飛行機の中で幼い娘が姿をくらます。最初からそんな女の子はいなかったのだと言われ、誰も信じてくれない中、母親が孤軍奮闘…。
うん。その通りの内容だったんだけど、すっかり退屈してミステリの行方にも興味が持てなくなった上、種明かしの適当さにアングリ。
母親が飛行機に詳しいのは一応言い訳が用意されているけど、無敵のアクションぶりには失笑。
いったいなにがしたかったの。

ジョディ・フォスターは好きな女優で、数々の名作で名演技を見せてくれた大女優でもある。
でも今回はいけません、本当に彼女の個性がいちいち裏目に出ている印象。
『パニックルーム』も母親役があまり…と感じたが、今回は本当に似合わない。
と言うか、彼女のクールな美貌(も、加齢と劇中の表情のおかげでかなり目減りして見えるが)も大熱演ぶりも、賢そうな点も裏目裏目。全く可愛気が無いものだから過酷な状況にパニクッてる感が薄く、ただただ自己主張をゴリ押しする身勝手に映る。
我が子が行方知れずになれば、うろたえるのは分かるのだが、あまりに意志の強そうなジョディさんの顔は、危機感よりも攻撃性を強く感じてしまう。
母と言う名の暴君で、娘のためなら他人様が何百人迷惑被ろうとも全く意に解さない。と、その顔に書いてあるような(まあ"母親"の本音はそうかもしれないが)。

犯人の計画も手が込んでいる割に偶然性に頼りすぎで、ただヒロインを困らせるためだけに作られたような杜撰さだし、犯人自体早めに目星が付いてしまう。
まさかアラブ人が本当に怪しいと思って見る人はいないだろうにミスリードの一つも無い。どうせ娘は無事救出させるのだろうと思ってハラハラ感も無し。
あんな美少女を連れて飛行機に乗って子供以外誰も記憶に無いとか、確率としては極めて低いと思うんですがどうでしょう?
乗務員でも乗客でも、誰かが「女の子はいた」と言い出せば犯行はその時点でオシマイなのに。
爆弾持ち込むためにそんな綱渡りをした割に、爆弾については機長に「って言ってるよ」と犯人が伝えるのみ。
あれではぶっちゃけ、爆弾の実態は必要ない。

アメリカ映画はどうしても、被害者が犯人をブチ殺さないと収まらないようなので仕方ないとはいえ。
爆弾のスイッチ押しちゃダメでしょーアナタ、いくら何でも!
爆発の規模さえ分からないのに、同じ機内にいながらスイッチポン!だよ。あれ旦那の棺桶吹っ飛んでないか???
どうしてもしたいなら、爆発させなきゃこちらが死ぬ、という状況設定ありきだと思うんだが、あの状況なら駆け付けていた処理班にお任せして犯人も簡単に逮捕できそうなのに…。
それ以前に、こういう設定なら着陸する前に決着付けてほしいところだったけど、どうしても"爆発"させたかったんでしょうね。
娘を抱いて降りて来てからも皆様には挨拶無しどころか「ホレごらん」みたいなドヤ顔に見えて、アラブ人にも一言も無い。ああ良かったねという気分になれない。
退屈な上に胸糞展開で、ちょっとジョディさんを嫌いになりそうだったよ。

公開当時『フォーガットン』というトンデモ映画が、ちょっと設定が似てるというので比較されたりしたが、あちらはトンデモだけど面白かったし可愛気があったなと今では思う。
機長役のショーン・ビーンが(間抜けな能無し役だったけど)いかにもエリート機長!って感じで素敵だったのだけが救いかな。

ブラザース・グリム 

大好きなテリー・ギリアム、久々の監督作品。
一般受けはどうか知らないが、個人的には期待大で臨んだ。
比較的毒が薄く、小粒な印象は残るものの、美しい悪夢のような画面造りは健在で、好きな私には充分に楽しめた。

主演のグリム兄役がこれまた、お気に入りのマット・デイモンだし(意外にこういう扮装が似合う…)、オタク系の弟役はヒース・レジャーで、クセが無いから(デイモンよりずっと美形なんだけど…)こんな役でも嫌味無くスンナリ見られる。
元々物書きなんて物は、詐欺師と似た性格に違いないと思っている私としては、我が意を得たり!な設定だし、冒頭の魔女の仕掛けなんかも楽しかった。
兄弟の子供時代の子役が、これまた良く感じを掴んでて、微笑ましかった。……でも妹、可哀想過ぎる……………(泣)。
ユーモラスな脇役達も楽しい。
ハゲの拷問係が良かったな。愉快な仲間達も救って欲しかった。
フランス軍の嫌味な将軍も、いかにもで笑えた。

おどろおどろしくもファンタジックな世界の中で、少女達がさらわれる。
森の木が動き、入り口の無い塔にはカラスが集まる。虫だってウジャウジャ。
狼男が人間の姿を現す時の手順が………ああ、ミもフタもない(爆笑)、しかしグロでも、お笑いでも、美の基準値は決して下がらない。
逃げる赤ずきんちゃんも、グレーテルの一反木綿も秀逸。井戸から出て来る泥人形もインパクト大だったし、少女の顔がノッペラボウに…ってのも、なかなか見せてはもらえない絵だ。馬の口に吸い込まれるのも印象的だった。
この夢はいつ覚めるのだろう、と、半ば覚醒しながらまどろむ、あの感覚。不条理感に疲れて抜け出したいような、もっと漂っていたいような。

ちょっと残念だったのは、ヒロインのアンジェリカが、意外と活躍しなかった事。
せっかく美人でかっこいい女優(しかも既製イメージがあまり付いてない)を使ってるのに、なんだかもったいない。
恋愛も、テレずにちゃんとやっても良かったと思うんだけれど、どうでしょう。

鏡の女王役のモニカ・ベルッチが、出番こそ少ないものの、相変わらず異常な美しさ。
この人本当に妖怪なんじゃなかろうか。

 

追記:某所でギリアム監督のインタビューを見たら、童話の残酷性を出すためにどんなことを?と訊かれて
「モニカ・ベルッチを雇ったよ」と答えたそうな(爆笑)。
サスガはギリアム、アンタは正しい!

プラチナデータ 

てっきり原作は漫画かと(悪い意味で)思った。東野圭吾でしたか。
ええ〜ニノってこんなに下手だったっけ!?と思ったら、普段達者な生瀬さんも同じ様な演技。何故か鈴木保奈美までもが同じ演技。トヨエツはいつも通り(悪い意味で)だったけど。
これはアレだ、演技指導?肩に力入って、ぶっきらぼうにボソボソ喋り(わざとらしい上に聞き取りにくい)。動きもなんかカクカクしてるし。
えーと、ネットで言うところの、中二的

いやニノは可愛い、カワイイよ…って、どっかで聞いたと思ったら『大奥』でも言ってた。
だって本当に無理なんだもん、この役もあの役も。誰だよGOサイン出したボンクラは。
原作を読んだら、或いは印象が違うのかもしれないけど…って言うか*東野原作で面白かった映画って、あったっけ???
近未来にDNA法に多重人格とか。なんでもアリになればなる程、ストーリーへの興味は削がれて行く。
「多重人格者の人格が崩壊すると…何をするか分かりません」って、多重人格に限らず、人格崩壊したらそうでしょう普通(爆)。
長々引っ張って、凡庸な「プラチナデータ」の真相、他に選択肢の無い真犯人、コントみたいな対決シーン。
それに演技派みたいに言われるニノが、二つの人格を全く演じ分けてないのには本当に拍子抜けだった。「私」が「僕」に換わるだけ?
話つまらなくても、ソコ押さえとけば少しは見せ場になったのに。
保奈美さんの眼鏡姿がちょっと萌えだった以外、本当に長くて辛い二時間強でした。

*参照『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』『容疑者Xの献身

ブラック・スワン

期待し過ぎた。
何と言っても、私を完膚無きまでにダダ泣きさせた、かの『レスラー』のダーレン・アロノフスキー監督作品、おまけに『レスラー』の姉妹作、みたいな触れ込みだったから。蓋を開けてみれば、姉妹作と言うより出涸らし、燃えカスみたいな映画だった。

つまらなくはないよ。
痛いシーンとか、驚かせ方とか、ヒロインの心理の追い詰められ方とか。ママの怖さとか。虚構と現実のせめぎ合いとか、基本的に好きだし。
だからホラーとしては楽しめたかもしれない。
でも、『レスラー』の名を出されてしまうと、どうしても私は人生とか、ドラマとか、愛とかさ。期待してしまうワケですよ。
何より決定的に、素材である"バレエ"に対するリスペクトがまるで無い
溢れても溢れても尽きないプロレスへの愛に泣かされた私の目には、そのバレエへの冷めた視線が残念でならなかった。

主演でアカデミー受賞のナタリー・ポートマンは、どうもあまり好みの女優ではなくて(除『レオン』)、今回は前評判聞いて「化けたかな?」と、これまた期待したが、うーん。私的にはやっぱり、ナタリーはナタリーでしかなかった、頑張って痩せたのは分かるけど。
バレエに関しては、自腹でレッスンして云々と言われてもね、としか言えない。
そもそも監督にバレエを見せる意欲が無いのだから、顔が見えるシーンは上半身ばかり、踊りの見せ場はアカラサマにボディダブル、果てはカンジンの"黒鳥"はCGに特殊メイクに代役のてんこ盛りと来たモンだ。得意なはずの"白鳥"パートも、いかにニナが白鳥らしいかという見せ場、と言うか魅せ場が無い。
残念だが、いくら痩せても手脚も首も短く顔の四角い彼女に、一流どころのプリマ役は無理でしょう。

とは言えポートマンは熱演だし、ヴァンサン・カッセルのコーチはエロいし(笑)、ライバル?リリーを演じたミラ・クルスも生き生きしててとても良かった。まさかのウィノナ・ライダーも迫力だった。画面の緊張は途切れる事無く、ついつい身体に力が入った。
期待し過ぎなければ面白い映画だったと思う。
でもなぁ。やっぱりなぁ。
一番納得いかないのが、ニナが一瞬たりとも踊りが好きそうに見えない事、かな。
優等生ってそういうモンかもしれないけど、ほど遠い私の実感としては、「イヤならやめればいいのに」という感想が全てかも。
芸術家がどんなに追い詰められても続けるのは、他人の期待でも、圧力でも無く、自身の欲望とか、快楽とか、野心とか。だと思うし、であって欲しいとも思う。
ちっとも楽しくなくてプレッシャーだけなら、向いてないのよ、アナタ。
うん、結論はソレだ。

ブラック・ダイヤモンド 

ハゲ(違う)の黒人がいっぱい出て来てだな…誰が誰やら、というのは昨今よくある話。
ジェット・リーは最初の『少林寺』こそ素晴らしかったが、以後はずっと私の中で「大根のチビ」であった。でも今回は、なかなか良い。台詞が少ないからかな?
中国系のワイヤーアクションとかはこの人を使ってはもったいないので、そういう小細工が見えない所も好印象だった。
もう一人悪役の東洋人、リン役の俳優も精悍で素敵だった。マーク・ダカスコス…お母さんが日本人。しかもカンフーのチャンピオン!ほお。
ラストはちょっとアレだったけど、悪役がハマッてるとこの手の映画は楽しいよね。
戦車売りのオタクデブも面白かった。あのいい加減な性格(笑)やり取りも楽しい。犯罪の元締めみたいなアンソニー・アンダーソンも絶妙。
主演?のDMXという人、ハゲのチョビ髭黒人というだけで印象が薄かったんだけど、ラッパーとして有名なの?なるほど…ラップのファンには最高にクールだったりするんだろうか。
俳優としてはイマイチ感。

いくら娘を大切にしてるからと言って、あんな大きなブルーダイヤ(しかも盗品)を無造作にプレゼントするってどうなのよ?
金持ちの子と思われて誘拐されまっせ。別の理由で誘拐されたけど(笑)。
あのダイヤも何かの活躍をするかと思ったけど、そうでもなかったな。娘は頑張ったけど。

一番残念だったのは、"ブラックダイヤモンド"の威力を発表するシーンが、ただ光っててキュンキュン言ってるだけなのに、ゴーグル掛けた武器商人達が大仰に感動してたところ。
解説役が「街を破壊できる、原爆級」と言ってるだけで、アレ見て専門家は凄さが理解できるんだろか?もうちょっと説得力が欲しかった。

ごめん、なんか黒人勢抜きにして、ジェットvs.マークの東洋人バトルで良かったんじゃ…良かったんじゃ…。
カーチェイスもカンフーシーンも見応えあったし、面白かったんですけどね。

フラットライナーズ

医学生達が死後の世界を知るために人為的に臨死体験を繰り返すと、そこには思わぬ副作用が…!
という、なかなか興味深いシチュエーション。
公開時に観た覚えがあるのだが、当時は臨死体験の内容に「ふーん?」となって終わった記憶。
今回観直した方が、色々と面白かった。

キーファー・サザーランド、ケヴィン・ベーコン、ジュリア・ロバーツ、ウィリアム・ボールドウィン、オリヴァー・プラット。
若き医学生達のキャストが凄い。今見るとなんとも贅沢
ロン毛のケヴィンは魅力的だし、ジュリアさんもとても綺麗でメガネ姿も可愛らしい。後の3人はあまり変わらない(笑)けど、やっぱり初々しく若くて可愛い。
この5人の絵面だけでも、何やら青春映画の気配

導入部は迫力あって引き込まれるんだけど、いくら医学生とはいえ、こう次から次へと臨死体験志望者が、それも競い合って出て来るのはいささか無理があるのでは???
最初に「行った」ネルソンが、なにか途方もなくイイ思いをしたらしい気配でもあれば説得力にもなるし、最初から死後の世界に興味津々だったトラウマ持ちのレイチェルが行きたがるのは分からないでもないんだが。
お調子者のジョーはまだしもデヴィットが頑張ってしまったのは、レイチェルを止めるため?
その辺りが良く分からなかった。なにしろ私だったら絶対にご免だから。
全体に心理描写面は薄めなので、ちょっと食い足りなかったかも。

臨死体験のSF的解釈に期待し過ぎたせいか、中盤以降は少しテンション下がり気味。
宗教観の違いもあると思うが、この内容だったら大仰に臨死体験を持ち出さなくても…と、思ってしまった。
むしろ"不思議"な事は何も無く、ただ人の良心とか罪悪感の物語だよね。
自称無神論者のデヴィット君が、戻ってからサラリと天国の存在を肯定してしまったように、臨死体験経験者は急に宗教掛かってしまうケースが多いと聞くけれど、それも突き詰めればそういう、罪悪感や良心と向き合った結果、という事なのかな。(と、無神論者が多いと言われる国に育った私は思う)
リアルで納得はするけれど、エンタメとしては地味で面白みは無い。
…と、思わせて、最後のネルソンだけは超常現象としか説明できない理不尽な状況に…とか、もう一捻り欲しかったところ。

一番単純に納得できたのは生きてる相手に謝る事ができたデヴィッドだけど、あのくだりはなかなか良かった。
被害者の彼女が、現在幸福である事が幸いしたのだと思う。
これが身を持ち崩してドン底生活、とかだったら、むしろ死人相手より解決が難しくなってしまったかもしれず、そういうケースも見てみたかったりしてね。
しかしあの、最初に名乗った時点での「もう昔のこと」と、必死で食い下がって謝った後立ち去ろうとする彼に投げかけた「ありがとう」の落差は感動的だったな。
一方で相手が死んでしまっているネルソンとレイチェルは、結局は自分の中で解決したに過ぎないのか?
それでもパパが振り向いて謝るシーンは、泣けてしまったけど。

って言うかアレ!?
盗撮野郎ジョー@ボールドウィンが全然解決してないんですけど…同情の余地無いからいいのか(笑)唯一現在進行形だったしな。
じゃあこのままずっと彼は女達の幻覚に悩まされ続けるのか…それとももう解決策は提示されているので一人一人に懺悔して回るんだけどそれ映しても面白く無いから割愛されたのか…?
私はけっこう面白いと思うんだけどな。ボールドウィンのビンタ100連発、みたいなの(笑)。

そしてここまで来てふと思う。
来世は本人の心次第、という解釈でいいのなら、例えば通りすがりの女の子を拉致監禁して数ヶ月に渡ってなぶり殺しにしたような輩に、彼女の存在に悩まされる程の良心はあるのか?
心が無ければ、恐怖も苦しみも無いのでは。
本物の悪人の前では、神すらも理不尽。

プラトーン

社会派オリバー・ストーン監督は、自らのベトナム戦争体験を元に、三部作からなるベトナム戦争映画を制作し、生々しい戦争の悲惨さ、残酷さを世に問うた…、らしい。
私はオヤジのグチが聞きたくて映画館に行くんじゃないのよ。
三部作のあとの二本も、多分観ているはずだけど、もはやタイトルも思い出せない。調べればすぐ分かる事だけど、その気も無い、「もういいよ、オリバー」って感じ。

とは言え、『プラトーン』は悪くない。
どう悪くないかと言うと、単純な勧善懲悪の娯楽作品だと思えば、なかなか面白い、という意味。
私は前評判を何も知らず、ただ観に行って、そう思って帰って来た。

まずキャストがいいです。
だ〜い好きなウィレム・デフォーと、トム・ベレンジャーの二本立て。と、言っても、二人ともこの映画でファンになったのだから、やっぱりいい映画なのよね、うん。
個人的には主人公の新兵役のチャーリー・シーンがおっさんくさかった(当時いくつだ!?若かったんだろうけど…)のが残念。娯楽作としても、これは彼の成長物語なのだから、もうちょっと初々しい青年だったら感動もひとしおだったのに、例えば『ウォーターボーイズ』の妻夫木君みたいな。日本人だけどさ。
エリアス軍曹が新兵でおぼっちゃんのクリスに麻薬(マリファナ?)を勧めるシーン、魚眼レンズでミック・ジャガーみたいな顔になった(ミックの魚眼は自前だけど)デフォーはものすごくセクシー。
対するベレンジャーも、シャキッとしていて一見まともそうなんだけど、野性的で、どす黒いものを隠し持ってる風情がピッタリ。なんかダークサイドを感じさせる人だよね、そういう役がハマるし、『背信の時』とか『硝子の塔』とかね。

単に戦争に行ってベトコン相手にドンパチやる映画だと思って観に行ったから、エリアスが撃たれたのはびっくりだった。そ、そこまでだったんかい!?って。
もはやすっかりミーハーオバサン感覚で観ていた私は、思わず「エリアス、死なないでぇっ!」と、心で叫んでしまったわ。
後から(三部作観てウンザリした後ね)思えば、狩りの獲物みたいにして殺されるエリアスの姿に悲し〜いBGMが重なっちゃって、それを空から見ながら何もできない…って、オリバー・ストーン的センチメンタリズムの極みなんだけど、泣いたわ。
これ一本にしといて、あれこれ語らなきゃ良かったのに、残念。
似たような時期に同じベトナム戦争映画の『フルメタルジャケット』が公開されていて、言いたかないけど比べちゃったところもあるかも知れない。
ストーン監督が実際に戦争に行った、という事が強調されるあまり、天の邪鬼な気分になってる部分もあるかな。
ジャングルの雨のシーンとかは迫力だったし。
なんだかんだ言っても、エリアスが断末魔に両腕を天に向ける姿は、シッカリと私の心に焼き付いて、忘れられない映画のシーンの一つになってしまっているしね。

ところで。
まだ名画座が華やかだったあの時代、池袋の某名画座は、「500円映画祭」というありがた〜い企画をやっていた。500円玉一つで、豪華三本立てが観られちゃうんである。
『プラトーン』のポスターは、例のエリアスが天を仰ぐ姿を真正面から大写しにしたものだった。
「500円映画祭」の映画館は、そのポスターのエリアスの広げた両腕の間に、でっかい500円玉を貼付けたんである。
忘れられない名シーンは、それ以来、ついつい500円玉付きで私の脳裏に甦るようになってしまった。

あ、ごめんなさい。
『サルバドル』は社会派の傑作です。

PLANET OF THE APES/猿の惑星

ん〜〜〜〜眠いんだよねえぇ。
もう何度か見てるけど、どうにも退屈で。
まあ私は基本、猿が嫌いなんだけど。

ヘレナ・ボナム・カーターの雌猿は色っぽかったし、あの憎たらしい将軍がティム・ロスと知った時は感動したけど、まあ、そこまで。
あと"人間"の女の子は、文句ナシの美人。でもやっぱり、それだけ。
主人公も地味な青年で、あんな状況なのにそんなに頑張りもせず、なんかオロオロしてるうちに終わってしまった印象。「こいつスゲー!」って所が無かった。
"人間"も普通に会話してるのは、どういうつもりだったんだろう?猿達も言葉は話すものの、すぐキーキー言って飛び回ったりして、知的生物な感じが薄い。これでは逆転劇になってないじゃん。
お別れシーンで猿女とキスする所は、原作を読んでいるとちょっと笑える。けどその直後の美人とのキスはなんじゃい。節操無さ過ぎ。気持ちは分かるが(笑)。
オチは原作に近いが、旧作の感想でも書いたように、映画的にはまどろっこしい上に、着陸時点で観客は理解するはずの事を銅像でまた説明するのも蛇足。
それに、アメリカ人はどう感じるか分からないけど、自由の女神に比べると絵的に地味だしインパクトが弱すぎる。
もしかすると、何の予備知識も無しに見たら、それなりに興味深く見られたのかも知れないが(シチュエーションだけでも面白いハズだから)古典の名作のリメイクである以上、それは望めないというものだ。

しかし愛妻を猿にしたり頭デカくしたり、ティム・バートンはやっぱり変態だね。

フランティック

あらまあ、ポランスキー監督ですってよ。
なんか…退屈だったな。

公開当時も、何を楽しんでいいのか分からずポカーンとなってしまった記憶があるんだが。
当時まだまだ私のアイドルだったはずのH・フォードも全く魅力が無いし、ヒロインのフランス娘も中途半端な蓮っ葉ぶりが面白くもなく。
序盤の妻が行方不明になる辺りの出し方(シャワーの水を止めもしないとか)なんかは面白くて、警察のヤル気の無さとか、マッチョなクローク係とのやり取りは楽しく観たんだけど。
ミシェルが出た辺りからどんどん失速して、中盤以降はすっかり興味を失ってしまった。

こう言っては何だけど、せっかくのパリだというのに舞台は薄暗い路地やらダサいクラブばかりだし、ストーリーとは別に目の楽しみを盛り込んでくれたっていいと思うの。もっとおフランスおフランスしてさぁ。2時間サスペンスの温泉街シリーズとか見習って欲しいわ(真顔)。
工夫と言えば、麻薬ガラミかと思ったら最新兵器でした、っていうくらいかな?でも正直、その違いが内容に影響したとも思えないし。
タイトルは「半狂乱」という意味だそうで、確かに言葉も通じない見知らぬ土地で一人きりトラブルに巻き込まれて、気も狂いそうな状況ではあるんだが。H・フォードのモッサリした表情からはそこまでの切迫感が感じられない。
この人の困った顔が大好きなのに、今回はちょっと、ずっと同じ困った顔でこれまた飽きた。

ミシェルに思い入れが無いままにラストで一人ババ引いた形で、何か哀しみや感動よりも後味の悪さだけが残った。
結局金持ちエリートの夫婦が愛を確認し合って終了、なんだけど、特に妻の方は出るなりさらわれてラストまで出て来ないので、ミシェル以上に思い入れが無く、後部座席で抱き合う二人を遠〜くの方から見る気分で幕が降りてしまった。

プリシラ

壮年、中年、青年のドラァグクイーン3人が、ピンクのバスで砂漠を行くロードムービー。
派手派手な衣装に身を包んだゴツイ彼女らと、広大なキングス・キャニオンのコントラストが強烈だ。

ストーリーは極めて真面目でハートウォーミングなんだが、なにしろこのオカマちゃん達、元気が良すぎてやかましい。女三人寄れば…なんてレベルじゃない姦しさ(かしましさってこう書くんだ!)で、しかも会話の内容がおげれつ(笑)。
泣いて笑って喧嘩して、本音ぶつけ合って、着飾ってのし歩いて。
デカい上に派手な顔にあのメイクだから、場所取る事この上無い、あれは避けるわ、私も。
毎度思うけれど、ゲイを巡る環境の過酷さや、残酷な扱いには呆れるばかりだが、泣いても嘆いてもシッカリやり返す逞しさ、したたかさが心地良い。
むしろあえて挑発するような節も見えたりして、生きて行くの大変そうだなぁ、と思ったり。
中には"擁護派"もいるけど、言い出せなかったりする辺り、「普通」や「マトモ」の圧力ってあるよねぇ、嫌らしいよねぇ。なんてシミジミしたり。

ヒューゴ・ウィービング(スミス!?)も秀逸だったけど、最年長のバーナデットをエレガントに演じる、テレンス・スタンプ…うわっ、『コレクター』の彼だ!!
そうでしたか。これは嬉しい。バーナデットは(仲間といるとおげれつだけど)美しく、何とも言えない気品と哀愁があって、旅をするうち大好きになった。
だから彼女の恋の行方は、本当に祈るようにして見守った。

残念でならないのが、せっかくのショーのシーンが意外にショボい事。
もうちょっと踊りと言うか、パフォーマンスに力入れて欲しかったなぁ。特にスミスね。
衣装は最高(に悪趣味)だし、3人のゴツイ身体もいい感じで、ABBAとかいかにもな曲もノリノリなのに、素人芸に見えてしまっては台無しだよ。
歌は口パクなのだから、踊りだけならもうちょっと、何とかならなかったのかなぁ。配役はドラマ的には良かったから、むしろ撮り方とか、うーん。

それでも、青い空に映えるどピンクのバスとか、派手派手ギラギラの衣装の数々と、映像的にとても楽しく見応えがあった(銀色マントで箱乗りシーンは最高!)し、意外にも地味で淡々としたストーリーも味わい深くて良かった。下品な言葉が飛び交いまくるのに、なぜだか上品な印象で。
うん、3人の"ヒロイン"達が正直で、強くて、マッスグだから、気持ちがいいのかな。
頑張れ、荒野のオカマちゃん。

ブリッツ

ハゲでマッチョでオトコマエのジェイソン・ステイサム主演、なんだけど。
私、ハードボイルド気取りの男ってとっても苦手なんだよね、気恥ずかしくて。他人を恫喝して事を解決するような輩も嫌いだし、社会ルールに従わない人もダメ、特に禁煙場所を守らないとかサイテーのゴミだわ。
と、冒頭すっかり引いた気分になってしまったんだが、可愛らしい制服の婦警さんが路上で撃たれた描写で目が釘付けになった。

舞台はイギリスなんですね。警官の制服もパトカーも、街並みの雰囲気も、アメリカ映画とは一味違って、ちょっと新鮮。刑事たちが休憩で飲むのは紅茶だったり。
ステイサムこと"ブラント"の相棒になるゲイの刑事"ナッシュ"を演じるバディ・コンシダインも、犯人"ブリッツ"の造形も、タレコミ屋のキャラクターも、そう言えばイギリス的
連続警官殺人事件という題材も、すぐ見当が付く犯人との攻防も、それなりに面白かった。
妻に死なれたばかりで無理矢理仕事に復帰したロバーツが、個人的には気の毒だったし、黒人女性刑事をかばった不良少年も可哀想だった反面、その女性刑事には全然魅力を感じなかったのは残念。
そして屁理屈こねて酒代踏み倒すとか、やっぱりブラント君はサイテーだけど、正反対のイギリス紳士(ただしホモ)のナッシュとは良いコントラストでいいコンビだったと思う。
殺害シーンも程良く生々しく、なにしろ"ブリッツ"が憎たらしく気持ち悪く大熱演で、かなり強引な結末の付け方も納得して支持したくなってしまった。
型破りでもいいけど、もうちょっと可愛気のある奴なら良かったのにね、ブラント。
でもかなりハラハラしたし、のめり込んで観る事ができた。

ところでステイサムの頭髪問題は、かなり進んでいるようだが、強調するようなアングルが随所にあって、やはりアレは彼のチャームポイントなのかな、としみじみ思った。

ブリット 4/15

ジャクリーン・ビセット可愛い!キラッキラ。

1968年公開。
カーチェイス、当時はとても革新的だったらしい。
舞台となるサンフランシスコは昔行った事があり、なるほどあの急な坂道だらけの街で追いかけっこをしたら、ほとんど絶叫マシン状態の凄い事になるわな、と納得。

病院の内装や、医療機器のクラシカルぶりに感動。
それとアレはナニか、FAXか?凄い。
そう考えると、サンフランシスコの街並みも、マックイーンもビセットも、全然時代を感じない、これまた凄い。
ビセットの乗る黄色いスポーツカーも可愛かった。

ロバート・ボーンは終始嫌味で、てっきりラスボスかと思って見てたけど、そういう今時っぽいわざとらしいプロットじゃなかったのね。
ただ傲慢で偽善的なお偉いさんがマフィアに一杯食わされただけだった(笑)。
上司の警部さんが凄い印象的な顔だったけど、サイモン・オークランド。知らない。ロバート・デュバルにもビックリ。

で、まあ、マックイーン。
あれ?『大脱走』も『タワーリング・インフェルノ』も、とってもハンサムなのに、その間のコレは、そんなでもなかった。
何と言うか、男っぽさ強調し過ぎ、かな?渋いしかっこいいんだけど、芋臭い。
でも、ラストの黒のタートルセーターにガンホルダー姿は似合い過ぎで痺れた。
あれビセットに叱られたから上着掛けてやったのかなーと思うと、ちょっと可愛い

…で、え!?
飛行機って銃持って乗れたの!?
当時はスコープなんか無かったのか、凄いわ。

プリティ・リーグ

『私を野球に連れてって』ののどかなメロディーに乗って、可愛いミニスカートのユニフォーム姿の美女が飛んで来たボールを開脚キャッチ。映画のタイトルは、『プリティリーグ』。
お気楽そうな予告フィルムにだまされて、全く無防備で観てしまった。
ヤラレタ。すっかり泣かされた。

考えてもごらんよ。
ミニスカートで野球をやる事の過酷さを。時代は大戦中、おまけに監督役はトム・ハンクスなんだから。マドンナだって、単なるおにぎやかしで出て来ないって。
のんびり笑ってくつろいで、帰してもらえるはずはなかった。

戦争で若い男が出払ってしまったために、苦肉の策として、「全米女子野球リーグ」なるものが企画される。
当然、考えるのも命令するのもオヤジ達。そして、チームの監督には、脚の負傷のために兵役をまぬかれた、すっかり世をすねた飲んだくれ男。
ビック』で少年の無邪気を演じたトム・ハンクスが、今度はくたびれたふて腐れ男を、そして彼が次第に生き返っていく様を、同じ見事さで見せてくれる。
ヒロインの「ダイヤモンドの女王」(笑)は、ジーナ・デイビス。良かったなあ。
この人、なんかごつくて、「?」って思ってたんだけど、この役はピッタリはまってて、かえってすごい美人に見えた。
骨太で、タフで、まっすぐで。
デイビスは夫が戦場に出ている人妻で、 ハンクス演じる監督と、ものすごーく心通わせて、強い絆が生まれるんだけど、色っぽい展開は全くナシ(この辺は実在の全米女子リーグに気を使ったのかも)。ひたすら戦場の夫を想い、夫が帰って来ると、あんなに打ち込んだ野球をアッサリと捨ててしまう。
その生真面目さが、またまたかっこいいから困ってしまう。
マドンナも、やっぱり頑張っていて、「あたしっておバカでセクシーなのー」と言いながら、誰より見せるド根性。
主演女優ではちょっと…と想うんだけど、こういう出方だといいよね。

感動して、応援して、泣かされて、色々考えさせられて、でも字幕がせり上がって来る頃には、やっぱり『私を野球に連れてって』が頭の中に流れているような。
古き良きアメリカってヤツですかい?

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂 

ディズニープレゼンツらしい、楽しく贅沢で手堅くて、安心してワクワクドキドキに身を委ねられるSF冒険物語。
難しい事も殆ど無く、目を覆うようなシーンも無く、けれど充分に盛り上げて最後はホッコリさせてくれるのは、流石のひと言。
アラビアンナイト的な背景・衣装も楽しくゴージャスで、砂漠の景色も美しい。賑わう街中でのアクションシーンも楽しい。
「時間の砂」というSF要素があり、重要な役割を果たすものの、昨今よくあるような面倒な"ローカルルール"に悩まされる事も無く、人間ドラマも各キャラクターの造形もシッカリキッチリ造り込んであって、スンナリと入って行けた。
不満と言えば、あまりのディズニー的手堅さに新鮮味を感じなかった事くらいか。

王女はいわゆる"ツンデレ"の見本のような跳ねっ返りだけど、うるさいだけの役立たずではなく、一本筋の通った姫君&巫女としての存在感が良い。言う事に筋が通ってるから会話のキレも心地良く、行動力も伴うし高潔な意志も持つ、必要とあらば嘘もつく。
その辺りのバランスが良くて、とても魅力的なヒロイン像になっている。
が、女優さんがちょっと…美人?うーん。
ほぼ全編通しての紅一点なのに、そして絶世の美女役だというのに、なんでしょうかあの、昭和の整形美人みたいな顔…体付きもボソッとして、あまり優雅とは言い難い。
モブで出て来たハレムの女性達の方がずっと美人がいたような。演技力も必要で身体も動けないといけない役だから(そこは合格)仕方無いが、容姿はちょい残念だ。

主演の"プリンス・オブ・ペルシャ(ダスタン)"ジェイク・ギレンホールは、今までも数々の名画で好演しているが、正直「芝居は良いけどビジュアルは…」という印象だった。
そもそも私、濃い顔苦手だし。役柄のイメージも相まって、濃い上にナイーヴ過ぎて男性的魅力には欠ける、というか。
でも今回、伸ばした髪やペルシャ衣装(中近東の衣服は男性を3割増しにセクシーに見せる、というのが私の持論)効果もあってか、なかなか魅力的な男性に見えた。モチロン、役柄の勇敢で高潔なヒーロー性も、大いに評価に荷担していると思う。
無駄に大き過ぎない、しなやかな筋肉が良いです。数多いアクションシーンも、大きさに見合ったスマートな撮り方をしてるし、姫とのツンデレラブロマンスもいい感じで力が抜けてて素敵。

脇役達も本当に、それぞれに楽しい。
ダスタンの父王や兄弟達も皆が個性的。小悪党達も愛嬌があり、それなりの事情もあって、何とも人間臭い。
ダチョウレースも楽しかった。胴元のダチョウ愛も愛おしく、なにしろあのナイフ投げの黒人は本当にかっこよくて痺れた。
悪役は…最初からちょっと悪そうな顔だったけど(笑)ボンヤリ見ていたせいか疑っていなくて、正体が露わになった時は普通に驚き素直に受け入れた。
盛り上がり的には、もうちょっとイイ人そうに出て来ても良かったかな?もっとダスタンが信頼し切ってるエピソードを出しておくとか。
まあ、その辺りの味付けが濃過ぎないところが、ディズニーの良い所、信頼のおける部分ではあるんだが。

ラストは…ディズニーらしいと言えばらしい、(ほぼ)オールハッピーエンド。あまりに節操が無いと言う気もしないではない、せめてもう少し手前で戻るの止めとけば余韻も違ったのに(笑)
王女との丁々発止も、己の犠牲もいとわぬ兄弟愛もご破算、ダチョウのおじさんとナイフ投げの名人は、タダの小悪党で終わってしまう…まあ、平和とはそういうモノかもしれないが。
救いは砂の秘密を知る聡い姫の、全てをリセットされながらも即座に事情を察する表情で、一度うまくいった二人は必ずまた愛し合う、と確信させてくれるのだけれど。

ハッピーエンド、好きだけどさ。いえ、好きだよ、うん。

プリンセス トヨトミ

広がりそうで全然大きくならないスケール感が、なんだか似てるなぁと思ったら、『鹿男あをによし』と同じ原作者でした。
ある意味持ち味なんでしょうけど、私個人的には時間を無駄にした感が強いな。
壮大な前振り、くだらない脚本を真面目腐って熱演する豪華キャスト、泣けも笑えもしないまま置いて行かれるラストシーン、と。
「大阪の」「男だけに」「戦国の世から」脈々と受け継がれる秘密、という辺りが、男性陣にはグッと来るのかな?女の私は終始蚊帳の外
ところで今回の直系は"プリンセス"だったが、これに該当するのが男の子だった場合はどうなるんでしょね。"プリンス"にだけは秘密なのか、年齢が来たら打ち明けるのか。

まあ、そんな事ぁどーでもよろし。
面白かったのは、何と言っても"大阪"という街の描写。
特にエレベーターのおばちゃんのシーンは、声立てて笑ってしまった。
そんなに馴染みが深い土地ではないけど、本当にああだよね、大阪のおばちゃん…嫌いじゃない。
大阪独立国草案だの大阪首都計画なんて話もあった事だし、もはや外国として見てしまうバリバリ関東勢の私としては、それなりにエキゾチックで楽しめたんであった。
ストーリーとはあまり関係が無い部分だが、この異国感があるからこそ成り立つ話ではあると思う。成り立っているかは不明だが。

"プリンセス"役の少女が、なかなか良かった。
若かりし薬師丸ひろ子を思い出した。
女装癖のある同級生は、結局どういう扱いなんだか良く分からないまま終わってしまったな。取りあえず本人の希望や性癖とは関係なく、DNA男性枠という事で納得したのだろうか?
綾瀬はるかは相変わらず天然で可愛い(役をうまくこなしている)し、ゲインズブールは意味不明だが何となく説得力のある容姿だし、貴一君も堤さんも熱演だし。
こんなバカバカしいプロットに、よくまあ皆真面目に付き合うものだ、と感心した。
まあ大阪のおばちゃんで笑えたからいいか。

ブルーラグーン

今でこそ正真正銘の美女のミラジョボさんだが、16歳のこの当時は何と言うか、美しいんだけど微妙にヘンな動物みたいなところがあって、そこが何とも愛らしい。ちょっと多部未華子ちゃんにも似てたな。
母親役のリサ・ペリカンという女優、どっかで見た、クセのある表情…と思ったら、『ジュリア』の子役をやってた!うわぁ、変わってない。クセは強いがなかなかの美人さんだ。
…そして、この手の映画でお決まり通り、男は本当〜に、どーでもいいよね(笑)。そこそこイイ身体してればいいや、ってレベルで。
まあ、何と言っても主役は半裸の美女、と共に、南の島の美しい景色。透き通る珊瑚礁も素晴らしければ、マイナスイオン撒き散らす滝の落ちる湖や緑したたるジャングルも、本当に美しい。

どうしてもブルック・シールズ主演の『青い珊瑚礁』と比べてしまうのだが、これってちゃんと続編になってるのね。そしてあの二人、こんな結末だったっけ!?と、驚愕。
記憶の中では、当時のブルックは"絶世の美少女"だったんだが、ネット上で画像を見てみると顔立ちがクド過ぎて、なんか南の島の自然に似合わないような…、そういう意味では、動物っぽいミラちゃんは適役ではあった。
しかしどちらの女優も、撮影は大変だったでしょうね…若いのにシッカリスッパリ脱いでるだけでなく、半裸に裸足でジャングル歩き回ったり、水に潜ってイチャイチャしたり(これアメリカ人好きだよね…なぜこんな体力使う事わざわざするのか…)大変ですよ、実際。タダのアイドル映画と言ってしまっては気の毒だ。

本作では前半は母親同伴で、"無人島(ちゃんと原住民がいるのにこの呼び名)で暮らす幼い男女"という設定が、前作よりも無理無くなってはいる。
でもストーリー的には、母親の退場が意外に遅くて、いつまでも序章が終わらない、という印象だった。あくまで「幼い男女の無人島生活」が売りの映画に、母親の存在はちょっとお邪魔虫。
"性教育"の場面なんかは楽しく見たけど。「それ聞くために一日待たされたの?」ってのが良かったな。
思春期に差し掛かった二人のとまどいや苛立ちも、むず痒い思いをしながらも楽しく見た。
特に男の方が湧き上がる闘争心を持て余してサメと張り合うあたり、彼の孤独に涙が出たわ。
でもサメに泳ぎで勝つとか絶対にないから!ついでに人と見れば襲うとかも怪しいので、あの強姦魔をやっつけるシーンは無理無理。

まあ、あくまで主題は南の島と半裸の美女であって、ストーリーは二の次とはいえ、なかなかにカラッポ感漂う内容だった。
そして後半の、"結婚"した二人の元に訪れる"文明人"達。
やたらに積極的なお嬢様といい、アカラサマに怪しい強姦魔といい、なんだこいつらは、という。
そして二人は文明生活に背を向けて、自然分娩で生まれた赤ん坊と共にハッピーエンド……。
まあねぇ。文明社会に戻ったとしても、幸福に快適に暮らせるとは限らないワケだが、それにしても。
"原住民"問題も、一人に出会って好意的と感じた、以外はウヤムヤのままだし。
このままでは早晩、前作の二の舞…ならばそうか、わざわざソコまで描く必要も無いわな。
頭をカラッポにして、美しい景色と男女を鑑賞するのが正解なんでしょうね。正直楽しめました。
うん、南の島、大好きよ。

ちょっとブルック版を見直してみたくなった。

フルメタルジャケット 

公開当時(1987年か…)劇場の大画面で観て、こりゃあクレイジーだ、と思ったっけ。罵倒と暴力とノリノリの音楽の洪水。砂を噛むような後味の悪さと裏腹に、「キューブリック天才!」と確信した、殆ど恋のようにドキドキした。

で、古い恋人に、会いに行ってみました、思い切って。
ドキドキ感は、相変わらず。
何回観ても、あの訓練所での教官のマシンガントークには蜂の巣にされるし(サスガ本職)、“ほほえみデブ”は衝撃だし、姿無きスナイパーの緊張感は格別だ。

でも、結末を知っているせいか?なんだか悲しかった。
途中いっぱい泣いてしまった。
ほほえみデブの間抜けな顔が、悲しい。
教官に根性見せたために、デブのお世話を任された“ジョーカー”の苛立ちと哀れみの当惑が、悲しい。
現場でいきなり指揮を取るハメになり、パニクる“カウボーイ”が悲しい。
正体の見えないスナイパーに、なす術無く、仲間がなぶられるのを手をこまねいて見るしかない状況が、悲しくも恐ろしい。
昔馴染みに対しては、どうもウェットになりがちだ。

しかし、映画自体はむしろドライな表現で、案内役であるジョーカーは、泣き言も恐怖も口にせず、淡々と変貌を遂げて行く。
訓練所で教官に徹底的に罵詈雑言を浴びせかけられ、仲間の死を目の当たりにし、ついには自ら生々しい形で殺人に手を染めて、兵士は別の生き物になって行く。
戦場は地獄であり、一度そこに行った魂は、二度と戻っては来られない。

言葉で多くを語らない監督の、残酷なメッセージが聞こえて来る。

追記:同じメッセージを『ハートロッカー』に見た。でも『フルメタル〜』の方が断然好み。

ブレイクアウト

『アウトブレイク』かと思ってワクワクしながら見始めたら違った(笑)。
でも、ソコソコに楽しく観られました。

難しい事は特に無く、チャールズ・ブロンソンがアノ手コノ手で"ブレイクアウト"(=脱走)を助ける、というストーリー。
依頼人は無実の囚人の美しき妻。
で、この女優さんが恐ろしく綺麗で色っぽいなと見とれていたら、ブロンソン夫人だったのね…。
美女と野獣とか言われたんだろうな。
しかし、子供の頃は男臭過ぎて「どこが?」と思っていたブロンソン、大人になってから見てみると、なかなかチャーミングではある。特に笑顔が、可愛い。

そんな魅力的なブロンソンが、セスナを操縦し危険な仕事も請け負う、頼れる便利屋を熱演。
とは言っても殆ど美人依頼人の魅力に引きずられての蛮勇ではあるんだが、それも納得のジル・アイアランドの美しさではあった。
肝腎の脱走する夫役のロバート・デュヴァルは、その分ちょいと影が薄い。いつも素敵な俳優なのに残念だ。殆ど投獄されてるだけで脱走もほぼ妻任せだから仕方無いけど。

しかし、専門家ではないとはいえ、このブロンソン@便利屋さん、あまり有能とは言えないかも。
何度も失敗する脱走の手口がヌルくて、笑わせてもらった。
特に女性に断られたからって相棒に女装させるとか…無理だから(笑)!しかもその同じ女性にまた頼みに行ってるし、女の知り合いが一人しかいないのか!?それも警官の妻。
そういえばあの奥さん、不倫する気満々だったよね。なんだか凄いモノを見てしまった…美人でセクシーダイナマイッな据え膳を無碍に拒否るブロンソンの心には、依頼人がガッツリ棲み着いているのがバレバレなんだが。
結局二人は何事も無く、言い交わす事さえせずに離ればなれになっていく。
うんまあ、そうだよね。それでこそ漢ってモンですよ、残念だけど。

しかし、無事脱走は成功したものの、あの夫婦は元の生活に戻れるのだろうか???
祖父さんの件とか特に解決していなかったような…脱走に湯水のごとくお金を使ってたし、大丈夫なんだろうか。

ブレイブハート

衣装、大小道具、ロケーション、ソフィー・マルソー。全てが美しく、重厚!
チャウチャウみたいな顔の相棒も可愛い。
ギブソン渾身の、ロマン溢れる英雄符。

しかしまた"王女と恋"ですか。
ちょっと二人の逢瀬には無理があるし、一応歴史上の人物という事なので不謹慎とすら感じてしまうんですがどうでしょう。
そんな英雄の"武勇伝"を信じてみたい気持ちは、分からないではないが。
それにしてもソフィーさんの美しさたるや。
特に白いヴェール姿は天女もかくやと思うほど、どえりゃー綺麗。ちょっとオリエンタルな香りがありつつ雪のような白肌の彼女の美貌を、この上なく引き立てていたと思う。
婚約者役のキャサリン・マコーマックも十分美人さんなのだが、衣装の地味さを差し引いてもとてもじゃないが太刀打ち不可能。

素朴で善良なスコットランドの村の生活と、悪玉侵略軍のイングランドの重苦しいゴージャスさ。戦いのリアリティと力の差の明白さは英雄ウィリアム・ウォレスのヒロイズムを十二分に語ってやまない。
20世紀末に観た私たちは事の詳細を知らないまでも予想できるから、長く苦しい戦いは息苦しく切ない。
その中で、"王女との恋"はオアシスとも言えるし、映画を見ていると王女がウォレスに惹かれる理由は怖いくらいに理解できる。
そして忘れてならない、貴族の坊ちゃんのイングランド無能王子の存在感、素晴らしい。
悪辣なイングランド王エドワード1世を演じるパトリック・マクグーハンも、憎たらしくも重厚な存在感で印象的。

そうそう、"初夜権"なんてのもあった(笑)
いや笑い事ではないんだけど、他でも見たような気がするんで史実なんでしょうかね。
白人圏は乱暴と言うか、泥臭い処女の百姓娘と無理やりいたして何が楽しいんだかと(笑)男性の方々に一度ゆっくり聞いてみたい。
なんか反乱のキッカケが初夜権問題だったと思うと命を賭して闘ったレジスタンスの皆様が気の毒になってしまう。もちろんそれ以前に、新婚初夜に水を刺された若夫婦も気の毒ではありますが。
でもそんな乱暴なエドワード1世は、死の床で見事にしっぺ返しを食らう。
これも「ありえねー!」と思いつつ、なかなか溜飲の下がる映画らしい展開ではあった。
でも無いよね。いくら王と王子の妃でも、二人きりで側に誰もいないとか無いでしょ。立ち聞きくらいはしてるはず。
とはいえ光源氏も父ちゃんの妻と子供作ったしな…。

ともかくスコットランドサイド、そして隣国の圧政に泣く小国の人々、ウィリアム・ウォレスを英雄視する人たちにとって、「だったらいいな」を形にしたのが、この「お世継ぎ問題」で、そのためには無理くりの不倫も必要だったという事ね。
伝承か何かあるんでしょうかね?
ケチを付ける気は無く、つまりとてもヒロイックだね、という意味ですが。

最後の拷問はきつかった。
なんか「キリストになぞらえている…?」と感じたが、その後ギブソンは『パッション』を撮るからね。
昔旅行したヨーロッパの小さな教会で、血みどろのミョーにリアルなキリスト像を見た時に感じた「ここまで見せないと分からないのか…」という思いが、ちょっとダブッて見えたけど。
しかし最期の絶叫「フリーダーム!」は、まことにヒロイズムを掻き立てるにふさわしい言葉であり、現代人の大方が大好きな概念であり、長い映画の締めくくりにふさわしい感動的な台詞であった。

緑豊かなスコットランドの青い空に、ギブソンの青い青い瞳が映えて、美しい映像の多いこの映画の中でもひときわ印象的だったのを覚えている。

ブレイブ ワン 12/3

冒頭の暴力シーンの生々しさが凄くて、この時点でもうこの映画は及第点、と思った。
話が進むにつれ、「これヤバイんじゃないの…?」とソワソワしつつも、緊迫感と迫力と、ヒリヒリした痛みは持続して、見応えのある映画ではあった。

ではあったが、うーん。
まず心情的に、私は「復讐上等」と思っている。
でも、エリカの行動は復讐の域をとっくに踏み外している上に、ショーン刑事の肩入れ具合がちょっと無理矢理過ぎて、特に結末の付け方がヌルく感じてしまったのが残念だ。
暴力描写のリアリティと共に、エリカの痛みがヒシヒシと伝わって来るので、思い入れはし易いのだが。
多くの"この手の"作品は、最後に主人公は肝腎の復讐を遂げられずに終わり、何か社会秩序が保たれたというような結末が多く、それには正直辟易している私ではあるのだが(『さまよう刃』とかね、どうにも納得はしかねるわ)。
でもここまでヒロイン(=復讐する側)を正当化されると、それはそれで割り切れない。
特に刑事が片棒担ぐ形で終わらせる、しかも肩口を撃たせてとか、あまりに極端でどうにかならなかったのかと頭を抱えた。
バレるだろあんな偽装工作。って言うか肩ってけっこう喉や頭に近かったりするんだけど。まあ被害者が同胞だと追求は甘くなるのかな?バレたらどうするんでしょうね、あの刑事。むしろそっちを観たかったかも。

コンタクト』もそうだけど、ジョディ・フォスターはちょっと主義主張が強すぎると言うか、言いたい事は分かるけど強引過ぎだよ、と引いてしまう部分がある。
それでも、冒頭の暴力シーンからずっと緊張感と迫力は持続して、ラストの決着の付け方以外は本当にのめり込めたし、結局あの結末で色々考えさせられた訳だから。
そう考えると、なかなか有意義な時間ではあった。
極悪犯人がちゃんと犬を飼い続けてたのに、凄く安堵したわ(笑)。

プレシディオの男たち

うーん地味

メグ・ライアン、いらん子じゃん?
当時の彼女は本当に可愛らしくて(ヘンテコな顔になって晩節を汚してしまったとはいえ)大好きな女優さんなのだが、今回に限っては彼女が出張って来るたびに視聴意欲を削がれるくらい、余計な存在だった。
長らくタイトルだけ知っていて観ていなかったのだが、勝手に邦題から骨太な男達のドラマを期待していた。
そうなる要素はタップリあるプロットだっただけに、粗雑な造りに「花でも添えるか、でも現代的に女性にも主張をさせねば」的なメグちゃんの扱いが、残念でならない。
ショーン・コネリーの軍服姿は素敵だけど、ジャック・ウォーデンとの友情や因縁をもっと見せてくれてたら、とか、マーク・ハーモンがもうちょっとなんとか…とか、色々残念要素は多かったが、やはり一番残念なのはメグの存在。

乱暴な言い方をしてしまうと、私は元々、男同士の物語に女が出張って来る構図が嫌い。
いいからお前は自己主張をするなと。
これは多分、男女が逆でも同じなのだが、愛する人が一世一代の瀬戸際で必死で闘っている時に、自分の立場だの感情だので煩わせるなと思うのよ。
そんなワケでこの映画のメグたん、嫌い。

でも、この映画で一番残念なのはやはり、主人公であるマーク・ハーモンが地味で魅力(個性)に欠ける所だろうな。
体裁はサスペンスでアクションもドンデン返しも一応あるのだが、結局は何かと泣き叫ぶメグが目に付いてしまうラブストーリー&ホームドラマの部分が前に出てしまい、中途半端。
そこはマークハーモンが男の魅力で引っ張って欲しいところだが、それが弱い、という印象で、何とも食い足りなかった。
カーアクションも銃撃戦も頑張ってはいるのだが。

デートに出かける娘の服装を見て「それじゃ裸と変わらない」みたいな事を言うコネリーが可愛かった(笑)。
洋の東西を問わず、父親というのはそういうモンなんでしょうね。
父を亡くして以来、こういった「父と娘」の物語にすこぶる弱くなっている私にとって、けっこうツボなはずなんだが、この映画のシチュエーション。
あまり響かなかった所を見るとやはり、良い出来では無かったのだと思いますね。

ラストのコネリーの泣き顔は大変よろしかった。
あまり使いたくない言葉だが萌えましたよ、はい。

プレデター

「見えない」ってアイディアは諸刃の刃で、見えないうちは面白いけど見えた時が勝負所。
ちょっと、笑ってしまいました、プレデターの素顔?
マスクしてるうちは、かっこよかったんだけどなぁ。
カッパ怪人もしくはカニ星人…ショッカーの一味?とか思ったけど、死に方も爆死でソレッぽくてまた笑い。
そうかショッカーの怪人は省略されてるだけでいつもああやって爆死してるんだな。健気よのぉ…。

シュワルツェネッガー全盛期、と言って間違い無いでしょうね。
当時としてはお金も手間暇も掛かってると思うし、さり気に豪華キャスト。
その豪華キャストの大半がマッチョときてる。さらにキングオブマッチョのシュワが裸体で大活躍!はい、楽しかったです♪
アポロもビルデュークも良かったけど、私のお気に入りはワイルドなネイティブアメリカンのビリー。
外見もちょっとプチシュワ風味で良かったが、彼の存在が前半は敵の怖さを際立たせ、中盤は活劇としての盛り上がりを引っ張って、真打ちはシュワなのは分かっちゃいるけど退場がとても切なかった。

見所はマッチョのみならず、場面の殆どを占めるジャングルの景色とか、音楽も独特で雰囲気を盛り上げる。前半の軍人は道具云々とかの口論や、緊張の中でチラホラ見せる気楽なやり取りも面白い。
見えざる敵に次々倒れて行くメンバー達が、終わってみれば全員印象に残っている、という、実は希有な出来映えだったりもする。

笑ってしまったチープな顔のデザインにもかかわらず、延々とシリーズが続いているのも、最初の映画の出来が良かった事が大きいと思う。
特にプレデターというモノの存在感、知能が高く文明を持っている、という設定と、この映画のホラーっぽい+冒険活劇(軍隊モノ)っぽい造りとの相性の良さ。
そして普通なら絶対つまらないはずの『エイリアンvs.プレデター』なんて企画が、結構面白かったりしたのも(エイリアンは無論だが)、プレデターの佇まいの存在感と、設定が膨らませる要素を多く含んでいたからだろう。

余談:ビリー役のソニー・ランダムという人、シュワの新作『ラストスタンド』に出演しているとか…うわ〜、26年ぶり?見るのが怖いような…。

ブローバック

うわー。
ここまでショボい映画も珍しいわ…。
いったいどういう経路で作られ発表に漕ぎ着けたのか不思議な程。

もしかしたら、格闘好きなら楽しめるのかも?
私は全くそちら方面(スポーツ観戦全般)興味が無いからかなぁ。
まず登場人物誰一人、強そうな人がいない(笑)
まがりなりにも八百長でも"チャンピオン"は、ダルダルの体型にモタモタの動き。
一応"最強"らしい謎のハゲの黒人空手家?"ゼンドー"も、チンマリしてて全然強そうじゃない。
主人公なんであろう杖ついたハゲもヒョロいし、悪役のハゲチビも元格闘家には全く見えず。
それにつけてもハゲの多さよ…。
登場人物は全員が直情型のバカばかり。いくら闇社会の話と言ってもこれで街を牛耳るとはね。いきなりの喧嘩腰の末、急に話し合いで納得しちゃったり。
試合も見せ場は無し。なんかモッタラモッタラ殺しあって、最後格闘でなく銃で解決
どう考えても最悪の組織のボスも、何となく放置で娘は「ママのいる家へ」帰って終了、ってコラッ!

劇場未公開と聞いて、なんだかホッとしてしまった。
ああ何かの誤解で1800円払って泣いた客はいなかったんだね…。
すいません、TV放送を録画して、途中早送りしました。よほどでないとしないんだけど、こんな事。
『午後のロードショー』は本当に、玉石混交だわ。そこが面白いんだけど。

何故か女性陣だけは美女揃い
ストリップ小屋の彼女も、悪役の一味も、さんざ小娘扱いのボスの娘も、こんなクソ映画にゃ勿体無い美人さんでした。

フロム・ヘル

公開当時も寝てしまったのだが、やっぱり眠い
凄く刺激的なシチュエーションだし、エグいシーンもあったりして眠るのは申し訳ないのだが。
画面が延々と暗く、会話もほぼ(悲鳴以外)静かで、ジョニデのテンションも低い。
まあ暗い話だから仕方ないんだけど、眠い

"悲鳴顔"ってあると思うのよね。
ホラーとかサスペンスで、悲鳴をあげる、だけではなく追い詰められて怯えるとかが似合う顔。
ヘザー・グラハムは、まさにその系統だと思う。
他には私的にはマデリーン・ストーとか、マリオン・コティヤールなんかもそう。日本人だと古くは松原智恵子、最近だと比嘉愛未辺りかなぁ。
美人なのは間違いないんだけど、目が大き過ぎて完璧なバランスをちょっと崩しちゃってる、みたいな美人。
まあ個人の見解です。
そんな目の大きなヘザー・グラハムが美しい。
なんでこんなマトモな、しかも秀でた美女が、最底辺の売春婦なんかやってんだ、とか考えてはいけないよね。
だって"切り裂きジャック"の被害者候補となれば、売春婦だもの。
あと、いつも思うんだけど「都会に憧れてたけど田舎に帰るわ」とか言って帰ったらそこそこ幸せそうにやっちゃってるの、帰る田舎があってそこで生活できるなら、売春婦やらないで帰れば?って。
まあいいや。

20年前かぁ。
ジョニデも若くて綺麗。
この人の、いつも富士山型にうっすら開いてる口元が嫌いなんだと気付いた。
顔立ちは悪くないのに、素顔で出られると何か引いてしまう、と不思議だったんだけどね。
今回は退廃的は暗いムードに、良く合ってました。口は閉じて欲しかったけど。
あと、ラスボスが物足りない。
なんか『スター・ウォーズ』のパルパティーンみたいな(笑)チンクシャな爺さんで。
もしかしたら凄い名優なのかもしれないけど、悪役の見栄えが良くないと(別に絶世の美男美女という意味ではなくて)視聴意欲が下がるわ。
この役はもっと貴族的な風貌の、ちょっと近寄りがたいような紳士が良かった。
上司役のイアン・リチャードソンがこっちの役だったら良かったのに。

あとジョニデの相棒役のおデブが、とても良い!
特に出しゃばらず、イカレた警部に対応してるだけなんだが、なんかあったかくて優しいのが滲み出てるようで。
と、思ったら『ハリポタ』のハグリッド!
あらー、ちょっとファンになっちゃった、この人。ロビー・コルトレーン。

眠っては巻き戻し、を繰り返して、何とか辿り着いた結末は、それでもなかなか良かった。
当時は本当に実行されていたという、ロボトミー手術。
連れ去られた娼婦仲間が施された時は悲惨さに目を背けたが、あんな形で再利用されるとは。

そう言えばアホ王子が出て来ますねー。
公開当時は何とも思わなかったけど、今我が国も皇室が絶賛ゴタゴタ中で、どこの世界にも自覚の無いバカな貴人というのはいるものだな、と言うか、いい迷惑だよね、と、妙な感慨を持ったわ。
好き勝手やりたいなら、まず自身が丸裸になってからにしなさいよ。

「へ、ほ」へ