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で始まるタイトルの映画

ターザン:REBORN

違う、そうじゃない。
『ターザン』と聞いて人々が期待するのは、絶対にこの方向じゃないと思う。

うーんこういうのって、というのはつまり昔大ヒットして設定を焼き直してCGてんこ盛りで見せる映画って、だいたいそうなんだけど。
シリアスになればなる程"くだらなさ"が引き立ってしまうという。言い過ぎなら"ありえなさ"でもいいけど。

ターザンは程よいマッチョ具合でお顔も綺麗だし、ジェーンも美人さんでとても良かった。
安定のサミュエル・L・ジャクソンも出ずっぱりで頑張って、要所要所で解説係ご苦労様なんだけど。
動物たちのCGも、もはや違和感をほぼ感じないレベルに達してるし、スパイダーマンか!?っていう蔓アクションも盛り沢山。なんだけど。
なんかまるで狙ったように、盛り上がらない

回想シーンの悪い使い方のお手本みたいな構成で、話に入って行きにくいし盛り上がりそうになると回想に飛んで膨らみかけた気分が萎んでしまうし。
皆が知ってるターザンだから何とかなってはいたけど、分かりにくいよねぇ。

一番盛り上がったのは、囚われのジェーンが籠に入れて溺れさせられそうなお友達を救出したシーン。
カバこえぇ〜!!!
と、いうのもちゃんと冒頭に前振りがあったしね。
でも結局、ジェーンはゴリラと鉢合わせてるところを追っ手に捕まり、「仲間を集めて!」と逃したお友達は…うん?仲間来た?戦いの役に立ってた?っていう盛り上がらなさ。
まあジェーンが自力で脱出成功しちゃったらターザン立つ瀬ないですが(笑)。
悪役ロムのジェーンへの思わせぶりな態度も、なんか有耶無耶で盛り上がらないままワニの餌食で、『ダイハード』の腕時計みたいな十字架?のシーンも、ただ形をなぞったみたいな残念さだった。

あとゴリラ小さくない?
大人の雄ゴリラって本当に巨大だし、ましてやボスになるとなれば…って言うかそんなのとガチで取っ組み合いとか(笑)いやいやいや、ってなっちゃう。あそこで争わせる必要あったのか???
「馬は蹴って逃げるがシマウマは死ぬまで蹴る」とか、面白いセリフもあったけど。
あと、ライオンとグリグリしてみたい。

せっかくCG技術が発達して、野生動物達を思うまま行動させられる(ように見せられる)ようになったのだから、素直に密林の王者の物語でいいのに。

でもぶっちゃけ、こんなに撮影技術が進んでるにも関わらず『グレイストーク』の美しさには遠く及ばないな、キャストも、自然描写も。
あの映画も所謂「期待」を裏切る内容ではあったけど、その期待を凌駕するだけのパワーがあったのよ。

ダーティハリー

えーとまず最初に、実は私、クリント・イーストウッドが好きじゃない
なんか「かっこいい」と思わないといけないみたいな(笑)雰囲気が周囲にあって、でも素敵とか思った事が無いんだよね。その上『ミリオンダラーベイビー』が軽くトラウマになって、もはや嫌いの域。
でも、例えば理不尽な凶悪犯罪とかで犯人が軽い刑で野放しになったりするのを見るにつけ、「ああダーティハリーがいてくれたら」と思う程度にはスタンダードだとは思ってる。
最近は『デスノート』にその地位を奪われつつあるが。

昔っから何度も観てるはずなんだけど、実は私が『ダーティハリー』と思ってたのは『2』の方だったらしい。
こちら『1』の方は細部の描写は所々記憶があって、絶対観てるはずなんだけど、事件自体にはあまり印象が無かった。
意外と小さな話だったのね、というのが見返した感想かな。

悪役"さそり"は、イカレっぷりがなかなか良かったが、今となってはああいう表現は凄く普通
でもスクールバスを乗っ取って太った少年を泣かすところは面白かった。
あと、ハリーへの復讐心のため他人に自分をボコボコに殴らせるとか(笑)。
主役のハリーについても、公開当時は型破りだったんでしょうが、その後あっちもこっちも"型破り刑事"をやり続けた結果、今観ると普通、ではないにしろパターンに見えてしまう。
1971年だもんなぁ…。

「俺も夢中で何発撃ったか覚えてないんだ」とか、かっこよかったんだろうな。
確かに現場でアレ言われたら怖いけど。
多分そういうハードボイルドと言うか、凝ったセリフも人気の理由なのだろう。
私としては、上司に反抗的な態度を取ったり皮肉な物言いをするのを見るにつけ、面倒臭い男だなぁと。
近頃「ニヒル」という言葉をあまり聞かないなと、久々に思い出したのだが、これもやはり当時はかっこよかったのだろうなぁと思うばかりだ。

えげつないCG満載のアクション映画に目が慣れてしまったせいか、案外地味で真面目な造りの映画に見えたが、それでも銃撃の多さには関心した。いやリアルでこうではないでしょうが、犯罪者が普通に銃を持ってる世界で警察官って本当に凄い事だ。
もうこれがシリーズ化されて長々と続く事を知って観ているのでアレだけど、ラストはハリーが警察バッジを捨てるところで終わってる。
このまま終わればそれなりに、一人の男の生き様映画になっていたかなぁと。
続くの知ってるから「あ、そう?」と思ってしまうけれど、残念。

代名詞にもなった(と思う)マグナム44と、平たくて角の尖ったアメ車はかっこいい。
でもマグナム44、すごいデカいというイメージだったけど、こうして見るとそんなでも…あ、持ってる人がデカいんだ(笑)。

ダーティハリー(byココアちゃん) 

ダーティーハリーね…今見ると本当に残念な男だよね。
違法捜査ばっかりだから後々裁判で有罪の証拠採用されないんだわ。
刑事の仮面を被ったゴロツキ、だわね。
これが礼賛されたのは時代、としか言いようがない。
中学のバカ男子やうちの弟が問答無用で好きだったから、
もう理屈じゃないのよね、魅力が。
マグナムぶっぱなしてドガーン!!後のことは知らない…笑。
こんなに大したことないのに評価されている作品もめずらしいかも。
ひとえにイーストウッドありき、か。

「スコーピオン」が「ゾディアック」という実在のシリアルキラーがモデル、とは後々知った話。
「ゾディアック」はいい映画だった…私の好きなD・フィンチャー監督だし。
ちなみに神戸の「酒神鬼薔薇事件」?の犯人も「ゾディ…」に影響されたそうな。

<管理人からお返事>

ですよねですよねー。
…でも確かに、中学男子が夢中になるのは分かる気がする。
男ってバカ(笑)
でも後先考えずにドガーン!とやらかして、そこでスカッと終われない、いつも上司に怒鳴られたり証拠不採用だったり相棒殺されたり、というモヤモヤ感が、まさにあの時代だったのかな。

あー「ゾディアック」まだ観てないですわ。
D・フィンチャーは面白い時とイライラする時が半々くらいかな。
でも観てソンはしない感じ。
「スコーピオン」は、子供泣かすのに全力投球なとこが好感持てたわ。

ダーティハリー2

昔、シリーズを一通り見てて、これが『1』だと勘違いしていた…それくらい、"ダーティハリー"のイメージはこの映画が強い。
見返してみても、個人的には最初のより、こちらの方が面白かった。 
話が大きくなってるし、登場人物も多くて派手な展開がある上に、ハリーの人となりも"暴力刑事"だけに留まらず多面性が見えると言うか。
大筋に絡む「スカウト」の部分も、『1』でのハリーの大暴れぶりがあってこそだし、ハリーの出す回答にも説得力がある。
シリーズ物は批判しがちな私だけど、こういう事もあるものね。
『1』でバッチを捨てたところで完結した方が綺麗だとは思うけど。

70年代アメリカ映画が全般苦手なんだが、やはりこの政府や警察に対する不信感、倦怠感、絶望感というのが恰好の味付けになっている事は否めない。
ラスボスに関しては、イヤな奴がそのままイヤな奴でした、という、今時だと捻りが無さ過ぎな気もするが、当時としては新鮮だったのかもしれない。
それにちょっと想像力を逞しくしてみれば、いつも上司の立場で型破りで好き勝手やってるハリーに説教垂れても馬耳東風で、上からは怒られるし、ストレス溜まり過ぎてしまったのかも…なんて事も考えてしまい、なかなか趣深い。なんだよ結局元凶はハリーじゃん(笑)。

私の好きなメタリックブルーの平たいアメ車はフォードの『72年型グラン・トリノ』というヤツらしく、思う存分の大活躍でボコボコになった末に木っ端微塵の大爆発という花道を歩いている。
70年代辺りまでは日本国内でもこの手のアメ車が時々いて、狭い道路で居心地悪そうに徐行していた。
やはり見渡す限り大平原、みたいなロケーションが似合うけれど、爆発させるにも見栄えがとても良い。

古過ぎる映画だし、元々イーストウッドがあまり好みじゃないのが残念なのだが。
銃の競技会の決勝戦で最後にハリーが"警官"を撃ったのは、誤射?それとも挑戦状?
多分彼らしい決意表明だったのでしょうね。あれはかっこいいと思った。

何がいけないって、あの白バイ4人組は、極悪人だけでなく周囲の雑魚まで構わず皆殺しにしちゃうとこ。
プールでビキニ姿でクネクネしてたお姉ちゃんや、ウォーターベッドでラリッてた全裸男女とか、確かに悪党の金に群がってるでしょうけど本当に雑魚だからね。
しまいに同志であるはずの警察官まで。
ハリーの相棒も可哀想だったな。勇敢で知性的ないい青年だったのに。

それと、なにハリー、彼女いるん!?(笑)
あまり考えた事が無かったと言うか、しかも東洋系の美人さんで、彼女に対してはハリーはちょっと別人のように初々しく物優しいのも新鮮。
まあ一般人は彼がどんな捜査をしてるかなんて知る由も無いのだから、そりゃ背が高くてハンサムなお巡りさん、モテますわな。
そうそう、ハイジャック機に潜入するのにパイロットに扮して行くハリーの制服姿が素敵だった(←単なる制服好き)。
後の展開はいささかお粗末で、乗客に怪我が無かったのが信じられない無策ぶりだったけど。

で、ハリーと白バイ軍団の違いは何かと。
自己嫌悪と自己賛美
行動の結果は同じでも、その感情の差は相容れないわな。
そしていつも困りながら、ウンザリしながらあのデカい銃をぶっ放してるのかと思うと、苦手なハリーがちょっと可愛く見えて来るのでありました。

ダーティハリー3 

意外とシリーズ中、これが一番好きかも。
大作感は一番無いんだけどね。
新米女刑事ムーアさんがちょっとイタくていいかんじ。
ハリーの"相棒"は長生きできない、というのがそろそろ定番になってるし、冒頭からフラグびんびんに立ってて、あーやだなーと思って見てたけど。

何度も助けられてるよね、ハリー。
なのに、自分の無茶のせいで危険に晒して守れない。
子供の頃はイライラしたけど、こういう完璧過ぎない情け無い姿が似合う、ダーティと言うよりグレーなヒーローなんだろうな、イーストウッドという俳優自体。と、近頃見返してみて思う。
ハリーの彼女に対する態度はけっこう酷くて、今時ならセクハラだパワハラだと責められそうなんだけど、こういう女好きだよねハリー。って言うか彼女のこと大好きでしょ。
ムーアの方もプリプリしながらも、多分ごく初期からハリーの優しさや悲しみに気付いてて、尊敬もしてるし、多分母性のようなものも感じてたんじゃないだろうか。
男と女でもありベテランと新米だけど、ある種有名人のハリーに全然負けてないし対等で、長身で皮肉屋のハリーと小柄で聡明なムーアは本当に良いコンビ、割れ鍋に綴じ蓋
そしてお互い仕事熱心で、余計な事は言わない、過剰に親しまないところも見てて心地よい。
多分あまり美人過ぎすスタイルも地味目で女女してない(かと言ってボーイッシュでもない)のも良かったのかな。可愛いんだけど。
凸凹コンビが微笑ましかっただけに、迫り来る暗雲にずっと胸が痛んだ。

事件や犯人に関しては、実はシリーズ中一番印象が薄いかも。
とにかく市長はじめ上層部の無能ぶりが際立っていて、ああ70年代だな、としみじみ思う。
アクションシーンもロケットランチャーでアルカトラズを吹っ飛ばすというマンガみたいな結末で、ちょっとハリーのストイックさとの落差を感じるのだがどうでしょう。
そういう点を差っ引いても、ムーアとの丁々発止のやり取りや、ラストの喪失感等、忘れられない映画ではある。

ところでムーア役の彼女、良い女優さんなのにあまり見ない…と思ったら、『キャグ二ー&レイシー』のレイシーですって!
あらぁ。s
ごく最近の映画にもご出演なさってるようで、なんだか嬉しい。

ターミナル 

あー。なんか予想はしていたんだけど。
イライラする映画でしたわ。

キャサリン・ゼタ・ジョーンズが、普通の美人をやっててビックリ。しかも、すごーくキレイ。やっぱり美人だなぁー。
トム・ハンクスも、相変わらず達者なんだけど、そしてこういう役どころが似合うんだけど。

なんかさあ。
いいかげん、「アメリカ、何様よ」と言いたくなる。
冒頭の、国を無くして言葉も通じない一旅行者に対するえーかげんな扱いはなんだ!?伝わってないやんけ!勝手に逃げればお役ご免?食事代稼がせないために新しい部署まで作っちゃう?
バカ。バカな奴は実際、どこにでもいるけど、あまりにも主人公をいじめるためだけに設定されてるのがミエミエで、引いてしまう。こういう、主人公が世界の中心になって他の人物が主人公のためだけに存在する話って、昼メロとかハーレクインとかに多い、だからバカにされるんだけどな。
フォレスト・ガンプ』が『ビック』の二番煎じと思ったけど、だったらこれは三番煎じ、すっかり出涸らし。
主人公がキューピッド役になって空港で結婚式を挙げるカップルの話なんかも、デートのキッカケ作るくらいで充分。会話ひとつも交わさず婚約指輪受け取るか?
そうかと思えば、噴水、あれだけ!?え!?撮影失敗しちゃったの?
いつキャサゼタさんが暴れ出すかとハラハラしたわ。今にトムハンクス鼻折られるぞ、って。無かったけど(笑)。

そして結局、ソ連崩壊にかこつけたアメリカ万歳映画というオチ。
「世界中の人達が、アメリカに憧れているんだよねー」ってさ。
ここまで来ると本当、イヤらしいわ。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』が結構面白かったから見直しかけたのにな。
スピルバーグって幼稚だからキライ

ターミネーター

私的にはもはや、「古典の名作」かな。

アーノルド・シュワルツェネッガーに、まずは尽きる。
なにしろすごい肉体、個性的なゴリラ顔に、怪し気な口調(ホントに英語ヘタらしい、逆手に取ったのか、ケガの巧妙か?どうも後者らしいが)。
我々のイメージする「人」を超えた存在として、追われて恐い敵として、本当にバッチリ、ふさわしい。
シュワちゃんは、笑うと結構マヌケな顔になってカワイイし、どうやら陽気な性格らしいんだけど、この頃は知名度も低かったので(ボディビルでは超一流でも、ビル自体マイナーだからね)徹底した無表情な演技でもって、観客はピタリと役柄に彼の個性(の一部)を重ね合わせる事ができた。
加えて黒いグラサン(目が優しいからな)、パンク系の皮ジャンに、大型バイクと、道具立ても素朴で分かり易く覚え易く、グッドなんであった。

そう、この映画は、とっても素朴なの。
公開当時でも「低予算だなー」って感じたSFX(この単語自体今じゃ懐かしい…)。
キャストもシュワのみならず、ヒロインのリンダ・ハミルトンも、ヒーロー?のマイケル・豆(ビーン)も無名で、つまり他の固定イメージが付いてなかった。
ストーリー自体も、時空移動なぞはあるものの、言ってみれば単純で、とにかくものすごーく強くてコワイ物が追って来る、弱い一般人と頼りにならない援軍、とにかくもう必死になるしかない!後はもう、逃走、破壊、アクション、そしてちょろっと、恋もアリ、という事で。
美人でもなく、本当にそこらのオネエチャンだったハミルトンが、後から思えばすごく良かったんだよね。そして、ちょっと二枚目だけど全然弱そうなビーンもね。

そしてこの物語は、単純ながらも未来へと繋がって行く、明確なメッセージを含んでいる。
ち密な撮影技術や高価なセットじゃなく、ましてや出演者の知名度なんかじゃ全然なくて、とにかく熱気が伝わって来る感動。この映画は、アツイんである。

今でも、思い出してはワクワク、ゾクゾクするシーンがいっぱいだ。
時空移動のため、全裸で落っこちて来るターミネーター。ドアを開けるとターミネーターが「サラ・コナー?」と聞く無表情な低音(ここでうなづくと殺されちゃうのよね)。サラの額に合わせられる赤い照準ライト。片手にショットガンを持って大型バイクにまたがり、片足でターンしちゃうターミネーター。黒いグラサンの下に光る赤ランプ。
予算、関係無いよね。
まずはイメージ、そして美意識。

余談ではあるが、最初依頼段階では、シュワちゃんはターミネーターではなく、マイケル・ビーンの演じたレジスタンスの戦士の役だったのを、シュワ自身が「こっちがいい」と言ってターミネーター役をゲットした、らしい。
今にしてみれば、「ナゼ最初そんな配役だったのか!?」と、かえってミョーな気がするけれど、つまり「ボディビル界のスーパースターが美女を守って大活躍」という三流ミーハー企画だったのかな。
あんな顔でも(ごめん、だって…)インテリ、というシュワちゃんの評判は、ウソじゃないのかも、と思ったエピソードでした。

追記すいません、書きました。
シュワの前にターミネーター役をやるはずだったのは、マイケル豆ではなくて『エイリアン2』でビショップを演じたランス・ヘンリクセンだったそうな。
エイリアンvs.プレデター』の感想を書くので調べてて、発見。
何年ガセネタ垂れ流してたんだ私…恥ずかしい。
しかし、その配役のままだったら、全く違った映画になってたでしょうね…。

ターミネーター2

ターミネーター』は、本当に大好きな映画だった。
それだけに『2』は、どうするつもりかとハラハラした、だってこの頃すでに(殆ど無名だった『1』と違って)、シュワルツェネッガーは「陽気で親しみ易い筋肉系アイドル」の座を確立してしまっていて(『コマンドー』はまだしも『ツインズ』や『キンダーガートンコップ』も出た後だ!)冷血の殺人マシンを再び演じたところで、観客(私も含む)は付いて行けるのか!?
当時すっかりシュワファンになっていた私は、まるで親戚のおせっかいおばさんみたいな気分で、この映画の行く末を心配したのであった。
結果は、「ひょうきんな筋肉男」ではないものの、「親しみ易いナイスガイ」のイメージが前面に押し出される結果となって、ひと安心。
『2』で急に「いいもの」になっちゃった事を批判する人もいるけど、私はアリだと思ってる。むしろ大正解、他に道は無かった、かな、と。

シュワの役割が変った事のみならず、この『1』と『2』の間には、かなりの差と言うか隔たりがあって、全然タイプが違うからこそ続編が成功したのかな、とも思う。『エイリアン』みたいにね。
どうやら制作費が『1』よりずっと多い、というのも、『2』成功の秘訣?なのかも。
正直言って、この『T2』、『1』程の熱気は感じない。その換わり、画面の完成度、ドラマの展開、でもって、飽きさせないエンタテインメント映画になっている、と思う。
公開当時、まだCGはけっこう珍しくて、変幻自在のスチール色は、とっても新鮮だった(今思えば金属系はCGの得意技なんだけどね)。
「あんなのは初歩技術だ」とか言ってるオタク野郎はいたけどさ。技術誇ってどーする気なんでしょうか、私にはわっかりましぇん。映画が面白いかどうかでしょ。

リンダ・ハミルトンが鍛えまくってて、ビックリ。
『1』では本当に、そこらへんのネーチャンだったのに。これなら「レジスタンスのトップを育てた女」にふさわしい。頑張ったね、リンダ!鬼気迫る芝居もナイスでした。
なんかね、途方も無い非現実的な話なのに、サラの気持ちが、すごーく分かる気がするの。もちろん、こんな風にマッスグ強く生きられる人は少ないって、分ってるんだけどさ。
それから、ジョン・コナー役の、エドワード.ファーロング。カワイイだけじゃなくて、ちょっと憂いがあって、なかなかよろしかったです、ラストの演技には、わかっちゃいたのに泣かされちまったし。
そう、もうわかってたのよ、最後のシーンで「僕の命令だ」って言う事は。でも、やっぱり、泣いちゃいました、あのシーン。
そして、新型ターミネーターの、T1000役のお兄さん。
良かったよね、キレイで、無機質な感じが良く出てた。
パンフかなにかに「この役は猫のイメージで選んだ」と監督の弁が載っていたけど、まさしく、足音も無く気が付けば背後にいて、捕まえようとするとスルリと手を逃れる、驚く程柔らかな身体…、ピッタリ。
ロバート・パトリックって言うのね。その後あまり見かけないけど、ダメなのかなあ、ハンサムなのに。役のイメージが強過ぎたのか、それともあのカタ〜イ演技しかできなかったのか。少なくともこの映画では、サイコーだったよ。

私の大好きなシーンは、T1000が病院の鉄格子をすり抜けようとして、手にした銃がカチンと引っ掛かる所。
好きだぁー、こういうの。
あとはもちろん、シュワがバイクで飛ぶシーンとか、ナゼかバラの花束をまき散らして来るシーン(でも、痩せちゃったよねえ)、そして文句無く、ラストシーン。
けど結構、サラが武器を預けた友人の所に訪ねて行った時に、小さい子供を持ち上げて不思議そうに見るシュワが好き。炎の中から出て来るT1000もいい。ジョンの育ての親がやられちゃって…のシーンも、よかった、単純だけど、映画ならでは、と言うか。

そして何よりも、この映画のラストシーンは「希望」を語っている。
「人間だけが感情と理性を持っている」という西洋文化にとっては、「機械でさえも感情を持ちうる」というこの物語はビックリだったかもしれないが、仏教の影響が根強い我々日本人にとっては、しごく当然の結末、と言えるのかも知れない。『鉄腕アトム』を見てるしね。

ところで。
メカって、やっぱりバージョンアップすると、高性能・小型軽量化するのね(笑)。

ターミネーター3

だからさあー。
まあ、思った(心配した)よりは、映画はそんな。つまんなくはなかったよ。
T−Xのお姉ちゃんもキレイだったし。
(しくじった時の無表情ながらも悔しそうな顔が、狩りに失敗した時のネコみたいでカワイイのよ)
でもナゼこれを撮る必要が!?
とは、どうしても拭い去れない疑問のまま、幕が降りてしまいましたね。
その直後のシュワの立候補でしょ。
なんかヤダー。

そして、かつての美少年ジョン・コナーが土砂崩れを起こしてしまったというこの映画最大の謎についても、なんら答えは出ないままなのであった。

ダーリンは外国人

原作未読ながら、何かとメディアに登場するので一部見掛けてはいた。
ヒロインはともかく、"ダーリン"は良く似た役者を引っ張って来たな、という印象。

「ここで会ったが百年目」だけは、すごく笑えた。
こういうの大好き。事前にちゃんと、トニーがチャンバラ時代劇を見てるシーンも入れてある。
でも、それだけでした。あそこで終われば良かったのに。

まさしく「ダーリンが外国人」であるというだけで、淡々と進んだかと思ったら、取って付けたように父親の死を持って来る。
せっかくの大竹しのぶも全然見所無かったし。
主演の井上真央ちゃんは嫌いじゃないし、多分芝居は上手な方なんだろうけど、いつも思うのが「イヤな顔」がキツ過ぎる気がして、もったいない。マイナス感情の演技は、少し大根くらいが見易くていいのにな。
ダーリンもヒロインも脇役達もマトモでいい人で、ドラマ的波乱は何も無く、物語の前後に挿入される「外国人とのカップル」の映像からしても、「私ガイジンと恋してます♪」と、いう、それだけの映画でした。

大逆転

うわぁ〜ツマンネ。
まあ、私は元々エディ・マーフィが全然好きじゃないので、その点だけでも楽しめる要素が少ないのだけれど。
ダン・エイクロイドにジョン・ベルーシまで出てて、まだ若く美しい(!)ジェイミー・リー・カーティスが気のいい娼婦役で活躍して、このつまらなさはどうしたワケか。
80年代の作という事で、時代の空気は違うとは思うけど、それにしても。

まず冒頭、どう見てもマーフィ演ずる詐欺師野郎に好感が持てない
反対に、エイクロイドのお坊ちゃんは、そんなに金持ち特有のイヤな点も見当たらず、理不尽に転落させられるのが、見ていてとても不愉快だった。
いくら現金を持ってないからと、あの落ちぶれ設定は強引過ぎるし、フィアンセのお嬢様の件には何のフォローも無く、1番酷い役回りをした執事はシレッと味方のような顔してるし(執事役のおじさまは素敵だったけど)。
場末の詐欺師(と言うかタカリの類だな)が相場を的確に読むとかも嘘っぽい、と言うか専門家バカ過ぎだし。アメリカンドリームなのかもしれないけど極端に過ぎて笑えない。
良く考えるとワケが分かりませんが、あまり深く考える気にもなれない。
ゴリラの件とかも下品で可哀想で全然笑えなかった。

マーフィお得意の下ネタも嫌いだし、クライマックスも全然盛り上がらないし。
あー、ジョン・ランディス監督って、『ブルース・ブラザーズ』か。
アレも全く楽しめる要素が見付けられなかった映画だわ。とても評判は良いのに。
私とは相性が悪いという事ですかね。

第9地区 

これは…こ、これは!
面白い!!
どっかで小耳に挟んで、殆ど予備知識ナシで見て、最初はショボそう〜キライじゃないけど(笑)、なんて思ったんだけれど。
どうしてどうして、すごい出来の良い、大満足の『ザ・映画』でした。

出だしから面白いには面白い。何やらドキュメンタリー風のインタビューが挟まり、やがて性格も頭も軽そうな小役人が登場。え?コイツが主役???そして30年間ヨハネスブルグに棲み着いてるエイリアン=通称"エビ"が登場すれば、うん?キグルミかいな?(いえ、ちゃんとCGでした、キグルミでも全然OKだったんだけど)と、B級テイスト満載
しかし、話が進むにつれ、気持ちはドンドン引き込まれ、ショボいと思った主人公ヴィカスに心と呼吸を合わせて行く。プレデター似の宇宙人も、どんどん愛おしく、しまいには畏敬の念さえ感じていた。
胸がね、胸が痛い。

舞台設定から想像が付くように、差別の問題が大きく絡む。
姿形が(自分基準で)グロテスクで、言葉がろくに通じない、というだけで、蔑み見下す地球人達。
頭では「ダメだよね〜」と思いながらも、椅子に背を持たせて見ている自分に、ある時点で気付いてドキリとさせられる。
"小役人"ヴィカスは素晴らしく、我々凡人が思いを重ね易い位置を移動する。自分の意識の低さ、甘さ、勇気の無さも、それから弱いなりの、愛や友情や、後もう何だか分からないけどそんなこんな。
どうしてこんな事に。なんで自分が。追い込まれなければ、人は奥底を見ない。

とはいえ、決してクソ真面目な社会派映画ではなく、時にユーモラスだったり、グロかったり、意外にも派手なアクションも用意されていたりと、サービス精神もタップリで、本当に画面に釘付けだった。
ラストはちょっと、ほろ苦いけれど、望みうる最高のエンディングだったと思う。
冒頭チンケと思ったヴィカスの、すっかりファンになっていた。
あんな美人の奥さんと、どうして結婚できたんだと思ったけど、ラストはその愛に泣かされた。
そして、最初はあまりの造形に笑ってしまった"エビ"のクリストファーの、見つめる瞳に胸が熱くなる。虫にしか見えなかった子供がまた、賢くて無邪気で、たまらなく可愛く見えて来る。
アバター』では最後まで微塵も感じなかったけど、よりグロな姿の彼らには、もう容姿なんてどーでもいい、いや姿さえも可愛いよ、と素直に思えた。ナヴィよりエビ(笑)。
…そう言えば私、『えびボクサー』でも泣いたっけ……えーと。

思わせぶりに三年後を予告して映画は終わるが、頼むから続編なぞと妙な色気を出さないでおくれ、と、祈るような気持ちでエンドマークを見た。
きちんと構成されて、良く出来たモノは、もうそれで完成なのだから、お願いしますよ。

残念ながら劇場公開は逃してしまい、DVDで鑑賞。特典映像でメイキングを見たが、これがまたいい。
スタッフが皆若い!みんな目がキラキラしてて、本当に楽しそう。ヴィカス役を大熱演のシャールト・コプリー(と言うんだそうだ)も含め、色んな人が色んな事を考えて、言って、やってみて。そんな活気が伝わって来る。若いってスバラシイ♪
制作に、私の嫌いなピーター・ジャクソンがかんでいた。あ、そうなんだ。
もう若手の発掘と育成に回ったらいいのに(笑)。

 

追記:ブラッドベリの『趣味の問題』という短編、ちょっとこの映画を思い出した。『猫のパジャマ』に入ってます。

ついでに、この映画の原型『Alive in Joburg

大脱出

スタローンとシュワルツェネッガーの二大スターがダブル主演、殴り合いもすればタッグを組んで大暴れとあっては、まあ80年代アクション映画ファンとしては感無量なのでありますが。
意外に頭を使う内容で(笑)当惑した。
だってスタローンが頭良い設定って。

正直、この映画を観ようと思った人の殆どが、複雑な設定とか捻りのある展開とか、期待してないと思うの。
そんな小細工してる暇があったら暴れろと(笑)
…あ、いくら映像マジックと言えども、お二人ともそれがキツくなっているのかなぁ。
でも、まあ頑張ってたよね…。

アラブ人大活躍!
やっぱりジジイ二人だけじゃ間が持たないと言うか、こういう"男の世界"的要素はシュワよりむしろスタローンの方が得意分野かな?
なんだかんだ盛り上がるし、唯一ドラマ的な印象深いシーンでしたね。
しかしその大活躍を踏み越えて行くジジイ二人………。

前半のなんだかモダモダするスタ頭いい設定は、後半ほぼ綺麗に忘れ去られて、問答無用の銃撃戦に突入。
うん、いいのよそれで。
できれば銃撃より肉弾戦の比重を上げて欲しかった、けれど、良く思い起こしてみればシュワもスタも若い頃から銃撃戦は多いのであった。
そんなワケで、シュワちゃんがヘリのマシンガンでぶっ放した辺りはもう、心踊るより心安らぐと言うか(笑)そうそう、こういう事よ、と。
キメ台詞もらしいのを用意してもらって、良かった良かった♪
それにしてもスタローン、海で立ち泳ぎまでやって、偉いなぁ

脱出達成後にちょっとした種明かしと言うかドンデン返しもあって、サービス精神は評価するが、本音を言えばいいから、もうそういうの(笑)。
でもってラストシーン、同じ美人と去るにしても、スタローンは色っぽい恋人と、シュワちゃんは愛娘と、という、その辺りもいかにも二人らしくて笑ってしまった。

悪くはなかったし、往年のファンとしては嬉しい企画ではあったけど。
私はシュワちゃんだけだけどスタローンも好きだった人なら本当に嬉しいだろうな。
でもやっぱり、ジジイになっても脳みそまで筋肉でした、っていう映画の方が観たかったけど。

タイタニック

レオ様ってどうよ?
かっこ悪いと思うんだけどなあ。
確かに 金髪だし青い目(多分…)だけど、今日日の日本人がそんな事珍しがるとも思えないし。

公開当時、この映画はすごいリピーターが多いと言うので話題になっていた。
映画を生まれて初めて観た未開の人々なのか?
「船が来るぞー、逃げろ!」なんちゃって。

誰もが小耳に挟んだ事はある、実話がベースの物語なので、そういった興味はあった。
「こうやって沈んだのかー(恐ーい)」とか、「上層部が酷いから、こんなに人が死んだんだな」とか。
ヒロインの婚約者が 、あんなに意地汚く生き残ったにもかかわらず後に自殺した、という事後報告は感慨深いけど、確か昔のタイタニック映画でも同じ事言ってたしな。
CGについては、好みもあるし(私はあまり好まない)、技術的な事は分からないんだが、観た感じはサイテー。すごい薄い見にくい画面になっちゃって。
長年アシスタントばっかりやってて、背景は上手いけど人物がダメダメなマンガ家の画面みたい(?)

二人の恋にしても、ちまたじゃロマンチックとか言われているみたいだけど、レオは綺麗にしてる金持ちの女が珍しかったんだろうし、ヒロインは人身御供同然に結婚させられるのがイヤで(そりゃイヤだ)、でも独りで逃げる勢いはつけられない…と、なんかあまり、美しくないの。

ヒロイン役のケイト・ウィンスレット、美人でゴージャスなんだけど、もはやトッチャンボーヤのレオ様と、お似合いとは思えない。もう少しヒロインが少女っぽいか、ヒーローが大人な雰囲気だったら、二人の恋にも違和感は無かったのかも。そうかなあ。
ウィンスレットはこの時すでにかなりグラマーだったけど、その後太り過ぎて「太って何が悪い!?」ってタンカ切ったとか、でも役が付かなくなってダイエットしたとか、色々言われた。次作らしい『グッバイ・モロッコ』、確かにますますドッシリして、見事なオバサンぶりだったけど、きれいだったけどなあ。

追記:TVで美輪明広様がディカプリオの事を「小豚みたいな顔の俳優」と言っていらした。サスガは美意識の権化!

タイタニック(byココアちゃん)

これCSで何度もやってて、おとといも見ちゃって。
最初観た時は「んん?」だったけど
最近は結構好きだったりして。(もう20回くらい観ちゃったよ・・・苦笑)
プリオ、可愛いじゃないですか。若々しいし。
ケイトも、映画監督がおしなべて好みそうな目力で。
あのパンパンのバストはその後しぼんじゃって、でも「愛を読む人」で堂々と披露、
それはそれで見上げた女優魂。
プリオは子供顔からそのまま老け顔に自然にスライドして、でもめげずによく働いているし。
キャメロン監督はそうとう事実に忠実に作ったと聞くので理解できないようなエピソートもありますが。多分下層階級は本当にみんな見殺しにされちゃったんでしょうね。
プリオ演じる「ジャック」が典型的な貧乏だけど魅力的な好青年、でもこのキャラクター、って
大昔の少女漫画のヒロインの相手役そのものではありませんか?
貧乏でハンサム(金髪)で、絵とか描いて(スケッチブックと鉛筆持って)、若いのに人格もあるの(普通ないだろ!)。
一条ゆかりとかいがらしゆみことかの漫画で「ある、ある!」感満載。
プリオがハンサムかどうかは微妙だけれど。

タイタンの戦い

なんでこんなモッサリしたお兄ちゃんをペルセウス(=ヒーロー)にしたんだか。
それだけでもう、冒頭から視聴意欲ダダ下がりなんですけど。
ギリシャ彫刻が動いてるみたいな美青年を連れて来なさい、なんなら大根でもいいから!

海の怪物クラーケンの円谷的ビジュアルにちょっとワクワクしたものの、あまりに冗長で退屈なストーリー運び(基本大筋は知ってて見てるんだけど、それにしても)にすぐ気が散ってしまい、メドゥサとの対決シーンで初めて公開当時観ていた事を思い出す。
そうそう、このメドゥサが何とも好みじゃなくてガッカリしたんだわ、当時。
でも今見るとメドゥサよりペルセウスにガッカリだけどね…どういう事情か知らんが、顔は百歩譲るとしてもあの身体では……ブツブツ。
メドゥサに関しては、どう見ても"元・美女"の匂いが全くしないのが個人的にペケだった。醜悪な姿に成り果てても、どこか艶めいた片鱗を残して欲しいのよ、お耽美好きとしましては。
でも今回見て、倒れた後のメドゥサの首の切り株から血がドクドクッてなる所は良かった。ミョーに粘着質な血でな(笑)。

基本、私はCG万能みたいな風潮を残念に思っていて、こういった"特撮"が大好物だ。ついでにギリシャ神話も、けっこう面白いと思っている。
だからこそ、クリーチャーのセンスの合わなさやストーリー部分の退屈さ、豪華キャストの力の入らない演技等が歯がゆいやら悔しいやら。
ローレンス・オリヴィエなんか衣装が似合って素敵なのになぁ。
それにしたって依怙贔屓ばかりが目について(いや原作でもそうだけど)カリスマ性の欠片もないゼウス。
なんだか安っぽい美女アンドロメダも、全然ワクワクしない。
金属製のフクロウ君は可愛かったな。

ダイナソー in L.A. 

どうしよう、もう。
恐竜好きなもんで、こんなクソ映画まで観るハメになってしまったよ。
だって有名な『ダイナソー』かと思うじゃん。やるなぁ『午後のロードショー』(TVで観たので文句も言えない…言うけど)。
本当に、「こうして作るとつまらなくなるよ」って見本みたいな映画。
ある意味勉強になった、かも。

なんと2014年公開
多分、予算の関係だと思うんだけど、CG部分と実写部分が殆ど同じ画面にならないせいで、両者の位置関係が殆ど分からず、従って迫力も緊迫感も全然無い。
恐竜の質感はいいとして(爬虫類系はCGの得意技だよね)動きは昔のストップモーションみたいなぎこちなさ。
何より内容がもう、あの開発チームの無策ぶりやら、SWATチームのドン臭さやら。
人がドンドン死ぬけど、殆ど追い詰められ方や死に方に工夫が無く、ああ殺すって本当は難しいんだ、と妙なところで感心した。
もう内容がダメならダメで、せめてヒロインくらい綺麗な子を使えなかったのか。

そのヒロインがヘリコプターに飛び乗りそこねて落っこちた所をプテラノドンが横からかっさらって行ったシーンだけは、ちょっと笑えた。

ダイ・ハード

アクション映画の金字塔
手垢の付いた言い方だけど、この映画に対して他の表現を私は知らない。
って言うかもう、他にナニを言ったらいいんだろう???

・エンタメ性とリアリティのバランスが絶妙
この状況で、悪辣な悪役なら、まず人質を殺すよな…と思いつつ、そこまでは見たくないんです、本音を言えば。この後『エアフォース・ワン』でやっちゃってるのを見て、やはり勘弁してと思った。
「ハラハラして盛り上がる」と「行き過ぎて楽しめない」の匙加減は見る側の感性によって様々だと思うけど、私にとってはこの辺りが良い。悪党達が適度に間抜けなのも良い具合。
・魅力的な悪役、ドキドキのシチュエーション、一ひねりある人間関係、有能だけど事情を抱えた協力者。
リーダーのアラン・リックマンはスマートでかっこいいし、金髪美形の武闘派アレクサンダー・ゴドノフは元バレエダンサーらしく身のこなしが素晴らしい(若くて亡くなったのが本当〜に残念…)。
奥さんの気持ちも分かるし、ウザい同僚のイヤらしさとか、警察やFBIのクソッぷりも、もはや清々しい(笑)。
建造中の高層ビルの中で孤軍奮闘(しかもクリスマスの夜に!)の刑事という設定を聞いただけでもワクワク。
更に、別居中の妻が旧姓で働いてる会社とか、高所恐怖症気味のヒーローとか。トラウマ抱えた姿の見えない"相棒"とのハードボイルドな交信とか。忘れた頃に役に立っちゃうお調子者の運転手とか。
裸足のくだりもそうだが、妻の腕時計なんかもキッチリ回収されて気持ち良かった。王道ながらウガンダじゃなかったパウエル巡査の顛末もシッカリ見せてくれたし、マスコミの扱いも程良く爽快で、見終わった時のストレスが全く無いのは見事。
・主人公はタフで有能だけど、独り言で愚痴ったり、ベソかいたり、というのが新鮮だった(これ以降よく見られるようになったけど)。ランニングに裸足というスタイルも絵的なインパクトもありつつ、ちゃんと見せ場に生かされてて良かった。
ハンサム過ぎないけど充分にセクシーなブルース・ウィリスが、見慣れない顔だったのもラッキーだったかも。
(初見の第一印象は「なにこの鼻の下の長い小デブのうすらハゲ」だったもんなぁ…ご免ブルース、10分後には大ファンになってたよ!)

なんか思いが深すぎて箇条書きにしてしまいましたが、全然言い表せてない。悔しい。
最初にロードショウの大画面で見た時は、本当に「生きてて良かった」とすら思った。
残念ながら日本公開は夏だったかな?欲を言えばクリスマスシーズンに見たかったけれど。
興奮でフラフラしながら街へ出て、たまたま『歓びの歌』が流れて来た時には泣きそうになった。
ここまで完成度が高い映画に第二弾は面汚し、と思ったのに、『2』が意外と面白かったのも凄い。いや無論、一作目よりは全然落ちたけど。『3』はアレだけど、『4.0』に至っては、もはや懐かしさだけで感動だったし。
あ、一番好きな台詞は、奥さんの「ジョンに違いないわ、あんなに人を怒らせるのは」。

なんかもう、まだだったらとにかく見ろ!と世界中に言いたい映画。

大魔神

子供の頃、知り合いのおじさんに劇場へ連れて行ってもらって観て、うなされる程怖かった。
と、思ったんだけど、記憶に焼き付いたシーンが見当たらず、シリーズの他の作だったのかな、とガッカリ。
しかし、おそらく初見であろうこの作品も、なかなか見応えがあって面白かった。

公開は1966年
何故か全く古さを感じさせない完成度の高い画面で驚いた。
もちろんCGなんて無いし、特撮技術もごく初期の頃だと思うが、わざとらしい合成画面とか気にならず。
盛大にぶっ壊されるお城や捕まって食われる人々の生々しさは、ナカナカのもの。
後から知ったけど、この大魔神、通常の怪獣サイズ(50m)よりかなり小さい設定(約4.5m)なんだそうで。
そのサイズ感がまた、生々しさを感じさせるのかも、上手い戦術だ。
近いところでは『グエムル-漢江の怪物-』の怪物の登場時が、そんなサイズだったような。アレも嫌だったなぁ。

ストーリーは全くありきたりと言うか、王道ではあるのだが。
悪代官側の悪辣さと、逃亡した若君&姫兄妹の健気さ、巫女さん"悠乃"の説得力ある存在感。
そして、成長した姫君が、なんてまあ可愛らしい女性、と思ったら、高田美和さんではありませんか!
いやぁ。こんなに可愛かったとは!

幼少期の印象として、怖かったのは大魔神の怒った状態よりも、変身前のハニワ顔だったのだが(笑)。
面倒臭い子供だったんだなー(笑)。
今見るとちゃんと、緑色の忿怒の形相の方が怖く見えるよ。
…でも日常生活では、怒った顔が丸分かりの人よりも、顔の作りがチマチマしてて無表情な人の方が、今でも怖いな。
そしてあの、誰が考えたのか、顔の前で腕をグルンと回すと表情が変わってる、アレは凄い!
特撮に頼れなかったからの苦肉の策かもしれないが、アレはいいわー凄いわー。
映画自体の出来も良いのだが、流行ったのは絶対アレが効いてると思うんだよね。
子供も真似し易いし。

どういう信仰なのか、良く分からないんだけど。
でもとても日本の神様らしいと言うか。
怒らせたら相手構わず大暴れ、と言うのが、とても神様っぽい。
何か、収穫やら天候、災害等々を、身近に神に結び付けて来た日本人の感覚にピッタリと言うか。
魔神覚醒のキーとなった、石像破壊のために額に打ち込まれたクイ?刃物?が、暴れ出した魔神の最終兵器に使われて悪の親玉を仕留める(わざわざ額に刺さってるのを自ら抜いて使う魔神!)シーンも凄い。

今の感覚で見ると、主役の魔神が登場するまでがとても長くて驚いたのだが。
時代劇好きなせいか、ちゃんとした時代劇になってて楽しく観てしまった。
待ち遠しくはあったけどね。
なにしろ悪役どもの悪行三昧、非人道さが凄いし、一方の巫女さんの何とも言えぬ貫禄と品の良さ。
若君の小綺麗さと、人足息子の小汚さ(笑)。
あ、若君の子役、マグマ大使のガムじゃん?二宮秀樹、懐かしー。

ダイヤモンド・イン・パラダイス

ピアース・ブロスナンにサルマ・ハエックとはまた、コテコテの美男美女
何の予備知識も無く見始めたら、意外なコメディ仕立てで軽く驚いた。
ユルい感じでそこそこ笑えたし、美男も美女も堪能できて、パラダイスのような南の島の景色と共にセレブな人々の生活も覗けて、一応アクションも犯罪手口の工夫もドンデン返しもちゃんとあり…と、サービス精神旺盛な造り。
そしてこの手の大盛り映画にありがちな、薄い内容、放りっぱなしのドラマ性(笑)。
私は嫌いじゃない、と言うか、そこそこ楽しめた。主演二人と舞台設定が好みだって事が大きいけれど。
できれば、この路線で行くのなら、人は殺さないで欲しかったな、意地でも。

ブロスナンの怪盗とウディ・ハレルソンの潜入捜査官の馴れ合う過程とかが楽しく面白かったので、地元の女刑事との仲もちゃんとケアして終わらせて欲しかったかな。
ブロスナンはこういうトボケた役が似合う(コレしか似合わないかも…)し、サルマさんはシリアスで凄惨な役もいいけど、今回は終始ポヤヤンとしてこれはこれですこぶる可愛らしい。
でもドンデン返しは、"負け"で終わっちゃっても良かったような。
まあストーリーは、あまり凝らないのが吉、でしょう、この手の映画は。

気前良くお金を使って、とびきりの美男美女を揃えて、これはこれでちゃんと機能している娯楽映画、という気がする。
内容にサスペンスを期待したり、主演が好みじゃなかったりするとキツイけどね。

太陽がいっぱい 

子供の頃にTV放映で観た記憶はあって、けっこう印象的な映画ではあったんだけど、最近リメイク版、と言うか同じ原作の映画化である『リプリー』を観たもので、改めて観てみたくなった。

意外に単純と言うかシンプルな映画だった。
昔の人は素直だったのか、凝った内容の『リプリー』を観た後では「ホホー?」という感じ。
でも、光溢れるイタリアの美しさや、男女3人の緊張感ある関係、魅力的な「ワル」の主人公に、衝撃の結末、そして余韻のあるラストシーンと、傑作である事は間違い無い。
公開は1960年。
しかし古くさい印象は無くて、ヒロインの水着姿に時代を感じるのみ、というのも凄い。

主人公トム・リプレイ役は、世紀の2枚目と呼ばれたアラン・ドロン。
全く今見ても、殆ど犯罪的美しさだ。
輝くばかりに若く美しく、頭も切れて、しかし陰惨で下品。
複雑な人物を魅力的に演じている彼を見ると、顔だけ役者ではなかったのだな、と改めて思い知らされる。
先にも言ったように、わりとシンプルな造りの映画なので、例えばリプレイの過去の苦労話なんかはいっさい出て来ないのだけれど(近頃の、特にアメリカ映画は’トラウマ’のオンパレードで、ちょっと食傷してしまう…笑)、金持ち息子のフィリップとの簡単なやり取りだけで、彼の思いの深さ・暗さがしっかり浮かび上がって見える。
ラストシーンで、「あーあ…」と肩を落とす気分にならない観客は、きっとすごく少数派だろう。
金持ち息子が鼻持ちならない、というのも棄てがたくあるものの、やはり犯罪者のリプレイに肩入れしてしまうのは、彼が人間らしく魅力的に描かれているから。
言い訳もせず、泣きも入れず、殆ど目の表情で語り尽くしてしまうドロンは凄い奴だ。

『リプリー』を観た感想は、「これは2枚目がやってはダメな役ではないか」という物だった。
そういう意味では、あれとこれは全く別物、と思った方が良さそうだ。
マット・デイモンのねちねちしたリプリーも見応えがあったが、ドロン版の単純明快さは逆に新鮮。
サスペンス要素は比較的スッキリ片付けて、忘れられないラストシーンへと繋ぐ終盤は見事だ。
哀愁の名曲はもうあちこちで聴き過ぎてしまっていて残念だが、それでもラストの青い青い空との対比は痛い程印象的。
ため息が出る程の完結ぶりに、46年後から拍手を送ろう。

誰が為に鐘は鳴る

あれっ、終わっちゃった(笑)。
すみません、TVで吹き替えで、超短縮版で観た感想と言うかメモ書きです。

「鼻は邪魔にならないのね」もはや一人歩きの感さえある有名なキスシーン。
バーグマンの高い鼻なら事前に悩む気持ちも分かる(笑)。
"マリア"は清らかでいかにも初心で、あんな台詞も許されてしまうのだが、その彼女がどんな目に遭って来たかが徐々に明かされて行く過程は(薄々予想はしたものの)胸に迫るものがあった。
しかし、二人の恋愛模様については、美男美女が狭い環境で当然のように惹かれ合うばかりで、あまり思い入れはできなかった。
ショートカットのバーグマンはチャーミングだが、予想以上に健康的で、ちょっとゴツい印象。美人には違いないのだが、『カサブランカ』なんかの絶世感は無かったな。

それよりピラー姐さんは、あれはジョーダンに惚れてたよね。目前で美少女とイチャつきながら、全力でピラーを褒め称えるアホ男の鈍感っぷりは見応えがあった(笑)。
本編は超大作らしいので、多分TV放映に当たって恋愛要素中心の編集が成されたのか、肝腎のはずの作戦部分がイマイチ盛り上がらず、残念だった。
って言うかいちいち作戦失敗してるんですけど……ジョーダンもいちいちヘタレってるんですが。
大長編なので相当な心構えが必要だが、一度はちゃんと通しで観て、感想書き直したいです。
しかし、冒頭の活劇シーンの音楽の使い方とか、もはや「賞味期限切れ」の臭いがするような…。

TAXI

うん、フランス人がドイツ人を嫌いなのは良く分かった(笑)。

どうも全体にやかましくて、公開当時観た印象は良くなかったのだが、そういうモンだと思って見直したらソコソコ面白かった。
男の子は一般にスピードが大好きなようだが、私はスピードその物にも、それを操る男性にも全く魅力を感じない。だからその時点で、この映画を楽しめる要素が極めて少ない。
暴走タクシー運転手とマザコン刑事のコンビは、良いコントラストで楽しい。まあどちらもお付き合いはご遠慮したいけど(笑)。

それぞれの思い人は、どちらもとびきりの美女。
金髪長身の女刑事ペトラ(エマ・シューベルイ)はスリット深めのタイトスカートで銃を構える姿が滅茶苦茶セクシーだし、何度もお預けを食らうリリー(マリオン・コティヤール)の身体は素晴らしく美しい。
…まあ殆ど、それだけのために登場したようなキャラクター達ではありますが。
そういう意味でも、男子限定感があるよね。
エミリアン刑事のお母さんは良かった。彼女の天然ぶりも面白いし、断れないダニエルもイイ奴だが、従わせるだけの何かがあるのでしょう、このお母さん。結局リリーもすっかり味方に付けちゃってたし。

コメディ仕立てなんだと思うんだが、大臣の車を強盗団と間違える辺りとか、ポカーンとしてしまって乗り遅れた。なぜあんな事に???
それにしてもフランス警察、銃撃ち過ぎ。笑うよりちょっと、不快になってしまった。
同じように、信号を勝手に細工してとか、そもそも大幅スピード違反とか、迷惑過ぎますアナタ方。
それでも、タダの突っ張り合いかと思ったレース勝負から二度目の勝負の結末への流れは「そう来たか!」というカタルシスがあった。
ラストはなるべくしてなったハッピーエンドだが、車椅子のお父さんの件はどうなったんだ…?

と、まあ、色々いい加減と言うか雑な感じがあるものの、文字通りスピード感と勢いはある。
フランスのタクシー事情なんかも(リアルかどうかは不明だが)垣間見られて、面白かった。

タクシードライバー

名作の誉れ高いこの映画。
今まで観た事が無かったと思い、やっと思い切ってDVDを借りて観ました。
……観た事、あったわ。
見始めてずーっと気付かず、最後の殴り込み?あたりでやっと思い出した。

デ・ニーロ演ずるベトナム帰りのタクシー運転手・トラヴィスに、共感ができるか、あるいは「かっこいい!」と思えるか、でないと、この映画はキツイと思うんだけど、私はどっちでもない。
うーん、イタイな、というのがあったから、少しは共感はあるのかな。

第一、若くてギラギラしたデ・ニーロは、一見してキモチワルイ
初デートでポルノ映画館に連れて行かれちゃーなぁ。
あれってどういうつもりのエピソードなんだろう。
女性に慣れてないだけの悪気の無い男、って事?それとも、そういう物(ポルノ)にしか触れるチャンスが無い程お粗末な人生を送って来たって事かな。
私には、あれだけで「大カン違いのアブナイ野郎、取り扱い注意」ってレッテル貼るに充分なんだけど。

13歳の娼婦役で、ジョディ・フォスターが出てる。
うっわー、変わってない!サイズは小さいけど(笑)。
身体付きは少女なのに、顔は大人びて、当時は「世界一色っぽい13歳」なんて言われたよね。でも残念、色っぽいと言うよりも、知的な印象を受けてしまうのは、今の彼女を知ってるせい?
家出して、ヒモ男に食い物にされるバカ少女、ってイメージが、今となってはシックリ来ないんだけど。
この少女アイリスがトラヴィスにヒモの悪口を言われてかばう会話は、なかなか泣かせる物がある。「本気で言ってるんじゃないわ」。大人っぽさが痛々しい、いい場面だ。
栴檀は若葉より芳し。 

夜の街の様子や、そこに生きる人々の風情は生き生きとして見応えがあった。
色々な意味で追い詰められたトラヴィスが、(元々素養があるのは明白だし)ああいう行動に出るのは、分からなくもない。腕に覚えもある事だし。
銃撃シーンは生々しくて迫力があった。ドバーッとな。
でも、ラストの扱いは、ナンジャーコリャー、おかしいでしょ。
アイリスの両親は感謝するでしょうが、それにアイリス本人を出さなかったのも正解(あの段階で本当に感謝してるかも不明・笑)だけど、同僚とか、例のポルノに怒った彼女までがヒーロー扱い。
それはちょっと…と、理解に苦しむ、と言うよりも、殆ど男の妄想世界に突入しちゃってる気がするんだけど……。
もしかして、アメリカって、それがまかり通っちゃう?だからベトナム行っちゃったの?

卓球温泉 

松坂慶子さんを使ってまあ、何をやっているのやら………。

いえ、悪い印象は無いよ。
正しく毒にも薬にもならないという、まさにそういう映画。
そりゃあ過疎の温泉地は活性化した方がいいし、家族は崩壊しないに越した事は無く、好きな人とは結ばれたい。いいのよ、みんな。
けどどーにもこーにも、この予定調和感
松坂慶子の母、蟹江敬三の父、窪塚洋介の息子だよ?こんな面白い家族なのに、もったいない。
最後のシメが卓球の長時間ラリー対決というのも何だし、それで優勝したからどうだと思うし、第一あの揃いの浴衣の柄が下品(笑)。

トラックの運ちゃんと牧瀬の喧嘩に割って入って、松坂さんが蕩々と語るシーンは面白かった。
怒ってた運ちゃんがデレてしまうのも、松坂さんなら説得力があるし、ああいうちょっとズレた天然な感じが良く似合うと思う。
牧瀬さんは…役柄もだけど、可愛くなかったなぁ。

タッチ 

うわ。地味。
一昔前の人気マンガ、と言うよりアニメの実写化、という事で、最初から「ナニを今更?」と思っていたんだが、予想以上にしょぼい映画だった。
南ちゃんが新体操をやらない=レオタード姿もナシ=学園のアイドルでもない普通の可愛い子でしかない。ここですでに、旧作の人気の半分は捨ててる。
映画という枠を考えると、話が多少駆け足になってしまうのは仕方無いとしても、全然ポイントを押さえてない。くどいようだが南ちゃんはブルマで泣かないし(笑)。
取り柄と言ったら双子がソックリな事と、野球のポーズがキマッてた事くらいだ。

 元々、悲しい痛い物語である。それを子供向けらしい”お色気”やら”モヤモヤ”でオブラートしてあったから、楽しく見られた原作だったのではないか?
それなら真正面からシリアスに徹しているか、と言えば、主要キャストの棒読み演技ではとても無理。母親役の風吹ジュン(好き!)だけがマトモに芝居をして浮きまくっていた(ちょっともらい泣きした)。
演出も演技も地味で平坦。画面もなんだか薄暗いし、せっかくの巨大なピレネー犬も庭先に繋がれてるだけ。やたら手脚の細長い(世間じゃ「スタイル抜群」と言うのか?)南ちゃんが、好みの人には楽しいのだろうか。

 極め付けは、アニメのテーマ曲を臆面も無くクライマックスで流すという暴挙。
あの曲は名曲だし懐かしむ層も映画を観るだろうけれど(私だってその一人だ)、独立した作品としてあんなやり方は悲し過ぎる。
エンドクレジットあたりで、南ちゃんの可愛い笑顔なんかに被さって流れてくれたなら、余裕あるいいサービスになったのに。

 高校生、スポーツ、幼馴染みの恋と、サワヤカ要素を取り揃えながら、青春キラキラ感が全然無い、地味〜で退屈な映画でしたー。

タッチ(by京都の金)

ダセ〜!
\1800出して観に行った人は日本に何人いるんでしょう?
青春映画のハズなのに、おば様の楽しみな可愛い若い子はひとりもいないし・・・変に平均年齢高いような・・・甲子園のはずが“社会人野球”に見えたのはアタシだけか〜〜〜!!!
だいたい何なのよ!きょんび(京都弁で今時の事です)のリバイバルだか何だかはよ〜!新しいアイデアないのん?

タップス

青い、青臭い!
この映画を思い出す時、いつもたまらなくテレてしまう。
つまり私は、こういう青臭いのが、キライじゃないんだろう。
そして、事の善し悪しや、展開のあまりの悲惨さを置いておけば、立派な青春映画だ、とも思う。

なにしろ舞台がミリタリー・スクール、つまり兵隊学校なので、若い(12〜18歳、中高一貫の男子校みたいなモンね、しかも全寮制)男の子がいっぱい出て来る。揃いのミリタリールックで、キリリと敬礼なんぞして、絵的にはたいへん可愛らしい。
今をときめくトム・クルーズと、お騒がせの名優ショーン・ペンの映画デビュー作という点でも要注目。トムは初々しかったが、ペンはこれがデビューとは、と思わせる達者ぶりで印象的だった。

主演の生徒指揮官(!)役のティモシー・ハットンは、青臭い理想に燃える優等生のイメージにピッタリ。潔癖で、スマートで、夢見る瞳。
篭城が長引くにつれてどんどんボロボロのヨレヨレになって行く。ラストシーンで冒頭の生徒指揮官になった日のパレードの姿が再び映し出されると、そのボロボロぶりに胸をつかれる。
トムの役は学校一の過激派。戦争ゴッコがしたくてしたくてたまらないガキ。クルーカットに、まだ子供子供した丸顔(ダンゴに楊子で目鼻を描いたみたいだった)で、いるよねー、こういう子、って感じ。
私はこの役の印象が強くて、「ちんちくりんだけどキレた芝居がナカナカな俳優」というイメージが定着してしまい、どうしてもトムが「サワヤカな二枚目」には見えないのよ。
マグノリア』では久々にキレまくってくれて、楽しかったよー、トム。『ラストサムライ』も、あなたのアル中ぶりがあってこそ。
そしてショーン・ペン。すでに貫禄。冷静で穏やかな指揮官の参謀、という役所がピタリとハマッていて、後の(実生活の)暴れん坊ぶりを思うと、本当に演技力あるなあと、ミョーな感心をしてしまう。

物語は、愛する学校を廃校から救おうと立ち上がった生徒達が、武器を手に校内篭城を続けるうち、どんどん追い詰められて行く、というもの。
生徒達も生徒達だが、制圧に軍隊出して来る大人も大人だ。
子供に危ないオモチャを持たせちゃいけないね。
でも、高い理想とプライドだけはあっても、どっかで甘く見てると言うか、恐さが分かっていないと言うか。そういうの、あったでしょ、子供の頃って。
それから、トムの役の子みたいに、やたらに血がたぎっちゃって歯止めがきかなくなる、っていうのも、組織で動こうとしてもだんだんバラバラに勝手な方向に広がってしまう、なんて事も。どこかで身に覚えがあって、みんな小さな大人になっていく(笑)んじゃないのかな。
観ながら「おいおい、どこまでいくんだ」とハラハラしたが、結果は最悪、後に引けなくなるタイミングの悪さも分からないじゃないけれど、救ってほしかったなあ、私としては。
だからこそ青臭さを歌い上げた事になるのかもしれないけど。

食べて、祈って、恋をして 

最初に。
私はどうにも、ジュリア・ロバーツという女優が好きになれない。
そこんとこ、言っておかないとフェアじゃない気がする、この映画。

イタリアで「食べ」まくり、インドで「祈って」、バリ島で「恋をする」そのまんま。
残念ながら私、インドは経験が無いのだが、イタリアとバリに関しては、とても空気感が出ていたように思う。
なにしろ絵が綺麗で、特にライティングが素晴らしく、街並みや室内、小物食べ物etc.etc.美しく心地良い。この勢いでなぜ、ヒロインをもう少し美しく撮れないのか???
って言うかもうね、前半のイタリア部分の食べ物たちが美味しそう過ぎて、軽い胃痛を覚えた程。多分胃液が出過ぎたんだな。

真面目な話、ストーリーには当惑してしまった。
あんな長期間働かず各地をウロウロしてても大丈夫な経済力に、振り向けばいつも求めて受け入れてくれる男性(全員ソコソコいい男)がいて、サボッてばかりだけど気に入った仕事もあって。
ヒロインがいったい何が不満なのか、ちーとも分からない。
中学生くらいなら、占い師にもっともらしい事を言われて混乱するのも分からなくはないが、それにしても、ねえ。
あんな理由で人は離婚するだろうか?せっかく捕まえたジェームズ・フランコ(←ココ重要)を捨てて旅立つか?
ついでに、このところお気に入りのハンサム君・フランコも、今回は顔意外に良い所ナシでアホみたいな役回りだった。残念。

イタリアでの食べまくり旅行で心の痛手を癒し先へ進むエネルギーを充電するのは分かるんだが、インドで祈る事で彼女が何を得て、それがバリでの展開にどう繋がっているのか…私には分からなかった。
正直、いつもの通り男が受け止めてくれた、終了。という気がする。
バリの占い師は「短い結婚と長い結婚」と、今度の関係が長続きする事を冒頭で示唆するが、食べて祈っても何も変わっていないように見える彼女は、早晩同じように新しい彼から逃げ出すのでは…つまり、肝心要のところが全然、できてないという事。
私が真剣に座禅を組んだりした経験が無いせいで理解できないのかしらね?
どうもいかにも「西洋人の想像する東洋の神秘」ファッション。西洋人なら頷いて観たのかな?
そうそう、イタリアで物凄い音立ててスパゲティを平らげるシーン、あれって西洋人にはとんでもないと思うんだが、ヒロインが「解放された」表現なんでしょうね。蕎麦は盛大にすすり上げる日本人の私でも、アレはきつかった。口の周りに脂っこいトマトソースがベットリと…うげげ。

しつこいが、ジュリアさんがもう…。
時々昆虫みたいな顔になってた。老婆にも見えた。
内容だけでなく、この顔であんなモテモテの役というだけで、無理です…。
景色が美しかったので、本当に残念。占い師のじいちゃんは可愛かった。

誰かに見られてる

若きトム・ベレンジャーが、とってもハンサム
お相手役のミミさんとやらもナカナカの美人で、なるほどこんな美男美女なら出会い頭に恋に堕ちても致し方無い、という説得力はある。
けど、内容は、薄い(笑)。

これといった謎解きも無く、目を見張るようなアクションも無く、たった一人の異常者と、その犯罪の目撃者と、それを護衛する刑事、というだけの話。
刑事と証人の間に取り立てて胸を打つエピソードも無く、ただ狙われた不安に怯える美女と、「俺が守ってやる」と奮い立つ刑事。でも、美女と美男だから恋に発展するのに無理は無い。
無理は無いけど、正直あまり、盛り上がりも無いなぁ。

問題は刑事が妻子持ちで、しかもとっても良い家庭だという事か。
そういう点では、序盤の妻子とのじゃれ合いなんかはとても良かった。
それに、客観的に見て、刑事には元警官のガサツな妻の方が絶対にお似合いだもん。まあアンニュイでゴージャスな美女にクラリと来る気持ちも良く分かるけれど。
本当に男ってヤツは、良い家庭があって妻を愛していても、外の美人にはフラフラしちゃうモノなのね。そして妻が疑えば隠そうともせず白状しちゃうとか、甘ったれるにも程がある。
そう、結局甘えてるんだわ、妻に。妻にも愛人にも失礼な話

サスペンス部分はただ行ったり来たりの繰り返しだし、主人公はヘタレの浮気男だし、悪役の"ベンザ"も顔は怖いけど普通に凶悪で工夫も無いし、美男美女でなきゃ飽き飽きだよ、と思いながら見ていたんだが。
終盤の妻の大活躍には、ちょっと溜飲を下げてしまった。
やっぱり本妻は強し!だけど、その前に男の家族を救うためにカラダを張って付いて行く目撃者(本来のターゲットは自分なのに!)も凄い。
結局トム刑事は、妻には甘え、愛人は守ると言いつつ庇われて、ちょっと顔が良いだけの甘ったれ野郎なんであった。
彼の最後の選択も、誰も意外に思わなかっただろうし、カラダを張り命を掛けた愛人はまあ、いい面の皮だわね。

彼女は美人で洗練された女、なんだけど、あの髪型は今見るとキツイ。
確かにあの時代、ああいう女は街に溢れていたけれど、いくら何でも膨らみ過ぎで、シリアスなシーンでもふと気になって、笑ってしまうんですけど私。

ダレン・シャン

子供向けと思って敬遠していたが、冒頭から中盤に掛けてのスピード感には引き込まれた。
でも中盤以降、ダレンシャンがヴァンパイア化してからは、ありきたりのラノベ展開、しかもガクンとペースダウンした印象で、退屈。
「吸血鬼だって人は殺さないよ!」とかって、少なくとも日本で萩尾望都読んでたら相当なハイレベルでない限り「またかよ…」で終わりだよね。

脇役は豪華で楽しい。
なんせデフォー!デフォー出てたんだ〜相変わらずって言うかますます胡散臭い〜なにそのヒゲ!凄いコスプレ感!(笑)
と、ワクワクして見てたら出番は最初と最後だけでしたが(笑)嬉しかった、相変わらず素敵。
エキゾチックなテルマ・ハエックは、いつも美人だけど今回は本当〜〜〜〜に美しく色っぽい。出番が少なく活躍もしないのが本当に残念だ。
ラスボス?ミスター・タイニーもいい感じで気持ち悪かったし、小綺麗な事を言いつつ全然心が温かくない先生の造形も良かった。
世界のケン・ワタナベは最初当人と気付かないくらいの熱演ぶりでナナメってた。すっかりハリウッドに馴染んだ感じ。
悪の鉄砲玉レイ・スティーヴンソン、『三銃士』のポルトスか。なかなかキマッてた。騎士顔だよね。

でね、ダレンを導くヴァンパイアのクレプスリー………なんで、この顔!?
別にBLが見たいワケじゃないけど、こういう役回りは美中年にやってもらいたい。あ、ヴァンパイアだから美青年でも無論、可。なのにナゼ猿の惑星………orz
ジョン・C・ライリーはいい味出してる俳優だと思うんだけど、何と言うかこう、も少し目に楽しい要素を考えられなかったのか???
そういう意味ではヒロインに当たる"モンキーガール"も、ヒロインとしては華が無さ過ぎて残念。
キスシーンでシッポがフワフワしちゃうのは可愛かったけど。
主人公ダレン・シャンを演じるクリス・マッソグリアは、最初はサエない優等生、だんだんヴァンパイアらしく表情が引き締まってかっこよく美しくなってく様子がナカナカだったけど、やはり地味な印象。
"運命の親友"スティーブ君も見た目地味だよね…いっそこちらが飛び切りの美青年だったら私好みなんだけど。

てなワケで総括すると、豪華な脇に見合わぬ地味なメイン陣、ありきたりで盛り上がらないストーリー、最後まで魅力も個性も見えにくかった主人公、という残念な結果に。
死んだヴァンパイアをミスター・タイニーが"アレ"にしちゃう所だけは衝撃だった。
あとさ、どう考えても昔からの王道を貫くアチラ側が"ヴァンパイア"を名乗るはずで、新興勢力のコチラは別の名を名乗るべきだよね…。
フリークショーの怒濤の紹介シーンは面白かったのになぁ。

タワーリング・インフェルノ(1974年)

初見はロードショーとは言えないまでも、子供と言っていい頃に見た。
まだ映画自体、あまり馴染みが無かった頃で、映画って凄いモノなんだ、と驚いた。
40年後にTV放送で何度目かに観る事ができて、映画って凄いモノだったんだ、とつくづく思った。

まずは、CGどころか特撮技術もロクに無い時代に、この豪華映像には度肝を抜かれる。
そして、超豪華キャストにハリウッドの本気を見ると同時に、各々キャストを生かし切った出来映えに溜め息が漏れる。
なにより脚本が素晴らしい!もうもう、完璧である。

主人公(だよね?)がビルの建築士で、しかも完成前に旅行してた、転職を考えてた、っていう設定がいい。裏事情にも詳しくて活躍の場も広がり、手抜き工事に気付けなかった言い訳も成り立つ。スタート地点から“バベルの塔”に懐疑的だった事も後々の言動に生かされる。
勇敢な消防士はもちろん必須。戻る手立ての無い任務を言い渡されても、悲壮感より諦観が前に出る辺りも心地良い。
出演人数が多いので、それぞれの出番は短いながら、その他の人物もちゃんと魅力的な存在感があり、思い入れしたくなる。
初見時、個人的にはTVシリーズでファンだったロバート・ワグナーが気になったが、早々に退場したとはいえ、なかなかの見せ場であり満足だった。
展望エレベーターの宙吊り以降は、フレッド・アステアの事ばかり考えていた。
それがラストの、ね、猫ちゃん……!!!(号泣)
ツボ突かれ過ぎて息が苦しくなった。

ニューマンもマックィーンも男臭くかっこよく、共に闘った後は互いを称える事すらなく右と左に別れて行く。
火事で亡くなった人数が告げられ、その何人かの顔や人となりを私達は知っているのだから、手放しでハイタッチでもされた日にはやり切れない。
その辺りが今のハリウッドでは壊れてると思う。
社長が生き残ったのはちょっと意外、と思ったが、娘をハグしながらこの先の謝罪と保障の日々を覚悟しているであろう眼差しは、感動的だった。
そうね、貴方は生き残らなくては。

長い(165分)映画でもあるし、多分時代もあるのだろう、進行は意外にゆっくりで、そこがまた怖さに拍車を掛けている。すぐドンパチやればいいってモンじゃないよね。
いいから女服着ろよ、とか、この状況でヘッドホン外すでしょ、とか、細かい突っ込み所はあるものの、そんなモノは余裕で見過ごせる、完成度の高さと怖さと感動、圧倒的な迫力。
『ポセイドン・アドベンチャー』と並んで、間違い無くパニック映画の大傑作。

タワーリングインフェルノ(byココアちゃん)

当時も最大の売りだったけどやっぱり今観てもすごいよね、マックィーンとニューマンの共演は。ついでにフェイ・ダナウェイも、一応。
なんといっても猫!・・・じゃなくてジェニファー・ジョーンズとフレッド・アステア!
誰に聞いても「タワーリング〜」といえばこの二人のエピソードが出るからこれってスゴイ事なんだよね。
ちなみにラストにあの猫ちゃんをジイサンに渡すのはO・J・シンプソン。アントキはまだ人殺しじゃなかった・・・。
私が好きなのはそのジェニファー・ジョーンズが死んじゃう宙吊りのエレベーターで中にいる女性と子供を守る消防士さん。名前もない役なんだけど端正で職務に忠実な彼を見て、
「おお、外人てのはなんてハンサムなんだ!」と萌えたね。まだ中1でしたから。
それから、悪役をすべて引き受けてくれたリチャード・チェンバレン!
いいですねえ、この俗っぽさ、みっともなさ!その後「SHOGUN」でヒーローを熱演してくれましたが。
あの爬虫類顔・・・見事です。
当時はお金のために手抜き工事をするなんてヒドイ!いくらなんでも物語に深みがなさすぎだろう、
ハリウッドは深みなんかよりわかりやすさを重視するんだな、と思ってたのだけれど、
昨今は「アメリカならやりかねないや」かもね。

私は中1の時初めて観たロードショーがこれなの。(渋谷の、今は無き東急文化会館ね)
これですっかり映画にはまったのでした。感謝♪

ダンサー・イン・ザ・ダーク

好きかと問われればそうでもないし、できるならもう二度と見たくないけれど、忘れられない映画というのがたまにある。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は、まさしくそういう映画だ。

恥ずかしながら、この映画を見るまで私はビョークという人を知らなかった。有名な歌手だそうだけど、女優っぷりが堂に入って見えた。もちろん歌は素晴らしく、何と言うか、別の世界から聞こえて来るような歌声に魅了された。
それは作中での歌の使われ方のせいもあるかもしれない(おかげでか、ミュージカル映画にありがちなむず痒い思いはしないで済んだ)。
ひたすらに辛く、厳しい不幸のデパートみたいな人生。逃げ込めるのは、歌と踊りの妄想の世界…。
私は物心付いた頃には、「こちらの世界とあちらの世界」を行き来していて(時折混乱しながらも)、それが当たり前と思っていた。「あちら」に殆ど興味を示さない人がけっこういる、と気付いたのは、多分大人になってから。今でこそ『リア充』なんて言葉もあるが、「こちら」だけで楽しく生きられる人が不思議だった。そんなに不幸だったワケでもないと思うんだけど。
だから、セルマの逃避行動はスンナリ受け入れられるし、違和感は全く無かった。

子供に関しては、正直想像が付かないので、突き詰める事はできないんだが。
ただ、セルマの決断は、理不尽ではあってもアリだとは思う。いや、あってほしくは無いけど。
最高の結論では無かったにせよ、彼女の望みうる範囲ではベストだったのだろう、としか、言いようがない。それはビョークの恍惚の表情が、何より物語っている、はず。
あの状況で、あの決断で、多分セルマは幸福だったのだ。もちろん恐怖はあるし、もっと良い展開を望まないはずは無いけれど、それでも。
セルマの状況が、あまりに悲惨で理不尽で、途中観るのが苦しくなったり、あまりに不器用な生き方に憤りを覚えたりもしたし、画面が不安定でイライラもした。
けれど、私が彼女なら、という"if"は、私があの過酷な状況を実感として想像もできない中では、無意味だ。宗教観の問題も大きく関わって来ると思う。
そして何より、母性愛。分かりません。

ただ、冒頭で述べたタイプの映画でも2種類あって、私の中では例えば『ミリオンダラーベイビー』や『グリーンマイル』なんかは本当にもう二度と見たくない類の映画だが、この『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はいずれ、自分がもう少し成長したら、また見てみたいかも、と思うモノではある。
前者のような攻撃性を感じない、不思議な優しさや暖かさを、悲惨な中にも感じたように思う。
尤も、以前観た頃よりも歳ばかり取って、更に貧しくなり、子供を産む可能性も断たれた今となっては、以前よりもずっと辛い映画になっているような気もして、やはり当分見直す勇気は持てそうにないんだけれど。

ダンサー・イン・ザ・ダーク(by ココアちゃん)

評判がすごくいいので観たいとは思っていたものの「すごく暗い」ちゅうんで敬遠してたら、たまたまCSで字幕版も吹き替え版も何度もやってたので観たのでした。
私もビョーク知りませんでした。不思議な顔ですね、東洋人っぽい。中身はよかったと思います。
もちろん暗いし、ラストの処刑の場面なんか作り物とわかっていても観るのキツイ・・。
でも看守役の女の人とかラストの友人の「袋をかぶせないあげて!彼女は眼が見えないのよ!」のセリフとか印象的でした。・・・しかしその友人役がなぜカトリーヌ・ドヌーブなのか?女工役がまったく似合ってないなあ、と思いました。違和感。
カメラワークがよかったですね。線路のミュージカルシーンとか。

ダンテズ・ピーク

20世紀の作品としては、CGが凄い頑張ってる。
ストーリーは薄味で、あって無いようなモンだったので、取り敢えず噴火場面の凄さが心に残った。

ピアース・ブロスナンは甘〜いハンサムで、女性に話し掛けるといちいち誘ってるようにしか見えない(笑)。
余計な事を考えてしまうので、骨太な火山研究者の役は不向きかも…とも思うが、まあ画面に華を添えたのは確か。
リンダ・ハミルトンは、サラ・コナーより女っぽい役で、なかなか魅力的。
ハリウッド女優のレベルからいったら凄い美人ではないんだろうけど、笑顔がパァッと輝く感じがとてもいい。
でも、小さな田舎町とはいえ、町長さんに選ばれる程の人望は何処から??とは思ったな。

自然災害の前では、一般人なんて皆こんなもの、なす術も無くどころか悪い方向へ突っ走るばかり、というのは分かる。
分かるけど、主人公ダルトン博士が職務投げ打って(だよね?誰も指摘してないけど)救いに走るにしては、婆さんも子供もバカ過ぎてイライラした。
まあ「避難なんかしない、ほっといて」という人は実際にいるし、一人暮らしの婆さんは山と心中すれば本望なのかもしれんが。
勝手に車運転して助けに行くなよ〜ガキども!
しかも、わざわざ二人して。妹なんの役にも立たないのに。

火山研究チームが、なんかソレっぽくオタクで楽しかった。
正直、最後に活躍して他の4人を救った婆さん(考えたら自業自得)よりも、避難を躊躇した主犯とも言えるポールが死んだ場面の方が悲しかったわ。
あの、流される時に振り返る顔がね…チームの皆は目に焼き付いて、後々夢に見るヤツだ。

火山だらけの地震大国・日本に住む身としては、全く他人事ではない災害。
危ない兆候があるなら、絶対に隠さず避難を勧めてほしい。
でも、避難して後何事も起こらなかったら、きっとブーブー言ってしまいそう(笑)。
田舎町で、新しい企業が進出しようとしていた(サッサと見捨てたけど)、というのも大きいだろうけど、皆の大好きな「素敵な町」は余所者の企業に台無しにされる公算大だな、と思って見てた。
まあ、それどころじゃ無くなっちゃったワケですが。
カリブで釣りはいいけど、あの町の復興は、いったい何年掛かるのか。
あの母子は別にいいのかな、新しいパパに着いて行けば。

…で、犬ってどうなったんだっけ?

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点 

しまった、いきなり『2』から見てしまったわ。
でも大丈夫、多分、どっから見てもいいように作ってありそうな内容だった。

大泉洋主演と知っていたので、軽いコメディかと思いきや。
コメディ色は強いものの、意外とハードボイルドだったり、いきなり銃撃戦やカーチェイスだったり。殺人事件の被害者は探偵の友人だし。
でもハードな内容も、主演大泉のトボケた味わいや、夏季の北海道という大らかな背景と組み合わされて、柔らかく見易かった。
って言うかね、ダメなのよ私、健気に生きてる気立ての良いオカマが殺されちゃうとかさ、昔の男にもらったバラの花束抱えてとかさ……素材だけで泣ける…ダメだ……。

・・・・・・・・・・・

オカマの"マサコちゃん"役のゴリさんはとても良かった。
私がこの手のキャラクターに思い入れが強いせいばかりでなく、何と言うか、オカマっぷりがとても自然で。お笑いに関しては詳しくないが、役者としてのこの人は好き。
尾野真千子はあまり好きな女優ではないが、あのガサツさはもはや持ち味。今回はそれが良く機能していたと思う。
実は「まさか彼女もオカマ仲間…?」と、いらぬ気を回していたんだが(笑)そうでなくて良かったです。そしてあの設定は、切なかった。
相棒の松田龍平も、無口なとこが良い。そしてめっちゃ強い、その表現が面白くて何度も笑った。これは好きなタイプだわ(役者ではなく役がね)。
地元暴力団のメンバーも、いやに豪華と思ったら。前作から引き続きなのね。松重さん、片桐さん、好き。馴れ合い感も楽しかった。

2013年制作で、原発問題の取り扱いがどうかと思わないでもないし、真犯人の扱いもなんだかなぁ…ではあるが、一応話は二転三転しているし(私はけっこう驚いた)それなりに説得力もあり、面白かった。退屈しないし(邦画でこれは珍しい)大泉の探偵は憎めないし、脇役もそれぞれに人間臭いところが見えて楽しかった。
探偵が全然BARにいないのと、どうしても三枚目なのが残念。もう少しかっこいい所が見られると最高なんだけど。
(交差点で「探偵の仕事は依頼人を守る事」ってシーンは本来かっこいいはずなんだけど、ごめん…私的に大泉はかっこよくはなり得ないみたい)
TVで充分だけど、前作も見てみたいし続編も見たいな、とは思った。

弾突 DANTOTSU

2008年。
えっ、セガールってこんなんなっちゃったの!?
中年太りというか、浮腫んじゃってるのか。
申し訳ないが映画の主役張る容姿ではなくなってるような。
以前から特に美しい人ではなかったが、それなりの緊張感や存在感は十分あった。どうしたんだセガール…。

ストーリーは意外にちゃんとしていた模様。
いつものお決まりの"セガール無双"ではなく、ギャンブル狂で負傷もすれば裏切られたり妻に逃げられたり。
…けどやっぱりゴメン、あの浮腫んだ顔では(元々あまり豊かでない)表情も掴みにくくて残念。

娘役の女の子がとても可愛くて綺麗な子だった。
スナイパーのお姉ちゃんもかっこよかった。
それと不思議に背景というか絵が綺麗。街とか、教会とか。
でも冒険活劇はヒーローがかっこよくないと。残念。

 

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