く・け・こで始まるタイトルの映画

クイック&デッド

公開からそう遅れず観た時の印象は、なんか痛々しいばかり、というものだったんだが、20年経って見直してみたら、なかなか面白く興味深かった。
シャロン・ストーンが女ガンマンに扮して大活躍の、西部劇。
男装のシャロン様のヒップから脚にかけてのラインが美しいです。

まず「監督 サム・ライミ」に笑ってしまった。
そして"牧師"ことコートがラッセル・クロウだったのに驚愕!さらに若きラッセルの美しさに騒然!!!
若いと言うより幼いディカプリオといい、クロウといい、顎がシュッとしてて本当にハンサム君だ。若いって素晴らしい!レオは何故あんなに四角くなってしまったのか…???
そう言われてみれば、「いやに色っぽい牧師だなぁ」と思って観ていた記憶がウッスラと…(赤面)。
シャロン・ストーンは言うまでもなく美しいし頑張っている(頑張り過ぎが見えちゃうのが残念…)。銃の扱いやキックにパンチも板に付いてる。けど眉毛、黒過ぎ(笑)。
ジーン・ハックマンの悪役もキャラ造形が印象的ではあるが、彼にしては生彩が無かったかも、とは思う。と言うか、あの役やるには老けすぎだよね。

女性のガンマンという突飛な設定を除けば、物語は王道の勧善懲悪復讐劇。
昔観た時の微妙な不快感は、女性のシャロンが男ばりに頑張る様の辛さもあるが、悪役のやる事があまりにあくどくてゲンナリした部分も大きいと思う。
リアルな残酷描写があるワケではないけど、人の心を弄ぶ系、と言うかね。
両手打ち抜いてからトドメを刺すとか、「20秒で消えろ」と言って逃げる背中を撃つとか。胸が悪くなったわ。
エレンの過去エピソードは特に酷くて、そりゃ射撃の練習するわな、という…いや、あそこ、パパは「撃つな」と言うべきだったよな。どうせ助かりゃしないんだから。
あんなトラウマを抱えてるにしては、エレンがマトモに見え過ぎるのが、ちょっと物足りない、かな?

ハックマン演じるへロッドは、悪党と言うより性格破綻者で、街を牛耳る権力者。
名優に申し訳無いが、私の好みだとこういう役こそ見た目の端正な紳士然とした役者にやってほしかった。まあキレイどころはシャロン様にレオにクロウで充分ではあるのだが(笑)。
でも、昔観た時には「悪いばかりで薄い」と感じたへロッドが、見返してみたら要所要所で色々面白かった。
実の息子を手に掛けてしまったシーンで「俺の子じゃない、かも」と口走る彼は、哀しくすらある。
…いや、好きで破堤したワケじゃないから、哀しい人ではあるんだよね。だから許せるモノでもないけど。
そして"血筋"と言うならキッドも同様で、見た目の可愛さに惑わされてはならず、彼もまた哀しいけど破堤した人ではあった。うん、アンタの息子だよ、多分。
ラッセル・クロウはその後の彼を知ると信じ難いようなカッコ悪い登場をするが、最後はいきなり吹っ切れて、なんなのアンタかっこいい!全て持って行ったよね。
盲目の"何でも屋"少年も、良いアクセントだった。

エンタメ映画としては陰惨過ぎるし、サム・ライミらしい派手な演出は安っぽく見えてしまって残念だし、なにしろクライマックスの爆破シーンの意味が良く分からないし、エレンが普通に勝っちゃうしで、残念な事はやはり多いんだけど、面白くなる目は意外に多かったんだな、と思う。
同じ女性が活躍する西部劇でも、『バッド・ガールズ』の方はこの手の居心地の悪さを感じないのは何故なのか???団体戦だから?

シャロン・ストーンはハリウッドで充分成功した大女優ではあるけれど、なんだか少しイメージが安っぽい。
この人の類い希なる美貌の割にはもう少し、どうにかならなかったものかと、老けてしまった今を知る身としては思わずにいられない。

グース

確か以前、グースだか鴨だかをインプリンティングを利用して一緒に飛んだ研究者のおじさんのルポを見た気がする。
それが元ネタなんじゃないかと思うんだけど、正直20分程度のルポの方が何倍も感動的で、実際に泣いてしまったのを覚えている。
この映画は…うん。
子供向けの教育映画みたい。

と、思ったら監督、『ドゥーマ』と同じ人。
なるほどこういう芸風なのね…。
もしかして私が幼い子供だったら、けっこう夢中で観たかもしれない。
でも大人としては、登場する大人たちの身勝手さ、無責任さに辟易して、それが気になって観てられない、という点で二作品は共通だわ。
カナダは広くて個人の飛行機も普通に飛んでるかも知れないけど、無許可で国境超えるとかは流石にダメだと思うんだけど。
しかも(そうしなくちゃ話にならないのは承知だが)そういった危険な犯罪行為に平気で子供を巻き込むというね。
今回は環境保護を錦の御旗に掲げてるから、尚更タチが悪いと感じた。

グース達は文句無しに可愛いからいいんだけどね。
水鳥の雛って、なんでああも可愛いんだろう…???
あ、大人になってもそれなりに可愛いとは思うんだけど。良くあそこまで仕込んだよね色々と。
そこは素直にヒロインの少女が羨ましく思えた。可愛い。
でも少女はあまり可愛くない。グースを呼ぶキーキー声が耳障り。いきなり暴力に訴えるし顔もイマイチ可愛気が無いし。
脚の形が少女らしくて可愛かったな、特にグース目線でアオリ角度が多かったから印象的だった。
パパも適当君だしちょっとキモいし、あの女性なんなん?だし。
空軍基地の将校さんは素敵だった。あとお説教くらってる間に窓の下でグース達と兵隊が仲良く遊んでるのもホッコリ。

色々文句はあるが、小さい飛行機で鳥達と一緒に飛ぶのはきっと気分が良いだろうな、とか、TVであんな小さな女の子が冒険してると報道されたら応援しちゃうな、とか、そういう点では楽しかった。
自然溢れる生活も、保護を目指す森も素敵なんだけど、全体に色味がセピアがかっていると言うか茶色っぽくて、ちょっと好みと違ったのは残念だったな。

クーデター

ピアース・ブロスナン主演かと思って観たら主役はオーウェン・ウィルソンで、それはそれでいいか、という(笑)。
しかし映画は、引き込まれはしたが面白かったかと言うとそうでもない。

幼い娘二人と妻を伴い訪れた初めての異国で「白人皆殺し!」のクーデター勃発!
という、非常〜にヤバい設定にいきなり置かれる主人公一家。
目の前でバスバス白人仲間が殺されて行く。その問答無用ぶりはけっこうリアルで怖かった。
屋上に立て籠もり、救助のヘリが来た!と思いきやヘリから機関銃で銃撃され、必死の思いで辿り着いた米大使館はすでに占拠されて、唯一頼りのブロスナンまで家族を庇って自爆…。(えっ!?
国境の向こうはベトナムだから、カンボジア辺りを想定しているんでしょう。
私が白人だったら、もっと怖かったかもしれなくて、それはちょっと残念な気はしたが、けっこう生々しい虐殺シーンも九死に一生のアクションも、同じテンションで次々来るので疲れてしまった。

ブロスナンは出番は少なかったが、かなかないいところを持ってく役回りで、なにしろ世界的有名工作員で顔が知れている(笑)ので、こういう役はスンナリとハマって安定感半端無い。
「彼ら(クーデター側)はアメリカのした事から家族を守っているんだ、我々と同じだ」
という彼の言葉が全てだと思う。
まあでも、殺されそうになったら逃げるか戦うしかないワケでね。

ひねくれ者と言われるだろうが、こういう場に子供が出て来ると、「どうせ子供は殺さないんだろうな…」と予想が立ってしまい、視聴意欲もホドホドになる。
しかも、いちいち足引っ張って面倒臭いしうるさいし…一人くらい撃たれて重傷にでもなるとか、娘のワガママで母が死ぬとかでもあれば、ちょっとは見直すんだけど、アメリカ映画ではまずそういうのは無いし。
ブロスナンじゃなくて父親がアレやって死ぬとかさ。
自分でもスレた客だとは思うけど、子供、それも女の子が追われるメンバーに入ってる時点で、もう緊張感が削がれてしまうのよ。
別に幼い子供が惨たらしく死ぬ場面が見たいワケではなく、先が見え見えの要素は最低限にして欲しいということ。

あと捕まった娘に「父親を撃て、へへへ」みたいなの、ああいうのも本当イヤ。
まあ子供を殺せないという制約がある以上、ハラハラさせる手口としてこういうのが出てしまうんでしょうけど。
で父親が「さあパパを撃て!」って、パパ撃ったら娘を解放するとでも?アホかいな
しかし前半ビビりまくってた母親が終盤開き直って大活躍するのは、むしろリアルだと思った(笑)。

アクションは頑張ってたし怖かったから退屈はしなかったけど、楽しむ要素が皆無な上にさして考えさせられるモノも無く、長く感じてしまったのは残念だった。
悪くはないけど、次の機会があっても観なくていいかな。

グスコーブドリの伝記

昔『銀河鉄道の夜』ってのがあって、ナゼか猫のキャラクターだったんだけど、今回も同じ手で来てるとは。ヒデヨシは好きだったけどさ。
正直、宮沢賢治自体にそんなに思い入れが無いので、まだ最後まで観る事ができた、という感じじゃないかな。

写真を加工したみたいな背景は、所々ちょっと新鮮だった。飛行船とか。そういう点は買うのだが。
けどキャラクターと合ってなくて、浮いてしまってる。
原作(と言うか内容)とはだいぶテイストが違うようで、やたらメルヘンタッチな表現の割に、キャラ絵の演出がどこまでも平板で、背景は妙にリアルで、どう受け止めて良いのやら。
ストーリーも、貧しい上に凶作続きで一家離散と酷い境遇にもかかわらず、清い心の主人公、というのはいいけど、まず猫だから貧しさが伝わらないし、なぜあそこまで清いのか私には分からない。
やたらいい子の主人公が生き別れた妹を恋しがりつつ気象の心配をしてると思ったら、妹を連れ去ったマント男が登場して、後は抽象的な自然描写に小田和正が朗々と歌い出す……。
なんでこう、痒い所に手が届かないのか。
それと、いかにもな宮沢賢治っぽい台詞回しもわざとらしく感じた。私が元々好まないせいかもしれないが、絵が全然リリカルじゃないから合わないのよ。

個人的には、林家正蔵(誰かと思えば元・こぶ平か)の声が死ぬ程ウザかった。

追記:図書館で絵本を見掛けたので読んでみた。絵本と言っても多分、文章は原作のまま。全く印象が違う上に内容も違う…結末に至る説得力を演出したかったのか。宮沢による“ブドリ”は淡々として生きる事にただ一所懸命な青年だった。過剰な清さなど必要無いと思うんだが。

クッキー・フォーチュン 

孤独な老女のピストル自殺、という、この上も無く暗いシチュエーションで始まるドタバタ喜劇。
名(迷?)女優2人、グレン・クローズのキレッぷりとジュリアン・ムーアのボケッぷりが最高だ。

ストーリーに関しては、正直、クッキー婆さんが自殺するまでが長いし、ラスト前のバタバタの種明かし?出生の秘密、みたいなのは何の意味があるのか分からないし、結局婆さんの自殺もあまり理由が無くなってしまうし、いくら田舎のヘボ警察でも、あのままって事はないだろ…と、色々あるんだけれど。
笑えるし、面白かったから、まあいいか。
アメリカの閉鎖的な田舎町の雰囲気とか(行った事無いけど)伝わって来る気がするし、そういう小さい集団には、かならずいるいる、こんな人、という人物が揃っているし。細かい会話のやり取りも、どこかトボケてて面白い。
警察で拘留中の容疑者と警官がなれ合ってる所とか、教会の出し物を取り仕切って我が物顔のおばさんとか。ナマズのシチューって食べてみたいっすね。

グレン・クローズはスゴイなぁ。たまには※他の役も見てみたいけど(笑)、本当にミエっぱりで自己中で、ヤな女。しかも浅知恵。
映画のラストはブラックで、いくらなんでも笑えなかったけど。
逆に「出生の秘密」云々も無駄になってしまうし、どっちかで良かった気がするな。後味悪過ぎは、どうもね。
しかしクローズさんの演技は完璧、他の女優は考えられないくらいのハマリっぷり。
方やジュリアン・ムーア、こちらはちょっと意外な役どころ。
頑張るキャリアウーマンとか、知的なイメージが強くって(『ハンニバル』とか)、ちょっとカタイ印象があまりイケてない女優、と思っていたんだけど。
今回は頭弱くてママの言いなり。ボーッとした表情が、ミョーに可愛く見えたり。
少女っぽい服装も野暮ったいが意外に似合ってたし、劇中のサロメの扮装は本当に綺麗で驚いた。そのままウロウロしてるし…(笑)。
もう一人の女優、リブ・タイラーも、(二人のアクの強さには遠く及ばないが)なかなか好演。シュートカットにジーパン姿がキュートで、意外とガタイがいいのもご愛敬。
美人ってやっぱ、ショートカットがキマるわね。

正義感や道徳心を気にせずに(不謹慎だからな…)コメディと割り切って観る分には、楽しい映画でした。

※『ステップフォード・ワイフ』『101』『危険な情事』『ガープの世界

グッバイガール

だーい好きなラブコメディの傑作だ。
男に「グッバイ」されてばかりのダメダメな子持ち女と、パッとしないアングラ役者だけど味のある中年男。そしてしっかり者だけど本当は寂しい幼い娘。
ありがちなパターンと言うなかれ。
誰が何回繰り返そうとも、手堅い物は素晴らしい。

この母娘と、ひょんな事から同居する事になった中年男(ああ、書けば書く程パターンだ)が、何度も口にする言葉がある。
それは「鼻が上向き」。彼の好みなんだそうだ。
日本だと、整形手術でも鼻は高くとか、細くするもの。しかしアメリカでは、男女共に「鼻の先を上向きにする」のが一番人気だとか。映画を観た後から仕入れた知識ですが。
この新鮮な言葉が、最期に二人が結ばれる時、最高の愛の言葉になるのよ。美しい瞳とかじゃないの、鼻が上向き。

原作はニール・サイモンだったのね、そしてヒロイン役、すごいいい女優さんなのに知らない…と、思ったら、ニール・サイモンの当時の妻で舞台女優だって。ナルホド。
サイモンが彼女、マーシャ・メイスンのために造ったお話らしい。ナルホド。
こんなエピソードを知らなくても、込められた「愛」がビンビンに画面から放出されている、本当にいい映画。

追記: 久々に観て、やっぱり面白い!と、改めて感心してしまった。
美男でも美女でもない、ショービジネス界の隅っこの二人の単純な恋物語。
プロットは本当にシンプルだし、これといった大事件も無い(強いて挙げるなら冒頭ヒロインが男に逃げられる所か)のに、スーッと引き込まれて飽きる事が無い。
軽妙洒脱とはこの事か、という台詞の応酬と、サエないけど魅力的な二人、そして娘の存在。
昔観た時は気付かなかったが、この娘との関係が、なんとも丁寧で秀逸。
そして今見ると、当時の胡散臭いある種の人(お香に瞑想とか)像や、ガウン代わりにキモノを着てたり、そういった生活面の描写も面白い。
えげつない事を盛り込まなくても、面白いものはちゃんと作れる、という見本みたいな逸品だ。


くもりときどきミートボール

食べ物で遊んじゃいけません!」と、躾けられて来たからなぁ。
なんかハラハラしちゃうんですよ(笑)。
そして最後まで観ても、やっぱりこの"食べ物"に対する扱いは、少なくとも日本人には受け入れがたいのでは、と。
納豆味噌汁が降って来たらイヤじゃん。

考えてみれば、子供の頃は童話のお菓子の家に憧れたし、飼ってたセキセイインコがトーストに齧り付くのを見て「畳くらいの大きさかな…」なんて羨ましく思ったりもしたのだから、子供向けと割り切って楽しめばいいと思うんだけど。
でもアイスクリームにまみれたりとか、ああ洗濯大変そう…なんて思ってしまうのよ、どうにも。
ゼリーの宮殿はちょっと楽しそうだったけど、現実にあの固さだと食べても美味しくないな、とか…あとゼリーは室温で溶けるからシュシュなんて恐ろしいわ(笑)。
そしてやっぱり、例え食べ残しは無駄にならないという設定があったにせよ、あのように食べ物が扱われる絵を見るのは楽しめないの、私は。

そういう殆ど生理的になってしまってる不快感を除けば、ストーリーはなかなか良く出来ていて、皆に活躍の場があり盛り上がりもあって面白かったと思う。
猿も程良く可愛かったし、あの"人気物"はなんで人気だったんだ…との疑問は最後まで解けなかったけど、なかなかイイ奴だったし。ヒロインもありきたりではあるけど生き生きしていた。
主人公は…まあいいか。あまり好みではなかったけど一応頑張ってた。
口下手なパパが"翻訳機"で愛を吐露するシーンは、ベタだけどホロリと来てしまったし。
そうそう、サムが初めてメガネを掛けてフリントの顔がクッキリ見えた時の反応が可愛かったな。
スパゲッティの竜巻とかシュールで、なかなか思い付かないし、PC苦手なパパの「デスクトップからドラッグして」ガシャーン!ってのも面白かった。

と、良い所は色々あるものの、食べ物の扱いと、あまりにオールアメリカンで何かと言えば「オーイエ〜!」みたいな乗りと、金魚の目玉みたいなキャラクターの目が好きになれず、ちょっと残念な印象になってしまった。

クラーケンフィールド/HAKAISHIN

またこんなモノを観てしまった…(笑)。
まあ、ソコソコ楽しいんですけれど。

ちょっとイカが小さかったような。
西洋ではイカ、タコの類は悪魔の化身みたいな扱いで、本気で怖いモノらしいので、その辺りの感覚の違いも考えに入れないといけないし、まあ現実にあんな凶暴なのがいたら間違い無く怖いんだけれども。
海の中で出会うイカは、そりゃあ美しくて気高い神秘の生き物なんだけどな…。

女科学者と謎の男、男にはトラウマが。ある種この手の動物パニック物の定番かも。
そして女科学者は美しい腹筋を通常露出。船上のみならずドレスアップでデートの時さえも(笑)。
でも感心に?ダイビングの時はちゃんとウェットスーツを着用していた。
女性はとにかく裸で潜らせる事が多くて、ハリウッドは厳しいなぁと思っていたんだが、実はウェットスーツにスクーバ装備だと、誰が誰やら分かりにくい事に気付いた。
どうせなら女科学者は真っ赤なウェットとかにしちゃえばいいのに。謎の男はブルー、悪役は黒ね。悪役の女性は紫だな。
ヒロインの科学者もヒーローの海洋カメラマンも、映画のレベル通りの微妙な容姿
同じく普段着のトップは常にビキニブラの女学生、なんだか面白い顔の娘だったな。男の子はハンサム君だったが。

ストーリーは、巨大イカによる被害よりも"仮面"と"宝石"を巡って悪党一族との攻防に焦点が当てられる。
悪党達の存在感もいいのだが、イカの暴れ方はイマイチ、一本調子で残念だった。
そして、悪党のボスが言った通り、女科学者は強欲過ぎたのでは?
若い学生、男の方はともかく(一応裏切ったし)女の子まで死なせるのは後味悪かった。
多分ラストシーンを小舟で二人でイチャイチャ…にしたかったんだと思うけど、あまり祝福する気分になれなかったな。

クライマーズ・ハイ

日航機御巣鷹山墜落事故。
最近になって、この大惨事に様々な陰謀論やらがある事を知った。
そこまで期待した訳ではないが、何と言うかこう…痒いところに手が届かない、何とも歯痒い出来の映画。

豪華キャストだし、役者の皆様はそれぞれ頑張っていると思うのだが。
一番印象的だったのは、販売局長の皆川猿時。
シリアスな彼を初めて見たが、ガラの悪さを含め凄い存在感で、錚々たるメンバーの中でも圧倒的だった。本当にガラが悪い(笑)。
新聞社で紅一点の尾野真千子も良かった。
女性が入る事により空気が緩む事無く、例えば「顔が雑な方が良かったですか?」といったセリフも嫌味無くクスリとできる、程良い"女らしくなさ"が心地よい。
公開から10年経って観たので、堤真一も堺雅人も若くて可愛い!等と感動したが、そう言えばオノマチさんは変わらないわね。

新聞の世界にも登山にも詳しくないので、早口で怒鳴り合う新聞社での会話も、山に関するアレコレも、ほぼ理解できなかった。
あれだけの大事故の最中、新聞社のヒートアップぶりは何と無く伝わっては来たが、会話が聞き取れずストレスになるレベルで残念。
それに、どうも「飛行機事故」と「登山」と「息子」が有効に噛み合ってなくて、事故当時の回想が盛り上がるかと思えば登山シーンに切り替わり、最後などいきなりのニュージーランドではぁ!?だったし。
どうしても家庭に還元しないと納得しない層がいるのだろうか。

事故現場に飛んだ記者たちの奮闘ぶりや、会社での記者と販売との攻防なんかは部分的には面白く見たが、先に言ったように台詞が聞き取り辛く勢いだけで見てしまった感は否めない。
それでも、山の上が現場と知りながらネクタイ姿で取材に向かいドロドロになる堺・滝藤コンビや、知らせを運んだ先で力尽きて寝てしまう尾野真千子、会議で飄々と上司をねじ伏せるでんでん、面倒な次長の目を競輪の話題で逸らさせてエンケンと内緒話とか、現場の崖みたいな場所にひしめき合う記者陣、携帯電話も無かった時代に民家の電話を奪い合う記者たちの様子等、面白いシーンはいっぱいあったのだが。

私としては主人公のトラウマやら父子関係なんかいいから、事故とその周辺に絞ってもっと突っ込んで欲しかった。(無理な事情があるのかも知れないが)
登山シーンはそれなりに美しく撮られていたし、なにせタイトルにもなってるくらいなので重要だったはずなのだが、観ているこちらは結局最後までハイになる事無くモヤモヤと終わってしまった。

力作なのは分かるだけに残念で、いっそ原作を読んでみようかと思っている。

クラウド アトラス 

ベン・ウィショー&ジェームズ・ダーシーの、BL!
って最初に書く事でもないか(笑)。

歴史モノから未来まで。
6つの時代が交錯しながら輪廻転成を思わせる繋がりを見せつつ展開する、壮大なファンタジー。で、よろしいか?
仰々しい構成と各々スター達が時代と地球を股に掛けて色んな役に扮してて、そこは面白く興味深く見た。
時々メイクがスゴ過ぎて誰だか分からなくなったり、こりゃ強引過ぎるキャスティングだわ、とか、まあ色々ありはしましたが、このシャレッ気とチャレンジ精神は評価したい。
長くてもメイクやキャストへの興味で退屈もせず、それなりに飽きる事も無く観終える事ができたが、この長丁場、この制作側の労力に対して、残るものは少ないかな。

トム・ハンクスはやはりサスガと言うか、凄いの一言
何を演ってもそれらしくハマッて見えて、ついさっき演ってた別人の印象を全く引きずらない。
演技力は当然として、容姿の癖の無さもあるのだろうが、彼のための企画と言っても言い過ぎではないと思った。
全く逆の意味で感心したのがヒュー・グラントで、もうね、何を演ってもヒュー!
牧師でも警備員でも白塗り土人でも、「あ、ヒューだ」ってなってしまうのは、私がファンだからというだけではないはず。
普通に美形だと思うんだけど、意外に癖のある顔なんだよね…ちょっと要潤に似てる?

白人→東洋人、モンゴロイド→西洋人、というのはやはり、こんなにも無理があるのだな、と痛感した。
ハンサムなジム・スタージェスの朝鮮人は物凄い気持ち悪かったし、そこそこアイドル系のペ・ドゥナの西洋夫人は酷い醜女になってしまって、「何故この嫁!?」だった。
でも同じクローンの役をやった周迅という娘は、ハンクスの妹役に全く違和感が無かったな…バリバリ東洋系の顔なのに、不思議。
崩壊後の地球で野人のような出で立ちだから良かったのか、はたまた演技力なのか。
スーザン・サランドンの男装と、ヒューゴ・ウィーヴィングの女装(しかも看護師!)はとてもシックリ、見応えがあった。

差別いくない、奴隷反対!みたいな話、で、よろしいか?
誰が誰役かチェックするのに忙しくて、小刻みに入れ替わる6つのストーリーを追い切れなかったせいもあるかもしれない。
いわゆるオムニバスは好きなんだけど。
疲れた割に感動も無く、大掛かりな道具立でお金も掛かっているのでしょうが、何かTVドラマのような軽さと言うか安っぽさを感じてしまった。
冒頭の海洋シーンは印象的で引き込まれたんだけどなぁ。

とは言えこういう企画は好き、作り手としては、作ってる方は楽しそうだな、と思ってしまう。

グラスハウス

ヒロインの女の子がとても印象的な顔で、「美人じゃないけど…」と思っていたら、大人になったらすっかり美人さんになっている模様。リーリー・ソビエスキー。
ちょっと不貞腐れた表情が似合う、可愛すぎない女子高生がとてもハマッている。
ダイアン・レインもいい感じで怖いしステラン・スカルスガルドも気持ち悪くていい。
ブルース・ダーンの管財人もグレーゾーンでいい味出してる。

ストーリーは良くある「侵入者が危ない奴でブチ殺す」の変形バージョンで、16歳のヒロインと11歳の弟が危ない夫婦の家に引き取られるという形。
分かっちゃいるけどサスペンスの盛り上げ方はなかなか巧みで、派手さは少な目だけど、その分手堅いと言うか、大筋は予測できても細部で「おーそうか、そう来たか」と楽しめる内容だった。
お年頃の女の子(可愛くてムチムチ)が赤の他人の家で暮らすという不安感とか、普通に入って行ってだんだん逸脱していく手際も良かった。
ラスト、「さすがのアメリカ映画も未成年の少女の手は汚さず借金取りと自爆に押し付けたか」と思いきや、あらやっぱり、な展開で、むしろ清々しい(笑)。
幼い弟が全く戦力にならないどころか足を引っ張ってばかりで、ヒロインが孤軍奮闘なのも良い。
怖くて悪そうな妻の方がが意外に脆くて、小物感満載の旦那がモンスター扱いだったのは、良かったのかどうなのか…私はリーリーvs.ダイアンの最終決戦が見たかったな(笑)。
姉弟の名が"ルビー"と"レッド"だったり、グラスハウスの主人が"グラス"だったりと、ネーミングも漫画っぽくて楽しい。

残念に思ったのは、せっかくの"グラスハウス"(原題もThe Glass Houseのようだし)が、雰囲気作り以外にあまり貢献してなかった事かな。
マリブの景色と共に美しく、見ていてとても楽しかったんだけど、ちょっと過剰に期待してしまったかも。
それともう一つ、父母の葬儀で2枚目の叔父さんが登場し、どう見てもいい人なのにあそこまで冷たい態度のルビーちゃんが謎(笑)。
いっそ叔父さんにも疑惑の矛先が向いたりとかすれば良かったのかな。
手堅く丁寧だけど、捻りの無いのがちょいと物足りない気はした。

クラッシュ(2004)

ポール・ハギスなぁ。
胸クソ悪いんだよね。

でも引き込まれちゃうのは、サスガの実力。
登場人物が多くて、あちこち繋がったり絡んだり。
そしてそのほぼ全員が、イライラカリカリしてて寄ると触ると怒鳴り合ったり威嚇したり、時に暴力に発展、という…思い入れはしにくいし、見ていて不快なんだけど、それぞれのエピソードに吸引力があって、つい前のめりで見てしまう。

あの若い巡査は本当に可哀想。
どうしてあのまま放り出す事ができるのか、私には分からない。あ、作中の話ではなくて書き手に対してね。だからイヤなんだってばさ。

あとマット・ディロンがああいう役をやるというのにちょっとビックリ。
今までも悪役はやってる(『死の接吻』は印象的)んだけどな…何に驚いたんだろう、私。
元々陰りの部分の多い俳優だったけど、八つ当たりの仕方がセクハラ(と言うか性犯罪)だったせいかな?
ディロンのハラスメントのせいで、終盤のダンナと若い巡査のやり取りがあるワケで、その皮肉にハラハラした。
でもそこからどうなるではなく、別ルートが破滅を連れて来る、という辺りがまた…モヤモヤモヤ。
そんなディロンが燃える車から命がけで被害女性を救い出すシーンは良かった。
ただハラハラするだけでなく、「信じろ」と言われて信じられるワケ無い彼女がそれでも手を差し出さざるを得ない、そして救われた後の心境を思うとね。

子供が撃たれて無傷だった(オチは予想が付いた)話とか、サンドラ・ブロックのセレブ奥様(似合わない…)の話とかは、イイ話風に味付けされてるけど、やっぱり心がパサパサする。
結末もだけど、そこに至る過程がやはり胸クソ悪くて…まあ、こういった人達は実際に多いのかも知れないが。
日本に人種問題が無いとは言わないが、アメリカの他民族っぷりには比ぶべくもなく、そういう意味でピンと来ない部分もあるかもしれない。
この中に入れば自分も差別される側なのだと思うと、イヤ〜な気持ちになりますが。
でも奥様が階段下でノビてたら助けるわな、普通。
なんだろうこの、どうにも素直にイイ話だと言いたくない、感じ。

ところで近頃、黒人系の美人が出て来たな、と思うとタンディ・ニュートン(『シェイド』『リディック』)だという(笑)。『シャレード』のリメイク版は流石に無理があったかな。
顔もだけど、身体つきも本当に綺麗で背中とか目を奪われるわ。後頭部とか。って背面だけかい(笑)。

グラディエーター

こういうバカ正直な感じのスケールの大きな映画って、久しぶりに観た気がする。
もちろんCGも駆使しての、まぎれもない現代の作なんだけど、映像に独特の重さがあって、なんか香り高いのよ。
と、思ったら、お久しぶり、リドリー・スコット監督だったのね、かなり話題になった映画みたいだけど、公開当時私は色々大変で、全然予備知識が無いままにビデオで観ちゃった。
劇場で観たかったな、と思わせる映画も、久しぶりかも。

ローマのコロッセウムの剣闘士の話、という事で、戦闘シーンは迫力満点。一部「ありえねーっ」って所もあるけど、私にはそれもまた楽し。
スペインの闘牛だって信じられないのに、あんな物に本当に大衆は熱狂していたのね。私は観に行かなかったと思うけど、スポーツ観戦キライだもん。
なんて言いながら、コロシアムでの戦いのシーンには、手に汗握ってしまう私であった。
虎が出たりもスゴイけど、なんと言っても戦車のシーンが圧巻。
いくらカリスマ将軍でも、ああはいかんでしょ、とは思いつつ、「ダイヤモンド陣型につけ」と叫ぶラッセル・クロウは鳥肌モノ。

主役を張るラッセル・クロウは、正直今まで注目していなかった。2、3本観てはいたはずなんだが。
今回も、最初登場した時の印象は「モッサリしたおっさん」であった。容姿は地味だよね。
それが、冒頭の騎馬で森を駆ける戦争のシーンで、あっと言う間に引き込まれ、気が付けばすっかり彼に夢中(赤面)。
なんと言うか、男は黙って高倉健的な魅力。女性はともかく、男性はオトコボレ間違いナシ!
戦う時にはただ戦い、戦いの合間には情けないような、困ったような顔で、必要な事だけを低い声で話す。
そう、この声がとても良い。

ヒロインの王女(しかも主人公の元恋人)は、コニー・ニールセンという、若かりしリズ・テイラーを薄めたような美女。
登場シーンの輿で寝そべるポーズに続き、父皇帝との会話等、「おっ、悪女登場?」とワクワクしたんだが、蓋を開けてみれば、単なる子供が可愛いだけのおっかさんで、独り息子と自分の保身しか考えない、つまらん役でした、それでいっぱい人に迷惑かけるので、やっぱり必要な役ではあるんだが。
ローマ式のドレスはどれも美しく、見た目にはとても楽しかった、やっぱり美人は良い。

そして、まーなんて憎たらしい、敵役の皇帝コモドゥス。
この人色々可哀想なんだけど、とにかくセコくて可愛気が無くて、それにキモイ
よくぞこんなチンケな(演技の上手い)役者を探して来たもんだ、と思ったら、フォアキン・フェニックス………リバーの弟!?
似てねー!!!
ドラマ自体は結構単純(それでいい、と思う)なんだが、この皇帝の憎たらしさが、2時間以上の長い時間をちっとも飽きさせなかったポイントかも知れない、ホント、やな奴なのよー、うぴぴー。

物語りは、勧善懲悪の復讐劇で、無敵の英雄が権力だけのセコい男をやっつける、って話(ああ、ミもフタもない…)なんだけど、ひっくり返して皇帝サイドから見てみると、けっこう現代的なテーマだったりする。
気紛れで残酷な大衆を支配するつもりが、いつか御機嫌取りに追われるようになり、逆に大衆に踊らされ、追い込まれて行く。
って、なんか『シカゴ』にも通じちゃったりして!?
愚かで欲深い大衆、というのは、民主主義の宿命みたいな物な訳で、そしてコロセウムという物の存在は、その象徴として、とても分り易い。
こういう題材で、例えば安手の邦画なんかだと、仲間の剣闘士と対決させられて、みたいな展開にすぐなっちゃって、そういうのイヤだな〜と思ったら無かったのでホッとした。
せっかく楽しみに来てるのに、そこまでイヤなもの観たくないんだよね、どんないい話でも、ラストまでヤな気分を引きずってしまいそう。あの黒人の狩人は生き残ってマル。

画面はどのシーンもとても美しいけれど、特に主人公マキシマスの故郷、心の拠り所にふさわしく、優しく懐かしくて涙を誘う。妻と子の、(出番こそ少ないが)一点の曇りも無い笑顔の明るさも、この映画の出来の良さに貢献している…。

グラディエーター(byてけぽん)

こんにちは、杉本氏の漫画友達のてけぽんです。
久々に覗いたら、映画コーナーに『グラディエーター』がでてた。わーい。
このタイトル聞くだけでコーフンしますだ。私は暴力的な趣味はないはずなのですが、ごつい男性が重たい剣を振り回す映画はとても好きです。ローマ時代のお話もとても好きです。それらの中でも、この作品はぴかいちです。まさか本物のコロッセオが見れる日が来るとは思ってなかった。現代に生きてて良かった。
確か今年のお正月に、『ハリウッドの真実』という番組をBSで見まして、「グラディエーターのすったもんだ」が暴露されてました。なんと撮影しながら脚本を治していったそうな!?脚本家も挿げ替えられたそうな。うそ?!漫画をかいてる私には信じられない。作画しながら話を差し替えるなんて。映画界では良くあることなのでしょうか。
で、その際に「復讐物」に決まったそうで、じゃそれまではどんな話だったのか、私は興味津々だす。そっちも見たい。ローマのお家騒動でも書いてたのかな、政治物だったのか?
何気なく見てしまい、もう一度見たくてしかたない。私はその回しか見なかったのですが何回かのシリーズだったと思います。誰か教えてー!!!

グリーン・ゾーン

監督は『ボーン〜』シリーズの人か。
苦手なんだよねこの人、私にはとても分かりにくい。
特にアクションシーンが動き過ぎで何が行われているのか分からなくなる、おまけにカメラもガタガタ動くし暗かったり寄り過ぎたりブツ切りカットだらけでもうイライラが募るのよ。
私の動体視力が低いのかもと最近は諦めている。

フセインが大量破壊兵器を所有したいるというのがデマだったとか、占領後の米軍が捕虜に酷い虐待をしてたとかは、ニュースでチラホラ目にしてて、今更そんなに驚かない。
でも実際に絵になってるのを見ると、やはり心は痛む。
特に米軍に協力しようとした現地の"フレディ"に対する扱いは、本当にどうしてくれようかと思ってしまう。
疑心暗鬼という点ではベトナムも然りだが。

主演のマット・デイモンも、胡散臭いグレッグ・キニアも好きな俳優さんだけど、今回はあまり色が出ていなかったような。
一応実話ベースだから、どうしても人物はカキワリ風になりがちなのは分かるんだけど、それにしても魅力薄。
中ではフレディがダントツで人間らしかった。
最後に重要人物をやっちゃう所は、主人公的には台無しなんだろうけど、私も気分はそんな感じだったな。

「今後誰もアメリカを信用しなくなる!」
このセリフをちゃんと入れてくれたのは嬉しいかな。

グリーン・ホーネット

あ。やばい。
これ、好きかも(笑)。

ふざけた映画なんだけどね。
ヒーローはどう見てもカッコ悪い鈍臭いのボンボンだし、設定はリアリティのカケラも無く、バカバカしいし、悪役は間抜け過ぎてご都合良過ぎだし。
でも楽しい、面白い!
そして嫌らしい言い方だけど、ちゃんと作ってあって気持ちいい。

まず「何故こんな映画に!?」と思ってしまった、キャメロン・ディアス。
ハズレの殆ど無い彼女の仕事の中でも、この役は格別にチャーミング
最初は驚いたけど、観ているうちに「なるほど」と納得してしまった。なにせ彼女は可愛いし、脚本も面白い。
笑えるのはもちろん、恋、友情(ライバル意識)、正義感、父と息子…と、けっこうしっかりシリアスなドラマを消化していて、何度もホロリとさせられた。
特に親との確執問題には敏感なもので、ワタクシ。本気で泣けました。お父さん…。

主人公はお世辞にもイケメンとは言いがたく、そういう意味で視聴意欲を継続させるのが厳しかったのは事実(笑)だけど…って言うか本当〜に、イケメン皆無の世界観。視覚的にはキャメロンが一手に引き受けた感アリ。
あ、でもそうだ、メカがなかなかカッコよかった。メカにうとい私でも楽しめた。
そして重大なのが主人公のボンボンの相棒、天才メカニックかつカラテの達人・カトー。
え?カトー中国人???というのはさて置いて。
彼も全然イケメンではないが、なかなかチャーミングだった。実質こちらが主役かも、というくらいの大活躍。
二人のやりとりも楽しくて、だんだんイケメンかどうかなんて気にならなくなる。

メカにはほぼ興味が無いんだが、この使い方には泣かされ(笑わされ)た。
いや、もしかしたらメカに詳しい人が見たら、バカバカしくてやってられないのかもしれないけど。
なんかクライマックスの「え、本当に付けちゃったの!?」「うんまあ」みたいな展開は、実はとっても深いと言うか、むしろ単なる勢いなのか。
なんだか感動してしまいましたよ。

ところでこれ、かのブルース・リーがTVドラマで"カトー"を演じてたの?
み、見たい。物凄く見たい。
多分全然別のモノになっちゃってるだろうけど。

ところで2、かのエドワード・ファーロングがチョイ役で出てたらしいんだけどどこだったんでしょうか???
うわ〜見たかったような見なくて良かったような。

グリーン・ランタン

えーと…とにかく、かっこ悪い

やたら設定は壮大なんだが、お金もけっこう使ってそうなんだけど、とにかくデザインがかっこ悪くて。
冒頭の宇宙人?シーンからすでにドン引きしていたが、主役のライアン・レイノルズも地味な兄ちゃん、ヒロインもそこそこ美人なだけの地味な人で、主人公のヒーロースーツ姿もかっこ悪い。
「思ったモノが形になる」って、うーん、それ子供の頃に見たら凄いワクワクしたのかも、なんだけど。

タイトル(原題通りGreen Lantern)がそもそもダサいよね。
緑の手提げランプ(笑)そのまま過ぎ。
設定はそう、『パーマン』に似てるな。宇宙規模の正義の集団に選ばれちゃった、っていう。
主人公の反応もニブくて、やる気あるんだか無いんだかと思ってたら辞める宣言したり何と無く戻っちゃったり、盛り上がりに欠けるし。
せっかく前職が戦闘機乗りなのに、あまり生かされてる部分も無かった気がする、もったいない。
ヒロインだって戦闘機乗りで社長って凄いんだけど、実力発揮するシーンも無く服装なんかも無難に地味。
ヒーローは孤独が大前提なのに(パーマンは違うか)友達にシレッと話しちゃうし。

ずっとこの調子でかっこ悪いヒーロー見続けるのかぁ…と、飽き飽きしながら流し見してたら、唯一目の覚めるシーンが。
かっこ付けてヒロインの元を訪れる緑怪人の正体を、ヒロインが10秒で見破るところ!
しかも言い草が、「頬骨とかすぐ分かる」鼻とか口とかじゃなく頬骨ってのがリアルで(笑)。
そうだよねあんな小さい緑のマスク、殆ど縁の太いメガネみたいなモンじゃん。
あんなモノでも身近な人に絶対バレない、というヒーロー物のお約束をシレッと覆した、のも笑えるけど、この監督『ゾロ』シリーズの人だったりする!
きっと私と同じ事考えながら『ゾロ』撮ってたんだ…多分。

その後のラスボス対決もやっぱり退屈でかっこ悪かったけど、なんか許せる気になってしまった。
本作はアカラサマに「シリーズのスタート編」の体だったけど、うん、続編は無いですよね…。

クリスティーナの好きなコト

キャメロンが最高にチャーミングだった『メリーに首ったけ』は1998年。
チャリエン』を経て、4年後がこの映画で、もうこんなヒトになってしまうのかな、という印象を持ったのを覚えてる。
………頑張ったよね。その後の活躍は想像も付かなかった。

『メリー』では許せた下ネタが、こちらではどうも、いただけない
と、言うか、薄〜い内容の単なるラブコメの隙間部分に取りあえず下ネタを詰め込んで何とか形にしたような。しかも下以外の笑い要素がとても少ない
基本下ネタが好きではないので(本当よ)周辺がつまらないと耐えられないのよね。

女三人組のわちゃわちゃ感は悪くなかった。
キャメロンのみならず、クリスティナ・アップルゲイトもセルマ・ブレアもそれぞれにチャーミングである種のリアリティもあったと思う。
でもいかんせん、下ネタ部分が下品過ぎて、しかもしつこい…唯一「♪Relax♪」のシーンは笑ってしまったけど。アレってあんな歌詞だったのね。困ったモンだ(笑)。

何と言っても背骨に当たる恋愛ドラマがオソマツ過ぎて、「ラブコメ舐めんなよ」と言いたくなる。
それにお相手役のトーマス・ジェーンが、役柄も役者も魅力薄。まあハンサム君ではあるけれど、「恋は遊び」派のクリスティーナにとって、なぜ他の男性と違ったのか、という肝腎の点が私には見えなかった。
それになんなん、あの結婚のエピソード。嘘はつく、式はドタキャン、相手の女も同罪というご都合主義…すっかり引いてしまったよ。
男も、結婚相手もだが、それ以前に女三人組もアホ過ぎて応援できない。
クリスティーナが最初の頃に「恋は遊び」と言った時点で、「ああ弱虫の臆病者ね」と方向性が見えてしまったのも残念。
「女の本音」とかって狙いすぎてない?そういう意味でも、ちょっと嫌味

キャメロンの手脚の長さは知ってるつもりだったけど、本作では特に強調されているのか、並ぶ女友達が小柄なせいか、とにかく長い!時に邪魔っけな程。
しかし胸が意外にお粗末な事、その下のお腹はポッコリ出ている事は意外だった。まあ、あれだけスタイル良ければ、それくらいはご愛敬ですが。
そして、くだらない内容でも何でも、やっぱりキャメロンの満面の笑みはチャーミングで、見る者の心を明るくしてくれる、という点ではサスガ。

この後次々と問題作に出演、どんどん女優としてキャリアアップして行ったキャメロンを知る今だから、何とか安心して観る事ができたけど、本当に頑張ったよね。

クリムゾン・タイド

どうしてこう、潜水艦モノって燃えるんでしょうかねー?
と、色々考えるに、もちろん究極の密室である事から生まれる緊迫感、というのは大きいと思うし、どうしても男所帯になるので面倒臭い女との関係(いわゆる"男の世界"に女がしゃしゃり出るのが嫌いです…腐の意味ではなくて)が出て来ない、というのもあるのだが。
私、閉所愛好家かも。
と、気が付いた。幼少期は押入れに潜り込むのが好きだったし、実を言うとつい数年前までネームが進まないと押入れに灯りとメモ帳持って籠っていた。今の部屋は押入れが狭くて残念。

そんな究極の閉所で、地球の存続に関わる程の究極の選択が突き付けられる、本作。
盛り上がらないワケがないッ!!!
と、まあ、それ以前に、この頃のデンゼル・ワシントンのかっこいい事と言ったらアナタ。
精悍かつ知的。程良い体格。強い意思を秘めた瞳に、人懐こい笑顔…。
対するジーン・ハックマンはハンサムでもセクシーでも無いが(すいません、当社比ね。でも『ポセイドン・アドベンチャー』の時は「牧師さんかっこいい!」と思ったわ…後年「騙されてた?」と思ったけど)安定の名演技。
世の中に名優は数あれど、人好きのする愛嬌と怜悧な狂気を併せ持つ人となると、ハックマンは最上位にいると思う。
そしてこの艦長役は、その両面が遺憾無く発揮されるハマり役だった。
有能ではあるが新参者のハンター副官(ワシントン)に対し、結果的には判断を誤った上強引過ぎる対応に出たラムジー艦長だが、部下が着いて来なければ話は始まらない。
この非常時にはテンパッてしまって暴走したが、それまでの艦長は部下に尊敬され信頼され、愛される上司であった事は容易に想像できるし、愛国心も責任感も伝わって来る。反面、信じる正義のためには部下のコメカミに拳銃を突き付けるような暴挙も違和感が無く、しかもそれを見ている部下がそれでもなお従うだけの人望がある。
激烈に可愛い愛犬の存在と共に、面白く魅力的な悪役…いや、対抗馬、というところか。

馬についての二人の会話とか、かなり際どいと言うか不穏な空気で、ちょっとハラハラしたが、ギリギリ不快にならない位置に留まって効果的であった。
しかもその会話が、ラストのオチに流れて、何とも胸熱な余韻を与えてくれる。
二転三転の脚本は緻密でハイセンス…と、思ったらタランティーノが絡んでるし。
って言うかトニー・スコットじゃん監督〜〜〜〜!!!!(号泣)
私好きだったよトニー。

劇中の舞台の大半が潜水艦の中とあって、絵的にはかなり地味だし、一応魚雷の応酬とかでハラハラはできるものの、派手なアクションシーンがあるでなし、登場人物は皆カーキ色の軍服のみ、綺麗な景色も美女も恋もセックスも無く。
どうしても地味、だけど、その分男たちの心情はクッキリと浮かび上がる。
おデブのコップ君がとてもいい。
艦長大好きだよねこの人。なのに軍規に反すると歯を食いしばって副長に付き、礼を言われてキレたりして。
ヴィゴ・モーテンセンも素晴らしくハンサム!
…いえ、それだけじゃなくて、彼はずっと揺れていて、とても重大な役を担わされていて、劇中一番の残酷な選択を迫られて…という、その都度の表情がとても思わせぶりかつ美的で良かった。
そしてそして、近頃気になっているのだが顔が覚えられないライアン・フィリップ君が!デビューしている!
(この人の顔が覚えられないので)気づかなかったんだけど、ライアン君出演と知って思わず見返してしまいましたよ。チョイ役だけど可愛かった。

最終的に核弾頭発射はあり得ないと分かって見てはいるのだが、それでもハックマンとワシントンの緊迫感あるやり取りは見応えがあったし、部下たちがどう動くかは予想が付かず手に汗握った。
舞台設定上派手なぶっ壊しアクションは限界があるけれど、充分ハラハラドキドキさせてもらったし、なんだろうあの、潜水艦だと必ず出て来るカウンターがピコンピコンいうやつ、アレ聴くと盛り上がるのよ、私(笑)。
ラストシーンは意外に爽やかにまとめてくれて、後味も悪くない。
そしてやっぱり、ジーン・ハックマンは名優だな、としみじみ感じた。

あ、あと、あの狭苦しい密閉空間で煙草吸う吸う!
恐ろしい環境だ…私なら生きて帰れない、ストーリーとは全く別に気分が悪くなった。

クリムゾン・リバー 

これ公開当時、結構話題になったと思うんだけど。
凄い宣伝してたし、CMもポスターもキャッチーだった。
…いや〜脱力しましたわ。
宣伝に釣られて劇場に行ったら怒り狂ってたレベル(笑)。

確かに映像は綺麗。
重厚な雰囲気と思わせぶりなやり取りで、前半は引き込まれたし期待値も上がった。
でもナチス!ナチス!辺りから雲行きが怪しくなって来て、ラストの(悪い意味での)衝撃たるや。
ノックスの十戒』というのが、現代では必ずしも遵守されている訳ではないが、それにしてもまあ、あまりにも工夫も無ければ恥じらいも言い訳も無い踏み倒しぶりで。
(開き直って『プレステージ』みたいのならアリだと思うが、ああいうのも何度も使える手ではないよね)
まあ、普通のヒロインとしては、あの娘(ナディア・ファレス)の顔は癖が強過ぎたね。
正直あの演出なら、そんなに演技力も問われなかったし、普通の意味での美人さんの方が効果的だった気はするが。
まあどんな美人持って来られても脱力はしたと思うけど。

結局、何がどうしてあそこまでの猟奇的犯罪に繋がったのかが全く説明されてないし。
ただ単に犯人が嗜虐的サイコパスで、たまたま不幸な生い立ちに追い込まれたというだけの話なのか。
でもってナチスは悪だと。
正直、血が濃くなり過ぎて不具合が生じたというのなら、あんな犯罪を犯さなくても普通に他所から嫁を取るなり、それが嫌なら他所から仕入れて体外受精でもしたらいいじゃん?
「なんとおぞましい」と言うよりは、「なぜまたそんな手の掛かる方法を」「しかも違法…」と、最高の頭脳集団のはずがお間抜け組織に見えてしまって台無し。しかもやり方が、ツメが甘い。
終盤、クライマックスだと思うんだけど、ファニーの背後から登場!は、もうコントみたいだったわ。
それ、やっちゃいますかー!みたいな。

雪山の氷河の景色や、古い大学や教会の陰鬱な建物等、雰囲気は本当に美しくも恐ろしくて良かったし、手の込んだ残虐な死体の様子、死んだはずの少女の指紋…と、思わせぶりな仕掛けにはワクワクしたんだけど。
音楽とかも盛り上がってたし、ジャン・レノの風貌もミステリアスな題材に良く似合ってた。
それだけにネタバラシ後の脱力感がね…。

癖は強いがヒロインのナディア・ファレスは、なかなか良かった。
ケンカ強そうで好みのタイプ(笑)雪山登山も様になってしたし、知的職業というのも頷ける頭良さ気な表情。
その後あまり見掛けない気がするが、やはりあのラストのコントのせいだろうか、残念な事だ。
せっかくのセクシーガイ=ヴァンサン・カッセルも、あまり印象的な活躍場面も無くて残念だった。
あの尼さんがドミニク・サンダだったと知ってビックリ!
なんという贅沢な。

キャストもいいし、雰囲気造りは大成功だったと思うだけに、終盤のコント感が残念でならない。
フランス映画は理解し難い事が多いけど、今回は「目指せ!ハリウッド」的要素も大きかっただけに、モヤモヤが残ってしまう映画だった。

追記:あまりにモヤモヤしたので、原作本を読んでみた。
あー、また随分と、改変してあるのね。
確かに小説としては、そんなにモヤモヤはしないかも。
しかし映画化に当たっての改変は原作者も噛んでるし、納得してた模様。
結局動機部分は変わらないし、うーん。 

クルーエル・インテンションズ 

全く予備知識なしに観てみたら、あらら、今となってはナカナカの豪華キャスト。主要三人が若くて可愛いです。
でもって『3』まで作られた、まあ好評映画だったんでしょうね……………………。

ぶっちゃけ、最初の一行以外、ほぼ見所ナシ
って言うか、終盤まではソコソコゆるく楽しめた(主に一行目の理由で)のが、ラスト近くで卓袱台ひっくり返された。いや私が返したくなったのか(笑)。
死なせちゃダメでしょ、からの、純情少女の豹変に「ほぇ?」で畳み掛けるワケの分からない"復讐劇"。そして心底意味不明の、オープンカー(死んだ男の子の車らしい)で疾走するラストシーン。
はぁ〜、時間ムダにしたわ。

ヒロイン(で、間違いないと思う)サラ・ミシェル・ゲラーは可愛くて熱演、なかなか魅力的。
なんでああまで屈折しちゃってるのか最初から意味不明ではあったけど、一昔前の少女漫画とかでこういうキャラ(必ず美人)っていたな、とか思って、そんなに抵抗も無く受け入れて見た。
何とも哀れな弟のライアン・フィリップ君は、眉毛が細くてキモかったのが残念だけど、容姿は美形だし可愛かった。誰だっけ…と、思ったら『クラッシュ』の若い巡査ね。あああの子も哀れだった…(涙)。
そしてビックリのリース・ウィザースプーン!可愛いやん!?うっそ。
『カラー・オブ・ハート』と『キューティ・ブロンド』の間辺りか。まだ顔がへしゃげてないじゃん。可愛かったのね…役柄には無理があった(ラスト豹変部分)のに、それなりにどのシーンも"ぽく"見えてしまう、やはり演技力はシッカリしているのでしょうね。

…まあ、裕福な若者達の生活、豪邸にプールにオープンカーとか、そういう背景も楽しめたし、端役の子達も可愛かったし。
丸々無駄ではなかったよ、うん。

クルーレス

ジェイン・オースティンの小説『エマ』を現代風に翻案したものですって。
原題『CLUELESS』の意味は「ダサいこと」。

豪邸に住みブランド服を取っ替え引っ替え、仮免中なのに車通学、美人で最高にクールで人気者の15歳のアタシ!
っていう、自動的にムカつきスイッチがオンしてしまう設定の主人公、その名も"シェール"。
演じるアリシア・シルヴァーストーンが、めっちゃ可愛い
なんだこの可愛い顔。パッチリしてキラッキラの瞳。光り輝くサラツヤの金髪。長くて真っ直ぐな手脚に適度な凹凸のピチピチボディ。
AKB風のダサい(私判定)チェックの上下でも、本来こういう子が着るモノだったんだ、と納得する可愛さ。
親友で同じく豪邸に住み派手派手衣装の黒人少女"ディオンヌ"といい、調子に乗った上から目線の傲慢さがやるせない。
転向して来たダサいヤク中少女・タイを「クールにしてあげ」「仲間に入れてあげ」「彼氏を斡旋してあげ」て、厳しい教師には「恋でもさせれば甘くなる」と女教師との仲を取り持つ裏工作をして、「イイ事すると気持ちイイ〜」。
悪い成績は嘘八百で教師を言いくるめて点を上げさせ、それをまた褒める父親。

噂に聞くスクールカーストの最頂点に君臨し、オタクやガリ勉を見下しまくる少女達とその取り巻き。
どこで痛い目に遭うかと思えば、大した事は無く。
途中シェールは送り狼に逆ギレされて夜の街に放り出され強盗に出くわすが、こんな着飾った小娘に「××(ブランド名)のドレスが汚れちゃう!」と反抗されながらも、撃たずに逃げてくれる犯人が哀れに見えた。
せっかく高いドレスをアピールしてるんだから身ぐるみ剥いでやったら良かったのにね。
免許試験にボロボロに落ちてガックリして帰って、見下してたダサかったタイに厳しい指摘をされて「酷い!」と落ち込むも、自分の態度に反省は無し。

この調子こいたお嬢さんを、どう着地させるかと見ていたら、あらあら。
何故かいがみ合ってたはずの義理の兄ちゃんジョシュと、なんだかイイ感じに。
そもそもキッカケになる、父親の部下に罵倒されるシーンも違和感満載で、いくら自由と平等の国でも雇い主の令嬢にあんな態度取る?って思うけど。だって自由の国には解雇の自由も有るんだからさ。とってもご都合
でもまあ、ジョシュは庇って、怒ってくれるワケだ。
なぜ「頭の悪い女の子」にガリ勉タイプのジョシュが惹かれてたのかは分からない(そりゃ顔が可愛いもの!)が、ここから急展開。
気になる男の子(ジョシュ、庇われてポーッとなったらしい)の気を引こうと、外見だけではダメだと悟るシェール。
行動範囲を広げ、ボランティアに参加、見下していたオタク少年とも話したり。
(ここで彼本来の個性を認めるとかでなく、意外にもスポーツが得意だった、という新要素を後出しして来て、彼女の意識は結局変わってなかったり。オタク少年とタイが恋に落ちる展開も、序盤でせっかく二人が盛り上がったタイの絵の上手い件はスルーされて、スケボー姿に見とれる事で終わるんだけど。)
いい気なモンは相変わらずだが、ちゃんと行動して真面目に汗水垂らすバイタリティは、ちょっといい。

そして最後にパパが落ち込む娘に「おまえは誰よりもシッカリしてるじゃないか、家の事も一人でママよりずっとちゃんとしてくれてる、パパの健康もちゃんと管理してくれてる」
あー、そうだ、口うるさく肉を止めたり野菜ジュース飲ませようとしたり。
ご免シェールちゃん、おばちゃん妬みモード目が眩んでたわ(笑)。
だってたかだか16歳だものねぇ。お金持ちで美人に生まれたのは彼女のせいじゃないし。

と、ラストは何と無く、皆ハッピーエンドで気持ちよく終わってしまった。
内容的に深いワケでもないし、そう八方思い通りに行くかな、だけど。
まあ一応、シッカリした脚本ではあった。
そして何より、ヒロインの顔が可愛い、数々の衣装も、本当に可愛かった。
それでいいじゃないか。
まあ、また観る機会があっても私はパスだけどな。

クレイジー・ハート 

ジェフ・ブリッジスは、この作品でアカデミー賞を取ったとか。元々好きな俳優だが、なるほど納得の存在感である。
素敵なお顔は残念ながら、ちょっと顎無し亀さんなので、こういうお髭の役は特にかっこいい。
歌も物凄く上手い、サスガは『ファビュラス・ベイカー・ボーイズ 』(笑)。
(と、思ったら、この映画がキッカケで歌手デビューが決まったそうだ!すごい。)

レスラー』と、似たような内容で、どうも比べてしまうと印象が弱いんだけど、その分マトモで安心して見られると言うか、万人に後味が良いと言うか。
落ちぶれたフォークソング歌手、という役所ながら、ジェフ・ブリッジスの見た目は充分「イケてる」し、行く先々で女性にモテモテ。男性からも尊敬の念を露わにされて、才能があるのも分かっていて、いったいナニが不満じゃ、という気がしないでもない。でも、アル中。
そして、先へ進めない自分に苛立っている。
彼の再生のキッカケになる、巡業先で知り合った子持ちの女性記者。演じるマギー・ギレンホールが、とてもいい。タレ目のお多福ちゃんと思っていたのに、肌の白さや目の明るさが、妙になまめかしい。可愛らしく、でも芯の強い野心家のシングルマザーを魅力的に演じて、目が吸い寄せられる。

バッドの友人役で、名優ロバート・デュバルが出ていて、いい味出してる。
後輩の売れっ子歌手役で出ているコリン・ファレルも、歌がとても上手くて驚いた。出番は少ないが、落ちぶれたカリスマ先輩への複雑な思いが伝わって来る、良い演技だった。
個人的に残念に思ったのは、バッド達が歌うカントリーソングの数々、最後の一曲以外は字幕が付いていなくて、歌詞の内容が分からない。色々狙いはあるかも知れず、ストーリーに直接関係が無いかも知れないが、カントリーソング自体に詳しくない身としては、雰囲気を把握するよすがにしたかったのに、残念だ。

元スターのバッドが、どうしてこうもジーンに惹かれたのか。タイミングもあるだろうが、子持ちである事が大きいだろう。失ったものを補充しようとしたんだね。でも皮肉な事に、その子供を巡る出来事で、彼女は彼に見切りを付けてしまう。
と、言うよりも、逃げる理由を探していたような気もする。
ベッドで作曲する彼を見て「ずるい」と泣くような女だもの。
男は健気にも、二人を取り戻そうと頑張って立ち直るが、女の方はとっくに他の恋を見付けて幸せになっていた。
ちょっとラストは拍子抜けと言うか、ハッピーーエンド好きとしてはガッカリだったんだが、少し考えれば納得がいく。
歳を取ると月日の経つのが早くなるが、若い人には時はずっと緩慢で濃密だ。おまけに彼女の方は、相手の才能に嫉妬とも畏れとも言える思いを抱いて腰が引けている。スターの妻など荷が重いだろう。
何となく煮え切らない思いを抱えながらも、そう思い至って、これがベストな結末と思い直した。
金は受け取るか?と思うけど、ここは彼女ではなく彼の視点で満足いく方を取ったのだろう。結果的にバッドは再生し、孤独ながらも自分の人生を取り戻したのだから。
ラストシーンの広大な景色と、フォークカントリーの調べは、今ある物を受け入れる後押しをしてくれる。

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札

ナオミ・ワッツのダイアナはこの前年の公開か。
グレースとダイアナでは中身は正反対だったようだけど、ニコールさんのドレスの着こなしを見ていると、ダイアナも彼女に演ってほしかったなー、などとミーハーな事を考えてしまう。
撮影当時、けっこうなお歳(40代半ば?)のはずなんだが、そりゃあもう美しい!
むしろ若い頃よりお顔立ちも体型もが整って来ているような。
多分グレースにしては身長は高過ぎると思うんだけど、(思い出補正も含め)あの気品と存在感を表すにはあれくらいのガタイは必要なのかも、とも思う。

ヒチコックのミューズでもあった大女優がモナコ公国に嫁いだ事、お子さんを何人ももうけて後に若くして事故で亡くなった事くらいしか知識が無かったが、まあ凄い人生だこと、予想は付かないでもないけれど。
実際思った以上にドロドロだったし、モナコがそんな危機に瀕していたとも知らなかった。
そして大公の姉君の件…まさか創作では無いでしょう、凄い体験して来たんだねぇ…タメ息。

個人的には"ヒッチ"監督とのやり取りが父と娘のようで(セクハラ親父で有名だけど笑)微笑ましかったのと、母親との電話が切なくて、電話を切って泣いてるグレースに幼子が「なぜ泣いてるの?」と気遣うところ、「お祖母ちゃまと話せて嬉しかったの」と言い訳するところまでセットで悲しかった。
あるよねー母親ってこいうの、と思いつつ、泣かされたグレースもまた母親だというね。

国の存続の危機に勝負に出たグレースの舞踏会でのスピーチは、これは史実に基づくものなのかな?
自身の人生にお伽話を重ね合わせて世界平和を説く語り口は迫力満点。
まさに身を呈してと言うか身を盾にして世界を味方に付けた。この映画流に言えば自分を切り札に使ったと。有名で、美女でなければ真似のできない離れ業。
女優のキャリアを捨てて王族に嫁ぎ、古い馴染みの天才監督のオファーを断っても、彼女は生涯女優だった、というのがこの映画のテーマなのだろう。
そういう点ではニコールの顔は意思の強さが勝ち過ぎていて残念だったかもしれない。
どう見てもそういう女に見えるもの(笑)。

モナコの内情には驚いたが、ストーリー展開は平坦で工夫も無く、あるものをそのまま撮ったという印象は否めない。
けれど、モチーフがドラマティック過ぎる上に、主演女優の美貌が迫力あり過ぎて、全く退屈する暇が無かった。
まあ個人的には、モナコ大公妃の主演するヒチコック映画を観てみたかったけど、もし実現していたら、グレースの名は今ほど世界に轟いていたか、どうですか。(モモエちゃんですか笑)

『マーニー』の男優は?との会話があったが、これってコネリーの事だったのね!
後から確認してほくそ笑んでしまった。
コネリーが無名の駆け出しの頃、引退した大女優だったグレース。
それだけでも凄いわ(笑)。

グレートウォール 

予備知識全く無しで観たので、おったまげた(笑)。
『グレートウォール』巨大壁=万里の長城かぁ、までは良かったが。
まさかあの地球一巨大な建造物が、怪獣(妖怪?恐竜?宇宙生物?)相手の砦であったとは!
そして何よりの驚きは、そんなトンチキ映画に、マット・デイモンとウィレム・デフォーが、大真面目な顔して出演してるんですよ!!!
中国勢も、アンディ・ラウはかっこいいし、チャン・ハンユーも素敵。紅一点のリン将軍のジン・ティエンは綺麗だけど、私的にはちょっと、食い足りなかった。線が細く人工的な美貌は、全然強そうに(賢そうにも勇敢そうにも)見えないんだもん。

ビックリはしたけど、万里の長城で怪物軍団が現れた、最初の戦闘シーンはそれなりにワクワクして見た。
方向性が思ったのと違ったんで、軌道修正が大変だったけど(笑)何とか着いては行った。
中国禁軍の、赤・黒・青のコスチューム軍団はかっこいいし、何と言っても砂漠にそびえ立つ"グレートウォール"の、ドラマティックな舞台装置ぶり。
…でもなぁ、その後の展開、ちょっと退屈してしまいました。

将軍の葬儀で夜空に灯篭を飛ばすシーンとか、最終決戦のステンドグラスとか、この監督らしい綺麗なシーンは色々あった。
灯篭は終盤の無謀な飛行船にも繋がるので、そういう点でも面白かった。
『青組』女性軍団の、バンジー槍使い戦法(笑)も、しなやかな女性達が青いマントをヒラヒラさせて、とても美的ではあった。
でも、美意識が勝ってしまってて、実用面がポンコツ過ぎる(笑)。

しかしマット・デイモンは、いつまでも可愛いね。
思いの外ロン毛髭面姿も似合うし、こざっぱりするとまたキュート。
可愛いデイモンと、大好きなデフォーが出てても、やっぱり退屈してしまったんだけど。
例えば主人公のウィリアム(マット)が、ゴロツキからヒーローへと意識が変わっていく過程が、あまり親切じゃなくて、気持ちに着いていけない。
中国軍ではいかにも頼りになる統領が倒れ、遺言とはいえ後継者がリン=若いお姉ちゃんになったというのに、誰も反対も反発もしない。
それ以前にリンちゃんが物凄い怖い所とか見せてたらいいんだけど、曲芸担当でその他大勢と同じ事してただけ、強いて言えば英語ができたくらいで、何故みんな文句も言わずにあの非常事態を曲芸担当の小娘に任せられたのだろう?
せっかくのデフォーも、見た目通り胡散臭い人ではあったが、すごく普通の反応をしてるだけで、活躍もせず、見せ場も無く、退場時の絵すら無く、食い足りない。残念。
ウィリアムの"相棒"トバールは、愛嬌があって正直で、結構好きだったし、途中まではなかなかいい感じの活躍ぶりだったんだけど、終盤はやっぱり地味な扱いだった。
まあ、彼が生き延びてくれたのは、本当に嬉しいけど。

あの怪物『饕餮(とうてつ)』もねー。
程々に気持ち悪くて悪くはないんだけど。
そしてCGでなければ表現できなかったであろう、物量作戦
それはそれで、今だから見られる光景として面白かったんだけどね。
あまり知性があるようには見えないが、最初の戦闘で負傷した仲間を連れ帰ろうとする姿がバッチリ映っていたりもするので、「奴らは進化している」という設定もまあ納得はできる。
でもさー、『エイリアン』とかさ、あんなに虫みたいな造形でも、どことなく知性を感じるデザインや動きで、だからとても魅力的だったのよ。
"女王"の存在からして、そして女王に餌を運ぶ、女王しか繁殖できない等の設定からも、多分蟻や蜂のような生態を想定してると思うんだけど、それにしては女王の存在感が、弱い。
形も大きさも、もっともっと平饕餮とは掛け離れていていいのに。
最後の歯を剥き出した顔は怖かったけど、もっと知的な怖さとか、特別感が欲しいじゃない?
きっと"怪物"については、監督の興味(美意識)には引っ掛からなかったんだろうな。

せっかくの素晴らしいロケ現場に、豪華キャストに、多分CG以外にもかなりの予算を投入して、この程度の盛り上がり。
統領が死んだ時とか、相棒との確執(や、それ以前の触れ合い)、リン将軍との心の交流も、若い兵士との関係だってもっと萌え展開にできたのに。  
怪物の弱点が磁石というのはまあ、何かしら無いと始まらないので仕方ないとして、あまり盛り上がらなかったしな。
女王饕餮は「コイツ中国語分かってるんじゃね?」くらいの凄味が欲しかった。
まあチャン・イーモウって、私にとっては元々雑な造りの監督なんだけど。
色々ともったいない映画だったなぁ。

グレムリン

公開当時、すごい流行ったよね、コレ……当時もそんなに面白いと思わなかったけど、久しぶりに見返してみて、ますます、不思議。
なんだろう。なにが話題だったのだろう???

アメリカ製のオモチャとか見てると、「可愛い」の感覚が違うのかな、と思う事はままあれど、可愛くないよね、グレムリンはともかく、ギズモ…モグワイ。
ストーリーも単純で、30分程度の子供向け番組で充分じゃないかしら。
増殖して凶暴化したグレムリン達が大暴れする様子が延々と続いて、すっかり飽きてしまった。
グレムリンのやっつけ方とか、けっこうエグいので、そういうの好きな人は楽しめるのかな。
あと、本当に子供の頃だったら、それなりに怖くて真剣に見た、かも。
大人になってた私は、申し訳ないがフィービー・ケイツのクリスマス嫌いな理由に笑った。

犬が激烈に可愛かったのに、あまり活躍しなくて残念。
リアルでも"珍しい"動物を無理して飼いたがる輩はいるし、飼いきれなくなって逃げたり捨てられたりしたそれらが生き延びて害獣扱いされる、というのはある話で、許せないんだけど。
犬猫程度にしておけば良いものを。

あ、テーマ曲はわりと好き。フィービーも可愛かった。

「グレムリン」(byココアちゃん)

「グレムリン2」は観てませんか?
1よりも出来がいい、というめずらしい続編です。
杉本さんお気に入りの「クリスマスなんてキライ!昔パパが・・・」のフィービー・ケイツの
もはやお決まりのシーンはですね、2では
「公園なんてキライ!昔公園で・・・」
の続きは機会があったら観てください。
↑確かにグレムリンの大暴れのシーンは飽きるので、見るのが面倒臭かったらオチ教えます。ぶふっ。
ストーリーとはほとんど関係ないんだけど双子のおじさんの科学者が超可愛い♪

クローズZERO

すいません、不良とかツッパリとかヤンキーとか、基本的に嫌いなんだよね…だから私、この映画の客じゃなかったみたい。
でもなんか、けっこう豪華キャストだし、三池監督だしさ。

ナルホド、小栗旬、かっこいいわ。
制服改造するような輩は嫌いでも、あの細長い身体にあの細くて短い上着は美しいわ、うん。髪型ヘンでも似合ってたわ。
他にも山田孝之、桐谷健太、大東俊介、高岡蒼甫と、売れっ子になって行く人達は若い頃から魅力的だわ。黒木メイサが全然変わってないのは驚愕だったし、一番ビックリしたのが松重豊のノリノリDJだったけど(笑)。

納得はしたけど、内容的にはどうにも、キツかったなぁ。
あのヤクザの下っ端のキャラ(これも定番ではあるが)とか、見ててとても辛い。エンケンさんは良かったけど扱いが安っぽいよね。
合コンの件とかもキモ過ぎて笑えない…ケンカに関してはもう、なにをやっているんだか…。
男ってヤーネと思ってしまう、せめて女の子巻き込むなよって。
いつの時代も、この手の"不良モノ"はヒットしてるので、確実な需要があるんでしょうけれど。

『2』はもういいや、と思ったら、三浦春馬に綾野剛ですって。
なんか卑怯(笑)。

黒執事 

セバスチャンて(爆笑)

原作未読。ほぼ予備知識ゼロで観賞した。が。
こ、これは……………(汗)。
なんでしょうかこの大ハズレ感は。
キャストも脚本もアクションも、何もかもが外している

いえね、脇役はいいのよ。
城田優、安田顕、伊武雅刀、岸谷五朗、橋本さとし、丸山智己、栗原類、ギリギリで優香も良かった。
こんだけ面白いメンツ集めて、なにやっとんじゃっていう…。
えーと水嶋ヒロ?実はドラマ等見た事なかったんだけど、イケメン枠だったよね?
って言うかこの役がイケメンでなかったら何の意味があるのこの映画、という役なんですけど。何の意味も無かったです。
悪魔的な不気味さとか、そういうんじゃなくて、もうただただ普通に日常的に気持ち悪いんですけど…あの、死んだような目は、役作り?
意味が分からないくらい、主演として有り得ない。しかも大根。
剛力さんはかねがねネットで叩かれてるのは知ってたが、たまたま見たTVドラマはなかなか良かった(応援団で学ラン着てた、似合ってた)んだけど、コレ見て納得したわ、叩かれるわこれは

って言うか剛力さんの役って、性別♀でOKなの???
おかしくない?あの子が美少年でなくて、なんの存在価値があるの?何の価値も無かったです。
それに多分、年齢的にも育ちすぎてる。少年でしょ少年!!どう考えても!
私はショタ趣味は全く無いが、それでもそれくらいは分かる。ツンデレの美少年と、妖艶な美しい悪魔。でなければ意味が無い。そして意味は無かった
原作未読の私ですらふつふつと怒りがこみ上げるのだから、原作ファンの思いたるや想像するだに泣けそうだわ。

優香は田舎臭くてお嬢様には全く見えないけれど、芝居はそれなりに頑張っていて良かった。
舞台背景とか、この手のお耽美モノは嫌いじゃないので、洋館や衣装はそれなりに楽しめ…なかった。主要キャラが似合わなさ過ぎて台無し。
だいたいメイド服のメガネっ子が大立ち回りをして(こんな美味しいシーンもらって)全然可愛く無いってなんなの!?むしろ信じられないよ…。
「目から出血したらそろそろ…」みたいなエグい設定も、嫌いじゃない。見てるうちに「これもしや原作は面白いんじゃ…」と思ったりもした。しかし映画が面白くは、決して、無い。

凄いわこれ、かの『デビルマン』に次ぐ原作陵辱実写映画だわ多分。

何が悲しいって、スタッフもキャストも全然この世界感を愛してなさそうなところだよね。

クロッシング・デイ

実話が元という話だが、だからと言って作りようはあるワケで。
って言うか主役二人がクズ過ぎてドン引いてしまって、もう入り込めず。
だいたいギャングとかヤクザとか不良とか嫌いなんだけど、犯罪モノでも工夫を凝らした詐欺師とか、用意周到な強盗とか、ルパン3世とかならまだ観る気にもなるけど、コイツらは初っ端からひたすら乱暴、凶悪、計画性の無い馬鹿野郎。
見た目だけでも良ければまだ鑑賞の救いになるのに、イーサン・ホーク(アホ面)にマーク・ラファロ(ズングリおじさん)ではね…。
アマンダ・ピートは美しいのに、あんなクズに入れあげて離れられずキーキー怒ってばかりいて本当にイライラしたし。
まあ結果、彼女が見捨てなかったから夫は踏み留まれたという話なんだが。

ホーク演ずるポールの方は懲役50年くらったそうだし、おそらくはブライアン(ラファロ)がネタを売り込んで子育ての足しにしたんでしょう。
…と、思ったら、この映画の監督兼出演者の実体験ですって!
ちなみに役柄は"パット"セコい元締めの彼ね。
そうだったんだ!(やはりポールでは映画監督は無理だからブライアンなんでしょうね)

だから子供も「ちょっと拗ねる」程度にマイルドに描かれてるけど。
こういう男はいるし、こういう女もいると思うけど、子供が素直に育つ事は稀だと思う。
いわゆるDQNの連鎖というヤツね。

冒頭、絶体絶命のシーンから始まって、切り替わって少年時代に遡り、てっきり回想形式かと思いきや。
冒頭が妄想シーンだったと後に発覚する造りになってて(あ、これネタバレか、すいません笑)本当に脱力した。
退屈なの我慢して観て来たのに…そのうち冒頭シーンに戻って盛り上がるかも、とわずかな期待を掛けて。
夢オチは最低と良く言うが、それ以上に姑息。
多分制作側も、そのまま作ったんじゃパンチが足りない内容だと分かっててこんな手を使ったんでしょうね…。

「サウス・ボストン」の街の景色や飲み屋とか、怖いけどどこか甘い(だから生活カツカツな)元締めやら先輩達の様子とか、刑務所内での描写なんかは何となくリアルっぽくて(実態は知らないけど)面白かった。
"断酒会"で再会する「伯父さんの友人」サリーを演じるウィル・ライマンが素敵だったし。元締めコンビもサエないけど味があって良かった。

稼げもしない子悪党は子供作るな。
子供ができても改心しない男なら女は見捨てろ。
本気で恋をしようとしないポールの方が、まだしもマシな男に思えるわ。
作中唯一マトモに見えたのは妻のウェイトレス仲間の女性だけだった。

グロリア(1999) 

オリジナル版があまりにも好きなので、公開当初は「けっ!」と思っていたんだが。
15年経ってみたら、意外と良かったです。
実はシャロン・ストーン、けっこう好き。

美人のシャロンさん演じるグロリアが、終始下品でとても良い。
いちいち露出の激しい服も、チリチリのブロンドも、言葉の端々にロクな環境にいなかったな、と感じさせる、でも頭はキレるのが、そして根本的に気がいいのも、分かる。そして、旧作のジーナ・ローランズのド迫力に対して、心細そうだったり頼りなかったりが全面に出ていて、むしろ思い入れし易いかも。
ギャングとの解決の仕方も、シャロン@グロリアなら納得。

モーテルでの二人の会話や、学校に入れる前にニッキー少年を説得するグロリアの言葉のつたなさが、とても心地良い。
残念だったのはギャングが全然怖そうじゃないトコかな、特にグロリアの元彼。見るからにアホそうで。
お払い箱の美人のグロリアが男共のパンツを脱がせて脱出する辺りは、むしろオリジナルのジーナ・ローランズより危なっかしさが面白かった。
とは言えやっぱり、あのガサツで迫力満点なオバサンには敵いようもないし、ニッキーも妙に可愛らしくて、生意気な子供と反発し合う、というお約束の「ツン」状態が弱いような。
ラストの「強奪劇」も、まだまだ若くて美人のシャロンだと、こんなコブ抱え込んで将来大丈夫なの…と、ちょっと心配になるけれど、二人の関係性は母性と恋愛の両方と考えればまあ、いいでしょ。
そんなワケで、全体に小綺麗に小さくまとまってしまった感はぬぐえないが、こういう切り口もあるのね、と思えば、決してつまらない映画ではないと思う。
だからオリジナルが良すぎたんだって!

レオン』を観た時は気付かなかったけど、そう言や良く似たプロットだわ。
でもグロリアは子供を守り抜き、自分も生き延びて、結局愛する子供を後先考えずに手に入れる。
女ってたくましくて図々しくて、好き♪

クワイエット・プレイス

設定は面白かったと思うんだけど。
緊迫した生活描写も、長くなるとダレてしまう。
中盤ちょっと退屈してしまった。

子供が一人取られちゃうあたりまでは本当に臨場感タップリで良かったんだけどな。
"音"を攻撃する怪物に対して、聴覚障害の娘のいる家族、という構図もよかった。
まあ、怪物退治にはこの子がキーになるだろうとは思って見ていたけれど。
ちょっと、うーん。

日常生活というのは、そうそう隙を作らずには過ごせないものかもしれないが。
妊娠しちゃうのはダメでしょー!
ただ映画を盛り上げたかったとしか思えない…無理。
戦時中、赤子が泣くから母親が殺してしまった、なんて話は良く聞く。産んでも育てられなくても産む人はいるんだろうけど野蛮過ぎ
…でもまあ、デキちゃったらもう堕ろせる環境に無いし。やるなって言っても、命の危険を察知するとより欲求は高まるとも言うしねー。
せめて奥さん、臨月にはウロウロしないで。
階段で荷物が引っかかったからって、引っ張っちゃダメ!出た釘そのままに立ち去って、結局自分で踏むとか(笑)私は女の子が怪我するかとハラハラしたけど、そういう広がりは無かった。

あの女の子の顔が怖くてね。
ホラーの名作『シャイニング』では、全くの被害者である奥さんの顔が一番怖かったワケだが(笑)それに匹敵する顔面だわ。
と、思って見てたら、彼女は実生活でも聴覚障害なんですと。
ふーん。
そこは別に芝居で十分だとは思うんだけど、撮影も色々手間が掛かるだろうし。
でも、それを抜きにしても、あの顔のインパクトは貴重で、絶対にこの子が場を引っ張って行くぞ、という謎の主役感があった。

エミリープラントは良い女優さんね。
不安気な奥さんから、赤子を抱え夫を奪われて以後の女戦士っぷりがかっこいい。
夫役の彼が実生活でも旦那さんだって。
こちらも、そこそこ頼りになるけど平凡なお父さん、的な立ち位置が良く似合う。
最後の娘への手話のメッセージは、なかなか泣けた。
まあ息子に叱られて気が付くんだけどな(笑)。
その息子も良かった。怯えた顔が秀逸。

美しい自然タップリの背景で、ほぼ一家族だけにスポットを当てているから違和感は少なかったが。
あの怪物のせいで人類壊滅の危機、というのはいかがなものか?
滝の音で会話ができる程度の精度なら、大音響を流していくらでも撹乱できたでしょうに。
それすら解明できないままに全滅させられたのか?人類弱過ぎもしくは怪物がよほど大量だったのか…???
いずれにせよ、旦那さんは自己犠牲を払い、奥さんはラストでかっこよくキメたけど、幕の降りた後を考えると絶望しかないような。
と、思ったら続編があるのね。
あまり見たくはないかなぁ。

刑事ジョン・ブック 目撃者

ニューヨークの刑事と、アーミッシュの未亡人、という異文化交流そして恋愛の物語、アクション付き。と、私は思う。

恥ずかしながら、アーミッシュというものの存在を、初めて知ったのはこの映画だった。
要するに、今、現在(映画公開当時と今とでも、おそらく同じだろう)現実に、『大草原の小さな家』をやっちゃってる人々が、存在するのだ、それも大真面目で。アメリカって、すごい。

現代最先端を体現するニューヨークの刑事役は、当時アイドルスター(?)のハリソン・フォード。多分この作品で、かなり評価を上げたんじゃないかな。
演技の善し悪しは置いといて、と言うか良く分からないんだけど、この役はかっこよく、渋くて、切なかった。
ミもフタも無い大都会でカサカサ生き抜いて来た男が、19世紀そのままの生活に放り込まれる。
暴力に慣れ切っていた日常から一転、アーミッシュは徹底した非暴力主義だ。食事の前には神に祈りを捧げ、着飾る事も罪悪、ラジオを聞いても責められる生活。
接点は皆無かと思いきや、大工仕事が巧かったりして、ミョーに馴染んでしまったり。
殺人事件の目撃者の少年の母親と、最初はお互いエイリアンを見る思いだったのが、ストンと恋に落ちてしまう。
そりゃあなた、H・フォードが降って湧いたら、そして命掛けで守ってくれたりしたひにゃあ、恋しちゃうわさ。
とは言え、アーミッシュの未亡人は、外の世界に憧れめいた感情があり、刑事もまた違う環境で自分の殺伐とした生活を考えたりと、思いは複雑だ。

殺人事件は解決し、母子に平和が戻って来て、刑事は都会へと帰って行く。
所詮は世界が違う、という事だろうか。
思いのたけをグッと飲み込んで去って行くH・フォードは、なんとも切なくセクシーだ。
見送って、また与えられた日常を受け入れる未亡人、ケリー・マクギリスの太い脚(失礼!)が、ナチュラルで印象的だった。

そして、受け入れた日常の先に、幼馴染みの青年がいる。
このアーミッシュ青年を演じたのは、ソ連の亡命バレエダンサー、アレキサンダー・ゴドノフ。しょぼくれたリアリティが魅力のH・フォードに対し、輝く金髪にダンサーらしい肉体美のゴドノフは、ナチュラリティの権化のようだった。
この後『ダイ・ハード』でもブチ切れた悪役を演じていたが、若くして亡くなってしまった。残念。

K-9/友情に輝く星

先に続編を観てイマイチだったのだが、続編ができるくらいだから1本目はソコソコかと思って観てみたら大ハズレでした。

犬は大好きだし、特にシェパードとか、ほぼ理性が飛ぶレベルで愛してる私でも、楽しめなかった。
ワンコは全然、悪くないのよ。
でも扱いが嫌だし、事件そのものが全然盛り上がらず、主人公というか犬の相棒の刑事は愚痴と言い訳ばかりで魅力無く。
すっかり退屈してしまった。

妙にお色気入れて来るあたりがとても嫌。
麻薬犬なのに凶暴で、でも美女(人間)にはデレデレのジェリー・リーとか。
従順な犬を連れた美女にしつけの秘訣を聞くシーンとか。
駐車中の車窓から覗く美女(犬)にけしかけて、戻った飼い主が怒ると刑事を振りかざして黙らせるとか最低。
その後の歓喜にもだえて転げ回る雄犬のスローモーションとか…もうやめて…。

犬は大好きなんだけどなぁ。
途中吠え声がうるさいな、と思ってしまうくらい、犬にも思い入れができない酷い扱いだった。
かの『南極物語』(高倉健版)ですら、犬が死んじゃうというだけで泣いた私が(笑)。
ベルーシも上手い俳優さんだと思ってるんだけど、この刑事はウザいばかりで(犬が話せない分補う意味もあって、ほぼ一人でずっと喋ってる)全く良い味が出なかった。
先に見た続編はオリジナルビデオで、しかも2作ある模様。
もういいけど

激突!

いや〜面白かった
噂には聞いていたけど、なかなか見る機会が無くて、と言うより、わざわざ観る程の情熱も無く機会を待っていたので、実に公開から43年も経ってしまっていた。
すんません、ナメてました、内心。

スピルバーグが有名な人気監督なのは百も承知だし、実を言うと私の映画遍歴(笑)は『レイダース』やら『E.T』なんかがスタートラインだったりするし、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』も面白かったし、茶化したり(『グレムリン』)けなしたり(『A.I』)毒づいたり(『ターミナル』)してはいるけど、ついでに怒っちゃう事もあるんだけど(『太陽の帝国』『カラー・パープル』)そこそこ好きだったりもするのよ。
なかなか好きな方のスピルバーグ映画の感想文が書けないだけで、うん。

でもって用心深く結末とかは目に入らないようにやり過ごす事40余年、ついに観ましたよ。
まあ、かのスピルバーグの出世作、という予備知識は残念ながらあったものの、本当にハラハラドキドキ楽しめたし、全然飽きる事無く見入ってしまった。
凄いよ、やっぱり。
このシンプルな映画に、人間ドラマは殆ど見当たらない。
伏線も無ければ種明かしも無い。人間関係も、愛憎も、背景にあるのだろうけどほぼ見えない。もちろん恋愛も女の色香も入り込む隙は無い。
あるのはただ、恐怖と生存意欲とスピード感。
正しく、シンプルなスピルバーグ、なのだと思う。

謎の蛇おばさんとか、スクールバスの可愛くないガキ共とか、各所に小技も利いているものの、基本は砂漠の一本道を巨大トレーラーに追いかけ回される、というだけの内容。
ハッキリ言って主人公に魅力があるワケでもなく、たいした思い入れも無く見ているはずなのに、どうしてこうもハラハラしてしまうのか?
むしろスピルバーグが人間の感情とか、社会や平和を語り出すと、そのあまりに単純な独善性にゲンナリさせられてしまうのだが、この手の脊椎反射的興奮を描かせたら抜群だ、と思う。
やはりこういう点においては、希有の天才なのだろう、スピルバーグ監督。

ゲッタウェイ

映画にも賞味期限はあるのだな、と、こういう映画を観ると思う。
公開当時はシビレる程かっこよかったのかも、と。
今になって初めて観てしまうと、音の入り方一つ取っても古臭くて、残念だ。

それはともかく、冒頭でドン引きしてしまった。
刑務所を仮釈放になった主人公、迎える美人妻。で、何をやるかと思えばまた強盗と…アホやこいつら
そうそう、流行ったわこういうの、なんだろう、ヤクザ映画にファンが多いのと同じ?
おまけに夫の釈放は妻の寝技によるらしく、それ知った夫がまた怒ったり(笑)

終始機嫌の悪い二人はあまり魅力があるとも思えないが、スティーヴ・マックィーンは渋くて男前だしアリ・マッグローも美しい。なんかこの人は独特と言うかヨーロッパ系の風格があるね。アホ女の役でも。
今となってはありきたりのドンパチがひたすら繰り広げられ、当時の傾向としては二人で死んじゃってもOKだったと思うんだが、タイトルが『Getaway』なんで、逃げ果せるのは予想できちゃうし、そうでなくてもこのバカ夫婦にあまり思い入れができないし。
殆ど唯一「おおっ!?」と目が覚めたのは、追い回されてヨレヨレの二人が普通に道を歩きながらキスするシーン。
まあなんて自然に普通にしてくれちゃうのだろうと。
やっぱ白人はスゴイわ(笑)。

なんかご免なさい、私この手の70年代ニューシネマっての?とっても苦手だったんだわ。
おかげで本格映画観賞デビューが二十歳過ぎちゃったんだよなぁ。(あ、歳がバレる…ってバレてるか笑)

ゲット スマート

予告を見て大笑いして、てっきりアメリカ的ドタバタコメディのスパイ版、とばかり思ってしまって、意外と真面目な内容に(心の準備が無かったせいか)初回は居眠りしてしまった、ご免。

各所のギャグはそれなりに笑えるんだが、何となく散漫と言うか半端な印象は否めない。
ヒーロー役の俳優スティーヴ・カレルも、キャラクターのマックスウェル・スマートも、共にかっこいいんだか悪いんだか…って言うか、かっこよくはないわな。
ここら辺を"いい味"と感じる向きには良いのでしょうが、私は正直、物足りない。あまり個性的にも見えなかったし、なにせかっこよくないし。かと言って目を覆う程の見苦しさも無い、という。
リトル・ミス・サンシャイン』のゲイの叔父さんなんかは、とても個性的で良かったし上手い役者と思ったんだけどな。でも主役ではやはり、食い足りないかも。

脇役はとても楽しくて、チーフのおじさんも、オタクっぽい事務職コンビもいい感じ。
そして何と言ってもザ・ロック様改めドウェイン・ジョンソンがもう…!登場シーンの受付嬢と、多分同じ反応してたわ、私(笑)。
ホンのオニギヤカシかと思いきや、予想外の大活躍!で、もはやこの人が俳優以外の何かだったのが不思議な程だ。
そしてアン・ハサウェイの美しいこと!
私の知る中で彼女のNo.1ビジュアル映画だわ。まあそれだけでも観る価値アリ。
特にボブカットのイヴニングドレス姿は最高だった。
その姿でのダンスシーンも、"スマート"とおデブちゃんペア含め楽しく見応えがあった。
ちょっとオゲレツな飛行機のトイレのシーンも、続く脱出シーンも面白かった。
役に立たない音声シールドの件も笑ったし、チーフ串刺し未遂の会話も秀逸だった。
大男とのやり取りから敵方ボスのラストまでの流れも楽しめた。
…でも、大筋が地味でな。まあロック様の大活躍&ドンデン返しは嬉しかったんだけど。

ゲットバック

えーと…ニコラス・ケイジ、お疲れ様
財政難と巷の噂だが、こんな事を続けてると信用を失うよ、というレベルのやっつけ感。
私としては、容姿は全く好みではないけれど、「この人の出る映画は面白い」と信頼できる俳優の一人だったのに、ぐらつき始めていますわ。

何がダメとかそういう問題じゃなく、もう何処を切っても新鮮味が無い、「どっかで見た」印象ばかり。
「血の繋がった娘=全幅の愛を注ぐべき存在」という不文律に頼り過ぎなのか、父も娘もキャラクターに魅力(特徴、と言ってもいい)が無く、二人の関係性も印象的なものが無い中で、「娘助ける!犯罪やる!やったーざまぁ!」で押し切られても、心は全く追い着かない。
イカレた悪役で元相棒のヴィンセントも、けっこうな設定の割に印象が薄く怖いというよりウザいだけの奴。手強くもない。
なんで仕事のタクシーに人質乗せてウロウロすんねん。客断れないしイイ奴か?
昔狙った銀行に金塊が積まれてたと言っても8年も前、しかも大金盗み出されてるのに同じ所にあるとも限らない(私なら別の場所を考える)のに疑いも無く盗みに入り問題も無く盗み出す。
って言うか「投獄されて反省した!足を洗って真人間!」のはずが即座に「娘助ける!金塊盗む!」になる辺りも呆れるし(そこに何の葛藤も描かれない)昔組んでた美女がホイホイと協力しちゃうし(普通迷惑でしょ…)(私が美女ならニコケイには靡かないよ…)執拗に金の行方を追ってたはずの刑事は犯罪を見て見ぬ振り(捨てちゃえばいいさ?)決め込むしetc.etc…

これだけ内容が雑なら、せめてアクションくらいは力入れて作りそうなものだけど、これまた印象に残るシーンは無かった。
聞けば監督は『コン・エアー』の人だとか。
あんなに面白かったのに、二人揃ってなにやってんだ?

ゲド戦記 

う〜ん。聞きしに勝るとはこの事か(もちろん悪い意味で)。

背景(だけ)が美しいのが、もはや悲しいという。
監督はド素人でも脚本は…と、思ったら、脚本まで手を出してたのね、ジュニア。
原作は全く知らないけど、壮大な世界観を切り取って繋ぎ合わせようとした結果、ワケ分からん上に平易なモノになってしまったのだろうと、想像に難くない。
せめて出し惜しみせずに、ドラゴンとか最初の方で出してくれたらまだ世界観が伝わったかもしれないのに。あの塔の上での唐突なドラゴン登場が、殆ど唯一のクライマックスになってしまっている辺り、もうどうにもこうにも。
悪役の兵隊等のコメディタッチ?なオーバーアクションは、全く父親譲りなんだけど、根本的に好きじゃないんだな、と再認識させられた。

ジブリ作品ではたいがいイライラさせられる声の出演は、やっぱりいつものジブリテイスト。
風吹ジュン、田中裕子、香川照之と、いつもは上手い俳優さん達がこぞって酷い。アニメの声って普通の芝居と全然違うんでしょうかね。それとも演技指導の問題か。
ヒートアップしてからの田中さんは流石だったけど。

ご苦労様でした。

恋人はゴースト

リース・ウェザースプーンさぁ。
あのへしゃげた顔が、どうにも苦手。
彼女の演る役柄は前向きで明るくて(『キューティーブロンド』『メラニーは行く!』)好きなんだけどな。
今回も、かなり好みのシチュエーションのラブコメで、楽しかったんだけど……へしゃげてるんだよね、顔が。表情も笑顔はともかく、おデコにシワ寄せたり口が尖ったり、品が無いのが気になって、どうも好きになれない。
ついでに相手役の彼も、暑苦しくて苦手な顔だった、残念。

でも、ストーリーは他愛無いけど面白い。
自分が死んだのに気付かない幽霊、というのはわりと見るが、今回のヒロイン・エリザベスは昏睡状態。
借り主エリザベスが昏睡中のため月極家具付きで貸し出されたアパート(そんな事あるのか?アチラでは)に一目惚れしたデヴィッドが住み出すと、そこに"生き霊"が現れる…。
分かり易い楽しい展開で、もう出会いから二人のハッピーエンドは確信できるし、えげつない悪役も可哀想なまま終わってしまう人物も無く、本当に気持ちの良い王道のラブコメになっている。
ただね、顔がね……目元が鼻筋ごと凹んでると言うか、鼻の下から出っ張ってるし。顎もシャクレてるし。
ラブコメのヒロインというのは、そんなに素ん晴らしい美女でなくてもいいんだけど(モニカ・ベルッチやヴィヴィアン・リーでは笑えない)、何と言っても"かわいく"なくては。全盛期のメグ・ライアンとか、私の大好きなゴールディ・ホーンとかさ。カワイイでしょ?へしゃげてないでしょ?

お姉さんも良かった。包丁振り回すのはちょっとやり過ぎな気もしたけど、「妹の望みを初めて聞いてあげたい」とか、ちょっと泣けたわ、大間違いなんだけど。
J.Jも愛嬌タップリで良かった。ココで繋がるか!と、感動したわ。
運命の恋、という点でロマンティックだし、肉体を離れる事で自分を見つめ直すヒロイン、最愛の妻を亡くした悲しみから立ち直る相手役と、真面目に見ればそれなりに感動要素も用意されてる。
ヒロインが執着するアパートも、都会的で素敵な部屋。
本当に良く出来た、ラブコメのお手本みたいな映画なんだけど、うーん。
ヒロインの顔がね………。

恋のじゃま者

『スプラッシュ』は'84年、『パンチライン』『ビッグ』が'88年で、これはちょうど中間の'86年公開。
なるほど、初期の"イモ兄ちゃん"から全盛期入り口の"個性派俳優"に移り変わる中間地点、というのが良く分かる。
そしてもうちょっと、いい邦題は無かったんでしょうかと。
原題は『NOTHING IN COMMON』全然"恋"関係無いし、本編の内容的にも"恋"じゃない。まさか親の介護は恋の邪魔とか???

と、いうワケで、内容は意外に深刻な親子問題、老夫婦問題だったりするんだが、時代が時代な上に主人公の職業が広告代理店と来てるもんで、冒頭の軽薄感は凄いモノがある。
最後まで我慢して見ると、そういう軽薄な男にも色々あるのよ、というのが分かるようになっていて、落差を狙ったのかなとも思うけど、なかなか入って行くまでに苦労を強いられた。
そもそもトム・ハンクスってモテモテ男を演るには容姿がイマイチ
口八丁でマメで仕事がデキる男がチヤホヤされるのは現実的ではあるけど、映画の世界ではもうちょっと、見目麗しい男でないと説得力が無い、と言うか楽しくない。

母親役のエヴァ・マリー・セイントが素敵だった。あのご高齢にして美しく可憐で初々しい。
あのお母さんの設定上"セカンドヴァージン"拗らせてる人なので、ピッタリだったと思う。
可哀想な人なんだけど、これからでも幸せに生きて欲しいわ。
父親も悪気ばかりじゃなかったんだけどねぇ。悲しい結婚生活だったね。
そしてそれを知り、両親の破局と向き合って、まあ色々気付いて行くんでしょうが、ハンクス演じるデビッドが。
父も母も気持ちは分かるだけにね、一人っ子で逃げ場がないというのもあるけど、どうもこの主人公、最後まであまり思い入れができなくてな…「僕は下宿屋で育ったのか!?」というくだりは胸に刺さったけど。

仕事も結局酷い状況でブチ壊して、学生時代の恋人に甘えて。
それだけ余裕が無かったと言えばそうなんだが、元カノの家に夜中に押しかけて相手の男にカラむとか、仕事先での暴言とか、あまりにもあんまりだと思って見てたんだけど、結局彼女も社長も彼を許して暖かく受け入れる。うーん、ハートウォーミング!?
ハゲの社長はイイ味出してたな。
航空会社の社長令嬢役のセーラ・ウォード、『逃亡者』でも思ったけど、若い頃からやっぱり顔が怖かった(笑)。
でも、最後に「毎日が楽しかったのに」と告白するところは可愛かったな。顔が怖いだけに、余計に。

身に詰まされる問題ではあるし、老夫婦のやり取りや仕事現場の様子なんかはなかなかリアル感があって面白かったんだけど、何だかバランスが良くなくて、楽しみ切れなかったのが残念。

皇帝ペンギン

ペンギンを擬人化して男ペンギン、女ペンギンに喋らせるのは、私としては興醒めだった。(吹き替え版で見たせいもあると思うが)
南極の景色は素晴らしいし、撮影隊はそれはそれは大変だったろうと想像に難くないので、楽しく観ないと申し訳ないのだが、正直あまり面白くはなかったな。
やってる事は子作り・子育てばかりだし、その過酷な内容は知識としてもTVのドキュメンタリー等でも織り込み済みで新たな驚きも無かったし。
雪と氷の南極の景色も、綺麗だしそれはそれは珍しい世界なんだけど、本当に申し訳無いが白一色ですぐに飽きてしまった。

しかし中でビックリしたのは、繁殖期のカップル成立のシーン。
甘〜いフランス語の囁くようなボーカルに乗せて、雌雄ペンギンが絡む様子をオーバーラップで重ねて見せる…あああ、流石はフランス製作(笑)。
まあ言ってみれば"濡れ場"なんですけどね。
このセンスが好きになれるかなれないかで評価は分かれるかも。
私は残念ながら後者でした、はい。

それに反して、日本語の吹き替えに当たった石田ひかり、大沢たかおは全く色気皆無の発声で、まるきり教育用ビデオのよう。
どうせならちゃんとやれ。
あと、群れのシーンで唐突に声が始まるんで、卒業式の呼び掛けみたいでちょっと気持ち悪かった。

あと、ペンギン好きだけど、皇帝ペンギンは中では可愛くないよね。
大き過ぎて頭身も高過ぎるし、顔が真っ黒で目も小さめで黒いので、目の存在が映らない箇所もしばしば。
表情が読めないと、思い入れも持ちにくい。
過酷な繁殖方法に力を注ぐあまり、ほぼいきなり雪中行軍が始まってしまい、例えばもう少し日常生活的な部分で魅力的なところ(遊んだり、餌を摂って食べたり…)を見せてもらえた後だと全然違う想いで見られたと思うんだけど。
例えば動物もののドキュメンタリーだと、群れの中から一頭(もしくは二三頭)選んで名前付けて追跡したりするよね?
せめてそういうのやってくれたら見易かったのに。

途中何度も寝てしまって、巻き戻して観て、どうにも退屈なまま終わってしまった。
撮影隊の方々には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
こんなに映画観てすまながったのは生まれて初めてかも。

荒野の七人

うん、取り立ててどうという特徴も無いストーリーなんだけどね。その分、王道と言うか。
単純明快であまり深追いしないながら、それぞれの事情や思惑がほの見えて、良い奥行きを感じさせる。
残念ながら、映画にも賞味期限はあるかな、と思う事も多いけれど、コレはまだ悠々期限内でした。聞き慣れたテーマ曲も本当に心地良い。

なによりメンバーの、かっこいい事!
精悍を絵に描いたようなユル・ブリンナー、アメリカ人らしいハンサムのスティーヴ・マックィーン、渋くて男臭いけど愛嬌のあるチャールズ・ブロンソン、キザな伊達男のロバート・ヴォーン、孤高が似合うスマートなジェームズ・コバーン……えーとこれで5人か(笑)。
ブラッド・デクスターとホルスト・ブッフホルツの二人は私は知らなかったんだけど、どちらも必要不可欠な愛すべきキャラクター。無駄というモノが無いよ、うん。

黒沢映画がベースという事で、なるほど農民が掌返したりシタタカだったり、最後は何故か農民讃歌で締めて来るあたり、そんな感じ(笑)。
でも私個人的には、西部劇だからこそ楽しく見られた、という気がするな。
メンバーの死亡率が意外に高かったので、単純に娯楽作品と言うには悲しかったけど、それだけ死んで行った彼らに思い入れができたって事だよね。

しかし古いアメリカ映画を見ると、俳優さん達が本当に素敵。女優さんも綺麗だけどさ。
ジャンクフードとTVゲームで身体も心もブヨブヨなんじゃないかと思ってしまう、今のアメリカは。

続・荒野の七人

チコ、人が違う、って言うか人種変わっちゃってますけど!(爆笑)

まあいいや。
楽しかった『荒野の七人』の流れで観て、まあ続編だしね、という程度ではあったけど、そこそこ面白かったし力作だったと思う。
前回のいかにもクロサワな農民ワッショイのプロットよりも、こちらの方が好みだったりするんだが。
悪役と息子との軋轢とか、もっと生かせたら私好みだったのに、ちょっと薄くて残念。
かろうじて主演のユル・ブリンナーは続投だし、印象的なテーマ曲もあるしで、ああ荒野の七人だな、という気持ちで観られた。

とはいえ、"七人"揃えなきゃならないのに前回の豪華キャストには遠く及ばず
それなりにキャラクターを揃えても、役者の華やかさが足りなくて、誰が誰やら…チコは鮮烈だったけど、他の5人ね。
7人というのはチームとして一気に把握できる限界数だと、私の弱い頭は感じているんだが(故に『十三人の刺客』とかは映画は面白くても各キャラ全員に思い入れできるまではいかない)、そして前作は見事に成功しているんだけど、今回はそうはいかなかった。
続編にありがちな形だけなぞった薄味のコピーになってしまったのは残念だが、逆に続編によくあるように予算はいっぱい出たのか、群衆シーンの迫力はナカナカ。
CG頼りの昨今では、もうお目にかかれないであろう、大量のエキストラ&スタントマンによるカラダを張った豪華な決戦シーンが楽しめる。
背景や舞台設定も、前作よりエキゾチックな要素が多く(チコの顔とか・笑)ごった煮好きの私には楽しめた。

何と言っても、事実上のクリスの相棒であり、少ない生き残りのヴィン役に、S.マックイーンを連れて来られなかったのが、最大の痛手だったよね。チコはともかく。
酒場で再会するシーンでは「誰!?」って思ったもん。

新・荒野の七人/馬上の決闘

まあシリーズが進むに連れて劣化して行くのは世の理としても。
どう考えても、ユル・ブリンナーを捕まえられなかった時点で諦めるべきだよね、この企画…。

って言うか前作でも"ニコ"の変更がそうだったように、この代替わりはあまりに俳優のイメージが違い過ぎてる。ぶっちゃけ人種が違う(爆)。まあユル・ブリンナー似の俳優なんてなかなかいるものじゃあないけれど。
どうせならもう、"クリス"は忘れて全然別人を主人公に据えて、雇われ用心棒が7人集まる、というコンセプトだけでも良かったのでは。ってタダの西部劇じゃん(笑)。

内容的にも、いつもの勧善懲悪ではあるものの、悪役サイドの残虐ぶりが凄まじくて、いったいコレはナニ!?と、固まってしまった。
いわゆるマカロニウェスタン(殆ど見た事ないけど)の流行りを受けてのマイナーチェンジだったのか???
別にハラワタが飛び出る画像があるワケではないけど、大人数を首だけ出して地面に埋めて馬に踏み潰させるとか…えげつないことこの上ない。
あまりに印象が違うし、ヒーローもすっかり老けてヨボヨボなので、てっきり『続・荒野の七人』から相当経っているのかと思いきや、『2』が1966年、『3』は1998年と続けて作られているのにもビックリだ。

看板の「七人」は、それぞれ工夫の凝らされた、一応個性的なキャラクターを与えられてはいるものの、大半があまり役に立ちそうになく実際そのままで終わってしまったのは残念。
それにしても最初の『荒野の七人』は華のある役者を揃えていたなと、改めて感心する。
この後さらに『荒野の七人/真昼の決闘』というのが待っているワケだが、うーん。

…で、馬上の決闘は、いつやったんだっけ???

聲の形

なんかイイ話風にまとめる事に終始して御都合主義が鼻につく、かなり不快な映画だった。

イジメにも程度というモノがあって、この"石田"のやり口はもう、子供のイジメの域を大きく踏み外してしまっている。
子供とは言え小学生も多分高学年で、聾唖者の補聴器を取り上げて放り投げるとか…正常な脳の持ち主なら、やっても一度で懲りる。周囲がハッキリ咎めなかったとか、関係ない。
母親も妙に甘くて大丈夫なのかと思ったが、終始この人は正しい側として描かれていたように思い、それも気持ち悪かった。

日本のアニメやゲームは今や世界的に人気を博しているが、海外のファンに唯一受け入れられない謎が「ドS」「俺様」等、傲慢で乱暴な男子が「素敵な異性」として描かれる点だ、と聞いた事がある。
実は生まれた時から日本人である私でも全く理解できない。
子供時代とはいえ常軌を逸した酷いイジメをした男子と、イジメを受けた身体障害者の女子が高校生になって心触れ合わせ恋に堕ちる…いやいや、多分西宮の方は最初から石田に気があった?なんでやねん!!
ここからもう都合が良過ぎて入って行けない。

でもまあ、悪口ばかりでは何だから。
程度が極端過ぎるとはいえ、小学校での皆のイジメのエスカレートする様子はリアリティがあった。
極端に走る者、面白がって囃しつつ引いていく者、共犯と言われて泣き出す者。イジメ首謀者が次のイジメのターゲットになり、親しかった友人がそれを言いふらして孤立させる(それくらいされて当然だが)。
高校時代の主人公の孤独感も、私もその頃学校は居心地が悪かったので、体感としては良く分かる、伝わる描写ではあったと思う。

私は最初、黒髪美人の"植野"がヒロインかと思った。
彼女を悪く言う人は多そうだが、作中一番物事の本質を突いて来る正直な人だと思う。
さすがに本人には言わないまでも、「あなたの事は嫌い、でも嫌いなまま付き合ってく」というスタンスは極めて普通で常識的なのに、相手が障害者だと認められない空気があるよね。だから彼女は口に出さざるを得なかったのだろうし。
それにしても西宮もそうだが、植野のような美人で行動力もある女の子が、なぜ石田なんぞを気にするのか?
粗野で乱暴なだけの四白眼小僧じゃん?
男向け漫画だなぁ、と諦めるしかないか。

救いというか本作の良心とも言える、"親友"永束君。
この子がいてくれて本当に良かった。
とはいえ、善良過ぎてサエない彼が孤立して友達を欲しがるのは分かるが、イケメンの真柴君までが石田に興味を持って接近してくるのはやはり謎。って言うかこの子必要だったのか?(目の保養枠ではあるけど)
石田、"主人公"という立ち位置以外になにか、売りはあるのか???

ラストシーン、学園祭の人混みで顔のバッテンがハラハラと落ちるシーンは感動どころなのだろうが、それ以前の積み重ねが(私の中で)ちゃんと積み重なっていないので、ただただご都合、ああ畳みにかかって来たな、としか思わず。
その前の、多分クライマックス?であろう、西宮が夢を見て夜中に走り出し、一方その頃石田も昏睡から目覚めて病院を飛び出して元気に走り、二人がいつも会ってた場所で巡り会う、という、もう本当にこっぱずかしくてね。

酷い言い方になってしまうが、あの自殺未遂で西宮が死ぬとか、あるいは石田が半身不随にでもなって、自分のして来た事の意味に気付かされるとか、そこまでやってもらえたら評価したかもしれない。
むしろますます不快感を募らせた可能性も高いけれど。

ゴースト&ダークネス

基本つまらなかった。
ライオンは凄いんだけど。
ライオンというのは一夫多妻のハーレム社会で、と、いうコトは相当数の雄が社会生活(と言うか繁殖生活)からアブれるというコト。そういうあぶれ者は当然のように荒れてるケースが多く、ここまでではなくても凶暴化しても不思議は無いと。
二匹で暴れるというのも何だかリアリティがあって怖い。
もっとライオンに焦点を当てて、狡猾さや賢さ、個々の個性なんかを見せてくれたら面白かったと思うんだけど、残念ながら視点は完全に"猛獣退治"側で、しかもしの人間があまり、よろしくない。
主演二人(マイケル・ダグラス&ヴァル・キルマー)がバカっぽくてな(笑)。

ダグラス鳴り物入りで登場の割に全然役に立たないし(笑)
あまりにも頭使わなさすぎ!本当に凄腕なのか???失敗だけ繰り返してすぐ退場しちゃうし、なんだかもう。
ヴァル・キルマーに至っては、元々頭悪そうだからなぁ……なんかなんとなく勝ったよ、みたいな展開で。
唯一「ひいい!やめてぇ!!!」と思った妻子が襲われるシーンは夢オチというお粗末。
96年公開ならCGはすでに普及してると思うんだが、肝心のライオンが出番が少なくて残念だった。(いえ、CG丸出しのアニメ画面が見たいワケではないのよ、決して。)

しかし実話と聞いて、あまりボロクソ言いづらくなった。
それを踏まえると、実話モノにありがちな、逸脱できず、登場人物を落とせず、窮屈で退屈、という、良くないところを集めたような出来で、ある意味良心的とも言えるかも。
被害者にとってはまさに地獄、ライオン、それも雄が本気出したら人間なんてひとたまりも無いわな…。

ゴースト・オブ・ガールフレンズ・パスト

コンドーム爆弾とか(笑)

クリスマス・キャロル』(の猟色版)だな、というのはすぐ分かるし、本命の彼女が誰かもすぐ分かるので、展開のワクワク感は無い。
それにぶっちゃけ、主演のマシュー・マコノヒーはたびたび口をポカンと開けてあまり魅力的でなく、ヒロインのジェニファー・ガーナーも硬い印象で、役柄的にもギスギスして魅力が無かった。
"プレイボーイの純情"にはふさわしい相手なのかもしれないが。
でも、その他の結婚式の付き添い人達や、女性秘書、花嫁の母親に至るまで美人揃いで、目には楽しい映画ではあったな。

そして、大筋はもう決まっているも同然なのだから、細部が勝負所なんだが、まあ悪くない。
冒頭のウィリアム・テルから笑ってしまったし、コナーがプレイボーイなだけでない、やり手のカメラマンだという事も分かるし。
ウェディングケーキ崩壊の件はちょっと、いくら何でもウンザリだったが。アメリカ人ってこういう、モノ壊す系大好きだよね。私は苦手、基本ケチだから(笑)。
あの床に散らばったケーキを再構築して、皆で食べたんでしょうか…(汗)。

マイケル・ダグラスのロクデナシの叔父さんも、いい味出してた。
この人あまり好きじゃなかったけど、歳取ってからはいいな。
恋愛物の二枚目役とかは受け付けないけど、クセのある役は上手いと思う。

監督は『恋人はゴースト』の人か。
なるほどね。手堅い作りでいいかも。私は『恋人〜』の方が好きだけど。
絵もとても綺麗で、雪の田舎町とか、結婚式の会場とか、見ていて楽しかった。

"未来の精霊"役の女優が、どえりゃー美人さんで、台詞が全く無いのでもしやと思ったら、やはりロシアのモデルさんでした。
オルガ・マリオーク。美人なだけじゃ何とも言えないけど、覚え書き。
劇中の白いローブも良く似合ってたけど、せっかくなら美しい身体も見せてほしかったな。

そして、まさかのケイコ再登場!も笑った。

ゴースト・オブ・マーズ

欧米人のゾンビ好きって本当、何なんだろう、って思うんですけどね。
一つには土葬というのがあるので、想像しやすいのは分からないではないんだけど。
…余談ですが、土葬のさいに「土に帰る」とかではなく、遺体を薬品加工して腐らないようにするんだとか。
そうすると映画のようなデロデロのゾンビではなく生きた人と見分けが付かなくて、それはそれでイヤだよねぇ(笑)。
で、とうとう火星にまでゾンビを登場させちゃった、本作。
大好きなカーペンター監督だし、その色はとても濃厚なんだけど…イマイチ。
いえ、かなり楽しかったんだけど、うん、期待し過ぎたのかな。

ヒロインはスレンダーでスタイル抜群の女優さんで、ジュリア・ロバーツをキチンと整えたような美女。
と、思ったら『スピーシーズ』でしたか。そりゃ美人だわ。宇宙船の制服も部屋着?の青いセーターも、スタイルがいいから見栄えが良く魅力的。
美人な上に勇敢で冷静で、長い手脚のアクションも上々。

ナタで缶開けようとして…のシーンは、本当にダメだった。
ゾンビにバリバリ食われたり首がチョン切れたりするよりリアルに想像が及び過ぎてコワイ(泣)。

ハゲ前夜のJ.ステイサムが、何と言うか、キモくて笑える。
彼にも若い頃があったのね、と言うか、まあ当て馬役だからね。
でもいいカラダで色気があるのは昔から。そこがキモいという皮肉(笑)。
乗組員の青いセーターも良かったが、隊長のレザーコートも素敵だった。

アイス・キューブの悪党?も、とても良かった。
金髪ショートのおばさん(クレア・デュヴァルのバシラ)もかっこよかったし、なんか彼女には思い入れできた。
ウィリアムズ(キューブ)との別れのシーンも"男の友情"って感じでいいよね(笑)。

うーん。
あまりマイナス要素が思い出せないんだけど、観てる間にけっこう退屈しちゃったのよ。
もしかしたらカーペンター自身が、「自分はB級」って設定しちゃってたのかな、という気もするような。
嫌いじゃない、でもちょっと物足りない。
やはり『物体X』や『ニューヨーク1997』が好き過ぎるんだな、私。

ゴーストバスターズ

ああ、良い時代だった(遠い目)。

これ、実はそんなに特別面白いとかでもないんだけど。笑える部分も意外と少ないし、けっこう中盤ダレるし。
でもね、あのテーマ曲を聴くと胸が踊る。
何と言うか、とてもパッケージがカワイイ映画だったな、と思う。
陽気で耳に残るテーマ曲に、剽軽なゴーストが"進入禁止"マークに引っかかってるポップなロゴマーク。
当時目新しかったCGに我々は目を見張ったが、"ゴースト"という素材は今思えばとてもCGと相性が良かった。
そして"バスターズ"達の、消防士みたいな宇宙服みたいな服にランドセル背負ったみたいなスタイル。イケメンじゃなくて凸凹のオッサン3人組(途中取って付けたみたいに黒人新入社員が入ったのには恐れ入ったが)というのも楽し気で良かった。

とは言えこの手のモノは、そんなにストーリーに凝ったり奇をてらう必要は無くて、プロットはむしろシンプルな程良いのかもしれない。
ゴースト出ました、ちょっと苦労したけど、やっつけました。期待される基本はそれだけだもの。
後はキャラクターと、ネタ(ゴースト)でどれだけ楽しませてくれるか、なんだけど。

まずはシガニー・ウィーバー姐さんが、珍しく美人枠で(笑)登場。憑き物ガラミとは言え色っぽく頑張る姿は希少価値アリで、長身でクールな美貌の彼女が小柄ブサ男のリック・モラニスとキスシーンとか、珍しい絵面が見られたし。
三人組、ビル・マーレイは胡散臭い(『ロスト・イン・トランスレーション』でちょっと嫌いになったが)し、ダン・エイクロイドは黙ってても愛嬌タップリ、ハロルド・ライミスは学者っぽくて、このチームのなけなしの信用要素になりそう。一人一人は単なるオジサンなんだけど、3人並ぶとなんだかカワイイ。あと黒人ね。
不思議ちゃんな秘書の女の子や嫌味なウィリアム・アザートンなんかも印象的。

そして、公開当時は本当に驚いた、数々のゴースト達!
図書館でいきなりピギャオァ〜!!!って来たのにビクッとなり、摩訶不思議な緑のモコモコに薄笑い、地獄の犬にドッキリし、憑依されたシガニーにドギマギ…で、マシュマロマンね。
うん、私わりと好き。あそこでマシュマロマンっていいよね。造形も表情も、とっても可愛くできてて、そのカワイイのが凶悪な顔になって迫って来るとこは本当に笑ってしまった。
なんか遊びに夢中で野生に帰ってる猫みたいな顔でな。
バカバカしいならこれくらいやってくれなくちゃ。
そして何と言うか、世界の危機だってのに、どこかノホホンとしたバスターズの空気感も好き。

コメディだと思うと案外笑うシーンは少ないし、子供向けにしては会話がウィットに富みすぎてるしシガニーさんは色っぽいし、もちろんホラーとしては怖くなくてSFにしてはいい加減すぎる。
そんなユル〜い、でも一流のコメディアンと、一流の女優と、当時最先端の技術でもって作り上げた、結果ユルユルの世界観。
嫌いじゃないです、と言ったら控えめ過ぎる、うん。

ゴーストライダー

何が凄いって、かつてこんなにも似てない子役(しかも幼少時ではなく青春時代!)を使ったハリウッド映画があっただろうか???
エヴァ・メンデス様の方は比較的似せる配慮を見せているが、あのオールアメリカンなハンサム君が長じてイタリア系丸出しのニコラス・ケイジに変身するとは…なんともはや(笑)。

ケイジ、オタクなんですってよ。
だから演技派俳優の名を欲しいままの彼が、こんなおポンチ映画もノリノリで出演だったらしい。
そして、実はけっこう、悪くない、このケイジ。
メフィストのピーター・フォンダも良かった。
こんなマンガな映画にこの豪華キャスト。無茶だ(笑)。
白塗りの"ブラックハート"が、ちょっと中途半端で弱かったのは残念。お伴の凶悪そうな連中は良かったのに、なんか強そうに見えないんだもん、あの白塗り。

炎が顔(と言っても骸骨だけど)と手にメラメラ燃えてる、というデザインは、いかにもマンガらしくて、そんな企画を大真面目に実写で撮ってくれる心意気が嬉しいし、それを可能にしてくれたCG技術にも感謝したい。
お父さんの件は可哀想だったな。『猿の手』みたいだ。
エヴァ・メンデスは終始胸の谷間を全開にしてて、容貌と同様に攻撃的な女かと思いきや、健気で可愛い人でした。
あのキツイ顔で、高速を追っ掛けて来て口説きまくる元彼にほだされていく表情が、なんとも可愛かったな。

結末はちょっと、「えー?」と思ってしまったのだが、悪魔の言葉を真に受けてロクな事は無いのはパパの件で学習済みだったっけ。
続編とか狙っていたんでしょうか…そしてエヴァ様は納得した様子だったけど、このまま付き合い続ける気だったんでしょうか。
なんか次があったら観てしまいそう。くだらないんだけどなぁ。

コープスブライド 

まずはCG全盛のこのご時世、実写で撮れるモノまでコンピュータに寄りかかる映画が多い中で、実物のクリーチャーをコマ撮りして映画を作ってしまう、ティム・バートン監督に乾杯。
デリケイトで湿り気のある柔らかな画面は、おそらくどんなに技術が進んでも、CGでは追い付けないだろう。CG作る人達は、そんな事気にもしないかも知れないけど。
ストップモーションアニメとしても、もちろん最高の技術とセンス。"花嫁"のヴェールのなびく美しさを見てやってよ。

ストーリーは単純で、他愛ない物だし、上映時間も短く(長くしろ、なんて酷な事は言いっこなし…)、ご都合主義的展開も無いではない。
でも、ファンタジックで精度の高い画面は、短時間でも充分堪能できるし、変にひねらないストーリーも、むしろ好感が持てた。
『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』に比べると、内容は少し食い足りないような、逆に嫌味も薄くなって見易いような。
いつもながら、音楽も最高。
死者の世界の祝宴等、溢れる色彩とユーモラスな動きに負けないジャズが被さって、ワンシーンだけでも独立した傑作だ。

なにより主要キャラクターが愛らしく、とても魅力的。
成金の息子でちょっと気の弱い優しいビクターと、政略結婚の相手ながら純情で奥ゆかしく可憐なビクトリア、もう死んじゃってるけど素直で無邪気な美女(だった死体)のエミリー。三角関係の3点が、それぞれ個性的で「いい人」で、でも欠点もあって。
ビクターは情け無く優柔不断だし、エミリーなんて目に虫が住んでる
でも、その表情は透明で、とても愛らしい。ついでに、目の虫も可愛い(笑)。
バートンさんて本当に犬が好きだよね。ガイコツ犬の可愛さには、胸がキューンとなってしまった。

DVDの特典映像には、とても楽しいメイキングが入っている。
オタク野郎が大集結。頑張れ。

氷の微笑 

えー最初にネタバレをば。
おっぱいの形見てれば真相はバレバレ」。
当時話題作だったこの映画の、モヤッとする結末に対する口コミでありました。
もうちょっと考えられなかったのか、女優の体型なり、撮り方なり。もったいない(笑)。

いわゆるアレですよ、「一夜を共にしたセクシーなお相手がヤバかったら怖いよね」パターン(『危険な情事』『白と黒のナイフ』『テイキング・ライブス』)の、王道。
なんたってこの手の企画としても群を抜いて、シャロン・ストーンは上玉過ぎる
普通に見てるとくだらなくて笑ってしまう白いドレスで脚を組むシーン(ビートたけしは「アタシがやりましたって言ってるようなモンじゃないか」と言っていた)も、ブロンドを夜会巻きにした彼女の絵的な説得力の前には降参せざるを得ない、見事なアイコンになってしまってる。
公開は1992年、20余年が経って見てみると、シャロンさんの眉毛の太さと黒さにちょっと笑ってしまうんだが、それでも圧倒的美しさと存在感は、変わらずグイグイと迫って来る。
悪女イメージが強いが、意外と顔立ちが可愛らしいので、チラッと見せる泣き顔や不安そうな顔なんかもグッと来てしまう。私が男だったら間違い無く、掌で転がされて瞬殺されてるわ。

ポール・ヴァーホーヴェンは『ロボコップ』を挙げるまでもなくイカした監督で、何を撮っても生々しい手触り感と言うかエロさがあるが、そういう意味でもこの作品は集大成のような位置付けと思って間違い無いだろう。
以後調子こきすぎて(笑)ラズベリー賞に輝いたりもしたが、実は私は『ショーガール』も大好きだ。

流行った頃に「どんな映画?」と聞かれて「綺麗なお姉ちゃんがエロい事する映画」と答えた。
今でも、この映画の価値は全くその通りだと思う。
でも、ドラマ的にも意外に面白く、結末を知って見直してもなお引き込まれる。
先に書いた「一夜を共にしたセクシーな…」と言うのが、この映画では実は双方向なんだよね。
ついついマイケル・ダグラス視点で観てしまうけど、コイツ相当ヤバいって!
まあ風呂敷畳むためというのもあるだろうけど、ラストのあの状況で発砲って、どう考えてもアウトでしょ。しかも"前科"があると繰り返し言われてて、セラピーまで受けてる(その相手に発砲だし)。
私的にはマイケルは全然「セクシー」ではなくて、その点まことに残念ではありますが。顔ソックリな父ちゃんは大好きなのになぁ。
さらに、気の毒な(胸の小さい)ジーン・トリプルホーンさんも、どうやら真っ白ではない。
この映画はそんな、二重螺旋が美しく絡み合って上昇して行く様を、ドキドキしながら楽しむための映画だ。そして上昇の果てには、パーンと弾けてホワイトアウト…。
極めてセクシーであります。

氷の微笑2 

うーん。いったいどういう企画だったのでしょう。
映画の"2"と言えば、2匹目のドジョウは小さいぞ、というのが相場だけれど、そもそも『1』が相当下世話な映画(その筋では良く出来ているが)であったので期待も怒りも無いけれど、それにしても、まあ。
だってシャーロット・ランプリングが出ているんだよ!?
ビックリだけど、そう言えばこの人、チンパンジーと×××…なんてのもやってたっけか。まだ観てないけど。

意外にもシャロン・ストーンは、前作と同じ女の役。
じゃあ結局マイケル君はその後殺られちゃったんでしょうか…。
しかし役名と職業は同じでも、ご病気はかなり進行した模様で、ミステリアスな美女はもはや色情狂のオバハンでしかなくなっていた。
前作が1992年、本作は2006年公開と、かなり月日が経ってしまってるから、実際シャロンさんの容貌も衰えてはいるんでしょうが、それ以上に脚本や演出の、彼女に対する扱いが安っぽ過ぎて泣けて来る。
髪型もストレートより以前のウェイヴ系が華やかでいいな。前作の白いドレスのようなインパクトのある絵も見受けられなかった(椅子の背もたれを前に大股開きで座るシーンがソレを狙ったんでしょうが…)し、うんまあ全体に凡庸としか。

前作ではマイケル・ダグラスは私的に全然セクシーじゃない、と書いたけど、今回の相手役デヴィッド・モリッシーは、俳優としても役柄としても、存在感が遠く及ばない。そうかマイケルはアレで華のある人だったんだなと再認識した。
何と言うか、必要な危うさが無い。
なんか最後イミシンだったんですけど…取って付けたようで。
この人がもう少しミステリアスな色気があれば(そういう演出がされてれば)、印象は違っていたのかも。

『氷の微笑』以降、「たとえ犬の役でも私が演ると決まった途端に濡れ場が追加されるのよ」とやら公言したという、ある意味聡明な彼女が、どうしてこのクソ企画に乗ってしまったのか、それもこんなに時が経ってから。不思議だ。
まあ、ラジー賞をいっぱい取ったというのは、注目度と比例するものだと思うので、あながち不名誉とばかりは言えないけれど。
そう言えばこの話、前作の裏返しみたいなところがあり、あまり時間の空かないうち、どうせならシャロンさんがもっと若い頃に、も少しセクシーな男優とやったら面白かったかも、なんて思ったり。
同じ脚本だったとしても、ポール・ヴァーホーヴェンだったら全然違うモノを撮っただろうな、と思わなくもないけれど、撮らなくていいよね、今更。

コール

うーん何だろう。
ケヴィン・ベーコンの犯人が、シャーリーズ・セロンの娘ダコタ・ファニングを誘拐。
私好みの豪華キャストで、普通に作れば充分面白いはずだと思うんだけど。
そうでもなかった。
役者(ケヴィンの妻役のコートニー・ラヴも含め)はそれぞれ熱演だしカラダ張って頑張ってるんだが。途中までは面白かったんだけど。
狙い過ぎ?

まず"誘拐"の真相と言うか真の目的みたいなのが出た辺りで私は興味を失ってしまった。
その上ソレが逆恨みと言うか誤解で、被害者夫婦に落ち度はゼロとか。
そう言えば、用意周到な常習犯のハズの犯人グループが、娘の病気を知らなかったのも「?」だったのに、今まで失敗ナシだった同じ手口の誘拐事件は言わばタタキ台で、この一家が本命だったと言うのなら、ますます慎重に下調べしそうな物なのに。
って言うかやっぱり、あの"復讐"ネタは蛇足だと思うのよ、どうにも。
いえ、それならそれで、もっと持って行き方があったと思うんだけど、前半は全くその予定が無さそうな作りで、後から思い返しても、犯人チームは「いつもの犯罪」をやってるようにしか感じられない。

それでも、"悪党"ケヴィンはなかなかチャーミングだし、セロンは美しいし大活躍で、良かったんだけど。
誘拐中の娘と母親を会わせるというような面白い場面も、シッカリと迫真の演技で見応えがあったし。
ドコやられたんだよ!?なケヴィンの弱りっぷりも、なんかリアルで面白かった。
コートニー・ラヴの、美人なんだけどどっか不潔なくたびれ切った感じも、良かった。
それだけにますます、取って付けたような犯罪動機→そうだウチの子にしちゃえ!→周囲を滅茶苦茶巻き込んでの壮大アクション!の、あまりにもテキトーな流れが残念で笑える。
あたかも「あ、予算余っちゃう!使っちゃえ」みたいな玉突きシーンはもうね(笑)。

いったいナニを考えて、あんなヘンテコリンな映画になってしまったのだろう。返す返すも豪華キャストがもったいない。
と言うか、もっとショボいキャストだったらここまでガッカリしなかったかも。ソコソコ盛り上がってはいたんだし。

追記:なんかモヤモヤしたので原作読んでみた。ちゃんとしてた。
やはり、映画化に当たって改変した部分が無理だったみたい。
ファニングちゃんをフューチャーしたかったんだろうか…いくら何でも、犯人が全員子供好きって無理過ぎだよね。そして原作ではいい味出してた“マヌケのマーヴィン”が、扱いが軽くて残念。
あ、ケヴィンが切られたのは太腿だそうです。ヨカッタ〜(なにが?笑)

ゴールデン・チャイルド

大の苦手のエディ・マーフィだけど、道具立てや背景、シチュエーションがシッカリして大掛かりな分、臭みが薄れたと言うか。
いつものようにうるさくなくて、見易い印象だった。
下ネタも抑え気味。
逆にエディのファンには、ガッカリなのかも。

"ゴールデンチャイルド"が恐ろしく賢く利発そうな少年で素晴らしい!
チャールズ・ダンスの悪役も相変わらず怖可愛くて最高。
ヒロイン?の女の子も可愛くて魅力的。ちょっと往年の美人女優・島かおりに似てる。
大僧正のおっさんも面白かった。

ストーリーの骨子は正直普通で、なるようになっていくだけなんだけど、キャラクターとエキゾチックな衣装や背景(と、あまり好みじゃないけどお笑い要素)で十分楽しめた。

チベットって美しい国だよね。守りたい。

コールドマウンテン

時代はアメリカ南北戦争。舞台は南部の田舎町。
と、来たら、当然思い出すのは『風と共に去りぬ』そして美しきヴィヴィアン.リーでしょう。
比べてはナンだけど、実際ニコール・キッドマンて、美人かぁ!?(いくらなんでもデコ長過ぎるだろー、鼻の穴丸見えだし…)
と、思いながら観ていたら、中盤お待たせのレニ−・ゼルヴィガ−登場。
…やっぱニコール、美人かも(笑)。

ま、そんな事は置いといて、過酷な時代だったんでしょうねぇ。
いろんな時代の戦争映画があるけれど、この時代って武器の発達具合とかがちょうどいい具合に凄いと言うか、生々しく残虐だよね。無政府状態のリンチ行為も残虐。
そういう意味での印象は強かったし、なんか思わせぶりな格調高い雰囲気があって、良くなるのかなー、と思ったんだけど。

確かに「美人」をかなぐり捨てたレニーは、充分楽しめたし良かった。最初たまげたけど、だんだん可愛く見えて来るし。
野生児レニーと深窓育ちのニコールの対比が狙いなんだろうけど、あんなワンダーウーマンみたいな体格で「役に立つ事は何もできないように育てられたの」は、無理があるのでは。私は笑ったな。
恋人役のジュード・ロウは、相変わらずのハンサムぶりだけど、こちらもあまり迫力なかった。(『A.I』も『リプリー』も良かったのに…)
脱走兵って、凄い大変な事だと思うんだけど……、なんか追ってる方が一方的に悪いみたいな描き方だし。
やっと巡り合えた恋人達とは言え、令嬢と最初のベッドインがあんなんでええんか!?と言うのも違和感。
ベッドと言えば逃走中かくまわれた若い未亡人のエピソードも意味不明だし。
なんとなく全体的に、キレイな雰囲気で表面的に流しちゃってる印象。
ストーリーは単純で、戦争で引き裂かれた美男美女、待つ女と帰る男、と、これがけっこうつまらない。
「コールドマウンテン」という土地の名も曰く付きで、わざわざモノローグで説明される割に、終わってみると「だからなんだったの」って、全然役割果たしてないし。
なんかジグソーパズルのピースが一つ二つ足りないままエンドロールが流れちゃった感じだったな。

告発のとき

怖いねぇ。
見応えありました。

戦争に関して、色々な切り口があると思うけど、例えば『フルメタルジャケット』がそうであったように、平和な世なら何とか押さえて生きられたであろう禍々しいモノが誘発されてしまうとか。
ベトナム以来、帰還兵士のトラウマとか精神的罹病が取り沙汰されているが、性懲りも無くアメリカは戦争を繰り返してる。
武器の進歩や報道の苛烈化は、ベトナムの頃よりさらに残酷に人心を貪っている事でしょう。

主演のトミー・リー・ジョーンズは、存在感はあるが演技派という印象は無かったんだけど、今回はとても良かった。そう大きくない表情にヒシヒシと感情が被さって来る。
ちょっと男っぽい?頑張ってるシングルマザーのシャーリーズ・セロンも新鮮。けど相変わらずお美しい。そしてキーパーソンとして秀逸だ。

"戦友の父親"に対する素朴で素直な若者達の、してきた事が明かされる展開は残酷で、見続けるのが辛いが見てしまう。
父だけが息子の真実を見逃していた、という結末は、戦争に限らずありそうな話で心が痛む。

なんと実話がベースという本作、よくある実話モノのぬるさがまるで無く、キッチリ組まれた構成に思い入れタップリの演技、真っ直ぐに貫かれるテーマと、ニュース性ではなく作品としての完成度がとても高いと思った。
正直観るのが辛いし後味は最悪だが、造りの上手さと作り手の気迫は凄いモノがあると思う。

…あ、『ミリオンダラーベイビー』ね。納得。

50回目のファーストキス 

やっぱり可愛い、ドリュー・バリモア。好き。
ハワイって、まだ行った事が無い。
いい所なんだろうなー、と、物凄く思った。
この映画の設定自体、常夏の島って事がとても重要なんだけど、それだけじゃなくて、明るい日差しと青い海、ビーチ・ボーイズの名曲に、可愛らしい動物達、ネイティブの人々、といった構成要素が、ただそれだけで心地良い。
そして、金髪に花を飾ったピンクのTシャツのドリューの、なんとも明るい、愛らしい笑顔。

ちょっと下品な笑いもあるし、ひどいんじゃない?という場面もあるんだけど、おおらかな気分になってるから笑って見逃せる。
主人公のヘンリーは、口八丁のプレイボーイだったけど、それは彼の天使・ルーシーに出会うための布石……などとロマンティックに考えてしまう、甘〜いストーリーでもある。
ルーシーを知って変わって行くヘンリーの姿は、微笑ましくも感動的だし、毎日ファーストキスをする新鮮さは、ちょっと羨ましくさえ感じてしまう。
二人が知り合った直後の駐車場でのダンスは最高で、そこでもうすっかり引き込まれた。
ひとつひとつのエピソードがみな、「二人は本当に気が合うんだ」と思わせてくれるから、どんなハンデも乗り越えて欲しいと心から願う気持ちになる。
記憶の保てないルーシーの、「歌」や「絵」という材料には説得力があって、厳しい事情と共に彼女の愛を再認識させられ、泣かされた。
脇役も一人一人が皆個性的で、皆人が好く憎めない。とても人間らしくて楽しい。

こういった深刻な問題を扱うにしては、あまりにも脳天気楽観的に過ぎるかも知れない。
でも、ハワイだから。
ビーチボーイズだから。
ドリュー・バリモアだから。
ラブコメ、と言うにはクセが強い気もするが、愛も笑いもいっぱい詰まってる事は確か。
そしてちょっぴり、涙も、だけど、このシチュエーションで退屈させずに涙がちょっぴり、というだけでも快挙かも。

50歳の恋愛白書 

全然予備知識ナシで見て、見るほどに後から後から登場する豪華キャストに驚いた。
…でも、キャストの豪華さに見合う内容かと言うと、んー、どうなんでしょ?
けどキャストは概ね好演。
のっけからウスノロ認定のキアヌ、ヒステリーが板に付いたウィノナ・ライダー、胡散臭いジュリアン・ムーア、相変わらず化け物のように美しくエキセントリックなモニカ・ベルッチ…若かりしピッパ・リー役の子も綺麗だった。しかし、皆イメージ通り過ぎて面白味は無いな。

アメリカの薬物事情って、どうなってるんでしょ。なんだか凄いモノを見た…。
まあ日本でも、アル中とかはあんな感じで見て見ぬ振りをされてるケースが多いのかも知れないが。ママがあんなに壊れちゃってるのに、頑なに家族団らんを貫く男達が怖かった。
それから、美人のヤク中不良少女をチヤホヤする文化人コミューン。薄気味悪いなぁ。
冒頭、"良妻"ピッパ・リーが登場した時は、裕福で美人で歳取った事だけが弱味みたいな話なのかと思ってたら、けっこうな修羅場を潜り抜けて来た人なのが次第に見えて来る。
回想シーンと現代シーンが交互に出る手法は、テーマを語りやすい反面、集中力が途切れる嫌いがあると思う。本作はかなり、それが顕著…と、言うか、修羅場ってる割に胸に迫って来ないのは、この行ったり来たりのせいだと思うんだけど。あまり盛り上がらなかったな。

人間、特に女の子にとって、母親との相互理解不足はある種致命的、だと自分を鑑みて思う。
母親ですら味方で無いという認識は、根底にどうしようもない無力感を植え付けられる。
そう考えると、ピッパ・リーのあの淡々とした反応や、過剰に自分を痛め付ける態度は理解できる気がする。私でごめんなさい、みたいな。
そういうせっかくの、私にダイレクトに来るはずのテーマを抱えながら、なんだか深く刺さって来なかったのは、やはり有名キャスト(の、既成イメージ)頼みのぬるい脚本と演出のせい、だと思う。

そう言えば、どーしょもない浮気オヤジのハーヴ、ピカソに似ていたな(笑)。

ゴジラVSモスラ 

1992年公開。
いきなりのインディ・ジョーンズで笑わせてもらった。
全く期待していなかったので怒りも無い代わりに、意外な驚きも無かったな。

モスラは基本カワイイと思う。
実はあまりリアルに這いずったり羽ばたいたりすると、虫嫌いな人にはキツイのかもしれないが、やっぱり少しは動いてほしかった。
ゴジラも含め、学生がフィギュアで撮ったコマ落とし映像みたいだった。90年代なのに

内容的にも、モスラは(ゴジラもか)元々そういう生き物なので、自然破壊の問題を取り上げてみました、という程度の扱いで、あまり話が広がらない。
対抗馬?のバトラというのも、デザインはなかなか良いと思ったけど…「心が通じ合った!」には笑ってしまった。
小さい女の人達がクネクネ踊りながら歌うシーンは、やっぱりけっこうキャッチーだと思う。色んな歌があるのね。彼女らと小林聡美のメイクに時代を感じた。
全体にノンビリした展開で、たまにはこういうのもいいかな、と思ってはみたものの、結局退屈しただけでした。

それと、ここ20年で日本の子役は進歩著しいな、と、しみじみ思った。

コナン・ザ・グレート

ターミネーター』で一躍スターダムにのし上がった感のあるシュワちゃんだけど、それ以前にちゃんと大作の主演をしていたんであった。
なんと監督はジョン・ミリアスですよ!
「コナン」と言えばファンタジーの老舗だし。凄いじゃん。

でもあまりヒットはしなかったようで、おそらく大時代的なプロットをクソ真面目に作ってる工夫の無さが、あまりキャッチーじゃなかったのではないかと。
ついでに、こういったファンタジーは子供向け、という認識の強かった時代に、けっこうアカラサマなお色気シーンが入っちゃうというのも、とっつきにくい一因だったと思う。
私はけっこう好きなんだけど、こういう古臭い感じの冒険活劇。
シュワちゃんはお顔がちょっと愛嬌あり過ぎだけど、当時の肉体美は本当にアメコミから抜け出たみたい。
砂漠で磔のシーンとか、奴隷時代のお仕事風景、剣闘士姿等、ヒロイックファンタジーの挿絵そのものだった。
それに、怪我の功名なのか何なのか、幼少期に奴隷にされて人間らしい暮らしを奪われたコナンと、大根と言われたシュワのボンヤリした演技が良い具合にマッチして、妙な説得力があったのよね。

脇役もいいんですよ。
あまり見ない顔だけど、ヒロインが美人でかっこいい!!!
ワイルドで、ナイスバディで、涼し気な美貌で、強く賢く母性的。孤独と哀愁と情熱の女。
「あたしの命をくれてやるわよ!」なんてね、本気で言ってみたいモンですわ。
せこい泥棒の相棒も、魔法使いのマコも、それぞれに役を生きてる感じでとても良かった。
悪役の蛇男(笑)も、貫禄があって良かったんだけど、あまり蛇には似てなかったのが残念、かな?
今だったらCGでバッチリ変身シーンも見せてくれたんだろうけど、その辺りもちょっと残念。

ストーリーは単純だがちょっと散漫で、姫救出とかどーでもいいから、もっとストレートな復讐劇にしちゃっても良かったかと思うんだが。そしてラストであまり盛り上がらなかったのも事実なんだが。
画面がとても重厚で美しく、特に終盤の松明のシーンなんか大好き。冒頭の母親のシーンも印象的だ。
こういった真面目な贅沢な撮影は、CG全盛の今となってはまずお目に掛かれないんだろうな。
ここでブレイクはしなかったにせよ、シュワルツェネッガーのスター性をクッキリと確認できる、楽しくも品格ある、豊かな作品だったと思う。

コナン・ザ・バーバリアン

北村一輝をゴリマッチョにしたみたいなヒーローに、ジョディ・フォスターを思わせる知的美女のヒロイン、ってだけで、すでに楽しい(笑)
若きシュワルツェネッガーの主演作『コナン・ザ・グレート』を思い出してタイトルだけで観てみたけど、意外にガチなファンタジー映画で(それは『〜グレート』も同様だが)面白かった。
うん、この世界観、好きなのかも、私。

冒頭からのお決まり残虐シーンで「ひっ」となりながらも、お父ちゃんの顔の怖さに驚き(『薔薇の名前』の人だよね?あれ特殊メイクだと思ったもんなぁ…)少女マリークの迫力に笑い、馬車が空中分解したり人間ロケット通信に呆れたり、なかなか飽きずに観てしまった。
ハムナプトラ』みたいな砂人間軍団は中途半端であまり好みじゃなかったが、不満と言えばそれくらいかな?あと、呪者が死んだら進行中の魔術はチャラ?その辺りがアッサリ過ぎたのが残念か。
ストーリーは単純明快でドンデン返しなども無く、安心してハラハラドキドキできる仕組み。しかしこの手の映画はヒロイン殺しちゃったりするから油断はできない(『〜グレート』とか)。

2011年公開だから、当然のごとくCGてんこ盛りなんだけど、どことなく無骨で肉感的な印象は、やはりヒーローがマッチョだからだろうか…しつこい比較で申し訳無いが、『〜グレート』当時のシュワに比べたらジェイソン・モモアは子供みたいなモンなんだけど。ああ、先住民族入ってますね、道理で北村(違う)。
しかしキャラ表見るまで、かのボブ・サップが出てた事に気付かなかったところを見ると、かなり画面はマッチョ色が強かった模様(笑)。
それはともかく、チャンバラ好きなもので、こういう近距離戦中心のアクションは血がたぎる。恋愛要素がアッサリしちゃってるのも好み。ヒーローが過剰に苦悩しないのもいい。
ちょっと不足を感じたのが"色気"かな。マリーク役のローズ・マッゴーワンは凄い美人なのに、あの造形でももっと色っぽく演出できたはず。ヒロインのレイチェル・ニコルズも修道女とはいえ美人なのに色気は無さ過ぎる…それを言うならコナンもだな。せっかくの北村一輝似が、残念だ。

ロード・オブ・ザ・リング』のシリーズや『アバター』なんかが全然ダメなんだけど、ファンタジー全般がダメってワケでもないようです。ははは。

この子の七つのお祝いに

すごいよ、この映画。
公開当時(1982年)の岩下志摩様の、セーラー服にお下げ髪姿の写真が出て来るのよ。
まだ邦画を観に行っていた頃なので、私は映画館で体験してしまった。
さざ波のように場内に広がる、観客の驚きの声。
後にも先にも、あんな反応を劇場で見たのは一度きりだわ。

コピーキャット

公開当時に観て、それなりに怖がった記憶はあるんだが、詳細を全然覚えていなくて、二度目も楽しくハラハラしながら観た。
「(連続殺人犯は)捕まりたいの?」「捕まらなきゃ有名になれないでしょ」おー!

宇宙船で巨大凶暴生物とガチバトルで勝ち越したシガニー・ウィーバーが、変態殺人鬼ごときに心を蝕まれ、震え怯える姿に「うーん?」と思って見ていたが。
終盤そのイカレッぷりが機動力になって、なかなか凄い。
知的で有能で、そこがちょっと鼻につく、なるほど納得のキャスティング。
モデル体型の長身を真っ赤なスーツに包んでの"首吊り"シーンは印象的で、ある種扇情的
白い壁がまた、赤を引き立てて効果的で、ここはクッキリと記憶に残っていた。トイレの壁なんだけどね。

小柄で頑張り屋なホリー・ハンターの刑事役も良かった。
相棒を判断ミスで殺されてしまって、(ダーモット・マローニーが可愛かっただけに)えー、なにこのどうでもいい展開!?と、ビックリ&ガックリしたんだが。
ラストの彼女の情け容赦の無さは、あの件があったればこそ。
M.Jの気持ちに乗っかってしまって、何とも言えない感慨があった。
いつも皆「M.J」か「モナハン」と呼ぶのに、上司が引き止める時だけ「メリージェーン」と呼んだのが印象的。
あの上司もなんだか良かったな。

ストーリーは一応、二転三転して見せはするが、サスペンスはむしろ表向き要素。
本質的には「変態ってヤーネ!」というのが、この映画の根幹だと思う。
そして「知的な美女が追い詰められて怯え、病む」様を、カメラは嬉々として追い回す。
タイトルの『コピーキャット』とは、模倣犯の事。
最初に観た時よりも、連続殺人事件の本なんかを読んだ後の今の方が、色々とシックリ理解できた気がする。
二回に渡る「首吊り」シーンの他にも、PC画面の骸骨とか、実在のシリアルキラーの手口紹介とか、怖がらせ要素はいっぱいあるものの(15R指定だったらしい)意外と露骨なグロ映像は少なくて、そういう意味での嫌悪感も少ない上品な出来。
しかし本当に、ああいうのに見込まれたら、多分終わり、だよね。そういう怖さはとてもある。

しかしシリアルキラーの90%が白人男性
マジっすか?
犯人役のハリー・コニック・Jrもウィリアム・マクナマラも、本来イケメンなのに、この気持ち悪さ(笑)。
変態ぶりは見応えあった。
でも大元のコニック・Jrを絶たない限り、ヘレンに安住の日は来ないのよね。
彼女自身が冒頭の講演で「大金費やして死刑にするより同じ予算で生かして研究に役立てた方が」なんてナメた発言をしてるんだけど。
性的異常者は、発見次第撲滅しなきゃダメって事だよね。

コマンドー  

人気のタレントを主役に据えて作る映画を、「アイドル映画」なぞと呼ぶ。
『コマンドー』はアクションエンタテインメント映画であるよりも、アイドル映画だ。アイドルとは、誘拐される娘役の可憐な美少女アリッサ・ミラノちゃんでは無論なく、主演の筋肉パパ、アーノルド・シュワルツェネッガーだ。
そして公開当時の私は、まんまとその戦略に乗せられた一人だった。

ターミネーター』で注目を集めたものの、(一部のボディビルファンは別として)まだシュワルツェネッガーは得体の知れない筋肉男でしかなかった。
ましてやターミネーターは人間ではない。『1』では特に、ただただ人を殺すマシンだった。
『コマンドー』はつまり、シュワが単なる「ターミネーター役者」で終わるか「大スター」に躍進するかの瀬戸際に出され、見事結果を出した記念すべき映画であり、政治家になって事実上引退するまでの彼のキャリアを方向付けた作品でもある。…って言うか私、実はシュワ映画の中で、一番好きかも、このおバカ映画。

公開当時、映画館に馳せ参じた私の前の席には、大学生風の男子数名が並んで座っていた。
幕が上がり、丸太を担いだシュワの上腕二頭筋がアップになるや、彼らは爆笑し始めた。(もっともここは、会場全体がザワついたのだけれど)
そこから、シュワが物(娘も)を持ち上げたり、走ったり飛んだりするだびに大爆笑。水着姿でボートを漕ぐとこなんかもう息も絶え絶え。分かるよ、その気持ち。
なにしろこんな物凄い物、見たこと無かったもん、私達。

そんなんだから、ストーリーは単純明快、最初と最後にちょっと人間らしいやり取りがあるだけで、そしてそのちょっとの間に「笑うとマヌケな顔でカワイイじゃん」なんて抜け目なく思わせつつ、あとはもう、殺す殺す。あの体格でコマンドー大佐でフル重装備でどっかんどっかん。
その上ラストはお約束?の肉弾戦。そりゃそうでしょうとも。
悪役のフレディ・マーキュリーじゃなかったベネットは、「可愛さ余って憎さ百倍」って言うかもう、シュワ演じるメイトリックス大佐が大好きなんだな。(と、笑い続ける青年達を見て思った)だからその彼に「そんな銃なんか捨てて、俺と楽しもうぜ」なんて挑発されるとたまらんワケですわね。
哀れな奴……あの最期は、なかなか衝撃的だった。

とにかく、ツッコミ出したらキリが無い程強いシュワ。飛行機から飛び降りてもピンピンして走り出す。弾はもちろん当たらない。怪我してもすぐ元気回復。
街中でも平気で大暴れ、迷惑な人だなぁ。
でも、意外とシャレた会話のやり取りと相まって、表情や仕草の不器用そうなとこが何とも、愛嬌があってチャーミング。
かくして、まんまと「アイドル映画」の目的は果たされたのであった。
あんな口八丁の政治家になってしまうとは、いやはや(笑)。

好きだったなぁ。

コモドVSキングコブラ

マイケル・パレ!!!

人気女優役の子が一番ヘンな顔。鼻フック(笑)。
ナイスバディはお約束通りだが。

コモドはちょっとアレだけどコブラの動きはナカナカ。けど実験するのにコブラは使わないと思うぞ…実験前から色々と面倒過ぎて。

パックン映像とかは合成丸出しだけど、これくらいの方が気楽に見られていいかも。
特にグロ映像好きでもないから。
島の景色が美しい。撮影は大変だったんじゃないかな。
でも、ストーリー的にあまり景色を生かした部分が無くて残念。

パレ船長のラブロマンスもあっても良かったのでは?
せっかく(売れなくなっても)美貌と肉体美をキープしてるんだし、せっかく美女を3人も出したんだし。
そういう意味も含め、全体にドラマ的には食い足りない印象が強かったのだが。
場面的には冒頭からサービス全開、ラストも決まってて、そういうの好みの人にはいいのかも、とは思った。

コラテラル 12/3

脚本がいいのかな?
結構好き。舞台でも合いそうな会話劇という意味で。
マイケル・マン監督ですか。渋いねぇ。

トム・クルーズは爽やかイメージが強いけど、私は壊れた男の役が良いと思ってる。
最初に見たのが『タップス』の暴走少年だったせいかなぁ。『マグノリア』のブリーフ青年も印象的だった。(同じブリーフ一枚でも『卒業白書』はそうでもない笑)
今回の壊れっぷりも、静かではあるがナカナカ重度の壊れ様で、見ていて恐ろしくも楽しかった。
…って言うか、私が個人的に端正な顔でコワレられるのが好きなのかも(笑)。

冒頭でジェイミー・フォックス演じる運転手・マックスが有能で思慮深いと見せておいて、まあソレが彼の不運の始まりだったワケなんだけど。でもそれだけで終わらないと言うのも良い。
トムのヴィンセントが、シーンシーンで(壊れてるとは言え)何を考えどう感じてるか、それを思うと面白い。
地下鉄で死んだ男の話(←シッカリ伏線)とか、普通に人恋しかったのかも、と思ったり。
マイルスディビスのくだりなんかはもう、うーん、トムこえぇ〜!だったし。
かと思えばマックスの入院中の母親に花を持って来たり…トムに花束渡されたらおばちゃん舞い上がっちゃうでしょ(笑)。
人を殺す事は何でもなくても、生きてる人を喜ばすのは矛盾しない、と言えばそうなんだが、それをシレッと何心無く出来てしまう辺りがまた、壊れてるんだなーとしみじみ思わされたり。

夜の街の暗さが印象的で美しかった。
クラシックなクラブハウスや地下鉄の様子も雰囲気があって素敵。
人の命をゴミか何かのように扱うヴィンセントの描写と、おそらく大半の「マトモな」人の目線を代表する(普通の人はあんなに勇敢にはなれないが)であろうマックスの困惑と葛藤との対比も見応えがあり、トムとジェイミーの芝居を堪能できる。
ハビエル・バルデムの悪党ぶりもサマになり過ぎ。
死体が車に降って来る、タクシーが横転等、印象的なアクションシーンもあった。

女検事についてはちょっと、やりすぎ(たまたま話が繋がり過ぎ)かな〜と思ったけど、まあ盛り上がるから仕方ないか…。
私別に、ヴィンセントは殺さなくても仕事終えてサクッと帰っちゃって、あー怖かったね、世の中油断禁物だね、でも良かったと思ってるんだけど。
女検事の件があるから、そうもいかなくなっちゃったんだけど。
まあソコ否定したら、この映画の根本を否定しちゃうか…。
多分タクシー運転手と女検事の、通常ならそれっきりの関係性に何かしらの未来を匂わせる事と、人の死を何とも思わない男が自分の死をどう受け止めるか、というところがキモなんでしょう。
そしてヴィンセントの死に様に、何かしらの美学を感じる人も、きっといるかな。

あ、でもそれ(トム生き延びる)だと続編作っちゃいそうで、それは嫌だな。
全米でタクシー運転手に迷惑掛け続ける殺し屋(笑)。

コラテラル・ダメージ

公開当時劇場で観てるんだけど、おそらくシュワ映画の中で最も印象の薄かった映画。
21世紀に入ってからだから、そろそろシュワちゃんも下火かな…と、そんな気分もあったように思う。
久々に見返してみたら、うん、確かにあまり、面白くはないな。
でも何と言うか(今観ると、というのも含め)意欲作ではあったのかも。

またしても美人に足引っ張られてますよ(笑)。
まあ、無敵超人のマッチョの弱味と言ったら、美女の色香くらいしか設定できないワケですが。
このヒロインでヒールなセリーナさん、すごく美人。
以後あまり見掛けない気がするけど、やはり美人なだけじゃダメなんだろうか…もったいない程の美人。
そしてナカナカ、熱演でもあった。
話の流れから何となく、そうかな?と思いはするが、それでも豹変する辺りは見応えがあった。
少年の存在も微妙なところを良く描いてると思う。邪魔にならない程度に、でも分かって見てみると、意外と緻密な表現をしている。それにナカナカの美少年。

ソ連という"絶対悪"を失って、ハリウッドは新たな標的を探してウロウロしていた時期。ここでは麻薬とテロをひっさげて、コロンビアが選ばれた。
確かにジャングルやら髪と瞳の黒い人々やら、なかなかエキゾチックで得体の知れない(白人圏にとっては)怖さはあるかも。地理的にUSAに近いというのもポイントかな。
残念なのは悪役"ウルフ"の存在感が薄い事。あんま怖くない…所詮"噛ませ"だったにしても、これといって特徴も無い容姿で、それ程エグい行為を見せてもくれず、身体も小さく(シュワに比べたら気の毒だが…笑)顔も暑苦可愛いし。
考えてみれば、実子を殺されて鬼になるのは圧倒的に父親よりも母親だよね、と納得はしたものの、もう少ししっかりミスリードしてほしかったな。
倒した後でウルフの持ったリモコンが「リセット」になってたり、目を見開いて倒れるセリーナをじっと見るカットが差し込まれたりと、殺して喝采を上げる気にはならない造りになっている。

シュワちゃんが珍しく軍人や超人役ではなくて、勇敢ではあるが消防士という(この職業セレクトはうまいと思った)事もあって、派手に銃器類を扱う等は無く、その分殺傷力も低めで地味な印象かも。
でも、アクションシーンはかなり頑張っていたと思う。
世紀が明けてもまだこんな体当たりスタントをやってたのか、と驚き、あーここは影武者かな、とか思いながら楽しく見た。

結末は、シュワ映画らしからぬ後味の悪いもの。
映画の印象は薄かったが、これだけは記憶していた。
一応の勝利は治めるものの、爽快感は無く苦い感情が残される。
この事件は取りあえず終わっても、根本解決にはほど遠くて、また似た様な事が繰り返されるであろう事は想像に難くない、どうしようもない。
でも、少年を抱き上げるラストカットが意外な程美しい絵で、少しばかり救われた気分になる。
そう簡単に解決はしないよ、テロや復讐は次のそれを呼ぶばかり。でも市井の人はその中で、生きるしかない。それこそが本作のテーマだったようにも思う。
もしかしたら、すでに政治家への野心を募らせていたかもしれないシュワちゃんの、それは戦略の一環だったかもしれない。

コララインとボタンの魔女 

元々3D映画は苦手と言うか面白さが良く分からないんだけど、たまたまこの日は色々と不手際が重なって、なんと『アバター』とハシゴで観てしまった。もうヘトヘト(笑)。
おまけに(先の不手際のせいで)あまり深く考えず飛び込んだら、あらら、吹き替え。しかも、ヘンなタレントを起用していた。
主役の少女が、少女のはずなのにミョーにモッサリした声で、ずっと違和感に耐えてたんだが、なるほどね。
会場はガラガラ。シネコンの措定席に座ったら、すぐ横で親子連れがキャーキャー騒いでて、予告上映が始まってから少し前の席に移動いや避難した。

内容は、全くの子供向け。の、割には不健全だが。大人の鑑賞に堪えうるのは映像的な技術のみで、内容はすこぶる幼い。
どうもどこかで、原作の紹介を見たか何かしてたようで、うっすら記憶があったような。
正直、ストーリー的には私には何の感動も無く、子供だったら怖いかな、程度で…だってボタンの目玉って、悩むような事ですか!?(笑)
問題の映像だけど、それはそれはデリケイトで手間ひまかかってそうで、いろんなイメージがどんどん展開されて、すごい。
すごいんだけど……かわいくない
外国のアニメーションとか観ると、「これは、可愛いのか???」と首を傾げたくなる事は、実は珍しくはない。本音を言えばディズニーだって、そして私の大大大好きなPixarでさえも、造形だけ見たら日本人の感覚では「可愛くない」に属する可能性大だ。でも見ているうちに愛しくなってしまう範囲内なんだけどさ、私的には。
でもコレはアカンわ。主人公のコララインの顔、表情の作り方も含めて、なぜあそこまで可愛いくない必要があるのか?分からない。(加えて吹き替えの声の可愛く無さが拍車を掛ける。)
ストップモーションの気の遠くなるような作業の果てに、細かな顔の表情もホッペタの柔らかさなんかも伝わって来る出来の良さなんだけど、造形がかわいくなさ過ぎて、かえってその生々しさがキモチ悪く感じてしまう。
重要な役割を果たす黒猫も、動きなんかはすごく猫っぽく、性格も魅力的なのに、なにしろ顔が、かわいくない
他にも大家の孫息子とか近所の変人とか婆さん達とか、パパもママも、なんだかキモチワルいんで、ダメだった。特にパパは、素で怖いくらい。あそこまでキモチワルくする必然性が不明だ。
まあ、好みと言えばそれまでだけど、あのデフォルメの仕方はちょっと受け付けない。
肝心の魔女が正体を表しても、そんなに違和感が無いんだもの。

背景のイマジネーションとかは、下品なりにキライではなかったし、他愛の無い子供向けストーリーだけど発想も展開も面白かったので、返す返すもキャラクターデザインの酷さが残念だ。

コレクター

多感な少女時代に、このような怪しくも高レベルな物を観てしまった幸運!?
たまーにだけど、ミステリーの依頼が来ると、あーでもない、こーでもない、と、さんざ考えて、だいたい主人公が心を病んでる系の話になっちゃうのよ。
もちろん、この映画の病み様には、比ぶべくもないだすが。

なんか現実にイヤ〜な事件とかもあって、それは本当〜に、物凄くイヤなので、あまり迂闊な事は言いたくないんだけど、だからあくまでも、切り離して考えたいんだけど、ね。
この映画は恐い。とても丁寧に、巧みに、恐い。
同時に美しい。(だから切り離して考えてってば〜!)
隅から隅まで、物凄く高い美意識に支えられた、ヤバ〜イ世界。

ウィリアム・ワイラー監督と知ってビックリした。
なんか、壮大なスケール、膨大なエキストラ、大仰なBGM、ってイメージだったから。
もちろん、それはそれで凄い事だし、大好きなんだけど、「こんなん撮ってみました」って、これを出して来るって、物凄いよね。
最初と最後以外、場面転換は殆ど無い、狭い地下室。
登場人物も、ほぼ二人きり。
要するに、殆ど心理戦になって来る訳で、まあいくぶんアクションらしきものもあるんだけど、造りは地味な訳ですよ。でも、内容は、地味どころじゃない。
ち密で、丁寧で、そしてやっぱり圧倒的な美意識に、引きずられずにいられない。
捕らえられた女子大生の気持ちはもちろん、捕らえたテレンス・スタンプの気持ちも分かるような気分にされてしまう、チョーヤバイ。

余談を、3つ。
1:TV放映の時、沢田研二が吹き替えをやっていた。すごい良かった。
2:4コママンガでパロディがあった。女「私は自由が欲しいの、自由よ!」男「自由だったらなにするの」女「えーと、シャネルのバッグとエルメスのスカーフと…(ブランド名はテキトーです)」。
3:知人の紹介でデートした相手が「あの男の気持ちは分かる」と熱弁を振るったのには、引いた。


追記
かなり久しぶりにTV放送、なんか記憶よりずっと、酷い話だった。
あの思考回路は、物の見事に人格障害のテキスト通りだわ。おお怖。
って言うかあの女の子が甘い。殴り殺せってあんなヤツ。
それができないのが、"正常な"人間、なんでしょうね…。

吹き替えが、前に見たのはジュリーだったけど、今回のは岸田森。これまた素晴らしい。女性の方は田島令子さん。そのまま舞台で見たいラインナップだわ。

コレクター(1997) 

テレンス・スタンプ主演の傑作映画とは何の関係も無かった

それは別にいいのだが、せっかく名作のタイトルと同一の物を使うのに、"コレクター"部分が色々と希薄で残念な出来に。
まあ切手収集とか、コレクター同士が収集成果を自慢し合う、競い合うというのは良くありそうな事だし、そのターゲットがハイスペック女子というのもありそうな話ではある(し、あったらかなり怖い)。
冒頭近くの、森の中を女の子を連れ回すシーンは不気味で心惹かれたし、犯人の"告白"もキモさ全開で盛り上がったし、監禁場所からのヒロイン脱出シーンまでは手に汗握って見たんだけどね…。

肝心の?捜査部分が、何とも御都合主義と言いましょうか、"読み"が当たり過ぎてポカンとしてしまった。
考えたら'97年の公開当時、"プロファイリング"って凄く注目されて流行ってて、何やら万能の魔法みたいな扱いのドラマとかいっぱいあったかも。
でも今となっては、そんなに当たるモンじゃないよねぇ…というのが一般的な見解じゃないかな?
約四半世紀前の映画だから、その辺は割り引いて見る必要があるかも。
しかし、プロファイリングがサクサク当たり過ぎるせいで、盛り上がりに欠けるしこちらは置いてきぼりになってしまうのは、残念。

真犯人に関しても、うーん。
まあ定番の"意外な展開"ではあるんだけど。
だいたいそういう奇をてらったタイプの話って、面白いより脱力してしまうのよね。
実際に正体を現すまでの印象が薄過ぎて、ハラハラ要素も無いしヤラレタ!感も薄い。
それに、クロス博士が来るの分かっちゃってるし。
多分渾身の、牛乳パックのシーンも、銃器に詳しくない私には何の事やらピンと来なかったしな…。

もちろん良い点もあった。
絵が綺麗で、不思議な空気感のある森や、おぞましい監禁場所である地下室等、目を惹き付けられる。
ヒロインのアシュレイ・ジャッドは美しいし、強い意志と人間的な恐怖心とをいい塩梅で体現してて、とても良かった。
逃走して崖から飛ぶシーンや記者会見での毅然とした表情、心から応援したくなる清々しいヒロイン像だった。

安定のモーガン・フリーマンだが、今回は無難にこなしてはいるものの、特に目に付く良い点も無い模様。
今回の事件では姪が被害者の一人なのに、淡々として必死さが全然見えないし。知的で冷静というのともちょっと違う気がするんだよね。
原作は長いシリーズ物らしいけど、臨床心理学博士で刑事で黒人ってちょい盛り過ぎな気が(笑)。
同じクロス博士役で『スパイダー』というのがあるそうだけど、あまり期待はできないかな…。

殺したい女

面白いよォー、この映画、ベッド・ミドラー最高!
本来歌手らしいこの人が、歌手役を演じた『フォーザボーイズ』も涙鼻水垂れ流しモンの名作だったけど、こちらも秀逸。
どう見ても押し出しの強い図々しいオバハンで、顔もケツもでかくって、でもなにか、とても「純」な印象があったりする、不思議な女優。おまけに、恐ろしい事に、色っぽかったりもする。

『殺したい女』は、そんなミドラーの類い稀な個性を、思いっ切り有効利用したコメディの傑作。
ふてぶてしく、憎たらしい金持ちの妻が、気が付けば可愛く魅力的な女性になっている、と、言ってしまえば私の大好きな変身モノなんだけど、全然無理も無く、笑っているうちに済んでしまうのよ。
誘拐犯のカップルも、「ありえねー!」って感はあるけれど、人が良くって、可愛くて。
ミドラーの夫、ごうつくばりの成金を、これまた個性的なダニー・デビートが演じていて、暑苦しいし見苦しい、俗物そのものなんだけど、なんかマヌケで可愛い。
ああ、要するに、みんなカワイイのね。
そして映画は(よほどの意義や主義主張が無い限り)、やっぱハッピーエンドがいいやね。

余談だけど、TV放映の時、ミドラーの吹き替えを中尾ミエがやっていた。
すごいハマッてて、これまた笑えた。
中尾ミエの声って、いいよね、深くって、柔らかくて。
日本の声優の大半は、声に厚みがなくって、演技も累計的で、吹き替えはなるべく観ないようにしているんだけど。ミエはいいぞ!
某カードのCMソングも、密かにファンだったりするのであった。

コロニー5

カナダ映画ですって。

世界観は良いし、前半の地味ながら怖い展開は悪くなかったと思うんだけど。
クシャミ一つで事実上人生終わりとかスゴスギル(汗)。
予算が少なかったのか、語られる過去話ばかりがスケールが大きいのは気になったが、雪と氷に閉ざされた閉塞感は良い感じで出てたと思う。
主人公のK.セガーズ君はナカナカのイケメンだし。なんか雪中装備がミョーに似合う。
金髪のヒロイン?も、すごい美人。(シャーロット・サリバン、検索すると金髪もいいがブルネット姿が超絶綺麗)

けど正直、"敵勢力"が登場した辺りで「はぁ…???」に。
まずはガラが悪いだけでタダの人間に見えるんだが…人間タイプならせめて『マッドマックス』程度にはイカレっぷりを見せてくれないと。

ジョン・カーペンターってやっぱり凄いんだなと。『物体X』を思い出すまでもなく『ゴースト・オブ・マーズ』辺りと比べてもカーペンター圧勝でした。

コロンビアーナ

リュック・ベッソンが噛んでいてこの内容だと、どうしたって『レオン』meets『ニキータ』と思ってしまう。プラス、ブラック風味。
面白くない事は無く、特に冒頭のパパとボスの緊張感溢れる会談から少女カトレア逃走シーンとか、刑務所侵入〜囚人殺害までのアクションなんかは見応えがあった。
でも全体的には…うん、もしかしたら私、ベッソンにもう飽きてしまったのかも。

ヒロインの"カトレア"役のゾーイ・サルダナという黒人美女、私は見覚えが無かったんだけど、けっこう昔から色々出ていて見ているはずの女優さんだった。
美人だし、スレンダーで手脚の長いスタイルに褐色の肌は素晴らしいバランス。
良く美しい黒人を黒豹に例えるが、まさにそんな感じだ。
ピタピタの服もしくはロクに着てない姿でのアクションは彼女の素材を最大限に生かす配慮が見えるし、実際それは功を奏していると思う。激しいアクションにも負けない精悍さと躍動感。
他の登場人物が殆どむくつけきオッサン揃い(婆さんもいたか)なのが、余計に効果的。
そういう意味では本当によく出来たプロモ映画ではある。
ついでに、カトレアの少女時代を演じた子役の子もナカナカの美人さんで、そして面立ちがゾーイさんと良く似ている。
近頃は日本の子役も侮れないレベルだが、「似て」いてなおかつ「レベルの高い」子がゴロゴロ出て来る、アメリカ映画界の奥深さには本当に感服する。
顔立ちが似ているだけでなく、意思の強そうな眼差しが胸に突き刺さった。

で、せっかくの素敵ヒロインを獲得したというのに、ストーリーが物凄く凡庸で、しかもツッコミどころ満載なので、中盤以降は気が外れてしまって、終わった後も何の感慨も無かった。
終始アクションは頑張っているんだが、どこかで見たような印象を持ってしまって、やはり私が"ベッソン流"を見飽きてしまったのかな、と思った次第。
でもさぁ、ラスボスおびき寄せるために子分23人殺すとか、どうなの、それ?
ボス警戒しちゃうじゃん。おびき出すより反撃するに決まってるじゃん。
そんな身で恋人を作らずにいられないのも(でないと話が進まないとはいえ)納得も共感もできないんだよね。
しかもその相手のベッドでグースカ眠って隠し撮りされちゃうとか…今時の人にしては脇が甘過ぎだし、その恋人が友達に自慢した一瞬を付いて身バレに繋がる流れも、かなり、無理矢理っぽい。
各所がそういった甘い蝶番で出来てるから、だんだん気持ちが引いてしまうんだと思う。
ラストに感慨が無いのも、そういった積み重ねのせいもあるけど、せっかくの復讐劇が成就されるという場面で、ラスボスの死に様をヒロインが見ないとは残念極まりない。
死に方としてはかなりイヤなやり方ではあるけど、やはりトドメは自ら刺しに行ってほしいなぁ。

華麗な南欧風豪邸がドッカンドッカン破壊される様は見応えがあった。

コンゴ

飛行機の座席にちんまりお行儀良く座ってるゴリラの絵面を見た時は「これは!」と胸高鳴ったのだが。
あと黄色い花を青年に差し出すシーンとかね。
あれ予告で見てたら劇場行ってたわ。危ない危ない(笑)。
可愛い、愛おしい
特殊なゴリラになってしまった"エイミー"の存在は、本当に魅力的だったんだけど、うーん。母性本能とか気軽に出されちゃう感じはちょっと。

せっかく喋れるゴリラが登場し、人の手によって凶悪ゴリラ軍団が作られ…という胸踊る設定なのに、現場でサクッとゴリラ退治して終了とは。
しかも合間に火山が吹いてゴリラを一掃…うーん。

ダイヤなんかいらない!というのも、お決まりではあるけれど全く共感できず。
欲しいでしょ普通ダイヤ。
女のこだわる"元カレ"も言葉だけでは思い入れもできず彼女の気持ちも伝わらず、頑なな印象ばかりでちっとも可愛く無い。
男の印象も弱く、もっとオタクで良かったのに、ゴリラ相手じゃないと会話が進まないとか。
二人の惹かれ合う気持ちも分からず結び付きも弱く、これ女出す必要あった?
ゴリラがヒロインで必要十分だったのに。

動物モノが好きで、冒険・秘境モノも好きな私としては、かなり肩透かしな内容だった。
エイミーは可愛いし自然の描写とか悪く無い部分もあっただけに、ストーリーとキャラクターの適当さが残念。

コンスタンティン 

それ程期待してなかったせいか、かなり楽しめました、この世界観。
なんか日本の少女マンガやアニメでもありそうな設定だけど、抑え目の演出と所々すごく綺麗な画面で、何となくランクが上がってる印象。

ガブリエルはかなりいいセン行ってます。人でないモノの匂いがする、綺麗な貌と細い身体。お茶目な性格も要注目。
ルシファーも、なかなか良かった。なぜマフィア?だけど。(スーツも白いんだよね、そう言えば天使の羽は黒っぽいし)そしてやっぱり、性格お茶目。
少なくとも『エンゼル ハート』のデニーロや『ディアボロス』のアル・パチーノの表現よりかはずっと私好み。
相変わらずデク人形みたいなキアヌ・リーブスも、この役は合ってたかな。
ネコちゃんも必見。

嫌煙家の私には、嬉しいメッセージかも。
喫煙習慣を「自殺」とする解釈、そしてカソリックでは自殺者は今でも葬儀を行ってもらえない、というのも(知らなかった…中世の話だと思ってた)、あまりに厳しいとは思うけど。
…でもこれって、例えるなら、絶対無理と言われていた大学受験に奇跡的に合格したと思ったら高校卒業できませんでした、みたいな(笑)話?
地獄のイメージもボッシュの絵みたいで面白かったな。

キアヌ主演作の中では一番好き。
『スピード1・2』『マイプライベートアイダホ』『リトルブッダ』『マトリックス1・2(3未見)』『ディアボロス』『ハートブルー』…1本も感想書いてない(笑)私の興味の無さが見えるでしょう。

追記:↑以後、感想増えてます。

コンタクト

何度観ても、途中で寝てしまうんですが。
悪くはないとは思うけど、別に面白くもない。
言ってる事も間違ってはないけど、なにを真面目に戯言を…と、つい思ってしまう。
私は宗教心も薄く、科学力も低いせいなのか。
どうもアメリカ人の"宇宙熱"には、相容れないと言うか、白けてしまうんだよね。

ジョディ・フォスターは好きな女優で、『羊たちの沈黙』なんかは最高だった。
でも今回は、あまり良いとこ無しだったような…彼女の硬質な容貌が、一途な科学者という役割にピッタリ過ぎるのか、奥行きの無いつまらない女に見えてしまう。表情もいちいち眉間に皺が立って、魅力的とは言い難い。
科学者という事で狙っているのかも知れないが、服装その他もあまりに野暮ったく、パーティーのドレス姿なんかは気の毒になる程似合ってなかった。
恋人?であり神学者のパーマーを演じるマシュー・マコノヒーも、なかなか色男ではあるがごめん、国家レベルで活躍する程ヤリ手にも頭良さ気にも見えない。
そんな二人の恋愛模様は、なんだか見ててとても居心地が悪く、あまり気持ちの良いものではなかった。

しかし"ホッカイドー"を持って来る辺り、日本のSFファンを見込んでの事でしょうか。
「日本は代表は出さない代わりに下請け工事は請け負うそうです」とか(笑)らしくて笑ってしまったけど、ちょっと恥ずかしいよね。
そして、日本に泊まるとなると必ずキモノを着させられると思ってるのか、というジョディの経帷子みたいなアレはなんなんだ…あんな宇宙船内みたいな建物の中に床の間に掛け軸だし。
でも、笑える要素と言えばそのくらいで、妙にシリアスなんだけどリアリティが無い。

俗物上司のドラムリンは面白かった。ああいうヤツいそう。
最初の"打ち上げ"のテロ事件、あれは特にアメリカではありそうで、ちょっと面白かった。
そのおかげでエリーが補欠合格してしまうワケだが、私としては俗物ドラムリン氏が"コンタクト"した様子が見たかったな。
映画としては、ヒロインが「神に選ばれた」と言いたいのでしょうが。
"コンタクト"して来るのがパパの姿っていうのは、ありがちだがちょっと切なかった。

ヴェガ星人だっけ?彼らが結局何をしたかったのか、「焦るな」と伝えたかったのか。コンタクトの証拠を残さないのでは、人類全体にメッセージは届きにくい事は分かるでしょうに。
そういう意味でも、ご都合主義と言うかメルヘンと言うか、ぬるい造りだな、と思う。
結局は宗教観の違いなのかもしれないな、と思ったり、でもやはり、主張よりも見せ方の問題だと思うんだよね。
面白くなりそうなシチュエーションだし、テーマも悪くないんだけど、あまりに無邪気に主張を語り過ぎなのと、主演女優を持ち上げすぎなのが敗因でしょうか、結果退屈な凡作になってしまってる。
ジョディ・フォスターの頭でっかちぶりが、良くない方向に出てしまった印象。

昆虫物語 みつばちハッチ〜勇気のメロディ〜 

やはり今日日、"みなしご"という単語はマズイのでしょうか。
まあどうでもいいんだが、そんな事ぁ。
TVのアニメシリーズは知っていたし、時々は見ていたんだけど、ハッチの顔がどうにも好みじゃなくて、あまり熱心ではなかった。
理科大好き少女だったので(笑)幼心にも虫が母親を捜して旅をする、とか抵抗があったしね。

この劇場版を見て、まず驚いたのがキャラクター造形の可愛らしさ
タツノコらしい癖は残しつつ、虫の個性を生かしつつ、ちゃんと気持ち悪くならない所に留まっている加減が素晴らしい。
造形のみならず、動きや表情も生き生きとしてとても良い。
主人公ハッチは愛くるしく元気一杯。可愛らしく明るい表情になり過ぎて、オリジナルのもの悲しさは薄れてしまった感はあり、そちらのファンはご不満かもしれないが。
セミだのカブトムシ、クワガタ、アリにハエにシオカラトンボと、それぞれに個性的で性格分けもキッチリされており、それなりの(その種らしい)可愛さに溢れている。ちょっと怖い蜘蛛も愛嬌タップリで味がある。
カマキリの"カマキチ"も良いキャラだったし、彼が育てる子供達も可愛いのなんの!
(小学生の時、誰かが持って来たカマキリの卵が授業中に孵ってしまい、教室中がパニックになったのは楽しい思い出…カマキリは生まれた時からカマキリ型だよね)
悪役のスズメバチはもう少し実際の形に近くしてほしいところだったけど、凶暴性は良く出てるデザインだった。女王はハチって言うより猫みたいな顔だったけど、まあいいや、それなりに気品があって良かった。
テントウムシとハッチのママの女王蜂はマドンナ的存在で、とってもタツノコ的コケットリーに溢れた造形。アニメの上に虫なのに、目が合うとドキドキします(笑)が、残念ながら両者とも声が恐ろしく大根で台無し。
美人が声も美人とは限らないのだよ。もったいないなぁ、ピコちゃんは素敵な役だったのに。

背景やカット割りを含め、映像は綺麗で見易く、変に力が入り過ぎずストレスを感じさせない。
ストーリーも子供向けながらシッカリしていて抑揚に溢れ、ちゃんと感動のツボを押さえている。
先にも書いたように、私は生き物の生態に反した設定が気になって仕方無いタチで、だから大好きなPixere作品でも『バグズ・ライフ』や『ファインディング・ニモ』はイマイチなんだけど、そういう点ではこちらも、所々気になって素に戻ってしまったのが残念ではあった。
せめてハッチが女の子ならな…とか、肉食だからって責めてもな、とかね。
まあ働き蜂は全員雌だと言っても、繁殖行為は女王に一任している訳だし、仮に蜂社会に言語や服装や行儀作法があったとしたら、「男」のソレに近くなっていたとは思うけど。でもハッチは王子だからえーと…って、グルグルグル。なに真面目に考えてるんだ私は。
それでも話が進むうちに気にならなくなって来たのは、主人公のハッチが恋愛沙汰とは無縁な子供だったせいが大きいかも。でもハチの子供だったらウジ虫なんだけど(しつこい)。
スズメバチの女王も、子供達に対する思いを吐露したり、ただの悪とばかり決め付けてないのも良いところ。
それと、私は元々こういった熱血と言うか「しょうがなくないよ!」的なキャラが苦手で、ハッチがクネクネを助けに(絶対にかなわないはずの)スズメバチの元へ行くと言い張るのを見て、「ちょっと痛い目見た方がいいぞコイツ」と思ってしまった事を告白しておこう。
結局、虫から見たらゴジラみたいな"人間"を使う事で解決を見てしまうので、その辺りは本当に残念だったのだが、それでも意外と不快感を感じなかったのは、やはりキャラクターに思い入れが出来てしまっていたからか。
ママが美しい瞳を開いた時には、ちょっと快哉を叫びたくなった。

そうそう、"人間"が、ねえ。
出さなきゃいけなかったんでしょうか、あれ。
"アミィ"というキャラクター自体は可愛くて良かったんだけど、虫と会話できる人間の少女、という存在が、この作品世界に必要だったのか、というと、最後の飛び道具には必要だったのかな、と意地悪な事を思ってしまう。
できれば"人間"は、深入りして欲しくなかったなあ、私としては。
他の人間の声が滲んで聞き取れない演出は面白いし、最後にアミィとハッチの言葉が通じなくなる場面でも効果的だったと思う。言葉が通じなくなっての焦り、哀しみから、心が通じ合う場面は感動的で、とても良かったのだけれど。だから「人間いらなくね?」という思いも薄れてしまったんだけど。
でも本当は、人間ナシで解決して欲しかったなぁ。アミィとの関係性に割いた時間を、他の昆虫とのやり取りに回せたし、前半もう少しハッチの旅も見せて欲しかった。
と、なんだかんだ、ドンドン注文が増えるのは、やっぱり楽しかったからだろうな。

コンフィデンス 

うわ〜つまんね
けっこう豪華キャスト並べてなにやってんだか。

主人公に魅力が無いのは大きいと思う。
エドワード・バーンズの鈍そうな表情は、腕利き詐欺師に似合わない。思い入れできないから、騙す爽快感より騙される不快感が先に立ってしまう。
冒頭「ボク死んだよ」宣言があるが、ほぼ最初から「死なないな」な空気な上に、手口も工夫ナシというか作中二番煎じってどういうつもりなのか。
そして御大ダスティン・ホフマンの、ウザい上に面白くも何ともないヘンテコなキャラ付け。もはや老害。
レイチェル・ワイズが恐ろしく美しいので、つい最後まで観てしまったが。

『オーシャンズ』シリーズも、ちっとも面白く感じない私は、この手のクライムストーリー?がダメなのかも。
『ルパン3世』は大好きなんだけどな。あ、実写版じゃなくてね。