や行 やゆよで始まるタイトルの映画

柳生一族の陰謀

1978年公開かぁ。
流行ってたのは知ってたけど、当時邦画に興味が無くて、一度も見た事が無かった。
深作欣二監督だったのね。
物凄いオールスターキャストで、お金も手間暇も凄い掛かってるなーと感心した。
が。
柳生但馬守役の萬屋錦之介の芝居が臭くて臭くて(笑)おそらく歌舞伎芝居そのまま演ってるんだろうけど、おっさん出て来ると内容が全く頭に入らない(笑)。
こういった芝居の仕方も日本の文化の一つなんでしょうけれど、私は少なくとも映画では受け付けないわ。

しかし、JACKが大活躍の、良い時代でしたね。
千葉ちゃんは顔も芝居も暑苦しくて、正直あまり好みじゃない(息子達も)けど、アクションの担い手としては本当に凄かったし、彼が日本を見捨ててアメリカへ渡ってしまったのは本当に残念だ。
若くて初々しい真田広之、キラッキラの笑顔の志保美悦子も眩しい。

大奥廊下の雪之丞の大立ち回りは凄かった!
この人はJACKじゃなくて歌舞伎役者(五代目中村歌六)ね。女装に全く無理が無いと思ったわ。
さっきはご免、歌舞伎。好き。
あと凄いのが成田三樹夫様のマロね!最高。
夏八木勲のやけっぱちな最期もかっこ良かったし、それを残された忠長(西郷輝彦)がグズグズと羨んでるのも面白い。

要は徳川の跡目相続にまつわるお家騒動の、その周辺の人々のお話。
まあとにかく人が多いしいっぱい死ぬし、なかなか全貌を把握できないんだけど。
ちょっと家光さん、気の毒な気がするんだけど…もちろん忠長さんも、だけどさ。
そして大原麗子がめっっっちゃ可愛い!出雲阿国。
酷い女だねぇ、好きな男に自害するなと釘を刺されて、自分に片思いの男に殺してもらうって。
その男がまた原田芳雄だからね、何と言う贅沢
キリリと若々しい秀忠の西郷輝彦も、顔の痣と吃音に苦しむ根暗な家光の松方弘樹も、とても良かった。
丹波哲郎、三船敏郎、この辺りは「あー時代劇!」って、顔が見えるだけで嬉しいし。

色々と大変なのは分かるけど、こういう大上段の大型時代劇
また見たいよねぇ。
武士が算盤弾いたり引越ししたりじゃなくて。藤沢周平とかじゃなくて。
キャストもスタッフも、本当に絶滅してしまうよ。
この映画がそんなに面白かったかと言うとそうでもないんだけど(すいません)、この姿勢は大切だと思う。

で、錦之介、日本アカデミー主演男優賞ですって(笑)。

野生のエルザ 

幼少期に観て感銘を受けた記憶がウッスラとあるけれど、具体的には殆ど覚えていなかった。
私の薄ボンヤリした記憶は、もしかしたらTVドラマ版の方だったのかもしれないが、原作本を含め当時は一種の"ブーム"になっていたように思う。
一世風靡したと言っても過言ではない、実話に基づく動物愛情物語。

なにはともあれ、ライオンかわゆすっ!!!
もう他の事はどーでもいいってくらい。
子供時代の三兄弟はモチロンだけど(鳴き声もカワイイ…「ピー」とか「プー」とか言ってやんの)大きくなったエルザの仕草、表情の愛らしい事!名女優だわ。

ヒロイン(はエルザだけど)の女優さんがまた美しい。
清楚で気品があり、イギリス的なシャープさが、アフリカの景色に良い感じにミスマッチで絵的にとても素敵。
あの優雅な内巻きヘアをあの環境でどう維持してるのか…などと、野暮は言うまい(笑)。

原作発表は1960年。だから、当時は今とは色々事情も違ったと思うし、動物行動学なんてのもきっと進歩しているんだろう(と、言うより『エルザ』はその走りだったのかも)から、随所に見られる「???」な部分も、そう考えれば仕方無いかな、と思う。
永住するワケでもないのにライオン飼ってどうする気だったのか。なぜああも動物園を激烈否定なのか(兄弟送ったくせに)。野生動物をペットにしておいて「ずっと自由だったのに」とは笑止。狩猟が野放しだったらしい時代にライオン放し飼いとか危な過ぎだし、「野生に還す」からといって、いきなり野生の雄にけしかけるとか大胆過ぎだし。
でも、表現が淡々として上品で、イギリス人夫婦の好感度も高いせいか、それなりに半ば納得して観てしまった。各所にちゃんと言い訳も用意されているし。
野生に還ったエルザが子供を見せに来る、という後日談は、世話してやった野良猫みたいで微笑ましくも納得できる。
ただし、遠巻きに見る雄ライオン(父親)が呼ぶとか、「ダンナ様がお呼びよ」なんてのは、西欧風ロマンティックラブ過ぎて、どうなんでしょ…とは思ったが。

撮影大変だったでしょうね…。
土が本当に赤いんだ、とか、アフリカ象が好き!とか、ライオンって木にも登るし泳ぎもするんだ!!とか、単純な感動がいっぱいあった。
車の屋根(熱くないの?)に乗っかるエルザが可愛い。イボイノシシにどつかれる姿も可愛かった(イボイノシシ君にとっては笑い事ではないんだけど)。
犬掻きならぬライオン掻きのエルザも可愛かったが、個人的には岸に鈴生りになって見物する地元の人々がツボだったな。
当時とてもエキゾチックで物珍しかったアフリカの生活描写(あくまで白人目線ではあるが)や雄大な景色と、スケール感のあるテーマ曲が相まって、"名作"らしい匂いを漂わせる。

ライオンという種は、猫科には珍しく群れを作る動物なので、特に生涯を群れで過ごす雌は性格が犬に近く、比較的人に懐きやすく飼いやすいんだとか。
子供の頃の最初の感想は「なーんだ、タテガミ無いのか」だった(笑)のだけど、そう聞けばナルホド納得。
作者のジョイ・アダムソン女史は、後年惨殺死体で発見され、「ライオンに食い殺された」とデマが飛んだ。実際は殺人事件であり、その後夫のジョージも密猟者に射殺されたと言うから、凄まじい。
根底に白人社会のアフリカへの侵略があるとはいえ、手探り状態から動物保護のあり方を模索したであろう人々には、それなりに敬意を表したい。

…これを見て本気で猛獣をペットにしたバカが多数いたであろう事を思うと、罪作りな話ではあるが。

遊星からの物体X

ゲロゲロ映画の大傑作。
(これでも誉めてるつもりなのよ。)

かなり古い映画なので、主演のカート・ラッセルも若くてピチピチ(笑)。
監督はB級の星(なのか!?)ジョン・カーペンターだ。
ストーリーは良くあるエイリアン物だが、その死闘ぶりはハンパじゃない。
歯切れのいい乾いた展開と、脅かすタイミングの良さが小気味良い。

CGに慣れた目には、当時のダイナメーションは稚拙に映るとは思うけど、いや当時にしても、いささかぎこちない感はぬぐえなかったSFXなんだけど、それでも、ね。
犬のシーン、生首から脚が生えるシーン等、今思い出してもショッキングで秀逸だ。特撮の命は、まずイメージセンスだと実感させられる。
しかも、しつこい。
これでもか、これでもかのゲロゲロ攻撃に、しまいには上映館に笑いが起きていた程。でも恐い。

名画座で 初めてこの映画を観た時、珍しく友人と一緒だった(だいたい一人で観に行く)。
「映画の後で食事して…」との計画だった。
映画館を出た後の私達は、食事メニューのセレクトに、大変悩まされた。
スパゲティは避けたい。焼肉も、ちょっと。カニなんて、まさかね。
結局ラーメン屋でキムチラーメンを頼んでしまったのは、やはり物体Xから頭が切り離せなかったからに違い無い。

追記TVでやってたので久々に観てみた。面白いっ!!!
当時はゲロゲロ部分が印象的過ぎて、いやそれでも充分面白かったんだけど、今観ると本当にシッカリキッチリ造り込まれてて、サスペンスの盛り上げ方が素晴らしい。特殊な環境はある種密室だし、絵的にも効果抜群。互いに疑心暗鬼に陥って行く様も見応えがあった。
椅子に縛り付けられて隣の人がピョグェエエ〜〜になっちゃって逃げられないとか怖すぎ。そういうカンジンの時に火炎放射器がプスンとかってもう(大興奮)!
刺激的な画面には慣れきってしまった今でも、本当にハラハラドキドキさせてもらえる。刺激って積み上げた上に置いてこそ価値があるんだよな、と再認識した。トレビア〜ン!

郵便配達は二度ベルを鳴らす

ジェシカ・ラングの扇情的な事!
そりゃゴリラも夢中になるってモンですわ(違う話だ)。

ずっとタイトルは知っていて、ジャック・ニコルソンは好きだし、いつかは見たいと思っていたんだけど、予備知識としては「なんかテーブル上でエロい行為が展開されるらしい」という事だけだった。
…ほぼその通りの映画でした(笑)。

濃い設定、濃い演技で、それなりに退屈せずに見られたけど、そう感動も無かったな。
登場人物がほぼ全員、低脳の単細胞で、ある程度おバカな方が物事は動くし盛り上がるんだけど、ここまでやられると付いて行けないと言うか…特にヒロインのコーラという女、大丈夫か!?というかダメでしょうアレ。
でもジェシカ・ラングの貌と肉体は、補って余りある説得力ではあるけれど。
田舎のスタンドの女房や流れ者の小悪党があの程度なのは、むしろリアルなのかも、と思ったり。
いずれにしろ、あまりに思考がかっ飛び過ぎて思い入れができなかったな。
なんかもうみんな、肉食い過ぎだよ、みたいな(笑)。
フランク目線で見られたら、もう少し盛り上がったのかも、女の色香に惑わされて破滅の道を行く…というような。
ナゼか男性、そういうの好きじゃない?

思わせぶりなタイトルは魅力的だが、見終わっても意味が分からないので、調べてみた。
かの国では郵便配達員は必ず二回ベルを鳴らすと決まっているそうな。そして作中の事件のいくつもが二度繰り返される、と。
なるほどねぇ。
舞台で上演もされてるようだけど、そちらの方が向いてるかも、この内容。
欲望という名の電車』(この映画は面白かったけど)とか、ちょっと思い出した。
映画と舞台って、全然違うと思うんだよね、ベクトルが。

アンジェリカ・ヒューストンの猛獣使いってのもエロい。出番一瞬だけど。

ユナイテッド93 

うわぁん
本当はこんな映画、観たくなかったんだよ。
でもなんか、一応観ておくかな…と、言う気にさせられてしまう企画ではあるので。
結果、それなりに見応えはあったし、真面目に作ってあるのは評価したいが、やはり「実話の映画化」でしかない、しかも実際には当事者全員死亡に付き想像でしかない。しかしコレに限っては、その事自体にこそ意義があったのだろうけれど。

まず、もう絶対に全員死んでしまうと分かり切っている人々を見るのは辛い。そういう意味では、比較的サラリとした人物描写のみですぐ事件に入ってしまう作りはありがたかったが。
管制塔と飛行機内が、舞台の殆どを占めているせいもあり、どうしても構図が限られるのは仕方無いものの、アップとバストショットの多さにちょっと疲れた。移動カメラを使ってドキュメンタリー風味を醸しているが、それなら悲しい音楽とかも邪魔なのでは?と、気になった。
有名俳優を出さないのは良かったな。突出したヒーローを作らないのも、当然だが良心的。
尤も、そういう派手な演出が無くても人々が観る素材であろう事が分かっていたせいでしょうが。
逆にあまりエンタテイメントに作ってしまうのも心証が良くないだろうし、どう転んでもこの主題を「実話」という要素抜きで扱えるはずがないのだから仕方無い。

でも正直、以前何かで観たTV番組の再現ルポみたいなのの方が、被害者の遺族のインタビューや、実際に撮られたニュース映像なんかを織り込んであり、数倍見応えがあった。
私は所謂「陰謀論」を支持する気はないが、ラストの解説は言い訳がましくて、ちょっといただけなかったな。
一応「公式見解」として押さえておいてもいいとは思う。

ゆりかごを揺らす手

とっても恐くて、センスのいい、でもちょっとイヤ〜な気分になる映画。

話せるダチ公(なんて言葉でしょ)が、突如として見知らぬオバサンになってしまう。「妊娠」とか「出産」とかって、私にとってはそれ自体がすでにホラーだ。「母性本能」なんて言われたひには、殆ど強迫観念に足がすくんでしまう。
元々そんななので、このシチュエーションは、もの凄く恐い。
たださえ妊娠すると、いろんなホルモンとかが盛大に出て、身体も心も大変化を遂げるもの(らしい)なのに、肝心の胎児がプッツリと流れてしまったら。それも、子供が自然に弱った結果ならまだしも、母親の精神的ショックで無理矢理、というこんなケースでは、行き場を無くしたホルモンやら母性本能は、そりゃあ暴れたくもなるでしょう、きっと。
犯行動機が単なる「逆恨み」と思い切れないところが、恐いけど悲しい。

ブロンドで青い青い瞳のヒロイン(兼殺人鬼)レベッカ・デモーネイは、スレンダーな身体に可愛らしい顔で、ちょっと小ジワが目立つのもチャーミング。こういう美しくて恐くなさそうなものが恐いのって、すごくイイ。子供も懐くし、ダンナはデレデレ。
でも正直言って、ドラマとしては、デモーネイ(と、その変態亭主)以外の人物が、みんな立派でいい人すぎるのがつまんないんだけど、ホラーとしてはその方がいいのかな。
殺し方とかも色々工夫があって、手を換え品を換え、丁寧で念入り、こうでなくっちゃ。
殺人鬼が死んで終わるのも、この種のパターンとしてお約束だから仕方無いのでしょう。私個人的には、ダンナが誘惑に負けて家庭は崩壊、みたいな話でもぜんぜんOKなんだけど。
「手負いと子連れに近付くな」って言葉もある事ですし、ましてや訴訟社会のアメリカでは、他人事ではないと感じた人も多かったのでは?

ところで、私が一番恐かったシーンはデモーネイがリンゴを食べるところ。
外人って、ああなの!?
私だったら絶対に舌を切ってるわ。おおこわ。

許されざる者

古くはオードリー・ヘプバーンがインディアン娘に扮した同名のウェスタン(!)があったらしいが、そっちじゃないの。
クリント・好々爺・イーストウッドの監督主演のシルバーウェスタン(そんなジャンルは無い)の方。
確かなんか賞とか取ってたよね。
無理もないんだわ、これが。

なにしろこのイーストウッドの爺さんぶりはスゴイ。
若い頃は泣く子も黙るガン・マンだったが、年老いて引退して今は静かに豚を育てている、という所から始まるんだから。
かつて実際に西部劇映画やダーティハリーシリーズで、強くてかっこいいイーストウッドをさんざん観て来た我々にとって、その姿は感無量だ。颯爽とした長身はヨレヨレ、ハンサムな顔もシワシワ。
身体も頭もすっかりニブくなってしまって、後はただ、畳の上で死にたい、みたいな状態で、役柄と分かっちゃいても切ないものが込み上げる。いや、どこまでが狙いか、この時点では半信半疑な訳だし。

すっかり気も弱くなっているこのブタ飼い老人、昔馴染みに誘われ、いた仕方無い事情もあって、銃でもう一花咲かせよう、という事になるが、かつてならした老人と、若いだけのド素人からなるチーム、どうも調子が出ないままに、どんどんやられちゃう。
そして、仲間が残酷に殺されて行くのを目の当たりにして、ブタ飼い爺の眠っていた魂が目を覚ます…。
ココ、本当に凄いの、観ているこちらも目が覚める思い。(って別に前半が眠い訳じゃないのよ、あしからず)
思わず「うわー、ホンモノだ!!」と心で叫んでしまう、見事なガン・マンぶり。

…と、ここでふと立ち止まる。ホンモノのガン・マンなんて、多分だーれも見た事無いよね、少なくとも日本では。
私の中には幼い頃観た西部劇のイメージがインプットされている訳で、そしてそもそもその元々のイメージ構築にはイーストウッドが多大な貢献をしている訳さ。
おかげで観客は「知らない物のリアリティをヒシヒシと感じる」などというヘンテコリンな状況に追い込まれる。

だからと言って、この映画はかつてTVで観た西部劇とは全く違う、むしろアンチテーゼと言っても良さそうな、かっこよくない、スカッとしない、重苦しい。
実際に年老いたイーストウッドが、若い頃さんざん出演した娯楽作品 の軽薄さを懺悔しているようにも見えた。

妖怪大戦争

公開当時にも見ているんだが、すっかり間延びした今の姿を知ってから見ると、まあ可愛いわ神木君。
「田舎に転入して来た東京の子」というシチュエーションが、恐ろしく似合う。周囲の子役も田舎臭い子を選りすぐったのだろうが、並ぶと全く別の生き物だ。

物語は他愛ない。怨霊vs.英雄伝説のパターンなんだが、キャスト表を見てビックリの豪華出演陣(特殊メイクが凄すぎて見ただけでは判別できない)と、細部にまで行き渡るトボケた"妖怪愛"が相まって、楽しい映画になっている。
何と言っても、選ばれたる"英雄"がガチで小学生なのが嬉しい。村祭りの風習に引っ掛けて来るところも良い導入だし、記念品の手ぬぐいも良い小道具になっている。
そして繰り返すが、その"英雄"を実現するには力量のある可愛い子役が必要であり、そのニーズを神木君は見事にクリアして見せた。
私は断じてショタ趣味ではないし、子供はそんなに好きでもないが、ここで中途半端に育ったアイドルやらこましゃくれた不細工な子役なんかを持って来られたら、全く観る価値は無かったと思う。

そして栗山千明様が素晴らしい!
あんなメイクでも美しい。凶悪だがいじらしい。って言うかヘンな格好似合いすぎ(笑)。鞭を振るう所作もシャープで美的で完璧!流石は"ゴーゴーちゃん"。
トヨエツの"加藤"も良かったのだが、『帝都大戦』の嶋田久作を観てしまった後では、ちょっと風格が足りない、残念。この人の容姿は大好きなんだけど、こういう役やると演技がマンガ過ぎるんだもん…尤も、小豆にやられちゃう怪人だからなぁ…(笑)いいのかな。
他の妖怪達も、本当に豪華キャストなんだが、本当に分からないのよ(笑)。ある意味とても贅沢。でも、もうちょっと素顔を残してくれても良かったと思うんだけどなぁ。
宮迫の記者もなかなか良かったし、最初は驚いた菅原文太の爺ちゃんも、あれはもう"神の領域"なんだね、と思ったら納得した。

しかし最大の功労者は、主演の神木君以上の"萌えキャラ"という大役を見事に果たした、"川姫"じゃなくて"スネコスリ"だな。
時代も古いので各所にぎこちない特撮も観られるし、予算の関係等もあったのかもしれないが、本当に見事にタダのヌイグルミ(笑)。だがそこがいい。
これ、妙にリアルなCGとかだったら(可能だったとしても)興醒めだよね。殆どハムスターだし。
怪我したり、いじめられてても、ヌイグルミだから程良く悲壮感が薄まってくれるし、表情も想像の余地を残してくれるし。
物語が進むにつれ、どんどん可愛く思えて来ました、ヌイグルミ(笑)。

日本の妖怪というのは、世界でも希有な愛嬌のある味わい深い存在だ。
そういう意味で、こういった形で妖怪をフューチャーするのはとても意義深い事だと思う。
"麒麟童子"の衣装や、剱が英雄を導くアクションシーン等も、その日本らしさを生かした良い出来だった。機械と妖怪を掛け合わせるという現代的な発想も面白く見やすかった。
千秋様は何故か洋風(と言うか宇宙人みたい)だったけれど、何か思うところがあったのか、どうなのか。
そこここにチープな感も見られるが、それも含めて楽しい、愛らしい映画だと思う。

容疑者Xの献身 

『ガリレオ』シリーズ、原作本はいくつか読んでいるものの、TVドラマは全く見ていない。
ぶっちゃけ、福山さんには何の期待も無いの、嫌いじゃないんだけど。ついでに芝咲さんも苦手。
今回ゲストが好みだったので、初めて見てみたところ、予想通りと言うか当然と言うか、やっぱり堤真一の独壇場。あ、松雪さんも好き。
だって湯川さん活躍してないし。最初の分身の術くらいかな?見所。あとは山登ったり誰がやっても同じような事してるだけ。

東野圭吾ってね、この湿っぽさと言うか甘ったるさと言うか、日本人は好きなんだろうな、とは思う。けど無理が通れば道理は引っ込む、という(『麒麟の翼』もね)、正直私は好みじゃないのかも。
余計な事をせず花岡さんの自首に付き添いでもしてやれば良かったものを(かなり情状は酌量されるハズ)こんな動機で殺人をしてしまえるって信じられない。それも相手がホームレスとか…酷い、酷いよ。
それなのに全てを知った湯川は見逃そうとする。
基本、湯川は「自分の興味が満たされればOK、後は知らん」な姿勢の人とは言え、これを見逃すと言うか見送る人ってどうなの…と、ここまで考えて、そうか福山だからかも、と思い付いた。
この「自分の興味が…」という辺りが、全然伝わって来ないんだもの、この湯川さん。
ハンサムなんだけどさ。湯川教授も龍馬も、他の人にやってほしかったわ、やっぱり。

と、まあ、根本部分で不快感に囚われてしまって、ちょっとアレではありますが。
そこそこ面白かったのも事実でありまして。
堤演じる石神さんがストーカーに変じてダンカンに脅迫状を送り付ける所、私はすっかり真に受けてしまったですよ。
得体の知れない、不遇の天才。と、言われると、どこか壊れた人を予想いや期待してしまう。
堤さんの微妙な表情も相まって、「怖い、この人…」と思わせる説得力は充分。
それが実はミスリードで、誤解したよりずっと怖い人だったという皮肉。ちょっと新鮮。

でもさぁ。
本当にそんなに頭の良い人だったら、こんな風に庇われて自己犠牲を見せ付けられて、おまけに見返りの要求もされなくて、という状況で、マトモな人が耐えられるハズが無い、という事に、なぜ思い至らなかったのか。
それ以前にさっき書いた自首の件があるけど…己の頭の良さに絶対の自信があったから?
やはり「天才とは欠落」という事なんでしょうか。
実は私は、彼が自分の頭の良さを誇示したくてした事かと邪推してしまった。それだったらまだ、分かるのよ。でも、違った。
後味悪いったらありゃしない…。
って言うか、そんなに頭いいんだったら、死亡時刻の改ざんくらいできちゃうと思うのよね。上野正彦先生に叱られそう(笑)。
ここで「もう一つ死体が必要」と思い付いてしまう発想が、力一杯気持ち悪い

ついでに言うと、とても作中重要だったと思われる湯川と石神の初対面のエピソード。
「その公式はもう解明されているんじゃ?」「いや、アレは美しくない」。
そんな彼が、では美しい解答を導き出し、実行したのか。ホームレスに「仕事をやる」と欺いて、殺す事で。
まずい、怒りの感情が収まらない。ホームレスは明日は我が身と思うせいか。

しかしそこまで現実と近付けて考えてしまう辺り、やはり面白かったんだと思う。主に堤さんが。

追記:けっこうボロクソ書いてるけど、N○Kの特番でワケの分からない草の実とか食べてるフクヤマさんは大好き。彼の撮る写真も好きだし、歌も好き。…要するに私にとっては“大根役者”という事なんだろうけど、容姿が良いので役が付くのは無理無いと思う。

幼獣マメシバ

佐藤二朗の"レインマン"演技が秀逸。
TVドラマの劇場版だそうだけど、私はドラマは全く知らなかった。
ちょっと残念。

犬の活躍はほぼ無くて、犬を預けて失踪した母親を引き籠り青年が探し回るロードムービー。
犬はもちろん連れて回るが、どちらかと言えば母のまわりくどいヒントに振り回されつつ探し続ける息子の姿がメインで、マメシバは小道具としての機能が強い。
全く予備知識が無くタイトルだけで観たので、ちょっと拍子抜けではあったが、十分面白かったしマメシバの可愛さも堪能できた。
安達祐実ちゃんも可愛らしく、ウッスラ闇を抱えてる感じがとても上手いし共感できる。それに綺麗
藤田弓子の謎多きオトボケお母さんも、石野真子のニッコリ笑ってザクザク斬り付けて来るお母さんも良かった。
志賀廣太郎、笹野高史ら名脇役も安定の味わい。
旅先での日本の自然も美しい。

引き籠りコミュ障青年だけど、芝二郎君は賢くて物事を深く見据えられる人。
彼の言葉には哲学の匂いさえする。
だから世の中が痛くて引き籠ってしまうのだろうけど、お母さんとしてはそれは気が気じゃないでしょう。
現実的に考えたら、あまりにも回り道と言うか壮大過ぎる手口で、成功率も低そうな気がするんだけど。
母の愛、そして息子への信頼感(先に挙げたように芝二郎は有能な青年だから)の為せる技、と思えば受け入れられる。

幼獣マメシバというより"珍獣芝二郎"がタイトルにふさわしいとは思うが、犬目当てで見ても十分に楽しめて、笑って癒されて意外にホロリとできた。

ヨギ&ブーブーわんぱく大作戦

ああ、なんか悔しい。
こんな映画で、けっこう笑ってしまったよ。それこそ声を立てて。

まず設定のシュールさにビックリ。
熊が、しかも二匹、普通に人間と会話してて、それが日常になっている。
その上その熊二匹が、何と言うか、全然可愛くない(見た目的に)。
今日日の撮影技術は恐ろしくて、表情も動きも存在感も、もうその場にいるとしか思えないのだが、まあビジュアルとしてはこう、傍にいたら気持ち悪い、もしくは怖い。デカいしな。
『お母さんと一緒』とかそういうキグルミショーを、大真面目にロケで長編で撮っちゃいました、みたいな。

でも、見始めたらすぐ笑ってしまって、とにかく最後まで気持ち良く笑えた。
キグルミショーで言うところの「歌のお兄さん」に当たる、パークレンジャーのスミス隊長もとっても素敵
最初は驚いた隊長と熊達の並ぶ図が、すぐ見慣れてシックリ来てしまった。
デカくて前向きで食いしん坊の"ヨギ"と、チビで冷静なツッコミ役の"ブーブー"。二人いや二匹の会話は常に漫才状態で、特にヨギのボケっぷりは本当に徹底していて凄い。
何をするにも、何処へ行っても、とにかくいちいちボケる、失敗する、ブチ壊す。
でもそれが、ウンザリする濃さにならないのが凄いところ。
隊長もいいが野心家(笑)のジョーンズ隊員も秀逸なボケキャラで、こちらもいっぱい笑わせてくれた。
ヒロインの動物マニアの「ムービーレディ」レイチェルも、元気一杯で可愛らしく、シュールな絵ヅラに適度な花を添えている。ゴリラやユキヒョウになり切って大活躍もするし。

私は根がオタクなのか、マニアックな趣味がピッタリな男女が惹かれ合うとか、そういうのがすごく好き。がぜん応援したくなる。
「動植物図鑑」にチェックを入れる隊長とレイチェルも、それだけで好感度が上がったし、それ以外でも本当に二人が気が合う様子が随所に見られて、しかも不器用な二人がとても愛おしくなった。
そしてやっぱり、大熊・ヨギが、とにかく(性格が)可笑しいし面白い。
よくぞここまで、としつこく繰り出されるドジっぷり、ボケっぷり。そこに絶妙にツッコミを入れ続ける、困り顔のブーブーも可笑しい。
悪役の市長とその側近も、いい具合に嫌味で俗物っぽく、気分が悪くならない程度の悪逆ぶりが秀逸だ。この人達にもいっぱい笑わせてもらった。

花火で引火のシーンとか、列車に飛び乗る所とか、本当に声を上げて笑ってしまった。
川下りのシーンなんかはちゃんとハラハラさせてくれたし、亀を巡る攻防も、ブーブーのカメラの件も、本当に面白くて楽しかった。
よくぞここまでベタなギャグを連発してくれるものだ、と、終盤はもはや感動していた。
誰も傷付けず、ギリギリのところで下品にならない匙加減は見事の一言。
例えるなら、ドリフのコントを映画一本ずっと続けてるようなテンションで、そのくせストーリーの骨子は単純だがシッカリしてて、誰が観ても「公園を守れ!」と思うようにできてる。
あ、熊の造形は全然可愛くなくて、だんだんそれがクセになって来るんだが(笑)、亀はとっても可愛かった。
あの亀の使い方は、ちょっとご都合っぽくはあったけど、まあそこはご愛敬の範囲かと。

やたら声量のあるヨギの声優はダン・エイクロイド。ブーブーの可愛い声は、なんとジャスティン・ティンバーレイク。何と贅沢な…やはり本気だったのね、制作サイドは。
設定の子供っぽさにナメて掛かったら、とんでもない。実は恐ろしく良く出来たハートウォーミングコメディで、ちゃんと真面目な主張も伝わって来る、丁寧な造りの傑作でありました。

欲望という名の電車

うわぁん、恐い。
いろんな意味で、ものすご〜く、恐い映画だった。

有名な戯曲の映画化だけあって、会話で進む脚本のち密さはサスガ。
それと同時に、映画的な絵や効果音、動き。そして、むしろ舞台的かもしれない、迫力の演技、みんな演技、すごい。
そしてヴィヴィアン・リーの、ちっとも似合わない金髪の、元々美し過ぎる顔のクローズアップの、恐さ。
子供心にも「この人こわい」と思った記憶があるが、自分が歳を取ってみると、いやはや、恐さもひとしおだが哀しさもハンパじゃない。

このイミシンなタイトルの通り、劇中には色んな「欲望」が乱れ飛んでいる。
主人公ブランチの、いつまでも美しい淑女として扱われたいという欲望。
絶え間無いお喋り(全部自慢話だ)、気取った仕種に、最悪のタイミングで垂れ流される媚び。
ヴィヴィアン・リーは、痛ましいまでに神経質な演技で正気と狂気の境い目を演じ切る。見ているこちらは引き込まれ、引きずられて、自分の立ち位置まで危うい気分にさせられてしまう。
孤独なオールドミスのプライドと不安。積み重ねる嘘を、どこまで自覚できていたのか?
それから、ブランチの妹の夫、スタンレー。お手軽な欲望に忠実。目に付いた物には考え無しに手を延ばす。ブランチの屈折率は、さぞや彼には目障りだったろう。
妹のステラ。プッツンの姉に優しく付き合う、彼女は多分、姉の惨めな末路が嬉しいのだ。美しい跡取り娘の姉の影で居場所が無かったから、裕福な暮らしを捨ててDV(家庭内暴力)男に走り、殴られて謝られると生きてる実感に歓喜してしまう、その場は自分が主役になれるのだから。
ブランチに求婚するミッチ。ブランチの嘘に傷付くわりに、すぐ座り込んでシレッとカードなんかやっている。急にスタンレーに「おまえのせいだー」と殴り掛かったりして、違うよ、おまえだろ!って。彼がのぼせて求婚なぞした上に捨てたりしなければ、いやせめて未練たらしくキスしに戻って来なければ、ブランチはまだ「こちら側」に居座ってたはず。
最後に、一番モノが分かっていそうな二階のおばさん。なんかこの人の言う事は正論のような印象になっちゃっているけど、実はひたすら結婚生活に耐え忍んでいる、けして「正しい」訳じゃない。
T・ウィリアムズって、本当に意地悪だ。

スタンレー役は、マーロン・ブランド。
二枚目の代名詞みたいに聞かされるこの名だが、なるほど、この映画のブランドは、ヤバい。
下品でアホで、いや〜な奴なんだわ。でも、その彼が雨に打たれて絶叫すれば、ヨリを戻してしまうステラの高揚感も分かる気がする。
甘いマスクに拗ねたような表情。白いTシャツの胸元は、どことなくエロティックで、セックス・シンボルの名にふさわしい。
そしてやっぱり、ヴィヴィアン・リー。
もう一本の代表作『風と共に去りぬ』では若く、あまりの美しさに目を奪われていたが、こうして見るとつくづく「女優」という生き物なんだな、この人は、と思う。
脚本の出来もさる事ながら、彼女の迫力が命の映画であろう。
この緊張感は、尋常じゃない。


 

歓びを歌にのせて

何の予備知識も無く、レンタル屋の棚の中からフラリと手に取ってしまった一本。
何だか予感めいた物が働いたのか、ろくすっぽ解説も見ずに借りてしまった。大正解!

フィンランドの映画という事で、キャストも見覚えの無い顔ばかりだし、言葉も耳新しくて雰囲気がある。景色も、建物も、家具や内装も、おじさんのセーターなんかも、ちょいと目新しく可愛らしく、素朴で、素敵。
田舎の小さな村の閉鎖的な息苦しさも、馴れ合い的だけど底抜けの優しさも、シッカリ伝わって来る。
この村に世界的な指揮者(=有名人の芸術家)が移り住んで来て、聖歌隊の指導を始めた事から、波紋は広がる。
指揮者も聖歌隊のメンバーも、牧師も、皆善も悪も併せ持ち、極めて人間臭い。ちょっとちょっと…と、言いたくなる所が、一人一人にみんなあり、でもそれなりに、狭い中で折り合いを付けながら生きている、その様子がリアルで優しくて、可笑しくも心地良かった。

冒頭の派手な流血シーンから、主人公の指揮者・ダニエルは「余命半年」と明言。これが、あまりにサラリとモノローグで語られてしまって、ちょっと印象が薄いのが、欠点と言えばそうかも。
途中、乗れない自転車に乗ろうとしたり、冷たい川に入ったり、若い子とベッドに入ったりと、とても「心臓がボロボロ」な人とは思えない大活躍をするんだけど、この「半年」は、実は確定であって、どうにかなるとかいう類のモノではない、という所をまず押さえておかないと、終盤ややこしい思いをする。
途中で日数を数えるシーンもあり、「半年」を忘れずに見ていると、感動もひとしおだ。

私はキリスト教については良く分からないが、牧師は哀れで笑ってしまう。妻の気持ちも良く分かる。今の風潮としては牧師に味方する向きは殆ど無いだろうけれど、固定された価値観から逃れられない苦しみは、真面目な人にとっては深刻で、"偽善"の一言で片付けられないと思う。愛し合っているんだから、上手い事乗り超えて欲しいものだ。
若くて奔放なレナは、実は誰よりも優しくてピュアな女の子。初登場シーンがクリスマスのコスプレなのも象徴的だ。演じる女優さん、ハリウッド的なシェイプアップ命でない、ナチュラルな容姿が好印象。限りなくプラチナに近いブロンドと、透けるような肌。ちょっと野暮ったい所も役柄にピッタリだった。
聖歌隊の無邪気なお婆さんや、雑貨屋の"ジャイアン"おじさん、素晴らしいソロを披露して自立を表明するDV奥さん、30年耐えて来た侮辱に爆発して直後に笑って見せるデブ(DV奥さんの勇気を後押しした!)と、それぞれが人生を抱えて生きる模様が、程良い濃さで描かれていく。そうそう、生きる事は簡単じゃないけど、素敵。

個人的に、歳を食った女の立場としては、娘のような若い(金髪グラマー)女性と結ばれる、というのは鼻白む部分がある。もちろんレナは充分に魅力的だし、なるべくしてなった、とは分かるけれど。
なんだか告発する独身女性だけが、ユダ扱いで終わってしまって、そこは後味が悪かった。頑なだが、彼女の言い分も全く分からないではないし、見つめる視線に思いやりが無さ過ぎないか?牧師にも、暴力亭主にすら救いの手は差し伸べられるというのに。不満。

不満と言えばもう一つ、聖歌隊がちゃんと合唱を披露する場面が意外にも無くて、ラストの盛り上がりもイマイチ、乗り切れなかったのが残念だ。
それでも、ダニエルの最後の半年、という意味では、説得力のある答えがちゃんと用意されていて、納得して感動できた。
宗教色の強い内容で、実は理解できてない所もありそうな気もするけれど、広い意味で人生を感じる、とてもいい映画だった。
…しかしレナちゃんは、男運が無いねぇ………。

48時間

かなり評判の良い"バディ・ムービー"の代表みたいに言われてる本作を、なかなか観る機会が無かった。
加えて、「ウォルター・ヒルって面白かったっけ?」と、このところ首を傾げていた私。
やっと観ました、公開から30余年。

古臭さを感じないのは凄いと思う。
今観ると、湯気の立ちまくりの夜の街とか、いかにもウォルター・ヒルテイストなカットがいっぱいあるんだが、きっと公開当時は新鮮だったのかも。
まあ事件自体は小粒で、冒険活劇よりも白人刑事と黒人受刑者のコンビのやり取りを楽しむ映画かな?
そういう意味では、ニック・ノルティのちょいドン臭い刑事っぷりも面白いし、苦手なエディ・マーフィもここでは初々しくてチャーミング。
悪役の"インディアン"が、『プレデター』でシュワちゃんの弟みたいだったソニー・ランダム。やっぱり好みだわ♪
もう一人の悪役のジェームズ・レマーも、とってもハンサム

冒頭の脱獄シーンは緊張感があって引き込まれた。
でも肝腎のケイツ刑事が登場し、女と喧嘩して(「こんな彼氏はイヤだ」と思ったわ)出掛ける辺りから正直失速し、同僚が撃たれる件から、もう一人の主役ハモンドに会いに刑務所へ行った辺りはもう、かなりの無理矢理感が漂う……。
問題の「金」のありかとか、悪人達の"女"とかも(服装のセンスは凄かったが)、さしたる意外性も無くなーんだ、と思った。
古臭くない、と最初に書いたが、出て来るクラブの様子は「白人用」も「黒人用」もダサかったな。

男二人が死線を越えて絆が生まれる、という割には感動シーンも弱く、危機一髪の見せ場も特に無く、全体に軽くて薄い印象。それをスマートと感じる人もいるのでしょう。
私の好みとしては、ちょっと食い足りない、まあ30年前というのもありましょうが、やはりウォルター・ヒルは、あまり好みのタイプではないようです。
全然つまらなくはなかったんだけどね。
せっかくの「48時間」のタイムリミットも、あまりハラハラさせる事無く終わってしまい、なんだか物足りなかったな。