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食パン研究日誌E |
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ホームベーカリーのレシピにはどれも、バターが使われている。 オリーブオイル研究所の所員としては、これが少々不満であった。そこで・・・ 今回はバターの代わりにオリーブオイルで食パンを焼いてみた。 写真=オリーブオイル入り食パン |
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=日誌E= そもそも、パン作りにおけるバターの役割とは何なのだろう? 数ある油脂のうち、バターが選ばれた理由とは? 素朴な疑問を解決するには、まずマニュアルを開いてみる。 マニュアルというのは実によく出来ていて、素人が考えるような疑問にはたいがい答えてくれる。 「人に聞く前に、まずは説明書を読め」 と、うちの所長もよく言う。読まずに聞いて、何度お小言をくらったことか・・ 私もかつては「取扱説明書」「マニュアル」といったシロモノは敬遠しがちであったが、この研究をしているうちにその偉大さが良くわかった。 研究日誌B 参照 ふむふむ、バターの役割とは・・ 「風味をよくし、やわらかくしっとりとしたパンに仕上げます」 なるほど。でも、もっと詳しく知りたいので、ここは研究員らしく手当たり次第に調べてみる。 そもそもパンには油脂が不可欠なのか。いやそうではないだろう。。 たとえばフランスパンの原材料には、ショートニングやバターなどの油脂が含まれていない。 バターが含まれたものはわざわざ”バターフランス”と名づけているではないか・・ しかし、フランスパンは固くて、あまりふくらみが無い。すると、油脂の役割とはパンをふっくらさせることなのか。 おお!ホームベーカリーの偉大なマニュアルにも大きなヒントがあった。 それは、「フランスパン風メニュー」なるもの。 バターが入っているので「風」としたわけか。どれどれ・・バターの量が極端に少ない。 普通の食パンメニューに比べて5分の1。スイートパンメニューと比較すると、なんと7分の1しかバターが含まれない! おおお!そういえば、ずーっと前にこの「フランスパン風」で焼いたパンが、焼きあがった後にケースから取り出せなくて苦労したっけ。 これも生地の固さによるものと考えられる。 専門家の方々の書かれたものを読むと、パンにおける油脂の役割はおおよそ以下のようだ。 1 風味を良くし、コクを出す 2 グルテンの潤滑油となって伸びを良くする 3 薄い膜を作って水分やガスを逃がさない 2や3の効果で、ふっくらとやわらかく、さっくりと軽く仕上がり、なおかつパンの老化を防ぐらしい。 油脂の役割って偉大なのね〜〜 でも調べていたら無償にパンが食べたくなってしまった。グ〜〜 よし!早速、ホームベーカリーでオリーブオイル入りの食パンを作るというミッションを始めよう。 指定された材料以外を機械に投入するのは、いつもながら少々不安だが。。 スイートパンメニューの、バターの分量のみをオリーブオイルに換える。 ポチっと・・・ 練りはどうだろう・・・ンゴンゴ、、と動き出す。うん、大丈夫、ちゃんと粉と混ざっているわ。 発酵は・・うーん、ちょっとふくらみが少ないのかしら。。 焼き上がりは・・ちょっと色がうすいかな、でもまずまずの出来ね。 ピピー、ピピー!! とりあえずちゃんと食パンに仕上がっている姿に安心して、手にミトンをはめてケースを逆さにし取り出そうとすると・・ あら・・?くっついてる。底の羽の部分に生地がくっついて逆さにしても落ちてこないのだ。 でも、フランスパン風メニューの時ほどではなく、菜ばしをパンのふちに沿って差し込み、底をちょっとだけ押してやるとポコっと落ちた。 ちゃんと焼けてないのかしら・・と思ったが、スライスしてみると、綺麗に焼けている。 おまけに、ナイフを入れた感触が柔らかい。焼き色を薄めに設定したせいもあるが、バター入りの時とは比べものにならないほどふわふわだ。 う、嬉しい・・!! しかも、もっちり感と多少のコシもある。今回は、バター以外は普通のスイートパンの材料なので、上新粉は入っていないのに、だ。 この点、オリーブオイルは十分に柔らかさ、しっとり感を演出する役目は果たしていたと考えてよいだろう。 問題は風味。 パンが焼きあがるときの、あの香ばしい香りが無いのだ。バターの風味、香りはパンには不可欠なのか。 ちぎって匂いをかいでみると、青草のような香りがする。 「所長、これって何の香りでしょうか?」 「うん?どれ・・あぁ、これはオリーブオイルの香りじゃないか」 あ、そうか! 使用したのは、研究員御用達で常用している、オリタリアのエクストラバージンオイルだ。 このオイルは、そんなに強い香りを持っているわけではないが、パンに練り込められるとその匂いの特質が残るのだろうか。 ということは、別のオイルを使えば、そのオリーブオイル特有の香りのするパンになるというわけだ。 これは面白い。 口に入れると、心地よいもっちり感もあり、小麦粉の美味しさも味わえる。 バターを入れるより、粉の味がはっきりわかるかも知れない。 素朴といえば、素朴なパン。しかし、あっさりしていて食事にはもってこいかも知れない。 強力粉とオリーブオイルを換えれば、いろいろな味わいの食パンが楽しめそうだ。 ふふっ・・また楽しみが増えたわ。 それにしても、恐るべし ホームベーカリー !! 「所長、この残った食パン、トーストの味も確かめてみたいんですけど・・」 「好きにしたまえ。まだお腹が空いているんだろう。私の分も食べていいぞ」 いや、そういうわけじゃないんだけど。。 ホームベーカリーで焼いたパンをトーストすると、サクッと香ばしくて美味しいからねー オリーブオイル入りのパンはどうかな、食べてみたいなって。 やっぱりお腹空いてるかも・・ |
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オリーブオイル入り食パン バター入りと比べても遜色なく、美味しそうなクリーム色に焼きあがっている。生地の伸びも良い。 オリタリア エクストラバージンオイルの紹介はこちら |
今回使用した強力粉 日清製粉の、パン専用小麦粉。 スーパーで手に入り、味も柔らかさもバランスの良いパンが手軽に焼ける。 |
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