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ナポリタンは現地に無い!? | |||||
ナポリタン・・これは何語だろう。イタリア語ではないのだ。では英語か?しかし手持ちの辞書にも載っていない。 ナポリは、もちろんポンペイの遺跡で有名な都市だが、ナポリタンの発音に似た言葉を探すと’ナポレターナ’と’ナポレターノ’の2つがある。 |
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前者は音楽用語でもあるし、コーヒー沸かしという意味もある。また、ナポリ人の女性を指し、反対に後者はナポリ男性(私と同様、ジロー氏の濃い顔と胸を思い浮かべた方も多いでしょう)を指す。 その他にも後者はナポリの、という形容詞でありナポリ人、ナポリ方言諸々を意味する。 また、料理ではピッツァナポレターナといえば、ピッツァマルゲリータと同じくシンプルなトマトソースとチーズだけのピザを指す。 この事実から想像するに、スパゲティナポリタンもシンプルなトマトソースを使ったので、その名が付いたと考えられる。が、、私が滞在したごく狭い地域での体験と、各地に滞在していた友人の話を総合しても、このメニューは本場と考えられるイタリア本国には無いようなのだ。 大体、冷蔵庫にケチャップはあるが食卓に乗ったところは見たことが無いし、もちろん料理にも使わない。 誰が使うかといえば、若い子達が間食時に「ハンブルグ」と呼んでいるフランクフルトソーセージを食べる時に付けるくらいだ。この「ハンブルグ」は、日本で言えばインスタント物っぽい食品で大人は食べない。 どうやら最近になってマクドナルドが進出した影響で、こういう食品が子供達にウケたらしい。どこの国でもジャンクフードは若者を惹きつけるが、親は眉をひそめるのだ。 話は脱線するが、私が住んでいた地域ではソーセージに近い食品というと、自家製でも作っていた’サッシッチェ’という美味い腸詰めがある。見た目は、太いサラミだが、味は全然違う。 肉の味つけが風味高く、生のうちにローズマリーと一緒に焼いてもよし、乾燥させてハムのように切って食べるもよし、絶品だった。。(生つばごっくん・・) あ、所長!イツモながら食べ物の話になると脱線しまくって・・すみません・・ で、ケチャップを使わないイタリア人のメニューには、スパゲッティアルポモドーロ(=トマトのスパゲッティ、そのまんまだ。)というのがある。 トマトソースで合えたパスタだが、日本のナポリタンとはまるで別物だ。断っておくが、私は本場イタリアの料理が大好きだが、日本のハムが入ったあのナポリタンも好きで時々食べたくなる。こんな風に思うかたは、きっと大勢居るに違いない。 ここまで推敲してきて、わたくし研究員Bは結論を出した。ナポリタンは近代日本料理なのだ。とろりとした黄色いカレーと同じ種類の。明治の頃あるいは昭和初期に洋食として入ってきたメニューだそうだが、長年の間にオリジナルから離れて日本大衆の味覚をとらえるまでに進化したのだ。 そういう、他人の文化を上手に自分のものにするところ、日本人の長所だと私は思っている。 最後に、ナポリタンがイタリア料理ではない証拠をひとつ。。「スパゲッティ」という単語は複数形なので語尾をそろえるイタリア語では「スパゲッティナポレターニ」と言わなければいけない。 しかし、そんな言葉は無いだろう・・これでどうだ! (所長、やっぱり説得力ないですか・・この部分、原稿ボツにして下さい・・B) |
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