続・TASAKI決算短信才能というもの資源バブルの後始末
続・金融資産1億円の運用方法シュッピンの業績下方修正
エー・ピーカンパニーの業績下方修正続・バリュー投資家の出番
エスクリの業績下方修正ヒューマンウェブの業績下方修正シンボリックストック
本多静六博士の名言バカな箱2012年の銘柄分析レポート
東証REIT指数が逆行高
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ショートコラム(2016年2月)

■作っておきたい銘柄リスト(2016年2月29日)

ぜひ、作っておきたい銘柄リスト(ウォッチリスト)があります。それは「もし日経平均が1万円を割れば買いたい銘柄リスト」です。

日頃から銘柄分析をしていて思うのは、「これぞ」という銘柄に限り、普段は相応のプレミアム付きで売買されていることです。一流企業をフェアバリュー以下で仕込めるのは、相場全体が安値を付けるような局面に限定されます。

また、日経平均が1万円を切るような状況にて、単に株価が安いだけの二流銘柄を買っているようでは、株式投資の醍醐味を味わえません(自戒を込めて書いています)。

先日のメルマガで、バーゲンセールについて書きましたが、せっかくバーゲンで買い物をするのなら「以前から欲しかったカシミヤ100%のオーバーコート」を狙いたいものです。


■東証REIT指数が逆行高(2016年2月26日)

2月に入り、相場に逆行高しているアセット・クラスがあります。J−REITです。

マイナス金利による運用難で、消去法的に買われているのかもしれません。ただ、景気循環を考慮すれば、今は不動産関連を避けるべき時期です。

かくいう私も、2005年の相場で儲けた資金を高利回り銘柄やJ−REITに注ぎ込み、配当生活を満喫する皮算用でした。で、どうなったかといえば、いい思いをできたのはほんの一瞬で、2007年以降の株価下落で全て投げさせられました。

マーケットがいったん信用収縮に陥れば、配当利回りによる歯止めなど効かなくなります。現に、2008年のリーマンショック直後、信用力に劣る下位J−REITの配当利回りは20%に達していました(そこで「目利き」ができれば、一財産築けたわけですが)。

個人的に、ジャンク債とREITは「晴れの日」の投資対象ではないと認識しています。

東証REIT指数 株価チャート(日足)


■2012年の銘柄分析レポート(2016年2月24日)

久しぶりに、2012年に発行した銘柄分析レポートを振り返ってみたところ「なぜ、買っておかなかったのか?」という銘柄が続出しました。

●3月号・・・JIN(3064)
●5月号・・・日本M&Aセンター(2127)、MonotaRO(3064)
●6月号・・・日本管理センター(3276)
●7月号・・・セリア(2782)
●8月号・・・リロHD(8876)
●9月号・・・VTHD(7593)
●11月号・・・寿スピリッツ(2222)

レポートに書いたということは、それなりに深い分析を行っているはず。当時は、株価も割安な銘柄が多く、あまり細かいことを気にせずに買い持ちしておれば、相当儲かったでしょう。

にもかかわらず、なぜ、投資しなかったのか・・・。

今さら嘆いても後の祭りですが、興味の対象が次から次へと移ってしまい、どうでもいい銘柄にまで手を広げることで、本命を逃してしまったに違いありません。

投資のコツは「銘柄を絞り、粘り強く追い続けること」であると再認識した次第です。


■バカな箱(2016年2月23日)

ジェシー・スタインは著書『スーパーストック発掘法』にて、テレビを「バカな箱」と呼んでいます。

「バカな箱(テレビ)」をつけた途端に、私たちの心は閉ざされ、批判的思考能力は止まり、プロパガンダに徐々に浸されていくのである。

私の部屋には、テレビがありません。1998年にインターネットをはじめてから、テレビが急につまらなくなり、見なくなったからです。

そのインターネットも、すっかり大衆化してしまい、今度はPCが「バカな箱」になってしまいました。世間の雰囲気に振り回されないために、何らかの対策を講じる必要性がありそうです。


■本多静六博士の名言(2016年2月21日)

本多静六博士の著書『私の財産告白』より引用します。

したがって、投資戦に必ず勝利を収めようと思う人は、何時も、静かに景気の循環を洞察して、好景気時代には倹約貯蓄を、不景気時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返すよう私はおすすめする。

投資のエッセンスが、この一言に集約されている名言です。要するに、この通りに実行できるかどうかが、投資家の明暗を分けるといっても過言ではないでしょう。

そうであれば、今、私たちが取るべき行動は、世の中が明らかな不景気になるまで待つことでしょうか。すでに、景気ピークアウトの兆候が表れていますので、それが顕在化するのに時間はかからないはずです。

マスコミが「アベノミクスは失敗だ」とか「黒田日銀総裁を解任せよ」とか騒ぎ出せば、いよいよバリュー投資家の出番です。


■シンボリックストック(2016年2月18日)

下図は、ソフトバンクグループ(9984)の株価チャートです。

孫社長が決算説明会で力強いスピーチを行ったにもかかわらず、翌営業日の2月12日、株価は4,133円の安値を付けました。日経平均が急落したからです。

孫さんにしてみれば、いっそのことMBOでも行いたい気持ちだったでしょう。間髪入れず「怒りの自社株買い」発表を行います。すると今度は、日経平均のリバウンドにも助けられ、株価が急反発しました。

昨年9月15日のショートコラムにも書きましたとおり、同社株は個人の投資マインドを端的に表すシンボリックストックです。業績や経営者の発言より、地合いの影響を多大に受けます。

そういう意味で、ファンダメンタルと株価に乖離が生じれば、バリュー投資家にとっても投資チャンスが訪れるかもしれません。

ソフトバンク 株価チャート(週足)


■ヒューマンウェブの業績下方修正(2016年2月15日)

最近、毎日のように業績下方修正が発表され、うんざりしています。本日は、昨年4月24日のショートコラムで「2015年のIPO銘柄の中では、注目株」と太鼓判を押したヒューマンウェブ(3224)の番でした。

【平成28年3月期 連結業績予想】

 
  売上高 
 営業利益
 経常利益
 純利益
 1株益
前回発表予想
4,665
100
90
58

40.09

今回修正予想
4,000
-298
-308
-438
-295.05
前期実績
3,851
211
184
153
125.54

修正の理由として競合他社(競合店)の増加による競争の激化があげられているのですが、どうも個人的には納得がいきません。

というのも、同社が上場時に公表した「成長可能性に関する説明資料」には、競合が少ないと明記されているからです。

ヒューマンウェブ 成長可能性に関する説明資料

経営者が、信頼に値する人物かどうか見極めるためには、上場後1年間は様子を見たほうが良さそうです。化けの皮は、たいてい、1年以内にはがれます。

ヒューマンウェブ 株価チャート(日足)


■エスクリの業績下方修正(2016年2月14日)

このところ、私の守備範囲でもある、内需関連企業の業績下方修正が相次いでいます。2014年7月30日のショートコラムにて、変調を指摘したエスクリ(2196)も、ついに大崩れしました。

【平成28年3月期 連結業績予想】

 
  売上高 
 営業利益
 経常利益
 純利益
 1株益
前回発表予想
27,468
2,010
1,923
1,197

101.34

今回修正予想
25,650
770
674
393
33.29
前期実績
23,228
2,419
2,352
1,439
122.49

修正の理由は次のとおりです(全文掲載)。

当期は「中期事業構想達成に向けた先行投資の期」と位置づけ、新規の直営施設の出店や子会社(エスクリマネジメントパートナーズ)などによる地方展開など、過去最大の投資を実施してまいりました。

一方で、ブライダル事業の集客が伸び悩む中、急拡大に伴う直営施設の人的リソース不足が重なったことで、当社(エスクリ)単体、特に直営店をはじめとするブライダル事業の受注数や顧客単価の下落により、売上高が減少いたしました。

新規事業による売上のカバーはあったものの、当期の業績予想が当初の想定を下回る見込みとなったものです。

要するに、業容を急拡大した結果、人員など社内の体制が追いつかなくなったという、好景気下における新興企業の典型的な内部崩壊パターンです。

このようなケースは割と多いので、覚えておいて損はありません。

なお、会社四季報新春号では、投信の持株比率が4.8%にまで減っていました。機関投資家の一部は、すでに逃げていたようです。

エスクリ 株価チャート(日足)


■続・バリュー投資家の出番(2016年2月12日)

昨年の今頃、バリュー投資家の出番というショートコラムを書きました。今回はその続編です。

今年と来年に関しては、次のような皮算用を立てています(1月のバリュー投資塾でも、個人的見解としてお話しました)。

【2016年】
●日経平均1万5千円を割るかどうかがポイント
●もしそうなれば、割安な個別銘柄に打診買い

【2017年】
●日経平均1万円を割るかどうかがポイント
●もしそうなれば、本格的に買い出動

実のところ「今年中に、1万5千円割れるかどうか微妙」と思っていたのですが、本日のザラ場で早くも割り込んだようです。

ひょっとすると、バリュー投資家の出番が早まるかもしれません。個別銘柄の調査に力を入れる必要がありそうです。


■エー・ピーカンパニーの業績下方修正(2016年2月10日)

以前のショートコラムで既存店売上高の苦戦を取り上げたエー・ピーカンパニー(3175)ですが、2月5日に業績下方修正を発表しています。

【平成28年3月期 連結業績予想】

 
  売上高 
 営業利益
 経常利益
 純利益
 1株益
前回発表予想
22,576
1,581
1,779
1,076

144.86

今回修正予想
21,000
800
950
570
76.74
前期実績
19,235
1,268
1,493
903
122.07

理由については、色々と書いてありましたけど「人件費など出店コストの増大する中で、大手居酒屋チェーン各社が出店競争を繰り広げれば、足を引っ張り合って当たり前」という認識です。

そう遠くない将来、飲食業界において、不採算店の閉店ラッシュが起こるかもしれないと邪推しています。

もしそうなれば、現時点ではむやみに業容を拡大せず、体力を温存している企業に、居抜きにて低コストで出店できるチャンスが巡ってきそうです。

エー・ピーカンパニー 株価チャート


■シュッピンの業績下方修正(2016年2月9日)

2月5日、シュッピン(3179)が業績下方修正を発表しました。リユース業界では、個人的にも注目していた企業で、店舗の視察にも行ったことがある銘柄です。

【平成28年3月期 連結業績予想】

 
  売上高 
 営業利益
 経常利益
 純利益
 1株益
前回発表予想
23,121
1,118
1,100
734

61.39

今回修正予想
22,670
910
890
585
48.89
前期実績
19,166
886
870
563
47.08

修正の理由で気になった文面は次の箇所です。

(前略)8月以降店舗における訪日旅行顧客向けの免税販売が大きく減少したこ との影響が大きく、売上高は当初予想を下回る見込みであります。

同社については、昨年10月8日付の「インバウンド関連銘柄に異変」でも取り上げましたが、ついにその影響が顕在化したわけです。

ちなみに、株価は昨年8月に3つの移動平均線を次々と割り込んでいます。異変を察知した情報通の投資家が、売りを出していたのではないでしょうか。

シュッピン 株価チャート


■続・金融資産1億円の運用方法(2016年2月7日)

前回の続きです。金融資産1億円を運用する場合、私なら次のようなアセット・アロケーションを組みます。

●預貯金:4,000万円
●日本株個別銘柄:5,000万円
●外国株ETF:1,000万円

性格的に、評価額の著しく変動する株の組み入れは6割が上限でしょうか。できれば半分に抑えたいのが本音です。

ここでの問題点は、金融資産の4割が遊んでしまっていることです。株のポジションにしても、キャッシュで持っている期間が長いため、実際はもっと多くの現金が働いていない状況です。

アセット・アロケーションに不動産を追加すれば、この問題を解決でき、全体的な資産効率の改善につながります。

●預貯金:2,000万円
●不動産:3,000万円
●日本株個別銘柄:4,000万円
●外国株ETF:1,000万円

不動産で利回り10%が回れば、300万円の家賃収入を得られ、年間の生活費を確保できそうです。さらに、金融資産が2億円に増えた際も、不動産のポジションを増やすことで、ポートフォリオ全体の安定性が高まります。

●預貯金:2,000万円
●不動産:9,000万円
●日本株個別銘柄:7,500万円
●外国株ETF:1,500万円

なお『21世紀の資本』によれば、パリ市民の資産ポートフォリオは、現預金を必要以上に持たず、不動産、株式、債券にバランスよく投資されていました。

私も、そろそろ「株のみ」から卒業する時期なのかもしれません。


■資源バブルの後始末(2016年2月5日)

2007年3月22日、商船三井は中期経営計画「MOL ADVANCE」を発表します。

800隻の船隊を1,200隻にまで増やすという、在りし日の帝国海軍顔負けの壮大な構想でした。

中期経営計画「MOL ADVANCE」

結局、資源バブルの崩壊により、この計画は実現しませんでした。

それから9年後の2016年1月29日、同社は「平成28年3月期通期業績予想の修正並びに構造改革に関するお知らせ」を発表します。

ドライバルク船及びコンテナ船事業に係る船舶の処分などの費用として、最大1,800億円の特別損失を計上する

今後、このような資源バブルの後始末が本格化するかもしれません。過剰設備が廃棄されない限り、市況の底入れはないと見ています。

商船三井 株価チャート


■才能というもの(2016年2月4日)

ときおり、株式投資も不動産投資も大成功という方をお見かけします。株にしても、複数の手法を器用に使い分ける方がいらっしゃるようです。

そういった方は、ご両親に感謝すべきでしょう。何からの、特別な才能を授かったわけですから。

私のような凡人は、ひとつのことをこなすので精一杯。天才の真似をせず、あれもこれもと欲張らず、自分の道を進んでいきたいものです。


■続・TASAKI決算短信(2016年2月2日)

1月5日付のショートコラムに掲載したTASAKI決算短信について、「どこが問題なのか」簡単なヒントを出します。

一目、気になるのは、次の2点です。

●当期純利益が経常利益より多い
●純資産が減少し、自己資本比率も低下している

当期純利益に関しては、簿価の低い土地を売却したなど、特別利益の発生が考えられます。しかし、そうであれば、純資産が減少するのは辻褄があいません。

さらに、経営成績と財政状態がイレギュラーな数字の組み合わせにもかかわらず、キャッシュ・フローの状況が正常なのも不自然ではないでしょうか。通常は、この部分にしわ寄せが出るからです。

ということで、突っ込みどころ満載です。財務3表の該当箇所をチェックして、このカラクリを解明していきましょう。

そのうえで、投資家としては「なぜ、このような事態が発生したのか」仮説を立てる必要があります。ここまでできて一人前です。

ぜひ、皆さんもチャレンジしてみてください。なお、バリュー投資塾の参加者によれば、今回はやや難しかったそうです。

TASAKI決算短信



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