続・資本主義社会をどう生きる、ファンダメンタル分析の重要性、
ソフトバンクの事業ポートフォリオ、なぜ、あと1年待てなかったのか、
みんな天才に見えた、決算書は眺めるもの、パリ市民の資産ポートフォリオ、
江守GHが債務超過に転落、大相撲の満員御礼、
クレヨンで説明できないようなアイデアには投資するな、
1勝1敗でも儲かる株式投資、景気回復の実感
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ショートコラム(2015年3月)
■景気回復の実感(2015年3月31日) |
大阪セミナーを開催した3月29日、関西でも景気回復を実感できる出来事がありました。 昼食時、いつもガラガラの中華料理店(個人経営)が、この日に限って賑わっていました。注文が出てくるまで、かなり待たされました。年度末につき、工事関係者が多かったようですが、ビールを飲んでいるサラリーマン風の男性も見かけました。 懇親会場の居酒屋も、すでに先客が数グループ入っていました。開店直後の17時過ぎに入店するため、通常は私たちが一番乗りなのですが。盛況のようで、店員も忙しそうでした。 今まで、アベノミクスの恩恵をほとんど受けていなかった関西でも、人々の財布の紐が緩み始めた感じを受けました。個人消費が回復すれば、株価にも上値がありそうです。問題は「今から乗って大丈夫かどうか」でしょうか。 |
■1勝1敗でも儲かる株式投資(2015年3月27日) |
4月に新刊を出版します。『「敵」と「自分」を正しく知れば、1勝1敗でも儲かる株式投資』というタイトルです。 個別銘柄や相場全体の分析についても取り上げていますが、本書の売りは自己分析にまで踏み込んでいることです。ケーススタディとして、私自身が行った自己分析と投資の改善プロセスを記述しています。 個人投資家の力量なんて五十歩百歩でしょうから、皆さんの参考になれば嬉しいです。詳細については、おいおい触れていきますね。 |
■クレヨンで説明できないようなアイデアには投資するな(2015年3月26日) |
『ピーター・リンチの株の法則』には、21の法則が書かれています。その中で、一番印象に残っているのが【ピーターの法則3】です。 クレヨンで説明できないようなアイデアには、決して投資するな。 私自身も、ハイテク・IT銘柄では、けっこう損をしています。SE(システム・エンジニア)として情報システム部門で働いていた経験から、IT業界については理解しているつもりでしたが、その変化を読み切れませんでした。 一方、儲けることができたのは、ニトリやラウンド・ワンのようなローテク株がほとんどです。ピーター・リンチのアドバイスを素直に受け入れておれば、もっと成果が上がっていたでしょう。 たしか、この本の旧版(1994年出版)を初心者時代に熟読したはずですが・・・。再度、じっくり読み返してみたいと思います。 |
■大相撲の満員御礼(2015年3月20日) |
最近、気になっているニュースがあります。大相撲の満員御礼です。 まず、1月の初場所が15日間連続で満員御礼。 「若・貴フィーバー」に沸いた1997年の初場所以来、18年振りの出来事でした。 1997年といえば、PKO(株価維持政策)の買い支えで、日本株がどうにか持ちこたえていた時期です。もっとも、この年の秋に発生したアジア通貨危機を受けて、拓銀と山一證券が破たんした後は、あっさり底割れしてしまいましたが。 続いて、今月の春場所も15日間連続の満員御礼が確実になりました。こちらは、2001年以来14年振りとか。 2001年の春といえば、未だITバブルの余韻が残っていたように思います。9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルに民間航空機が突入するというショッキングな「米同時多発テロ事件」が起こり、その翌日に日経平均が急落して17年振りに1万円の大台を割り込むまでは。 以上より、大相撲の満員御礼は、景気に対する遅行指標とも受け取れます。もしそうであれば、投資家にとって、あまり歓迎できるものではないかもしれませんね。 |
■江守GHが債務超過に転落(2015年3月18日) |
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2月6日付のショートコラムで取り上げた江守GH(9963)の第3四半期決算が3月16日(月)に発表されました。 結果は、最悪に近いです。462億円に上る貸倒引当金繰入額を特別損失に計上し、その影響により債務超過に転落するという事態に陥りました。 この銘柄を昨年11月のバリュー投資塾でも取り上げたのですが、出席された方の中から「同社は売掛金が過大で、純資産の吹き飛んでしまう恐れがある」という指摘がありました。まさに、そのとおりとなってしまいました。 不思議なことに、会社四季報春号によれば、外国人が8.9%、投信が2.2%を保有しています。「いったい、財務諸表のどこを見ているのか」といいたいですね。 不幸中の幸いは、同社が株主優待を廃止していたことでしょうか。もし続けておれば、数多くの優待族も巻き込まれていたに違いありません。
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■パリ市民の資産ポートフォリオ(2015年3月14日) |
そのボリュームゆえ、なかなか読み進まない『21世紀の資本』ですが、386ページに興味深いデータが掲載されていました。パリ市民の資産ポートフォリオ構成です。 下のグラフは、その中から、1912年のトップ1%資産保有者ポートフォリオ構成を抜き出したものです。現預金を必要以上に持たず、不動産、株式、債券にバランスよく投資されていたことが分かります。比率まで明らかにされていませんでしたが、株式にはフランス国内株と外国株の両方が含まれているそうです。 なお、パリ市民全体で見ても、不動産36%、株式20%、債券33%となっています。著者のピケティ博士が述べているとおり、1912年において、このような「近代的」な資産運用が行われていたことに驚きを隠せません。アセットアロケーションの歴史は古いといえますね。 |
■決算書は眺めるもの(2015年3月12日) |
時々読み返している『IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ』より引用します。 財務三表を頭で読んでいるうちはダメで、慣れてくると、全体を景色として眺めるようになる。大局的に見て、この景色は何か変だなとか、この景色はいい景色だなとか、そういう直感が働くようになると、分析のスピードも上がる。 バリュー投資塾では、毎回1社の決算書を分析していただきます。 まず、表紙を見てもらい「何か、気づいた点はありますか」と講師が質問します。次に、財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)にて、気づいた点の裏付けを取っていきます。 このとき、答えるのに時間が掛かったり、細かい数字を取り上げる方は、たぶん頭で読もう(理解しよう)としているはずです(もっとも、誰でも最初はそうです)。 一方、全体を眺めてことができる方は、ポイントを外すことなく即答できます。さらに、該当企業の業種やビジネスモデルより、「なぜ、こういった現象が起こっているのか」イメージを膨らませることができるでしょう。 一見、難しそうに思われるかもしれませんが、要は慣れの問題です。数をこなせば、そのうち感覚的につかめるようになります。そういうこともあり、バリュー投資塾ではあまり細かい部分まで気にせず、決算書をどんどん見ていくことにしています。 |
■みんな天才に見えた(2015年3月11日) |
今となっては昔話ですが、中小型株の活況だった2005年、個人投資家のパフォーマンスも絶好調でした。投資ブログが増え、オフ会などの交流も盛んだったと思います。 あのときは、みんな天才に見えました。とりわけ、株を始めたばかりにもかかわらず、ものすごい勢いで資産を増やしていく新人類には脱帽したものです。 ただ、そのような状況は長続きしませんでした。2006年1月のライブドアショックがトリガーとなり、新興市場の振り子が逆に振れます。 当時、一世を風靡したカリスマ投資家や彼らに追随していた投資ブロガーが、次々と沈黙していきました。ふと周りを見渡せば、誰もいなくなったのです。 そのとき、ウォーレン・バフェット氏の名言「潮が引いた時、初めて誰が裸で泳いでいたか分かる」の真意を、はじめて実感できたような気がしました。 |
■なぜ、あと1年待てなかったのか(2015年3月10日) |
自分の投資を振り返れば「なぜ、あと1年待てなかったのか」というケースが多いです。 初心者時代の1997年、「高金利の社内預金が廃止された」という個人的な理由で株を買い進み、秋口のアジア通貨危機による株価下落で身動きが取れなくなりました。あと1年待っていれば、大安売りの株を買えました。 ITバブルのおかげで復活した2000年秋、「そろそろ安くなっただろう」と勝手に決めつけて投資を再開し、ITバブル崩壊に苦しめられました。あと1年待っていれば、NYテロ直後の株安局面でした。 2006〜2007年の難しい相場をどうにか切り抜けた2008年、年初から下落相場を買い向かい、リーマンショックで大火傷を負いました。あと1年待っていれば、1998年、2002年に次ぐバーゲンセールでした。 余裕資金を持ちながら、相場を見ているだけというのは、なかなかできないものですね。 |
■ソフトバンクの事業ポートフォリオ(2015年3月7日) |
ソフトバンク(9984)の決算書より、事業ポートフォリオの推移をグラフ化してみました(下図)。 相次ぐM&Aにより、固定通信事業や移動通信事業を手中に収めたことで、2001年度の主力事業が今では「その他」扱いとなってしまいました。2014年度もスプリントの買収により、事業ポートフォリオの構成が大きく変化しています。 このスプリント事業ですが、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)による分析では、現時点では「問題児」といえます。「問題児」から「花形事業」に移行して同社株が再評価されるのか、あるいは「負け犬」となり株価が低迷するのか、孫社長の経営手腕が問われる局面です。 まあい、孫さんのことですから、長期間「問題児」のまま放置はしないでしょう。今後、どのような手を打ってくるのか、注目されます。
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■ファンダメンタル分析の重要性(2015年3月4日) |
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官製相場の続いていることもあり、目先の材料で株価が動いています。私には、ファンダメンタル分析を軽視する風潮にあるような気がしてなりません。中小型株にしても、株主優待銘柄ばかりが買い上げられる傾向にあります。 しかしながら、中長期的には、株価は企業価値に収れんするものです。むやみに高値を追い回さず、ファンダメンタル分析にじっくりと取り組み、次の投資チャンスに備えるのも一興ではないでしょうか。 そういうこともあり、今月の バリュー投資塾では、ファンダメンタル分析に重きを置いています。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■続・資本主義社会をどう生きる(2015年3月1日) |
2月22日付のショートコラム「資本主義社会をどう生きる」にて、資本主義社会にて豊かになる方法を書きました。 しかしながら、資本の部分所有権はプレミアムの付いているケースが大半です。資本家は、ビジネスを保有するだけでなく、部分所有権の売買でも利益を得ているからです。また、マーケットには、それらを活発に取引することで、利鞘を稼いでいる海千山千の輩がウヨウヨしています。 まさに、弱肉強食の世界です。上得意客になってしまえば、なけなしの給与所得をせっせと蓄えた銀行預金さえ、失う羽目に陥ります。彼らと互角にやりあい、プレミアムなし(理想はディスカウント状態)の部分所有権を手に入れるためには、相応の「目利き力」を身に着ける必要に迫られます。 ただ、そういったスキルは、一朝一夕に習得できるものではありません。身銭を切っての投資では、損失の発生も日常茶飯事のため、忍耐力も必要です。 要は「どこまで本気か」にかかっているといえるでしょう。私自身、投資をそんなに上手いとは思っていませんが、諦めなかったからこそ今があるのは事実です。 |
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by 角山智