JTの飲料事業撤退江守GHの決算発表延期
リアル車将棋にバブルの気配ソフトバンク決算説明会
バリュー投資家の出番我慢比べ資本主義社会をどう生きる
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)バブルで最も避けるべきこと

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ショートコラム(2015年2月)

■バブルで最も避けるべきこと(2015年2月27日)

久々に読み返した『続マーケットの魔術師』にて、コルム・オシアというトレーダーの発言が目に留まりました。

バブルで最も避けるべきことは、初めのうちは頑固に相場に参加しなかったのに、ずっとあとになって考えを変えることです。

そのとおりだと思います。今の状況を「割高だ(あるいは割安でない)」と判断するのであれば、割安になるまで待てばいいのです。

私たちの行動様式が変わらない以上、2〜3年も待てば、状況は一変しているはず。ただ、人間の本質からして、そうするのは難しいかもしれません。株式投資の勉強を始めているケースでは、なおさらです。

「どうしても参加したい」のであれば、授業料(経験値を得るための対価)を払うつもりで、少しだけ打診買いを入れるのが折衷案でしょうか。人生には、実際にやってみないと分からないこともあります。


■プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)(2015年2月26日)

3月のバリュー投資塾において、久しぶりにプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)を取り上げるつもりで準備を進めています(テキスト目次は、3月上旬に公開できる見込みです)。

というのも、業績の伸び悩んでいる企業(特に大企業)に限って、事業ポートフォリオ戦略が機能していないからです。通常であれば、現行の「金のなる木」が枯れる前に、次の「花形製品」を生み出さなければ、持続的成長が望めないのですが、その部分が上手くいっていないのです。

いくつか、思いついた例を上げてみましょう。

●携帯電話事業の生み出す、潤沢なキャッシュフローの再投資先がないNTTドコモ
●オフィスのペーパーレス化などにより、複合機の需要増が期待できない中、新規事業の育っていないリコー
●デジカメの普及に対応できず、ミニラボという「花のなる木」を枯らしてしまったノーリツ鋼機

この手の企業は、起死回生を狙った大型買収に走ることがあります。ただ、そういったM&Aに手馴れていないことから、失敗に終わり、業績低迷に拍車をかけてしまうケースも少なくありません。

複数のビジネスを手がけている企業への投資を検討する場合、事業ポートフォリオのチェックを欠かさないようにしたいものです。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)


■資本主義社会をどう生きる(2015年2月22日)

最近読んだ『大学生に語る 資本主義の200年』より引用します。

資本主義社会において“豊かになる”ということは、労働者の努力だけではどうにもならない問題だということです。

同感です。資本主義社会とは、その名のとおり、資本家のための社会です。世間の仕組みが、資本家にとって有利にできています。

このような社会において、給与所得と銀行預金だけで資産を築くことはできません。豊かになりたければ、できる範囲で資本家サイドにまわることです。

といっても、自ら事業を起こすのは、リスクが高すぎます。また、少しばかりの成功を収めたとしても、個人事業主や零細企業どまりでは資本家とはいえません。

では、どうすればいいのでしょうか。答えは、その気になれば誰でも購入できる、資本の部分所有権を買うこと。すなわち、企業のパーシャル・オーナーになることです。

これが、おそらく唯一と言っていい、資本主義社会で豊かになれる道です。


■我慢比べ(2015年2月18日)

「今の日本株は割高だ」とばかりに様子見を決め込んだとします。しかしながら、こういう時に限って、株価は上がり続けるものです。

毎日のように上昇する株価を見ているうち、自分だけ置いていかれるような焦りを感じ始めます。ついに、我慢できずに飛びつけば、ものの見事に天井をつかんだりします。人間の我慢の限界は、似たり寄ったりですから、不思議とそうなるのです。

逆のケースも同様です。「いくら何でも、売られすぎ」と買い向かっても、株価はいっこうに下げ止まりません。ナンピンもむなしく、損は拡大するばかり。含み損に耐えきれず、ぶん投げたところがほぼ底値だったりします。

いずれにしても、どこまで自分の流儀を守れるか、マーケット氏との我慢比べです。「株式投資とはそういうもの」と割り切るしかないでしょう。


■バリュー投資家の出番(2015年2月15日)

人間の行動パターンが変わらない以上、2〜3年後には2002年や2008年のような買い場が再来すると想定しています。バリュー投資家としては、そういった出番を待ちたいものです。

ただ、何もしないわけではありません。やるべきことは、けっこうあります。

●株価が下がれば買いたい銘柄のリストを作っておく
●特定の業界について詳しく調べる
●株価の高かった2007年や株価の安かった2009年の会社四季報を読み返す
●投資の名著を精読する

諸々の準備を進めつつ、次の投資チャンスに備えるのが、私たちの仕事ではないでしょうか。株は、弱気相場においても、投資資金とモチベーションを維持できた投資家の勝ちです。


■ソフトバンク決算説明会(2015年2月10日)

本日は、ニコニコ生放送にて、ソフトバンクの決算説明会を見ていました。

風邪だったそうですけど、孫社長の元気のなさが少し気になりました。もっとも、買収したスプリントが苦戦している以上、いつものような調子は出ないのでしょうが。

これといったサプライズもなかったことから、明後日の祝日明けには失望売りが出るかもしれません。バリュー投資家としては、もう少し下げてくれた方が嬉しいです。


■リアル車将棋にバブルの気配(2015年2月9日)

昨日は、ニコニコ生放送の「リアル車将棋」を見ていました。

西武ドームを貸し切り、巨大な将棋盤を用意して、トヨタ車を将棋の駒(王将ならクラウン)として動かすという、前代未聞の企画です。

対局したのは、羽生名人と豊島七段。解説やゲストに森内九段、佐藤九段、糸谷竜王をはじめ、多くのプロ棋士や有名ゲストが登場するという、力の入れようでした。

いかにも、お金が掛かっていそうで、ニコニコ動画にも「バブル時代のテレビ番組のようだ」とのコメントが流れていました。

私もそう思いました。トヨタ自動車の業績が絶好調だからこそ成り立ったイベントであり、リーマンショック直後であれば社内で企画を出すのもはばかられたでしょう。

2015年2月にこのような出来事があったことを、一介の個人投資家として、記憶の中にとどめておきたいです。


■江守GHの決算発表延期(2015年2月6日)

本日、江守グループHD(9963)が第3四半期決算発表延期を発表しました。主な理由を転記しておきましょう。

中国経済の急激な減速を受けて中国連結子会社における売掛金の回収可能性に疑義が生じており、大口得意先に対する貸倒引当金についてはこの第3四半期において積み増しを検討せざるを得ない状況になっていることから、決算作業に遅れが生じております。

昨年11月のバリュー投資塾にて、同社の決算書を皆さんに分析していただきました。分析結果は次のとおりで「投資対象としていかがなものか」というコンセンサスが得られました。

●営業CFが2期連続でマイナスであること
●その理由が売上債権の急増であること
●中国向けの売上高が急増していること

また、このとき10月20日付にて「業績予想の修正、貸倒引当金繰入額の計上及び配当予想の修正に関するお知らせ」が発表されていたのですが「こんなものでは済まない。追加の損失が計上されるだろう」という卓見を述べられた方もいらっしゃいました。

図らずも、そのとおりになったわけで、決算書分析の重要性を改めて感じた次第です。今後、景気がピークアウトすれば、イケイケで売上債権や棚卸資産を膨らませてきた企業は、その後始末に苦しめられるはずです。売上・利益の伸びだけでなく、営業CFもチェックしたいものです。

  営業CF
投資CF
財務CF 現金同等物
2013年3月期
-2,670
-975
3,511
7,406
2014年3月期
-5,197
-330
12,038
15,115

■JTの飲料事業撤退(2015年2月5日)

JT(2914)が重い腰を上げました。昨日、飲料事業からの撤退を発表したのです。投資家からは「社内のポストを増やすため、行っているのではないか」と受け取られかねない事業だっただけに、評価していいと思います。

ただ、同社には本業の足を引っ張っており、かつシナジー効果を見込めそうにない事業が他にもあります。現に、2014年12月期第2四半期決算においても、医薬事業と加工食品事業が飲食事業以上の赤字を計上しています(下表)。

今後、同社がどのような手を打ってくるか、注目されます。それにしても、たばこ事業って、儲かるビジネスですね。

  国内たばこ
海外たばこ
 医薬  飲料
加工食品
売上収益
338,405
657,797
28,415
93,699
77,312
営業利益
121,454
219,922
-6,424
-81
-270


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