ISM製造業景況感指数逮捕されたオンリー社長
大手総合商社の株価悲観局面入りしたマーケットインバウンド関連銘柄に異変
2009年の会社四季報投資は娯楽ではありませんアルコールは蓄積毒
見たいものしか見えない投資チャンスはいきなりやってくる試合形式練習
バブルは暴落で終わるお酒との付き合い方待つのは辛い

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ショートコラム(2015年10月)

■待つのは辛い(2015年10月29日)

銘柄の調査・分析を行っておきながら、大したポジションも持たずに静観しているのは辛いものです。 投資をサボっているような自責の念にかられます。

それでも、投資チャンスを待ち続けているのは、過去の売買履歴より、買いに出るタイミングの早すぎることが分かっているからです。

1997年は、年初より買い始めたところ、その年の秋にアジア通貨危機が起こり、株価が急落します。初心者時代で損切りもできず、塩漬け株だらけで身動きが取れなくなりました。後1年待つことができれば、大安売りの株が買えたのですが・・・。投資資金を使い果たしてしまい、底値圏では何もできませんでした。

ITバブルの崩壊局面では、2000年秋より買い向かっています。株価は2001年、2002年と下げ続け、損切りが続出しました。買い急がず、2001年秋のNYテロによる日経平均1万円割れまで待てれば、ここまで苦しい思いをせずに済みました。

2008年は、資金を温存していたにもかかわらず、10月に一発勝負に出て大火傷を負いました。せめて、打診買いより入っていればと悔やまれます。結局、このときのボタンの掛け違いが数年にわたって響きました。

以上ように、何度も失敗しており、今の局面で買い出動すれば、同じ轍を踏む可能性が高いと見ています。また、年齢的にも、大損は避けたいところです。

そこで今回は、金融緩和によるバブル相場が崩壊して、十分に下げ止まるまで待ちたいです。ただ、一介の投資家としては、何もしないのは損をするより辛いかもしれません。

でも、それができなければ、株式投資家の平均的なリターンにとどまります。すなわち、損失で終わることを意味します。


■お酒との付き合い方(2015年10月27日)

先日のショートコラム、アルコールは蓄積毒の続きです。『50歳を超えても30代に見える生き方』より引用します。

●一生の間に飲める(肝臓が処理できる)お酒の量は決まっており、男性は500kg、女性は250kg程度
●日本酒4合瓶(720ml)、ワイン1本(750ml)のアルコール量はほぼ100g
●これら(100g)を毎日飲み続ければ、男性は13.7年、女性は6.8年で生涯飲酒量に到達する
●20歳から飲み始めたとして、アルコール量をビール中瓶1本(25g)に抑えれば、男性の平均寿命近くまでお酒を楽しめる

「生中ジョッキ2杯ぐらいなら、毎日飲んでも大丈夫ではないか」と思われるかもしれませんが、意外に許容範囲は狭いです。

私自身も、自宅では飲まないようにしています。ただ、その反動か外では深酒してしまうため、新たなルールを作成しました。

●平日、自宅ではなるべくお酒を口にしない
●外で飲むときも、生中ジョッキ2杯相当を目安とする
●2件目には行かず、1件目でお開き
●以上を守れた月は、ワインを1本買ってもいい

お酒とも、上手に付き合っていきたいものですね。


■バブルは暴落で終わる(2015年10月25日)

今、読んでいる『ブーメラン』より引用します。

不動産バブルがソフトランディングで終わるはずがない。(中略)人々が市場から逃げ始めたとたん、市場は“暴落”する。不動産ブームが暴落で終わるのは自然の成り行きだ。

同感です。その時期までは予想できないにしろ、世界的な株高も、隣国の不動産バブルも、いつもと同じような終わり方をすると見ています。

市場関係者が「ソフトランディング」という言葉を多用するようになれば、要注意でしょうか。


■試合形式練習(2015年10月23日)

テニススクールでは、基本的なショットを打てるようになれば、試合形式練習に移ります。プレッシャーのかかる本番では、練習でできないことは絶対にできません。そこで、試合でいつも通りのショットを打てるよう、このようなシミュレーションを行うわけです。

私も今、株価の安かった時期に発行された会社四季報2009年夏号や2011年夏号を用い、試合形式練習を行っています。四季報の情報のみで「この銘柄は買えるかどうか」を判断する模擬演習です。

中にはなじみの銘柄もあり、答えの分かっているケースも少なくないです。それでも「このような状況になれば、絶好の投資チャンスなんだな」という事例を目に焼き付けることは、今後の役に立つと確信しています。

というのは、人間の本質が変わらない以上、マーケットは同じことを繰り返すからです。もっとも、参加者の大半は入れ替わっているかもしれませんが。


■投資チャンスはいきなりやってくる(2015年10月21日)

ミネルヴィニの成長株投資法』より引用します。

機会は必ず訪れる。そのときに、すぐに行動できるようにしておくべきだ。

投資チャンスは、いきなりやってくるものです。不謹慎ですけど、2011年3月の東日本大震災がそうでした。また、2012年11月の衆議院解散も青天の霹靂でした。

そういった事態に備え、ある程度のキャッシュを確保しつつ、日頃からの地道な調査により銘柄リストを整備していた投資家は、すぐに行動できたでしょう。

一方で、準備を怠れば右往左往してしまい、後手に回って出遅れる羽目になります。かくいう私も、2012年11月の衆議院解散時は準備不足で「とりあえず相場が上がりそうだから」とみずほFGや証券株などを買ってしまいました。

その反省を踏まえ「株価が安値をつけるまで、少なくとも2年は待たされるだろう」と思いつつ、今の局面では銘柄分析に精を出しています。いつになるかは全く読めませんが、次回は上手に対応したいものです。


■見たいものしか見えない(2015年10月19日)

投資家の中には、どんなインプットを与えられても、必ずといっていいほど「株を買いだ」というアウトプットに至る人がいます。自己のポジションを正当化し、アイデンティティーを守るため、インプットに都合のいい解釈を加えているからです。

また、セルサイドもそういった投資家が多いことを見越して、確信犯的に同じような情報操作を行っています。

ただ「儲け損ねてもOKだが、大損をしてはならない」という個人投資家の立場からすれば、このような行為は望ましくありません。

株高の楽観局面ほど、自分たちにとって都合の悪い情報(景気がピークアウトする兆候など)をしっかりと把握しておく必要があります。

そんなこともあり、一部の投資家層から不愉快に思われることを承知の上で、このショートコラムではネガティブ情報を多めに取り上げています。


■アルコールは蓄積毒(2015年10月15日)

50歳を超えても30代に見える生き方』の著者、南雲博士によれば、アルコールは蓄積毒で、一生に分解できる量が決まっているそうです。ということは、休肝日を設けても無駄で、いわゆる総量規制が必要になります。

私も、7月頃から自宅ではお酒をほとんど口にしていないのですが、その分、会食の場で反動が出てしまい、飲んでいる量があまり減っていないような気もします。

今後は「一次会のみで切り上げ、2件目には行かない」など、何からの歯止めをかけなければと考えているところです。「まったく飲まない」という選択肢もあるのですが、それでは人生楽しくないですからね。


■投資は娯楽ではありません(2015年10月14日)

セミナーに来られる方から、次のようなアドバイス(?)を受けたことが多々あります。

●あなたのような商売っ気のない人は初めてだ
●少しは受講者の喜ぶような話をしたらどうか
●ショートコラムの内容がネガティブすぎる

私もこの商売を10年やっているわけですから、どのような発言をすれば一般的な個人投資家にウケるか分かっているつもりです。

相場に対して強気の見通しを堅持し、いくつかの有望銘柄を力強く取り上げれば、少なくともその場では歓迎されるでしょう。

もし、皆さんが「今年は株で大損したけど、とても楽しかった」と思われるなら、娯楽性を前面に打ち出した内容でいいかもしれません。

しかし、株式投資には、命の次に大切なお金が掛かっています。その結果次第では、人生が変わってしまう恐れさえあります。 にもかかわらず、損をして投げ出してしまう投資家が圧倒的に多いのです。

常々、そのような状況を苦々しく思っていた私の役割は「投資のビギナーに株式市場の真実をお話すること。同じような経験をしてきた個人投資家として、取り返しのつかない損失を負わずに、経験値を上げてもらうこと」であると認識しています。

ということで、今まで通り渋口でいきたいです。仮に、楽観的になるとすれば、マーケットが総悲観ムードに包まれたときでしょうか。「それでもOK」という方は、引き続きご愛読をお願いします。


■2009年の会社四季報(2015年10月12日)

10月に入り、少し時間的余裕もできたので、2009年の会社四季報夏号を読み返していました。改めて驚いたのは、本当に割安な銘柄がゴロゴロしていたことです。

下表は、手動にてピックアップした割安銘柄です。リーマンショックにより世界中が大不況に陥った2008年度において、しっかりと収益を計上していた企業ばかりにもかかわらず、PERは一桁でした。配当利回りも相当に高くなっています。

しかし、当時の私はこれらの銘柄群をほとんど買わずじまいでした。「なぜ、絶好の投資チャンスを活かせなかったのか」といえば、自分を見失っていたとか答えようがありません。

●2003年から2005年にかけて連戦連勝が続き慢心していた
●ライブドアショックにより小型株の潮目が変わり、大半のカリスマ投資が退場させられた2006年を、大型株やJ−REIT、米国株への銘柄入れ替えで乗り切ったことで、その傾向に拍車がかかった
●日経平均が反落した2007年後半以降は何をやっても勝てなくなったが、一向に反省せず、金融株などを買い向かって損切りを繰り返していた
●挙句の果てに、2008年10月に一発勝負に出て歴史的大敗を喫し、やっと我に返り、頭を冷やした

根本的な原因は、一貫した投資スタンスを維持できなかったことにあります。「もう、買える銘柄がなくなった」と感じた2005年11月あたりで持株を売り、2006年から2007年にかけて「休むも相場」を実践できれば、株価が底打ちした時点で投資を再開できたでしょう。

目下、投資資金の大半をキャッシュポジションにして様子を見ているのは、当時の反省が活きているからです。これほどの安値は二度とないかもしれませんが、人間の本質が変わらない以上、似たような状況がきっと現れるはずです。

そのとき、素直に割安銘柄を買えるよう、今はひたすら我慢しています。下手にバブルに乗り、投資のモノサシが狂ってしまう経験は、一度もすれば十分です。

  コード 社名
 PER 
 PBR 
配当利回り
1 2157
コシダカ
7.2
1.32
2.95
2 2222
寿スピリッツ
6.9
1.14
3.86
3 2674 ハードオフ
8.3
0.65
5.01
4 2782 セリア
5.7
0.57

3.47

5 3030 ハブ
9.4
0.88
3.27
6 3079 DVx
5.4
0.81
3.36
7 3085 アークランドサービス
6.1
0.96
1.74
8 3097 物語コーポ
7.9
2.39
1.65
9 3398 クスリのアオキ
6.0
0.77
2.29
10 3794 NDソフト
5.8
0.94
4.44
11 3800 BSP
9.9
0.56
6.55
12 3834 朝日ネット
9.7
1.19
4.51
13 3951 朝日印刷
9.0
0.88

1.59

14 4290 プレステージ
6.2
1.65
1.61
15 4326 インテージ
8.3
1.29
3.45
16 4327 日本SHL
8.6
1.58
6.42
17 4345 CTS
5.7
0.60
6.58
18 6312 フロイント産業
5.6
0.48
4.25
19 7564 ワークマン
8.0
0.83
3.68
20 7605 フジコーポ
4.5
0.44
4.21
21 7636 ハンズマン
8.0
0.43
4.86
22 8119 三栄コーポ
4.6
0.55
5.31
23 8771 eギャランティ
9.9
1.87
0.87
24 8876 リロHLD
6.0
0.99
4.29
25 8920 東祥
7.0
1.66
1.98
26 9058 トランコム
5.9
1.02
3.35
27 9381 AIT
6.4
1.49
4.59
28 9422 ITC
7.1
1.08
6.80
29 9616 共立メンテナンス
9.6
0.79
2.40
30 9627 アインファーマ
7.2
1.26
2.22
31 9769 学究社
5.2
1.09
4.36
32 9795 ステップ
7.4
0.74
3.88
33 9974 ベルク
7.6
0.65
3.27
34 9990 東京デリカ
6.2
0.43
4.28

■インバウンド関連銘柄に異変(2015年10月8日)

コメ兵(2780)やシュッピン(3179)といったインバウンド関連銘柄の9月月次がパッとせず、売られています。

その背景には、小島健輔氏のブログ『爆買いは続かない』が現実に!で指摘されている中国の海外消費抑制措置があるとされています。

個人的には、尖閣諸島などで小競り合いが起こり、中国の反日感情が一気に高まり旅行者も減るというシナリオを視野に入れていたのですが、それより先に政府が動き出しました。

中国政府としても、購買力に余裕のある層に日本でばかり買物をされると国内消費が盛り上がらないわけで、何らかの対策を講じて当然です。

さすがに、ここまでは読み切れませんでした。ただ、いずれにせよ「人気化したテーマ株を買っても儲からない」という法則は不変のようです。


■悲観局面入りしたマーケット(2015年10月6日)

日経ビジネスオンラインに世界の株式市場は既に「悲観局面」入りという上野泰也氏のコラムが掲載されています(全文を読むには要会員登録)。

著者は、前営業日比200円超の日経平均株価の騰落日数を数えているそうですが、私も9月に入ってからの値動きの荒さが気になっていました。

とりわけ、印象に残っているのは1343円高となった9月9日の相場です。正直なところ、この上げを見て「アベノミクス相場も終わったかな」と感じました。

ここ数日の戻りにしても、上昇スピードが急すぎます。余程の腕自慢でもない限り、当分は静観するしかなさそうです。


■大手総合商社の株価(2015年10月4日)

大手総合商社が売られています。三菱商事(8058)と並び、業界の雄である三井物産(8031)の株価は1,358円(10月2日終値)。

ヤフーファイナンスによれば、バリュエーションは次のとおりです。

●PER 10.14倍
●PBR 0.54倍
●配当利回り 4.71%

短期的に「売られすぎ」とも受け取れますが、もうひとつの見方として「大型株ゆえに、ミスプライシングは考えにくい」ともいえます。

もし、現在の株価が正しいのであれば、この先、何が起こりえるのでしょうか。次のような事態を想定すれば、辻褄が合います。

●資源価格の下落が続き、大幅な減損損失を計上する
●その結果、利益がほとんど出なくなる
●純資産の大半が吹き飛ぶ
●配当も半減ないし、それ以上削減される

ということは、配当目当てに買った投資家の投げたところが底値になりそうです。中長期では興味深い投資対象ながら、今の局面を買い向かいのはリスキーに思えます。

三井物産 株価チャート(日足)


■逮捕されたオンリー社長(2015年10月3日)

オンリー(3376)の中西浩之社長が逮捕されました。

路上にて、男性会社員2人に足蹴りなどの暴行を加えたそうです。本人は酒に酔っており「詳しいことは覚えていない」と容疑を否認しているとか。

中西社長は1979年4月生まれの36歳。創業者である中西浩一会長の子息です。有価証券報告書の略歴は次のとおりです。

●2005年1月 当社入社
●2008年8月 当社退社
●2008年9月 丸井グループ入社
●2009年8月 当社入社
●2010年3月 商品部サブマネージャー
●2012年1月 商品部マネージャー
●2013年2月 商品部部長
●2013年7月 商品本部長
●2013年11月 取締役商品本部長
●2014年2月 取締役マーケティング本部長
●2014年7月 取締役オンリー事業本部長
●2014年11月 当社代表取締役社長(現任)

この略歴で、気になるところがいくつかあります。

●最初の入社日が2005年1月と中途半端である。26歳近くまで何をしていたのか
●丸井グループにたった10ケ月しか在籍していない。持たなかったのではないか
●再入社した2009年8月以降の昇進スピードが早すぎる。十分な実績を上げないまま昇進していたのではないか
●35歳の若さで社長に就任している。人生経験を含め、キャリアが不足しているのはないか

また、最終学歴は同志社大学大学院ビジネス研究科(2014年10月15日発表のニュースリリースに掲載)ですが、社長就任直前の2014年3月に卒業しており、取ってつけたような感じを受けます。

私なら、このようなケースでは投資に二の足を踏みます。もっとも、業績が好調で株価も割安であれば、少し買っていたかもしれませんが。

オンリー 株価チャート(日足)


■ISM製造業景況感指数(2015年10月2日)

昨晩、米国にて9月分のISM製造業景況感指数が発表されました。結果は、景気動向を判断する分岐点の50%を辛うじて上回る50.2%。2013年5月以来の低水準でした。

数字自体がパッとせず、3ケ月連続で下げている点も気がかりですが、一番の懸念材料は「FRBは、この指数が50%を下回っている場合に利上げをしたことがない」という事実です。

来月以降もこの指数が下げ続け、もし50%を切るようであれば、FRBは利上げの機会を失います。その場合、利下げの余地を持たないまま景気後退局面に突入するわけで、打つ手も限られるでしょう。

中央銀行にも、経営者にも、投資家にも、当面は難局が続きそうです。



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