ナチュラブ・日記パート１４

ナチュラブ・日記　　　　Ｐart　１４

　Part １（その1～9）　ナチュラブ代表が観た逢坂さんの政治観　Part ２（その10～22） 衆議院選挙
　Part ３（その23～36）　選挙後雑感、永田町での逢坂議員　　　Part ４（その36～48）靖国神社「遊就館」レポート
　Part ５（その49～60）エリート教育　　　　　　　　　　　　　Part ６（その61～69）負の連鎖・「元気の種コレクション」
　 Part ７（その70～77）真っ当な生き方のススメ　　　　　　　　　Part ８（その78～83）風（全５回）、６１年目の夏に
　Part ９（その84～88）　政治家と有権者　　　　　　　　　　　　　Part 10（その89～101）風の盆。　宿題を抱えたままで
　Part 11（その102～108）　ともにアジアに生きる（姜尚中さんの講演記）
　Part 12（その109～115）　ともにアジアに生きる（姜尚中教授・上田札幌市長・逢坂ニセコ町長（当時）の鼎談）
　Part 13（その116～135）　“嫌な感じ”を払いのけるために
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ナチュラブ・日記　その１４８（2007年12月30号）　完結編
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　　　連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日シリーズ”　全行程を終了して
　　　　　　　　　　　　　～皆さまからのご質問に対する答として～

2004年2月から2006年7月まで2年半に渡った連続シンポジウムに関する全行程が完了しました。

当初の予定より1回増えて11回に及んだシンポジウム自体は2年半に納めましたが、
立ち上げまでの準備や、シンポ終了後の記録集作成＆発送、関係者へのご挨拶など含めると、
2003年8月から今日2007年12月末まで、実に4年を越える長丁場でした。

先日まで連載した『連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日シリーズ”　解題』に、
シンポジウム自体とその周辺事情についての詳細スケッチを載せましたので、
これ以上特別申し上げることもありませんが、
この連続シンポジウム開始当初から切れ間なく皆さまからいただいていたご質問、
「ナチュラブ・北海道って、どういう人たちの集まりですか？」に、
お答えすることで、最後の締めくくりとさせていただきます。

答に繋がるのですが、
私は、上田文雄・札幌市長と逢坂誠二・衆議院議員を、
いつもは「上田さん」と「逢坂さん」と、お呼びしていますので、
今日はそのように表記したいと思います。

上田さんと逢坂さん、
とにかく、この“お二人ありき”が私どもの連続シンポジウムの出発点でした。
“世襲の政治家”でもなく、権力奪取思考で“政治家になりたい”という型の政治家でもなく、
私たちと同じ普通の市民の中から、普通の発想をする政治家として出てこられたお二人です。
つまり、“私たちの仲間”の二人である“上田さん”と“逢坂さん”が、政治家になられた。
そういう時代を望んでいた多くの仲間のネットワークが少しずつ広がってきていて、
そういう雰囲気の中から“上田さん”と“逢坂さん”というお二人の政治家が出てきた、
と素直に仲間で喜び合ったのです。

だから・・・・・

「上田さんや逢坂さんのような政治家が誕生したのだから、
これを期に北海道が元気になるような何かをしたいわね。
お二人と一緒に、いろいろな政治的問題を考える場があればいいわね。」

「政治的問題と一口でいっても、実際はいろいろなジャンルがあるでしょ。
環境とかエネルギーとか教育、憲法、福祉、雇用問題に経済問題、税金、年金など社会保障などの。
その根源に民主主義とか、自治の問題があるし。
それらを、一回に一つずつ話し合ったらいいんじゃない？」

「よくある講演会やシンポジウムは、
話が盛り上がったところで時間切れという消化不良ばかりだから、
そうじゃないものをやってみたい！」

「いいわね、それ！連続シンポジウムとするのはどう？
ただ、お二人の得意分野とは限らない部分は？」

「問題によっては専門家の講演と、
お二人にも入ってもらって、一緒に考えるという形式は？」

「時間がかかるわね・・・講演に1時間として、パネルディスカッションには1時間じゃ不足よ。」

「そうねぇ・・話が佳境に入ったとたん、
はい、ここまで、とストップをかけられるのは、聴く方として欲求不満になる！」

「だから、それを避けるために時間をかけよう。内容に3時間は、かけたい。」

「OK.　でも実際にはどうするの？」

「まず、上田さんと逢坂さんに、
十分な時間をかけるシンポジウムに、ご協力いただけるかどうか確かめる。
しかも連続するシンポジウムに」

「それなら、ある程度具体的なものを作って持っていかないと失礼よ。」

「わかった。じゃ連続シンポジウムとして毎回テーマを決めて、それに相応しい講師を招く。
目的も“北海道を元気にすること”とする。」

「何回くらい連続するの？」

「さっき、テーマをあげてみたら10はあったから、キリ良く、10回！」

「えぇ！　で、毎月？」

「それは無理。お二人もお忙しい政治家だし、こっちの準備も大変よ。
せいぜい3ヶ月に一度程度かな。」

「ざっと3年よ！大丈夫？」

「それに費用の問題があるけれど、カンパ？」

「自分のお財布からお金を払ってでも勉強したいという人たちに多く参加してほしいから、
ちゃんと参加費をいただく。
講師にはもちろん、上田さん、逢坂さんにも謝礼はお支払いする。」

「市長の上田さんや町長の逢坂さんにも？」

「当然よ。お二人の知的所有権と言うか、
これまで培ってきた知識や経験を私たちは使わせていただくのよ。
それに対する正当な謝金を支払いましょうよ。それは他の講師の方と一緒でしょう。
それと肝心なのは、普通の市民が自前で運営すること。
絶対にどこかの“ひも付き”ではない市民団体を立ち上げなければ
　（注：この考えが、やがて講師の先生方にお褒めいただくことになりました）」

「わかった。」

というように・・・・・・

はじめは雑談のようなもので各自好き勝手に大風呂敷を広げていくうちに、
いつの間にか本気になり、話があれよれよと具体化し・・・
こういうものなんですね、何かが生まれる瞬間って。
“すべての技には時がある”なんですね。
このときは仲間がたった3人でした。
いくらなんでも3人では足りないから、それぞれのネットワークを使って、
一緒に行動する仲間を増やさなければと言いながら初日は解散。
2003年の夏でした。

それから10回の大まかな骨組みを決め、
上田さんと逢坂さんに交渉したり（お二人とも即OK）、
会場探しや広報や・・・と具体的に動き出したのですが、途中から多くの協力者に恵まれました。

新しい市民団体の名前を、
その設立理由（書くと大げさな感じですね）から「ナチュラブ・北海道」と命名し、
ホームページも欲しいなぁと言う私の呟きに応じてお正月返上で取り組んだ人をはじめ、
チラシ作成やポスター作成や配布、資料作成、
当日の荷物搬入・会場設営・受付・講師の接待・書籍販売・
テープ収録・ビデオ作成・写真撮影（デジカメでもそう表現するのかしら）・・・というように、
それぞれ役割分担を申し出てくださって、とんとん拍子に進み、
「ナチュラブ・北海道」のスタッフとサブスタッフが誕生したのです。

札幌圏ばかりではなく、ニセコからはもちろん道央からも、
はたまた九州からも助っ人参上という嬉しい事態になりました。
会社員・公務員・主婦（ボランティアなど活動的な）・自営業者・NPO関連者・ワーカーズコレクティブ・・・
いろいろな職業の人々が集まり、それぞれの得意分野を生かした活動になりました。

そして、一番年上で一番時間があり、
おまけに、連続シンポジウムにするなら絶対名簿作成・管理が必要で、
せっかくだから記録集を残したいと主張した私が代表になったのは、自然な経緯でした。

そして、もう一つ私がこだわったのは“責任”ということでした。

公人であるお二人の政治家を決して傷つけないことはもとより、
お招きする講師の方々にも迷惑をかけないように気をつけるけれど、
それでも何かあったら、誰かが全責任を持たなければなりません。
その役こそ、組織の“代表”であると。

それで、「私が全責任を持ちます」と言う意思表明として、私は名乗ることにしました。
そして他のスタッフ＆サブスタッフは司会者以外には名を出さない。
そうすることによって、市民団体「ナチュラブ・北海道」の指示系統の統一をはかり、
外との連絡も一本化する必要もありました。
過去の経験で、各自の熱い（！）思い入れだけで好きに動いては、
組織が混乱することを知っていましたので。

また、多くの市民団体の通性として、その集会やシンポジウムのほとんどが、
仲間内だけの“蛸壺”のような雰囲気で開催されることへの不満（というより非合理性）に私は辟易していたので、
なんとか一般市民をより多く取り込めるような市民運動にしたいと、
そのためには、他の市民団体にしがらみの無い私自身が責任者とならなければ、と考えたのでした。

それに、なんと言っても
“一番小さいクセに、時には『やせ我慢しても潔く』がモットーで、
態度が大きくてエラソーな伸子さん”こそ代表にぴったりと、
衆目の一致するところでしたし、ね。

以上、多くの皆さまからよくいただいたご質問、
「ナチュラブ北海道って、どういう人たちの集まりですか？」に対する答になったでしょうか。

さて・・・・
連続シンポジウムに関ってきた今までの時間のなかで、様々な状況の変化がありました。
2003年には札幌市長に初当選されたばかりだった上田さんは、2007年4月には再選されました。
2005年には、逢坂さんがニセコ町長から国政に転出されました。
それでも、お二人は私たちとのお約束を守って、連続シンポジウム全行程（11回）にご出席くださいました。
それは、お二人が今だ政治家である前に“普通の市民”であると考えていらっしゃるからでしょうか。

そのお二人のおかげで、普通ならお目にかかれないような方々を、
講師としてお招きすることができました。

「なぜ、私どものシンポジウムにご出席くださったのですか？」と、
姜尚中さんに思わず訊いてしまったとき、
「これまでは、“首長さん”とはご一緒したことがなかったので、
ぜひ一度、首長さんと直接話をするチャンスが欲しかったからです。」
と言うお返事をいただいたことで証明されましたように。

それで、今、私は何を思っているかといえば・・・
「物ごとは願えば叶う、もちろん誠実に努力をすれば」

そして
「連続シンポジウム全行程は、時には苦労もあったけれど、
　（OA機器音痴の私が、とりあえずメールやワードを使えるまでにはなった！
　ただ例えばこの“原稿”も書きっぱなしで、その“係り”のスタッフに送るとアップしてくれる仕組み。
　携帯電話については代表の私だけが最後まで無縁。
　スタッフ＆サブスタッフの方が苦労したかも！）、
実に面白かった！」

また
「みんな同じ一般市民なんだ！上田さんも逢坂さんも、講師の方々も、
それぞれが得意分野での能力を、惜しみなく、仲間である一般市民に還元してくださっているのだ！」

だから
「私たちもそれぞれが自分の置かれた場所で、自分の出来ることをやっていけばいいんだ。
この連続シンポで得たものを使って」

これは、私が毎回シンポジウムの開会の挨拶で言い続けたことにほかなりません。

ということで、いよいよこの「ナチュラブ日記」も、クローズです。
皆さま、これまでお付き合いをいただき、ほんとうにありがとうございました。
また、いつかどこかで必ず“何か”をご一緒する日が来ますように！
それまで、皆さま、ごきげんよう！

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ナチュラブ・日記　その１４７（2007年12月28号　2/2）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（１１）

［11］　第10章　徹底討論！「次世代への道標」　～　次世代に持続可能な社会を　～

　　　日　　　時　：　2006年7月23日（日）　13：00～16：30　
　　　会　　　場　：　北海道クリスチャンセンター・大ホール
　　　対　　　談　：　上田文雄・札幌市長　＆　逢坂誠二・衆議院議員
　　　懇親会　：　上田文雄・札幌市長、逢坂誠二・衆議院議員、参加くださった皆さま、及びナチュラブ・北海道スタッフ

「ナチュラブ・北海道」が、2004年2月から2年半かけて11回開催した連続シンポジウムの最終回です。

毎回のテーマは流動的でしたが、各テーマの底に常に通奏低音の如くにあったのは、
“次世代を考えた持続可能な社会を創ること”でした。
それゆえ、最終章のテーマだけは「次世代への道標」と決めておりました。

私どもは、一般市民として普通に政治を考える場として連続シンポジウムを設定し、
一般市民的な発想をされ、ご自分の言葉で政治を語るお二人の政治家、
上田文雄・札幌市長＆逢坂誠二・ニセコ町長（当時）をメインに据えたのでした。

お二人は、私どもの期待に見事に応えてくださった。
言葉を尽くして、民主主義がいかなるものであるかを、
受身の民主主義ではなく、参加型の民主主義の大切さを、説かれました。

そして、その結果、
「連続シンポジウムで勉強させていただき、民主主義とは、民（たみ）が主（あるじ）であるという、
ごくごく簡単な一点が、日常の呼吸として理解できました」
という参加者からの感想をいただきました。
そう、私たちは、私たちが一番欲しかった“もの”を得たのです。

私どもが皆さま方に向かって投げたボールが確かな手応えとなってきた今、
再びボールを皆さまの元に投げ返します。
今後は皆さまご自身が様々な問題解決に向けて、
「ナチュラブ・北海道」のシンポジウムで培った“もの”を使って、率先して行動くださいますように。
そういう皆さまが一人増え、二人増えて、やがて多くの“皆さまに似た人”が出てくれば、
そのとき、“私たちの北海道”は元気を取り戻すと思いたい。
そして、それを次世代へ伝えたい。

ところで、最終章のシンポジウムの第一部のお二人の対談は、
やはり「民主主義とは何か」に収斂しました。
「何？」って？
それは、記録集をお読みくださいませ。

そして、第二部は、全員による懇親会でした。

私どもは当初より、
参加くださる皆さまと上田市長、逢坂町長（当時）が直接お話を交わせる場を設定したいと望んでおりましたが、
2年半に渡ったそのシンポジウムの最終章で、やっとその願いを叶えることができました。
また、この形式は、
毎回のシンポジウムの際には参加くださった皆さまのご不興を買うのは覚悟で、
講師の先生方や上田市長、逢坂議員（シンポジウム開始当初は、ニセコ町長）に対して
面会謝絶を貫いたことへのお詫びでもありました。

講師の方々が講演をされたりパネルディスカッションに出席する場合は、
緊張感と緊張を緩める休憩が必要です。
それで私どもは、講演とパネルディスカッションの間に休憩時間を20分と比較的長く設定しました。
しかもその時間は、スタッフにさえ控え室立ち入り禁止にしておりました。

講演・議論の時間では集中と緊張を、休憩時間にはリラックスを、とメリハリをつけることで、
講師の方々には最高のシンポジウムを参加者の皆さまに提供していただきたいと
考えたからにほかなりません。
また、私どものそういうスタイルに対して、
皆さま方から特別の苦情もなく、ご理解をいただけたことで、
私どものやり方を貫くことができましたこと、ほんとうに有難く嬉しく思いました。

そういう皆さまがたへの感謝の気持ちとして、
最終章では第二部の懇親会では、上田市長と逢坂議員に、
参加くださった皆さまのテーブルを回ってお話いただく形式にしたいと申し出て、ご快諾をいただきました。
それは、お二人の望むことでもあったからです。
そして、この場が、
「ナチュラブ・北海道」の連続シンポジウムを通じてお知り合いになられた方々の交流の場となれば、とも。
参加された皆さまには、楽しんでいただけたでしょうか。

その内容については、最終章の記録集をぜひお読みいただくとして、ひとつだけお教えすれば・・・
上田市長がご自慢の喉をご披露されたのですが、その曲目は「日本国憲法の前文」でした。

最後に、皆さまの代表お二人から、
私どもの用意した花束を、上田市長と逢坂議員に贈っていただきました。
お二人は、拍手の中を退場され、会場入り口で皆さまをお送りされました。
花束から1本ずつバラを抜き取られ、皆さまにお分けくださりつつ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（完）

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ナチュラブ・日記　その１４６（2007年12月28号　1/2）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（１０）

［10］　第9章　徹底討論！｢市場原理｣　～　市場経済にイエス、市場社会にノー　～

　　　日　　　時　：　2006年6月25日（日）　13：00～16：30
　　　会　　　場　：　札幌市男女共同参画センター・ホール（札幌エルプラザ　3階）
　　　講　　　演　：　神野直彦・東京大学経済学部・経済学研究科教授
　　　　　　　　　　　　　　テーマ・・・　市場経済にイエス、市場社会にノー
　　　鼎　　　談　：　神野直彦・東京大学経済学部・経済学研究科教授＆上田文雄・札幌市長＆逢坂誠二・衆議院議員

　　　講師紹介
　　　　　　　［　神野直彦（じんの　なおひこ）・東京大学経済学部・経済学研究科教授　］
　　　　　　　　　　・1946年生まれ　埼玉県出身
　　　　　　　　　　・1969年　　　東京大学経済学部卒業
　　　　　　　　　　　　　　　　　　日産自動車入社
　　　　　　　　　　・1981年　　　東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大阪市立大学経済学部助手
　　　　　　　　　　・1992年　　　東京大学経済学部教授
　　　　　　　　　　・1998年　　　東京大学大学院経済学研究科教授
　　　　　　　　　　・2003年　　　東京大学大学院経済学研究科長・経済学部長（2005年まで）

　　　　　　　　　　・所属学会　　日本財政学会、日本地方財政学会、日本経済政策学会、社会政策学会、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　環境経済・政策学会等

　　　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　　　「システム改革の政治経済学」・「希望の島への改革　分権型社会をつくる」・
　　　　　　　　　　　　　「人間回復の経済学」・「痛みだけの改革、幸せになる改革　迷路から抜け出すための経済学」・
　　　　　　　　　　　　　「地域再生の経済学」　等

　　　　　　　　　　＜受　　　賞＞
　　　　　　　　　　　　　1999年　第39回エコノミスト賞（「システム改革の政治経済学」に対して）
　　　　　　　　　　　　　2003年　石橋湛山賞（「地域再生の経済学　豊かさを問い直す」に対して）

当シンポジウムのメインのお一人である逢坂誠二・衆議院議員が、
2005年9月に突然ニセコ町長を辞して、衆議院議員選挙に出馬された大きな理由が、
当時の小泉内閣の「市場原理」政策から来る社会生活のひずみ・格差社会の弊害の是正でした。
けれど、その後も、ひずみや格差は是正されるどころか、いっそう拍車がかかり、
人が人として生きていくのが困難な状況になってきています。
その行く末を心配しないではいられないほどに。

そこで、ゲスト講師をお招きする最後の章となる第9章のテーマを「市場原理」とし、
一番相応しい講師として、神野直彦・東京大学教授をお迎えしました。
そして、人が主人公でありえる社会、
ほんとうに人の幸せにつながる社会をどのように創り上げていけばよいのか、
それを考える契機になる場としてシンポジウムを設定しました。

神野先生はたいそうご高名で新聞・雑誌ほかテレビにもよくご登場されますので、
ご存知の方が多いでしょう。
また、やはり、大森先生・宮脇先生・金子先生方と共通して、
自治体関係のシンポジウムの常連のお一人であり、政党の勉強会にも気軽にお運びなさっています。
そんなわけで、今回も逢坂議員を通じて私どものシンポジウムへのご出席依頼を申し出たところ、
即OKをくださいました。

ところで神野先生は、お目がご不自由で（網膜はく離）、テレビをご覧にならないし、
もちろん一切のOA器機をご使用になりません。
それで、連絡は先生の研究室の秘書さんとメールで行いました。

４月に上京する予定があり、
　（一年に数回の上京が当時の、いや今も、私の大切な気分転換。東京の周辺をうろうろ。）
銀杏（いちょう）の若葉が美しい東京大学の赤門近くの経済学部に、先生をお訪ねしました。
逢坂議員ともご一緒する予定でしたのに連絡不行き届きで私一人になってしまって・・・
そういう私に、先生は1時間近くも親しくご熱心に、
ご専門分野ばかりではなく社会全般にについてお話くださいました。

なにかとても浮世離れした方、というのが私の印象でしたが、
その“わけ”は、シンポジウム当日、先生自ら明かされていますので、記録集をぜひお読みくださいませ。

そして、おいとましようとする私を引き止められ、
東大構内のご案内をお申し出くださったのには仰天しました。
しかも三四郎池に下りていく際には私の手を引いてくださるとおっしゃるのです！！
畏れ多くて、真っ赤になりまして・・・遠慮いたしました。

帰り際は、赤門近くのスーベニールで“東大”のマーク入りのボールペンまで買ってくださいました。
東大だけでなく国立大学は、独立行政法人になったのを機にそれぞれ“商売”を始めましたが、
私も実は北大の“札幌農学校”というクッキーをお土産にお持ちしたのでした。

シンポジウムの前日（だったと思いますが）、レジュメと大量の資料がファクスで届き、
そのうち幾枚かをスタッフで手分けしてワードに打ち直し、
シンポ当日の朝、スタッフやサブスタッフを動員して大量の印刷ということもありましたっけ・・・
そのレジュメや資料もリライトして記録集に載せてあります。

神野先生は、シンポジウムのご講演では、ゆっくりご丁寧な話し方をされましたが、
ふだんはとても気さくでお話好きで、
会話の際にはちょっと早口（私は超のつく早口ですので、先生の早口は心地良く感じられます）で、
ついつい引き込まれる、そういう方です。

余談ですが、このシンポジウムにも福岡から飛んできたサブスタッフの女性が、
帰りのフライトが東京経由で偶々神野先生とご一緒の便でした。
先生のお世話（？）をするところが、先生にお気を遣っていただくことの多い空の旅でしたと、
恐縮するメールが来ましたが、分りますよ、先生はほんとうの紳士でいらっしゃるのですものね。

ニセコのメロンなど北海道の味をお届けしたときには、
ご本人が直筆のお礼状をくださいますので、感動します。
尤も金子先生も姜さんも、そうです。
大森先生の場合は、たぶん秘書役であろうお連れ合いから、
先生が如何に歓んでくださったかわかる詳細な内容のお礼状が届きます。

さて・・・・
格差社会はますます深刻さを増し、 “ワーキングプア”という言葉が定着しつつあります。
この冬、灯油価格が上昇し続け、過去の2倍にもなろうかとの勢いです。
特に北海道の冬は暖房なくしては一日も過ごせませんし、
石油価格高騰の余波で様々な物の値が上昇してきていますので、
生活はどうなるのかと心配です。
北海道では凍死者や餓死者が出るのではないかと密かに心配していますが、
私には僅かな寄付以外にどうしようもなく、呆然としているだけです。
皆さまは、いかがお考えでしょう・・・

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ナチュラブ・日記　その１４５（2007年12月2７号　2/2）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（９）

［9］　第8章　徹底討論！「社会保障制度」　～年金・医療・介護等の連携とその将来の方向性～

　　　日　　時　：　2006年3月　5日（日）　13：30～16：30　
　　　会　　場　：　札幌市男女共同参画センター・ホール（札幌エルプラザ　3階）
　　　講　　演　：　倉田　聡・北海道大学大学院法学研究科教授
　　　　　　　　　　　　　テーマ・・・　年金・医療・介護等の連携とその将来の方向性
　　　鼎　　談　：　倉田　聡・北海道大学大学院法学研究科教授＆上田文雄・札幌市長＆逢坂誠二衆議院議員

　　　講師紹介
　　　　　［　倉田　聡（くらた　さとし）・北海道大学大学院法学研究科教授　］
　　　　　　　　・1965年2月生まれ　北海道札幌市出身
　　　　　　　　・1992年　　　北海道大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得満期退学
　　　　　　　　・1994年　　　北海道大学法学部助手（1996年３月まで）
　　　　　　　　・1995年　　　北海道大学より、博士（法学）の学位を取得
　　　　　　　　・1996年　　　北星学園大学社会福祉学部専任講師、同大学助教授を経て
　　　　　　　　・2000年　　北海道大学大学院法学研究科助教授
　　　　　　　　・2003年　　　北海道大学大学院法学研究科教授
　　　　　　　　・2004年～2005年　　マックス・プランク国際社会法・外国社会法研究所（ドイツ連邦共和国・ミュンヘン市）に留学。

　　　　　　　　・北海道大法学部および大学院法学研究科において「社会保障法」を担当。
　　　　　　　　　わが国の医療保障および福祉給付をめぐる法律問題、
　　　　　　　　　「社会福祉基礎構造改革と医療制度改革により
　　　　　　　　　受給者をめぐる権利・義務関係がどのように変化していくか？」　に取り組む

　　　　　　　　・所属学会　　日本社会保障法学会・厚生労働省「労災保険料率の設定に関する検討会」委員

　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　「ケースアンドマテリアル社会保障法」・「高齢者の法律相談」・「社会保障読本・第３版」・
　　　　　　　　　　　「社会保障法・第２版」以上共著。
　　　　　　　　　　　単著論文「成年後見における生活支援とは」・「労働形態の多様化と社会保険の将来像」・
　　　　　　　　　　　「社会福祉系４年生大学における法学教育のあり方」等多数

今、私はこの章の解題を書くにあたり、とても辛く悲しく残念な思いがこみ上げて参ります。
というのは、既に皆さまもご存知のように、
この章の講師であった倉田　聡・北海道大学大学院法学研究科教授(当時)は、
2007年4月、急逝されたからです。
まだ満42歳の若さでした。
お小さいお子さまを4人も遺されました。どんなに気がかりでしたでしょう。

私どものシンポジウムは当初10回連続とし、
「憲法」や「地方自治」や「環境」や・・・と、その時点で一番ホットでしかも重要なものを取り上げるため、
テーマは時に応じて変えるという大雑把な方針でした。

数年前から少子・高齢化問題が危機感を持って政治の問題として取り上げられ始め、
また2004年ころからは、“団塊の世代”のリタイヤが間近にせまり、
それに応じて年金や医療や介護などの問題に直面する機会が増え、
社会保障制度の将来に私たちの多くが漠然とした不安を感じはじめてきていました。

そこで、一度は“社会保障制度”をじっくり学ぶ場を設けようということになりました。
講師にはその分野の新しいリーダーである倉田　聡・北大教授にお願いしたいとスタッフ一同異論なく決まり、
またまた、私が北大の研究室に先生をお訪ねしたのです。

実は私は数年前の北大法学部の夏の公開講座で、
倉田先生の2時間のご講義を聞いたことがありました。
そのときのテーマも社会保障だったのですが、
まだ30代半ばの先生が、政治に翻弄されて制度自体が滅茶苦茶になった年金などにについて、
実に明快に解説されたことが記憶に残っていました。
たいへん具体的で分りやすい話をされる先生だ、と。

そういうことを申し上げたところ、先生は照れたご様子で
「これまで講師を務めた方々は、みなさんがその分野の第一人者ですね。
ボクなんかの若造でいいのでしょうか」と謙遜されながらも、
ぜひに、と、お願いしたところ、「では喜んでお引き受けします」と言ってくださったのでした。

この第8章のシンポジウムでも、難しい内容、
例えば、担当者でさえ十分に理解できていないのではといわれる年金制度についても
実に分りやすくお話いただけたのは有り難いことでした。
参加した皆さまから感謝の言葉が多く寄せられました。
また今後も、続けて倉田先生のお話を聞いて勉強したいから、
その場を設けてほしいというご希望もいただきました。

その後、2007年の参議院選挙では、
“消えた年金”に代表される社会保障に対する国民の不信感が争点になり、
結果、与野党を逆転させたほどの大きな問題に発展しました。

社会保障制度だけでなく政治全般の諸問題は押しなべて、
国民一人ひとりの責任で解決するべきことですが、
でも判断するときの材料を専門家である学者から得たいと思うのは当然で、
そのために私どももこのようなシンポジウムを開いているわけです。
それゆえ、今、倉田先生がここにいらっしゃったなら・・・と、つくづく残念でなりません。

ああ、そうでした・・・
例によって私は、倉田先生にも記録集の原稿の校正を督促したのでした。
多くの方々が、その記録集を早く読みたいと待っています（これはほんとうでしたが）からと。

先生はお忙しい中お時間を割いて校正くださり、
「第8章・徹底討論！社会保障制度」の記録集は、
シンポジウム開催後3ヶ月という異例の早さで、2006年6月に発行できたのでした。
それが、私どもにとっての“形見”となってしまいました。

改めて、ここに謹んで、倉田　聡先生のご冥福をお祈りいたします。

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ナチュラブ・日記　その１４４（2007年12月2７号　1/2）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（８）

［8］　第7章　徹底討論！「都市で暮らす・地方で生きる」　　～　都市と地方の役割　～

　　　日　　時　：　2005年11月13日（日）　13：30～16：30　
　　　会　　場　：　札幌市男女共同参画センター・ホール　（札幌エルプラザ　3階）
　　　講　　演　：　宮口●迪・早稲田大学教育・総合科学学術院教授　（●はニンベンに同、みやぐちとしみち）
　　　鼎　　談　：　宮口●迪・早稲田大学教育学部教授＆上田文雄・札幌市長＆逢坂誠二・衆議院議員

　　　講師紹介　
　　　　　　[　宮口●迪早稲田大学教育学部教授　]　（●はニンベンに同、みやぐちとしみち。以下同）
　　　　　　　　　・1946年生まれ　富山県出身
　　　　　　　　　・1971年　　　東京大学理学部地理学科卒業
　　　　　　　　　・1976年　　　東京大学大学院博士課程終了
　　　　　　　　　・1975年　　　早稲田大学教育学部助手に勤務、講師、助手、助教授を経て
　　　　　　　　　・1985年　　　早稲田大学教育学部教授
　　　　　　　　　　　　　　　　　以来、富山市に住み、東京・早稲田大学に通いながら、国内外の各地を訪れる生活を続けている。

　　　　　　　　・所属学会　　　日本地理学会・人文地理学会・地理科学学会等

　　　　　　　　・一貫して日本の地方社会のあり方について考え、
　　　　　　　　　第5次全聡計画「21世紀の国土のグランドデザイン」において、「多自然居住地域」の考えを提唱、
　　　　　　　　　大都市の発展の原理と小都市・農山村の発展の原理は違うことを強調。　
　　　　　　　　・他に自治大学校講師、総務省過疎問題所懇談会座長、全国リーダー塾主任講師、
　　　　　　　　　国土交通省地域振興アドバイザー、富山県景観審議会会長等多くの役職を務める。

　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　「地域を生かすー過疎から多自然居住へー（改訂版）」・「地域づくりー創造への歩みー（増補版）」等。
　　　　　　　　　　多に論文多数。

第1章時から毎回のシンポジウムの際に、
控え室で上田市長と逢坂町長（当時）が交わす雑談のテーマが
「都会や中央と、地方や田舎と言うものの乖離が大きくなりすぎて、
その問題が解決されないまま行くと、大変なことになるのではないか」ということでした。

ニセコでのシンポジウム終了後、ニセコ町役場にご挨拶に伺うと、
珍しく逢坂町長が暗く深刻な表情で、その話題に触れました。
それなら、次回のテーマを“それ”にしましょう、ということになりました。

さて講師は・・・と思いあぐねていると、
宮口●迪・早稲田教授がぴったりですと、逢坂町長がおっしゃったのです。
そして自ら、宮口先生に直ぐお願いしてくださり、
先生も学会出席とバッティングした日程の中、私どものシンポジウムを選んでくださったのでした。

宮口先生は、週の半分を富山市に、半分を東京に、という生活を送られつつ、
合間をみて世界中を旅して（もちろん研究です）いる方です。

例によって東京・早稲田の研究室にご挨拶にお伺すると問い合わせをしましたら、
「ではワインでも一緒に」というお返事でした。
「夜はね、仕事なんかしちゃだめですよ。夜は、友人たちと美味しいお酒を飲むためにあるんです」
とおっしゃった先生は、新宿の行きつけのお店にご案内くださいました。
先生はワインがお好きなようで、薀蓄をお持ちのようでしたが、
グラス1杯のワインで酔ってしまう私がお相手ではお気の毒でした。
でも地理学を専攻された理由や世界中の話題などお話がとても面白くて眠気も吹っ飛び、
こういう“洒脱な学者”を講師にお招きするシンポジウムが楽しみになり、待ち遠しく思いました。

そして、そのシンポジウムで先生は、豊かな研究内容をふんだんにご披露され、
私たちのイメージする“地理学”を裏切ってみせてくださったのでした。
心地良い裏切り、でしたね。
参加された方々の表情からも、軽い興奮が伝わってくるシンポジウムでした。
詳細は、ぜひ第7章の記録集をお読みください。

また、宮口先生は、
「参加者から参加費1,000円をいただく形式と、
参加費を支払っても参加したいという参加者がいる北海道は素晴らしい」と、
私どものシンポジウム運営方針と北海道民をお認め下さり、
ご自身もぜひ“自主参加”したいと、おっしゃったのです。
あれは、ほんとうに嬉しい評価でした。

一般に政治関連のシンポジウムは、行政や政党、あるいはそれらと関係ある団体が主催し
“参加費無料”というケースがほとんどですね。
そういう性格のシンポジウムには、私は今でも不信感を抱き続けているし、
また、無料という“エサ”で参加者を釣るという見え透いた心根も浅ましい感じがしてイヤです。
私どもの連続シンポジウムは、ほんとうに学びたいのであれば、自ら参加費を支払うべきだと考え、
参加費を払ってもぜひ聴きたい・参加したいと期待させるシンポジウムを運営するという
密かな決意を持って始めたものでした。

ですから、その方針を見抜いて褒めてくださった宮口先生が、
実際に2006年6月の第9章「市場原理」に“自主参加”くださいましたことは、主催者冥利でした。
もちろん参加費をお支払いしても参加くださる皆さまがいてくださるからこそ、と再確認することになったのですが。

なお、宮口先生のお誘いで、八尾市の「越中おはら風の盆」を見物できたことは、
これまた主催者冥利に尽きました。
その詳細レポートは、「ナチュラブ・北海道」のホームページの「ナチュラブ日記」に書きましたので、
ぜひお読みください。　

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ナチュラブ・日記　その１４３（2007年12月26号）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（７）

［7］　特別編　徹底討論！「ともにアジアに生きる」　～アジアに生きる私たちと日本国憲法～

　　　日　　時　：　2005年8月19日（金）　18：30～21・30
　　　会　　場　：　札幌市男女共同参画センター・ホール（札幌エルプラザ　3階）
　　　講　　演　：　姜　尚中・東京大学大学院情報学環教授
　　　　　　　　　　　　　テーマ・・・　アジアに生きる私たちと日本国憲法
　　　鼎　　談　：　姜　尚中・東京大学大学院情報学環教授＆上田文雄・札幌市長＆逢坂誠二・ニセコ町長

　　　講師紹介
　　　　　　[　姜　尚中（カン　サンジュン）・東京大学大学院情報学環教授　]
　　　　　　　　　・1950年8月生まれ　　熊本県出身
　　　　　　　　　・1974年　　早稲田大学政治学経済学部政治科卒業　　　　　
　　　　　　　　　・1979年　　早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了
　　　　　　　　　　　　　　　　ドイツ　エアランゲン大学に留学(1979から1981)の後、国際基督教大学準教授などを経て
　　　　　　　　　・1996年　　東京大学社会情報研究所助教授
　　　　　　　　　・1998年　　東京大学社会情報研究所教授
　　　　　　　　　・2004年　　（組織統合に伴い）東京大学大学院情報学環教授
　　　　　　　　　・専攻は政治学・政治思想史

　　　　　　　　　・在日コリアン2世という立場から、
　　　　　　　　　　東北アジア地域の20世紀の暴力的傷跡と新たな変化のうねりが突出している朝鮮半島に対して
　　　　　　　　　　「東北アジア共同の家」構想を示し、この地の歴史と現状を踏まえ、
　　　　　　　　　　アジア地域における地域主義の可能性と政治の統合を探りつつ、
　　　　　　　　　　この地域の今後の平和と共存のために
　　　　　　　　　　日本と朝鮮半島が何をなすべきかについて社会的発言を続けてきている。

　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　「在日」・「日朝関係の克服：なぜ国交正常化交渉が必要なのか」・「東北アジア共同の家をめざして」・
　　　　　　　　　　「ナショナリズム」・「愛国心」・「マックス・ウェーバーと近代」・
　　　　　　　　　　「日米関係からの自立：9・11からイラク・北朝鮮危機まで」等多数

2005年5月に第5章｢憲法｣を開催しましたが、
私どものサポーターのお一人(注：第２章の講師だった飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長)が
「この時期に憲法を取り上げるなら、単に護憲・改憲の議論ではなく、
日本国憲法が、世界なかんずくアジアではどのように作用し評価されているかという視点が必要で、
それを避けるのは知的怠慢でしょう。
そして、それを語るには姜尚中さんが最も相応しいです。」という示唆をくださいました。

それをスタッフやサブスタッフに伝え、
でもあの姜尚中さんにどうやって・・と、さすがの私も打つ手無しだったのですが、
“偶然”、ある知人が姜尚中さんとお仕事で面識があるテレビ関係の方を知っていて、
“偶然”、私が上京する予定があったので、その方に連絡をとりお目にかかったのですが、
その場で姜さん宅に
「日本国憲法をテーマのシンポジウムに姜さんにご出席していただきたいという北海道の市民団体がある」と、
ファクスで問い合わせをしてくださった。
“偶然”、その日に姜さんがそれを見てくださって即ＯＫのお返事が！

その後も偶然としか思えない経緯を経て直接姜尚中さんからメールで、
私どものシンポジウムにご出席くださるというお返事をいただきました。

びっくりしました。まさか、こんなに姜さんが簡単にＯＫしてくださるなんて。
但し姜さんのスケジュールが詰まっていて5月の第5章にはご出席いただけずに、8月になったわけですが、
上田市長も逢坂町長も「姜尚中さんのお話をじかで聴かれるなら万難を排します」と賛成してくださいました。

これから先の経緯は、
このホームページの連続シンポジウムのご案内欄の特別編に載せましたので、それを参照いただくとして、
ここでは“今だからお話できること”を・・・

2005年5月に姜さんが中心になって東大の安田講堂で開催されたシンポジウム
「朝鮮半島の共存と東北アジア地域協力」に、
私どもスタッフ＆サブスタッフも誘い合って参加いたしましたが、
そのとき、私どもの席から遠くないところに姜さんがいらっしゃいました。
すると、スタッフのひとりが、「伸子さん、代表としてご挨拶に行かなければ」と。

でも、こういうときほんとうに私は自分でも悲しいくらいにグズなんですねぇ・・・・・
恥ずかしくて、もじもじ・・もじもじ・・・
｢姜さんの周りは、ご挨拶の人が切れ目なく集まっているし・・・私は単なる参加者の一人でしかないし・・・
姜さんは私の名など知らないに決まっているし・・・・｣
「恥ずかしくても、必要なら挨拶するのが代表でしょうーが！」
「あ、はい」
というわけで、仕方なく、姜さんのところへ。

何を申し上げたか、覚えていないほどの緊張でした。
姜さんは、
「あぁ、北海道の方ですね。これからは、メールか自宅の方へ連絡ください。名刺を・・・」
といいつつ、スーツの胸ポケットをさぐったのですが、名刺が切れていましたっけ・・・

実は、このときから、
実際に8月19日に姜さんを新千歳空港でキャッチ（ほんとうに、その表現がぴったりでした）するまで、
不安の連続で・・・
超多忙ゆえに問い合わせのメールには一切お返事がいただけず、
ご自宅にお電話やファクスをいれ、お連れ合いのお手を煩わせましたから。

それを姜さんご自身もよく認識されているようで、空港の到着ロビーで私を見つけるなり、
「いやぁ・・いつも連絡に返事もせずにすみません、ずぼらなもので・・」と言うのが、第一声でした。
でも、あのお声と笑顔で言われると、それまでの苦労が一瞬に吹っ飛びましたけれど。

姜さんの到着時刻は偶々（ほんとうに姜さんとのご縁は、偶然が重なりました）、
逢坂町長が九州から飛んで帰ってくる時刻とほぼ同じでしたので、
私どもスタッフの運転する車に、姜さんと逢坂さんをお乗せし（私は助手席）、
約1時間かけて札幌までお連れしましたが、
その時間がいかに濃密であったか・・・
隠しマイクでも仕掛けておくのだった、というくらいの僥倖の時間でした。

運転手役のスタッフは緊張でこちこち、寿命を縮めたかも。
でも、彼はスタッフの中でたったひとりの幸運を射止めたんですよ。
それは、姜さんをホテルにお送りして、お別れする際、
姜さんに手を差し出し握手を求めたとき、姜さんは大きく力強い手で握手を返され
「今日は本当に有難うございました。またいつかどこかで、きっとお会いしましょう。」とおっしゃった。
「あの甘い音色で言われたら、そりゃあ女性は間違いなくやられますね。
私でさえ腰が抜けそうだった」そうですから！

なんて、残念！　姜さんの握手の相手が男性のスタッフで、女性の私じゃなかったなんて！
そりゃ、私は、あの後、姜さんと同宿した逢坂町長とご一緒に、
ホテルのバーでお二人のナイトキャップにお付き合いしましたよ・・・・
そして、姜さんが深夜ホテルのバーで、生野菜のステックをかじりながら
「上野さんたちが、どこにも属さない中立的な市民活動をしているのは、素晴らしいですね」
とおっしゃってくださったのは、素直にうれしかったのですが。

あの日は、その後数日で突然、逢坂町長が国政へ転出を決めたことで、忘れられない日になりました。
そして、姜尚中さんをお招きしたあの日の特別編は、会場が満席（320人）でした。

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ナチュラブ・日記　その１４２（2007年12月25号）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（６）

［6］　第6章　徹底討論！｢北海道を斬る｣　～　北海道を取り巻く状況　～

　　日　　時　：　2005年7月30日（土）　13・00～16：30
　　会　　場　：　ニセコ町民センター・大ホール　（ニセコ町字富士見）　
　　講　　演　：　金子　勝・慶応義塾大学経済学部教授
　　　　　　　　　　　テーマ・・・　持続可能性こそ改革のキィワード
　　鼎　　談　：　金子勝・慶応義塾大学経済学部教授＆上田文雄・札幌市長＆逢坂誠二・ニセコ町長

　　講師紹介　
　　　　　　[　金子　勝（かねこ　まさる）・慶應義塾大学教授　]
　　　　　　　　・1952年生まれ　東京都出身
　　　　　　　　・1980年　　東京大学大学院経済学研究科博士課程終了　
　　　　　　　　・1980年　　東京大学社会科学研究所助手
　　　　　　　　・1984年　　茨城大学人文学部講師
　　　　　　　　・1986年　　法政大学経済学部助教授
　　　　　　　　・1988年　　法政大学経済学部教授
　　　　　　　　・2000年　　慶應義塾大学経済学部教授

　　　　　　　　・テレビ番組への出演も多く、専門の財政学や制度経済学の立場から
　　　　　　　　　「持続可能な新たな社会のあり方」を提唱している。
　　　　　　　　　経済だけでなく政治・芸能に関する分野にも発言が多い。
　　　　　　　　　一方、超多忙ななかにも執筆活動も盛んで、
　　　　　　　　　新聞記事や雑誌への執筆、毎年数冊の単著本や共作本を著している。

　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　「経済の倫理―反経済学の視点から」・「日本再生論―市場　対　政府を超えて」
　　　　　　　　　　「月光仮面の経済学－さらば無責任社会よ」・「粉飾国家」・「2050年のわたしから」
　　　　　　　　　　他に多くの方々との共著も多い。

「会場がニセコなら喜んで行きますよ」という金子先生の一言で、
ニセコでのシンポジウム第6章開催が決まったのでした。
2004年10月下旬、東京・三田の慶応義塾大学経済学部の研究室に
金子先生を初めてお訪ねしたときのことでした。シンポジウムの９ヶ月前でした。

「ナチュラブ・北海道」と名乗り、
連続シンポジウム『徹底討論！“北海道の明日”シリーズ』を企画運営する市民グループでありながら、
また毎回、逢坂誠二・ニセコ町長をお招きしながら、
いつも札幌でばかりの開催で、ひそかに心苦しく思っていましたが、
やっと少し肩の荷が軽くなったような気がしました。
また、せっかく真夏のニセコに皆さまに来ていただくなら、
“観光”というお楽しみも加えてニセコを丸ごと味わっていただくのも一興とスタッフに持ちかけたら、即ＯＫ。

それからは、皆さまにアンケートのご協力をいただき、
それを元に、ニセコ町役場と(株)ニセコリゾート観光協会と、札幌・ニセコをお互いに行き来して協議を重ね
「ニセコお泊まりツアー」と「逢坂町長がガイドするニセコ町視察ミニツアー」を
付属企画としてセットしたのでした。

ところで、“マスコミの寵児”(語弊がありますが)のような金子先生が、
私どものように名もない団体のシンポジウムにご出席くださるのか不思議でしたが、
私どものスタッフの一人が、自治体学会のシポジウムの際に、
先生が「そういえばニセコの逢坂町長、昨年の知事選にどうして出なかったのかなぁ」と呟かれたのを耳にし、
その逢坂町長とのシンポジウムにご出席いただけないかと恐る恐る申し出たところ、
「逢坂町長と上田市長と一緒なら、いいよ」とあっさりおっしゃった！
で、善は急げで、主催者の代表が打ち合わせに伺いますが、いつがよろしいでしょうと訊くと、
手帳を出されて10月のある日のある時刻をご指定くださったのですよ。
それで、その日その時刻に研究室に、先生をお訪ねしたのでした。

「ナチュラブ・北海道？　じゃ、これまで北海道のどこでやったの？
え、札幌だけ？　札幌だとさ、日帰りということになっちゃうんだよね。
九州だって日帰りですよ、全くもう忙しすぎて死んじゃいそう。
ニセコって温泉ある？　あ、ある。　
じゃ、温泉にゆっくり入って、1泊する！それなら行きます！」と。

で、私も善は急げで、「ニセコで開催しますので、よろしくお願いします」と即断。
そして、7月末の土曜日と決めました。
「でも、先生、一つ問題が。ニセコでは、多くの参加者は見込まれないかも知れません。」
「ぜーんぜん、大丈夫。ボク、小さな喫茶店で50人くらいの前で話すこともやってますから」
「はぁ・・。それと、謝礼ですが・・」
「あ、ニセコで温泉に入れるなら、いらないですよ」
「え？！　いや、それは・・・○円でお引き受けくださいますか」
「いいですよ」
これが金子先生との打ち合わせでした。

研究室を辞した後、慶応大学構内のカフェテリアで、
ノート型パソコン（私、携帯電話を不携帯。つまり、持っていない。ほんとうです）を取り出し、
札幌市の秘書課と逢坂町長に、ニセコで開催する旨と日時の了解を得ました。

そして、シンポジウムの前日、雨の中、新千歳空港に出迎えました。
金子先生は私を見つけると、すっと手を出して私の旅行バッグを持ってくださり、
慌てる私に「小さい女性（私は148センチ）が大きな荷物を持つのを見過ごせないでしょ」って。あららら・・・・。
空港を出るまで先生は観光客に「どこかで見たことある人」と言うような目で、じろじろ見られましたっけ・・。
慣れていらっしゃるのでしょうが。

そして、ご後援くださったニセコ町が出してくださった公用車に金子先生をお一人お乗せし、
　（「上野さんは一緒じゃないの？」・「畏れ多いから遠慮しますわ」）、
その後をサブスタッフの女性(彼女は福岡在住ですが、ほぼ毎回飛んできてくれました)の運転するレンタカーで
(私、当然運転できない)、追いかけました。
先生は公用車の運転手さん一人をお相手に2時間ずうっと“講義”し続けたそうな・・・・・
翌日のシンポ終了後、また先生をお一人公用車にお乗せし新千歳空港まで送ってくださった運転手さん、
ありがとうございました。

その夜は逢坂町長もご接待に加わってくださって打ち合わせならぬ“楽しい前夜祭”でしたの。
その様子等はシンポジウムで先生ご自身がお話されましたので、記録集をご参照ください。　
ひとつ、ふたつだけ、ついでに・・・

「しかし、何日が空いていますといったら、この人（私）、ほんとに来ちゃった。来るか、フツー」
「行きますでしょ、お約束ですから。常識です」
という会話を逢坂町長がニコニコしながら、聞いていましたっけ。

翌朝、食堂に下りていくと、先生は既に食事を済まされ、白い紙にペンを走らせていらっしゃいました。
「ここまで原稿に追われてるんです、ほんと死にそ～」

シンポジウム終了後、ホテル・甘露の森で催した懇親会には、
ご出席予定だった上田・札幌市長は、またまた急なご公務で日帰りなさいましたが、
札幌市役所から数名の方々がご参加くださいました。

翌日の「逢坂町長がガイドするニセコ視察ミニツアー」は、
ミルク工房、綺羅乃湯、ニセコ町役場、あそぶっく、ニセコ・生活の家、
そして道の駅・ニセコビュープラザのコースでしたが、
記録集巻末に詳細レポートを載せましたので、そちらをお読みください。

なお、当時の岡内隆博・ニセコ町総務課長はじめ、ニセコ町役場の皆さまのご協力、
並びに加藤　淳・（株）ニセコリゾート観光協会旅行営業部長には、本当に感謝しております。
皆さまのご協力なくしては成り立たないシンポジウムでした。
この場を借りてあらためてお礼を申し上げます。

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ナチュラブ・日記　その１４１（2007年12月23号）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（５）

［5］　第5章　徹底討論！「憲法」　～　今だから憲法を考える　～

　　日　　時　：　2005年5月29日（日）　
　　会　　場　：　北海道クリスチャンセンター・ホール
　　講　　演　：　上田文雄・札幌市長
　　　　　　　　　　　　テーマ・・・　平和・人権・精神的自由
　　対　　談　：　上田文雄・札幌市長　＆　逢坂誠二・ニセコ町長
　　　　　　　　　　　　会場の皆さまと討論

2005年は、私たちが世界に誇る日本国憲法生誕58年目に当たりました。
そして、数年前から、その“改正”が大きく取りざたされ始めていました。

でも私は、憲法“改正”を前提とした議論の舞台は、
国会周辺や各政党一部、マスコミなどに限られているような気がしていましたし、
また、私たち普通の市民の中からは、憲法“改正”を目的に大きな議論が起きているとは思えない状況でした。
逆に「憲法9条の会」というような憲法改正を阻止する目的の動きはありましたが。

そもそも私たち国民レベルで、憲法“改正”の可否を議論する材料さえ十分とはいえないのが、
今の現状ではないか。
憲法の理念が実現されにくいからと言って、
現実に憲法をあわせるための憲法“改正”を、国会が簡単に発議したり、
私たち市民があっさり、それを認めることがあってもよいのか。
一国の憲法とは、どういう意味を持ち、どういう力を持つものなのか、
私たちは充分に良く知っているだろか。
憲法改正が、これまでになく声高に言われているこの大事な時期に。

では、憲法とは何か、から始めよう。
弁護士として25年間日本国憲法の理想を実現するべく活動されてきた上田・札幌市長に、
じっくり憲法を語っていただくのはどうか、ということになったのです。
幸いにも逢坂町長も憲法について、
上田市長の思いの丈をじっくりお聴きしたいとおっしゃってくださいました。
上田市長も、もちろんご快諾。

そこで、上田市長のご講演を受けて、逢坂・ニセコ町長をコーディネーターに、
会場の皆さまを巻き込んで大いに議論をする場を設けたわけです。

そして、今、私が密かに自慢したいのは、
この第5章が、単に「憲法9条を守れ」式のシンポジウムにはならなかったことです。
上田市長は、「平和・人権・精神的自由」をテーマに据え、普遍的な憲法観を語られました。
その詳細については、ぜひ第5章憲法の記録集をお読みください。

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ナチュラブ・日記　その１４０（2007年12月22号）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（４）

［4］　第4章　徹底討論！「地域の自立―後編」　～　これからの“まち”の姿

　　日　　　時　：　2005年2月13日（日）　13：30～16：30
　　会　　　場　：　札幌市男女共同参画センター・ホール　（札幌エルプラザ　3階）　
　　問題提起　：　逢坂誠二・ニセコ町長
　　対　　　談　：　上田文雄・札幌市長　＆　逢坂誠二・ニセコ町長
　　　

第3章と第4章は前後編であり、
第4章にも、第3章の講師であった大森彌・千葉大教授と宮脇淳・北海道大学大学院法学研究科教授が
ご出席の予定でしたが、
大森教授が急病で、宮脇教授は急な公務で、いずれもご欠席でした。

そこで、逢坂誠二・ニセコ町長が、第3章で話合われた内容について整理・問題提起をされ、
それに基づいて、上田文雄・札幌市長とお二人で対談、会場の皆さまと討論されました。

大森先生は、シンポジウムの二日前にお風邪で倒れられました。
季節は真冬の2月でしたので、先生ももちろん気をつけられていたのだそうですが、
勤務先の千葉大学の試験の採点でちょっと無理をされたとか・・・

大森先生はことのほか、この北海道が大好きとおっしゃってくださって
（年に数回、自治体関係のシンポジウムに出席されています）、
2回続けて同じシンポジウムにご出席くださることを快諾され、とても楽しみにされていましたので、
ご本人もさぞ残念でしたでしょう。

特に、このテーマは当時（もちろん今も）最重要課題でしたので、
第3章での先生のご講演をうけての第4章では、参加した皆さまから先生へ質問等が多く出されたはずで、
先生と皆さまとのやり取りが期待されましたので！

逢坂・ニセコ町長が若手首長として、地方自治に関する講演などで全国を飛び回っているときに、
その分野の第一人者である大森先生ともお知り合いになられました。
ニセコ町主催のシンポジウムの講師としても大森先生は出席されていましたが、
そのうちの一度、たまたま私も参加していて、大森先生のお話をもっとじっくりお聴きしたいと思っていたのでした。
それで「ナチュラブ・北海道」の連続シンポジウムに、
大森先生に相応しいテーマを、と考えて「地域の自立」　を設定したのです。
もちろん、大森先生への仲介の労をとってくださったのは逢坂・ニセコ町長でした。

「ナチュラブ・北海道」という、
名もない、海のものとも山のものとも知れない市民団体のシンポジウムの講師を、
いとも簡単にお引き受けくださったのは、もちろん逢坂・ニセコ町長のおかげですが、
大森先生ご自身が偏見のない方だからでしょう。
ご自分を必要としてくれるところ、自分が役に立つならば、どこへでも出かけますとおしゃっていただけて・・・
こういう方こそ本物のインテリゲンチャ、あるべき学者ですね・・・
僭越ながら私が、その学識と人格ともに尊敬する学者のお一人です。

宮脇先生も、大森先生同様にその専門分野では、
官公庁の各種審議会・委員会はじめ、いろいろな団体のシンポジウムの常連で、
たいそうご活躍されていらっしゃいます。
また当時、独立行政法人になった北海道大学が2005年に開校する公共政策大学院の院長就任予定で、
シンポジウム当日はそのＰＲをされました。
それでますますお忙しくなられ、その結果この第4章にご出席いただけなくなったのは皮肉なことでした！

でも私ども「ナチュラブ・北海道」の講師の方々に対する基本スタンスは、
まずはご本人の本業を何よりも尊重するとことでしたのでね、
宮脇先生の第4章キャンセル理由は当然のことでした。
このスタンスは、上田市長や逢坂町長の場合はご公務を最優先するということでもありました。

さて、2004年の初夏(だったと思います)に、
その宮脇先生を、北海道大学の、書籍や様々な資料に囲まれた研究室に、シンポジウムご出席のお願いに上がったおり、
先生は初対面の私に、北海道を憂えられるお言葉を多く発せられ、びっくりしたのを思い出します。
初見且つ単なる一市民に過ぎない私にです。
北海道のリーダー選びに失敗すると、取り返しがつかないことになります」と。
そして
「大森先生はもちろん存じ上げていますし、
逢坂さんや上田さんとは、お互いにそう違わないスタンスにいると思いますよ。」と、
即、シンポジウムの講師をお引き受けくださり、予定表を取り出され
「“今のところ”第3章と第4章ともに、その日で出席ＯＫです」とおっしゃったのでした。
もちろん、ご本業に、支障がない限りという条件付きでしたが。
そして・・・残念なことに、第4章時にはご公務が入って、ご欠席となったのでした。

二人の講師を同時にお招きし、2回連続にしたシンポジウムも初めてでしたが、
2回目は、そのお二人が揃ってご欠席という結果になったのも、
今では「そういうこともありましたねぇ」という懐かしい思い出の一つですが、
あの当時は、この私でさえ真っ青になりましたっけ・・・

大森先生のお連れ合いから、ご欠席させて欲しいとの電話を受けた夜、
とりあえず逢坂町長に、どうしましょうと問い合わせましたら即、
「私が穴埋めします」と言うメールで帰ってきてほっとしました。
そしてシンポ当日、逢坂町長の「レジュメ」と「お二人の講師欠席のお詫び」を大至急印刷！

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ナチュラブ・日記　その１３９（2007年12月21号）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（３）

［3］　第3章　徹底討論！「地域の自立―前編」　～　これからの“まち”の姿　～］

　　日　　　時　：　2004年11月7日（日）　13：00～16：30　
　　会　　　場　：　北海道経済センター　8階　Ｂホール
　　講　　　演　：　①　大森　彌・千葉大学法経学部教授　
　　　　　　　　　　　　　　　テーマ・・・　三位一体改革・地方分権改革・道州制等
　　　　　　　　　　 ②　宮脇　淳・北海道大学大学院法学研究科教授
　　　　　　　　　　　　　　　テーマ・・・　三位一体改革・税源移譲・道州制特区等
　　講師紹介
　　　　　　　[　大森　彌（おおもり　わたる）・千葉大学法経学部教授／東京大学名誉教授　]
　　　　　　　　　　・1940年生まれ
　　　　　　　　　　・1968年　　　東京大学大学院法学政治学研究科政治専門課程博士課程終了
　　　　　　　　　　・1984年　　　東京大学教養学部教授
　　　　　　　　　　・1997年　　　東京大学大学院総合文化研究科長・教養学部長
　　　　　　　　　　・2000年　　　千葉大学法経学部教授

　　　　　　　　　　・所属学会　　日本政治学会、日本行政学会、自治体学会、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本自治学会・地方分権推進委員会専門委員、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　埼玉県介護保険審査会・情報公開審査会会長等歴任
　　　　　　　　　　・日本介護保険制度の生みの親の一人で、
　　　　　　　　　　　1990年代に厚生省　高齢者介護・自立支援システム研究会座長を務め、
　　　　　　　　　　　後の介護保険制度の骨格を作った。

　　　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　　　「自治体行政学入門」・「自治体職員論」・「現代日本の地方自治」・「新版　分権改革と地方会議」等、
　　　　　　　　　　　　　他に共著、編著、論文多数

　　　　　　[　宮脇　淳（みやわき　あつし）・北海道大学大学院法学研究科教授　]　
　　　　　　　　　　　・1956年10月生まれ
　　　　　　　　　　　・1979年　　　日本大学法学部卒業
　　　　　　　　　　　・1991年　　　（株）日本総合研究所主任研究員
　　　　　　　　　　　・1996年　　　北海道大学法学部大学院法学研究科教授
　　　　　　　　　　　・1998年　　　日本総合研究所主任研究員に転じ、同年再び北大教授に復帰
　　　　　　　　　　　・2000年　　　北大大学院法学研究科兼高等法政教育研究センター教授
　　　　　　　　　　　・2004年　　　北大大学院法学研究科教授兼公共政策大学院設置準備室長

　　　　　　　　　　　・所属学会　　日本財政学会、地方財政学会、日本計画行政学会、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本地方自治学会・北海道庁政策評価委員会委員長、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　北海道庁道州制検討会議座長等歴任
　　　　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　　　　「財政システム改革」・「公共経営の創造」・「財政投融資と行政改革」などの他、共著、論文多数

市町村の合併や“道州制”の検討が急速に進んでいる今、私たち道民は、どう行動するべきか。
それを考えるに相応しいお二人の講師をお招きしてお話を聞けたのは幸運でした。
また記録集の巻末に、大森先生のご講演テーマの論文と宮脇先生の資料も載せました。

この分野の講師として大森先生と宮脇先生を同時にお招きできたのは、贅沢なことで幸運でした。

どのような内容のシンポジウムであれ、
考え(思想)が似ている人々だけで構成されていると、
予定調和ともいえる結論が出て来がちで、
それは本来の民主主義のルールとは違いますね。
思想や考えが違う人々が集まって討論してこそ議論が深まり問題の本質に迫れるはずなんですが・・・　

というようなことを、お口こそ出されませんが、上田市長も逢坂“町長”も思っていたはずです。

それで、この第３章の大森彌教授と宮脇淳教授は、ちょっとニュアンスが異なるお二人ですので、
観点が違った分、議論に広がりが出たのではないでしょうか。
そういう意味で“贅沢で幸運だった”のでした。

それと・・・私の自慢話をひとつ、ご披露させてくださいね。　
私の趣味のひとつが、料理（単なる家庭料理ですけれど、素材にこだわっています）で、
しかもそれを人に食べていただくこと、なんですよ。
私にとって、この連続シンポは最高のチャンス。
だって講師やパネリストの方々のほかに、スタッフやサブスタッフを入れるとざっと30人弱！
これは・・・とつい張り切らざるを得ませんでした。

シンポジウム当日は、お昼のお弁当つくりのために、苦手な早起きも苦にならずルンルン気分。
楽しかったなぁ～　
で、肝心の自慢話ですが、第3章のときは、メニューに“いなりずし”がありました。
それをご覧になった大森先生が満面の笑みを浮かべられ、おっしゃったのです、
「ボクの大好物ですよ。ボクたちの世代には、いなりずしは、ご馳走なんですよ。
上野さん、ありがとう。いただきます。」と。

連続シンポジウムのお弁当に関しては、
シンポジウムに参加していた友人のお料理の先生にも手伝っていただきました。
クッキーやフルーツケーキなどを差し入れしてくださっていたのですが、
彼女に協力してもらうようになってからはレパートリーも増えました！
「ナチュラブ・北海道」のシンポジウムは、こういう協力者に支えられていたのですね。

あ、料理は素材とお道具、これに尽きます。
料理は科学であるというのも頷けます。
“愛情”なんていうテキトーで素性が不鮮明な添加物（！）は、邪魔！

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ナチュラブ・日記　その１３８（2007年12月20号　2/2）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（２）

［2］　第2章　徹底討論！「環境・エネルギー」　～　持続可能な社会をめざして　～

　　日　　　時　：　2004年6月27日（日）　13：30～16：30
　　会　　　場　：　札幌市男女共同参画センター・ホール　（札幌エルプラザ3階）
　　講　　　演　：　飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長
　　　　　　　　　　　　　テーマ・・・持続可能な社会を目指して
　　討　　　論　：　飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長　＆　上田文雄・札幌市長　＆　逢坂誠二・ニセコ町長
　　　　　　　　　　　コーディネーター：山田厚史・朝日新聞編集委員

　　講師紹介
　　　　　　　[　飯田哲也（いいだ　てつなり）・ＮＰＯ法人環境エネルギー政策研究（ＩＳＥＰ）所長　]
　　　　　　　　　　・1959年1月生まれ　山口県出身
　　　　　　　　　　・京都大学工学部原子核工学科卒業
　　　　　　　　　　・東京大学大学院先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学
　　　　　　　　　　・1992年～　（株）日本総合研究所主任研究員
　　　　　　　　　　・1996年～　　スウェーデン・ルンド大学客員研究員、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会委員、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中央環境審議会地球環境部委員東京都環境審議会委員などを歴任。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自然エネルギー政策を筆頭に、市民風車やグリーン電力など
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本の自然エネルギー市場における先駆者かつイノベターとして国内外で活躍。
　　　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　　　「北欧のエネルギーデモクラシー」
　　　　　　　　　　　　　共著に「自然エネルギー市場」、編著書に「北と風が森を拓く未来」
　　　　　　　　　　　　　報告書に「北海道エネルギーシナリオプロジェクト報告書」、他に論文多数　

　　コーディネーター紹介
　　　　　　　　[　山田厚史（やまだ　あつし）・朝日新聞編集委員　]
　　　　　　　　　　　・1948年1月生まれ
　　　　　　　　　　　・朝日新聞で青森支局が振り出し。
　　　　　　　　　　　　千葉の支局で成田空港の開港騒動を担当し、東京本社の経済部記者に。
　　　　　　　　　　　　大蔵省、自動車業界、金融業界などを担当。
　　　　　　　　　　　　ロンドン特派員のころベルリンの壁が崩壊。
　　　　　　　　　　　　大阪本社経済部デスクの後、ハーバード大学ニーマンフェローとして各国のジャーナリストと１年間勉強。
　　　　　　　　　　　　2000年からバンコク特派員、アジア各国を担当。
　　　　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　　　　　「銀行はどうなる」「日本経済診断」（岩波書店）、
　　　　　　　　　　　　　　　「日本再敗北」（文芸春秋社・田原総一郎と共著）等

持続可能な社会を作ることは世代を超えた人類の継続的テーマです。
環境やエネルギーの視点から、持続可能な社会とは何か、
一人ひとりが自分の問題として考える契機になれば、と、その場を設定しました。
飯田哲也・環境エネルギー政策研究所長は、この分野で世界的に活躍されている方です。
飯田さんから提供された資料を記録集の巻末に載せました。

また、飯田さんは、これまでにも、例えばニセコ町などの先見的な“首長”を抱く地方自治体に、
環境保護やクリーンエネルギー政策を積極的に働きかけてきた方です。
もちろんこれ以来、札幌市に対して、
アジア地域での地球環境に関する国際会議への水先案内人など務められ、
いろいろ関っていらっしゃいます。

その飯田さんの目から見れば、
日本はクリーンエネルギー政策の面では先進国の中で最もレベルが低く、
国際的なシンポジウムの度に、恥ずかしく情けない思いをされると嘆いていらっしゃいます。
それでも、いや、それだからこそ、
今から取り組んでも手遅れではないかと不安になるほど回復不能の様相を呈する地球の保護を、
自分や仲間が訴えていかなければ・・・と思い直されているようです。

もっともご本人は、眉を寄せ苦虫を潰したようなお顔で世を憂えるような学識経験者などではなく、
気さくでアルコールに強く、いろいろな話題が豊富な本物のインテリですが。

最後に、この章に相応しい「ナチュラブ・北海道」のこだわりの一つをここでご紹介しましょう。

シンポジウムの際の講師やパネリストの方々のテーブルを思い出してくださいな。
小さな花を挿したグラスの横に、ガラス製の水差しとグラスがいつも置かれていたのを。
私は、ペットボトルが嫌いです。ペットボトルに象徴される“使い捨て”が嫌いなのです。
もちろんペットボトル自体のあの感触が生理的に嫌いですが。
それで私が代表を務める団体では、ペットボトルを使い捨てるなんて絶対にしないと決めました。
10回連続シポジウムですので、それ専用の水差しとコップを準備しました。

環境とかエネルギーとか、そういう関連のシンポジウムや講演会でさえ、
演台やテーブルの上に堂々とペットボトルが置かれるようになったのは、いつごろからでしょうね・・・
あれでは、主催者が環境をどの程度真面目に考えているか、疑われても仕方ありません。

私は、せめて私一人でも、どうしても使わなければならない場合以外は、ペットボトルを使わないと決めています。
使ったあとのペットボトルを、リサイクルにまわすとは言え、ポイと捨てるのも嫌な感じですが・・・

ついでに言えば、連続シンポジウムの際には毎回、
講師やパネリストの方々用とスタッフ用に二つ控え室を用意しましたが、
そこでは、もちろんグラスや陶器製のカップで飲み物をサービスしました。
　（スタッフ用には、一部紙コップのときもありましたが。）

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ナチュラブ・日記　その１３７（2007年12月20号　1/2）
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　　　　 連続シンポジウム　徹底討論！“北海道の明日”シリーズ　解題　（1）

今回から数回にわたって、連続シンポジウムの第1章から最終章までの解題をお送りします。
各シンポジウム開催時から時間が経過した分、当時とは諸々の状況が様変わりしているはずですが、
どうぞ当時を思い出し、もう一度反芻していただきたく思います。

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［1］　第1章　徹底討論！「まちづくり基本条例」　～　条例から考えるまちづくり　～

　　日　　　時　：　2004年2月15日(日)　13：30～16：30
　　会　　　場　：　札幌市男女共同参画センター・ホール（札幌エルプラザ3階）
　　話題提起　：　逢坂誠二・ニセコ町長
　　　　　　　　　　　　テーマ・・・ニセコ町のまちづくり基本条例
　　対　　　談　：　上田文雄・札幌市長　＆　逢坂誠二・ニセコ町長

　　講師紹介　
　　　　　　　[　上田文雄（うえだ　ふみお）・札幌市長　]
　　　　　　　　　　・1948年6月生まれ・北海道幕別町出身
　　　　　　　　　　・1972年　　中央大学法学部　卒業　
　　　　　　　　　　・1978年　　札幌弁護士会登録・道央法律事務所に所属して弁護士活動開始
　　　　　　　　　　　　　　　　　少年事件、医療事故訴訟、多重債務訴訟を主に扱う
　　　　　　　　　　　　　　　　　旭川学力テスト事件担当弁護士
　　　　　　　　　　　　　　　　　札幌弁護士会副会長、日本弁護士連合会人権擁護委員会副委員長を歴任
　　　　　　　　　　・1994年　　NPO推進北海道会議代表
　　　　　　　　　　・1999年　　北海道NPOサポートセンター理事長
　　　　　　　　　　・2003年　　札幌市長選挙に立候補し、当選
　　　　　　　　　　・2007年　　札幌市長に再選
　　　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　　　「医療はかく裁かれた」・「ちょっといい話」等
　　　　　　
　　　　　　[　逢坂誠二（おおさか　せいじ）・ニセコ町長（2004年当時）　]　
　　　　　　　　　　・1959年4月生まれ・北海道虻田郡ニセコ町出身
　　　　　　　　　　・北海道大学薬学部卒業
　　　　　　　　　　・1983年　　ニセコ町役場入庁し、企画広報係長、財政係長を歴任
　　　　　　　　　　・1994年　　ニセコ町長に立候補して当選し、35歳で当時の全国最年少首長となる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　町長在任中は徹底した情報公開と共有を貫き、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　住民との対話を図るタウンミーティングの先駆となる行動を起こした。
　　　　　　　　　　・2001年　　全国初の「まちづくり基本条例」制定した。
　　　　　　　　　　・2005年　　 3期目のニセコ町長を辞し、衆議院議員総選挙に比例区北海道ブロックから　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　民主党公認単独1位で立候補し当選、現在に至る。
　　　　　　　　　　＜主な著書＞
　　　　　　　　　　　　　　「自治体再生へ舵をとれ」（共著）・「わたしたちのまちの憲法―ニセコ町の挑戦」(木佐茂男と共著)・
　　　　　　　　　　　　　　「町長室日記―逢坂誠二の目」・「町長室日記―完結編」等

10回連続予定のシンポジウムの初回。
上田文雄・札幌市長と逢坂誠二・ニセコ町長は、
それまでに数回いろいろな会合で顔を合わせている程度の“仲”でしたが、
お二人とも人見知りをなさらない、人懐っこさが共通です。
それで、私は何の心配もしていませんでしたが、
お二人とも最終章まで全然トラブルなく、和気藹々とシンポ自体を楽しまれていたように思います。

第1回目のこのときのシンポジウムでは、会場の皆さまからの質問すべてに、
お二人で時には真剣に、時には軽妙に、お答えになりました。
上田市長は、まるでディスクジョッキーのようだと評されましたね。

第二部終了後、舞台から降りて控え室に戻る道すがら、
「やれやれ。やっと1回目終了ですねぇ。これから、9回、これが続くのですねぇ～」と、
どちらからともなく、とんでもないものを引き受けてしまったのではないかという、
己の不明（？）を嘆くかのようなお声が漏れたような・・・。
「あっはっは・・・後の祭りですよ、お二人とも！」と、私は情け容赦なく、宣言したのでした。

ところで、信じられないでしょうが、
特別編を含めて11回のシンポジウムすべてに共通したのは、
お二人による事前打ち合わせが皆無だったということです。
いつもぶっつけ本番のシンポジウムでした。
理由は一つ、お二人とも超多忙でしたので！
ちなみに、この1回目のシンポ終了後、
逢坂町長は、お茶を召し上がる時間も惜しむように、上京なさいましたよ。
　　　　　　　　
そうそう、シンポジウム全編を通じて何が一番の苦労だったかといえば、
お二人のスケジュール調整でした。
お二人のスケジュールが合えば不思議と講師の先生のご都合もほとんどOKでしたので助かりましたけれど。
例外は第6章の金子先生と特別編の姜さんで・・・このことについては、その章で改めて、また。

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ナチュラブ・日記　その１３６（2007年12月19号）
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　　　　　　　　　　　　　連続シンポジウムの全記録集完成のお知らせ

「ナチュラブ・日記再開」です。

当初は、ちょっと長期間の夏休みをと、思っていたのですが、7月28日以来ですから長すぎる休暇になってしまいました。
まぁ・・プライベートにいろいろありまして、今年は年初から師走まで、こんな年もあるのか、と。
今では、ため息と共に諦めることに慣れましたが、
正直に申せば、酷く辛い日が多く、精神的に消耗することの多い一年でした。
八月下旬には満60歳を迎え、それなりに体力低下も実感する“事件”もありました。

40年以上昔の学生のころ、
「精神は身体に支えられるから身体を鍛えなさい」というようなことを聞いたことがありましたが、
何気なく聞き流していました。
ところが、例年ならすんなり終了する定期健診の精密検査で、今年は検査直後、失神してしまい、
我ながら戸惑いました。年齢と体力の相関関係に納得しました。

それでも、というか、いいえ、それだからこそ、
ナチュラブ・北海道代表としての最後の仕事を、一日も早くTHE　ENDにしたいと思い、
久しぶりに“知的”に集中した作業を同時平行でこなしました。

それは、連続シンポジウムの第6章・特別編・第9章及び最終章(第10章)の記録集作成作業でした。
第6章や特別編は、終了後2年以上経過していて気にはなっていたのですが、
講師の金子　勝先生と姜尚中先生は超多忙ゆえ、
　（そういえば、私はなぜか、姜さんをはじめから姜さんとお呼びして、決して姜先生とは言ったことはなく、
　“姜先生”と言う響きは不思議です）
上田文雄・札幌市長はご公務繁多のため、ご自分で原稿チェックをされるお時間が取れないようで、
それでも、こころを鬼にして（？）畏れ多くもお三人に再三再四、督促をさせていただいたのですが・・・結局、諦めました。

でも、人間、追い詰められると打開策が閃くんですね！　
苦肉の策として、ナチュラブ・北海道(つまり、私・上野伸子)が責任をもって校正を担当させていただき、
その旨を記録集に明示するということで、お三人の了解を得たのです。
ですから、記録集の内容についての全責任は私・上野伸子にあります。
そこからが、またまた、たいへんでしたけれどね・・・・
まず、お三人の原稿の校正に共通した苦労は、それぞれの“口調”を損なわないように、ということでした。

金子先生が講師であったニセコで開催の第６章は、
経済学がらみのお話で、素人である私には正確に理解できない概念が多く、
また、あの“べらんめい”調は活字にした場合なかなか上手く収まらず泣きたくなりましたよ。
しかも、完成した記録集の内容は先生の当初のご希望で、実際にお話くださった分量の約１／3。　
そこまで縮小して的が外れていないか、
ナチュラブ・北海道のサポーターでもある、ある大学の先生にチェックをしていただく、という奥の手も駆使しました。

姜さんが講師を務めてくださった特別編の記録集は、
実は2006年に「ナチュラブ日記」に載せたものを改めて記録集用にリライトしたものです。
　（「ナチュラブ日記」に載せたことは、お手紙で事後報告と言う全く失礼で乱暴な手段をとりましたが、
　この11月にご講演で来札された姜さんは、逆に『いろいろお手数をかけました』とおしゃってくださったのでした。
　この件、あらためて後術します。）
姜さんのご講演の内容の校正は、朝鮮半島について不勉強な私には冷や汗の連続でした。
資料を参考に歴史的事実を確認したり、韓国人のお名前の表示に迷ったりしましたが、
最終的にはカタカナ表示にし、分る範囲で漢字を載せました。
姜さん独特のあの“お声”が聞こえてきそうな、そういう記録集になっていれば、良いのですが・・・。

上田市長のお話は、比較的分りやすいのですが、
“札幌市長”という“政治家”にとっては、小さな間違いでも、政敵（！？）の攻撃に曝される可能性がありますので、
そのような事態だけは避けなければならず、つまり、上田市長を傷つけることだけは避けなければならずに、
神経質なくらいにチェックを繰り返しました。

第9章の神野直彦先生は、稀に見る(?)几帳面な方で、学者の鑑。
秘書さんから聞きましたが、原稿の締め切り日を必ずお守りになるのだそうです。
それで、もちろん、神野先生が講師を務められた第９章の原稿チェックは、電光石火の如くでした。
ただ、我が上田市長のご校正が・・・・というわけで、またまた私の出番でした。
そうそう、この章には、
第７章の講師であられた宮口●迪先生（●はニンベンに同。みやぐちとしみち先生）が、
お約束通りに“自主参加”くださった嬉しい出来事もありましたっけ・・・。
宮口先生のご発言もあり、当然ご本人にご校正いただきました。
　

そして最終章。
逢坂町長、じゃなかった、逢坂代議士は、お時間さえあれば、いずれの章も即、校正OKでした。
が、衆議院議員さんになられてからはさすがに、督促するときもありましたね。
上田市長の分は、これまた私の校正です。
なお、最終章は、第二部が全員参加の懇親会でしたので、その様子をスケッチした文章を載せました。
また、2004年2月から2006年7月まで2年半に渡って開催した連続シンポジウムの最後の記録集ですので、
第１章から最終章までの１１回分の各章について、
あらためて内容一覧と講師の方々の経歴、並びに簡単なコメントを巻末に載せました。

以上、11月にすべての章の記録集が完成しております。
引き続き次回からこの「ナチュラブ日記」に、最終章に載せた各章についてのコメントを載せますので、
乞う、ご期待！

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なお、記録集をご希望の方は、私宛にメールでお申し出ください。
各章1冊200円、送料100円です。お支払い方法はお申し出くださったときにお知らせします。

また、既にお申込をいただいている方には、順次お送りいたしますので、もうしばらくお待ちくださいませ。

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