助成金を不正受給すると助成金の不正受給となりますと次のような措置があります。(主な措置ですが、他にも不利益を受けたりする可能性は当然あります。内容も厚生労働省により、年度ごとに変更追加などがされています。) 1.支給額の返還 原則全額返還を求められることになりますので、非常に大きな金額になります。 2.延滞金の支払い 不正受給額の支給日の翌日から、返還の日まで、年5%の割合で算定したものになりますので、こちらも大きな金額になってきます。 3.追徴金の支払い 不正受給により返還を求められた額の20%もの金額が、追加で請求されます。 4.一定期間の助成金の利用不能 支給決定の取消しを受けた日などから5年間などは、助成金を受給することができません。 以前に不正受給をおこなっていると、新型コロナウィルスのような新型ウィルスの発生による経済の混乱や、大震災のような災害の発生時なども、助成金を使用できませんので、会社の存続は難しくなります。 5.企業名や代表者名等の公表 助成金の不正受給については、原則事業主名等の公表をおこなうとパンフレットには記載されています。どこまでが公表の対象かは推し量ることができませんが、企業名等が公表されますと、反社会的勢力のリストに入ってしまうこともあります。 6.刑事告発 当然、不正受給については詐欺罪などの刑事罰の対象にもなり得ますので、刑事告発されている事例もあります。 助成金の不正受給とは助成金の不正受給については、それぞれの助成金の受給要件が非常に細かくなっていることから、その助成金により変わってきたりもします。 主には、偽りその他不正の行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受け又は受けようとすることを指すとされ、例えば、「実際は事業主都合であるにもかかわらず自己都合の離職理由にする」ことが例示として出されています。 受給できない要件に、役員等に以前不正受給に関与していた者がいる場合、労働関係法令の違反があった事業主などの様々な要件がありますので、こうしたことを隠して申請しても、不正受給となります。 また助成金の申請については、各種計画などの様々な認定なども必要になり、こうしたことの達成なども必要になります。 こうしたことから、助成金の意図する人事労務の考え方や制度など、非常に幅広い労働法令を含んだ常識を熟知していなかったり、そんな細かいことなどという考えを持っている場合は、助成金の受給は不可能です。 さらに付け加えると、助成金の申請は、社会保険労務士の独占業務であることなども相俟って、コンサルティング会社などが営業手法に用いることのできない性質のものであり、受給の可否すらも簡単には分からないようなものです。(社会保険労務士であっても、顧問先でもない知らない会社の助成金申請などは、危なくて引き受けられないような性格のものです) 昨今では、返還不要の文字などで、助成金の営業をおこなっている輩もいるようですが、そもそも返還することは、上記のようにあり得ますし、特定の助成金で営業をかけるようなことは、助成金の内容を知っている専門家ほど、馬鹿げた広告ですので、お気を付けください。 助成金の申請は顧問の社会保険労務士へ助成金については、その会社の労務管理を熟知した社会保険労務士がおこないませんと、不正受給の可能性が高まります。 会社内の人事部や人事労務担当者などでは、ネットなどの知識で非常に多くの時間を費やして、とりあえずの申請だけはできたとしても、不正受給となるリスクは高いです。(今までの経験からすると、申請にすらたどり着けない会社が多いと思いますが・・・) つまりその会社の労務管理の適正化について、常日頃から指導をしている顧問社会保険労務士がおこないませんと、不正受給の可能性が高まります。 ただし顧問社会保険労務士でも、社会保険などの手続きだけをおこなっていて、会社へ細かい労務管理指導をしていない者や、会社の言いなりになっているだけの者は、普段労務管理に関して耳の痛いことも言わずにいますから、とても助成金を使える会社ではないと、最初から助成金の話すらしてくれなかったり、助成金の申請をしてくれないこともあります。 新型コロナウィルスで、改めて助成金の重要性が再認識されていますが、過去には、リーマンショックや東日本大震災後の短期間の調査で、数百社もの企業が不正受給とされている実態もありますし、不正受給となると、申請に関与した社会保険労務士にも処分などがあり得ますから、内部事情が分からなかったり等々の場合は、助成金の申請も断らざるを得ないのでしょう。 常日頃から、耳の痛いことも言ってくれるような、会社のことを思ってくれて信頼できる社会保険労務士との顧問契約、そして労務管理に関する指導を大事にすることが、いざという時の保険にもなるということです。 |
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