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発券銀行

 香港の通貨である香港ドルは普通の市中銀行が発行する。何しろ香港には19世紀以来、中央銀行というものがないのだ。
 お札を発行している銀行は、多少変化してきたが、現在は香港上海匯豊銀行(HSBC)、中国銀行(Bank of China)、渣打銀行(Standard Chartered Bank)の三行。もちろん、紙幣発行には決まりがあって、どの銀行であっても勝手に発券できるというものではない。いずれにせよ香港の政府機関でも公的機関でもない銀行が発行する。なお、中国の中央銀行は中国人民銀行で、中国銀行ではない。
 お札は額面別の大きさと色は共通なのだが、デザインは発行する銀行によって全然違う。HSBCはライオンの絵、中国銀行は中環に聳える香港支店ビル、渣打銀行は伝説の動物。実は10香港ドル札はかつて緑色で3種あったのだが、インフレの進行でコインに替わった。ところが、しばらくして政府が10ドル札を発行するようになり、10ドル札だけ1種類となった。デザインは濃い紫色の幾何学模様で、他のお札に比べて風格に欠ける。これは、お正月のお年玉にお札を使いたいが、最低額が20ドルでは高すぎるとの市民の声に応えたとの説があるが、果たしていかがだろう?香港コイン

HSBC新100ドル札 HSBC植民地時代10ドル札
新しいHK$100札 HSBC 植民地時代デザインのHK$10 HSBC
●この見本は縦横比を少し変えてあります。


コイン

香港ドルのコインは額面が7種類。すべて政府発行だからデザインは一額面一種。5、2、1ドルが銀色。50、20、10セントが黄銅色。10ドルは中心が黄銅色、周囲が銀色の2種金属の組合せで、厚くて重いのが難点。
 2ドルと20セントの2のつく額面があるのが特徴。この二つは真円ではなく、周囲が波型になっている。コインの柄は香港の花であるバウヒニア(洋紫荊)だが、これは香港の中国回帰が決まり変更されたもの。それ以前は植民地の紋章か英国エリザベス女王肖像だった。中英の返還協議の中で通貨デザインの変更が決まった。今でも時たまエリザベス女王にお目にかかる。女王は在位期間が長いため肖像はいくつかある。古いコインは若々しい横顔にティアラか王冠。やや新しいものは中年女王の顔になって王冠。女王といいライオンとドラゴンの紋章といい、東洋は華南海岸の都市ではおよそ風土も歴史も関係ない柄をコインに刻んで使うというところが植民地の矛盾というところだろうか。

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紙幣のキケン--> 赤いお札に、要注意!?

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