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 公用語
 地名、街路名
 地名の訳し方


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公用語

 香港で大多数の人が話す言葉は広東語(中国語広東方言)。法律で決められた公用語は、中国語と英語。これは香港基本法に定められている。この場合、中国語は書き言葉としては共通だが、法律には口語が広東語か北京語かの指定までは特に書いていない。97年の返還式典での宣言や演説では、香港市民には理解できない北京語が多用され、違和感があったのが印象的だった。文字は伝統的な漢字である繁體字が使われている。大陸で使用される簡体字はあまり目にしない。これは、同じ広東語圏でも中国広東省が簡体字ばかりなのと好対照。漢字は方言と関係ない。
 中英二語の使用は公的な場面では徹底されていて、政府の文書や申請書類、郵便や交通機関の料金表や案内、道路標識なども中英が併用されている。中英二語使用は、主従関係ではなくそれぞれの言葉の体系がある。日本でのように先に日本語があって、それを英訳しているのではない。
 ところで、法定公用語に中国語が入るのは、実に植民地化後100年以上経った1974年になってから。それまでは公用語は英語だけで、人口のほとんどが華人の都市にもかかわらず裁判での言葉も英語だけだった。

プリンスビルの表示板
中環のプリンスビル表示板
ビル名は英語から意訳した中国語
番地表示の道路名は音訳した中国語



地名、街路名

 地名や街路名は香港の二言語使用の歴史と実態がよく表れる。中英の関係は次の組合せがある。
   1、英語地名とそれを意訳した中国語地名
   2、英語地名とそれを音訳した中国語地名
   3、中国語地名とそれを音訳した英語地名
   4、中国語地名とそれを意訳した英語地名
   5、中英相互に無関係な地名
 日本の場合は3のパターンに集中している。例えば、四ツ谷はYotsuyaであってFour Valleyではない。香港では右記パターン全てとその組合せがある。植民地化の早かった香港島には英語地名が先の1、2が非常に多い。1の例ではMid-Levelsと半山區やQueen's Roadと皇后大道など。ただ、Queenは19世紀ビクトリア女王からの命名だから皇后ではなく女皇か女王が正しい訳。当時の英語水準の問題と香港人も認めている。2ではMorrison Hillと摩理臣山、3は尖沙咀とTsim Sha Tsuiなど。中国語地名を意訳した英語地名はほとんどないが、音訳と組合せた大埔墟(Tai Po Market)などがある。厄介なのは五の中英が無関係なもの。[足包]馬地(Happy Valley)や金鐘(Admiralty)など。これは覚えるしかない。銅鑼湾の例など、香港の言葉の標本のようだ。

地名 中英相互が無関係に成立した例
 中文名:銅鑼湾 銅鑼(どら)の形をした湾  
 英文名:Causeway Bay 石堤の湾
道路名 銅鑼湾地区にある二つの道路名
 銅鑼湾道(広東音:とんろぅわん) --> Tung Lo Wan Road
 高士威道(広東音:こうしぃわい) <-- Causeway Road
地名は5のパターン、道路名は3と2。同じ場所なのにバラバラな翻訳関係。


地名の訳し方

 中英二語使用でただでさえヤヤコシイ香港の地名だが、香港が広東語圏であることが解りにくさを増加させている。というのも、中国語を英語に音訳して表記する場合は、北京音で行うことが多いのだ。広東語と北京語では相互に通訳が必要なくらい音声が違う。だから、英文スペルを頼りに中国語地名のつもりで香港人に言っても通じないことがよくある。
九龍の上海街の英語名はShanghai Streetだが、広東語では上海を[seung hoi]と発音する。上海街の通っている油麻地の英語地名は広東音からとったYau Ma Teiだからややこしい。

地名について-->少し詳しく

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