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トイレ

 トイレの不思議
 公衆トイレ
 ビル内トイレ


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トイレの不思議

 香港人も日本人も体格にさしたる差はない。にもかかわらず、香港トイレの男子小用は間隔がすごく狭いのだ。大人で満員になると両肩を接して用を足すほどだ。ホテルのようなところを除くと、どこも間隔が狭い。ひとつ飛ばして使うとちょうどよいくらいだ。確かに男性はひとつ空けて使うことが多いので、いっそのことそれを織り込んで設計しているのかと勘ぐりたくなる。なぜだろう。
 女性からよく聞くのは、トイレのフタを閉めない習慣があるらしいこと。いつでもどこでもフタが開いていて、香港人はフタの閉めてあるトイレに出会うと非常に怪訝な表情をしたり嫌悪感を表わしたりするという。フタの無いトイレがあるくらいだから、何か故があるのだろう。一度誰かに訊いてみたい。

間隔が狭い男子トイレ 郊外型トイレ 時代広場の新しいトイレ
男子トイレ 間隔が狭い 郊外型トイレ 新界大尾篤、船湾淡水湖近く タイムズスクエア内の改装されたトイレ



公衆トイレ

 街中にある公衆トイレはハッキリと二種類に分類できる。ひとつは、市街地にあって、古くて割合規模が大きいもの。もう一方は、公園や郊外にあって、新しいもの。
 市街地タイプは、立地からして近隣住民利用中心で生活感溢れて色彩も地味。なかには、二階建てで公衆シャワー室付きのものもあるし、地域の中心である街市(市場)や行政センターに併設されていることもある。戦後の大陸難民による人口激増期に、急ごしらえで間に合わせた大量の難民アパートは設備劣悪だった。シャワー室付き大規模トイレは、そんな時代の公衆衛生維持策ではなかったか、と密かに考えている。
 郊外型は、大きな公園や湖やハイキングコース付近にあるもので、妙にデザインに凝ったものが多い。こちらは衣食足ってレジャーが盛んになった、1980年代以降の『文化砂漠』との自嘲的意識が芽生えた後に作ったもののように思う。

ビル内トイレ

 オフィスビルではビル入居者がトイレの鍵を持っていて、トイレは外来の者だけでは入れない。これは防犯のためという面が強いのだろうし、あまり困らない。デパートやショッピングセンターなど多くの人が出入りするビルのトイレは鎖錠こそないが見つけにくい。売場の片隅から業務用のような殺風景なドアを開けると、これまた無味乾燥な通路を歩いて行った先にある。まったくトイレを使わせる気がないかのようである。もちろんトイレ表示もロクなものが付いていない。
 これが一貫した香港のビル内トイレの様子だった。ところが、21世紀に入りやっとトイレをハレの場へ出すところが現れてきた。2004年夏のある日、銅鑼湾の大型ショッピングセンター、タイムズスクエアで我が目を一瞬疑った。トイレサインが大きく明るく表示され、入口も実に判りやすくキレイになっていたのだ。香港市内で快適なトイレ生活が拡大することを祈るが、香港らしさがひとつ減るのも事実。


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