森羅香港
台風

 台風飛行
 台風警報、暴雨警報
 


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台風飛行

 「台風は平気ですか?」と成田のチェックイン時に訊くと、キャセイの係員は午前発の便は問題ないが、何故香港に台風が近づいていることを知っているのかと問う。昨晩NHK―BSで香港ATVのニュース番組を見たのだ。
 飛行機は順調に空を滑り、香港に接近。雲が多く下は見えない。香港の西でターンし、長沙湾、九龍塘と、どんどん高度を下げて道行く車がハッキリ見える。が、右窓側席に座った私の目には、香港の街並みがいつもと少し違って見える。機体も翼も激しく揺れている。啓徳空港直前の九龍城上空に入るとコースのズレは明白だった。一瞬の後、ガガガガーッと激しくエンジン音が高まり上昇に転じた。ゴーアラウンド。着陸中止だ。滑走路がすうっと下に遠ざかっていく。あーっあ、大事故は免れた。風雨の中、上昇を続けている機内にアナウンスが流れる。曰く、強風のため着陸できなかったので、もう一度着陸を試みる。着陸できない場合は台湾の高雄に向かう、とのことだった。
 大きく旋回した後、再度着陸態勢へ。再び西から進入降下。窓下には太子道と界限街の分岐が見えてくる。滑走路はもうすぐだ。ぐんぐん高度が下がる。揺れも大きい。窓の風景はやはり少し違う、ズレているのだ。
 「降りてくれ! ムリするな!」頭の中は矛盾した祈りが真剣に響く。ゴーッというエンジン音の高まり。急上昇。機体は晴れた上空へ吸込まれ、私は高雄行きの乗客に変身することになった。

台風降下1 台風降下2 台風降下3 台風降下4

1997年8月5日          
台風の中、啓徳空港への降下    

 数時間後、初めての高雄市街を歩いていた。香港と比べると街の空間がゆったりとしている。妙な形容だが大陸的だ。乗客はみなパスポートを空港でキャセイ航空に預けてきた。飛ぶのは早くても明日早朝だろう。先ほどキャセイの用意したホテルに着いて、大騒ぎをして客室が配分された。一人旅の私は、見ず知らずの広東省の男性と危うくツインに入れられるところだった。一段落後、街を歩いていて気付いたのだが、あの男性は広東省のビジネスマンと称していた。大陸中国の市民がたった今、台湾の街を歩いているのだ。台風のせいで予定外に飛行機が台湾に着陸したとはいえ、こんなにも自由に「ノービザ訪問」ができてしまうのが不思議だった。ゆっくり歩いて国鉄高雄駅に着く。台湾第二の都市に不釣合いなこぢんまりとした駅舎は日本植民地時代のものだ。

台風警報 暴雨警報

 台風警報は1、3、8、9、10号の五段階。重要なのは3と8。3が出たら台風襲来の可能性大。8はもう大型台風の襲来そのもの。数年前に8号を越える台風が来たときはすごかったらしい。街中風の轟音が響き、乗り物は停まり、僅かに動いていたミニバスなど運賃が物凄く跳ね上がったという。
 台風警報に並んで重要なのが暴雨警報。こちらは、黄、紅、黒の三段階。位置が判り徐々に接近する台風は心の準備ができるが、暴雨は突然来ることがあり、黄色警報が出たほんの少し後に土砂降りになることもある。いずれにせよ、経験からいっても、警報が出たら真に受けて、旅行者は静かにホテルにでもいた方が良い。

大雨の車窓 突然の大雨 バス二階の窓も雨に洗われる


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