過密な香港 自然 離島 |
九龍深水[土歩] 上空には暮らしがギッシリ |
過密な香港
人も車も建物も熱気も上下左右にギューっと詰め合っているような香港。ホテルやブランドショップやお土産屋が連なる華やかな尖沙咀(ちむさぁちょい)でも、歩みを止めて見上げてみると頭上は灰色の壁に住居や安宿の数多の窓が積み重なり、この街の暮らしのカケラを示している。これが地元志向の街、旺角(うぉんこ)や湾仔(わんちゃい)になると、もう路上から上空まで人間の営みに埋め尽くされている。
人口密度が高い九龍の深水[土歩]。並行する数本の大通りとそれに直交する道路で、長方形の街区が整然と連なる。その長方形の上は、残らず雑多なビルがゴチャゴチャに埋め尽くしている。街路に面した1階には小さな商店がひしめき合い、幼稚園や老人ホームは建物の2階に多く填め込まれ、その上には地味な住居層が積みあがっている。上層に向かうには所々にある小さな開口部から入るのだが、一度入るとこの迷宮から逃れられないかのような妄想に陥る。
自然
過密な街と背中合わせで大自然がある。これが狭い香港の便利なところで、東京ではアプローチに少なくとも数時間を要するのに、超高層ビルが林立する街から直ちに山に登り始めたりすることも可である。香港島北岸の繁華街、湾仔や太古城あたりがそれである。湾仔の皇后大道(クイーンズロード)は海から奥まり、そこから登り始める湾仔峡道は、小1時間の登りの後に北側の高層ビル群と南の海を眺める峠に立てる。
少し気合を入れてもバスや列車で2、30分走ればもう大自然の気分だ。香港島南東海浜の石澳は美しいビーチと、そこに至る山稜のバス道から見下ろす幻想的に美しい紅山半島の光景をも楽しめる。九龍から列車で大埔墟(たいぽうほい)駅に降り、75Kバスに乗る。終点にある船湾淡水湖は、大きな湾である吐露港の一部を仕切った堤防によって誕生した巨大な貯水池だ。約2キロの堤防はレンタサイクルで走ることもできる。香港の郊外、新界にはここに限らず美しい入江、山、湿地帯が随所にある。
離島
香港には二百余りの島々がある。九龍と新界は大陸の一部だが、そもそも中環(セントラル)や銅鑼湾がある香港島が島なのだ。ハイスピードで忙しい香港島北岸や九龍から、フェリーで3、40分波にゆられると、離島と呼ばれる香港の島々に着く。
離島といっても所詮その程度の距離なのだが、確かに中心市街地とは異なる世界がそこにはある。海鮮料理で有名な南Y(なむあ)島はハイキングコースもある自然豊かな島。長洲は小さな島で、くびれた中央部は歩いて10分程で東西の海岸を行き来できる。港と商店の集まった賑やかな西側から東の美しい砂浜に出ると、遠く華南の海に浮かぶ香港島が望める。そこだけポカッと高層ビルが林立していて、どこか幻のようにも感じられる。ランタオ島は香港最大の島。長い砂浜海岸、山上にある寶蓮寺の大仏様、西北端の水郷の街大澳、北側の空港など多様な貌を見せてくれる。
長洲島東湾ビーチ 正面は香港島
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