森羅香港
ビニ本と映画

 芸のない構成
 三級映画
 日本のイメージ


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芸のない構成

 香港のエッチな本はすべてビニール袋封入だ。で、エッチな本とは何かというと、ヌード写真が1枚でもあれば即それに分類される。出版元がアヤシイかどうかとか、伝統があるかなどのサベツはない。もちろん雑誌としての健全度の判定もない。簡単明快に「見えてしまう」ならビニール入りとなる。したがって、袋入りでも外から見える表紙には「見えない」写真しか刷られない。この規制はほぼ完全に徹底されている。規制としてはこのような簡明なものがあるべき姿ではないか、と香港の街頭で考えてしまう。難しい会議をいくら行っても、ヌード写真の猥褻性や芸術性、扇情性を正当に判定などできやしない。
 プレイボーイやペントハウスなどの中文版と異なり、地場系エッチ雑誌は際立った特徴がある。表紙を除くすべてのページがエッチ写真で、似たようなカットが延々と続く。ページレイアウトなど無いに等しく、極めて即物的に「見えればいいんだろう」的なのだ。よくもまあこんなに芸の無い構成のものが売れるものだとも思うが、何種類もの雑誌が相変わらず次々と出されている。

香港97 龍虎豹 ペントハウス中文版 香港のビニ本各種
それぞれ下の方に注意書きが付いている


三級映画

 東洋のハリウッドなどと呼ばれた香港は、地元製作映画も輸入ものも多くの作品が上映される。すべての映画は三級制という分類にかけられる。一級は子どもも含めて誰が見てもいい映画。二級はaとbに細分されるが、性描写や暴力シーンのため子どもは不可のもの。三級は18歳以上の大人だけOK。目印は三角形の中にローマ数字のVを配したマークで、ポスターや新聞広告、チケットにも表示されているし、映画館で上映されるものに限らず、DVDやVCDにも同じように使われる。
 広東語で三級片と言われる三級といえば、イコール成人映画と認識されている。三級片専門の映画館もあって、新聞広告では題名もなし上映時間の表示もなしで「三級片3本だて、50ドル、何時でも入場可」なんて投げ遣りなもの。もちろん、三級片がすべてエロ映画ではない。規制として三級となるがまっとうな映画もある。
 2003年の製作本数は、一級689本、二級697本、三級169本。一級が半分以下しかなく、小さな子どもを連れて見に行ける映画は意外と少ない。

映画の入場券 映画の新聞広告 左:映画の入場券
右:三級映画の新聞広告


日本のイメージ

 かつてエロビジュアルはアメリカ製か北欧製というのが通り相場だった。時代は流れ、雑誌や写真集からビデオへメディアも多様になった。幸か不幸か日本のそちら方面の規制は大幅に緩くなった。それに歩調を合わせるかのように、香港に流入するAVソフトの日本シェアは拡大してきた。今やAV家電もAVビデオも日本製が圧倒的だ。
 安売り海賊版VCD・DVD屋のAVコーナーは日本モノばかりがズラリと並んでいる。風俗店も東京歌舞伎町での発展ぶりを研究しているかのように多様化が進展している。しかも風俗店の看板やポスターなどは日本のエロ雑誌からコピーしたような写真が踊っている。これでは東海の海上に浮かぶ列島の日本というところは、工業製品づくりと風俗に励む国というイメージがどんどん固定化していってしまうのではと心配になってくる。

香港のビニ本-->少し詳しく

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