白樂茶碗 銘・不二山


探訪年月日・・・平成25年10月5日

 縄文のビーナスを鑑賞した後、諏訪大社上社前宮、同・本宮を巡り、本宮では武道上達の御祈祷をしてもらいました。そして、不二山を鑑賞するためにサンリツ服部美術館へ行きました。
 不二山はこの美術館の目玉展示品ですが、常時展示しているわけではありません。今回は特別展における「特別出品」という形で期間限定展示となっていました。



所在地・・・長野県諏訪市湖岸通り 公益財団法人サンリツ服部美術館
製作者・・・本阿弥光悦(1558年〜1637年)
製作年代・・・江戸時代初期
国宝指定年(文化財保護法)・・・不明(調査中)
参考・・・本阿弥光悦は「日本のダ・ヴィンチ」と称されるほどの多彩な天才であったとされる。現代風に言えばマルチアーティスト、アートディレクター。書の世界でも有名。「琳派」の創始者の一人とされ、日本の芸術史上に燦然と輝く巨星。
 国宝茶碗8点のうち、国産の茶碗は2点のみであり、不二山はその一つ(残りの一つは志野茶碗「銘 卯花墻」(作者不明))。共箱蓋と袖裂が国宝の附指定となっている。




サンリツ服部美術館 外観
 諏訪湖のほとりにある美術館です。ちなみに諏訪湖周辺には美術館が多いので、芸術に興味のある方は時間をとって見て回るのも良いかと思います。

 現地での写真撮影はここまで。館内は一切の写真撮影が禁止です。残念ですが、これは予想していました。文化財の保護にはちゃんと理解を示しましょう。

 同美術館は他にも多くの重要文化財や有名な茶道具が収蔵されています。僕は今回、時間的にゆっくり鑑賞できなかったのですが、不二山以外にも非常に有名な茶道具が展示されており、驚きました。



白樂茶碗(銘 不二山) ※ミュージアムショップで購入したポストカードを撮影したものです。画像内の「ポストカードを撮影したものです。」の白い文字は僕が画像編集して敢えて入れました。
 上半分の白部分が、頂上に白雪を戴いた霊峰・富士山を思わせることと、作者本阿弥光悦をして「二度と同じものは作れないだろう」と感じた会心作であることから「不二山」の銘がついたと言われています。本阿弥光悦が嫁に行く娘に与えたとか。
 茶碗の内側はところどころ虹色に輝いています。是非実物を見ていただきたいですね。



逆さまに伏せた状態 ※同じくポストカードを撮影したものです。



 長野県内の国宝7点のうちこの不二山だけは、長野県内で作られたとか長野県に由来するものというわけではなく「現在長野県内に所蔵されている」という状態のものです。しかし、天下の名茶碗を長野県内で鑑賞できるというのはありがたいことです。


 さて、これで平成25年の目標だった「長野県内の国宝7点をすべて見る」を達成いたしました。数的に「7点」というのはちょうど良かったですね。東京や京都、奈良みたいに100点を超えるようなところは、それぞれをじっくり見るという訳にはいきませんからね。各国立博物館に行けば1日ですぐに数十点クリアしてしまうかもしれませんが、それではちょっと達成感に欠けるし。
 日本の美に触れるというのは、意識していなくても時折機会があるものですが、テーマを決めて「このテーマに沿った美しいものを完全制覇しよう」ということで動くのはなかなか楽しいものです。とてもいい思い出になりました。