「ようこそいらっしゃいませ“タクミ屋”へ。楽しい楽しい素敵な暮らしを、皆様の元へお届けしますわ!」
タクミ屋の開祖が入手した曰く付きの人形が、“トイボックス”の中で時を経て、瘴気によって異貌化し自我と能力を持ったもの。
当初は高濃度の瘴気に当てられて暴走気味だったが、メンバーに倒され、リコリスによって邪気を払われたことで落ち着き、コダマのお仕置きを経てタクミ屋の一員として快く迎え入れられた。
名前はハクレイによる命名で、姓はボディーとして使っているメイドロボの開発コードから取られている。
年齢は、トイボックスに収められる以前から計算すれば5000歳超という事になるが、異貌化してこの人格が発生してからなら十数年程度との事。精神年齢もそれに近い。
銀髪碧眼の美人メイドに見えるが、その体は夢織り≠フ能力によって動いているメイドロボのものであり、本体はその胴体内部にいる小さな西洋人形である。
人形本体のままでも自由に動く事は出来るが、喋る事が出来ない為、タクミ屋で開発中だったメイドロボを借りている。メイドボディーに搭乗中は相手から見えないが、それでも本体のおめかしも忘れないレディーである。
人形という元の性質からか、周囲の人間に楽しんでもらう事を至上の喜びとしているが、迎え入れられた先もまた、相手に楽しみを提供する事を生き甲斐にしている変わり者集団だった為、楽しませの相乗でかなり陽気な性格に。
現在は、世界の歴史や現代文化等を教わる傍ら、メイドの姿でタクミ屋の売り子を手伝って、タクミ屋の売上に(かなり)貢献している。
能力名:夢織り
自分の魔力を帯びた物品を付与する事で、無生物に疑似生命を与えて動かす事が出来る。
彼女は能力の媒介として主にリボンを用いており、これを対象に(可愛く)結び付ける事で能力を発動している。
織り出された“夢”は、多少の攻撃を受けても能力が働いている限り形状を維持するが、維持能力を超えるダメージを受けるか、あるいは媒介そのものを破壊された場合、“夢”は醒めて元の無生物に戻ってしまう。
周囲の全てが武器となり得る能力ではあるが、本体自身は非力で、なおかつ能力の弱点も明確である為、能力の効果的な運用がポイントになる。
なお、幻術的な力も複合した能力で、元がただの岩の塊であっても、美少女や英霊など、相手には思い通りの姿に認識させる事が出来る。この特性を用いて媒介の位置を隠蔽することも可能。
ちなみに、彼女が普段ボディーとして用いているメイドロボもこの能力によって動いているが、幻術効果を使用している箇所は表情の変化や肌の質感程度であり、服飾や、ボディのプロポーション等の仕立ては全て、タクミ屋有志の手によって完璧にエレガントにデンジャラスにコーディネイトされたものをそのままに活動している。
特殊欄:汎用メイド型決戦兵器 RP-D89『コッペリア』浪漫仕様
リリーがボディとして用いているメイドロボ。それはタクミ屋男性陣の夢と浪漫の結晶である。
そのこだわりは月光のように輝く銀髪の質感とヘアスタイル、ほっそりスマートな頬のラインと女性特有の柔らかな雰囲気の両立、大き過ぎず控えめ過ぎない美しい曲線を描く胸の膨らみ具合の造詣などに始まり。
デザイン性と機能性の妥協線を限界まで突き詰めたエプロンドレスは、タイや袖口など細部のデザインにまで職人の美学とこだわりを詰め込まれ、服飾品はカチューシャやスカーフや下着まで全て完璧に、何処へ出しても恥ずかしくない上品な仕立ての品で構成されている。
それら外観のコーディネイトがタクミ屋の売上向上に多大なる影響を与えていることはもはや記載するまでも無いが、恐るべきはこのパーフェクトメイドが実戦対応型という点である。
ボディー各部やスカート内等、全身に様々な武装や特殊機能をこれでもかと内蔵された『コッペリア』は、単独で一個大隊にも匹敵するとまで言われた戦力(※注:言ったのは開発者であり贔屓と誇張が多分に含まれると思われる)を有しており、さらに様々なオプションパーツでそれらを強化/特化/万能化させる浪漫仕様である。
その(無駄な)充実っぷり故に、全体の重量バランスや動力の出力不足等の問題点が山積みで、当初は企画・設計の時点で既に実用化不可能とされ、事実試作機はまともに稼働させることも出来なかった。
だが、そこに夢織り≠フ能力を持つリリーが加わった事で状況は一変。リリー本体が搭乗できるよう多少の設計変更は必要だったものの、メイドロボ本体の駆動に必要なエネルギーを全無視出来るようになった為武装の動力源問題はクリア、重量バランスは夢織り≠フ能力で強引に解決、という具合に瞬く間にあらゆる問題が解決され、ついに奇跡の完成を見ることとなったのである。
最終的にはタクミ屋男性陣のほとんどが加わる一大開発プロジェクトと化し、彼らの私財の大半を呑み込んだ『コッペリア』は、それ相応の非常に高い戦闘能力を有することになった。それをボディーとして使用している状態のリリーは、低く見積もっても戦車級以上には相当するだろうと推定されている。
普段は癒しの担い手だが、敵に回せば、外見的にも武装的にも非常に厄介な相手になるだろう。
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