「それで、申し開きはあるか」
サクラ不動産の社長にして東方商人組合のトップ、そしてヤクザ桜組の組長を務める多忙な男。
名前を漢字表記するならば、此田・厳造となる。
ロマンスグレーな頭髪に、切れ長のそれこそ鉄をも断ち切るかのごとく光る眼。
シルエットこそ少々細くやせ気味に見えるが、服の内側は筋肉ダルマと呼称して何ら問題ない体格の持ち主。(俗に言うピンクの筋肉の塊)
組合長としての彼は冷徹な独裁者。あえて他人受けの悪そうな最高級のスーツと革靴でまとめ、冷静かつ冷淡に処理を行う。
他者を圧倒するような威圧感を放ち、人を寄せ付けない。
しかしそれは一枚岩では全くない組合を纏めるための苦肉の策であり、演じているだけなのでかなり疲れるそうな。
よって、ヤクザ達――彼の家族らや、自らが認めた者と接する際ぐらいしかその鎧を解くことは無い。
素の彼は結構な好々爺で穏やかな人物。いくらでも冷徹になれるという点は揺るがないが。
作務衣を着、縁側で碁をたしなんでいたりする。
また、かなりの親バカ――そして爺バカである。だが例によって甘やかすことは無いのでまっすぐな子が育ちました。
商才はそこまでのようで、右腕であり息子のユウジ・コノダに助けられる場合もしばしば。
ただ、息子だけでは戦力面で不安が残るため、延命治療をするべきか現在迷いどころだそうな。
好物はタカミネ茶。
能力は無意識のうちに行う空間魔術に近いものである。
それは、空間を歪める力。
指定した場所(効果半径は自身前方二百メートル程。視認し、それが何かをはっきり判断できるレベル)に「ゲート」を作り出し、離れている二点間をつなぐことが出来る。
また、ゲート作成時にその場に存在した物体は強制転移させられる。
繋ぐことのできる場所はゲート発生場所から半径一キロ圏内であり、発生個所に物質があったりすればもちろん逆転移される。(ただし、物質同士を重ねる形で転移させることは不可能)
ゲートの大きさは10立方メートルの立方体までの自由で、大きければ大きいほど所要時間は増えることとなる。
総計10メートル未満ならば複数作成も可能。
ただし、大きければ大きいほど、維持に体力を消費する。
作成の手順は
@場所を視認し、「作成する」と意識する
A身体の一部を使い、音を立てる(ハンドクラップでもよし、足踏みでもいい。声を出すことでも可能)
B空間に一瞬歪みが生じ、黒く歪んだゲートが完成。
の3ステップ。途中で邪魔が入れば中断される。
本来は移動用の能力だが、対象の一部のみを転移させることにより、その部位をえぐり取ることも可能(この場合、断面はきれいに直線となる)。
物理的な硬さには無関係で傷を与えられるのが強み。
ただし、魔術的防御のされている空間には繋ぐのに多くの消耗を要し、絶対壁の内部には干渉不可能。
九十九の鍵:道楽者の遊び場
効果:なんの飾りも無い指輪を鍵とし、それを嵌めた者がドア(どんなものでもよい)が念じてドアを開くことで、“ある空間”に繋がる。
その空間は所持者の心象風景によって変化し、様々な形態をとる(だだっ広い部屋であったり、夕暮れの教室であったりと十人十色)。
全体に共通しているのは、モノがない箱だけの空間であること。(持ち込むことは可能であり、同じ人物が使用した際にはそれは引き継がれる)
指輪と空間でワンセットの鍵であり、空間は指輪を持つ者のすぐ隣にあるという。
ガンゾウの場合は、長い長い回廊の形をとっており、左右には無数に扉が並んでいる。
その扉は、彼が能力の残滓を意図的に残し(マーキングし)てきたところに続いており、回廊内にいる者は自由にそこから出ていける。
ただし、ガンゾウ自身半数程度の扉がつながっている先を忘れたようだ。「歳はとりたくないものだよ……」(彼自身は、マスターキーのような存在であるためどこのドアからも自在に飛べる。彼に触れていればその者もともに)
マーキングはきっかり一年で消滅し、一年間で一度も彼自身が飛ばなかった扉は消滅する。
内部には特殊な扉(一目でそれと分かるように、それらだけ天使と悪魔、そして財宝の装飾付き)が三種(通じている空間は三種類であるが、回廊を歩いていると何度も見かける)だけあり、それらだけは微妙に違った効果を持つ。以下、@ABはその説明。
@宝物庫(物で溢れている。ガンゾウがいないと扉は閉ざされたまま)
A来賓室(一通りの生活用品が揃った広い部屋。もちろん備品は補充しなければなりません)
B一キロ以内の好きな場所へと飛べる扉。(普通の能力の発露)
上記の超能力により、この鍵へと直で飛ぶ(飛ばす)ことが可能。
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