「あー、だりぃ。事務仕事とか投げちゃっていいよね? いいね。よし、寝よう」
知恵を持ち言葉を解し、軍団を指揮する異貌の一匹……のはずなのだが、独断専行の多い無頼漢である。担当区域は無く、主に遊撃役として東方全土を飛び回っ
ている。勝手気ままにやっていると言ってはいけない。その行動は全くもって読めず、いらないところで勝手に戦っていることがあると思えば、絶好のタイミン
グで横から襲撃することも。ただ、戦闘を嗅ぎ分ける能力は先天のモノがあり、大規模戦があればほぼ確実に介入はしてくる。現れる場所が自陣のブリーフィン
グルームか、敵陣の真っただ中であるかは定かでない。そのため、鋼鉄将軍やバルバロイの頭痛の種の最たるところ。異貌軍の作戦は通常彼の隊を無視して立て
られ、上手く割り込んでくればラッキーな程度という扱いである。
容姿は人間型をしていることが大半である。その状態ではかなり筋肉質の大柄な男
性。
外見年齢は三十代前半と言ったところか。元の姿は虎に酷似した大型生物であり、牙と爪は鋭い。
人間形態でも、爪の出し入れは自在である。(犬歯は長い)
普段は眠っていることが多く、事務などの仕事はほぼ全て部下に振っている。
「めんどくさい」「だるい」などの発言が多く、起きているだけで効率が下がるので部下達もあえて怒らない。生温かい目で見守っている。
しかし戦闘関連になると一変。
率先して作戦立案をし、戦場でも自分が先陣を切っていく。彼の狙いは指揮官クラスと、敵軍の中でも頭一つ抜けて戦闘能力の高い者のみ。雑兵たちは自分の行
く手を阻むものを薙ぎ払って行くだけで、後は部下に任せる。理由を問うと、敵の陣を素早く切り崩すためだとか、味方の犠牲者を最小限にとどめるためだとか
様々ないい訳をするが、結局のところ彼自身が強者と戦いたいというだけ。
そんな鉄砲玉のような彼だが、意外にも結構な数の部下がいる。内訳も、飛行系異
貌から陸戦重戦車系異貌など雑多である。唯一共通しているのは彼を慕っているという点。慕っている理由は各々微妙に違うが、その理由の出所は同じだ。
彼の背中に魅せられたのである。
強者と戦うという望みがある。そのためだろうか。まず、戦闘は正々堂々の極地。
次に、戦闘では指揮官であることなど無視で先陣を切る。そして、戦死者(表
現が適切でない可能性がある)に対する敬意の払い方。涙を流すでもない。駆け寄り抱き寄せるでもない。ただ、彼らのいたであろうかつての戦場に向かって敬
礼をする。怠惰な彼らしくもなく、気の済むまで一時間でも二時間でも。
そんな彼の背中に部下たちは漢を見るのである。
能力名"圧縮"
・特徴一
自らの行動を圧縮し、束ねられる。
圧縮できる最大数は百であるが、違う動き(殴りと蹴りなど)を圧縮しようとする時、それは一度に五種類に限定される。
・特徴二
自らの半径10m以内に存在する物質を圧縮することができる。圧縮できる限界量は無い。ただ、一度圧縮した物質は解凍して圧縮し直さない限り中身を追加で
きない。また、圧縮されているモノの時間も普通に経過する。最小で10cm角の立方体にまで圧縮できる。
・特徴三
「圧縮」できる生物は自らに心を開いているモノに限る。非生物は問答無用でOK。
・特徴四
「圧縮」したモノ(一、二ともに)を自らの好きなタイミングで「解凍」することができる。
詳細
以下、行動を順を追って。
「セット」
脳内で、”圧縮”する現象・物体・範囲を設定、そこに魔力を込める。百発分の右ストレートを圧縮する場合は右腕に込める。その際、セットされた物質は向こ
うが見えないほど黒く歪んで見える。セットに要する時間は拳を構えるのと同等。ただ、対象がかなり多いなどの特異な状況の時は所要時間が増す。
「レディ」
・「行動」を圧縮した場合
圧縮した物を手などに纏わせる動き。基本的には手や足に纏わせて、殴りや蹴りなどの行動に合わせて発動させることになる。どのような行動とともに解凍する
か、という設定のフェーズであり、所要時間は皆無。(思考だけで済むため)
手動解凍も可能だが、見極めが難しい。
・「物体・現象」を圧縮した場合
1、
解凍条件を決める。(基本設定は”解凍”と念ずることに設定されており、ここを変えるときにかける時間)
2、
大きさや重さをいじる。
その際の限界は、サイズで10cm角の立方体・重量で元の100分の一までの自由である。また、一度定めた重さは変えることができないが、形はこねくり回
すことで変形可能。やろうと思えば空気で前衛芸術だって作れる(やらないが)
硬度は基本的にもとの状態と同じだが、硬くすることも可能である。その際の限界は実際にその形まで圧縮させた場合の硬度までとなる。
「アクション」
「行動」を圧縮した場合
設定されていた行動が成功した瞬間に解凍することで、圧縮していた行動を一瞬で全て起こす。なお、「殴る・蹴る・斬る」など別々の攻撃、又は別の部位を
狙った攻撃、同じく防御等を”圧縮”していた場合、インパクトの一瞬前に自分で”解凍”する必要がある。殴りとガードなど、別種の行動を圧縮していた場合
は、解凍した瞬間から彼がぶれて分身したかのように見える。
これが攻撃だった場合、命中した瞬間それぞれに圧縮させたダメージを与えられる。(イメージとしては2重圧縮に近い)
その姿は千手観音のように見えなくもない。
「物体・現象」を圧縮していた場合
解凍し、その物質をその場に出現させる。若しくは、その現象をその場に引き起こす。
どちらも共に、解凍すると黒い歪みは消えてなくなる。
|