長期投資という言い訳、『ウォール街で勝つ法則』の思い出、ウォール街で勝っていた法則、
過去の売買例:エン・ジャパン、7冊目の本、カウンタートレンドの誘惑、セブンイレブンの正体、
決算書のおすすめ書籍・DVD、バリュー投資という宗教、宴の後、今年の総括
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ショートコラム(2008年12月)
■今年の総括(2008年12月31日) |
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年末につき、今年の総括を行っておきます。 ◆本業について 角山オフィスの売上は、昨年を上回りました。市況を言い訳にしたくなかったので、増収を目標に頑張ってきました。何とか達成できて良かったです。 書籍についても、13年間の集大成である『バリュー投資の強化書』、資産運用全般について取り上げた『資産運用の強化書』の2冊を書き上げることができました。 その代わり、相当忙しい時期のあったことも確かです。特に、書籍の作業とセミナーの準備が重なったときはきつかったです。 ◆投資について ポートフォリオにも書きましたとおり、今年のパフォーマンスはマイナス22.9%と散々でした。 あまりにも悪かったので、自分の投資について見直さざるを得ませんでした。過去の売買を洗い直し、マクロ経済分析やトレードの本も読みました。 そうすることにより、自分の欠点が見えてきました。これを来年以降の投資に活かしたいと考えています。 ◆プライベートについて 仕事が忙しく、投資も不調だったので、プライベートを楽しむことがほとんどできませんでした。旅行は、6月に山陰に出向いた程度です。九州旅行や東北旅行も計画倒れで終わりました。 また、一人仕事で、奈良のようなところに住んでいると、人との交流も少なくなります。プライベートの充実が、一番の課題でしょうか。 |
■宴の後(2008年12月28日) |
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春山さんのブログを読んで、商船三井のロングチャートを確認してみました。 何と、1989年の高値(日経平均で3万9千円)を超えています。今回の資源バブルはすごかったということでしょうか。そして、2003年以降の上昇分をたった1年で帳消しにしています。 チャートの形からは、もう終わっていますね。通常、このような銘柄は長い冬眠期間に入ることになります。 (出典:MSNマネー) 商船三井は、2007年3月に「今後3年間で運航隻数を現在より24%増やし1000隻に拡大する」と発表しました。皮肉にも、株価はその直後が高値圏でした。 おそらく、船の完成した暁には、運ぶものがなくなっているのが毎度のパターンでしょう。業績が絶好調であり、大幅な設備投資に踏み切ったときは、景気循環株の売り時です。 (注:その後の市況悪化を受け、1000隻は950隻に縮小されています) |
■バリュー投資という宗教(2008年12月22日) |
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人間の習性として、似たような考え方を持つ面々で徒党を組むことがあげられます。 投資においても、いくつかの集団が形成されつつあります。代表的なものは次のとおりです。 ●バリュー投資派 集団のメンバーは、相互リンクを張り合ったり、オフ会を開いたりして、結束を高めていきます。やがて、メンバーは「暗黙の了解」に基づく行動を求められるようになります。 たとえば、バリュー投資派であれば「バリュー投資家らしい」行動は賞賛され、そうでないものは非難されます。こうなってしまえば、まるで宗教です。 私が損切りを導入したときも、ブログに否定的なコメントが相次ぎました。理由は、ロスカットがトレーダーの用いる手法だからでしょう。 投資家は、一つの手法にとらわれず、いいところはどんどん取り入れていくべきです。アセット・アロケーションは投資の基本ですし、トレード派のマネー・マネジメントも重要事項です。バリュー投資派の得意とするバリュエーションの知識があれば、インデックス派もBRICsやREITなどの高値掴みを防げたはずです。 とにかく「バリュー投資家は・・・すべきだ」という意見には、耳を傾けないことです。どうすべきかは、投資家本人が決めることです。 |
■決算書のおすすめ書籍・DVD(2008年12月19日) |
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「投資に役立つ決算書」セミナーDVD をご覧になった方から「中上級偏のおすすめ書籍・DVDを教えてほしい」というメールをいただきました。他に知りたい方もいらっしゃると思いますので、こちらに書いておきます。 ●「決算書の暗号を解け!」・・・確か、勝間和代さんがブレイクする直前の著書だったと思います。決算書の本で、こんなに面白い本ははじめてでした。 ●「マンガ 決算書でわかる株式投資入門」・・・マンガだからとバカにできません。内容は非常に濃いです。原典をあたりたい方は「投資家から「自立する」投資家へ」を読んでください。「投資家から「自立する」投資家へ」は高価ですが、値段相応の価値がある良書です。DVDをご覧になりたいのであれば「DVD ファンダメンタルズ分析入門セミナー」もあります。 ●「粉飾決算にだまされるな!決算書深読み術」レポート&音声セミナー ・・・cpainvestorさんのセミナーです。決算書分析におけるプロの視点を学ぶことができます。私も出席したのですが、このセミナーテキストは今でもバイブルとして大切に保管しています。 後は、手前味噌ながら「バリュー株投資の強化書」の決算書分析も、けっこういいのではないかと自負しています。この元となった「公開情報の読み方セミナー」「決算書「特訓」セミナー」も半額キャンペーン中につき、よろしければどうぞ。 |
■セブンイレブンの正体(2008年12月17日) |
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告発本『セブン‐イレブンの正体』が取次大手のトーハンに配本拒否されたそうです。
実は、投資をはじめる前、コンビニのオーナーになろうと思った時期があります。 当時は、大きな書店に通い、業界専門誌を読み漁っていました。 ある日「衝撃のオーナー告白」といった記事が目に留まりました。確か、次のような内容でした。 ●一国一城の主となるため、脱サラ 「これが現実だったのか・・・」記事を読み進むにつれて、血の気が引いていったことを覚えています。 私は、コンビニ業界の仕組みについて、さらに調査を続けました。得た結論は「コンビニのオーナーになるのであれば、FC本部の株を買った方がいい」というものでした。このことは、投資をはじめたもう一つのきっかけです。 そんな経験から『セブン‐イレブンの正体』に書いてあることは、ほぼ察しがつきます。現状では、入手困難のようですが、早く読んでみたい一冊です。 |
■カウンタートレンドの誘惑(2008年12月14日) |
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ウィリアム・エックハートは『新マーケットの魔術師』にて、次のように指摘しています。 「人は、正常価格と思われているレベルから価格が動いたら、異常だとみなす傾向がある。この見方が人に、新しいトレンドとは逆の行動を起こさせ、つまり価格はそのうち正常に戻るという想定の元に取引をさせてしまう。そして、それは大惨事への道につながっているのさ」」 私もその一人ですが、10月に日経平均が1万円を割ったとき「いくら何でも売られすぎだ。株価はすぐに戻るだろう」と考え、買い下がった投資家は少なくないはずです。 ところが、実体経済の落ち込みを考慮すれば、1万円割れは「新しいトレンドだった」ことになります。エックハートは、このような投資行動を人間の本能的な傾向と指摘しています。「安く買って高く売りたい」と思うあまり、カウンタートレードの誘惑に引っ掛からないようにしたいものです。 |
■7冊目の本(2008年12月11日) |
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6冊目『資産運用に強化書』の出足がやや鈍いようです。もし、よろしければ大きな書店で手に取っていただければ幸いです。アセット・アロケーション中心に話を組み立てていますが、私自身の経験にもとづく資産運用全般に対する考え方をまとめていますので、皆さんにとって類書と違った発見があるかもしれません。 先ほど検索してみましたら、bestbookさんが精神科医が読み解く、ビジネス・投資・自己成長のヒントになる本に書評を掲載して下さっていました。ありがとうございます。 今は、7冊目の執筆に取り掛かっています。今度は、編集者さんが長年温めてきた企画「手を動かすことにより、決算書の基本をマスターするワークブック」です。 このワークブックが出来上がれば、決算書の基本をマスターしてから『バリュー投資の強化書』に取り掛かったり、『<図解>「決算書&企業価値」分析ドリル 』で企業価値を算定することができます。初心者の方であっても、一気に中級レベルへのステップアップが可能です。 来年は、そういったベーシックな本を何冊か出してみたいです。相場低迷時は、投資の基本を勉強し直すのに最適な時期ですからね。 |
■過去の売買例:エン・ジャパン(2008年12月10日) |
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武田薬品工業に続いてエン・ジャパンの売買例です。 最初の売買は、売りのタイミングが最悪でした。2003年10月に上ヒゲ陰線が出ています。半年で4倍以上に急騰したこともあり、絶好の売り時でした。ところが、このタイミングを逃したばかりに、高値覚えで売れなくなってしまいました。結局、反落したときの安値で「利益を確保し損なうとたいへん」とばかりに売らされるはめになります。 その後は、買い戻すこともできず、大きな利益を逃してしまいました。エン・ジャパンは、自分で見つけた投資対象だけに、とても残念です。 2回目の売買は、急落している過程で「値頃感」から買い出動したものの、あっという間にロスカットラインに掛かってしまいました。悪い投資の見本のような売買です。同じ失敗を繰り返さないようにしたいものですね。 (出典:MSNマネー) ○ 買い 2003/04 55,083 → 売り 2003/12 108,500 |
■ウォール街で勝っていた法則(2008年12月7日) |
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1996年11月、オショーネシーは4本のファンドを立ち上げます。そのファンドは著書『ウォール街で勝つ法則』で発表した投資戦略に基づくものでした。ところが、ファンドのパフォーマンスは低迷を続け、金融界に格好の話題を提供する形となってしまいました。 MBAの教科書である『バリュー投資入門』は「1952年から94年まで、株価の相対的な強さにもとづいて選び抜かれたトップ50銘柄のパフォーマンスは市場全体を年平均で3.7%凌駕した」というオショーネシーの主張に対して「前年だけの株価変化でなく過去3年の変化にもとづいて株式を選んでみると結果はまったく逆になる」と指摘しています。 金融ジャーナリストのジェイソン・ツバイクは『新賢明なる投資家 (上)』にて、本のタイトルを「ウォール街で勝っていた法則―私が本書を書くまでは」にするべきだったと皮肉っています。 それに対して、投資の実践者は違う見方をしています。スティーブ・レスカルボーは『マーケットの魔術師【株式編】《増補版》』にて「もし本を出さなかったら、彼の戦略はうまく機能し続けたかもしれないのです」と述べ「優れたアイデアがあるなら、公言すべからず」と結んでいます。 興味深いのは、学者、金融ジャーナリスト、投資の実践者といった立場により、発言内容が異なることです。でも、少し考えてみれば、これは当たり前の話です。学者は、自論を正当化して異論をけなすことが商売です。金融ジャーナリストは、投資家の興味を引くような話題を提供することが商売です。そして投資の実践者は、マーケットで儲けることが商売です。 さて、私たち個人投資家は誰の言うことを聞くべきでしょうか。答えはもうお分かりですね。 |
■『ウォール街で勝つ法則』の思い出(2008年12月5日) |
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今から7年前、2001年12月のことです。ITバブル崩壊により、私のポートフォリオは再び痛手を受けていました。 「このままでは1997年の二の舞になってしまう」危機感を持った私は、日々の出費を押さえ、良書を探して読み漁っていました。 そんなある日、店頭に平積みされている『ウォール街で勝つ法則』という新刊が目に留まりました。ざっと立ち読みしてみたところ、この本は絶対に買いです。 しかしながら、裏表紙の定価を確認した時点でぶったまげました。「定価(本体5,800円+税)」と書かれていたからです。買いたいのはやまやまですが、当時としては手を出しづらい金額です。 困った私は、無謀な作戦に出ました。二週間ぶっつづけで書店に通い、毎日1時間近く立ち読みして本の内容を丸暗記しようと試みたのです(笑)。 ところが、実際には無理な話です。二週間後、平積みされていた本は数冊になっていました。「ひょっとすると売り切れてしまうかもしれない」そう思ったとき、ポケットには会社から支給された来年上期分のバス代が入っていたのです。 気が付くと、本を手にして帰りの電車に乗っていました。そういう意味で思い出深い一冊です。 |
■長期投資という言い訳(2008年12月2日) |
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先週の週末『マーケットの魔術師』『マーケットの魔術師【株式編】《増補版》』をじっくりと読み直してみました。そこで、改めて気づいたことは、規律と損失管理の重要性について「耳にタコができるほど」述べられていることです。 実際に「長期投資」の看板を掲げる投資家ほど、この2つができていないように思います。 現時点では「長期投資」を「長期間に渡り投資を継続することにより資産形成を目指すこと」と解釈しています。そして「長期」は「短期」の積み重ねです。長期投資だからといって、増え続ける含み損を放置しておくのは、あまり賢明といえません。 そういう私自身も、まだまだ「甘さ」があると認めざるを得ないです。「甘さ」を指摘してくれたマーケットに感謝しつつ、投資のあり方について検討を加えたいです。 |
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