凡例:〔 〕内は引用者註
杉並区長 山田宏様
異議申立人〔名前省略〕
次のとおり杉並区の決定に対し異議申立てをします。
住所 杉並区〔以下省略〕
氏名 〔省略〕
年齢 〔省略〕
電話 〔省略〕
住基ネットによる本人確認情報等の利用中止を求めた、杉並区個人情報保護条例第22条第1項の規程に基づく利用中止請求に対する、請求に応じられないとする平成20年10月19日付の可否決定通知
2008年10月21日
なお可否決定通知書は、請求人の氏名を誤記していたが、請求人に対するものと判断します。
二.記載の処分を取り消し、利用中止請求に応じることを求める。
この処分は以下のように、杉並区個人情報保護条例に反する決定です。
杉並区は可否決定通知書で、収集の目的内において利用するものであり、条例第14条第1項に規定する「目的外利用」の事実及び予定がない、と理由を述べています。
しかしこれは、杉並区自らが「住基ネット訴訟」において目的外利用であると主張してきたことと矛盾し、事実として住基ネットが目的外利用であることを誤認し、さらに住基ネットにより国等の機関に提供される本人確認情報の利用が変質し、「居住関係の公証」をこえてデータマッチングのための本人識別番号として利用されつつある事実に反しており、誤った判断による決定です。
杉並区は可否決定通知書で、個人情報保護条例の「外部提供について法令に定めがあるとき」に該当する、と理由を述べています。なおこの点については、杉並区自らは法令の定めによるとは判断してこなかったが、平成20年7月8日の最高裁決定により司法の判断としてこの区の主張が否定されたのでそれに従う、という趣旨の補足を述べています。
しかしこれは、
(1)この請求が求めているのは条例に則った手続がとられているかであるにもかかわらず、それとは異なる「横浜方式」に対する司法の判断を理由としている
(2)かつその判断と今回の請求がどのように関わるかも示していない
(3)また司法の判断としても確定した東京高裁判決は、プライバシー権が侵害されたと判断した場合の対応として、自治体が非通知申出者の本人確認情報を送信しないという裁量権は否定しつつも、侵害されたと主張する個人が法的救済を求めることは認めており、判決の解釈を誤っている。
(4)請求人は、「法令に定めがあるとき」に該当する場合でも条例が求めている(註1)、提供先に対する利用の目的や方法の制限や個人情報の適切な管理のために必要な措置が行われていないことも理由として、提供の中止を求めたにもかかわらず、それについてはふれていない
など、誤った判断による決定です。
これらの理由について、別添「異議申立理由書」により補足します。
教示は有りました。
(1)異議申立理由書
(2)利用中止請求の趣旨(2008年9月29日利用中止請求の際の添付資料)
(3)杉並区の住基ネット参加方針に対する申し入れ書(2008年9月19日 住基ネットに不参加を!杉並の会)
(4)住基ネットへの接続準備の方針に関する陳情(2008年11月12日杉並区議会に提出)
(5)区政へのご意見・ご要望・ご提案など(2008年11月6日請求人が問合せ)
異議申立人が口頭で意見を述べる機会を求めます。
条例解釈の誤りです。
杉並区個人情報保護条例第15条第3項は、次のように規定しています。
実施機関は、第一項又は前項第三号の規定により外部提供をするときは、外部提供を受けるものに対し、外部提供に係る個人情報について、その利用の目的若しくは方法の制限その他必要な制限を付し、又はその漏えいの防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講ずることを求めるものとする。
ここでいう第15条第1項は「本人の同意を得たとき」、第15条第2項第3号は「審議会の意見を聴いて、区長が、特に必要があると認めたとき」の外部提供を指します。
「外部提供について法令に定めがあるとき」は、第15条第2項第1号の規定であり、第15条第3項の規定には該当しません。