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国立市への住基ネット接続の是正要求に対する声明

住基ネットに不参加を!杉並の会

1.正当性のない総務大臣の是正要求の指示に抗議します

2009年2月13日、総務大臣は東京都知事に対して「国立市の住民基本台帳法の規定に基づく事務の執行について」の指示をおこないました。東京都知事はこの指示を受けて、2月16日国立市長に対して「是正の要求」を行いました。これらは国立市の問題提起にまったく耳を貸さず、現在の非接続状態が違法であると断定し、自治事務であるにもかかわらず強権的に接続を求めるものであり、私たちは強く抗議します。

周知のとおり杉並区は、2002年8月の住基ネット稼働にあたり「確固とした個人情報保護の法制度が整備されていない」として接続せず、本年1月5日まで住基ネットの運用をおこなってきませんでした。2003年に個人情報保護法成立を受けて住基ネットに参加する方針に転換しつつも、なお住民のプライバシー保護という観点から見たとき依然として十分な安全性が確保されたとは言えない状況にあるとして、国が横浜市に認めた「段階的参加方式」により参加しようとしましたが、国都はこの参加方式による通知の受信を拒否し、非通知状態が継続してきました。

杉並区はこの問題の解決を司法にゆだねようとしましたが、現在の地方自治法では「是正の要求」が出されない限り国や都を相手に司法的争いは出来ないのが通例です。結局、杉並区は自ら都に対する「受信義務確認請求」の訴訟をおこしましたが、東京地裁・東京高裁・最高裁でいずれも「法律上の争訟に該当しない不適法な訴え」として門前払いされ決着しています。

司法の判断を求めた杉並区には「是正の要求」せず、個人情報保護を総務省に問いただしている国立市には「是正の要求」で応える、という総務大臣のやり方にまったく正当性はありません。

2.杉並区に住基ネットの運用監視と個人情報保護の法制度確立の取組みを求めます

私たちは杉並区に対して、個人情報保護のための法制度が確立するまでは住基ネット非接続を継続することを求めてきました。「横浜方式」による参加方針に対しても、参加する際は住民投票により区民の意思を確認すること、不参加(非通知)を希望した8万人余の区民の情報を送信する際は本人の意思を確認することを求めてきました。

しかし残念ながら杉並区は住基ネット参加を求める訴訟をおこし、その結果自治事務でありながら自治体の裁量権を制約する不当な最高裁決定が7月8日に出されるに至りました。その後杉並区は「最高裁決定は杉並区に参加を法的に義務づけたものではない」と説明しながらも、「横浜方式」での参加が認められなかったことがなぜ直ちに全面参加になるのか区民への説明も不十分なまま、性急に参加準備を進めてきました。そのため「最高裁判決で非接続が違法とされたから、杉並区は接続した」かのよう印象を与えています。

総務大臣の是正要求指示の中で、杉並訴訟に対する最高裁決定が違法の根拠にされています。住基ネットに対する自治体の裁量権を求めて5000万円も費やした裁判の結果が、自治体に対する強圧的な指示の根拠にされているのは、皮肉というほかありません。杉並区は多額の区民の税金を投じて裁判を続けてきた責任を自覚し、裁判の中で指摘してきた住基ネットの問題点の解決のために全力で努力し、不適正な利用に対しては速やかに接続を切断する体制を整える義務があります。

住基ネットは市町村の関与できないところで利用事務が拡大し、さらに今後、社会保障番号や納税者番号などへの利用拡大が検討されています。私たちは杉並区が、住基ネットに不安を抱く多くの区民の意見を受け止め、住基ネットに疑問をもつ自治体と協力して、住基ネット運用の検証と住基ネットの個人情報保護の法制度改善に向けて取り組むことを、強く求めます。

2009年3月24日


原典について


Copyright(C) 2009 やぶれっ!住基ネット市民行動
初版:2009年03月27日
http://www5f.biglobe.ne.jp/~yabure/kunitachi/zeseiyokyu/seimei090324.html