〜がんとの出会い〜

1.その瞬間

2.不安〜初診

3.告 知

4.波のように

5.セカンドオピニオン
6.初めての礼拝
  〜e−クリニック〜娘

7.検査〜ストレス

8.スイッチ

9.光、そして夢

10.目  標

11.入院〜手術前日
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 11.入院〜手術前日

入院の準備のうちとても大事だったものは、「元気の出るグッズ」だった。
お気に入りのCD、詩集、写真、スヌーピー柄のタオル、そして励ましのことば。
入院までに頂いたハガキ、手紙は全部持参した。
そして、パソコンで受信したメールは携帯電話に全部転送して、両方とも何度も読み返した。
とても励まされたメールのうちの一通。
「(略)
  COSMOSのこころがゆったりとおだやかでありますように。
  COSMOSの体がすべてを受けとめてのびやかでありますように。
  COSMOSの耳に、風や音楽がやさしく話しかけてくれますように。
  COSMOSの頬につたう涙が温かく、力強くありますように。

 いつもいつも思っています。
  年下だって、たまには年上をなでなでしたいもんだよ (^_-)
  ○○より

ともだちっていいね。
ほんとうにいいね。」

入院の準備が整っていよいよ明日入院、という日の前日、ネットの友人たちに宛ててメールを書いた。

 「COSMOSです♪
  ようやく明日入院します。
  手術は19日の午後〜夕方です。
  念力お願いね〜〜〜(^o^)

  先日の検査で遠隔臓器への転移はなし、ということでひと安心していますが、油断せず、
  でも、手術はお医者様を全面的に信じて受けてきます。

  いろいろな情報を確かめ噛み締めてみて、今のわたしの心境は・・・

  “病気は自分で治す。自分の身体、自分の命なんだから。
   自分の身体の声にしっかり耳を傾けて。
   癌細胞もわたしの身体の一部だから、きっと何か意味があって出来てくれたんだと
   思うから、その意味をちゃんと聞いてあげる。”

  『警告を発してくれてありがとう。今までちゃんと耳を傾けなくてごめんね。
   これからはちゃんと、わたし自身の心と身体をまるごと抱きしめなおすから、
   もう安心しておとなしく休んでね』
   って、癌細胞ちゃんに毎日語りかけています(^o^)

 それから、大事なYとMを育ててくれた左のおっぱいに、
 何度も何度も 「ありがとう」と「ごめんね」を言ってます。
 わたしより少し先に天国に行ってもらうことになっちゃったから・・・・。
 でも、ちゃんと天国で神様に受けとめて貰えるって思えるから  しあわせです。

 それにしても!!
 わたしのまわりの人たちってすごい!!
 (もちろんみんなも入ってるよ)
 わたしはこんなにたくさんの、いろいろな色や形や風の、プラスのエネルギーの真っ只中で
 生きてきたんだって、改めて思い知らされています。

 生涯でしあわせな時はたくさんあったけど、その中でも今が最高にしあわせです!!

 いってきま〜〜〜す(*^-^*)/~~~ 」      


2月16日、入院。夫と娘がついてきてくれる。
一人部屋。
すぐに昼食が出た。クリームシチューとパン、ヨーグルト。

食事は、病院のものから牛乳、肉、卵、油のきついものを除くことにしていたので、食べられるものだけ選んで食べた。 入院中ずっと、ご飯は夫か娘が家で炊いて持ってきてくれた玄米を食べた。冷蔵庫には市販のニンジンジュースと豆乳、納豆、ヨーグルトを常備して、同じく家で毎日煎じて持ってきて貰ったタヒボ茶を、たくさん飲んだ。

外は雪が降って寒いけれど、室内は暖房が効きすぎるぐらい効いているから風邪をひくことはない、と思っていたら、何だか喉がおかしくなってきた。乾湿計を見たら、とても乾燥している。 入院前の診察の時に、医師から「風邪だけはひかないでくださいね。手術が出来ないことがありますから」と言われていたのを思い出した。咳がひどいと全身麻酔ができないことがあるらしい。ようやく手術までこぎつけたのに、ここで風邪のせいで延期になってはたまらない、と思い、病院に言って、うがい薬と抗生物質を貰い、湿度を保つために、娘に買って来て貰った霧吹きでバスタオルやカーテンを湿らせた。 手術の前日の夕方、ようやく喉の痛みが治まってきた。それまでずっと、自分の癌のことも、手術のことも忘れて、ひたすら風邪が治ることだけに集中していたことに気づいた。おかげで、全く緊張していない。 何が幸いするかわからないものだ。

その夜は、さすがになかなか眠れなかった。
心を落ち着かせるために、大好きなプロムジカ合唱団のCDでアベマリアを聴いた。呼吸法も試しながら、ひと呼吸ごとに、その日まで励ましてくださった方を想い、ありがとう、と心の中で言い続けた。
「○○ちゃん、電話で元気づけてくれて、ありがとう」
「○○さん、温灸をしに来てくださって、ありがとう」
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                  ・
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1時間経ってCDが終わっても、全部の方の名前を言えなかった。そして2度目のCDが終わった頃には、全身が「ありがとう」で包まれたみたいになっていた。特別なしあわせ感で、ゆっくり眠りにつくことができた。 

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