源氏19才の春の事を記している二月二十日あまり南殿の桜の宴の催しがある。宴の後源氏は酔い心地のそぞろ歩きに弘徽殿の細殿で若い声の美しい人に出会い、その袖をとらえて局に入る。明け方、互いに扇を取り交わして別れる。源氏はこの人を弘徽殿女御の妹の五の君か、或いは六の君かと思いまどうたが、三月二十日あまりに左大臣邸の藤の原の宴に招かれた時六の君であったことが分る。この人を朧月夜の君という。
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