桐壺の巻

一名壷前栽とも言うが、源氏の君の誕生から１２才までのことを記す。桐壺更衣は多くの女御更衣の中でお上の寵愛を得、若宮をお生み申し上げたが、嫉視中傷の的となって、病死する。御門は若宮にははかばかしい外戚の無いのを慮り給ひ且つは高麗の相人の予言もあるので、春宮になさるよりは、臣下にお加えになって、政の補佐をさせようと思し召される。御門は先の御門の姫宮藤壺を得給わって、更衣を失われた悲しみを慰められる。若宮は藤壺が更衣に似ていると云うので、このおん方を慕はしう思っておられる。人々は美しくご成育になった若宮を光る君と呼んだが、御年１２で元服なされて、源の姓を給ひ、左大臣のおん女を配される。葵の上が此れである。巻の名は巻中の更衣のお部屋は清涼殿からは遠く隔っている桐壺なので、とある詞に基づく、又此巻の一名壷前栽も「お前の壷前栽の花の色も面白く今をさかりに」とある詞に基づく