源氏16才の夏の事を記す。源氏は既に中将になっていて、梅雨の降る夜、内裏のおん物忌みに篭って葵の上の兄頭中将や佐馬頭藤式部丞等と女の品定めをするめいめいが思い出話や理想論を持ち出す。翌日源氏が葵の上の許に行くと今宵は方違へをする必要があるというので、俄かに家来の紀伊守の中川の家に行って泊まる事になるおりしも、紀伊守の父伊予介の後妻空蝉が来合わせている。源氏はその人の気配に心を惹かれ、夜更けて女の部屋を訪れる。その後空蝉の弟小君を近侍に召しだして、それに文を託したりしたが、ある日又しても中川の家に訪ねて行くと女は避けて逢うとしない。巻の名は源氏の歌「帚木のこころを知らで薗原のみちにあやなく惑いぬるかな」女の歌「かずならぬ伏屋に生ふる名のうさにあるにもあらず消ゆる帚木」による
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