源氏17才の十月から18才の七月までの事。十月十日あまり、朱雀院へ行幸、紅葉の賀の催しがあったが、その数日前、藤壺女御にお見せになるために宮中において、試楽があった。源氏はその試楽の日にも行幸の当日にも頭中将を相手に青海波を舞う。人々はその美しい舞姿を見て、感涙を催す。源氏は紫の上をたいそう愛しているが、一方葵の上は四才の年長である故、心に隔たりが出来て、どうしてもしっくり行かない。二月十日あまりに藤壺は若宮をお生みになる。御門は源氏の幼時に比べ給うて、若宮をこの上なくお慈しみになる。源氏は紫の上のいじらしさに兎角葵の上の方へ出しぶるので、左大臣の方では妬ましく思う。又その頃源氏は源典侍と面白半分のいきさつがあり、頭中将が好奇心から、一役買って出たりする。七月藤壺は弘幑殿女御を越えて中宮になり、源氏は宰相になる。巻の名は巻頭の紅葉の賀宴に因んでいる
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