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浪費型オリンピックの裏表(ページNo.14)
レポートNO.57 ( 09・1・10)からレポートNO.60 (09・1・25)まで


【レポートNO.60 09・1・25】

今度もインターネットによる世論調査で
70%の支持を出しホッと胸をなでおろした!?


●2月12日ごろにIOCに提出する「立候補ファイル」に明記する必要がある、現時点でのオリンピック招致への支持率について、都とオリンピック招致委員会は、1月15日に、結果を発表しました。(結果についてのプレスリリースは、以下のアドレスをクリックしてください。)
  (http://www.tokyo2016.or.jp/jp/press/2009/01/post_53.html)

●今回、前回(07年11月に申請ファイルのために調査)より実施後早めに発表したのは、やはり結果を10ポイント上げるのに成功したからでしょう。
 知事は、記者会見で「満足できる結果ではない」とコメントしていますが、都の幹部などには、”ホッと胸をなでおろした”という印象がありました。

●今回の調査方法も、インターネットを使ったもので、よりメジャーなヤフーのモニターによる調査を行なったものです。100万人規模といわれるヤフーのモニターから、「無作為に抽出した」とのことですが、インターネット調査に対する、「調査依頼者に都合のよい、結果が出やすい」という前回調査への疑問は、今度もぬぐえません。
 また今回も、回答者への謝礼がついており、より都側の意向に好意的な回答にならざるを得ない傾向が生まれやすいといえます。
 回答者のうち、かなりの人は、カードへの振込みではなく、「ヤフーポイント」というネット利用のポイントをうけとる形であり、登録された年齢などが架空であっても分からないという指摘もあります。

●同時に、都の懸命のキャンペーンが一定の効果を発揮したことは否めないでしょう。このキャンペーンの実態が、いまの不況の下で、これほど電通という巨大企業を儲けさせてよいのかと、呆れるほど独占されているなどの実態は、まだまだ多くの都民や、ましてや他県の人には知られていないでしょうから。
 より理解がされてよいはずの都民のほうが、わずかに支持が低いのは、キャンペーンのやりかたに対して「はしゃぎすぎ」との都民の冷ややかな視線を反映しているといえるのではないでしょうか。

●この結果を受けて、IOCは、2月ごろに”覆面調査”を予定していますが、その結果が大きく乖離していた場合、審査結果にも影響が出ることになるので、注目されます。

【レポートNO.59 09・1・16】
11月につづき12月にまたまた競技計画変更

水泳会場も恒久施設に変えて「辰巳公園がプールでふさがれ、財政のツケも重過ぎる」と批判の声も


●12月18日、オリンピック招致委員会の理事会の決定事項として、すでに12月4日の特別委員会で質疑した「メディアセンターの、築地市場跡地からビッグサイトへの変更」その他の競技施設の変更に続いて、水泳会場についてはこれまでにビッグサイトから辰巳の森に変更し、既存施設の活用と、あとは仮設プールを予定していたものを、メインプールについては新たに恒久施設を造ることに変更し、また、夢の島公園についても、これまで2箇所のアリーナを計画していたものを、3箇所目のアリーナも造る計画に変更されました。そのほか、マラソンや自転車レースのコースも決められました。
(ここからオリンピック招致委員会にリンクします)

●とりわけ、辰巳の森の水泳会場については、2万人収容のメインプール会場を、これまでの仮設計画から、常設に切り替えたため、メインプールを造れるゆいいつのスペースである多目的広場は、永久的にふさがれてしまうことになり、辰巳の森講演は、公園の体をなさなくなってしまいます。

●同様に、夢の島公園も、現ユースプラザを「改修」するとは名ばかりで、アーチェリー会場や二つの巨大体育館で、公園の半分以上のスペースを使わざるを得ないと指摘してきましたが、3つ目のアリーナを造ることになれば、夢の島公園の大半がふさがれ、今までの面影は全くなくなってしまうでしょう。

●何より、この二つの施設増設などによって、少なくとも、1千億円規模の費用の増大を伴わざるを得ないにもかかわらず、いまだに招致委員会も東京都も追加費用が幾らなのか、明らかにしていないのです。

●変更されたマラソンコースも、10キロ圏内に収めることや、警備などのためか、スタートを国立競技場に変え、同じリング状のコースを3回も回って、晴海のスタジアムでゴールするという異例のコース取りに変えられました。
 まさに、10月のコペンハーゲンで点数を上げることだけにこだわって、金に糸目をつけない計画というべきでしょう。

●以下に、施設計画変更による、座席数の変動の資料を紹介します。


【レポートNO.58 09・1・11】
何のための高速道路半日交通止めか
「レインボー・ウオーク」の狙いと危険


●12月になって振って湧いたように、レインボーブリッジを一時封鎖して、高速道路をウオーキングしようという企画が持ち上がり、発表されました。
 日時は、09年3月1日、午前9時スタートで、レインボーブリッジを7キロメートルウオーキング。主催は、ウオーキング大会事務局で、都が全面後押しです。

●いったい何のためのウオーキングなのか・・。以下に、事務局の呼びかけを引用します。

「平成20年12月12日
生活文化スポーツ局

 2016年オリンピック・パラリンピックの東京招致に向けたスポーツムーブメントを一層盛り上げるため、レインボーブリッジの首都高速道路部分を、全面通行止めし、ウオーキング大会を開催します。
 レインボーブリッジを歩いて東京の大パノラマを望む開放感あふれるスポーツイベントにぜひご参加ください。
 なお、大会開催に伴って、首都高速11号台場線が4時間にわたって全面通行止めになるなど、交通規制が実施されます。何卒、皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。」

 まさに目的は、オリンピックの東京招致そのものですが、レインボーブリッジを歩くことがオリンピック招致にどう結びつくかは、あまりはっきりしません。
 橋の上から見れば、臨海部地域の展望が、魅力的に見えるということぐらいでしょうか。

●東京マラソンの成功にあやかって、「レインボーブリッジ閉鎖できません」という、臨海部を舞台にした犯罪映画で有名になった、主人公青島刑事のせりふを覆すサプライズを、都と警視庁の権限を駆使してやってみようということのようですが、専門家の間では、「真昼間に高速道路を封鎖するのは、下手をすれば大変な混乱と渋滞を招きかねない」との声も出ています。

●だいたい、こういう手を色々使っても、オリンピック招致への都民の世論は、決して大きく高まることはないだろうと考えるのは、私だけではないと思います。

【レポートNO.57  09・1・10 

2008年12月4日 オリンピック特別委員会 たぞえ・松村委員の質疑
都民世論を盛り上げようと膨大な招致費ばらまきは逆効果
苦しいくらしの都民からあいつぐ批判の声


●くるくる変わるたびに費用が膨らむ施設計画


○たぞえ委員 初めに、メディアセンターの変更について伺います。
 なぜ今回、変更ということが起きたんでしょうか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 開催概要計画書の時点では、築地市場跡地にIOCテクニカルマニュアルの規定を満たす施設として、地下二階から地上五階までを活用したメディアセンターを計画してございました。
 しかし、北京オリンピック視察に際し、国際放送センターは低層大空間で構成されまして、さらに各館への車両の乗り入れが可能な構造となっていることが判明し、報道関係者からもそのような空間構成が望ましいということを伺いました。
 こうした観点からこのたび見直しを行ったところ、東京ビッグサイトがメディアセンターとして最適であり、さまざまな観点からIOCの高い評価にもつながるということが判明いたしました。
 こうしたことから、今回メディアセンターとして東京ビッグサイトと変更いたしました。

○たぞえ委員 そうしますと、メディアセンターの変更はIOC国際オリンピック委員会の要請ではなかったということになりますか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 今回のメディアセンター計画の変更は、IOCからの直接的な要請に基づくものではございませんこ北京オリンピック・パラリンピックの事例などを参考に、IOCからより高い評価が得られるよう会場計画を変更したものでございます。

○たぞえ委員 都側、招致委員会の都合で変更したということです。東京都は十八年の開催概要計画書で、国内選考に選ばれるために、また申請ファイルで候補に選ばれるために、競技施設会場を何度も何度も変更してきました。一たんは駒沢オリンピック公園総合運動場の屋内競技場をバレーボールの大会会場と決めて、次はバレーボールは代々木公園に。さらに今回、新体換は東京体育館から夢の島に、ハンドボールは東京ビッグサイトから国立代々木競技場に、レスリングは東京武道館から東京ビッグサイトに変える。また、会場の規模も膨らみ、そのたびにどんどんお金がかかるという計画になっています。
 二月に提出する立候補ファイル以降も計画が変わるということがあり得るんでしょうか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部計画調整担当部長 立候補ファイルに記載いたします会場計画は、国際競技団体などと調整を重ね、オリンピックにふさわしい、最適な計画として提出するものでございますので、この計画をもちまして、東京人の招致をかち取ってまいります。

○たぞえ委員 二月以降、提出後は変更があるのかどうか、もう一度答えてください。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部計画調整担当部長 繰り返しになりますが、立候補ファイルは国際競技団体と調整しまして、オ・リンピックにふさわしい最適な計画ということで提出するものでございますので、立候補ファイル提出以降、招致決定までの間、この計画を変更することはございません。
 ただ、開催都市決定後のことをもし考えるとしますと、例で見ますと、北京はどんどん、これは恐らく現地での実際の実施計画の段階と思われますが、国際競技団体やIOCとの調整結果を経て、かつIOC理事会の決定をとった上でこ会場変更となった例が幾つか見受けられています。

○たぞえ委員 十月以降は変更の可能性はあるということでありますが、これまで概要計画、申請ファイル、今度の立候補ファイル、そのたびごとに会場が変わっていては都民は何を信用したらいいんでしょうか。

○中嶋東京オリンピック・パラリンピック招致本部計画調整担当部長 オリンピックの招致をかち取るということの目的のために、現在計画を最善のものにしていく努力をしているところでございますので、当然そういう観点から都民の皆様のご理解はいただけるというふうに考えております。

○たぞえ委員 なぜこんなに提出のたびに会場が変わっていくのか。知事が○五年夏に突然立候補を表明しましたけれども、その後、概要計画書までの計画策定は十力月しかありませんでした。我が党はどだい無理な話だ、このように指摘をしてきましたけれども、そのとおりに次々変更という事態が続いております。これが発端となって、次々と変更になっているんじゃないでしょうか。私の地元の駒沢公園も、本来会場になるのではないかといったら外れるという事態があるんだそうです。

●メディアセンター変更は豊洲汚染対策の遅れが原因ではないか

 メディアセンターを東京ビッグサイトに変更するということでありますが、これは豊洲の汚染で間に合わないからということでしょう。どうですか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 このたびの変更は、先ほどもご答弁しましたとおり、北京オリンピックの現地視察、それから報道関係者の意見、これらを踏まえて再検討したところでございます。

○たぞえ委員 ということでありますけれども、招致本部は初めから築地市場の豊洲移転は無理だというふうに思っていたのではありませんか。豊洲汚染地への無理やりの移転は、立候補都市に選ばれる上で負ける要素だったので、築地跡地へのメディアセンターを今まで引っ張ってきたと思います。そのことが市場関係者や地元の中央区、さらには食の安全を願う都民にどれだけ過大な困難をもたらしてきたか、このことは十分に認識をしてほしいというふうに思います。
 ビッグサイトを使用することで、新たにビッグサイト内で施設を増設するとしていますが、その費用はだれが負担するんでしょうか。

○藤井東京オリンピック・パラリンピック招致本部施設計画担当部長 今回の東京ビッグサイトでのメディアセンターの計画は、既存の展示会場内で大会期間中のみ使用する仮設施設は、東京オリンビック組織委員会が整備主体となります。メディアセンターとして床面を増設する必要がある場合、その増設部分につきましては、都立や恒久施設として整備いたします。

 現在、立候補ファイル策定に向けて、施設整備費全体の精査を進めておりまして、メディアセンターの整備費についてもその中で検討してまいります。

○たぞえ委員 施設の改築が仮にビッグサイト側になれば、その費用負担は大変大きいものです。もともとメディアセンターの建設資金は民間資金によって調達される、税金や使用料の負担にならないと申請ファイルでも述べていました。ところが、今回の増設は施設側の負担なのかどうか、この委員会の段階でも不明です。

 一方、はっきりしているのは、屋外会場は既存の屋外展までどかして、駐車場を使って増設するとしていますから、屋外展までできなくなるし、また、駐車場を建物に切りかえたら、今でも駐車場が不足しているときに、駐車スペースがますます足らなくなるのでないでしょうか。展示、駐車をする企業や都民にその施設建設の負担、駐車場減少の負荷を与えてはならない、そのことを述べておきたいと思います。

●別部門からも予算流用し、事実上電通の独占・言いなりの委託費用

 次に、今後の招致活動に係って、第一に、招致活動の委託業務が特定の企業に傾斜がかかっているという問題です。十九年度の招致活動経費の委託費は総額八億二千十万円で、契約件数は十七件です。そのうち広告代理店の電通との契約数と契約額は幾らか、伺います。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 平成十九年度におきます株式会社電通との契約件数は六件、契約額は七億六千七百三十万円でございます。

○たぞえ委員 申請ファイルは、十九年度当初予算では幾ら予算化したんでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 十九年度の申請ファイルの当初予算は二億八千万円でございます。

○たぞえ委員 では、決算ではどのような推移になったんですか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 決算額は約七億四千七百万円でございます。

○たぞえ委員 その差は四億六千七百万円、予算よりも二・七倍に膨れました。他の局で予算が年度内に二倍、三倍になるという例は私は聞いたことがありません。電通が金額を変更してほしいといえばそうせざるを得ない、これでは電通のいいなりではないでしょうか。

 電通との契約について、招致本部はIOCの公式スポンサーの関係業務を行っているとか、過去の競技大会に関する情報に精通している、いろいろ理由を述べられますが、要するに電通にしか事業は委託していません。これでは電通におんぶにだっこですよ。十八年度で見ても、委託契約の七割以上の金額が電通です。特定の企業にオリンピックをゆだねるということは契約の平等性が保たれていないといわざるを得ません。今後、このようなやり方がどんどんふえてしまいかねないことを改めて指摘をしておきます。

●交通局は「オリンピック来ればもうかるから」広告無料にした?!

 第二は、都営バスの車体全体を広告物とする制度、ラッピングバスです。招致本部が実施した十九年度の都バスへの広告制作委託は三件で、六千八百五万円、一台の車体全体を広告物で覆うと、約八十万円の制作費と掲出費がかかっています。これはどの企業と委託契約をしたのでしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 契約の相手先は、株式会社電通でございます。

○たぞえ委員、そのラッピングの三件とも電通に委託です。ラッピング都営バス、四百台広告がついてますが、オリンピック招致広告はそのうち百台です。委託契約の際、競争入札で契約に至らなかった企業はあったんですか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 都営バスのラッピング広告のデザインには、ご案内のとおり招致ロゴを使用してございます。この招致ロゴの著作権は招致委員会が有しておりまして、その使用に当たっては招致委員会の承諾を得る必要がございます。
 一方、国際オリンピック委員会、IOCにより招致ロゴの変形等が禁じられておりまして、非常に厳格な管理が求められることから、招致委貞会は招致ロゴの制作管理を株式会社電通に一元的に委託をしております。このため、招致委員会が都にラッピングバス広告での招致ロゴの使用を承諾するに当たりま↓てこ都が電通にラッピングバス広告の制作及び掲出に係る業務を委託することを条件としたため、株式会社電通に特命で契約を行っております。

○たぞえ委員 結局落札がなくて、そうした業務は全部電通に初めから特命で決まっていく、まさに電通様々じゃありませんか。
 渋谷から六本木を走る路線ですけれども、ラッピング広告費用は一台当たり一カ月税込みで四十二万円、年間三百十五方円の都バス広告の料金がかかります。
 オリンピック招致宣伝を行っている都営バスのラッピング費用は、交通局に払っているんでしょうね。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 デザイン料、ラッピングフイルムの制作費、取りつけ撤去費用は当本部が負担しておりますが、広告掲出料につきましては、負担してございません。
 失礼しました。広告掲出料の決定につきましては交通局のご判断よるものでございますが、オリンピック開催時には日本じゅう、そして世界じゅうから多くの観客が東京を訪れ、都営交通利用者の大幅な増加が期待できる。このため、他の一般的な公共広告とは異なりまして、オリンピック・パラリンピック招致のPRは交通事業経営と密接に関連をするものであり、広告掲出については交通局事業として実施すると判断されたものという風に伺っております。

○たぞえ委員 いろいろ無料の理由づけを述べられていますが、それほど公共的な要素が強いならば、なぜエイズや乳がんの検診の啓発、それから消防団員の募集、これが有料なんでしょうか。こんなに公共性の高い、こうした事業は有料で、オリンピックは公共だといって無料扱いになる、別格扱いになっていると思います。
 招致本部は無料扱いにしてほしい、そのように交通局に文書で依頼をされたんでしょうか。

○重田東京オリンピック・パラリンピック招致本部参事 ラッピング広告につきましては、広告掲出について交通局と事前に協議を進める中で、オリンピック開催時には都営交通利用者の大幅な増加が期待できるなど、招致PRは交通事業経営と密接に関連するものである。
 広告掲出については交通局事業として実施するとの交通局の判断があったため、当本部からは文書による依頼等は行ってございません。

○たぞえ委員 要するに口頭だけの連絡なんですよね。今、ラッピングバスが走れば乗客がふえるといったけれども、乗客はラッピングバスが来たら乗る、ついていないのは乗らない、そんなことないですよ。たまたま来たバスに乗るんですよ。そういう広告の効果を、オリンピックというマークだけでそれを選ぶというのは、余りにもむちゃじゃないでしょうか。

 もともと広告事業というのは、東京都のいろんな事業局がそれぞれ交通局に文書などをもって依頼をし、そして、例えば議会局の定例議会のポスター、これも交通局に文書を出す。そこで初めて、身内のものだから、じゃあ、三割まけてやろうといぅので取り決められて、七割議会局が負担をするわけなんです。
 そういう手続も何もなく、とにかくオリンピックならば別扱いで、そういう風に突進していくというのは、都政の中にそういう格差があるということ自身、私は問題だと思います。

 そういうさまざまな状況の中での招致活動ですから、税金の使い方も物事の決め方も、オリンピックは聖域になっているというふうにいわれても仕方ないのではないでしょうか。
 この東京都議会に寄せられた都民の声でも、そういう指摘がされています。そのことを述べて、質問者をかわります。

●世界不況で苦しむ都民の声を聞くべき

○松村委員 オリンピック・パラリンピック招致を質疑するわけセすが、今、金融危機が深刻な影響を与え、非正規の解雇や雇いどめが三万人を超えるとされていますし、中小零細企業を取り巻く経営や資金繰りの状況は、かつてない深刻な状況を示しています。
 こういう状況をしっかり認識することがオリンピック招致のあり方を議論する大前提だと考えますが、この場に知事がおりませんので、知事本局長の認識を伺います。

○吉川知事本局長 その点は、昨日の開会日の知事の発言を聞いていただければ十分よくおわかりいただけると思います。そういう認識があるからこそ、二十年度においても、さきの第三回定例会で補正を提案し、ご了解いただきましたし、今回は補正を提案しております。

○松村委員 我々が提案していた失対事業とか信用保証料のこれまでにない軽減策だとか、我々も主張していた点ですから、評価できますが、その額も五百億円ですよね。
 今オリンピック基金だけでも三千億円、また来年度でも一千億円積み立てるということを考えれば、まだまだやはり不十分なんですよ。そういう点の認識があるのかどうか、今の都民の置かれている、そういう状況のしっかりしたとらえ方と認識がなければならないというふうに思います。

 本当に今の都民の暮らし向きがまだまだわかっていません。都民の声の十月分に寄せられた意見に、「妊婦受け入れ拒否事件は東京の恥、日本の恥だ。道路もオリンピックも要らない。医療、介護、教育を優先せよ」など、こういう意見がありました。
 また、私たちの今取り組んでいるアンケートにも、「五輪開催や誘致活動には莫大な金がかかり、無駄遣い」、「石原知事の道楽とも思えるオリンピック誘致と新銀行東京への追加融資は私財でやってほしい」とか、「生活が大変なのにオリンピックどころじゃない、もっとほかにやることがある」
など、本当に怒りに満ちた声もたくさん寄せられているのです。

●知事の意を受け、都民世論の水増し・誤魔化し

 ところが、石原知事は、何が何でも賛成世論を高めようと金と人をつぎ込み、上からまさに押しつけるようなやり方で、オリンピックということなら何でも通ってしまうような異常な都政の現状に都民が厳しい夢見を寄せていることを、私はもっと知るべきだというふうに思います。

 これまでもこれからも招致活動に莫大な税金を使いますが、その使い方もひど過ぎます。既に報告があった北京のジャパンハウスでの招致活動には、宣伝用DVDや冊子などの制作費を含めて総額四億二千九百万円も都民の税金が使われています。今後の招致活動についても報告がありました。
 そこで、招致活動のあり方について、これまで招致活動の一環として招致本部が取り組んできた世界選手権大会のスポンサー括動や国際大会への協賛金などについて、本日は伺いたいと思います。

●見向きもしなかったスポーツ大会に高額支援

 平成十九年に行われたノルディックスキー世界選手権と世界フィギュアスケート選手権に、招致本部はどういう委託契約を行ったのでしょうか。

○中村東京オサンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 ノルディックスキーとそれから今スケート等ございました。こちらに関しましては、ノルディックスキー札幌大会及びアイスフィギュア世界大会で、東京都といたしまして、TOKYOボードという広告を掲載してございます。

○松村委員 契約金額はそれぞれ幾らなんですか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 契約金額は三千百五十万円でございます。

○松村委員 スポンサーボードを掲出した、その委託です。こういうブルーのTOKYOというデザインの一つには縦が六十センチメートル、(資料を示す)これはどのぐらいのイメージかということで、部屋にあったものを急遽持ってきたんですけれども、これは縦が七十センチ。これよりも十センチ短い。横がこれは大体一メートル五セaチでした。これが六メートル。これに、今いったロゴというか、TOKYOというものを書いたボード、世界フィギュアの場合には横が五メートルで縦が六十センチ、それから、札幌のノルディックスキーは縦が一メートルから一メートル五十、横が六メートルというものでした。
 これを札幌のノルディックスキーは、札幌ドームに二枚、大倉山ジャンプ場に一枚、宮の森ジャンプ場に一枚、白旗山に二枚です。私も宮の森ジャンプ場には行ったことがありますが、あの広いところにこのボードを一枚掲げているわけです。札幌のノルディックは、今いいましたように全体三千百五十。ですから、これ一枚当たり割り返しますと、五百二十五万円かけて宮の森に掲げたわけです。
 それからもう一つの世界フィギュアスケート選手権大会には、左右にかけたのか前後かわかりませんけれども、それを一枚ずつ、二枚掲示して、これまた三千百五十万円です。
 これは一体どういう意味があったのでしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 今いろいろご指摘していただいておりますけれども、これは、東京が国際スポーツ競技大会を積極的に支援している姿勢を示しまして、オリンピック招致への支持率の獲得の一助となるために行ったものでございます。

 また、都が国際スポーツ競技団体の競技大会を積極的に支援している姿勢を示しまして、オリンピック招致への支持率の獲得の一助となるために行ったものでございます。

○松村委員 国際大会を支援すると。私は全くの浪費ではないかというふうに思います。
 そうして、平成十九年度もこうした招致活動を行うことで、招致本部は十四国際大会、一団体五千万円で総額七億円の予算が組まれました。
 しかし、予算成立後の四月二十五日に、IOCがその前の二月の理事会で、招致期間中は世界選手権を初め主要国際大会を禁止する方針が盛り込まれたとの報道があったとして、招致本部は国際大会への支援を取りやめたと、さきの決算委員会では答弁しています。
 ところが、招致本部はその後も国際大会招致を続けています。二〇〇七年、平成十九年五月二十日に、国際体操連盟が東京での世界選手権大会を決めています。同じく六月十五日に、国際レスリング連盟も東京大会を決めています。もう一つ、国際卓球連盟も東京での開催を六月に決めておりますが、それぞれどういう内容でしょうか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 大会の内容についてご説明いたします。
 まず、世界体操選手権大会でございますけれども、これは二○一一年に開催されるものでございます。それから、女子レスリングでございますけれども、これは先般、二〇〇八年に開催されたものでございます。
 それから、先ほどございました卓球でございますけれども、こちらにつきましては二〇〇九年十月に開催するものでございます。なお、こちらの開催につきましては、先ほどロゲ会長の発言という趣旨がございましたけれども、ロゲ会長が発言する前に、既に国内競技団体め方から国際競技団体の方に申請をしてございまして、そういう経緯でこちらの方は決まってきたものでございます。

○松村委員 それでは、例えば国際体操連盟、これが契約、調印式が平成十九年六月二十六日に行っていますが、調印式を設定したのは生活文化局、調印の契約は招致本部ですね。
 これはどういうことでしょうか。

○中村東京オリンピックパラリンピック招致本部招致推進部長 今のご質問でございますけれども、契約につきましては招致本部ではございません。

○松村委員 この点は後でというか、別に、生活文化局の方も含めて、ただしていきたいと思いますけれども、保留にしておきます。
 それで、IOCの理事会で、国際大会の招致は先ほどいったように理事会で禁止するというふうになったけれども、もう申請していたから引き続き三大会をやるというのは、これはおかしいんじゃないですか。事実、決算季員会では取りやめたと。で、その年の七億円提示していたものは執行残、そのうちの半分は、先ほどたぞえ委員が質問したように、電通の契約額がふえたというので、七億円の半分ぐらいは電通の方で流用というか、使われた。あと残は残している、このように答えておりまして、既に申請していたから引き続きこの三大会を、では、招致本部がやるんですね。先ほど生活文化局、招致本部ではないといっておりましたが、その関係はどうなんでしょうか。

○中村東京オリンビック・パラリンピック招致本部招致推進部長 開催の決定につきましては、十九年度という期間がございました。その中では、招致本部に国際招致に関する予算がございましたので、国際競技団体までは国内競技団体の意向、それからスポーツの振興などを総合的に勘案して、決定したものでございます。
 なお、今後の実施につきましては、招致本部ではなく、生活文化局の方で実施することと、なっております。

○松村委員 結局IOCの理事会のそういう決定があったから、招致本部では、余りにも露骨でまずいということで、生活文化局に所管をかえただけではありませんか。

 ところで、この三つの大会で都の負担額は幾らになりますか。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 金額についてはまだ決定してはございません。

○松村委員 だって、シニア女子レスリングは、既にもう十月十二日、十三日で行われて、このときの協定書も私はいただいております。ここにも、開催経費約三億円、開催都市負担は最大一億五千万円、これは上限としますけれども、恐らくこれは一億五千万円支払うことになるだろうというふうに聞いております。
 それから、既に調印式が、これは石原知事の署名がある協定書がありますけれども、この調印された国際体操世界選手権も開催経費が約十億円、開催都市負担は最大で五億円と。
 もう一つの国際卓球連盟のカデットチャレンジ・世界ジュニアサーキットファイナル二〇〇九、来年の十月、これも開催経費が三千四百万円。開催都市負担は未定となっておりますが、恐らく共催で開催都市となれば、さきの例からいえば、半分が都側の上限としての負担ということになるのではないでしょうか。この合計額を私は聞いているんです。

○中村東京オリンピック・パラリンピック招致本部招致推進部長 予算上の合計額については、今理事の方から説明があったように、その金額を足せば出ると思います。ただし、先ほどのレスリングもありますけれども、これまで予算が決定している段階で、実際にどれだけ費用がかかったか、どれだけ支払われたかについては決定しておりません。
 なお、これにつきましては、我々招致推進本部の管轄ではございませんので、私の方からはこれ以上お答えすることは差し控えさせていただきます。

○松村委員 招致本部ではないといっても、招致本部が申請して、国際大会の実績を上げようというので、開催を進めてきたんでしょう。今になって、それは招致本部じゃないということは全く私はおかしいと思いますし、今お答えがありませんでしたけれども、既に協定によっても、上限六億六千七百万円ですよね。これは上限ですから、やはり払うようなことになってくるわけですよ。
 それで、招致活動経費、百五十億円の枠の中に入っているのでしょうか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 活動経費、百五十億円には入ってございません。

●招致経費の実態は、どんどん150億円をはみ出しつつある

○松村委員 ございませんと。招致本部の招致活動の一環としてこれは進めてきたものでありますし、招致活動経費に含まれないなんというのは今さら話が通らないというふうに思います。
 それでは伺いますが、招致活動経費、百五十億円は守るのですか。

○並木東京オリンピック・パラリンピック招致本部企画部長 総経費百五十億円につきましては、今年度の第一定例会で五十億円から百五十億円に変更を議会審議でお願いしたところでございます。現時点では百五十億円ということになっております。

○松村委員 微妙に現時点という言葉が非常に気になるんですね。守るようなことをいいますけれども、来年度の予算でオリンピックモーブメントの普及など、移行準備予算として招致本部は十四億一千万円を百五十億円と別建てで要求しているではありませんか。しかも、他局でやらせているオリンピックムーブメントと称する予算を含めれば、百五十億円どころか、大変な金額になります。都民生活が大変なときに、なぜ少しでも節約しようと考えないのですか。本当に許せない話だというように思います。

 都民のスポーツについても同様です。知事がオリンピック招致を言い出し、今まで国際大会などに目もくれていなかったのが、急に支援だとお金をばらまき始める。協賛団体になったとして、さきのシニア女子レスリングに一億五千万円もだすようなことに今なってきているんです。
 その一方で、四苦八苦している地域のスポーツ団体のわずかばかりの補助金も打ち切り、しかも施設維持の公共責任も放棄したために、高い利用料金でスポーツ団体は苦しめられているんです。私はこんなやり方は改めるべきだということを強く申し上げまして、時間ですので、質問を終わります。


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 ◎08年7月2日(レポート48)から11月10日(レポート53)まで<ページ・その12>はこちらから
 ◎08年5月21日(NO.46)から6月まで<ページ・その11>はこちらから
 ◎08年1月31日(NO.40)から4月27日まで<ページ・その10>はこちらから
 ◎07年10月6日から11月26日までのレポート(ページ・その9)はこちらから
 ◎07年5月23日から9月11日までのレポート(ページ・その8)はこちらから
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