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浪費型オリンピックのウラオモテ
(ページNO.8)
2007・5・23〜9・11までのレポート

【レポートNO.35  2007・9・11】
東京オリンピック招致への安倍内閣の閣議了解は「簡素を旨とし」「所要経費は既定経費の合理化で」「特別の措置は講じない」というけちけちぶり


●きょう9月11日付で、東京都が申請していた2016年のオリンピック招致計画について、閣議での了解が下りました。しかしその中味はそっけないもので、本文には「簡素を旨とし」の表現とともに下記のような別紙が付けられました。
●共産党都議団は、私の名前で、次のようなコメントを出しました。

2016年東京オリンピック招致の閣議了解に関するコメント

      2007年9月11日
      日本共産党都議会議員団
      政策調査委員長 曽根はじめ

 本日、安倍内閣は、東京都が招致を計画している2016年の第31回オリンピック競技大会について、「東京都が招請することを了解」するとともに、主要施設の整備費などについて、国が支援することを閣議了解しました。

 そもそも、2016年東京オリンピック招致は、競技施設やインフラ整備など「都市再生」と連動した巨額の税金投入が計画されていることから、都民の疑問と批判がつよく、マスコミの世論調査でも賛成が多数にいたらず、都民的合意形成がなされていないものであり、閣議了解は認められません。

(1)東京都の開催計画はほんとうに杜撰です。メインスタジアムの予定地である晴海地区は地震で甚大な被害が予想されること、メディアセンターの予定地である築地は、土壌汚染が問題となっている豊洲への市場移転を前提としていること、プールを設置できない国際展示場(ビッグサイト)を水泳会場としていることなど、おおくの施設計画が大会の成否にかかわる瑕疵をかかえていることが明らかになっています。

(2)財政的にも、直接的な投資だけで、東京都の負担のメインスタジアムをはじめ、体操会場など新規建設が計画されるだけでなく、交通アクセスについても、メインスタジアムを結ぶ地下鉄や道路などあらたな巨額の投資が必要となります。くわえて、石原知事はオリンピックをテコに、3環状道路をはじめとするインフラ整備をすすめることを表明しており、これらをあわせると8兆5000億円もの投資となり、都財政に重大な歪みをもたらすことは明らかです。

(3)介護・医療難民やワーキングプアなどが増大し、貧困と格差の拡大がとりわけ顕著な東京において、いま、都政が最優先にとりくむべきことは、オリンピックを錦の御旗にした巨大投資の道ではなく、福祉・医療、教育、青年の雇用、中小企業対策などの都民施策の拡充に全力をつくすことです。

以上


●政府の閣議了解は以下の通り。

平成28年(2016年)第31回オリンピック競技大会の東京招致について

    平成19年9月11日
    閣  議  了  解

 オリンピック競技大会の開催は、国際親善、スポーツの振興等の大きな意義を有するものであり、平成28年(2016年)第31回オリンピック競技大会を東京都が招請することを了解する。

 なお、政府としては、現在、国・地方とも財政改革の推進が引き続き緊要な課題であることにかんがみ、簡素を旨とし、別紙に掲げる方針により対処するものとする。


別紙

1 競技施設については既存施設の改善・活用を図り、施設の新設に当たっては適正な規模とするものとし、多様な財源の確保に努めるとともに、主要施設の整備に要する経費に占める国の負担割合は2分の1以内とすること。

2 新設する施設の将来にわたる管理・運営については地元の責任と負担を主体として行われるものとすること。

3 道路、鉄道等オリンピック競技大会の開催に関連する公共事業については、その必要性等について十分な検討を行い、その規模を通常の公共事業費の中での優先的配分により対処し得るものとし、国庫補助負担率等国の財政措置は、通常のものとすること。

4 大会運営費は適正な入場料の設定、放送権収入等の事業収入等により賄われるものとすること。

5 国の所要経費は将来にわたり既定経費の合理化により賄うものとし、特別の措置は講じないこと。

 関係地方団体においてもその所要財源の確保に努めるよう要請すること。


【レポートNO.34  2007・7・11
ずさんでつじつま合わせの計画(その4)

広大な臨海部で25競技も計画しながら液状化対策予算はいまだに未定


●共産党が石原知事の臨海部に集中したオリンピック計画でもっとも問題だと指摘しているのは、震災時の液状化の危険に対して、まだ構想段階とはいえ、全く無防備に近い計画だという点です。
 東京都総務局がまとめた最新の被害想定でも、臨海部はその全域が液状化の危険地域に入っています。しかも、オリンピック計画概要では、オリンピック30種目の大半の25競技を臨海部で行なうとしており、さらにメディアセンターや選手村も全て臨海部に配置するというのに、液状化対策については、一言も触れられていないのです。
 さすがに、福岡との国内候補争いの際には、JOCの評価でも安全性についての指摘がありました。

●具体的な課題として、晴海のメインスタジアム建設予定地は護岸が古く、新しい耐震構造になっていません。JOCからも「三方向が海で、観客の動線をどうするのか」との指摘があり、これは災害の場合はもっと深刻な問題になります。現築地市場も、マスコミの集まるメディアセンターを予定していますが、やはり古い護岸です。選手村を予定している有明北地区は、埋め立て造成が終わったばかりで、一番液状化が起こりやすい地区です。いずれも本格的な液状化対策が必要です。

●液状化対策が必要なのは、メイン三施設だけではありません。おもな施設予定地だけでも、@近代5種など予定している城南島地区、Aクレー射撃、馬術などの中央防波堤地区、B夢の島公園の体操、バドミントン、バスケットなどの会場など、臨海部全域にわたり、施設と周辺を合わせておよそ千ヘクタールはあろうかという広さです。

●液状化対策の費用はどれくらいか・・。昨年度予算化された、有明の丘の防災公園の液状化対策費は、0・41ヘクタールに6・8億円かけており、もし、オリンピック施設予定地の最小限、避難場所や道路部分など4分の1程度を補強するとしても、約4千億円もの巨額の費用が掛かることになりかねません。

●それにしても、都の基本計画概要では、例えば8月20日には同時に15の施設で最大で22万人の観客が臨海部に集まっていることが予想され、たとえ対策をとったとしても、これらの人々の安全を確保するには、海に囲まれ道路が限られている臨海部はあまりに危険だといわざるを得ません。
【レポートNO.33  2007・6・25
ずさんでつじつま合わせの計画(その3)

花形競技の水泳会場がまだ漂流中


●最近のオリンピックで何と言ってもメダルの新たな獲得の期待が高いのは、男子も女子も、世界のトップスイマーが外国選手と抜きつぬかれつしている水泳でしょう。
 アテネ五輪でメダルラッシュの先頭を切り、これが偶然ではなく北区西が丘のスポーツ科学センターでのハイテク技術を駆使したトレーニングの成果としてもてはやされたのも記憶に新しいところです。

●ところが都のオリンピック競技施設で最も具体化が遅れ、いまだにその場所さえ定まらないのが水泳会場なのです。
 たしかに都の概要計画書には、東京ビッグサイトに仮設で整備され、「日本最大級の国際展示場であり、選手村にも近接した東京ビッグサイトで水泳全競技を行ないます」とはっきり書かれています。しかしビッグサイトの展示場は、1平米あたり45トンの荷重制限があり、仮設の競技プールを造った時の重量にコンクリート床が耐えられないことが判明しています。
 都は公式に認めていませんが、昨年行われたパンパシフィック水泳大会をいったんビッグサイトに誘致しかけたとき、このことが影響して断念し、横浜会場になったとのうわさもありました。

●私たちは昨年の秋にJOCのある幹部から「都はビッグサイトの向かいの鉄鋼会社の土地を買って仮設会場を造る事を検討しているらしい」と聞き出しました。
 しかしわが党の議員が「実際のところどこに造るんだ」と都の担当者を問い詰めても、「ビッグサイトの直近に仮設でつくりますが具体的には現在検討中」とだけしか答えませんでした。
 
●実は国内候補地競争の中で石原知事は、必要な民間用地の買収見通しが不明確な福岡市の弱点と対比させるため、「東京都の計画ではオリンピック施設は全て都などの公共用地を使い、民間の土地を新たに買う必要はない」と豪語した経緯があります。
 鉄鋼会社の土地を購入するのが事実だとするならば、知事の「新たな民間用地は買わない」公約も撤回せざるをえなくなります。都の担当者が検討内容をはっきりさせないのにはそういう背景があると思います。

●財政も膨らみます。民間用地を付近の相続路線価から時価20万6千円/uと仮定して、計画書に示された仮設会場の建築面積7万2700uのみを買うとしても、用地費で150億円ほどかかります。
 さらに仮設プール会場の建築費を、おととしの段階で立候補を検討していた札幌市が試算した240億円と仮定し、水泳会場の整備費総額が約390億円だとすると、財政的にも現計画を大きく上回ることになります。

●そんなとき11月2日の日経新聞に、ビッグサイトの浪越社長(もと都の港湾局長)のインタビューも含めた記事として、東京ビッグサイトが約1000億円で8万uほどのフロアー規模の「第2ビッグサイト」の建設を構想していると報道されました。(写真)

●記事によると、内部は仮設水泳場の重量に耐えられる構造にして東京オリンピックに貸出す代りに800億円ぐらいは都に補助してもらいたいことや、もし東京オリンピック誘致がだめな場合は2万u・200億円ぐらいのものを自前で造ることまで想定しているとの記事でした。
 なぜこの記事が唐突に報道されたのか・・。激しく複雑な動きが水面下で起こっていると想像されます。

●おそらく、都が床の重量制限まで考慮しないまま水泳会場をビッグサイトに計画し、その後になって展示場内部に会場を設営できないことがはっきりしたのでしょう。そこから、大きな矛盾が始まっているようです。
 「ビッグサイト特設会場」と計画に明記した以上、簡単に場所を変えるわけには行かない。
 しかし仮設プールを外に造ろうとしても、隣りの駐車場は1・5〜2ヘクタールほどで規模が合わず、臨海開発の都有地は道を隔ててかなり離れています。
 ビッグサイト周辺は、鉄鋼スチールなど民間企業の倉庫などばかりですが「民間用地は買わない」という知事の約束もある。
 そこで、都が直接買わずに東京ビッグサイトが法人として土地を買って「第2ビッグサイト」を建設し、都はそこを使わせてもらいながら、そっと裏で補助をする・・。そんな思惑が動き出したのではないでしょうか。

●私がビッグサイト社長のインタビュー記事の真意を電話で問い合わせた時は、総務課の担当者は「あれは社長個人の夢をお話しただけで、正式には何も具体化していません」 ということでした。
 さすがにことの重大性に気づいてか、トーンダウンしていましたが、少なくとも会社のトップにはオリンピックを機に都の財政を引っ張り出してビッグサイトを拡大させようという野望があることだけは確かのようです。

●その後、いまだに水泳場の場所は定まった様子がありませんが、来年1月、IOCに計画の詳細を示すファイルの提出までには、知事の言明に反して民有地を購入し浪費額がまた増えることになるのか、その上「ビッグサイト」の増設というおまけまでつけさせられるのか、はっきりしなければなりません。

●ただこのなかで、水泳選手が本当に水泳競技に打ち込める条件、観客の利便性、何より人々の安全性が確保できるのか、などが都の検討の視野に入っているのかどうか・・・。その保障はいまもって感じられません。 
【レポートNO.32  2007−6ー22
ずさんなつじつま合わせの計画(その2)

リニューアルといいながら現施設の2〜3倍の施設で、開館して3年のユースプラザがつぶされる!


●昨年夏、福岡との競争で勝ち抜くため、東京のオリンピック計画は「コンパクト」「使える施設はリニューアルで」「公園の緑はつぶさない」など環境やコストへの配慮を売りにしていました。
 ところが、そのためにかなり無理をして計画書が書かれていることが、調べているうちにわかってきました。

●代表的な例が、現在の「東京スポーツ文化館・BumB」をリニューアルして整備するという、アーチェリー会場と二つのアリーナ付きの建物の計画です。
 「BumB」は、東京都で都民利用施設としては初めてのPFI方式(都の資金でなく建設・運営する民間資本で建設・経営しながら20年かけて都が分割払いで買い取っていくしくみ)で、せっかく安い料金でつかえた旧夢の島体育館に宿泊棟を増設して3年ほど前に民営施設としてオープンしました。写真のように、都内でも数少ないアーチェリーの練習場があり、A、B二つの体育館を持つ施設です。

●都のオリンピック概要計画書では、この施設をリニューアルしてアーチェリー競技会場と、A棟B棟の二つのアリーナ付き屋内競技場を造るというもので、一見すると、アーチェリーの練習場やAB二つの体育館を改修すれば整備できるかのように錯覚しがちですが、計画書に載っている施設の規模を比べてみたらビックリ。

 アーチェリー会場だけで今のBumBの敷地の2倍ぐらいが必要で、さらにABそれぞれの施設も造れば、BumBは影も形もなくなって、夢の島公園のすり鉢状の多目的コロシアムも隣りの陸上競技場も含め公園の半分かそれ以上をつぶさなければ間に合わないことが分かりました。(下の図に、仮置きで描いてみました)

●実は、この計画を見たJOCは、これはとてもリニューアルとはいえないので新設会場として扱うと都に通告したとのこと。しかし多くの都民は「既存施設をうまく使う」とか「公園はつぶさない」という説明しか知らないのではないでしょうか。

●昨年十月に、私たちはBumBを訪ね、館長と懇談しましたが、どうやら館長も当時はこの計画の実態を知らなかったようで、「リニューアル後も私達に運営させてほしい」と話していましたが、まさか今の400ぐらいしか席のない小規模体育館が、合わせれば6万人も観客席を持つ3つの巨大施設になってしまうとは思ってもいなかったようです。
 そのあとアーチェリー練習場を案内しながら「この練習場もこのままでは国際大会はできないでしょうね」などと言うのを聞いて、本当に何も事実を聞かされていないのだと痛感しました。


【レポートNO.31−−2007・6・19
ずさんでつじつまあわせの招致計画(その1)

現国立競技場をサッカーグランドに?!
日本陸上競技連盟(陸連)が激怒


●6月19日の都議会本会議で、私たちはオリンピック計画について「ずさんでつじつま合わせの計画」と厳しく批判しました。その背景には、この間調査した幾つかの事実があります。いくつかをシリーズで紹介していきます。

●5月22日にオリンピック招致委員会で決定され、発表されたメインスタジアムの計画は次のようなものでした。

  「メインスタジアムの基本的考え方について

1 施設配置
  都立施設として晴海地区に建設

2 建設費
  ・建設費は、約1000億円
  ・PFI方式等による民間資金の最大限活用や国費の調達等について検討

3 後利用
  オリンピック後は、第1種陸上競技場として大規模大会開催のほか、コンサート等多目的に活用

4 その他
  神宮外苑地区の国立霞ヶ丘競技場は、改築し、サッカースタジアムとして活用  」

●オリンピック招致委員会は、上記のように、オリンピックのメインスタジアムを、国立で晴海に建設するという最初の計画を断念し、晴海に都立で建設することに変更しました。
 しかし、この間には、3月の日経新聞にメインスタジアムが神宮外苑に変更という予測記事が出るなど、色々なうわさが飛び交いました。
●文科省は、一貫して「晴海に二つめの国立競技場を造ることはありえない」という態度をとっていました。そこで都としては、国立で競技場を造るなら、神宮外苑の国立競技場の改修か建て替えでメインスタジアムにする方法となります。
 もう一つは、晴海にこだわるなら、国立をあきらめ都立で建設ということになります。今回は、この道を選んだわけです。
●ところが「晴海に都立で競技場」という道を選んだ場合もう一つの問題点が浮上してきます。
 つまり都内に2箇所もの巨大陸上競技場が両立できるかというと、はっきり言って現状では無理があるのです。
 国立競技場は、陸上大会だけではなく、Jリーグや高校サッカー大会などで使って何とか黒字にしているそうです。そこに10万人規模の陸上グランドができて両方が競争すれば、規模が大きく新しい晴海グランドは料金も高く、国内大会には敬遠されてたちまち経営破たんになるでしょう。イベントやコンサートといっても10万人規模は簡単じゃありません。
●そこで出てきたのが、上記の考え方の「4 その他」にあるように「霞ヶ丘をサッカースタジアムにしてしまえ」という乱暴な案です。
 招致委員会には、日本体育協会の森会長(元首相)や、河野一郎氏も入っていますから、当然、関係者の合意ができたと思われがちですが、実はそうではありませんでした。
 
●6月上旬に、わが都議団の松村友昭議員が、招致委員会の方針について日本陸上競技連盟に訪問して意見を聞こうと連絡したら、以下のような話がありました。


 
(財)日本陸上競技連盟 山本聖悦事務局長のはなし

 
○質問:東京オリンピック招致委員会が「神宮外苑の国立霞ヶ丘競技場は、改築し、サッカースタジアムとして活用」する考え方を決め、6月14日の都議会オリンピック招致特別委員会に報告することになっているが、日本陸連の考え方は。

 ○答え:事務局長・・・・・・陸上競技にとっては1964年オリンピックをおこなった国立競技場は聖地である。絶対困ります。
 オリンピックを霞ヶ丘国立競技場でやるのは、規模の点で無理だから、晴海でやるというのは日本陸連としては、どうぞという考えだが、そのためにサッカー専用にするというのは、まったく別間題である。
 今後、陸上競技は晴海を使えばいいではないかというが、10万人の競技場では通常の大会はやれない。
 国立競技場では、今後、全日本陸上の周年大会が予定されているし、今年の夏には、定時制の大会も開かれる。
 国立競技場は芝生もすばらしく整備されているし、陸上をやるものは国立競技場で走ることを夢見てがんばっている。日本の陸上の聖地なのだ。
 世界の各国もオリンピックの開催競技場を残しておくのが通常、常識である。
 こんな(霞ヶ丘をサッカー専用にするという)議論をおこなうのはおかしい。
 実は、文科省とのヒヤリングがすでにあった。すでにそういう話があったので、絶対に反対ということを申し上げた。
 東京都のオリンピック招致本部も来て、説明があったが、はっきり反対の意思表示をした。
 日本陸連のこの考え方は、現場責任者の専務理事とも一致している。会長(河野一郎氏)にもその意向を伝えてある。

●このように日本陸連は、霞ヶ丘を何としても陸上競技場として残すべきだという姿勢がはっきりしています。
 そうすると、都立で晴海に同じ陸上競技場をつくることが成り立つのかどうか、はなはだ疑問になります。
 世界のオリンピック開催地ではとりわけメインスタジアムの後利用が難しく、財政負担の後遺症に悩んでいるとのことです。
 そこから、この「霞ヶ丘をサッカー専用グランドに」追いやって、都立で整備する予定の大規模陸上競技場を何とかもちこたえさせようという意図がありありとみて取れるのです。だからこそ、陸連はかんかんになって怒ったのでしょう。
 メインスタジアム一つとっても関係者との合意が得られる状況でないことは確かなようです。

【レポートNO.30−−2007・6・17】
臨海かわら版が面白い

●臨海開発に反対して住民と労働組合が力を合わせてがんばっている「臨海部開発問題を考える都民連絡会」(略称:臨海都民連)が、昨年から臨海かわら版という新聞を出しています。地元の住民や臨海関係の情報が載っていて、なかなか面白い。臨海部を海上に設定しているオリンピック計画の現状にもメスを入れています。
最近の号から幾つか紹介しましょう。

(1)3月13日・第9号


●東京都がメインスタジアムを晴海に決めたにも拘らず、「晴海は無理だ」「やっぱり神宮外苑だ」などの声が、古くからのスポーツ関係者から上がり、日本オリンピック委員会(JOC)の競技団体へのヒアリング調査でも、そういう声がかなり多かったようです。
●一方の面では、豊洲の土壌汚染問題を紹介しています。


(2)6月5日号第12号・・・知事選で石原が三選を決め、その後の招致委員会で、色々うわさは飛び交ってきたオリンピックのメインスタジアムは晴海に、今度は都立で整備することになりました。
 しかし、臨海かわら版には、JOCの中に、まだまだ多くの矛盾があり、国立競技場(霞ヶ丘)でなければ有力な国際陸上競技はできないという意見もありました。

 また、オリンピックのメディアセンターを計画している築地市場の豊洲移転についても、移転先の土壌汚染問題が紛糾していることが紹介されています。
 中の土壌や地下水を分析しようとすると、「土も石も水も持ち出すな」というかたくなな都の態度について、土壌汚染隠しだと批判しています。
(2)
【レポートNO.29−−2007・5・23】

招致委員会からいくつか報告がありました

●オリンピック招致委員会が再びボツボツ動き出したようで、5月22日開かれた理事会と通常総会の決定について幾つか報告がありました。以下の通りです。

(1)役員の改選・・招致委員会の副会長であり、都議会の議連会長と特別委員長を兼ねていた山崎孝明氏が高等区長に出馬し当選したため、副会長には議連会長に就任予定の自民党・高島なおき氏が選任されました。
 なお、オリンピック特別委員長には既に5月10日の委員会で野村有信氏が就任しています。このほか、JOC副会長にも交代があり、都では横山副知事に代わり、谷川副知事が、招致委員会の副会長になりました。

(2)東京オリンピック招致大使の選任。・・・有森裕子、星野仙一、山下泰裕の各氏をオリンピック招致大使に選任し、イベント出席、パンフレットなど応援メッセージなどに協力してもらい、盛り上げていくとしています。

(3)メインスタジアムは神宮外苑を断念し、晴海に都立施設として建設する方針を招致委員会の総意として固めました。

(4)招致スケジュールの確認・・IOCから、第31回(2016年)オリンピックの「立候補受付手順書が発表されました。

(5)昨年度の招致委員会の決算(といっても発足して間もないので総額で8千万円規模)が発表されました。

●新役員は以下の通りです。

●ちなみに高島都議も、特別委員長の野村都議も、石原知事が代表を務める、総理に靖国参拝を求める「日本会議」の地方議員メンバーで、いわば反中国・タカ派の議員組織のメンバーがオリンピックの都議会主要ポストを分け合った形です。
 私は、石原親衛隊が手綱を握ることで、オリンピックを平和の祭典としてとり組む姿勢からますます遠ざかろうとしているのを感じます。

●メインスタジアムについては、うわさのあった神宮外苑を避けて、計画通り晴海に都立施設として1千億円で建設することを確認。
 明治神宮氏子総代としての石原知事の立場から疑惑が生じかねないことや、神宮に手をつければ大規模な開発がらみにならざるをえないこと、国の責任による国立競技場の建替えはあてにできないこと、何よりオリンピック施設計画の大幅な変更となり、計画に疑問を持つ都民の気持ちがますます離れてしまうのを避ける必要があることなどが背景にあると思われます。それにしても、オリンピックがらみの都の投資が、また1000億円増えることになりそうです。

●このほか、今年9月13日までに立候補申請を行い、来年1月14日までに申請ファイルの提出を求めるIOCからの手順書が届き、予想より2ヶ月、ファイルの提出が早くなったことなどが報告されました。

 ◎10月22日から11月30日までのレポート(ページNO.7)はこちらから

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