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浪費型オリンピックの裏表(ページNo.12)
レポートNO.48 ( 08・7・2)
からレポートNO.53 (08・11・10)まで

【レポートNO.53  08・11・10 
8−1110決算委員会・たぞえ議員のオリンピック招致本部質疑
●先日の、決算委員会で、たぞえ議員が、昨年度、水ぶくれしたオリンピック招致予算のあまりにズサンな運営について、追及しました。速記ができましたので、紹介します。

来年10月までに民間資金50億円集まるのか?!
「国際大会に補助金」といういい加減な予算は執行ゼロで他に流用

○たぞえ委員 それでは、十九年度の招致本部の決算について質問したいと思います。
 十九年二月八日に開かれた都議会オリンピック招致委貞会で、私は、十九年度に行う国際スポーツ大会への七億円投入の補助金支援事業について、国際競技のみに放り込むことは公平なスポーツ振興とかけ離れていると指摘をしましたが、この支援事業、七億円はどう実行したのか、説明いただきたいと思います。

○中村招致推進部長 十九年度の国際スポーツ大会支援事業についてでございますが、この事業につきましては、国際競技大会の招致について、それについて支援をしながら招致していこうというものでございます。
 ところが、この大会、この予算を通していただきました新年度になりましてすぐに、正確には十九年四月の二十五日ですが、IOCのジャック・ロゲ会長が、五輪招致を表明している都市による主要国際競技大会の開催誘敦を禁止する方針であるというコメントが出されました。これによりまして、新たな国際競技大会の招致を控えることとなりました。

 また、既に開催が決まっております大会についての補助も、こうした背景をもとに、特に申請というものはございませんでした。
 ロゲ会長のこのコメントは新年に入ってからのものでありまして、十九年度の予算要求の時点では知り得なかったものでございますために、十九年度の国際招致事業の七億円についての支出はございませんでした。

〇たぞえ委員 あれだけ特別委員会で支援をすると、こういうふうに答弁されて大騒ぎになったわけですが、結果的に一つもない。なぜ競技大会側から手が挙がらないのか、もう一度説明いただきたいと思います。

〇中村招致推進部長 先ほども答弁申し上げましたけれども、これはIOCのロゲ会長というIOCの最高責任者の方が、国際競技大会の招致活動、特にオリンピックの招致都市について控えるというようなコメントがございましたので、これに基づきまして、各競技団体の申請もございませんでした。

〇たぞえ委員 もともと予算を組んだ招致本部や東京を中心にした大会に一競技五千方円ということで説明されたわけですよ。IOCの会長云々ではなくて、そういう射程距離を置いて支援するんだといっていた。ところが、その競技大会側から、結風は、実態としては相手にされなかったんです。

 しかも、決算書によると、国際スポーツ大会支援事業の予算現額は七億円ではなくて、四億三千五百万円をほかに流用して、二億六千五百万円と形を残しましたが、それも執行額はゼロ円、執行率はゼロ%です。
 もともと私も指摘をしてまいりましたが、東京都は地域のスポーツ振興には力を注がず、国際大会も、招致も支援もしてきませんでした。それがオリンピックだからといって、国際大会だということでお金を増す、そういう事態でした。そんなことは初めからわかっているのに、議会でそうした報告をして通す。都民の税金を使う方法として、大変問題だと思います。

 当初予算では、招致事業の中の申請ファイルは当初幾らで予算化していたのか。また、この予算額はもともと妥当と考えていいのか。いかがですか。

〇中村招致推進部長 十九年度の申請ファイルの当初予算額は二億八千万円でありました。申請ファイルの当初予算額につきましては、まだまだ我々も未知のことが多く、その中で予算を編成してきたものでございますが、この時点におきましては、二億八千万円という金額は我々としては出せる、この時点におきましてはベターなものと考えております。

○たぞえ委員 では、決算ではどういう推移になったんでしょうか。

〇中村招致推進部長 決算額は七億四千七百万円でございます。

〇たぞえ委員 その差は四億六千七百万円、予算より二・六倍に膨れました。三分の二は流用しなければつくれなかったということです。
 国際スポーツ大会で減らした四億三千五百万円が、丸々申請ファイル代に化けてしまった。仮に国際大会で全部使ったらどうするつもりだったんでしょうか。ファイルの委託に支障が生まれ、そういう綱渡りの予算ではなかったかといわざるを得ません。

 他の局の公共事業で、予算が年度内に二倍、三倍になるという例は、私は聞いたことがありません。予算の鉄則からも外れているといわざるを得ないのです。なぜ申請ファイル委託の経費がこんなにもふえたんですか。

○中村招致推進部長 申請ファイルの原案の作成を進める中で、海外の専門家、アドバイザーなどを通じて多くの情報を収集したところ、IOCが各都市の申請ファイルを評価するに当たり、特に重視する項目が判明いたしました。このため、IOCの高い評価を得るファイルを作成すべく、広範な調査分析を行う必要性から経費がふえたものでございます。
 具体側には、輸送計画においては、道路の交通量や鉄道の駅の処理能力について極めて詳細な調査を実施しました。また、宿泊施設については、東京ばかりではなく、半径五十キロ圏、さらには大阪市、札幌市などのホテルについても実地調査を行い、また、安全、環境、財政などについても詳細な調査を行いました。
 これらによって、これで得られました十分なバックデータに基づき、精度の高い、すぐれた申請ファイルを作成することができたと考えております。
 その結果、去る六月に発表されましたIOCの理事会の作業部会の報告におきましては、東京の申請ファイルが、申請都市七都市の中の総合評価で第一位となったものでございます。

●招致本部の委託事業の93%は電通が独占

〇たぞえ委員 その申請ファイルですが、ファイルなど作成にかかった業務委託を受け入れた相手はどこでしょうか。

○中村招致推進部長 申請ファイルの原案の作成に当たりまして委託いたしました契約相手先は、電通、ユーテック等でございます。

○たぞえ委員 その電通とは、申請ファイルについて、一般競争入札なのか随意契約なのか、どちらの方法で契約を結んだんですか。
 
〇中村招致推進部長 随意契約によって契約してございます。

〇たぞえ委員 先ほど宿泊施設、札幌まで調査に行ったとかお話しされましたけれども、結局、ずるずるずるずる毎年同じところに委託をしなきゃいけない。十九年度、招致本部は八億二千万円のいろいろな契約を行っていますけれども、電通関連企業とは、十九年度契約の件数と額はどうだったのか、示していただきたい。

〇並木企画部長 十九年度の委託契約でございますけれども、電通に契約したものが、件数でいいますと全部で七件、契約金額で七億六千七百万円でございます。済みません、契約件数ですけれども、全部で六件でございます。先ほどのユーテックを入れて七件ですので、六件でございます。

〇たぞえ委員 一つの企業に契約が四割近く集中して、金額でも、電通に九三%が集中している。
 そのほかの六割は、いただいた資料ですと、数万円とか数十万円とか、東京味の素スタジアム直営ですとか、こういう状況です。一つの企業・電通に、随意契約で去年も今年もと。

 そして、その企業に仕事が契約の四割、金額の九割以上も委託をされるということ自身が、私はおかしいと思います。委託を受けた電通は、予算の枠のことなんか何にも心配なくて、幾らでも予定価格よりも上がれば、どんどんそれを請求出してくる。その経費といえば、国際大会で使いますと都民には公表してきたあのお金を、結局ずるずる流し込んでいる。一連のそういう実態です。いいかげんな税金の使い方といわれても仕方ないんじゃないでしょうか。

●予算になかった招致委員会への補助(25億円)が申請ファイルで登場

 次に、当初予算で東京オリンピック招致委員会への事業費禰助は計上していなかったと思いますが、どうでしょうか。

〇並木企画部長 特定非営利法人東京オリンピック招教委員会への補助でございますけれども、オリンピック招致事業につきましては、都と戦略的、効果的に招致活動を行うことを目的に招致委員会が設置され、綿密に連携して事業を進めていたところでございますが、都と当該委員会との役割分担に基づきまして、民間のノウハウを活用する。
 これが効果的な事業につきまして、補正予算によりまして事業費の補助を行ったところでございま
す。

〇中村招致推進部長 先ほど電通への委託の話が出ましたので、ちょっと答弁させていただきます。
電通を委託先とした理由ですが、冬季オリンピック競技大会の招致運営の中心にかかわっていた実績があること、また、IOCの公式スポンサーの関係業務を行っていること、過去のオリンピック・パラリンピック競技大会に関する情報に精通していること、オリンピック・パラリンピック招致に関して、人的なネットワークを既に構築していること、オリンピック以外にも国際的な陸上、競泳、サッカーなどの主要な大規模スポーツイベントの運営、マーケティング等にもかかわっていることなどの総合的な判断から電通としたものでございます。

〇たぞえ委員 要するに電通しかないわけですね、この事業は。
 私、先ほどの質問で、当初予算では計上したのかという質問をしましたが、それについて、お答
えをきちんといただきたいと思います。

○並木企画部長 オリンピック招致委員会の事業費補助の金額でよろしいですか。(たぞえ委員「は
い」と呼ぶ)
 オリンピック招致委員会の事業費補助につきましては、これは当初予算では計上してございませんで、補正予算で十九年度計上させていただいております。

〇たぞえ委員 そうです。議会の報告でも、招致委員会事業費補助はゼロ円。こういうことで議会の承認を求めてきたんです。ところが、年度の最後の補正で、招致委員会への支援は七億三千六百万円もの予算がつきましたが、なぜですか。

○並木企画部長 先ほどご答弁をさせていただきましたが、オリンピック招致委員会とオリンピック招致本部と、都との役割分担に基づきまして、民間のノウハウの活用をすることが効果的、そういう事業につきましては招致委員会が実施することとし、これに対して補助を行ったものでございます。

〇たぞえ委員 予算を審議する議会での説明ではなかった。しかし、予算が執行した月に入ったら補正でお金をつける。これは十円、二十円の世界の話じゃないです。一つの委員会という大きな組織に億というお金を入れるわけですから、そんな大事なことを、連携が必要だということだけで使われていいんでしょうか。

●目標の1割ほどしか集まっていない民間資金、あと1年で集まるのか

 二十年一月にIOCに提出した申請ファイルの中で、招致に必要な経費は民間資金と東京都の資金提供により行う。これは全体で五十五億円を予定して、そのうち民間資金は二十四億円集めて、東京都は税金を使って三十一億円と、こういうふうに申請ファイルには記載されています。IOCの皆さんは、そういう資金繰りで東京は招致を行うんだなと、こういうふうに見ていたんじゃないでしょうか。

 その後、三月末に新たな考え方が示されて、全体の招致費は百五十億円。内訳は、招致本部が七十五億円、招致委員会が七十五億円。そのうち二十五億円は、東京都が直接補助金を出す。(民間から50億円。)そういう方向に転換をしました。 
 十九年度の民間からの資金はどのぐらい集まったんでしょうか、伺います。

〇並木企画部長 十九年度末までに、招致委員会が収入済みといたしました金額は五億五千五百万円でございます。

○たぞえ委員 今、答弁で五億五千五百七十八万円といわれましたけれども、きょう委員会に提出されている資料でも、民間からの資金の受け入れは、寄附金四億八千四百五十万円、協賛金七千百二十六万円となっております。招致委員会が民間から集める五十億円とは相当遠い数字だと思うんです。なぜ集まらないんですか。

〇並木企画部長 ただいまの数字でございますけれども、この数字は十九年度中に寄附や協賛の契約がまとまりまして、十九年度中に収入した額でございます。収入時期につきましては、個々の企業との契約によりまして、一括寄附や数年にわたって分割して納付される場合がございます。二十一年度までには順次会計上の手続を行ってまいります。

〇たぞえ委員 来年、二〇一六年の都市が絞り込まれるのが十月です。実にあと一年足らずということになるわけですが、残りの約四十五億円、確保できると、こういうふうに確信をしているんですか。

〇並木企画部長 民間の資金の確保についてでございますけれども、先ほど来ご答弁させていただきますが、収入済額が五億五千万円ということでございまして、既に五十億円の大半を占める額については、民間からの資金の提供が約束されてございます。したがいまして、今後引き続き、民間企業、経済界に対しまして、オリンピック・パラリンピックの開催意義や効果をPRしまして、予定の民間資金、十分調達できるものと確信してございます。

〇たぞえ委員 約束されている、心配ない、こういうふうにおっしゃいましたが、じゃあ、いつ入ってくるんですか、五十億円、すべての金額について。来年十月までに確実に入ると、今都議会に約束できるんでしょうか。

○並木企画部長 民間資金の五十億円につきましては、来年の十月の開催都市決定まで、ここまでに全力を挙げて五十億を確保すると一定のめどがついておりますので、あとは自信を持って調達できると思っています。

〔「金融不安だからな」と呼ぶ者あり〕

〇たぞえ委員 まあね、約束をされてても、やっぱり今、ほかの委員の方から意見出たけどね、本当にやる気を消すような経済状況ですよ。領収書を発行しているわけでもないし、お互いに契約書を取り交わしたわけでもないし、覚書をつくったわけでもないし、やっぱり願望だけじゃ、これは進まないと思います。
 結局、民間からの資金が集まらないために、補正予算で組んで、七億三千六百万円もの税金を招致委員会につぎ込まなきゃいけなかった。そういう事実ですよ。招致委員会の事業費は、民間からの寄附金と賛助金で賄うから税金の心配ない、こういっていましたが、それだけの投入が行われていった。

 それでも足らないから、委員会と招致本部は協調路線だからというので、委員会の事業を本部が請け負うということもいろいろ実施されているようです。結局、どんどん税金投入が膨れ上がって、他の局に比べて、オリンピック招致への税金の使われ方、私は聖域になっているといわざるを得ません。

 東京都が四都市に絞り込まれる直前に行った、都政に関する東京都の都民アンケートが行われました。東京都のアンケートです。文京区の三十代の女性の方はこういっています。
 「正直、オリンピックにお金をかけるなら、子育ての手当を充実してほしい、こういう意見が東京都の文書で配布されました。
 都立駒沢オリンピック競技場の、今観覧席が雨漏りして、その真下のトレーニングルームが当分使えないという状況に置かれています。医者が足らなくて、たらい回しで都民が死亡する事件。都の都立病院のあり方が都民から疑問視されております。

 仮に医師一人約二千万円を想定した人件費で医師の確保を行えば、国際競技大会の補助経費七億円で、三十五人の医師を確保できるお金なんですよ。東京都全体としたら、こうした分野にこそ、私は税金をきちんと使うこと、そういうことで都民の潤いをつくっていくことこそ急がれるんじゃないでしょうか。実行できない予算を組んで、ほかに流用して、さらに全部使い残す。こんな使い方はあり得ないと思います。

 本部長に伺いますけれども、あなたを先頭に進めているこの招致活動、予算の土台の信頼性が問われる重大な十九年度の決算だと思います。コンパクトな大会をやるといいますけれども、お金の分野ではどんどんどんどんと広がっていく。全くコンパクトといえません。庶民感覚からいっても信じがたい事実だと私思いますが、本部長の見解を伺います。

〇並木企画部長 先ほど来の質問の答弁の中で、ちょっと認識が違うものがございますので、追加でご説明させていただきます。
 補正予算につきましては、ことしの第一定例会の委員会でご審議をいただいてございます。その中で、招致委員会に対しまして、新たな事業を展開する分については補助を行うということでございますので、委員会を無視して補正をしたということはございませんので、その辺は追加します。
 あともう一点でございますけれども、先ほど申請ファイルのお話が出ましたけれども、申請ファイルの数字と、それから招致経費五十五億円、招致活動費百五十億円ですか、この関係は直接関係ございませんで、二十年の三月の補正で、招致経費五十五億円、招致活動経費百五十億円というふうに増額したものでございます。

○荒川東京オリンピック・パラリンピック招致本部長 今、たぞえ先生からお話がありましたけれども、何かむだな金をオリンピック招致の中につぎ込んでいるというふうなお話がございましたけれども、決してそんなことはございませんで、きちっと我々は議会の方に予算を提案し、それを審議していただいて認めていただいているというふうに理解しております。
 また、確かに当初の予算では入らなかった招致委員会への補助金につきましても、補正という形できちっとした手続で議会に提案し、ご審議いただいて認めていただいている。また、その執行についても、できるだけ明らかにしながら進めていくつもりでございまして、一切そのような秘密のような、何か勝手に専決処分でどんどんやっているというようなことは全くございません。
 それから、五十億円につきましても、何も願望ではございませんで、たまたま今の時点で、相手があることで数字が発表できないだけでございまして、それぞれの年度末、昨年度未あるいは、たしか二定の中だと思いますけれども、そういった中で、うちの部長たちあるいは私の方から、現状どのぐらいまで集まっているかというのをお話しさせていただいたわけでございまして、現在についても、たまたま額がちょっと今、申しわけございません、出せませんけれども、差し控えさせていただきますが、きちっと必要な民間資金については集めております。ぜひとも今後ともご支援をいただきたいと思います。

○たぞえ委員 きょうは十九年度の決算についての審議ですので、現行二十年度のオリンピック招致のあり方については、改めて事務事業概要で質疑をすることになると思います。
 この十九年度、申請ファイルを出した年でもあり、スタートの大変大事なときにもかかわらず、予算提出に当たって、途中で年度のおしまいに補正をつけなきゃいけないとか、それから、申請ファイルをつくるのに、当初予算よりも数倍の変更をしなきゃいけないとか、このオリンピック招致が、そういう難題を抱えて十九年度は動いたということではあると思います。決算で承認してほしいという提案でありますけれども、幾つか問うてきた見解の中では、到底私どもは承認することができないということを申し上げて、質問を終わります。


【レポートNO.52  08・10・10 】
石原知事が「オリンピック戦争」に勝つため、議会の海外出張PRまで要求


●10月2日付で、石原知事が、オリンピック招致委員会の会長として、都議会議長宛に、東京オリンピック招致のために、都議会も海外でのPR活動に取り組むよう要請する文書を出してきました。


●同じ日に、オリンピック関連のイベントで、知事が「戦争のときに横を向いている人が多かったら、その国は負けちゃいますよ」などと、オリンピック招致を戦争にたとえるとんでもない発言をしたことが、翌日の毎日新聞で報道されました。


●なるほど、知事はいまや何が何でもオリンピックを呼び込もうと、なりふりかまわない作戦のようで、「招致戦争」の”海外応援軍”を都議会に頼み、海外視察用の都議会予算を軍資金に調達しようということでしょうか。


●ついでに、海外視察の報告書盗用問題で、今後の都議の海外調査にブレーキがかからないよう、自民、公明、民主に外から応援しようという思惑も感じられるのは、私だけではないと思います。税金のムダ遣い同士、類は友を呼ぶというべきでしょうか。



【レポートNO.51  08・9・30 】
北京・ジャパンハウスの過剰な活動実態

●村松議員の代表質問でも指摘したように、北京オリンピックをめぐる石原知事とオリンピック本部などの幹部達の浮かれ騒ぎようは、あまりに異常で、マスコミでも批判的に報道されました。
 最大の要因は、都のオリンピック本部と招致委員会が、北京オリンピックをシカゴやマドリッドに水をあけられている2016年オリンピック招致への起死回生のチャンスとみて、破格の費用をかけて、北京政府関係者やIOC委員へのロビー活動に血道をあげたことでしょう。

●第1に、お金の使い方のひどさです。北京・ジャパンハウスでの招致活動には、石原知事夫妻などの旅費五百三十五万円、開会式の知事の通訳代九十五万円、宣伝用DVD・冊子などに一億六六〇〇万円など、四億二千九百万円も都民の税金が使われたのです。
 北京での経費の一覧表は、右の通りです。

(1)目に付くのは、旅費の大きさです。このなかには、石原知事がちゃっかり夫人同伴で北京の開会式に招待されたのを口実に、夫婦で出かけた500万円あまりが含まれています。この点では、一昨年秋にわが党が石原知事の夫婦同伴の海外視察問題を追及したように、他の県では夫婦同伴の例は少なく、埼玉県知事は、夫婦で招待されても、夫人の旅費は自費で払っています。ましてや石原夫妻は、北京の開会式の特別席を用意されただけでも十分優遇ですから、夫人の旅費ぐらい自前で払って当然なのです。

 それだけではありません。
●オリンピック担当の谷川副知事は、東京と北京を4回も往復しました。しかも普段は1万円程度の北京のホテル代が4〜5倍に跳ね上がっていたといいます。
●これをはじめ、のべ81人の都の職員が北京に出張していましたが、なかには、ほとんど招致の仕事をせずに競技ばかり観戦していたものもいると、ある新聞に書かれたほどで、これほどの人数が必要だったのかは、はなはだ疑問です。

(2)ジャパンハウスの費用も異例です。一流ホテルのフロアを貸切で使ったため、1億円の賃料がかかったといいます。他の候補都市で、独自にこれほどの拠点を構えたところはないという話で、だいたいメディアセンターなどを使ったようです。
 そこでの東京招致のためのブースの運営だけで1・7億円もかかっていますが、詳細はまだ不明です。
 さらに、こうした公式のブースには、狙っているIOC委員は警戒して訪問しないらしいと知って、別の電通その他民間企業のイベントなどをロビー活動に活用したといいますが、その実態もなぞのままです。

(3)さらに、ブースなどで上映したという東京紹介のDVDにも、億の単位の金がかかっていますが、とうていそんなに高額の製作費がかかるとは思えないものです。
 いずれも、イベント関係費として、その大半を電通が担っていることも注目に値します。オリンピック関連の都のイベントや文化行事は、大東京マラソンはじめ、まさに電通委託のオンパレード。これでいいのでしょうか。

【レポートNO.50  08・9・22 】
都の区市町村への上限1千万ずつのばらまきが82回に

●以前にお知らせした、東京都のオリンピック招致本部が今年度予算で都内全区市町村に1千万円限度に、オリンピック招致を冠したイベントへの補助が、9月16日までに82回に及んでいることが、分かりました。

●ひとつひとつは、これまでも地元で行なわれていたイベントが大半のようですが、ともかく東京オリンピックの宣伝を入れてくれればお金を出すというやり方は、これこそがばらまきというべきです。これでどれほどのオリンピックムーブメントにふさわしい貢献をしたのか、きちんと検証すべきだと思います。

●以下に、82回のイベント内容を紹介します。後日、かかった費用も調べたいと思います。




【レポートNO.49  08・7・6 】
東京は、四都市で最大のインフラと競技施設整備費を申請

 6月の都議会でわが党が明らかにしたように、東京は四候補都市に残ったものの、その中で、住民の支持が最も低いことが最大の弱点といえます。
 その原因は、「何が何でも東京で」という招致合戦に血道をあげる石原知事のオリンピックの精神をゆがめる姿勢も一因ですが、同時に、オリンピックを口実にしたインフラ(高速道路や空港などの都市施設)整備の必要以上の浪費計画への批判があります。
 インフラや施設の整備計画は、わが党が「実際より過小に申請している」と批判した申請ファイルの中でさえ、他の都市より何倍も大きくなっています。下記に、USドルと日本円に換算した申請ファイルでの競技施設とインフラ整備の四都市の比較表を掲載します。


【レポートNO.48  08・7・2 】
2008年6月11日オリンピック特別委員会質疑
”過小申告”で四候補都市に残ったものの都民の支持は低調気味

 都議会定例会の代表質問に先立ち、6月11日にはオリンピック特別委員会が開かれ、6月4日に決定された四候補都市についての報告、質疑がおこなわれました。
 自民党の村上議員以外は、わが党の松村・たぞえ議員の質問だけで、民主・公明・ネットからは質問がありませんでした。

●事実をゆがめた申請書類で審査された結果


○松村委員 二○一六年夏季オリンピック開催候補地の一つに東京都が選出されましたが、石原知事が進めるオリンピック招致は、とんでもない税金の浪費につながるものであること。つまり、招致経費は既に当初の三倍の百五十億円に膨れ上がり、オリンピック招致をてこにした大型幹線道路や大型箱物などの投資は九兆円規模になること。さらには、オリンピックのメディアセンターをつくるために、築地市場を土壌汚染が重大となっている豊洲に無理やり移転させようとしていることなどが全く隠されたまま選考されていることです。

 そこで、まず、選考四都市中一位となったといいますが、どういう選定方法によるものであるか。
 先ほども説明がありましたけれども、この申請ファイルをについてのIOCの作業チームからの内容についての質問や、また現地調査があったのでしょうか。

○中村東京オリンピック招致本部招致推進部長 四都市の選定方法についてのご質問でございますが、立候補都市の承認は、オリンピック憲章に基づくIOC理事会の権限でございます。IOC理事会は、各都市からの申請ファイル、そして専門家などにより構成された作業部会の報告書などを参考に立候補都市を決定いたします。
 IOC作業部会の決定に当たりましては、申請ファイルはもとより、IOCの専門家たちがさまざまな資料を収集いたしまして、その中で決定されるものでございます。
 なお、二○一六年オリンピック競技大会については、七都市の申請都市の中から、東京を初めとする四都市が、六月四日のアテネで開催されたIOC理事会において決定されたものでございます。

○松村委員 要するに、七都市から提出された申請ファイルに基づいてそれを評価するということであり、実際には、聞き取り調査とか現地調査が一切やられていないと。確かに評価レポート、この中には専門家からの意見も聴くということがありますけど、ただその一行で、具体的にはどういう形でやられたかといえば専らこの申請ファイルに基づくものでありますから、つまり高く評価されるようなプランをつくって提出すればそれがそのまま評価されるということになるのです。

東京のプランも、まさにそのたぐいのもので、申請ファイルとIOCの評価、現実の実態とは大きく乖離し、それがIOCに正しく伝わっていないということにほかなりません。

●ありのままの世論調査では最下位

 唯一、ありのままに写し出されたのが世論調査です。世論調査、もちろん事実のごまかしようがなく、七都市中六番目の低さということが明らかとなったのです。
 そこで、幾つかの事例で伺いますが、まず、一般的インフラ、競技会瘍で、既存の輸送インフラの充実や計画中の輸送インフラの実現可能性、または既存施設の利用度や会場配置の合理性などが高い評価となっておりますけれども、インフラ整備費と競技施設整備に幾らかかるのですか。お聞きします。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 申請ファイルに記載されましたインフラの総事業費ということでございますけれども、輸送の関係で申し上げますと、申請ファイルに記載したものにつきましては、「十年後の東京」等において計画されておりますインフラ整備の中から、大会の開催に直接的に必要とされるインフラのみを記載してございます。

 具休的には、既存インフラの改良工事にかかわる事業費は、臨港道路などの整備費として一千億円、計画中のインフラ整備にかかわる事業費は、首都高中央環状線、首都高環状品川線などの整備費として九千五百八十億円、総事業費といたしましては一兆五百八十億円と記載してございます。

○中嶋東京オリンピック招致本部計画調整担当部長 申請ファイルにおける競技会場の整備費につきましては、申請ファイルの巻末に、競技会場に係る表が掲載されてございます。
 この中で個々の競技会場の整備費を記載しておりますが、これらに記載されております整備費の合計は、恒久施設整備費が二千三百三十八億円、仮設整備費が百二十三億円でございます。
 ちなみに、評価レポートについてのお話でございますげれども、他都市におきましては、例えばシカゴが、会場の建設予算が低く見積もられており、吟味を要するというような指摘を受けてございます。
 また、リオデジャネイロにおきましても、整備費関係におきましては、追加で建設される十二会場のコスト、工程及び資金の管理が必要であると。それぞれ他都市につきましても、こういった今後の課題を指摘されておりますが、東京につきましては、そのような課題についての指摘は一切ございません。

●過少申告の1兆580億円でも莫大な負担

○松村委員 インフラ整備費で一兆五百八十億円、競技施設でも、合計しますと三千二百四十九億円といいますが、今の都民生活を考えたら、私はとんでもない金額だと思います。
 この莫大な経費を一体だれが負担するのですか。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 輸送インフラにつきましてはもともと都市に必要なインフラということで、例えば「十年後の東京」などの計画に既に載っているものについて記載してございます。したがいまして、各事業の中で実施されるというふうに認識しております。

○松村委員 答弁になっていないと思うんですね。どこがというか、だれが負担するのかと。確かに、この申請ファイルの表を見れば、国とか民間とか東京都とかいうことがありますけれども、例えば国といっても、インフラ整備費も、中央環状品川線を見てもわかるように、本来国でやるべきものまで都が負担するはめになっているようで、本当に当てにならないものですね。競技施設に至っても、盛んに石原知事は国に出してもらうといっていますが、既に閣議了解ではっきりしているように、主要施設の二分の一以内ということなんです。しかも、国も国立霞ヶ丘競技場や代々木公園競技場などの改修計画があるようですから、どこまで当てにできるかわかりません。メーンスタジアムはすべて都費の可能性が高いといわなければなりません。

 仮設費用はすべて大会経費といいますが、赤字になったらその保証もありません。だれがその負担をするのでしょうか。だからこそIOCも、赤字になったときは政府が責任を持ちますとの政府保証を求めているのではないですか。もう一回、先ほどありましたけれども、政府保証は出るのですか。

●不可欠な政府保証が出る見通し不明

○藤森東京オリンピック招致本部参事 先ほど答弁をさせていただきましたが、財政保証を含めまして政府保証については、オリンピック招致について絶対、必要不可欠なものでございます。現在、国と鋭意協議をしておりまして、必ずや財政保証等の保証を取りつけるということになっております。

○松村委員 政府保証の出る保証があるかどうか、大阪の事例もあります。結局、赤字や莫大な費用は、インフラや競技場整備も含めれば、もうおっかなくて、私だったら本当に・・・政府の気持ちもわかりますよね。ちゅうちょしているのが。それがなければ、これは全部都民への負担となることは明らかではありませんか。

 競技施設整備費は三千二百四十九億円としていますが、これには主要三施設の用地費が含まれていないんです。そして、いよいよ大問題となってきた豊洲の汚染対策費、また豊洲の土地購入費、当然オリンピック関連費用として見込まなければなりません。それに恒久施設の維持管理費などを含めれば、我が党の試算によると、競技施設だけでも二兆円に迫る競技会場費がかかるオリンピックとなるのです。

●メディアセンター関連経費をインフラ整備に盛り込まず

 それに加えて、インフラ整備費も一兆五百八十億円でとどまらない危険が高いのです。
「十年後の東京」計画が達成されるといっているのです。しかし、外環道路整備費は入っていません。また、石原知事が検討、構想としている高速道路多摩新宿線や羽田−築地トンネル、これらを入れれれば、インフラ整備費、これも我が党は試算いたしましたけれども、七兆二千億余もかかるんです。その事実を隠して、申請ファイルでIOCに説明していることは東京の道路は、都心部まで高速道路が整備されるなど高密度な道路ネットワークへと進化している、または世界最高の水準にある東京の鉄道インフラは、安全性、快適性を高め、輸送力を増強するために、さらなる整備が進められていると、そういうことが描かれているんです。そして、輸送インフラは現在の規模に加えて、「十年後の東京」の計画達成が十分見込まれるので、十分な規模が見込まれる、大規模な投資が行われる追加のインフラ整備はないとしているんです。

 ところが、東京の実態は、石原知事の都市再生や十極集中で、都心の車の慢性渋滞、耐えがたい通勤通学地獄が続いているのが現実ではありませんか。石原知事は本来都市再生や一極集中を抑えるべきなのにそれをやらずに、オリンピックをてこに、三環状だ、インフラ整備だと、まさにそういう莫大なむだ遣いをやろうとしているのです。

 そこで、一般インフラの項にメディアセンターの立地条件、後利用がありますが、どう評価されたのでしょうか。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 メディアセンターについての評価レポートでございますけれども、IBC、MPCですけれども、ともに基本計画は良好で、オリンピック会場にも近接、ただし、予定地内の施設配置計画については詳細が不明という指摘がされております。

○野村委員長 松村委員のご質問の中に、「十年後の東京」、既存計画について触れていますので、大原知事本局長、ご説明をお願いします。

○大原知事本局長 松村委員ご指摘のように、二○一六年のオリンピックが開催をされたときに、「十年後の東京」に記載をされているいろいろな事業でもって完成をしたインフラが使われるということはあると思います。ただ、それは、万が一オリンピックが招致できなくても、「十年後の東京」の計画に基づいて着々と実施すべき事業でございますので、二○一六年にオリンピックがあった、そのときに使われた道路が全部オリンピックのために整備されたというふうには私どもは考えておりません。

○松村委員 都民生活が大変なときに、そういうインフラを含めた開発計画の是非が問われている。しかし、今はそれがオリンピック、オリンピックだということで、まさにそれをてこにしてやっているところに大きな問題があるわけで、今、道路特定財源の問題も国でいろいろあります。やっぱり都民本位でよくその是非について検討しなければならないのにそういうことをやろうとしていないという、今の答弁は全く私は本末転倒だというふうに思います。

 そこで、今メディアセンターについてはIOCは築地市場の移転問題について知れば、オリンピックメディアセンターめために築地市場を土壌汚染にまみれた豊洲に移転させることなど、オリンピックの名を汚すもの以外の何物でもないと、私は評価されないというふうに思います。メディアセンターについてはどう対応するのか。先ほどの答弁では、七月の専門委員会の結論を待っている状況といいますけれども、私は、それはおかしいのではないかと思います。環境のオリンピックというならば、豊洲の土壌汚染がはっきりしてきたのだから、まず、やめにしたというべきではないでしょうか。知事は記者会見で、メディアセンターの建設予定地としては築地にこだわらない、それはほかにもありますからと発言しているんです。あそこでなければならない何か理由があるんですか。

○野村委員長 中央卸売市場がいないから(松村委員「招致委員会の築地の後のメディアセンターの考え方ですよ」と呼び、その他発言する者あり)招致本部でご答弁願います。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 先ほどもご答弁しましたが、現在、中央卸売市場の設置いたしました専門家会議で検討中でございます。この専門家会議の提言は七月に予定されておりまして、それを受けて、都としての具体的対策をまとめると聞いてございます。したがいまして、本部といたしましては、この会議の議論や中央卸売市場での検討の動向を踏まえ、メディアセンターの計画を進めてまいります。

○松村委員 これも申請ファイルでうたう、環境の先駆者だ、すべて環境優先のオリンピックだというふうにうたっていながら、豊洲の土壌汚染はどうなんですか。まさに築地の跡地を利用するから、そこが問題だということが、事実がはっきりしてきたんですよ。そういう事実があるんだったらば、やっぱり環境のオリンピックというんだったら、都民や国際的にこういうことで明らかにするんだったら、まずそこの点をオリンピック招致本部、招致委員会が判断しなければならない問題ではないでしょうか。

●競技施設で40ヘクタールも公園つぶす

 次に、競技施設についても、IOCより評価を得るためにコンパクトにした、三十一会場のうち二十一会場が既存施設で、一九六四年の東京オリンピックのレガシーの持つすばらしさを今も示しているなどとしています。しかし、半径八キロ以内におさめたという東京の競技施設計画は、知事は、東京の計画は公園は一つもつぶさないといいながら、公園の有効利用であると開き直る公園つぶしの配置計画です。申請ファイルで明らかにされた計画では、代々木公園を初めとして公園に受ける影響、また仮設使用においても公園が大きな犠牲になります。恒久施設と仮設を合わせれば三十三万八千平米、約四十ヘクタールも公園がつぶされる計画が石原知事の進めるオリンピックです。
 一九六四年の東京大会は、選手村をつくった代々木公園にしても、織田フィールド、駒沢公園など、公園をつくって競技施設などをそこに配置して、跡を公園としてレガシーで残しました。石原知事の計画とは理念、考え方が大きな違いではありませんか。公園を一つも減らさないとの公約はどうなったのですか。お答えください。

○中嶋東京オリンピック招致本部計画調整担当部長 競技会場としまして緑豊かな公園を積極的に活用することは、アスリ−トたちに最高のカを発揮できる舞台を提供するものでございます。公園に恒久施設として設置をする競技会場は公園施設として設置するものでございまして、何も公園の中に住宅ですとかオフィスビルを建てるというようなことではございません。オリンピックのときには注目される会場になりますし、またオリンピックの後には都民が多く利用する体育施設になるということで、やはりこれは緑豊かな公園の中にあるということが非常に大きなコンセプトになるというふうに考えてございます。
 したがいまして、競技会場を公園の中に建てるといぅ計画は、公園の面積を減少させるというものではありませんで、むしろ公園の機能を増進させるというふうに私どもは積極的な活用を考えてございます。

○松村委員 とんでもない答弁だと思いますよ。大体、だって、公園の緑やグリーンをつぶして建物を建てるんですよ、幾ら競技会場だといっても。ここから排出されるCO2はどうなんですか。今、環境が、地球温暖化が大問題のときに、公園を四十へクタールも減らして、そこに競技会場というか、建物を恒久的、またはそういう施設を仮設なんかでつくって減らすんですよ。それでどうして環境に最も・・・トップランナーが走るような、そういう計画というふうにいえるんですか。

●オリンピック選手村は超高層はダメなのに変更しないのはなぜ

 最後にもう一つ、時間がないので。ほかにもいろいろ聞きたいんですけれども。オリンピック選手村、これについても高い評価を、一位の評価を得ておりますけれども、大体これ、四十九階建ての高層棟三棟、三十六階建ての高層棟二棟などの計画で、これは国内選考時、福岡と争ったときに、JOCから、高層棟については、IOCの評価を得るために課題を残していると指摘されましたよね。そうしたらも申請ファイルで九階以下が選手の宿泊施設といいました。一体、これを変えて、どういう選手村の計画となっているんですか。全く私たちには示されておりませんし、これがIOCにどう示されてその評価を得たというのでしょうか。矛盾しているんじゃないですか。

○藤井東京オリンピック招致本部参事 選手村についてでございますけれども、申請ファイルでは、選手村について、選手の移動時間の公平性の観点から、選手の宿泊は建物の九階部分まで使用するなど、今後施設計画を策定するに当たっての基本的な考え方を述べております。
 選手村の具体的な建築計画などにつきましては、現在検討を進めており、立候補ファイルの中で定めてまいります。

○中村東京オリンピック招致本部招致推準部長 選手村とあわせまして、一言答弁させていただきます。
 先ほどからIOCの評価は申請ファイルのみというような形でいわれておりますけれども、先ほど申し上げましたが、申請ファイルをもとに、それからIOCの委員、専門家がそれぞれ独自の調査を行っております。ですから、これは申請ファイルだけではなくて、IOCが独自に調査をした結果であるというととはご認識いただきたいと思います。

○松村委員 選手村だって、最初に出した高層棟の計画が全然通用しないで、抜本から変えなきゃならない。今検討中だという。検討中で、ただ記載が、九階以下にするんだとか、こういう宿泊施設だというようなことを言葉で書けば、それがそのまま一位となってきているということにほかならないではありませんか。

●安全いいながら地震対策がない

 大体、もう一つ・・まあ、それだけを指摘しておきますし、それから最後に、安全確保や安全対策について、治安や対外警備による安全の確保は当然としても、世界でおこり得る自然災害発生の四割は日本が占めている現状からいっても、とりわけ今後三十年間以内に首都直下地震の発生が七○%で起こるという震災対策はどうするのですか。地震を初めとする自然災害から世界のトップアスリートや観客の安全をどう確保するのかが、東京の場合、最大の課題であるといわなければなりませんけれども、その計画はこれに示されてないんですよね。それでもって、テロリストだとか、それは世界ではテロリストとか会場の安全性が最優先されるけれども、やっぱり本当の安全対策というんだったら、そのことがきちっと示されて、フェアにそのことを評価してもらう、そういうことが大事なのでは
ないでしょうか。
 いずれにしても、以上何点かをただしましたが、ことほどさように実態と全くかけ離れた計画を出して、一位という評価をもらったにすぎません。こんなごまかすやり方はオリンピックのフェア精神に反するものです。これは一番やってはならないことを厳しく警告して、きょうは残念ながら後でたぞえ議員の質問がありますので、終わらせていただきます。

○中村東京オリンピック招致本部招致推準部長 地震対策について一言答弁させていただきます。(松村委員「後の時間がないからいいです」と呼び、その他発言する者あり)

 IOCは、申請ファイルでは、地震対策について各都市にその回答を求めておりませんが、IOCの作業部会の評価レポートでは、東京は地震対策の基盤が整っていると評価しております。今回こうした評価を得たことは、IOCが客観的に東京の地震対策について安全であるということを公式に認めたものというふうに申し上げます。

○野村委員長 では、たぞえ委員さんですが、持ち時間の残りはおおむね十分程度ですので(松村委員「委員長、それはないよ」と呼び、その他発言する者あり)その確認をさせていただきます。

たぞえ議員の質疑・・オリンピック精神をゆがめる招致ムーブメント

●人気ないのはマスコミのせいだという知事発言は責任転嫁


○たぞえ委員 第一次選考で東京を含む四都市が選ばれましたが、世論の支持は、一次通過四都市で最下位、六割を切る低調ぶりでした。石原知事は、君らのせいだ、メディアが足を引っ張るからこうなると、マスコミが原因だと反発していますが、知事本局のあなたたちもそう思っているんでしょうか。知事本局長、どうですか。

○大原知事本局長 知事が記者会見でも申しておりますように、やっぱり日本の国民性といいますか、それは、本当にオリンピックを持ってくるんだ、あるいは立候補都市に一番で選ばれた、こういう事実があれば、日本の国民はぐっと燃えてくるというふうに知事も申しております。私どもも、こういう日本人のいわば心情的な特性というものも十分考えて、これから招致機運を精いっぱい盛り上げていきたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 知事の発言と知事本局長の考えは一致しているのかどうか、そのことを聞いたんですよ。(「マスコミの問題はどうなのかということ」・・と呼ぶ者あり)マスコミの見解、メディアの見解。

○大原知事本局長 マスコミ云々という話が今ございましたけれども・・、やっぱり知事も、日本人の特性あるいほ東京の人間の心情的な特性も考えて、客観的な、あるいはみんなでオリンピックを持ってくるという機運の盛り上げについて、マスコミの皆さんにも、知事独特の言葉で協力をお願いしたんだというふうに考えております。

(「協力要請したんだよ、表現は違えども」と呼ぶ者あり)

○たぞえ委員 明らかにメディアが足を引っ張っているという表現をしているんですよ。
 協力要請しているといっても、原因はマスコミだという指摘をしている発言が残っていますよ、記録に。
 私はそもそもマスコミのせいで低調になったというふうには思いません。
 例えばパンも牛乳も、それからバターも値上げして、毎日皆さん買い物して苦しんでいる。
 後期高齢者医療制度、お年寄りの負担がふえた。派遣や請負いで安い貸金で働く若者がふえていますよ。そういうときに郡民の生活実態は、オリンピック招致という方法では解決できない、そういう状況にあるんじゃないでしようか。

 六月五日付の日本経済新聞、こう書いていました。巨額な税金が投入されているが、都民が本当に開催を望んでいるのかどうか疑問だと、都の職員の話です。これがいま都民の感覚だと思います。暮らしが大変なときに何がオリンピックか、ほかに優先すべき社会問題がある、税金の使い道として不適切、これは招致本部がやった世論調査の中身に出てくる答えです。ですから、六月六日、朝日新聞の都の幹部の声は、マスコミのせいだと思わないと、こう語っていますよ。メディアを原因に求めるのは、都民生活から大きく逸脱している。現実を、その低調ぶりという事実をどう分析するかというものがない。ある部分に責任を負わせるなんていうやり方は大変ひどいというふうに初めに申し上げたいと思います。

●民間主導のはずが税金投入ばかり

 次に、私は、招致経費の百五十億円の使い方について絞って伺いたいと思います。
 都は、招致をする際から、民間主導でやるから税金は使わない、このようにいってきました。招致委員会は、その収入を確保するため、民間からの協賛金を十九年度はどう見込んでいたんでしょうか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 十九年度の予算でございますけれども、民間からの資金でございます寄附金収入につきましては五億五千万、それから協賛金等のマーケッティング収入は一億五千五百万円です。

○たぞえ委員 ○七年度の招致委員会決算で、民間からの協賛金の実績はどうだったんでしょうか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 寄附金収入の十九年度決算でございますが、四億八千五百万円、マーケティング収入、これが七千百万円でございます。

○たぞえ委員 その金額の個人と企業の数、口数は幾らですか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 十九年度の寄附金四億八千万円の、企業数は六社でございます。それから、マーケテイング収入、これは協賛金でございますが、これにつきましては、協賛金は六社、そのほかにロイヤルティー収入等二社ございます。

○たぞえ委員 収入十一億円に対しての経常支出はどうだったんでしょうか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 経常支出につきましては、十六億八千百方円でございます。

○たぞえ委員 十六億八千百万という答えでしたが、収支のバランスでは、招致委員会は五億五千万円の予算オーバーになっているんじゃないですか。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 経常収支差額は先ほどご答弁させていただきましたけれども、マイナス五億五千万円でございます。これにつきましては、民間収入の歳入の手続、この日の手続上のことから赤字になりましたけれども、当初予算でも四億七千七百万円のマイナスを見込んでおりました。

○たぞえ委員 招致委員会の招致活動、推進活動経費のうち、ムーブメント推進経費五十億円をすべて民間資金に依存する、こういう計画であったわけですが、実際、今の答弁でも、○七年の招致委員会は民間からの資金が全部集まらず、赤字決算であります。税負担はないといっていたのに、明らかに、この決算書を見てみますと、補助金等収入という表現と金額か入っています。例えば十九年度決算では六億一干方円、都からの補助金が入ってきた。税金は使わないといっていたのに、こういう決算の結果です。
 この決算を見て、二つ思います。一つは、民間のお金が集まらなくても税金の投入が行われる。もう一つは、予算があってもないようなもので、使い放題。こんなやり方がまかり通るんでしょうか。東京都の福祉予算は決算で不用額を残して、予算が足らなくて因っている特養ホームには差し伸べられない。しかし、オリンピックという事業ならば何でも使える。それで都民は一体納得するでしょうか。こんな状態だから、個人や法人寄附金調達組織を創設するという、そういう手も出さなければならなくなったと思います。
 民間から資金が来ないのは、信用調査会社帝国データバンクが五月に実施した企業意識調査でも事実が物語っています。日本での五輪開催が経済活性化に有効と答えたのは五五%で、半分です。民間企業からの資金が集まらない、来ない。だから、二〇年度予算でも補助金収入を十二億円充てているのではないでしょうか。まさに際限のない税金投入、こういうことは、まるで新銀行と同じだというふうに実感をするものです。仮に丸々税金をどぶに捨てるようなことになりかねないということを指摘して、次の質問に移ります。

(「質問しろよ」「いいっ放しじゃだめだよ」と呼ぶ者あり)

●区市町村への1千万円ばらまきは竹下「創生」基金の小型版

 都民の支持を得る上で行っているムーブメントがありますが、区市町村オリンピックムーブメントについて伺います。
 オリンピズムを普及させるため、六十の区市町村に対して六億二千万円、一自治体千万円の経費を委託するというわけですが、そういう事業は都の事業の中でほかにあるんでしょうか。そこだけ答弁してください。

〔「さっきのも一緒に答弁しろよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 民間資金の調達状況でございますけれども、先ほどご答弁しましたが、予算五十億円のうち四十億円のめどがついてございます。ただ、相手方の契約により、資金の歳入手続き、この関係で十九年度末では、先ほど申しましたように寄附金で四億八千万、協賛金で七千百万ということでございますので、民間資金につきましては十分見込みができるということでございます。
 それから、サポータークラブの話も出ましたが、これはいわゆる協賛金の制約にかかわらず、ぜひとも賛同したいという企業、個人がおりましたので、新たな制度として設けたものでございます。

○重田東京オリンピック招致本部参事 都と区市町村によるオリンピックの共同推進事業に類似したというご質問でございますけれども、申しわけございませんが、私、今ちょっと把握をしておりません。

○たぞえ委員 四十億円めどがついたといっても、現金が入ってこないじゃないですか、収入が確実に現金で予測されて、そういうもとならば執行があるでしょうげれども、現金がいつ入ってくるかわからないもとで支出だげが先行するというのは会計上おかしいと思います。

 もう時間がないので、次に行きます。今の区市町村ですが、この申請は上限いっぱい一千万円出す、こういう内容です。補助率がありません。手を挙げているところはありますか。

○重田東京オリンピック招致本部参事 これまで、六十二のうち五十六の区市町村から多くの事業計画が提出されております。

○たぞえ委員 しかし、それは区市町村のさまざまな事業に全部使えるわけではない。オリンピックに関連しなければ執行できない、こういうものであります。まさに竹下内閣時代の創生一億円の小型版、焼き直しであるというふうに私は思います。
 (「全然違う、それは」と呼び、その他発言する者あり)

●都の「メダル10個」目標はオリンピック精神ゆがめる

 最後に伺いますが、知事は、昨日の所信表明で、新たなスポーツ振興基本計画をこの夏策定すると語りました。既に基本計画、基本理念実現の目標が設定されていますが、オリンピック競技大会で東京都出身選手のメダル獲得数、この案が出されています。十個です。
 メダル十個目標、これはオリンピックの精神をゆがめるものであると考えますが、見解を伺います。

○並木東京オリンピック招致本部企画部長 スポーツ振興計画は、生活文化スポーツ局が現在所管しているものでございますが、現在、外部有識者等から成ります東京都スポーツ振興審議会におきまして検討が進められております。現時点で計画の内容が確定していませんので、その辺についてはお答えできませんけれども、私個人的には、オリンピックに参加するアスリートがメダルを目指すのは当然のことと考えてございます。

○たぞえ委員 国際オリンピック委員会副会長の猪谷千春さんはこういっています、「オリンピックのすべて」というこの著書の中で。オリンピック競技大会は、四年に一度世界じゅうの若者が一堂に会し、スポーツを通じて心身の調和のとれた人間を育成し、相互理解と国際親善を通して平和な社会の実現に寄与すると述べて、さらに、このような思想を十分理解してムーブメントを展開する必要がある。さもないと、オリンピック・ヒーローやメダルにしか関心のないオリンピック愛好家が育つことになりますと副会長は警告しています。いわばムーブメントとは何だ、一体どういうことなのか。それはオリンピックのためのものではなく、東京都の十六年度スポーツ振興審議会が示した提言でも書いてありますが、だれもが、いつでも、どこでも、いつまでも、スポーツを楽しむことができる社会を目指す、そのためにさまざまな誘導策を設けることが最もスポーツの精神である、私はその言葉を改めて読んで、今都が推進しているオリンピックのムーブメントというのは、まさにメダル獲得のための競技、こういうことになりかねないということを指摘して、質問を終わります。

○野村委員長 
発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり】

○野村委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。

午後二時六分散会

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