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浪費型オリンピックのウラオモテ(ページNO.11)
レポートNO.46(08・5・21)〜NO.47(08・6・6)
【レポートNO.47  08・6・6 】
一次選考4都市に残ったものの、東京の弱点も鮮明に
周囲は大騒ぎ、知事は妙に平然なそぶり


●6月4日、アテネでのJOC総会で、2016年の立候補7都市の中から、4都市が一次選考で選ばれ、予想通り東京はそのなかに選ばれました。
 「東京は、今のところトップを走っている」等と言う噂が流れていましたが、実際に蓋を開けてみると、僅差でマドリードをおさえて、総合点ではトップでした。(下の表を参照)
 評価の11項目の中で、東京が1位だったのは、「選手村の計画」、「環境への配慮」、「宿泊」、「安全対策」の4つですが、私の印象では、IOCは、とりあえず今回は今年1月の、各都市からの申請ファイルを基本的に信用して、これを基に評価したのではないかということです。よくみると、宿泊以外には、環境や安全や選手村について、東京がトップというのが正当な評価といえるのかは疑問だからです。

●一方で、最大の弱点が、都民・国民の支持の低さであることは衆目が一致し、知事も認めています。東京都自身の世論調査の結果(都民が60%、他県が62%)と、やはりIOCがこっそり行なっていた世論調査の支持率(59%)が、殆どずれていなかったのが、せめてもの慰めです。
 もう一つの弱点は、土壌汚染という環境問題を抱えた豊洲への築地移転と跡地のメディアセンター計画です。
 しかし、本当の問題は、さらにはるかに大きい、オリンピック関連の莫大な投資による都民犠牲なのですが、これはまだ多くの都民に知られていません。

●わが党都議団は、以下のコメントを発表しました。

報道各位
2008年6月5日
日本共産党都議団

2016年夏期オリンピック第1次選考結果について

 昨日開催された国際オリンピック委員会の理事会において、2016年夏期オリンピック開催候補地の第1次選考がおこなわれ、正式立候補都市の1つとして東京都が選出されました。

 しかし、石原慎太郎知事がすすめるオリンピック招致は、とんでもない税金の浪費につながるものです。招致経費はすでに当初の3倍の150億円にふくれあがり、オリンピック招致をテコにした大型幹線道路や大型ハコモノなどの投資は9兆円規模にもなります。さらには、すべてをオリンピック招致活動に結びつける都政運営のゆがみが拡大し、都民の批判が高まっています。

 また、オリンピックのメディアセンターをつくるために、築地市場を土壌汚染が重大問題となっている豊洲に無理やり移転させようとしていることは絶対に許せません。

 いま、都民は原油高騰による物価値上りや後期高齢者医療制度をはじめとする負担増などかつてない厳しい状況におかれています。
 いま、東京都が行うべきことは、オリンピックの名による税金のムダ使いをやめ、都民のくらしと営業を守ることに全力をつくすことです。


以上

●2月5日、石原知事はオリンピック応援団を頼んでいるみのもんた氏の朝ズバに出演し、その後,9時ごろから記者会見を行ないました。かなりホンネの部分も出ているので、大要を紹介します。

◆08年6月5日午前9時すぎ。石原知事記者会見

 
みんな今出てたんだろ庁議にな。同じことしかしゃべれないよ。質問があったら言ってくれ。まあ、こんなところで飛び上がって喜ぶようなことはないんで、自明の結果だと思います、決してうぬぼれていうことじゃなくて。

 ただこれからの方が非常に複雑な、醜い競争が始まるわけで、案外こういうの、一番、日本は苦手なんだよな。だいたい外交官が社交ができない。ですから外交力にならない。白洲次郎さんは昔書いてたけどね、国際的な社交のできない人間に外交できるわけないって。確かにあの人は無類な人だったが、これからこのために従来なかった能力も備えて、社交の上での積極的な外交を、これはほんとに複合的なものですけど。

 その前にこれから私、超党派でできたらしい推進議員連盟に、国会に行って話しますけど、幹部の諸君に。とにかく財務保障をペーパーに書いてするということが、ある意味非常に絶対必要とはいいませんが必要条件のようですから、国から現実に一文ももらうつもりはないけど、本来は建てるべき国立競技場・メーンスタジアムは今の神宮のアレでは役に立たないんで、なら東京に作ってくれということですから東京に作りますけど、やっぱりブレアが啖呵切ったあれが非常に効果あったように、“万万万が一のときには国が面倒みます、間違いありません”ということぐらいは言ってくれないとね、紙に書いて。
 それが一部には、憲法で地方自治体の取り組みに国が協力するのはおかしい、違憲だとかいう。
 これはやっぱり国家のイベントなんですから、だからキャッチフレーズは「オリンピックを東京に」じゃなくて「日本に」に書き直させたんで、それをたいして国も最低限の協力だけはしてもらいたい。今日もこれからそれを申し込んできます。

【テレ朝】東京がIPCの評価で高かったが、世論調査の結果が…‥、

【石原】これは君らのせいだよ。メディアが足を引っ張るから。

【テレ朝】今後それをあげていく方策として何か‥・、

【石原】君らが協力してくれよ、国家の事業なんだから同じ日本人としてだな、やらないよりやった方がいいじゃないか。みんなでやろうって、もう少しキャンペーンしてくれよ。

【テレ朝】民放テレビでも北京五輪の開会式に行くという発言があったが。

【石原】あんまりそんな問題にしなきゃいいんですよ。友人、隣国ですし、同じオリンピックやるんだから非常に参考になることもあるでしょうから行きますよ。だけどそれ以上に大事な案件が出てきたら、もちろんそっちを優先するといったことだけで、最初から行かないとか行くとかいった話じゃないんだ。私だって興味はありますから。

【読売】同じアジアのドーハが落選したことについては。

【石原】これ昔からいわれていて、非常に暑い所ですから10月にやりたいと、これが向こうの条件だったようだけども、他にも色々あり−ますがね、向こうの人口の割に観客の、この間のアジアのオリンピックだってあれでしょ、そんな問題もあったんだけど。いずれにしろ、とにかく10月開催というのは困るというのがIOCの絶対意見だったようですね。それは一番大きなスポンサーのアメリカのメジャーリーグのワールドシリーズとか、フットボールのビッグイベントとか、バスケットボールのファイナルがあるらしいから。まあそういうのに比べるとオリンピックのポテンシャルってアメリカでは低いようですから、そういう意向もあって10月では困るというのが大勢だったようですね。

 ですからそれによってアジアの票がどう動くかということが、これから一つの大きな要因になると思いますけど、これを日本が外交力でどうするこうするということは、やっぱり繰り返して申すように複合的な努力がいるんで、このあたり日本人は下手なんだな、とにかく。
 役人もダメ。政治家も気がきかない。総理大臣も何言ってるかよく分からないところがあるね。他のことに関しても。そうだろ?だから支持率の問題になってくるんだよ。これはとにかく国のためにやるんだから日本が。福岡にしたってそうなんだよ、と思ってやったことなんだから。

【毎日】豊洲新市場の土壌汚染問題が集点になってきて、築地の跡地にメディアセンターという計画が、これから、見直す考えがあるかということをもう一度あらためて。

【石原】もしあそこがとん挫してダメだったら、場所なんかたくさんありますから。どこでもいい。ただ豊洲はオリンピックなんか関係なしに東京の市場として、豊洲に限らず今の築地を移転を含めてクリエイトしないと、やっぱり都そのものの流通は持たないですよ。ですから豊洲ということになっ
たんでしょうけど、土壌汚染ってのは新しい技術でサウンディングすると、従来の土壌汚染の解決よりも、もっと違う技術もありますし、いろんなアイデアがあるんで、それを勘案すれば我々がいま考えているよりもっと短期間で早くできる、そういう可能性も出てきました。これからの問題だ。

 だから限られた所で考えずに、日本の技術は進んでるんだから、いろんな衆知を集めたらいいんですよ。これは別にオリンピックの障害にならないから。仮に豊洲を何とかしようというんだったら、間に合う技術は十分あります。お金もあります。

【毎日】メディアセンターの建設予定地としては、築地には別にこだわってはいないということでしょうか。

【石原】そうですね。それは他にありますから。

【CX】月並みな質問ですが、一報を受けた時、まずどんなことを考えたでしょうか。

【石原】あ、なるほどなと思ったね。さっきいったようにおごるつもりはないけども、ごく妥当な結果だと思う。大事なことはやっぱりこれからの勝負だこれは。それはやっばり4つのうちに入らないんだったら、日本の国力ってのも相当低下したことになるんでしょうけど、皆さんがメディアを通じて卑下されているほど日本はだめな国じゃないと思いますよ。ですからね、そういったものの実績重ねれば、国全体のイメージってのは、主催者の東京のイメージとギャップがあるかないか知りませんけどね、私はやっぱり東京は東京なりに、東京が中心になった広域行政ってのは主催地としての評価を受けてたと思うし。

 たとえばこの間もニューヨークの会議でも言ったし、自慢じゃないけど水の問題いうから、東京水もってって、こういう水道を提供している国はほかにありますか、大都市ありますか、東京だけでしょ。みんなびっくりしてましたよ。それから再生水の問題、そういったものも、見えない所でみなさん当たり前のことしか書いてないけど、東京は東京なりに努力してきた。それが総体的に評価されたということだと思うから、やっぱりすべきことは黙々と着実にやってきてよかったなと思ってます。

【CX】現時点で山登りにたとえると何合目ぐらいと。

【石原】登山口だ登山口。

【質問】第一次選考で残るのが3つから5つぐらいといわれたが、結果的に4都市だったことはどう受け止めてますか。少ない方がいいとお考えで。

【石原】ごく妥当な数字で結論だと思いましたね。ドーハは気の毒だけど、前から言ってる開催月の問題からいって非常に難しいなと一見してましたが、果たせるかなそういうことになりましたな。

【質問】残った都市で最大のライバルになると思われる所は。

【石原】いろんな人がいろんな見方をされて、さっきも休みの間にテレビを見てたら、もっともらしいことをみんなコメントしてたけど、いちいち当たっているような当たっていないような。これまたこれからの努力次第で、ひっくり返るものもあるし、返らないものもあると思いますから。
 大事なことは、やっと登山口に入ったんだから、あとはやっぱりこの山に登るんだという気持ちでみんなで肩貸し合って、まさに坂の上の雲をつかむつもりでみんなで頑張ろうじゃないかと、やればできるよ。
 東京の都民も何か、何があっても当たり前なぜいたくな環境の中に住んでいらっしゃるけども、しかしやっぱり東京に決まると決まらないじゃ、楽しみも随分違うと思いますよ。ロンドンの次に日本に、東京でオリンピックやってくるのと、他に決まってみんなでオリンピックの所に出かけていくのとでは、喜びも違うと思うからね。

 やっぱりアレですね。環境問題に東京が取り組んできた、日本もそこそこやってるのかやってないのか分からんがね、これから洞爺湖でサミット行われる時に、議題も環境問題がメーンらしいけども、そういった一つの兆候を踏まえて、流れを踏まえて、やっぱり首都圏が、束京だけじゃなしに神奈川、埼玉、千葉県協力してやってきたいくつかの実績ってのは、やっぱり総体的に、日本人にとっては当たり前のことに見えるかもしれないけども、外国から見ればなかなかやっとるわい的な評価を受けたんじゃないでしょうか。みなさんこれから力貸してくださいよ、ほんとに。水ぶっかけるだけじゃなくてな。(了)





【レポートNO.46  08・5・21 】
石原都政のオリンピック関連投資の内容と合計額を見直し・修正

●今年初めの段階で、オリンピック関連投資の総額を、約9兆2千億円と試算し、この「オリンピックのウラオモテ」コーナーのNO.43で紹介しましたが、今回、以下の点を詳しく分析して、データを修正し、見直しました。

@わが都議団は、オリンピックの関連投資の起点を、石原知事がオリンピック招致を表明した、2005年9月の時点において、それ以後の投資計画を盛り込みました。

 首都圏中央連絡道路(圏央道)については、既に事業中の道路なので、できるだけ最新の情報で、知事の招致表明後の事業費を調べて試算しましたが、今回、圏央道の青梅・八王子間が供用開始された際に、2005年度までの事業費の決算が都から公表されたため、最新のデータを基に、事業費を修正しました。

A右の図で、道路のリストの、下から5つ目までの「臨港道路、環状6号、環状5号、国道14号、補助263号線」の各道路、及び、地下鉄の「副都心線」は、東京都がIOCに申請したファイルの中で、オリンピックの観客輸送などの関連インフラに位置づけたので、そのままこのリストに加えました。

Bしかし、JR駅からの地下鉄延伸については、都の計画は具体化しておらず、実際に8年後には間に合わないことが明確なので、削除しました。

C道路交通関係以外では、オリンピックのメディアセンターを整備するために、築地市場を移転させ、豊洲の用地を買収し、土壌汚染対策を行うという金額を新たに載せました。

●今後、大きな投資計画が浮上するまでは、この9兆円余りの総額が、オリンピック関連投資と言うことになります。

●今後、国の10年間の道路計画がもし、外郭環状道路の東名高速道路より南側まで延びていくとすれば、新たに1・9兆円が加わることになり、中央環状線についても、品川線以南の構想も浮上してくる可能性があります。
 さらに、競技施設やそれ以外のオリンピック関連施設と周辺の、地震対策として、液状化や避難・安全対策をよりいっそう厳密に見ていけば、2700億円では不足すると思われるなど、今後も関連投資はふくらみ続ける可能性があります。
 
 ◎08年1月31日(NO.40)から4月27日(NO.45)まで<ページNO.10>はこちらから

 ◎07年10月6日から11月26日までのレポート(ページNO.9)はこちらから
 
◎07年5月23日から9月11日までのレポート(ページNO.8)はこちらから
 ◎10月22日から11月30日までのレポート(ページNO.7)はこちらから
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◎9月15日から10月8日までのレポート(ページNO.5)はこちら
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 ◎7月15日から7月20日のレポート(ページNO.2)はここから 
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