浪費型オリンピックのウラオモテ(ページNO.10) レポートNO.40(08・1・31)〜NO.45(08・4・27) 【レポートNO.45 08・4・27 】 「10年後の東京」とオリンピックプランは、安どうメダルの裏表 ●3月14日の、都議会総務委員会での知事本局質疑で、松村議員はわが党の入手した情報開示文書を基に、オリンピックのメインスタジアムはじめプラン作りを任せている安藤忠雄氏が、都の10年間の長期構想である「10年後の東京」の骨格を作る仕事も請け負っていたことを明らかにし、「オリンピックが呼べる都市づくり」が、文字通り長期構想のホンネであり、目的だった実態を浮き彫りにしました。 ●開示された文書によると、都の長期構想を準備していた山場の2006年10月に、担当の知事本局は、右の文書にあるように、オリンピックの概要計画書を策定した安藤氏に、「2016年の都市像」(当時の長期構想の呼び名)についての支援とアドバイスを依頼していたのです。 ●知事本局が、なぜ長期構想をまとめる時期が切迫してから安藤氏に依頼することになったのか・・。実は、それまでに各局から上がってきた事業プランや長期プランを知事本局がまとめて、たたき台を知事サイドに出しても、こんなものつまらないと、つき返され、しまいに、安藤氏に相談しろと言うことになったのだと噂されています。 このころから、石原知事は安藤氏に何でもおんぶに抱っこになり、安藤氏が権勢を振るうようになっていったというのです。 ●契約期間は、11月から、翌年2月まで。実際には、この年の12月末に長期構想は発表されていますから、並行して安藤氏のアドバイスを受けていたことになります。 しかも、この委託契約は特命随契で行なわれています。匿名にした「理由」を、次の文書の画像で見てください。 魅力的戦略的都市像を策定するための相談や支援ができるのは安藤氏のみだと、天まで持ち上げているところにも、知事のトップダウンで安藤氏お任せの流れができていたと言わざるを得ません。 ●安藤氏は、8回に渡ってアドバイスしたと報告されていますが、(右下の図)実際に生かされたのは、「10年後の東京」が出される12月末以前に行なった1回目から3回目までで、特に1回目のアドバイスの項目は、殆どが長期構想に盛り込まれています。 安藤氏が、見積もりを出して要求したのは一月に70万円の報酬。これをそのまま認めて、都は消費税込みで4か月分294万円の費用を払っています。これを高いと見るか安いと見るかは意見が分かれるでしょうが、安藤氏にとって、月70万円をもらった上に、自分のアイデアをどんどん都の計画に具体化してくれるのですから、面白くて仕方なかったでしょう。 ●ただし、安藤氏が提示した文書らしきものは開示されていません。残っているのは、下の2枚の想像図です。もしかすると、彼は想像図だけを出しながら、あとは口でしゃべっただけで、それを懸命にメモした都の職員が、大急ぎで「10年後の東京」に盛り込んだのかもしれません。 そう考えると、「10年後の東京」の各分野で、福祉や教育、中小企業などが貧弱であること、都市づくりも環境を重視し、新たに1千haの緑を創るといいながら、方や環状道路などでいかに多くの緑を破壊するかにはきわめて無頓着であることなど、個人的なアイデアだけで一方的に目標を設定し、まともな検証やデータ分析をしていないと思われるこの長期プランの弱点のわけが透けて見えてくる気もします。 【レポートNO.44 08・4・7 】 なぜかいつまでも表に出ない基本計画プレゼン映像 ●都のオリンピック招致活動は、レポートしてきたように、わずか1年半で予算が3倍に膨れたり、競技施設も団体の意向を無視してメインスタジアムを晴海にこだわる一方、水泳会場を突然変更するなど不可解な動きが続いていますが、今年1月14日に正式提出された「申請ファイル」の経過にも、奇妙な印象を受けます。 ●最初我々は、せっかくオリンピックに正式立候補する計画書だから、申請ファイルの内容を東京オリンピック招致について大いに宣伝する材料として活用するのかと思いましたが、都の幹部の対応は違いました。 「1月の申請までは申請ファイルの内容は非公開とするようIOCから指示されている」ことを理由に、都議会でも事前説明はしませんでした。 ●都がいつまでも、こんな秘密主義を通しているだけでは都民の支持が広がらないのは当然です。 しかも、「申請ファイル」には、オリンピック招致に対する都民と他県住民の支持率を調査して報告することが求められていましたから、都は都民の世論を何としても盛上げながら支持率調査をしたかったはずです。 そこで都がねらったのが、一つは商店街のフラッグなど、東京のまちじゅうにオリンピックの宣伝物をはりめぐらすこと、もうひとつは、各界のリーダーを一堂に会して東京オリンピック計画のイメージアップを一気に勝ち取るためのイベントを打つことではなかったかと思います。そのイベントが11月19日の「基本計画発表会」です。
●19日の会場は赤坂プリンスホテル。一流の会場で3000人もの招待客に軽食と飲み物も出すという豪勢な企画で発表会が行なわれました。 そこでパワーポイントで映し出されたのが、右に並んだ映像です。たまたまわが都議団から一人だけ参加した私・曽根がどうせあとでプリントしたものをもらえるだろうと思いながらも、秘密にされていた申請ファイルの内容が反映されているはずのスクリーンを、逐次デジカメで撮影したもので、暗い中なので、多少ぶれたりしています。 ●ところが、会場を出る際に受け取ったプリントには、この映像の殆どが載っていませんでした。 前半が、安藤忠雄氏の、みどりの21世紀オリンピックパークのイメージ、後半が、河野一郎氏解説による競技施設の構想ですが、あとで写真をよく見ると、競技施設のイメージパースなどがさまざまな問題を感じさせるものだったことに気づきました。 ●セレモニーは、この後、石原知事と並んで森元首相はじめ政治家がずらりと並んで乾杯、そこに長島茂雄氏も到着しましたが、なぜか壇上には上がらずに紹介だけ。あとはパーティーになったので私は失礼しました。 要は、都民向けには壮大なオリンピックのイメージを売り込み、IOCなどにはコンパクトで環境にやさしい印象を与えるためには、ここで詳細な計画内容は瞬間的に見せるだけで済ます必要があったということでしょうか。なんとも不可解な発表会でした。 【レポートNO.43 08・4・6 】 オリンピック招致活動の現状について(Q&Aのつづき) <Q5.オリンピック関連の投資は増大するのですか> <A.>(オリンピック関連投資の一覧は、5月21日付のレポートNO.46で、見直し・修正しましたので、そちらをご覧ください) ●昨年のレポートで、オリンピック関連の投資事業が8兆5千億円に及ぶという試算を紹介しましたが、今日の時点でいくつか事業規模が変ったり、石原知事が昨年末に福田首相と合意したと言う重点事業の内容から、地下鉄など新たな可能性が浮上したため、試算をやり直しました。 右の一覧表が、現在時点でのオリンピック関連投資の総額です。(画像は消去しました) ●主な変更点は、 @、メインスタジアムなどの液状化対策や、 A耐震護岸整備費を加えたこと、 B外郭環状道路の整備費が、昨年12月の国幹会議で1兆3500億円から1兆6千億円に想定が変更されたこと、 Cスタジアムにアクセスする地下鉄構想が浮上したことから試算額2000億円を加えたこと、 D「オリンピック関連」と都が位置づけ、申請ファイルに盛り込まれた都市計画道路を加えたことなどです。 ●総額は、9兆2千億円を突破しました。 しかし、石原知事のオリンピック招致を利用した、「都市再生」構想による都市計画の規制緩和や、大規模な競技施設ばかりを計画することによる、いわゆる「ハコモノ」行政の復活など、まだまだ総額は拡大する可能性があります。 ●表の右側を見ていただくと分かるように、これらの投資事業のうち、都の負担が幾らになるか、予測したものが、総額で、4兆4759億円となり、9兆2千億円の約半分ぐらいが、東京都の負担になる恐れが強いことを明らかにしています。 ●今後も、オリンピック関連の、浪費的な事業や、大きすぎる競技施設の事業費、関連の基盤整備費用など、正確な数字が確定すれば、厳密な試算が可能になって行きます。 ぜひ、皆さんのお知恵や情報もいただきながら、この石原知事の世紀のムダ遣いと、オリンピックの強引な招致の問題点を、財政的な問題としても、おおいに追及し、早期に中止させていけるよう、奮闘していく決意です。 【レポートNO.42 08・4・5 】 オリンピック招致活動の現状について(Q&Aのつづき) <Q4.招致経費が3倍にふくらんだのは、なぜですか> <A.> ●下の一覧表を見てください。表の右側が、06年の国内選考で福岡市と競争した際の、「開催概要計画書」で想定されていた招致活動経費ですが、招致そのもの経費と、ムーブメント(いわゆる宣伝やキャンペーンのこと)経費を合わせて55億円とされ、都が15億円、民間の寄付による招致委員会で40億円を負担すると言う計画でした。もちろんこの計画書は、国内都市に選ばれた直後に、正式立候補に向けてIOCに送付されています。 ●それが、左側の08年1月の「立候補ファイル」段階では、招致推進経費の総額が150億円に増額されました。しかし、IOCへの申請金額は、55億円のまま。 そのからくりは、招致推進経費を、申請ファイル作りなど直接の「招致経費」と、国内外のキャンペーンなどの「ムーブメント経費」に区別し、IOCへの申請ファイルには前者だけを掲載する方法をとって、経費がふくらんでいるのをカムフラージュしました。 ●招致推進経費のうち、直接の経費は大体推計できますから、増額がふくらんだわけは、やはりキャンペンなどの「ムーブメント」にかかる費用を、当初より増額せざるを得なくなったと言うことです。今年度・08年度には、他の自治体が東京招致を応援してくれる事業に補助するなど44億円も使い、招致委員会は全国キャンペーンに51億円(内、都の補助が25億円)も使う予定です。まさに札束をばら撒いて都民・国民の支持を取り付けようという話ではないでしょうか。 ●しかも、招致推進費用の大半を、東京都が負担する流れが強まっています。 概要計画書と申請ファイルを比べても、増えた経費95億円のうち、都負担が増えた分が85億円です。しかも、招致委員会が負担する予定の50億円は、大部分を民間企業などの寄付でまかなう計画ですが、いま現在、企業の献金は幾ら集まっているのか、都は絶対に公表しません。予定を大きく割り込んでいるからだと言われても仕方ないでしょう。予定通り寄付が集まらなければ、当然、ツケは全て都に回るのですから、都の負担はどこまで増えるかわかりません。 ●ムーブメント活動に必死になるのは、やはり昨年秋の都の世論調査の結果が、都の予想ほど伸びなかったからでしょう。こうなると、東京都は背に腹は代えられないとばかりに、しゃにむに招致活動に取り組みだしました。 オリンピックと銘打った予算だけではありません。生活文化局予算などには、50億円以上の「オリンピックムーブメント運動予算」と言うものが、別枠で盛られていて、「トップアスリート養成」とか、「地域スポーツクラブ育成」など、直接間接にオリンピックに結びついた事業を優遇する予算配分が行なわれています。 ●スポーツ関係だけではありません。昨年くれに「オリンピック招致フラッグ掲出事業」で多くの商店街が「年末キャンペーンの旗が出せない」と泣かされたのに懲りることなく、今年も6月ごろに商店街フラッグキャンペーンが予定され、秋は都心で集中的に多数の文化イベントが予算化されていますが、オリンピックキャンペーンの舞台となることは見え見えです。 ●しかし一方で、オリンピック競技からはずされた駒沢競技場の改修予算が認められず、”多摩を中心に”と言われてきた2013年の国体に向けては多摩の競技施設計画は殆どないなど、オリンピック以外の分野には冷たすぎる予算編成になっています。都民のくらしや営業、増税をはじめ福祉・医療の負担は重くなるばかりで、「オリンピックどころではない」という世論も広がっています。 都民の生活・営業の防衛に目もくれず、オリンピックキャンペーンにばかりガムシャラになる石原都政への都民の冷たい目線はいっそう厳しさをますことにならざるを得ないでしょう。 オリンピック招致推進活動経費の推移
招致経費の合計額は、55億円から150億円に。 ただし、IOCへの申請額は55億円のまま。 都の負担は、15億円から実質100億円に。 委員会(民間)負担は40億円から実質50億円に。 【レポートNO.41 08・4・3 】 ●久しぶりに、オリンピックコーナーを更新します。この間、都議会は新銀行問題で大揺れに揺れていたため、オリンピック問題が後景に押しやられてしまいました。 そこで今回、1月30日に松村議員が行なった質疑で追及した点を中心に、申請ファイルの問題点を、幾つかQ&A方式で、レポートしておきます。 <Q1.7つの都市の申請ファイルの比較はできるのですか> <A.> ●まだ、オリンピック本部で、各都市の英文による申請ファイルの邦訳中だと言うことで、詳しい資料を出していません。私たちが入手できたのは、とりあえず、世論調査の比較だけですので、以下に紹介します。 これをみてわかるように、大半の都市で、市民の支持率が8割から9割に達しています。都は、調査のやり方が、まちまちだと釈明していますが、それにしても、東京の6割支持の下は、チェコのプラハしかありません。都民の支持という点では、東京はかなり不利だと言わざるを得ないし、今後も景気動向や都民生活の厳しさなどを見ると、この支持が上がるのはかなり困難でしょう。 <Q2.東京の世論調査は、どういう方法だったのですか> <A.> ●インターネットによる調査で、それ自体、かなり偏ったデータが出る可能性があります。(詳しくは、そね質問を)しかも、明言は避けましたが、調査会社の話では、500円程度の謝礼のプレゼントをしています。インターネットですから、画面からメニューを選べる形だそうです。これは、私も質問で指摘したように、調査のスポンサーが東京都だと分かっている調査ですから、回答者がオリンピック招致の支持に流れやすい心理誘導が働くことは明白です。この点でも、信憑性が疑わしいものです。 ●また、都の資料で、以下のように、ただの反対、賛成ではなく、支持率を数字で選ぶやり方だったようです。この方法も、「東京オリンピック」というものに「100%反対」と言える人はなかなかいない一方で、招致への期待や夢は100%賛成がありうるという、人間の心理を利用するもので、正確な意思がかえって出にくいという評価もあります。 <Q3.競技施設計画がずさんだというのは本当ですか> <A.> ●百聞は一見にしかずですから、下の図を見てください。われわれが、ごまかしが特にひどいと考えている競技施設計画です。 まず、黄色いマーカーの入った、水泳競技場ですが、今回の申請でビッグサイトから辰巳に変更になったのも、実はビッグサイトに決めたとき、床が重量に耐えられないのをよく確認しなかったからだと言われています。 しかも、辰巳では現状で5000席しかないので、どうしても大型の水泳場を隣の公園に建設する必要があるのに、それが申請ファイルに明記されていないのです。 アーチェリーも、ユースプラザの練習場は1400平米しかないのに、1ヘクタール以上の競技場を造るのに、「大きな変更は必要なし」とされています。 ユースプラザのほかのアリーナも、ごく小規模な現在のものを、全く潰して4倍くらいの敷地にアリーナを二つ建設することになるのに、全く明記されていません。 おそらく、簡易で質素を重んじる現在のIOCの逆鱗に触れないよう、浪費的な整備計画をカムフラージュするためではないかと、我々は考えています。 【レポートNO.40 08・1・31 】 2ヶ月ぶりの特別委員会で、申請ファイルの問題点と都民そっちのけのオリンピックキャンペーンを追及 ◎議事録は、こちらをクリック ●1月30日に、久しぶりに特別委員会が開かれ、1月14日の申請ファイル提出まで封印されていた東京オリンピック招致の計画の内容について審議されました。 ●各党の持ち時間は1時間でしたが、殆どが20〜30分程度の質問。日本共産党は、松村議員が45分、曽根はじめ議員が15分の質問を行ないました。 松村議員は、申請ファイルの内容について質しました。 @以前からわが党が指摘してきた、重量制限でプールが困難なビッグサイトから辰巳への水泳会場の変更、水質が悪すぎる浜離宮からのトライアスロンの変更など、不十分だった概要計画での会場選定を、競技団体からの要望も受けて変えざるを得なかったことを、事実上認めました。 しかし、今度は辰巳のプールでは到底まかなえない2万人の観客を入れるプールを、都立公園の広場を潰して造ることになり、IOCの求める「簡素な計画」からも、「公園を潰さない」と言う知事の約束からもかけ離れることになることを明らかにしました。 Aさらに、招致経費が、最初の55億円から150億円に、都負担も15億円から100億円に膨張したこと、さらに残る50億円も企業からの寄付が集まらなければ、と負担になりかねないことを明らかにしました。 曽根はじめ議員は、商店街にフラッグをおしつけたり、不公平な世論調査のやり方など、都民を欺くオリンピックキャンペーンより、都民に本当の希望が持てるくらしの施策に回すよう求めて質問しました。 詳細は、後日、議事録を紹介します。 ◎07年10月6日から11月26日までのレポート(ページNO.9)はこちらから ◎07年5月23日から9月11日までのレポート(ページNO.8)はこちらから ◎10月22日から11月30日までのレポート(ページNO.7)はこちらから ◎10月8日から10月18日までのレポート(ページNO.6)はここから ◎9月15日から10月8日までのレポート(ページNO.5)はこちら ◎8月30日から9月14日までのレポート(ページNO.4)はここから ◎7月21日から8月29日のレポート(ページNO.3)はここから ◎7月15日から7月20日のレポート(ページNO.2)はここから ◎6月15日から7月19日までのレポート(ページNO.1)はここから |