原裕ピアノ演奏CDについて

CDの詳しい内容は下記の通りです。

CD名称「Yutaka Hara in Detmold 1984」(音楽の贈り物)

演奏曲目

.JOHANN SEBASTIAN BACH (1685-1750)
  SIFONIE e-Moll, SINFONIE G-Dur

.THOMAS BRACHT (1957-   )
  MOMENTS MUSICAUX (1980)
    Ritmico/Semplice/Rubato
    "Hommage a Erik Satie"
    Basso albertinese

3. FRANZ SCHUBERT (1797-1828)
  SONATA A-Dur D959
    Allegro/Andantino
    Scherzo. Allegro vivace
    Rondo. Allegretto

備考
Yutaka Hara (Piano)
Recorded: Summer 1984/Detmold, Germany


原裕作曲作品集

作品1 作品2 作品3

原裕小説作品(ペンネーム:湯ノ上鎮夫)
小説家:湯ノ上鎮夫の部屋 [小説:「家族の記憶」「波濤の彼方」]

原裕さんの略歴
1954年4月4日生まれ。
東京都出身。
横浜市立大学およびデトモルト大学(ドイツ)を卒業。

原裕ピアノコンサート2006報告(エッセイ)
 4月15日(土)に水野かほるさん企画の「日々の美を集めて」という催しが最終日を無事迎えることとなった。催しの中に、H&Aスタディルームの名誉講師原裕氏によるピアノコンサートも含まれていた。会場は市川市の千葉商科大学の傍にある木内邸であった。江戸川沿いである。小学1年生頃、この近辺の小岩に住んでいたことがあり、市川市にあるN製鋼にI社在職中スカウトされたり(お断りしたが)、木内氏も東大の先輩にあたる人物で、いろいろなご縁を感じ、最終日を選んで、訪れることを決めていた。鶴見駅から、市川駅までJRで行ったが、電車内から見た江戸川は多摩川と一見かわらないのであるが、ふと、「この辺も随分開けたねえ」と亡き母の声がするような気がした。最近不思議なことが起こるのである。自宅の前の99円ショップの、私が「会長」とあだ名している体格の良い男性店員さんが、母の生前の決まり文句であったことを、そっくりそのまま口にするのである。最近はそれが楽しみで夜中に買い物をしに行くようになった。いや、話が逸れてしまった。

木内邸には道に迷うこともなく、午後1時頃到着した。原氏はリハーサル中であった。上品な水野さんとどこかで見たことのある美女が、見守るというか聞き入っていた。ベートーベンの曲が終わったあとで、「原先生」と声をかけてしまったが、どうやら、リハーサルの邪魔をしてしまったようである。

水野さんが、「私は原先生に最初にピアノを習ったんです」と話しかけてきたが、答えようとした時に突然、原先生は、故意にフランスの響きを出した。私は思わず、「あっ、フランス風ですね」と口に出したが、水野さんは気付かなかったらしく、「この建物のことですか?」と返事をした。「いや、いいえ・・・・」と口ごもっている間に、原先生はショパンの「別れの曲」を弾き始めた。アンコールの練習のためである。本当に私はリハーサルの邪魔をしてしまったようである。原先生の後ろで、私もピアノを弾く格好をして、ふざけていたら、それを見て、例の美女は笑い転げていた。原先生は演奏会を前にして、明らかに神経が張り詰めているのが感じられたので、私は小岩に行って来ると、伝え、一旦退散することにした。そして実際に小岩へ向かった。

小岩はすっかり変貌していた。45年前の田園風景は全く消えていた。ただ母校の北小岩小学校と銭湯と一軒のラーメン屋は確かに当時のままであった。夕方、銭湯の帰りに、担任の三角先生が一人で寂しそうにソバをすする姿を目撃したのは、今でも鮮明に記憶に残っている。京成電鉄沿いの雰囲気もかすかに当時を感じさせた。歩くのも疲れたので、タクシーを拾って木内邸へ戻ることにした。60代の運転手さんだったが、性格の良い人で、何時になっても人が並んでいるラーメン屋の話を不思議そうにしたり、なんと以前に鶴見、川崎で臨港バスの運転手をしていたそうである。横浜駅の混雑振り、相鉄線の駅名、などの話で会話が弾んだ。これも不思議なご縁である。タクシーを降りる前に何度もここでよいのかと尋ねてくれ、親切な人であった。私も「お気をつけて」と声をかけて車を降りた。

3時少し前であった。木内邸の職員に毒舌と憎まれ口を少しきいた後、時間が来たので、演奏の部屋へ行った。比較的狭い部屋に美女が大勢たむろしていた。それどころではない。次々に美女が詰めかけてくる。栄町通郵便局の職員そっくりの女性まで現れた。私は美女たちに圧倒され、部屋の外で聴くことにした。男性は私以外には僅か2名で、少し変わって見えたのは、芸術家だったからなのであろうか。一体彼女らと原先生とはいかなる関係であるのか。私は小ホールでのスタインウェイ・ピアノによる演奏をイメージしていたのであるが、完全に的が外れた。

原先生の演奏を聴くのは2度目であったが、1度目は泥酔状態での非公式なものだった。私自身もその時は酔っていた。従って、原先生が本気で弾くのを聴くのは初めてである。最初のバッハのプレリュードでは、まだ緊張感から解放されていない感じがしたが、ベートーベンの三声のフーガの難局場面は、リラックスしてきたせいか、見事な素晴らしい演奏で、心地よい高揚感を味あわせてもらった。数年前、ラベルとドビュッシーの弦楽四重奏をCDで聴いてクラシックに感激したが、それ以来クラシックで感激するのは久しぶりである。しかし、バッハの終止和音はしょぼい。ずっこける。これは原先生が悪いのではない。バッハが悪い。演奏は素晴らしかった。感激した(小泉首相の歴史に残る名言)。

クラシックの演奏会には慣れていないせいか、原先生や水野さんには迷惑をお掛けした思う。この場を借りてお詫びしたい。木内邸の職員や関係者の方々にも軽口をたたいて迷惑をお掛けしたことにもお詫びしたい。(木内先輩すいません。)

今後も、原先生の活躍を願って、筆を置くことにします。




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