コードスケールの構成音と性格(作曲の一手法例)
                            with 偽終止についてのまとめ
表の見方は、例えば一番上はCM7にイオニアンを適用した場合のコードスケールの構成音は二つのコードCM7とDm7の構成音を合わせたものという意味です。


コードスケール   構成音

(CM7 ion) CM7 Dm7
(CM7 lyd) CM7 D7
(Cm7 dor) Cm7 Dm7
(Cm7 dor-2) Cm7 -D+M7
(Cm7 phr) Cm7 -DM7
(Cm7 aeo) Cm7 Dm7-5
(Cm7 n) Cm7 Dm7-5
(Cm7 h) CmM7 Dm7-5
(Cm7 m) CmM7 Dm7
(Cm7-5 loc) Cm7-5 -DM7
(Cm7-5 loc+2) Cm7-5 Dm7-5
(C7 mix) C7 Dm7
(C7 mixsus4) C7 Dm7
(C7 mix-6) C7 Dm7-5
(C7 lyd-7) C7 D7
(C7 mmp5) C7 Dm7-5
(C7 hmp5) C7 -DM7add9
(C7 alt) C7-5 -DmM7add9
(C7 comd) Cdim7 -Ddim7
(C7 wt) Caug Daug
(C7 bn) Cm7 D7+9
(Cdim7 dim) Cdim7 Ddim7
注)nはナチュラルマイナー、hはハーモニックマイナー、mはメロディックマイナーを表す。

*****補足説明1
CM7 Dm7の構成音を一つおきに並べると、Cのイオニアン

ド(レ)ミ(ファ)ソ(ラ)シ(ド)

になるというだけのことです。こうすると覚えやすいですし、3度重ねを含むフレーズが作りやすくなります。

dor-2はドリアンの2番目の音を半音下げたもの、loc+2はロクリアンの2番目の音を半音上げたものですが、大して変わりないので、あまり使われないようです。調が変わると経過音も変わるので起きる現象です。

後半(2番目)の和音はテンションノートとアヴォイドノートから成りますが、アヴォイドノートを避けて、テンションノートをランダムに並べるだけでフレーズができてしまうので、役に立つはずです。もちろん、コードトーンを入れても構いません。

少なくとも、アドリブや作編曲には役立つと思います。

もっと根源的には、新しいスケールを創るのに役立つかも知れません。そうすれば新しい音楽が生まれます。


*****補足説明2(作曲の一手法例)-----音楽関連システムを参照のこと
コード進行の生成の仕方について述べます。まず、ハ長調で使われるコードをランダムに並べると次のようになります。 (各調の機能とコード)を参照のこと)

((Em7 phr) (FM7 lyd) (Am7 aeo) (-DM7 lyd) (Bdim7 dim) (G7 mix lyd-7 hmp5 alt comd wt) (Fm7 dor) (+Fm7-5 loc) (-D7 lyd-7) (-BM7 lyd) (F7 lyd-7) (B7 alt) (-AM7 lyd) (Dm7-5 loc+2) (Dm7 dor) (CM7 ion) (-A7 lyd-7) (Bm7-5 loc) (-B7 lyd-7))

この後は人間(私)の出番です。ジャズの理論を駆使して(大した理論ではありませんが)、上のコード群をスムーズに繋ぎます。具体的には、セカンダリードミナント、ディミニッシュコード、平行和音、トゥー・ファイブ、4度進行、半音進行、偽終止の導入などで、コード間のギャップを埋めます。これによって、例えば、次のコード進行が作れます。この部分も自動化できればいいのですが、難しいですし、人間がやることがないのもつまらないと思います。ここが個性の見せどころでもあります。(実は基のデータをなくしてしまい、次に示すコード進行は上記コード群とは関係ありません。)

((C "work4")
("CM7" ion) ("+Fm7-5" loc) ("B7" alt) ("E7" hmp5)
("Am7" aeo) ("D7" hmp5) ("Em7" phr) ("A7" hmp5)
("Dm7" dor) ("G7" alt) ("Cm7" dor) ("F7" lyd-7)
("-BM7" lyd) ("CM7" ion) ("+Fm-5" loc) ("B7" alt)
("Em7" phr) ("A7" hmp5) ("Dm7" dor) ("G7" alt)
("+Fm7-5" loc) ("Fm7" dor) ("-B7" lyd-7) ("-Em7" dor)
("Dm7" dor) ("G7" alt) ("CM7" ion) ("D7" hmp5)
("Gm7" dor) ("C7" alt) ("FM7" lyd) ("-BM7" lyd)
("A7" hmp5) ("Dm7-5" loc+2) ("G7" alt) ("Em7" phr)
("-Em7" dor) ("-A7" lyd-7) ("-DM7" lyd) ("CM7" ion)
("Fm7" dor) ("-B7" lyd-7) ("-EM7" lyd) ("-AM7" lyd)
("-DM7" lyd) ("-Am7" dor) ("-D7" lyd-7) ("CM7" ion)
("G7" alt) ("+Fm7-5" loc) ("Bm7-5" loc) ("CM7" ion)
("+Fm7-5" loc) ("Bdim7" dim) ("Em7" phr) ("A7" hmp5)
("-A7" lyd-7) ("Dm7" dor) ("G7" alt) ("CM7" ion)
("Gm7" dor) ("C7" alt) ("FM7" lyd) ("Fm7" dor)
("CM7" ion)))

次に各コードに対して、コードスケール、UST、テンションノート、などの情報を計算機に列挙させます。(コードの性格と分類を参照のこと)

以上の情報を基に作曲を行うのが基本的パターンです。既に知られている曲のコード進行をそのまま利用することもあります。

上記情報が与えられれば、慣れれば、簡単に作曲できます。この時に、いろいろな音楽知識が使われるのでしょうが、その音楽知識を明示するのは人間にとって難しいことです。明示すること自体、研究課題でしょう。

音楽には数学的アプローチは適さず、記号処理のアプローチが適しているようです。音楽を表現する数学的規則性は見つかっていないと聞いています。いくら統計的に解析しても無駄だそうです。

計算機による支援をするためには、JavaやCなどの通常の言語よりも、記号処理に適したLispのほうが有利ですし、簡潔に記述できます。但し、ハード面は話が別です。作曲の上流工程には明らかにLispが適しており、人工知能の手法が有効であるということです。また、Lispはプロトタイピングに適しており、試行錯誤が容易で、プログラマーの負担が極度に少ないのが特徴です。 私が(三流)音楽家とプログラマーとを両立できるのもLispのお陰なのです。


*****補足説明3 偽終止についてのまとめ)
コード進行を作成するに際して偽終止についてまとめておくと、意外なコード進行を生成することができます。これと私のHPの音楽関連の記事を読んで頂ければ、体系化されていますから、理解の上ならば、作編曲は誰でも可能です。

***一つのコードへ偽終止するドミナントコード群***
(例えばCM7へ偽終止するドミナントコードにはE7,+F7,A7,B7がある)

E7,+F7, A7, B7*******CM7(他C major chords)
A7, B7, D7, E7*******FM7
D7, E7, G7, A7******-BM7
G7, A7, C7, D7******-EM7
C7, D7, F7, G7******-AM7
F7, G7,-B7, C7******-DM7
-B7, C7,-E7, F7*****+FM7
-E7, F7,-A7,-B7******BM7
+G7,+A7,+C7,+D7*****EM7
+C7,+D7,+F7,+G7*****AM7
+F7,+G7, B7,+C7******DM7
B7,+C7, E7,+F7*******GM7

-E7, E7,-B7**********Cm7(他C minor chords)
-A7, A7,-E7**********Fm7
-D7, D7,-A7*********-Bm7
-G7, G7,-D7*********-Em7
B7, C7,+F7**********+Gm7
E7, F7, B7***********+Cm7
A7,+A7, E7**********+Fm7
D7,+D7, A7**********Bm7
G7,+G7, D7**********Em7
C7,+C7, G7**********Am7
F7,-G7, C7**********Dm7
-B7, B7, F7**********Gm7

-D7,-E7,-B7*********Cm7-5
-G7,-A7,-E7*********Fm7-5
B7,-D7,-A7*********-Bm7-5
E7,-G7,-D7*********-Em7-5
A7, B7,+F7*********+Gm7-5
D7, E7, B7*********+Cm7-5
G7, A7, E7*********+Fm7-5
C7, D7, A7**********Bm7-5
F7, G7, D7**********Em7-5
-B7, C7, G7*********Am7-5
-E7, F7, C7*********Dm7-5
-A7,-B7, F7******* *Gm7-5

A7******************C7
D7******************F7
G7*****************-B7
C7*****************-E7
F7*****************-A7
-B7****************-D7
-E7****************-G7
+G7*****************B7
+C7*****************E7
+F7*****************A7
B7******************D7
E7******************G7


***一つのドミナントコードの偽終止先のコード群***

G7***((Em7 phr)(Am7 aeo)(Em7-5 loc)(Am7-5 loc)(-Gm7-5 loc)
     (-EM7 lyd)(-AM7 lyd)(-DM7 lyd)(-BM7 lyd)(-B7 lyd-7)(-Em7 dor))

C7***((Am7 phr)(Dm7 aeo)(Am7-5 loc)(Dm7-5 loc)( Bm7-5 loc)
     (-AM7 lyd)(-DM7 lyd)(+FM7 lyd)(-EM7 lyd)(-E7 lyd-7)(-Am7 dor))

F7***((Dm7 phr)(Gm7 aeo)(Dm7-5 loc)(Gm7-5 loc)( Em7-5 loc)
     (-DM7 lyd)(+FM7 lyd)( BM7 lyd)(-AM7 lyd)(-A7 lyd-7)(+Cm7 dor))

-B7**((Gm7 phr)(Cm7 aeo)(Gm7-5 loc)(Cm7-5 loc)( Am7-5 loc)
     (+FM7 lyd)(BM7 lyd)(EM7 lyd)(-DM7 lyd)(-D7 lyd-7)(+Fm7 dor))

-E7**((Cm7 phr)(Fm7 aeo)(Cm7-5 loc)(Fm7-5 loc)( Dm7-5 loc)
     (BM7 lyd)(EM7 lyd)(AM7 lyd)(+FM7 lyd)(+F7 lyd-7)(Bm7 dor))

-A7**((Fm7 phr)(-Bm7 aeo)(Fm7-5 loc)(-Bm7-5 loc)(Gm7-5 loc)
     (EM7 lyd)(AM7 lyd)(DM7 lyd)(BM7 lyd)(B7 lyd-7)(Em7 dor))

-D7**((-Bm7 phr)(-Em7 aeo)(-Bm7-5 loc)(-Em7-5 loc)(Cm7-5 loc)
     (AM7 lyd)(DM7 lyd)(GM7 lyd)(EM7 lyd)(E7 lyd-7)(Am7 dor))

+F7**((-Em7 phr)(-Am7 aeo)(-Em7-5 loc)(-Am7-5 loc)(Fm7-5 loc)
     (DM7 lyd)(GM7 lyd)(CM7 lyd)(AM7 lyd)(A7 lyd-7)(Dm7 dor))

B7***((-Am7 phr)(+Cm7 aeo)(-Am7-5 loc)(+Cm7-5 loc)(-Bm7-5 loc)
     (GM7 lyd)(CM7 lyd)(FM7 lyd)(DM7 lyd)(D7 lyd-7)(Gm7 dor))

E7***((+Cm7 phr)(+Fm7 aeo)(+Cm7-5 loc)(+Fm7-5 loc)(-Em7-5 loc)
     (CM7 lyd)(FM7 lyd)(-BM7 lyd)(GM7 lyd)(G7 lyd-7)(Cm7 dor))

A7***((+Fm7 phr)(Bm7 aeo)(+Fm7-5 loc)(Bm7-5 loc)(-Am7-5 loc)
     (FM7 lyd)(-BM7 lyd)(-EM7 lyd)(CM7 lyd)(C7 lyd-7)(Fm7 dor))

D7***((Bm7 phr)(Em7 aeo)(Bm7-5 loc)(Em7-5 loc)(+Cm7-5 loc)
     (-BM7 lyd)(-EM7 lyd)(-AM7 lyd)(FM7 lyd)(F7 lyd-7)(-Bm7 dor))



トップページに戻る