対位法の基礎

2声対位法

●1対1
(1)両旋律が平行の場合の両旋律間の音程は、3度または6度とする。ただし3回以上同じ度数で平行進行しないほうがよい。
(2)両旋律が同度または8度になる場合は、原則として和音の根音とする。同度または8度は曲の初め、曲の終わり、弱拍部、または経過的な場所に使う。同度または8度で平行進行してはならない。
(3)4度は、増4度ならば3度と6度と同じように使えるが、完全4度は1対1では使わないほうがよい。
(4)5度も、減5度と増5度は3度や6度と同じように使えるが、完全5度は経過的な弱拍部と、使い方によっては曲の初めと終りに使うことができる。
(5)2度と7度は1対1では使わないほうがよい。
(6)旋律は原則として4小節で1句をなすようにつくり、1つの頂点を作るようにする。
(7)旋律が2度上下することを順次進行するといい、3度以上上下することを跳躍進行するという。旋律の跳躍は原則として8度までとする。
(8)完全協和音程から完全協和音程へは反進行または斜進行しなければならない。
(9)不完全協和音程から完全協和音程へは反進行または斜進行しなければならない。


●1対2
(1)1対1のときには使わなかった2度と7度を使うことができる。
(2)定旋律と対旋律とが同時に弾かれるときが強拍部で、対旋律に1音残るときが弱拍部である。
(3)弱拍部に残る1音符は、強拍部で作った和音内の音にする。これが第1法である。
(4)第2法は経過音とする。
(5)第3法は後打音とする。
(6)強拍部にイ音、弱拍部を協和音程の本音符にする。イ音とは定旋律と9度、7度、4度、2度の不協和音程である。ジャズでいうテンション・リゾブルである。
(7)イ音を前小節に用意しておき、掛留音を作る。
(8)初め2小節ほどの動機(旋律型)を考え、それに対する対位型を決めて、それ以後の部分は上下の旋律を同時に、あるいは交互に書いていく。
(9)模倣を用いる。模倣には厳格な模倣と自由な模倣の2様式がある。
(10)高音旋律と低音旋律はなるべく反進行させる。

●1対3
(1)経過音は対旋律3音符中の第2音か第3音に入る。
(2)イ音は第1拍と第2拍に現れる。
(3)掛留は1対2と同じ。掛留解決後に残る1音は和声音にすることが多い。
(4)補助音を使用できるようになる。

●1対4
1対3までの規則と基本的に同じである。

●1対5,6,7,8
経過音と補助音の使用が多くなり、イ音、後打音、掛留音、先打音の使用は稀になる。

●自由対位
1対1より1対8までの対位法を自由に使って2声の対位法作品を作ること。


3声対位法

●1対1:1
(1)三和音は基本位置と六の和音を用い、四六の和音は経過的な場所以外では用いない。
(2)減三和音は六の和音の形で使って、基本位置では使わないほうがよい。
(3)高音と中音、中音と低音などの2声間の進行は3度、6度、減5度、増4度のほかに、7度、2度の不協和音程も、1度、8度、5度、4度の完全協和音程も使うことができる。但し、5度や8度で平行進行する平行5度と8度は禁止されている。平行1度も禁止。
(4)平行4度進行は、それが高音と中音の間で行われ、低音が六の和音の状態で平行する場合にかぎり使うことができる。平行5度は六の和音でも使用できない。
(5)高音と低音の間に生じる隠伏平行5度と隠伏平行8度の進行は行ってはならない。但し、楽句の段落や楽曲の終止では構わなく、普通である。
(6)旋律の進行は2声の場合と同じく順次進行を基本にし、それに跳躍進行を挿入するが、3声同時に同方向へ跳躍してはならない。2声が同時に跳躍したら、他の1声は反対方向に順次進行させる。
(7)高音と低音はなるべく反進行させる。このとき、中音と高音が平進行になる場合が多くなるが、平進行を長く続けないで反進行に移るようにする。
(8)2声が平進行するときは、他の1声を反進行させるのが普通であるが、稀に3声が平進行することがある。
(9)3声各旋律を独立独歩させるため、各旋律の頂点を別々の場所に作り、同時に頂点にならないようにする。低点は低点で同時にならないようにする。

●1対1:2から1対1:6まで
これは2声における1音符に対して2音符を対位する1対2の対位法と全く同じで、3声であるから、2声よりも三和音を完全に表すことができる。

●1対2:1から1対4:1まで
中音部に、経過音を使うのと掛留音とイ音を用いるのでは、曲想が全く異なってくる特徴がある。

●2対1:1から4対1:1まで
今までの応用。

●1対1:2(3)、1対2(3):1、2(3)対1:1の混用
実際にはこのような混用が多い。

●1:1:4、1:4:1、4:1:1の混用。
これも同様である。

●1対2:2
対旋律と対旋律の間の進行は、できるだけ反進行にする。

●1対2:3
ここに至って、各旋律がお互いに独自のスタイルをもって対位しあうようになる最初の対位法である。

●1対2:4
このリズム・パターンを3声間に順序よく置き換えると、次のような6種のリズム・パターンができる。
(S:A:B)=(1:2:4),(1:4:2),(4:1:2),(2:1:4),(2:4:1),(4:2:1)
これは、上の1対2:3でも同様である。非和声音の種類や転調の導入により様々な曲想が生じる。


4声対位法
3声対位法までと同じように考えればよいが、リズム・パターンなどのバリエーションが非常に多くなる。自ら試して下さい。


二重対位法
上下逆転して用いることを予定して書く対位法。


フーガ
対位法の中から生まれた音楽形式のうちの最高の形式で、まず短い主題を単声で先行させ、その主題がいちおう終わったところで、他の声部がその主題を一定の音程で模倣しながら入ってくる。それに対して、主題を先行した声部が、こんどは対旋律として、主題に新しい旋律を対位していく。さらに3声めが2声めと同じように最初の主題を一定の音程で模倣しながら入ってくる。先行した2つの声部は、それに対して新しい対旋律を対位してゆく。このように、1つの主題をめぐって、いくつかの声部が互いに主題を演奏したり伴奏にまわったりして進んでゆく形式で、3声フーガ、4声フーガなどがある。


ストレッタ
フーガ形式で、主題提示部で提示した主題と主題の間隔をせばめて、畳み込むように主題を重ねてゆく部分。ソナタ形式の展開部に相当する。


縮小模倣・拡大模倣
フーガ形式で、主題の音符を2分の1に縮小したりすることを縮小模倣、縮小とは反対に、旋律の音符を2倍、3倍、4倍などに拡大して模倣することを拡大模倣という。





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