どうして敷金が戻ってこないのか?

敷金返還等借地借家契約上の内容証明郵便活用法


現在、敷金返還トラブルを初め、借地借家契約上のトラブルは後を絶ちません。
民法の特別法として、平成3年制定された借地借家法では、一般に弱い立場とされている借家人を保護する規定が、数多く設けられています。
きちんと借地借家法を理解し、トラブルを未然に防止して行きましょう。
契約相手とのやり取りは、後で証拠となる内容証明郵便使うべきだと考えます。以下、内容証明郵便を使う典型的な場面を挙げておきましょう。

             <敷金返還トラブルについて>
              
敷金とは、将来の家賃の未払いや借家の毀損が生じた場合に備え、借家人に請求すべき損害賠償債務を担保するため、契約時に貸主に交付するものです。ですから、本来敷金は全額返還されるのが原則なのです
借家人が負担しなければならない損傷とは故意・過失によるものであり、時間の経過により当然摩耗するものや、通常の生活で生じる傷や汚れに対しての修繕費用は毎月の家賃の中に入っていると考えられます。
「借家人には原状回復義務があるんだ!」とよく言われますが、これは自分が借りる前の状態にそっくり戻さなければならないわけではありません。そんなこと言ったらマンションやアパートの設備を全て新品に取り替えなければならなくなってしまいます。原状回復義務の法的な意味が貸主にはきちんと理解されていないようです。
              
(具体例)
借家人の過失により壁のクロスの一部に汚れがある。貸主から「一部分だけクロスの張替えをすると、他の部分と色が違っておかしいから、全部張替えさせてもらいます。その費用は全額負担してもらいますよ。」と言われた。確かに、借家人の過失による損傷であるけれど、全額を負担しなければならないのでしょうか?
時の経過によって、くすんできたクロスが、全て新品に張り替えられたとすれば、それは貸主にとって利得になります。それを借家人に全額負担させるのは不公平だと言えるでしょう。負担する割合を貸主と交渉するべきです。

家主からの請求を鵜呑みにせず、請求明細書をきちんと分析し、主張すべきことはことは主張して行きましょう。特に、ハウスクリーニング費用について問題になることが多いので注意が必要です。


                <その他、相手方への通知>

<貸主からの通知>
(1)貸主が家賃を値上げしたいなら、
→家賃増額請求書
(1)の書面を受け取った借家人の対応は?
                ↓
家賃増額請求書を受け取った借家人が、その金額に承諾できないなら
、自分が適正だと思う金額を通知します。(この通知も証拠となる、内容
証明郵便ですべきでしょう。)
その提示額に貸主が納得せず、家賃の受け取りを拒絶された場合、借家
人はその家賃を供託すべきです。
供託しておけば家賃を支払った事となり、家賃不払いを理由に解除される
事はなくなります。
(2)借家人が家賃を支払わない場合
→家賃支払請求書
(3)上記(2)の請求をしても支払ってくれない場合
→家賃滞納により契約を解除する
家賃滞納により契約を解除する場合、一回の不払いを理由で解除できる
のでしょうか?これは借家人にとってあまりに酷です。
貸主と借家人の信頼関係が破綻したと言える必要があるでしょう。事案に
よって異なりますが、3カ月程度が一般です。
(4)Aさんに貸す契約をしたのに、
いつの間にか見ず知らずのBさんが住んでいた場合
→無断譲渡・転貸を理由に契約を解除する


<借家人からの通知>
借家人が借家に取り付けた畳、建具等を契約終了時に
貸主に買い取って欲しい場合(借地借家法33条)
→造作買取請求の通知
借家人が修繕費のような借家の維持に必要な費用(必
要費)を出した場合、契約終了時に、その費用を貸主に
請求できる(民法608条1項)
→必要費償還請求の通知
借家人がくみ取り便所を水洗便所に改造するような、借
家の時価を増加させる費用(有益費)を出した場合、契
約終了時に、その費用を貸主に請求できる(民法608条
2項)
→有益費償還請求の通知
(注)賃貸借契約書に、これらの権利を請求しない旨の特
約が付いている事があります。御自分の契約書を確認し
てから請求しましょう。
賃貸借契約終了時の敷金返還トラブルが近年増加しています。敷金が1円も返還されないばかりか、借家人にリフォーム代等を請求して来るケースもあります。敷金の本来の意味を理解し、相手方の言うなりに支払うのは止めましょう。
トップへ戻る
内容証明 | 消費者契約 | クーリングオフ | 割賦販売 
悪徳商法 |遺言・相続 | 離 婚 | 著作権 | 交通事故 | ストーカー 
自己紹介 | メール相談 | メルマガ紹介 | 相互リンク集 | 受験サポート

当サイトは著作権法の保護を受けています。
サイト内の文章、表、写真を、当事務所の許諾を得ずに、無断で使用することをかたく禁じます。 
〜市川法務行政事務所〜