クーリング・オフ制度を上手に活用する方法

特定商取引法が消費者を守る☆内容証明郵便の威力はスゴイ!

 
クーリング・オフは契約をしたあと、理由のいかんを問わず一定期間内なら消費者側で自由に解除できる制度です(特定商取引に関する法律による)。セールスマンの甘い誘惑に乗って、それほど欲しくない物をつい買ってしまうことはあるでしょう。
 
クーリング・オフは契約書を受け取った日から8日以内に書面でしなければなりません。電話やFAX、メールでは何の効力もありません(原則としては)。配達証明付きの内容証明郵便ですることをお勧めします。
 ただし、クーリング・オフは全ての売買契約で、出来るわけではありません。街の洋服屋で買った服をクーリング・オフします、と言って返品することは特定商取引法に基づいては出来ません。
 
クーリング・オフ期間が経過してしまったとしても、不当な勧誘により消費者が誤認したのであれば、消費者契約法4条により取り消しが出来ることもあります。その場合の取消権行使期間は追認可能な時から6ヶ月以内、契約締結の時から5年以内となっています(同7条)。 
特定商取引に関する法律 訪問販売 キャッチセールス、アポイントメントセールス、催眠商法は、契約の締結がたとえ営業所等で行われたとしても、法2条1項2号で、「訪問販売」の一類型とされます。 クーリングオフ可能な期間
8日間
(注)現金取引の場合3000円以上
の取引であること。
電話勧誘販売
業者が消費者に電話を掛け契約を締結した場合はもちろん、業者の電話勧誘の結果、その後、消費者自らの電話や郵便等で契約を締結した場合も含まれます。

士商法(資格商法)などは、電話勧誘販売の代表例です。
クーリングオフ可能な期間
8日間
(注)現金取引の場合3000円以上
の取引であること。
連鎖販売取引
マルチ商法など、販売組織に加盟して、販売員になった消費者に販売活動をさせ、その下にピラミッド状に販売組織を作ることによって、利益が得られるような仕組みのビジネスのこと。
ネズミ講、ネットワークビジネス、ピラミッド式販売などとも呼ばれます。

消費者自らが、友人・知人を勧誘するため、被害者でありながら、加害者としての責任も負うこととなります。友人の信頼を裏切ることになりかねません、注意してください。
クーリングオフ可能な期間
20日間
継続的役務取引
エステティックサロン 1ヶ月を超え、
5万円を超えるもの
中途解約時の損害額の上限
2万円
クーリングオフ可能な期間
8日間

中途解約権あり(49条)
外国語英会話教室 2ヶ月を超え、
5万円を超えるもの
中途解約時の損害額の上限
5万円
家庭教師・通信指導 2ヶ月を超え、
5万円を超えるもの
中途解約時の損害額の上限
5万円
学習塾 2ヶ月を超え、
5万円を超えるもの
中途解約時の損害額の上限
2万円
パソコン教室 2ヶ月を超え、
5万円を超えるもの
中途解約時の損害額の上限
5万円
結婚情報紹介サービス 2ヶ月を超え、
5万円を超えるもの
中途解約時の損害額の上限
2万円
業務提供誘引販売取引
業者から提供・あっせんされる業務に従事することによって、利益が得られる旨の勧誘を受け、商品購入等の支払を行わせる取引のこと。
ex.パソコンを購入して研修を受ければ、パソコン入力業務を紹介するといって勧誘する場合

クーリングオフ可能な期間
20日間
(注)通信販売にはクーリングオフ制度の適用がありません。
その理由は、上記5つの取引と異なり、通信販売は、消費者がTV番組等を見て、自発的に申込みをするものであるからだ、とされています。
<その他の注意点を指摘して行きましょう。>

◆契約書等(法定書面)には、法律で定められた事項の全てが、記載されていなければなりません。虚偽記載や記載の不備等がある場合には、クーリングオフ可能な期間を経過しても、クーリングオフをすることができます

◆特商法では、クーリングオフは書面で行うものと定めています。よって、内容証明郵便で行うのが、ベストな方法と言えるでしょう。
では、口頭や電話などで、クーリングオフがされた場合の効果は、どうなるのでしょうか? クーリングオフ行使の事実が、明白である場合は、書面によらなくても有効である、とする判例があります。

◆クーリングオフ期間の起算日は、書面交付日を初日算入します。

◆継続的役務提供取引では、クーリングオフ期間が、過ぎてしまっても、中途解約が認められています。しかし、高額な損害金を請求されたのでは、中途解約の意味がありません。
そこで、法は49条で損害金の上限を制限しました。わかりやすく言うと、(既に提供された役務に対する費用+損害金の上限まで)となります。本当の計算方法は、もう少し細かいので注意。

◆ホテルの会場で行われる、着物展示販売会などの、いわゆる「展示会商法」の場合、特定顧客取引であれば、取引場所が、店舗に類する場所(展示会場)であっても、訪問販売に該当し、クーリングオフできる、と言って良いのでしょうか?これは、難しいですね?
大阪地裁(H6.3.9)では、訪問販売に該当せず、クーリングオフできない、としています。


特定商取引法以外に、法律上クーリングオフが定められているもの
割賦販売・クレジット契約(割賦販売法) クーリングオフ可能な期間
8日間
預託取引(特定商品の預託等に関する法律) クーリングオフ可能な期間
14日間
ゴルフ会員権契約(ゴルフ場等会員権適正化法) クーリングオフ可能な期間
8日間
宅地建物取引(宅地建物取引業法) クーリングオフ可能な期間
8日間
海外商品先物取引(海外商品先物取引受託法) クーリングオフ可能な期間
14日間
投資顧問契約(有価証券投資顧問業法) クーリングオフ可能な期間
10日間
商品ファンド契約(商品投資事業規制法) クーリングオフ可能な期間
10日間
不動産共同投資契約(不動産特定共同事業法) クーリングオフ可能な期間
8日間
小口債権販売契約(特定債権事業規制法) クーリングオフ可能な期間
8日間
保険契約(保険業法) クーリングオフ可能な期間
8日間


特定商品等(特定商取引法別表)


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