米国株のCAPEレシオ、景気循環、イギリス、アメリカ、イタリア、
金ETF、テンプルトンの名言、投資は不況でするもんや、それぞれの流儀、
ほとんど成功しない投資手法、逆の見方、コメ兵の投資判断、
瑞光の業績下方修正、ポール・ソンキンの忠告、投資スタンスの重要性、
今年も我慢の一年でした
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ショートコラム(2016年12月)
■今年も我慢の一年でした(2016年12月31日) |
昨年に引き続き、今年も我慢の一年でした。 というのも、これまでの投資家人生を振り返れば「もう少し我慢ができれば、絶好の投資チャンスだった」ケースが多いからです。 1997年は、高金利の社内預金が廃止されたという個人的な理由で年初から株を買い進み、お腹いっぱいになったところでアジア通貨危機を食らいました。初心者ゆえ、損切りなどできず、身動きが取れなくなります。後1年待てれば、翌1998年は絶好の投資チャンスでした。 ITバブルの崩壊局面では「もうそろそろいいだろう」と勝手に判断し、2000年秋から株式投資を再開します。その1年後の2001年9月、NYテロの発生により日経平均が17年振りに1万円を割り込みました。 2006年1月のライブドアショックは何とか切り抜けたものの、2006年から2007年にかけて、高値を付けていた株を追いかけまわし、2008年のリーマンショックで大火傷を負いました。 アベノミクス相場にしても、自分の中では野村が大型投信を設定した2015年初夏で終わっています。景気循環や信用サイクルを考慮すれば、次に訪れるのは弱気相場でしょう。ただ、その時期がいつになるかは分かりません。 本多静六博士は「好景気・楽観時代には倹約貯蓄、不景気・悲観時代には思い切った投資」という言葉を残しています。私が以前勤めていた会社のオーナーは、投資は不況でするもんやが口ぐせでした。株式投資で資産を築きたければ、成功者のアドバイスを実践するに限ります。 |
■投資スタンスの重要性(2016年12月29日) |
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少し長くなりますけど『勝つ投資 負けない投資』より片山晃さんの文章を引用します。 スポーツの陸上でも短距離、中距離、長距離にハードルやマラソンなど、様々な競技に分かれているように、投資にも実はいろいろなやり方があって、それぞれに必要な努力が異なります。 まずは自分がどれに興味があり、どこに適性があるのかを見極めなければスタートラインにも立てません。それを把握する前に、ただ漠然とカリスマ投資家と呼ばれる方々の本を読んでも、有益どころか自分の本来の成長の妨げとなっている可能性もあるのです。 そして、この自分に適した投資のやり方とは、実は投資を始める前からすでに定まっているというのが僕の最近の持論です。投資で長期的に成功を収めるには、まずそこを理解するところから始めなければなりません。 私も同意見です。株式投資で資産を築きたければ、自分なりの流儀を確立する必要があります。そのベースとなるのが投資スタンスです。 投資スタンスとは「どういった時間軸を意識するか」のことで、数ヶ月程度の期間で株を売買するポジショントレード、1年以上株を保有する長期投資に大別されます。 この投資スタンスの違いにより、同一銘柄に興味を持ったとしても「どこまで調べるか、いつ仕掛けるか」がまったく違ってきます。 そういった時間軸を意識せず、著名投資家の売買に追随しても、マラソンランナーが短距離レースに出場するようなもので、勝てるはずがありません。 1月のバリュー投資塾では、株式投資を行う上で最も重要な投資スタンスについてお話します。さらに、ポジショントレードの派生形であるイベント投資についても取り上げます。長期投資では、私の尊敬する3人のバリュー投資家、ピーター・スカーカニッチ、モニッシュ・パブライ、ポール・ソンキンの流儀を紹介します。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 なお、お申込み締切を東京会場1月4日(水)、大阪会場1月11日(水)とさせていただきます。 両会場とも、まだ残席がございます。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■ポール・ソンキンの忠告(2016年12月26日) |
『バリュー投資入門』にて、バリュー投資家のポール・ソンキンがIPOについて忠告しています。 もっとも1990年代の末にもなれば、こうした細工はあまり必要ではなくなったかもしれない。 華やかな業種からのIPOに対する一般投資家の食欲はいやが上にでも高まっていたため、まだまったく利益の出ていない会社でも株式の公募ができたのだ。 とはいえ、新規公開株に投資する者は企業の紹介記事、そしてそれに続いて生まれる株価の中にはごまかしやいいかげんな台詞がどの程度仕組まれているかをよく知っておくべきである。 「1990年代の末(の米国)」を「2010年代半ば(の日本)」に書き換えても、違和感が全然ありません。株式市場にて、まったく同じ出来事が繰り返されているという事実が、よく分かるくだりです。 |
■瑞光の業績下方修正(2016年12月23日) |
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2014年9月のショートコラムで取り上げた瑞光(6279)が業績下方修正を発表しました。「同社なら、ありえるな」というのが正直な感想です。
修正の理由より、ビジネスモデルが垣間見れます。 国内外の設備投資需要に慎重さが見られ始め、期初計画策定時に受注確度が高いと判断していた案件の一部について商談が来期以降にスライドしたことから、売上高が減少する見込みであること。 競合他社との価格競争が激化し、製造機械全般において、価格引下げ圧力が強まったことにより、 粗利益率が低下したこと。 為替相場で円高が進み、海外子会社の円換算後の業績が目減りしたこと。 まず同社は、主要顧客がユニチャームや花王など大手日用品メーカーに偏っています。このような会社は、顧客の設備投資動向に業績が左右されがちです。 次に、国内では首位であるものの、グローバルに事業を展開しているため、海外企業と競合します。ファメカニカ(イタリア) 、ジョア(アメリカ) 、同社が三つ巴でシェアを争っており、中国のローカルメーカーが追随しています。このような業界は、外国語に長けていない限り、競合企業に対する「強み・弱み」の分析が困難です。 さらに、業績が為替の影響を受けます。為替についても、どちらに振れるかの予測はほぼ不可能です。 以上より、同社は売上や利益の予測が難しい、個人投資家の手には負えない難しい銘柄といえます。 今後、世界的に需要が高まるであろう、紙おむつの製造機というビジネスは魅力的なのですが・・・。事業環境や業界構造が把握できない以上、指をくわえて見ているしかなさそうです。 |
■コメ兵の投資判断(2016年12月20日) |
11月に開催したバリュー投資塾「銘柄分析の基本」で、ケーススタディとしてコメ兵(2780)を取り上げました。お話した内容は、概ね次のとおりです。 ●当時の株価は、再調達価格や修正EPSより試算した本質価値を大幅に下回っており、同社株は割安である ●インバウンド特需の終了、個人消費の低迷に加え、ネット買取業者の台頭による中古品の買取競争が激化しており、事業環境は良くない ●2017年2月に梅田、5月に名駅と大型店が立て続けにオープンする。同社の大型店は名古屋本店、新宿店、銀座店の3店舗のみであり、一気に2店舗も増やすのは新社長の勇み足とも受け取れる ●2018年3月期は、大型店開店の初期投資負担が重い。個人消費の更なる低迷が続けば、最悪のケースでは赤字転落もありえるのではないか ●長期投資の視点では、現時点で投資判断を下すのは早計であり、2018年3月期の進捗を確認してからでも遅くない ところが、株価はバリュー投資塾の直後に上昇の兆しを見せ、12月に入ってから急騰しました。チャートを重視し、25日移動平均線(青)と75日移動平均線(赤)のゴールデンクロスが買っておけば、楽に儲かったことになります。 ただ、ここで買えたのは「悪材料の織り込みすぎにより下げ過ぎた株価のリバウンドを狙う」という中上級者向けのポジショントレードを得意にしている一部の投資家に限られます。ポジショントレードの基本は「好業績銘柄の上昇トレンドに乗る」だからです。 株価はいったん戻りましたが、私自身の投資判断は変わっていません。気長に投資チャンスを待つつもりです。 |
■逆の見方(2016年12月16日) |
板垣浩氏の著書『自立のためにプロが教える株式投資』に興味深い記述があります。 企業分析については、一般の下手な人と逆の見方をしなければならない。 すなわち、企業の財務内容の悪いときが安いときであり、そういう時期が買いであり、考課状が良くなってきたとき(良くなりそうだ、というときでも早めに相場に織り込まれるから、そういうとき)が高いときであり、売りどきなのだ。 今、目を皿のようにして「好業績で割安な銘柄はないか」と会社四季報新春号を読んでいる方もいらっしゃるでしょうが、皆と同じところを見ていてはなかなか勝てないものです。 あえて、会社四季報が弱気のコメントを出している銘柄を調べてみるのも一興かもしれません、 |
■ほとんど成功しない投資手法(2016年12月13日) |
株は、マーケットを介した人間同士の戦いです。ゆえに「必勝法など存在しない」というのが個人的意見です。 しかし、その一方で「こうやれば、たいてい負ける」というやり方はあります。 典型例が、相場の高値圏で始める長期投資です。竹中正治教授が著書『稼ぐ経済学』で「トレンド後追い型」と称しているタイプです。 長期投資を行いたのであれば、次の弱気相場まで2〜3年は待つ覚悟が必要です。逆に、今の相場にどうしても参加したいのなら、短期と割り切り、損切り覚悟で突っ込むしかありません。 昨日のショートコラムでも少し書きましたが、まず流儀ありきです。流儀により、自ずと出動タイミングが決まります。 もし演劇で、役者が自分の出る幕でもないのに舞台に登場しようものなら、観衆はしらけるでしょう。株式投資も同じです。出番を無視し、常にステージに上がろうとしても、損失が膨らむばかりです。 |
■それぞれの流儀(2016年12月12日) |
トランプ大統領の当選後、強気のラリーが続いています。この相場にどう対峙すべきかは、投資家それぞれの流儀によって異なります。 短期売買を手がけるトレーダーであれば、参加していなければ失格でしょう。とりわけ、将来的に専業を目指している場合「今儲けなくて、いつ儲けるの?」という感じです。 一方で長期投資家が、今頃になってポジションを積み増しているのも、相当に違和感があります。足元の状況は「あーあ、今年も自分の出番はほとんどなかったな」とぼやきつつ、上がり続ける株価を眺めている相場だからです。 いずれにせよ、自分の流儀に従っているうちは、大火傷を負いません。 一番怖いのは、中途半端な気持ちで参加することです。短期で手っ取り早く儲けるはずが、損切りができず塩漬けにしてしまうのも割とあるパターンです。じっくり安値を待つつもりが、我慢できず高値に飛びつけば、今までの忍耐が台無しになります。 今一度、どういった投資家になりたいのか、自問自答してください。そういう自分も、2008年のリーマンショックを経験するまで、ほとんど何も考えていなかったひとりですが。 |
■投資は不況でするもんや(2016年12月9日) |
17年間、サラリーマンとして勤めた会社はオーナー経営でした。社長は、豪邸に住み、2つの会社を所有している資産家です。 出社は週に数回。運転手付のベンツで10時過ぎに現れ、道が混む前の午後4時過ぎに退社するのが日課でした。 安月給で朝から晩まで働く立場として「資本主義とは、こういう仕組みなんだ」と身につまされる日々を送りました。しかし、勉強になったことがひとつだけあります。それは、常々「投資は不況でするもんや」と言っていたことです。 好景気にて、競合する業界大手が新工場の建設を発表したときは「あそこも下手を打ちよったな。工場が完成した暁には、不況で作るモノなんか無くなっているわ」と断言しました。 数年後、そのとおりになります。すると、不景気の真っただ中で、今度は経営している別の会社で大がかりな設備投資を行いました。 「安く買えた上に、先方も大喜びや。だから言ったやろ」と上機嫌でした。傍から見ていて、その経営手腕に感心したものです。 この教えが身にしみたのは、サラリーマンを辞めた後でした。2006年から2007年にかけて、世間が好景気に沸く中で割高だった株を追いかけまわし、2008年のリーマンショックで大火傷を負ったからです。 高値を付けている相場を見ていると、つい手を出したくなる誘惑に駆られます。そんなとき思い出すのは、既に鬼籍の人となった前オーナーの「投資は不況でするもんや」という言葉です。 |
■テンプルトンの名言(2016年12月8日) |
久しぶりに『テンプルトン卿の流儀』を読み返しました。ジョン・テンプルトンは、1960年代の日本株にいち早く投資を行った、国際派のバーゲンハンターとして知られている伝説のバリュー投資家です。 参考までに「全く、そのとおりだ」と感じたところをいくつかあげておきます。 ●本来の価値よりも安い株を一貫して買い続けるバーゲンハンターは、自分の行動が皆から承認や同意を受けないという状況に慣れる必要がある ●前もって企業情報の蓄積と分析を行っておけば、企業が土砂降りに遭って株価が下落したときに断固としてその株を買うことができる ●投資の手がかりを市場観察者や新聞や友人から手に入れているようなら、見通しが地味な株に投資することはできない 最近の私も、他の個人投資家と話の合わないことが増えました。雑誌の電話取材では、先方との間に微妙な間が空くようになりました。 どうやら、バーゲンハンターへの道のりを着実に歩んでいるようです。 |
■金ETF(2016年12月6日) |
「現金で持っているのであれば、保険も兼ねて、金ETFを少しだけ買っておこうか」と考えた時期もありましたが、次の理由で踏み切れませんでした。 ●マスコミなどで金投資が頻繁に取り上げられていた チャートだけ見れば、何とも言えない微妙なところです。もっとも保険と割り切るのなら、こんなものかもしれませんが。 |
■イギリス、アメリカ、イタリア(2016年12月5日) |
国民投票や大統領選挙の結果から「イギリス、アメリカ、イタリアとも、中産階級の不満が相当に高まっているのではないか」と感じました。 比較的おとなしいとされている、我が国の国民だって、いつまでも今の状況に耐えているとは限りません。 盤石に見える安倍政権ですが、数年後、思わぬ事態でひっくり返る可能性を視野に入れておいたほうが良さそうです。 |
■景気循環(2016年12月2日) |
内閣府の資料に、景気循環の平均値が出ています。 景気拡張期は36か月、景気後退期は16〜17か月です。 株価は景気や企業業績を先読みする形で動くため、この数字を株価サイクルに置き換えれば、強気相場は3年、弱気相場は1年半続くということです。 過去のデータからは、アベノミクス相場の賞味期限がいつ切れてもおかしくない状況と考えられます。 |
■米国株のCAPEレシオ(2016年12月1日) |
CAPEレシオ(Cyclically Adjusted PER:景気変動調整後の株価収益率)は、過去10年の利益や配当、物価水準などを加味したPERです。ケープと発音します。 2013年にノーベル経済学賞を受賞した、米イェール大学のロバート・シラー教授により考案されました。長期投資では、目先の企業収益に左右されるPERより使い勝手の良い指標で、私自身も重宝しています。 経験則によれば、CAPEが25倍を超えてくれば、株価の下落を招くことが多いといわれています。ちなみに米国株を代表するS&P500指数のCAPEレシオは、11月30日現在では27.19です。 もはやリーマンショック前の株高局面と同水準に達しており、この指標で見る限り、米国株(および米国株に連動するアセットクラス)は割の合わない投資対象といえます。 |
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