雨には勝てず、伊藤園の業績下方修正、9月のバリュー投資塾は「バフェット流バリュー投資」、
投資家人生後半戦の基本方針、マンションPBR、警戒水準のブルベア指数、
バリュー投資セミナー個別銘柄編DVD、エー・ピーカンパニーの月次、
投資家として辛い局面をどう受け入れるか、『証券分析』の読んでおきたい章、
2年間、安値を待てた初心者時代、大和ハウスのビジネスモデル、野村日本株高配当70、
今の相場で気をつけたいこと、スロースターター、瑞光の第2四半期決算、
ドイツ株価指数ダックス、住友商事の巨額減損損失
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ショートコラム(2014年9月)
■住友商事の巨額減損損失(2014年9月30日) |
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昨日、住友商事(8053)より、2,700億円の上る巨額の減損損失が発表されました。投資家にとって、まさに「寝耳に水」の出来事で、同社株は東証1部の値下がり率一位となりました。 【通期 業績予想(単位:百万円)】
同社の発表資料では、1,700億円の減損損失を計上する米国タイトオイル(シェールオイル)開発以外にも、3つの事業で減損損失を計上しています。 【減損損失の内訳(単位:億円)】
ここで引っ掛かるのは、当期利益がかろうじて黒字を保っていることです。 うがった見方をすると「シェールオイル開発の巨額損失に合わせて、当期利益が赤字にならない程度に、今までの垢を流してしまおう」とも受け取れます。 決算書を見ない限りは何ともいえませんが、減損損失により来期以降の減価償却費などの経費を軽減できれば、利益のV字回復もありえます。いわゆる、ビック・バス効果です。 そう考える投資家にとっては、株価がさらに値下がりするようなら、絶好の買い場といえるかもしれません。もっとも、私のような臆病者には、手出し無用でしょうけど。 |
■ドイツ株価指数ダックス(2014年9月27日) |
個人的に気になっている株価指数があります。ドイツの株価指数、ダックス(DAX)です。 ダックスは、今年7月に10000ポイントの大台を達成しました。この株価水準は、2000年のITバブルや2007年のサブプライムローンバブルをはるかに上回っています。 欧州の景気がそんなに良いとも思えないですし、ここに来て、上値も重くなってきました。果たして、どうなるでしょうか。 |
■瑞光の第2四半期決算(2014年9月25日) |
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瑞光(6279)という銘柄をご存知でしょうか。衛生用品製造機で国内首位であり、海外で稼いでる好業績の小型株として、注目されている方もいらっしゃるかと思います。 昨日、同社の第2四半期決算が発表されました。当初の予想より、大幅な減収減益となっています。
会社側は、この件に関して、次のようにコメントしています。 当初予想しておりました海外子会社における新規製造機械の出荷が下半期にずれ込んだことになどにより、売上高は減少いたしました。 利益面におきましても、生産コスト低減、生産性の向上などに取り組んだ結果、第1四半期連結累計期間と比べ、売上原価は一部改善いたしましたが、営業利益、経常利益及び四半期純利益ともに前回発表の業績予想を下回りました。 なお、平成27年2月期通期の業績予想につきましては、さらなる生産コスト低減、海外子会社における出荷のずれ込みが解消されると予想をしており、変更はございません。 さて、投資家としては、この部分的に不明瞭な文面を、どのように受け取ればいいのでしょうか。私なら「同社に対する投資判断ができかねるので、当分はフォローしない」という結論になります。 同社にように、BtoBビジネスを行っているグローバル製造業は、BtoCビジネスを展開している内需関連企業に比べて、事業内容の理解が難しいです。 次の質問にすべて答えることができなければ、平成27年2月期の業績について一家言持つことは難しいでしょう。その場合、投資対象から外した方が無難です。 ●衛生用品製造機には、どのような種類があるのか |
■スロースターター(2014年9月24日) |
ただいま、11冊目の株本を執筆中です。9月中旬より書き始めたものの、もともとスロースターターでもあり、執筆のペースがなかなか上がりません。 当初は「10月末まで書き終え、11月は紅葉のローカル線をのんびり旅行」と目論んでいましたが、それどころでなくなる恐れも出てきました。 まあ、私のような自営業者にとっては「仕事をいただけるうちが花」ですので、当面は本業重視でいきたいと思います。 数年後、再び不況になり、世間が株式投資どころでなくなれば、旅行にはいくらでも出掛けられますから。 |
■今の相場で気をつけたいこと(2014年9月20日) |
昨日、日経平均株価が年初来高値を更新しました。「よしきた」といきり立っている方もいらっしゃるでしょう。 こんなときに水を差すようで恐縮ですが、今のような相場にて、気をつけたいことがあります。それは、市場全体の雰囲気に流され、自分の流儀のうち、守るべき部分を破ってしまうことです。 なぜ、これをやったらいけないかといえば、心の中の「ものさし、そろばん」が狂ってしまい、投資のよりどころがなくなってしまうからです。 前回、株式市場の盛り上がった2005年にも、そういった投資家をけっこう見かけました。一時的には大儲けしたみたいですが、振り子が逆に振れたとき、残っていた人はほとんどいなかったように思います。 |
■野村日本株高配当70(2014年9月18日) |
野村日本株高配当70というスマートベータ指数があります。 国内上場株式の中から、予想配当利回りが高い70銘柄を選んで構成銘柄とした等金額型の指数です。中長期では、TOPIXに対して、低リスクで大幅な超過リターンを達成しています。 【インデックス・パフォーマンス】 【リスク・リターン】 この指数に連動するETF「高配当70(1577)」も上場されており、バリュー株ETFの代用して使えそうです。ただ、皮肉なことに、上場来のパフォーマンスはTOPIXに負けていますが。それでも、日本株を長期保有したいのであれば、TOPIXより、このETFのほうが良さそうです。 注意点としては、年4回分配していることがあげられます。せっかくの高配当を、税金でごっそり持っていかれてはかないません。NISA口座で投資したいETFです。 【高配当70 TOPIXとの比較チャート(上場来)】 |
■大和ハウスのビジネスモデル(2014年9月16日) |
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ビジネスジャーナルに大和ハウス、不況の住宅業界でなぜ独り勝ち?非戸建事業で安定収益、勝ちのモデル確立という記事が出ています。 大和ハウス工業(1925)については「戸建住宅がメインで、副業的に賃貸アパートを手がけている程度」という認識だっただけに、非戸建住宅事業である賃貸住宅事業、商業施設事業、事業施設事業で稼いでいるのは意外でした。 【2014年3月期 セグメント情報】
ただ、中長期的には、今は株の買い時でないかもしれません。 同社株は、アジア通貨危機の起きた1997年12月、邦銀の不良債権問題が表面化し「みずほとUFJはつぶれる」という怪情報の流れた2002年11月、リーマンショック後の2009年3月に安値を付けています。 再度、そのような状況を待ち、買い出動できれば、投資妙味がありそうです。 【大和ハウス工業 株価チャート(月足)】 |
■2年間、安値を待てた初心者時代(2014年9月14日) |
私が株式投資に興味を持ったのは、1993年です。資産バブル崩壊により、日経平均が2万円を大きく割り込んだことで、興味を持ったのでしょう。 ところが、どの銘柄を買おうか迷っているうち、日経平均は2万円を回復します。その後、1993年の年末にも再び急落したのですが、戻りが速くて買い損ねてしまいました。 当時、買い注文を出すには証券会社の店頭に電話を入れる必要がありました。売買単位もほとんど1000株であり、1回の投資額がかさんだことから、手軽に発注できる状況とはいえません。結局、翌2004年も何もできずに終わります。 投資チャンスが訪れたのは、1995年です。この年は、1月に阪神淡路大震災があり、年初から株価が下がり続けました。これだけ下げれば、いくら優柔不断な初心者といえども、投資チャンスにありつけます。 一大決心をした私は、清水の舞台から飛び降りるつもりで、職場近くの公衆電話に向かいます。2月から3月にかけて、立て続けに2銘柄を買いました。 結果は、絵に描いたようなビギナーズラックでした。2月に買ったプロミスはほぼ底値、3月に買った日本石油輸送はその後の値下がりに苦しんだものの、翌年4月の急騰局面で大幅な利食いとなりました。 つい最近まで、この投資について「単に運が良かっただけ」と自己分析していたのですが、よくよく考えれば「2年間、安値を待てたこと」が大きかったです。もし、日経平均2万円台のときに買っていれば、1995年の値下がりに嫌気が差し「株なんてこりごりだ」と投資をやめていたかもしれません。 また、その2年間も決して無駄ではありませんでした。元手を蓄え、株式投資の勉強ができたからです。 味を占めた私は、その後、株式投資に本腰を入れることを決意しました。このように、最初に買った銘柄は、将来に投資への礎となります。何も急ぐ理由はいっさいありません。安値をじっくり待ち、納得した上で、買い注文をいれることをおすすめします。 |
■『証券分析』の読んでおきたい章(2014年9月12日) |
ベンジャミン・グレアム氏の著書『証券分析』は、一度は読んでおきたい投資の名著です。しかしながら、ページ数も多く、債券投資や転換社債・ワラントについても取り上げているため、一気に読破するのは骨が折れます。 そこで、手持ちの本書を確認してみたところ、マーカーを引いたり、付せんを貼ってある箇所は限られていました。とりあえず、次の章を中心に目を通しておけば、ポイントを押さえられると思います。 ●第2章 証券分析の数量的要因と質的要因 ●第27章 普通株の投資 ●第31章 損益計算書の分析 ●第42章 バランスシートの分析−帳簿価格の重要性 ●第50章 価格と価値の矛盾 |
■投資家として辛い局面をどう受け入れるか(2014年9月11日) |
投資家として「辛い」と思う局面が2つあります。2つとも、往々にして、よく起こります。 ●十分に割安だと判断して買った銘柄が下がり続けた場合 このうち、持株の「売り」に関しては、儲け損ねただけなので、実害はありません。その割に、悔しいものですが・・・。 注意点としては、買い戻そうと思わないことです。我慢できず、買い戻したところが天井だったりします(なぜ、そんなことが言えるかって? 経験者だからです)。 たとえ、少しでも儲かったのであれば、それで満足すべきです。気持ちを落ち着け、次の投資チャンス待ちましょう。 一方、「買い」に関しては、含み損を放置すれば大火傷を負いかねません。 買い付ける前から、損失にどこまで耐えられるのか、損切りをするのかしないのか、予め自問自答しておく必要があります。 一般論として、経験値の低いうちは、いったんロスカットすることをおすすめします。 「負け」を認めることにより、反省を行い、今後に活かすことができるからです。損失を一定レベルで食い止めておけば、次の投資チャンスに乗ることも容易です。 投資においては、どれだけ冷静さを保てるかどうかがポイントです。そのあたりは、スポーツと似ているかもしれませんね。 |
■エー・ピーカンパニーの月次(2014年9月10日) |
昨日、エー・ピーカンパニー(3175)の8月月次が発表されました。 今年に入り、好調を維持してきた既存店売上高が100%を割り込んでいます。また、大手居酒屋チェーンが、同社の主力業態である「塚田農場」を模倣した「山内農場」を積極的に展開しているのも気になります。 先ほど、食べログで検索したところ、塚田農場の101店に対して、山内農場は173店と、店舗数では後発が大きく上回っていました。 とにかく、居酒屋チェーンは、競争の激しい業種です。個人的には、長期投資に向いていないと思っています。 |
■バリュー投資セミナー個別銘柄編DVD(2014年9月9日) |
本日は、独習に最適なセミナーDVDのご案内です。 ローリスクで着実に儲けるバリュー投資セミナーDVD【個別銘柄編】 このDVDは、今年1月にファイナンシャルアカデミーで開催した「ローリスクで着実に儲けるバリュー投資セミナー【個別銘柄編】」を収録したものです。その後も内容を少しずつ変えながら、繰り返し開催される人気セミナーとなっています。 セミナーDVDでは、個人投資家にも理解しやすいローテク産業のリユース業界、学習塾業界、ウェディング業界について、バリューファンドの組入銘柄を中心に、業界分析と同業他社比較を行っています。 DVDにつき、好きな時間に何度でも視聴できます。 なお、お申込みは、ファイナンシャルアカデミーのローリスクで着実に儲けるバリュー投資セミナーDVD【個別銘柄編】ページよりお願いします。 ローリスクで着実に儲けるバリュー投資セミナーDVD【個別銘柄編】テキスト目次 はじめに 第1部 株式投資で儲けるための2つのやり方 第2部 バリュー株 個別銘柄の探し方 第3部 個別銘柄分析 コメ兵(2780) 第4部 個別銘柄分析 ステップ(9795) 第5部 個別銘柄分析 アイ・ケイ・ケイ(2198) おわりに |
■警戒水準のブルベア指数(2014年9月8日) |
インベスターズ・インテリジェンス(Investors Intelligence)社が公表しているブルベア指数(Bull/Bear Ratio)という指標をご存知でしょうか。 投資ニュースレターの書き手への調査結果より、市場見通しに対する「ブル(楽観的)」と「ベア(悲観的)」の度合いを表わすものです。 逆指標として使われており「50%以上のブル(強気)と20%以下のベア(弱気)が重なったとき、その後相場は下降する」ともいわれています。 この指標を見る限り、そろそろ警戒水準かもしれません。 |
■マンションPBR(2014年9月6日) |
マンションPBRは、東京カンテイの発表している指標です。マンションの中古価格が新築時の何倍になっているかを示しています。 ●マンションPBR = 中古マンション価格 ÷ 新築マンション価格 新築マンション価格にはプレミアムが上乗せされており、長年に渡るデフレも相まって、マンションPBRは1倍割れが当然と思っていたのですが、都心では1倍を超えていました。 首都圏に比べて地盤沈下の著しい関西においても、大阪市や京都市の中心部に実需のあるファミリータイプのマンションを保有しておれば、キャピタルゲインを獲得できたことになります。 例を挙げれば、中之島駅(京阪中之島線)のマンションPBRは1.28倍で、4,049万円のマンションが5,199万円で売れた計算です。 一方、私の地元である奈良駅(JR大和路線)のマンションPBRは0.72倍で、3,047万円のマンションが2,194万円に値下がりしています。 このデータを見て、不動産投資のやり方について再考せざるを得ませんでした。当初は、なじみのある奈良県にて、格安の中古マンションや戸建賃貸への投資を考えていたからです。しかしながら、これらの物件は表面利回りこそ高いものの、売却時に相当のキャピタルロスを覚悟する必要があります。 そうであれば、表面利回りは低くても、キャピタルゲインの見込めそうな物件の方が好ましいです。京都は学生時代を過ごした街ですし、大阪には17年間通勤していましたので、両方とも全く土地勘がない訳ではありません。 少しずつ「不況を待ち、都市部のマンションを現金買いする」ための準備を進めていきたいです。 |
■投資家人生後半戦の基本方針(2014年9月4日) |
投資家人生は、3つに区切ることができます。 ●前半戦・・・31〜50歳 前半戦は、マーケットに揉まれながら経験値を高め、試行錯誤を重ねつつ自分の投資スタンスを確立する、いわば基礎固めの時期です。 後半戦は、前半戦で得たものを活かし、大きく飛躍する時期です。その後、延長戦に突入して、気力・知力・体力の続く限り、投資を続けます。 私自身は、何とか前半戦を戦い終え、後半戦に入るところです。ちなみに、前半戦の最後は、株安を受けて角山オフィスの売上も低迷し、2008年の損失も加わってリスク許容度が低下してしまいます。それゆえ「やさしい相場のみ参加する」というトレンドフォロー戦略に徹しざるを得ませんでした。 ただ、ここに来て、本業の売上も回復し、2008年の損失も取り戻したことから、相応の含み損に耐えられる体質になりました。そういうこともあり、投資家人生の後半戦はバリュー投資と相性のいい逆張り型の投資スタンスで臨みたいと思っています。基本方針は次のとおりです。 ●長期でじっくり構えられる個人投資家の強みを活かす |
■9月のバリュー投資塾は「バフェット流バリュー投資」(2014年9月3日) |
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セミナーテキストがほぼ出来上がりましたので、9月のバリュー投資塾について、こちらでも案内しておきます。 今回のテーマは「バフェット流バリュー投資」としました。バリュー投資の基本であるグレアム流の本質的価値と安全域を押さえた後で、その発展形といれているバフェット型バリュー投資についてお話します。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 すでに参加申込みをされた方は、当日までに『証券分析』(第2部と第3部は不要)と『バフェットの銘柄選択術』 に目を通していただければ、理解もいっそう進むかと思います。 なお、お申込み締切を、東京会場は9月10日(水)、大阪会場は9月17日(水)とさせていただきます。、両会場とも、まだ残席がございます。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■雨には勝てず、伊藤園の業績下方修正(2014年9月1日) |
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本日、伊藤園(2593)が業績下方修正を発表しました。通期の業績予想については「盛夏期の販売状況を含めて現在精査中」として据え置きましたが、8月も天候不順が続いており、この調子では下方修正せざるを得ないでしょう。 【第2四半期 業績予想】
同社の公表資料では、修正の理由を次のように説明しています。 ●消費税率引き上げの影響による消費の減退 こういったとき「伊藤園ホルダーの皆さん、お気の毒様」と受け流すか、「自分の持株にも、同じような要因で影響を受ける銘柄はないだろうか」と再確認するかで、投資のパフォーマンスが違ってきます。 消費税増税の影響が残り、書き入れ時に天候不順が続く中で、伊藤園だけが売れていないということは、考えにくいですから。 |
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by 角山智