マリオ・ガベリの日本株投資、バリュー投資の損切りルール、
サークル・オブ・コンピタンス、バブルの時は動くな、レッドオーシャン、
ジャンク債から逃げ出す投資家、ついに破たんしたジャンク債ファンド、
エニグモの業績下方修正、近寄りがたい東京市場、どちらの道を選ぶか、
私の好きな社長のタイプ、株式投資の勉強法、続・株式投資の勉強法、
ネクステージの業績下方修正、我慢の一年
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ショートコラム(2015年12月)
■我慢の一年(2015年12月30日) |
2015年がどんな年だったかといえば、株式投資に関しては、とにかく我慢の一年でした。 過去20年間の売買履歴を分析した結果、売買が上手でないことも自覚していますし、どのような状況であれば勝てるのか(あるいは負けるのか)少しは分かっているつもりです。 同じ過ちを繰り返さないためには、自分のような投資家でも勝てるような局面が出現するまで、ひたすら待ち続けるしかありません。 2016年も我慢の年になることを覚悟しつつ、銘柄分析に励みたいです。 |
■ネクステージの業績下方修正(2015年12月29日) |
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本日、中古車販売大手のネクステージ(3186)が業績下方修正を発表しました。 強気すぎる会社計画に対して、大幅な未達であったものの、前期との比較では健闘しているといえます。 【平成27年11月期 連結業績予想】
ただ、修正の理由に気になる文面がありました。 営業利益におきましては、ローコストオペレーションを実践し 販管費の抑制に努めたものの、滞留在庫の処分費用が増加し、販売台数が当初計画を下回ったこ とで、売上総利益が減少し、前回予想を下回る見込みとなりました。 同社は、車両本体をほぼ仕入値で販売して高成約率・高回転率を実現し、装備品やサービスなどのクロスセルで利益をあげています。 この手法が機能していれば、車両本体に価格競争力があるため、滞留在庫はほとんど発生しないはずです。中古車全体の動きが鈍っているだけならまだしも、同業他社にビジネスモデルをパクられている恐れがあります。 現に、同社のクロスセルを他社がまねる「ネクステージ現象」が、全国に広がっているそうです。もしそうなれば、泥沼の価格競争に陥ってしまいます。 予め業績悪化を織り込んでいたのか、株価は安値圏にありました。本日11時の業績修正発表後も一時的に急落しましたが、昼からは切り返し、大幅なプラスで終わっています。 問題は、来期がどうなるかです。もう少し、業績の推移を見守りたい会社です。 |
■続・株式投資の勉強法(2015年12月27日) |
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先日は、株式投資のベタな勉強法について書きました。地道な作業ですが、コツコツと積み上げれば、実力をつけることができます。 ただ、本業のサラリーマンや週末の家族サービスなどで、なかなか時間を取れず「もっと効率的なやり方はないものか」と思われた方もいらっしゃるでしょう。 実は私も、地道な作業と「もう少し要領のいいやり方」を併用しています。そのひとつが「プロの投資銘柄を調べること」です。その手の銘柄はビジネスモデルのユニークな企業が多分に含まれており「なぜ、この銘柄がプロのお眼鏡にかなったのか」を自分なりに調査・分析してみるのは、いい勉強になります。 お手軽なのは、株式投信に月報をチェックして、上位組入銘柄のリストを入手する方法です。ただ、短期的なパフォーマンスを問われる我が国の株式投信は、毎月のように銘柄を入れ替え、しかも高値を買い上がるような売買を行っているケースが少なくありません。 一番のおすすめは、長期的視野で割安銘柄への投資を行っている外資系ファンドの投資銘柄チェックです。ファンドの投資哲学やファンドマネジャーの投資方針を調べた上で、共感できるファンドの投資銘柄を調べれば、興味深い企業が見つかるかもしれません。 手前味噌で恐縮ですが、来年1月のバリュー投資塾では、私自身がもっとも注目している外資系ファンドの投資銘柄について取り上げます。銘柄分析をほぼ終えたところですが、意外な企業が入っていたりして、自分でもテキスト作りを楽しめました。 ご参加を希望される方はメールにて、氏名(漢字とカナ)、郵便番号、住所、電話番号、カナ振込人名(ご本人と異なる場合)を記入してお申込みください。折り返し、振込口座などのご案内をいたします。 ご注意:ケーススタディを盛り込んでいますが、銘柄推奨を行うセミナーではありません。
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■株式投資の勉強法(2015年12月24日) |
最近、株式投資の勉強法や情報収集の仕方について、質問をいただくことが多くなりました。 そこで、私自身も実践してきた、効果のあったやり方をまとめておきます。 まず、日々のルーチンワークとして、適時開示情報閲覧サービスをチェックにしてください。とりあえず、表題をざっと見渡し、関心のあるものだけ閲覧すればOKです。 それと並行して、会社四季報最新号を読んでいきましょう。別に、最初から全て目を通す必要はいっさいなく、好きなところから始めればいいと思います。興味を持った銘柄は○、そうでない銘柄は×、よく分からない銘柄は△と、印をつけるのも一案です。「次の号が出る3ケ月後までに終わればいいや」というゆっくりしたペースで構いません。 さらに、まとまった時間の取れる週末には、平日の作業で興味を持った銘柄を調べます。その企業のIRページから決算書や決算説明会資料をダウンロードし、決算説明会の動画があれば見るようにします。ストックボイスの社長インタビュー動画もおすすめです。 見識を深めるため、日経ビジネス、週刊東洋経済、週刊ダイヤモンドといった経済誌を定期購読するのもいいでしょう。業種を絞り込んでいる場合、業界専門誌という選択肢(小売業なら『商業界』『激流』など)もあります。株本も、月2冊ペースで読めれば理想的です。 以上の作業を地道に行えば、少しずつ、実力がついていくはずです。 |
■私の好きな社長のタイプ(2015年12月22日) |
銘柄選択の際、私は経営者を重視しています。というのも、ジャスダックやマザーズに上場している小型株への投資は、社長本人への出資に等しいからです。 調査時は、経歴を中心に調べます。難関大学を卒業し、メガバンクや総合商社でビジネスパーソンとしての基本を学び、その後リクルートに転職して新規事業を立ち上げ、最終的に起業するのが理想的なパターンです。 ただ、個人的には、その対極にある経営者にも魅かれます。 ●母子家庭など貧しい環境で育った 何度も逆境を乗り越えたことで、人間的なタフさを身に付けているからです。 もちろん、ビジネスモデルや事業環境もチェックしますが、最終的には「このオヤジに資金を託すことができるかどうか」で投資判断を下すことも少なくありません。結局「企業は経営者なり」ですから。 |
■どちらの道を選ぶか(2015年12月21日) |
投資家は、最終的にどちらかの道を選ぶのか、決断を迫られます。売買により利益を出すのか、それとも売買しない(保有する)ことで利益を上げるのかです。 トレーダーを目指すのであれば、テクニカル分析に取り組み、売買技術に磨きをかけるべきでしょう。一方で、長期投資家を目指すのなら、ファンダメンタル分析を徹底的に行い、個別銘柄に精通しなければなりません。 私自身も、リーマンショックでの損失を受けて「今まで進んできた道を引き返そうか」迷っていた時期があります。結局、少し回り道をして、長期投資のほうが性格的に向いていることを再確認しました。 進むべき道を決めれば、迷いがなくなります。後は、前進あるのみです。 |
■近寄りがたい東京市場(2015年12月18日) |
今週の東京市場は、短期的な材料に振り回された挙句、終わってみれば日経平均1万9千円割れでした。 企業のファンダメンタルを半ば無視して買われる、官製相場らしい値動きです。たしか、PKO(株価維持政策)の行われていた1990年代半ばも、こんな日が多かったように思います。 いつまでも待てる個人投資家の強みを活かし、然るべき株価水準に落ち着くまで、高みの見物といきたいところです。 |
■エニグモの業績下方修正(2015年12月16日) |
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「お金をドブに捨てるようなものだな」と経営企画部門の担当者が苦りきった顔で切り出します。 それに対して、大手印刷会社の営業マンは「広告には、そういった側面もありまして・・・」と声を絞り出すのが精一杯でした。 もう15年前の話ですが、試しにやってみたウェブ広告が空振りに終わった後、当時の勤務先にて開催された会議での一コマです。 情報システム部門から出席していた私は「広告なんて、まるでギャンブルじゃないか」と内心思いました。 不幸中の幸いはウェブ広告だったことです。100万円程度の無駄遣いで済みました。しかし、巨額の費用が発生するTV広告では、期待していた成果が得られなければ大事になります。 このケースに該当するのが、お洒落さんを対象としたソーシャル通販サイト「バイマ」を運営しているエニグモ(3665)です。 「柱のバイマは通期10億円規模のマスCM広告投入で会員拡大し、手数料収入が増加」と書かれた会社四季報新春号の発売された翌日に業績下方修正が発表されました。 TV広告の空振りにより、大幅な減収減益を余儀なくされ、さらに減損損失も発生するという、まさに“泣き面に蜂”といった内容でした。 【平成28年1月期 個別業績予想】
会社側の苦しい言い訳は次のとおりです。 マスキャンペーンを始めとする当期施策の広告効果を最大限に見込んだ2016年1月期通期業績予想(個別)における新規登録会員数の獲得が期初想定よりも遅延し、想定していた総取扱高31,529百万円に対する進捗率が、第3四半期末時点において51.9%と遅れがでており、通期業績予想(個別)における売上高には至らない見込みとなりました。 同社の会議室でも、担当部署と大手広告代理店の間で、気まずいやり取りが繰り広げられているのでしょうか。 |
■ついに破たんしたジャンク債ファンド(2015年12月15日) |
ついに、ジャンク債ファンドの実質的な破たんが起こりました。 サード・アベニューが「サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンド(TFCIX)」投資家からの解約受け付けを停止し、清算すると発表したのです。ロイターによれば、金融危機以来の大規模破たんだとか。 自分は、投資家の中では悲観的な見方をするほうですが、あるとしても、もう少し先のことだと思っていました。事態は予想以上に深刻化しているようです。 一方で、株価は未だに高値圏。これはちょっとヤバイかもしれないですね。 |
■ジャンク債から逃げ出す投資家(2015年12月13日) |
下図は、ジャンク債の代表的なETFであるHYG(iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF ) の株価チャートです。 長引く金融緩和を背景に、配当利回り5%まで買い進まれました。配当利回り5%といえば、通常時における米国債の利回りです。 しかしながら、今年後半から下げ足を速め、週足ベースの終値でもギリシャショックの再燃した2011年秋の安値を割り込んでしまいました。 ジャンク債(ハイイールド債)とは、信用格付けが低く、デフォルト(債務不履行)の可能性が高い企業の発行している債券のことです。 その見返りとして、利回りが高く設定されています。 国債などの金利が低い場合、デフォルトリスクの低い好景気下においては、投資家がジャンク債に群がります(もっとも、長期投資であればジャンク債は晴れの日に買うながセオリーですが)。 一方で、景気を不安視すると即座に売り払われることが多いため、ジャンク債相場の下落は景気下ぶれの予兆とされています。 足元の株価は、投資家がまさにジャンク債から逃げ出している状況といえるでしょう。 |
■レッドオーシャン(2015年12月11日) |
やまやのチムニー買収、テンポスバスターズのあさくま買収、メディアフラッグの十勝たちばな買収・・・。本業に強みを持っている企業が、なぜ、わざわざ血の海に出ていくのか、理解に苦しみます。 たとえレッドオーシャンであっても、大海原に出たいのでしょうか。やがて不況に陥れば、このようなM&Aによる負の遺産に苦しめられるのが、いつものパターンです。 最悪の場合、多額の減損損失を計上して、最終赤字に転落もありえます。好況時に、あれこれと手を広げすぎている企業には、注意が必要です。 |
■バブルの時は動くな(2015年12月9日) |
一代でドン・キホーテを築き上げた安田隆夫氏は、私の好きな経営者のひとりです。 昨日、近所の書店にて著書『安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生』を見つけて即購入、一気に読み切りました。逆張り経営を自負するだけに、投資家として参考になる記述も少なくなかったのですが、とりわけ印象に残ったのが次の言葉です。 私はこれまで、バブルの時は「見」を決め込んでいっさい動かず、逆にバブルが崩壊するや、手のひらを返すようにして店舗用物件の土地や不動産の確保、あるいは企業のM&A等を積極的に仕掛けてきた。 ともあれ成功者と失敗者の分かれ目は、この「見」ができるかどうかにある。 企業経営と株式投資の本質は、かなり似ていると思っています。もし安田氏が株式投資を行っていれば、その道でも大成していたでしょうね。 |
■サークル・オブ・コンピタンス(2015年12月7日) |
サークル・オブ・コンピタンス(Circle of Competence)とは、自分がよく理解しており、知識の範囲内に収まるものに重点を置くべきという考え方です。かのウォーレン・バフェット氏が、株主への手紙でこの言葉を使用しています。 私自身も、サークル・オブ・コンピタンスを守っておれば、株式投資における大損の大半は防ぐことができました。にもかかわらず、守備範囲外の銘柄に手を出してしまうのは、人間の悲しい性でしょうか。 |
■バリュー投資の損切りルール(2015年12月4日) |
どうやら、バリュー投資でロスカットについて触れるのはご法度のようです。しかし、実際に投資を行ってみると「損切りすべきか否か」で悩まされる局面が珍しくありません。 以前から、損切りについて取り上げているバリュー投資家はいないのだろうかと思っていたところ、新刊『勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語』に著者ガイ・スピアの投資ルールが書かれていました。 株を買ったあとに下落したら、2年間は売らない 裏を返せば、2年以上たっても株価が戻らないときは、損切りしてもいいと受け取れます。 このルールは、もともとバリュー投資家のモニッシュ・パブライが導入していたもので、非常に理にかなっていたため、すぐにスピアも導入したそうです。 そこで、パブライの著書『ダンドー 低リスク・高リターンのインド式テクニック』を読んでみると、理由も明記されていました。 市場はおおむね効率的であり、大抵の場合、いったん雲が晴れると割安な資産は上昇し、その本質価値(またはそれを超えて)で取引されるようになる。そして不確実性という雲の大半は2〜3年で消えるのである。 つまり、2年以上たっても含み損を抱えている時は、本質価値の計算を間違えていたとか、何らかの見立て違いが発生しており、その場合は損切りすべきという考え方です。そうすることにより、マーケットの一時的な急落局面で振り落としにあわずに済みます。 私自身、リーマンショック以降は「株でこれ以上の損失を許容できない」という立場に追い込まれたため、「買値から10%下げるまでに損切りする」というルールでやってきました。 この方式の利点は大幅な含み損を抱えずに済む点です。一方、せっかくいい銘柄を見つけておきながら、ロスカットラインに引っ掛かり、大きな利益を取り逃してしまうという欠点もあります。 もう20年の投資経験を積み、特定の業種ではある程度の目利きもできるようになりました。アベノミクス相場のおかげで、リーマンショックの損を取り戻せたことから、今後は相応のリスクを取れそうです。 そういうこともあり「小さな利益をコツコツ積み上げる」手法からは卒業したいです。損切りルールについても、根本的に見直そうかと思っています。 |
■マリオ・ガベリの日本株投資(2015年12月1日) |
先日、バリュー投資塾終了後の懇親会にて、PMV(Private Market Value:事業家的市場価値)の話題になりました。 そういえば、PMV発案者のマリオ・ガベリ氏が率いるファンドは日本株にも投資していたはずです。さっそく、GAMCO International Growth Fundの組入銘柄を調べてみると次のとおりでした。 ●亀田製菓(2220) 「うーん。よく分からん」というのが正直な感想です。確かに、ブランド力や技術力に優れている会社ばかりとはいえ、「同業他社から見て、足元の株価が買収対象として魅力的なのか」という点で、個人的に疑問の残る銘柄も少なくありません。 やはり個人投資家としては、PERやEV/EBIT倍率などの伝統的バリュエーションで評価でき、しかもローテクで分かりやすい、内需関連の小型安定成長株に投資対象を絞るのが無難でしょうか。 マリオ・ガベリ氏とガチンコ勝負しても、勝てる見込みはないでしょうから。 |
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